たばこ苛め

20年くらい前までか   
机に灰皿  くわえ煙草で仕事をしていました 
 
「受動喫煙」健康への被害がほんとうなら  
日本人の半数以上に可能性  本当ですか 
 
キーワードは「分煙・共存」 
喫煙で気分転換 冷静さを取り戻せたこともありました


  
  
  
1990年代中頃 6割近くの男性が喫煙  
職場の机に灰皿  たばこの煙 スモッグ 
今40〜45才より上の世代は 煙の中で仕事をしていました 
今風に言えば 強制受動喫煙
  
統計学 職場環境の歴史は加味されているのでしょうか 
世界に逆らってみませんか 
日本は世界一の長寿国です
もし危険なら 東京五輪などダシにしないで明日から
  
たばこ「健康影響の警告表示強化を」 110団体が要望 1/15  
日本医師会や日本薬剤師会など医療や健康に関わる110団体でつくる「受動喫煙のない日本をめざす委員会」は15日、たばこの健康影響の警告表示の大きさを包装パッケージの50%以上にし、画像を入れるなど、警告を強化するよう国に要望した。たばこパッケージについては、日本も批准しているたばこ規制枠組み条約(FCTC)で、警告は主な面の「50%以上を占めるべきであり、30%を下回るものであってはならない」とされている。日本では、30%以上になるようたばこ事業法で定められている。同委員会は、警告表示を条約が求める50%以上にし、80カ国以上で実施されている画像での警告を義務づけるよう求めている。委員会の事務局を務める日本禁煙学会の作田学理事長は「画像での警告が効果的であることは調査でも明らか。警告の強化をしないと世界の潮流に遅れる」と話した。 
  
受動喫煙、罰則付き法制化を検討 政府 1/23  
政府は、他人のたばこの煙を吸わされる受動喫煙を防ぐため、対策をとらない施設管理者を罰則付きで規制する新法の検討を始める。内閣官房や厚生労働省、農林水産省、国土交通省などによる検討チームを25日に立ち上げる。2020年の東京五輪・パラリンピックに向け、海外に比べて遅れているとされる受動喫煙対策を強化する。  
検討チームは新法での規制について、学校や病院、官公庁などの公共施設は全面禁煙とし、飲食店は分煙とするなど、施設の種類や規模などで対策を分けるべきか議論する。罰則を盛り込むことも検討する。  
日本も批准しているたばこ規制枠組み条約では、加盟国は受動喫煙を法律で防止するよう求められている。厚労省によると、少なくとも08年以降、日本以外のすべての五輪開催地や予定地で罰則を伴う受動喫煙対策がとられている。 日本は03年施行の健康増進法で施設管理者に受動喫煙対策を課しているが、努力義務にとどまる。 

 
2016/1  
 
  
日本の喫煙
日本における喫煙の諸相について記述する。平成15年(2003年)の健康増進法施行等により喫煙場所、喫煙者は減少している。政府、民間ともに禁煙に向けて動いている。国内葉たばこ生産は縮小し、葉たばこ農家の人員は平成23年(2011年)の1万801人から平成24年(2012年)には4割が廃作して6317人に減少、葉たばこ農家は高齢化も進んでいる。喫煙の健康影響面では、平成24年(2012年)の厚生労働省資料によると日本における喫煙による死亡者は年間およそ12万人から13万人である。  
たばこの伝来  
日本では室町時代末期から安土桃山時代にポルトガルの宣教師たちによって持ち込まれた。日本へのたばこの伝来は諸説あり、天文12年(1543年)の種子島への鉄砲伝来時、慶長10年(1605年)前後の南蛮渡来などがある。煙管(キセル)による喫煙が主であり、江戸時代初期には全国に普及したが、非常に高価な薬品として普及しており、喫煙できるのは裕福な武士か商人のみであった。  
日本の喫煙に関する最古の資料は慶長年間に存在し、慶長14年(1609年)に記された八条宮智仁親王『煙草説』、修道士による『ブルギーリョスの報告書』などがある。種子の伝来における最古の記録は、慶長6年(1601年)、スペインフランシスコ会修道士ヘロニモ・デ・ヘススが療養中の徳川家康にタバコ由来の薬とタバコの種子を献上したというものである。財務省財務総合政策研究所の資料によれば、葉たばこは薬草として慶長年間に各地に普及していた。徳川将軍で「初めて喫煙した将軍」と言われているのは10代将軍家治である。  
江戸時代  
前述のように、江戸時代における主な喫煙方法は煙管であった。江戸幕府は火災予防や奢侈禁止の観点からしばしば煙草禁止令を出しているが、幕府や藩の専売とすることで次第に許可されていく。江戸中期には煙草の値下がりと共に庶民への喫煙習慣も広まって行くことになる。宝暦年間には、庶民用の煙草10匁(約38グラム)が8文程度であった記録が残されている。また、この時期に煙管、煙草盆、煙草入れなどの工芸品が発達した。  
法制度  
家康は、駿府城内で不審火による火災が度々発生したことで、秀忠が将軍の代の慶長14年(1609年)、禁煙令を出した。江戸幕府は度々か禁煙令、たばこ耕作・売買の禁令を出し、財産没収の罰則も設けていたが、たばこの禁令は守られなかった。たばこの禁令を出す理由は火災の他、京の街に出没する荊組・皮袴組という反社会的勢力かぶき者が当時珍しい南蛮から伝来したたばこの喫煙を徒党のしるしにしていたのでそれを取り締るためであり、また他の理由では、たばこ栽培農家の増加でコメの生産高に影響が及ぶことを防止するためであった。  
家康が死去するまでの幕府による禁令は、慶長14年の禁煙令の後、慶長15年(1610年)の禁煙令、慶長16年(1611年)の禁煙令、慶長17年(1612年)のたばこ喫煙・売買・耕作の禁令、慶長19年(1614年)のたばこ喫煙・売買・耕作の禁令、元和元年(1615年)のたばこ喫煙・売買・耕作の禁令、元和2年(1616年)から元和8年(1622年)に5度のたばこ売買・耕作の禁令などである。イギリス商館長リチャード・コックスの元和元年(1615年)から元和8年(1622年)までを記したイギリス商館長日記によると、家康は大御所として禁煙令に関与していた。  
3代将軍家光が将軍になった元和9年(1623年)に禁煙令が出されたが、寛永期には喫煙が可能となり、寛永11年(1634年)に三重県のあたりではたばこ座が許可された。しかし、寛永19年(1642年)に寛永の大飢饉が起きた年に本田畑のたばこ耕作が禁止となり、寛永20年(1643年)の田畑勝手作禁止令もまた田畑のたばこ耕作を禁止した。家光の時代には煙管狩りが実施された。慶安2年(1649年)、江戸では家屋内の喫煙が許可され、4代将軍家綱が将軍の承応3年(1654年)、江戸城内は全面禁煙から場所を限り許可された。寛文10年(1670年)以降、本田畑のたばこ耕作禁止が強化される禁令が多数出され、延宝3年(1675年)にはたばこ耕作を半減にして耕作面積を役所に届け出る覚書が出された。綱吉が5代目将軍の元禄期頃にはたばこの新たな禁令が出なくなった。  
家光の代以降、喫煙が一般に波及すると、各藩では運上金(営業税)、冥加金(免許手数料)等の課税、たばこ耕作奨励(明暦2年(1656年)の松山藩など)の措置がとられた。  
遊女の喫煙  
江戸時代後期の19世紀前半までは喫煙をする女性は主に遊女であり、その他の女性が喫煙することは滅多になかった。ただ、葛飾応為は煙草を嗜んでいたという記録が残っており、遊女以外の女性の喫煙が皆無であったわけではない。  
健康問題  
たばこが伝わり、普及しだした江戸時代から、一部の日本人は、たばこに健康問題があった事を知っていた。例えば、正徳2年(1712年)に貝原益軒が著した『養生訓』では、「巻第四 飲茶 附 煙草」において、「煙草は性毒あり」「煙をふくみて眩ひ倒るゝ事あり」「病をなす事あり」「習へばくせになり、むさぼりて後には止めがたし」等の記述がある。  
卍山道白和尚の広録『鷹峰卍山和尚廣録』(元文年間に刊行)では受動喫煙の害が医学的に記述され、面山瑞方禅師の広録『永福面山瑞方和尚廣録』(安永年間に刊行)で同様の記述があり、卍山和尚の広録については受動喫煙・残留受動喫煙被害を記述した文献としてゲーテ以前の世界最古であると住職・医師の来馬明規らは考えている。  
元禄10年(1697年)に甲斐国で発布されたと見られる「諸国郷村江被仰出」(慶安御触書)第23条では、煙草(たは粉)が病気になる、時間と金の浪費になる等の理由による喫煙禁止が挙げられている。このいわゆる「慶安御触書」は江戸時代後期の『徳川実紀』に収録されている江戸時代の文献である。  
近現代  
明治時代になってから、それまでのキセルによる喫煙に代わり紙巻たばこが庶民の間に普及した。当初日本には2社のたばこ会社が存在していたが、日清戦争開始後に財政難に陥った国により、葉たばこ専売法が1898年(明治31年)に制定され、たばこは専売制になった。当時、たばこによる税収は国税において大きな割合を占めており(1945年(昭和20年)には、たばこによる税収は塩の税収などと合わせて予算の20%を計画し、実際の歳入はたばこが4.1%、塩は赤字)、日清・日露戦争などの戦費調達のための財源とされた。  
煙管から紙巻たばこへ  
明治期の西洋化により、専ら煙管(キセル)による喫煙であった日本に紙巻たばこが入ってきた。その後、紙巻たばこは日本国内で製造・販売が始まり、明治30年(1897年)頃にはたばこ商が5000人、最大手は東京の岩谷商会と京都の村井兄弟商会であった。紙巻たばこの消費量が煙管用の刻みたばこの消費量を上回ったのは大正12年(1923年)であった。  
専売制  
明治政府による近代国家日本は財源確保のためたばこに着目し、明治9年(1876年)に煙草税則が施行され、日清戦争後の明治31年(1898年)に葉たばこを国家が買い上げる「葉たばこ」専売制の葉煙草専売法、明治37年(1904年)に国内たばこ産業保護や日露戦争の戦費調達等のため、国家がたばこの製造・販売を管理する「たばこ」専売制の煙草専売法が施行された。煙草専売法施行後の明治38年度(1905年度)のたばこ専売税収はおよそ3360万円で租税収入全体のおよそ6.3%であった。  
第二次世界大戦の日本敗戦後の昭和23年(1948年)、連合国最高司令官(GHQ最高司令官)ダグラス・マッカーサーは内閣総理大臣芦田均宛てに国家公務員法の改正に関する書簡を発し、日本政府は書簡で示唆される公共企業体設立の旨に基づき、連合国最高司令部と協議をし、日本専売公社が設立された。それにより明治の煙草専売法は改正されたばこ専売法が施行された。専売制は昭和60年(1985年)の日本たばこ産業株式会社 (JT) 発足まで続いた。  
配給制  
第二次世界大戦終盤の昭和19年(1944年)11月、品不足によりたばこは配給制になり、当初は1人1日6本、昭和20年(1945年)の5月に5本、8月に3本に減り、女性への配給は第二次大戦後の昭和22年(1947年)5月に始まり、配給本数は当初男性の4分の1、同年11月に男性と同数が配給された。配給制は昭和25年(1950年)まで続いた。  
終戦直後の物不足のなかにあって、たばこ税収は財源として重視され、たばこや塩などの品目は、国家予算の約5分の1(20%)へと増収が図られた予算が組まれたが、昭和20年(1945年)のたばこ専売税収の実収はおよそ9億7000万円で国家歳入総額のおよそ4.1%であり、塩専売の税収の実収は1億2012万円の赤字であった。  
民営化と市場開放  
第二次大戦後も、1985年(昭和60年)まで日本専売公社によるたばこの専売が続いた。1980年(昭和55年)時点では、輸入たばこには90%の関税がかけられ、国内市場における輸入たばこのシェアは1.5%未満に過ぎず、日本国外のたばこ企業が日本国内でテレビ・雑誌・看板などの宣伝活動や市場調査を行ったり販売網を築いたりすることはできなかった。しかし、1980年(昭和55年)のアメリカ合衆国・フィリップモリス社の5か年計画において、日本に対し市場を開放するよう圧力をかけることが計画され、1982年(昭和57年)に米国通商代表部 (USTR)は日本政府に対し、関税の90%から20%への引き下げ、海外企業の宣伝活動や市場調査の許可を求め交渉した(経済制裁の脅しも持ち出されたという)。1985年(昭和60年)、日本専売公社は日本たばこ産業に民営化され、1987年(昭和62年)には米国たばこへの関税は撤廃された。結果として、米国からのたばこ輸入本数は1986年(昭和61年)に99億本、2002年(平成14年)には780億本へと増加し、米国のたばこ輸出の61%を占めるまでになった。また、日本たばこ産業は民営化されたとはいえ、日本たばこ産業株式会社法により財務省が1/3超の株を保有している。  
健康問題  
明治時代の文献では、明治13年(1880年)創刊の『養生雑誌』(養健舎)がたばこの害を記述し、外国文献の抄訳形式により掲載した。明治14(1881年)出版の『内科要略』は、「慢性尼古質涅中毒」(ニコチン依存症)と慢性動脈内膜炎の関係に言及し、喫煙を粥状動脈硬化の危険因子と見なしていた。  
喫煙の有害性が一般に認められていた明治時代において、明治22年(1889年)、東京文理科大学初代学長三宅米吉は喫煙と健康について警告した論文「学校生徒ノ喫煙」を書いた。年少者に及んでいた喫煙の問題により明治27年(1894年)、小学校での喫煙禁止の訓令「小学校ニ於ケル体育及衛生」(文部省訓令第6号)が発せされ、明治33年(1900年)、未成年者を全面的に禁煙とした未成年者喫煙禁止法が健全なる青少年の育成のために施行された。未成年者喫煙禁止法の背景には富国強兵策があり、幼年者が喫煙で肺を悪くして徴兵できなくなることが憂慮されていた。明治からの未成年者喫煙禁止法は平成の日本においても改正を経て継続的に実施されている。日本の成人年齢は明治9年(1876年)以来、満20歳である。年齢に言及せず「未成年者」の文言だけであった同法に、「満二十年ニ至ラサル者」の文言が加えられたのは昭和22年(1947年)の改正であった。 
  
たばこの歴史
たばこの起源  
たばこはナス科のニコチアナ属の植物で、現在、世界で最も多く栽培されているのはニコチアナ・タバカムNicotiana Tabacumという学名の種である。このニコチアナ・タバカムはこれまでの研究でボリビアからアルゼンチンの国境にかけてのアンデス山中に分布する野生のニコチアナ・トメントシフォルミスとニコチアナ・シルベストリスニコの間に生まれた種であると考えられている。  
たばこは始め主に宗教的な行事に用いられていた。中央アメリカのマヤ族では神への供物としてたばこが使われており、僧が乾燥した野性のたばこの葉を火にくべて、その煙を吸っていたと言われている(写真はユカタン半島のマヤ神宮に残された喫煙の絵である)。これが次第に一般の人々にも広まり、さらに他の中南米の地域にも広がっていった。そして喫煙方法も民族の風習の違い等によってたばこを竹や動物の骨を利用して吸ったり、葉を巻いて吸ったりと変化していった。(パイプ喫煙や葉巻の起源)  
たばこ(喫煙習慣)の流行  
1492年にコロンブスがアメリカ大陸に到達し、原住民からたばこを貰ったことから、喫煙習慣がスペインに伝えられた。喫煙習慣はさらにスペインからヨーロッパ各地へと、特に貴族の間で広まっていった。それと同時にたばこの栽培もヨーロッパで行われるようになった。その後、19世紀半ばにイギリスでマッチが造られるようになったことでたばこへの点火が容易になったことや、第一次産業革命以降、紙巻たばこの大量生産が始まったことで、喫煙習慣が一般庶民にも急速に広まっていった。  
日本での喫煙習慣  
たばこは1543年の鉄砲の伝来とともにポルトガル人によって伝えられたと言われている。慶長(1596〜1615)の初期にはたばこの栽培は指宿・出水また長崎付近で行われており、その後次第に各地へと栽培が広がっていった。それと共に喫煙習慣も各地に伝播していった。江戸時代には「きせる」を使ってたばこを吸うことが流行したが、火災の恐れなどからしばしば喫煙禁止の令も出されている。  
明治以降、たばこ税則が定められるとともに、たばこの栽培製造販売も本格化し、それにつれて喫煙習慣も更に広がっていった。しかし年少者にも喫煙が広がりを見せ始めたことから、明治27年に「小学校での喫煙を禁ずる」との訓令が出された。  
そして明治33年(1900)に健全なる青少年の育成を目的として「未成年者喫煙禁止法」が施行され現在に至っている。  
たばこの健康影響についての関心  
喫煙率が上昇するにつれ、健康への影響にも関心が向けられるようになってきた。1930年代になって、肺がんの急激な増加がみられるようなったことから、大量に消費されていたたばことの関連が疑われるようになった。1939年には西ドイツのがへビースモーカーに肺がん患者が多いことを報告している。その後喫煙と肺がんとの関係(特に紙巻たばこ)についての疫学的研究が数多く行われるようになり、喫煙者が肺がんに罹り易いことが明らかになってきた。また肺がん以外にも喫煙者は口腔がん、喉頭がん、食道がん、胃がん、膀胱がんなどのがんに罹るリスクが非喫煙者に比べ高いことも明らかになってきた。  
1960年代英国王立内科学会や米国公衆衛生総監諮問委員会がそれぞれ「喫煙と健康」に関する報告書を発表したことから、世界各国でも研究が進められ、その結果冠動脈性心疾患や慢性気管支炎、肺気腫などがん以外の病気との関連も明らかになった。そしてWHO(世界保健機関)専門委員会が1975年に「喫煙とその健康に及ぼす影響」を報告したことをきっかけに、たばこ対策も積極的に講じられるようになってきた。  
日本でも1965年に全国の6府県29保健所管内の40歳以上の地域住民を対象に「喫煙と健康に関する追跡調査」が開始された。この調査でも喫煙者の方が非喫煙者に比べ喉頭がん、肺がん、口腔がん、食道がんなどの死亡率が高いことが示されている。1987年には厚生省の公衆衛生審議会が「喫煙と健康問題に関する報告書(たばこ白書)」を作成し、この報告書でたばこの有害性を明らかにしている。  
たばこ対策  
「喫煙による健康への影響」が明らかになるにつれ、喫煙対策もとられるようになってきた。特に世界保健機関(WHO)は1970年の総会においてたばこと健康に関する最初の決議が行われたことを契機に世界各国政府に対し積極的に喫煙規制対策をとるように勧告を行ってきた。1988年には「世界禁煙デー」も設けられた。(1988年は4月30日、1989年からは5月31日に)  
アメリカやヨーロッパの一部の国ではWHOの勧告を受け、「消費者に対する警告表示」「未成年者の喫煙禁止」「公共の場所での禁煙」「たばこ広告の禁止や規制」「たばこ税の増額」など、喫煙対策を積極的に進めてきた。その結果喫煙率やたばこ消費量が減少するなど徐々に成果が現れてきている。しかし、ヨーロッパには喫煙に対し寛容な国も多いことからEU加盟15カ国では2003年秋に、たばこの箱に警告文を掲載することを義務付けている。(黒枠で囲まれた警告文の面積は表面の30%以上、裏面の40%以上))  
日本ではたばこ包装への注意表示や「タール・ニコチン量」表示などが行われてきたが、「あなたの健康を損なうおそれがありますので吸いすぎに注意しましょう」と小さく表示されているため、警告になっていないと指摘されていた。  
2002年に「健康日本21」において、「たばこの健康への影響に関する情報の提供」、「未成年者の喫煙防止」、「受動喫煙の害を排除・減少させるための環境つくり」「禁煙希望者に対する禁煙支援」などの目標が設定されたことから、公共機関での分煙やたばこ広告の規制など、たばこ対策が今後積極的に推進されていくものと思われる。  
2003年にはWHOの総会で喫煙による健康被害の防止をめざして「たばこ規制枠組条約」が採択されている。多国籍たばこ企業による国境を越えた販売活動が行われているなかで、たばこ対策のための枠組条約は、たばこと健康問題の解決のためには、国境を越えた取り組みが必要であるとの観点にたっている。  
2004年に日本は世界で19番目に「たばこ規制枠組条約」批准。また、たばこ事業法改正(2003年)で具体的に健康への危険性を示すことが義務付けられたことから、たばこ包装の「注意書き」を、「肺がんの原因の1つ」「心筋梗塞の危険性を高める」「乳幼児や子ども、お年寄りの健康に悪影響を及ぼす」など、より具体的で目立つ表記に変えつつある。 
  
喫煙と規制の歴史
 年 [喫煙率(% 男/女)] たばこ販売本数(億本) できごと  
1976 [75.1/15.4] 2887 新幹線こだま16号車に禁煙車の設置  
1977 [75.1/15.1] 3011  
1978 [74.7/16.2] 3014 「嫌煙権確立を支持する国会議員の会」(公共の場の禁煙推進)発足  
1979 [73.1/15.4] 3068  
1980 [70.2/14.4] 3039 嫌煙権訴訟  
1981 [70.8/15.3] 3075 在来線特急に初の禁煙車の設定 / 受動喫煙と肺がんの原因についての論文「平山論文」発表 / 日本人の死因、脳血管疾患を抜きがんが第1位となる  
1982 [70.1/15.4] 3102  
1983 [66.1/13.5] 3060  
1984 [65.5/14.0] 3060 たばこ事業法・日本たばこ産業株式会社法成立  
1985 [64.6/13.7] 3032 専売公社民営化  
1986 [62.5/12.6] 3084  
1987 [61.6/13.4] 3083 外国たばこに課せられていた関税撤廃 / 厚生省「喫煙と健康問題に関する報告書(たばこ白書)」発行  
1988 [61.2/13.1] 3064 世界禁煙デー(世界保健機関の禁煙推進記念日、5月31日)スタート / 禁煙タクシー認可  
1989 [61.1/12.7] 3138  
1990 [60.5/14.3] 3220 「あなたの健康を損なう恐れがありますので吸いすぎに注意しましょう」表示  
1991 [61.2/14.2] 3283  
1992 [60.4/13.3] 3289 日本禁煙推進医師歯科医師連盟(禁煙医師連盟)結成  
1993 [59.8/13.3] 3326 男性の肺がん死者数が胃がんを追い抜き全がんのトップとなる  
1994 [59.0/14.8] 3344 JT株約3分の1を売却  
1995 [58.8/15.2] 3347 たばこ自動販売機の台数が約50万台に達する  
1996 [57.5/14.2] 3483 自動販売機23-5時の稼動自主規制 / 労働省:職場における喫煙対策のためのガイドライン / 厚生省:公共の場所における分煙の在り方  
1997 [56.1/14.5] 3280  
1998 [55.2/13.3] 3366 自主規制によりTV・ラジオ・インターネットでのたばこ銘柄CMを中止 / たばこ病訴訟(各種規制及び国とたばこ会社が喫煙に係る害を公式に認めることの行政訴訟) / 国内の肺がん死者数5万人突破  
1999 [54.0/14.5] 3322 ANA・JAL全便を機内禁煙化 / JTがアメリカたばこ会社RJRナビスコの海外部門を買収 / 医学雑誌「呼吸」、肺腺がんの増加はライトタバコの普及が原因と指摘  
2000 [53.5/13.7] 3245 健康日本21策定(喫煙率半減の目標設定は頓挫)  
2001 [52.0/14.7] 3193 ニコチンガムが医師の処方箋なしで入手可能に / 「ネオシーダー」たばこ同様にタール・ニコチンが含まれることが判明 / 未成年者喫煙禁止法形式上の規制強化 / 青森県深浦町、全国初のたばこ自販機撤去条例施行  
2002 [49.1/14.0] 3126 東京都千代田区が路上喫煙禁止条例を施行 / 超党派の国会議員連盟:禁煙推進議員連盟発足  
2003 [48.3/13.6] 2994 健康増進法施行、公共の場における禁煙化が徐々に進行 / 関東私鉄、駅構内完全禁煙化 / プロ野球全球団の観客席禁煙となる  
2004 [46.9/13.2] 2926 たばこ規制枠組み条約批准 / メディアでの銘柄広告や無料配布・屋外広告など大幅な制限強化 / (TV・ラジオ全面禁止、雑誌・新聞大幅に規制)  
2005 [45.8/13.8] 2852 たばこパッケージ表面に対する健康警告表示開始 / たばこ規制枠組み条約発効 / 男性 1,840万人 女性 655万人 計 2,495万人  
2006 [41.3/12.4] 2700 厚生労働省が庁舎内全面禁煙化 / 恩賜たばこ廃止 / 日本禁煙学会発足 / 禁煙希望者への治療の一部に健康保険適用  
2015 [32.2/ 8.2] 男性 1,562万人 女性 522万人 計 2,059万人 
厚生省・厚生労働省  
昭和39年(1964年)は、厚生省による喫煙対策の最初期であり、厚生省「喫煙と肺がんに関する会議」、厚生省児童局長による知事・指定都市市長宛て通達「児童の喫煙禁止に関する啓発指導の強化について」、厚生省公衆衛生局長による知事・指定都市市長宛て通達「喫煙の健康におよぼす害について」(たばこと肺ガンの関係に関するもの)がなされた。  
昭和62年(1987年)、厚生省公衆衛生審議会により「喫煙と健康問題に関する報告書」が作成され、斎藤十朗厚生大臣に意見が具申(詳細な申し述べ)された。通称「たばこ白書」という。この報告書により国は喫煙と受動喫煙の有害性を明らかにした。報告書は平成5年(1993年)に改正され、平成14年(2002年)の改正では「喫煙と健康問題に関する検討会報告書」となった。これらは『喫煙と健康 喫煙と健康問題に関する報告書』、『新版 喫煙と健康 喫煙と健康問題に関する検討会報告書』として市販された。  
厚生省は、平成12年(2000年)、「健康日本21」(21世紀における国民健康づくり運動)を策定し、喫煙防止、受動喫煙防止、禁煙支援などの対策が盛り込まれ、各地方自治体に通達された。  
健康日本21に続いて、平成25年度(2013年度)からは次期「国民健康づくり運動プラン」(次期「健康日本21」)が準備され、厚生労働省の専門委員会は、成人喫煙率低下、妊婦の喫煙率0%、受動喫煙機会を行政機関・医療機関・職場で0%、等を目標とした素案を作成している。また、がん対策基本法に基づき平成19年(2007年)に「がん対策推進基本計画」を策定して、ガン予防のため喫煙の健康影響の普及啓発、受動喫煙対策、禁煙支援などを施策とし、次期「がん対策推進基本計画」は次期「国民健康づくり運動プラン」同様、喫煙率低減の目標値を設定している。  
厚生労働省は2014年(平成26年)6月25日に、労働安全衛生法の改正法が公布され、事業主は従業員の受動喫煙防止の『努力義務』(罰則規定無し)が課されることになったが、完全義務化は断念された。この改正法は、2015年6月1日から施行される]。  
日本の喫煙規制  
世界的にみると、公共の場所・交通機関等では全面禁煙が進んでいる。日本は先進諸国の中で最も喫煙率が高かったが、2000年3月31日健康日本21において、  
1.喫煙が及ぼす健康影響についての十分な知識の普及  
2.未成年者の喫煙をなくす。  
3.公共の場及び職場における分煙の徹底及び効果の高い分煙に関する知識の普及。  
4.禁煙支援プログラムの普及  
が目標設定され、続いて2002年8月2日に健康増進法が公布され、2003年5月1日に施行された事から禁煙に関する運動が活発化し、喫煙率は先進国の平均的レベルまで低下してきている。また、喫煙による周囲への影響や防災上の理由もあり、企業内での禁煙化・分煙化も進んでいる。病院、商店街、公共施設などでは施設内は全面禁煙が原則であるが、例外として別に設けた喫煙所を提供したり、または空調によって喫煙場所からの煙が他に流れないようにするなどの工夫も見られる。ただし、飲食店では一部を除いて禁煙化が遅れている店が多い。  
また、企業の火気取扱設備、危険物取扱設備、製造ライン、倉庫、制御室、研究所等は、防火上や品質、機器のメンテナンス(特にOA設備やFA設備が煙を嫌う。)上の理由で当初から全面禁煙である。2005年の朝日新聞による報道によると、一部の企業では社内を全面禁煙にし現役喫煙者を採用選考の対象にしない場合もある。  
公共交通機関と病院、クリニック(1970年代に全面禁煙)は最も早く禁煙が進んだ施設の一つである。JRの特急、新幹線は旧国鉄時代の慢性的な赤字の一部をたばこの税収(たばこ特別税)で補填された経緯もあり、喫煙者に対する一定の配慮を行っているが、2005年頃から急速に禁煙化が進んだ。2010年JT発売嗅ぎたばこの機内利用は、吐く息のニコチンが換気が充分にはできない狭い機内の空気環境を悪化させるとして全日本空輸は全面禁止であるが、日本航空は許可としている。  
その他の施設では、劇場の舞台や客席・興行場の客席は消防法(及び火災予防条例)や興行場法(及び施行条例)で許可を受けた場所(喫煙所)以外は禁煙とされており、近年ではライブスタジオ内を全面禁煙とたり、プロ野球のナゴヤドームではすでに全面禁煙がされ、喫煙関連の商品の販売も廃止)。  
中央官庁庁舎は官庁・役所の中で最も禁煙化が遅れているが、厚生労働省は2006年4月より庁舎を全面禁煙化した。  
2010年2月25日、厚生労働省は健康増進法に基づき、全国の自治体に、学校、体育館、病院、百貨店、飲食店などの公共的な施設を原則的に全面禁煙とするように求める「健発0225第2号」通知を出した。「分煙」では、たばこ煙の漏洩によって受動喫煙は防げないという理由による。ただし、単なる通知文なので法的強制力も罰則規定もない。また、全面禁煙がきわめて困難な場合には、将来的な全面禁煙を前提にした暫定的な分煙を実施するよう要請した。  
2014年6月25日、労働安全衛生法の改正法が公布され、第68条の2で事業主に労働者の受動喫煙防止の努力義務が定められた。この条項は2015年6月1日より施行される。  
企業の禁煙志向と喫煙諸相  
平成14年(2002年)、ファルマシア(現ファイザー)は東京と大阪の上場企業200社に「オフィスの禁煙状況」の意識調査を実施した。その結果、65.0%が「分煙」、22.5%が「全面禁煙」、4.0%が「時間別」の禁煙措置であった。主な理由は、21.3%が「世の中の流れ」、13.1%が「社内環境の変化」、12.6%が「社員の健康のため」、11.5%が「社内の意見」であった。オフィスの喫煙に関する規定が導入された時期は、平成9年(1997年)頃から平成12年(2000年)頃が回答の62.3%、平成4年(1992年)頃またはそれより以前と回答したのは23%であった。  
嫌煙権・喫煙権  
かつては、職場、家庭、航空機や電車・バスなど、公共の場などにおける喫煙が許容されていたが、1980年代中頃から、「アメリカ合衆国では自己管理が出来ない肥満者や喫煙者は出世できない」と言う噂を元に、職場での禁煙や分煙(喫煙所の設置)を導入する企業が現れ始め、これに端を発して徐々に国民的な禁煙活動が広まり、喫煙者から非喫煙者が、健康被害や臭いの付着等の迷惑を被らないようにする嫌煙活動へと発展して、嫌煙権が定着した。  
嫌煙権が定着する事による喫煙者への圧力に伴い、喫煙者からは喫煙権が主張される様になった。これは法的になんら問題なく、また憲法で保障された自由権の行使であり、嫌煙者に非難されるべきものでは無いと言う主張に基づき、また1980年4月7日に起こされた嫌煙権訴訟にて、嫌煙権に否定的な判決が下された判例もそれを後押しした。2009年11月に、鳩山政権がたばこ税の引き上げを検討した際に、日本共産党の市田忠義書記局長は、健康問題とたばこ税問題を絡める事を批判し「禁煙権と同時に喫煙権もあり、国民的な議論が必要だ」と主張した。  
嫌煙  
受動喫煙を本人の可否にかかわらず強いられることについて異を唱えること、あるいは受動喫煙を避けることで、1970年代の日本において、未だ公共施設や飲食店の禁煙・分煙化や列車・飛行機の禁煙席設置がほとんどされていなかった時代に作られた造語である。この言葉は、生活環境への意識が高まりをみせた1978年に、市民運動「嫌煙権の確立を目指す人びとの会」が発足したときに使われ、以後一般語としてしだいに普及していった。  
嫌煙権とは、1978年に「嫌煙権確立を目指す人びとの会」の共同代表でコピーライターの中田みどりが提唱し広まった言葉である。英語では、"nonsmokers'rights"が対応する語彙である。  
嫌煙権確立を目指す人びとの会は、「たばこの煙によって汚染されていないきれいな空気を吸う権利」、「穏やかではあってもはっきりとたばこの煙が不快であると言う権利」、「公共の場所での喫煙の制限を求めるため社会に働きかける権利」の3つの嫌煙権をかかげスタートした。  
他人のタバコの副流煙を間接的・強制的に吸わされた結果、慢性及び急性の健康被害を受けることは、非喫煙者の基本的人権である「健康権」や「幸福追求権」の侵害と考えられた。特にぜんそくなどの呼吸器疾患を持つ患者にとっては生命の危機につながりかねず、「生命の尊厳」の侵害ともなる。このため、嫌煙権運動は一種の人権運動として定義される。嫌煙権運動は喫煙者に喫煙をやめることを要求するものではなく、公共の場所や職場などの共有の生活空間について、社会的・制度的に受動喫煙防止措置を講ずることにより、非喫煙者の権利を保護することを目的とした運動である。1980年代には嫌煙権運動が一般的に認識され始め、同運動に賛同した場所では次第に受動喫煙防止が進んだ。  
しかし前述のとおり、1990年代以降は、嫌煙という言葉が単に煙草を嫌ったり存在を否定することと混同する向きもあったため、問題を矮小化しかねないため嫌煙という言葉は使用を避けられるようになっている。 
  
紫煙との共存
1.はじめに  
タバコは不思議な物体である。いつからともなく人類の中に広まり、そして有害であるにもかかわらず、根絶される気配がない。  
タバコは嗜好品であると同時に高級品でもあった。裕福な階級にしか口にできない時期があったと考えれば、それなりにマナーもあったのかもしれない。しかし、現代において多くの人が口にするようになったと同時に、有害であることも認知され、マナーを確立する必要性が出てきたように思われる。  
タバコは医学、歴史学において研究されてきた。しかし喫煙におけるマナーやモラルという観点は非常に少ないように感じられる。人類が喫煙という行為を始めてから現代にいたるまで続く、喫煙者と非喫煙者の争いという構図では同じ歴史を繰り返すばかりである。その歴史を繰り返さず、両者が共存する為にはマナーという観点が不可欠と私は考えた。
2.喫煙マナーとは  
タバコという物体がいつどのようにして発明され、利用されるようになったかについてははっきりしていない。植物としての「タバコ」がアメリカ原産であるということはよく知られている。従って、喫煙はもともと南米アマゾンの原始林に住む原住民が伝承していた風習だといわれている。これがキューバを経由してコロンブス一行によってスペインに持ち帰られたというが定かではない。船乗りなどの手によって伝えられ、庶民層に広まったという話もある。ヨーロッパにおいて16世紀半ばにようやく記録が現れ始めたが、その存在は嗜好品としてではなく、「驚くべき効能を持つ薬草」としてであった。その結果、タバコはヨーロッパ中に広まることとなったが、16世紀末からタバコの煙と臭いを嫌悪する為政者や聖職者が排撃に動き出し、様々な角度から対立を生み、タバコ論争の始まりにもなった。  
なお、日本にタバコが入ってきた時期は1600年前後といわれているが、正確な年月についてははっきりしていないという。少なくともタバコが日本に入ってきて、400年近い年月が経過していることは間違いないだろう。それだけの歴史を持ちながら、なぜ現代に至ってもマナーというものが確立されていないのか。近年まで有毒性が科学的に立証されていなかったことや、政府や自治体がタバコの販売によって得られる利潤にのみ着目し、売られたあとの喫煙というところまで関心を持っていなかったということが考えられる。  
喫煙マナーといっても本質は社会におけるマナー、つまり「他人に迷惑をかけないこと」と全くかわらない。それをタバコに当てはめただけのものだが、実行がいかに難しいものであるかは、地下鉄の駅構内に禁煙の標識を着けたり、最近各自治体で施行され始めたポイ捨て禁止条例にタバコが入っていること等からもよくわかる。  
タバコを一本吸ったときに出るものは「火」「煙」「ゴミ」の3つである。タバコを吸っているときに絶えず見える火。吸っている最中に吐き出される煙。そして吸い終わったあとの吸い殻となった「ゴミ」である。  
消防庁の資料によるとタバコの「火」の不始末が原因と見られる火災は全国で1999年に6,415件起きており、火災原因の第2位、全火災に占める割合は11%になっている。火災の原因としてはこんろ・たき火・ストーブよりも多い。  
喫煙に関連する「喫煙」「分煙」「嫌煙」「禁煙」という4つの単語がある。全てに含まれる語が「煙」ということからもわかるとおり、「タバコを吸う」という行為と「煙を出す」ことは切り離せない関係にある。その煙が線香のように無害であればここまで問題にもならないことだろう。しかし、残念ながら喫煙によって発生した煙は有害である。有害であるからこそ、周りに迷惑をかけないことが必要なのである。それは非喫煙者や子供を守るべく、マナーが必要であることも意味する。  
近年、日本の喫煙マナーは、公共の場での規則としては以前より改善されてきてはいるものの、喫煙マナーを守る意識が浸透しているかというと、残念ながらとてもそうとは言い難い。禁煙箇所での喫煙、タバコのポイ捨て、絶えることのないタバコによる火災など、マナーが守られていればほとんど根絶できることが社会問題となっている。その結果は、禁煙箇所での喫煙は火災の危険や火災報知器の作動、そして空気の悪化である。ポイ捨ては各自治体によって「ポイ捨て禁止条例」の制定が広がりを見せていることからわかるように街の景観の悪化をもたらしており、それにかかる清掃費用等のコスト面。火災は言うまでもなく建築物などの焼失、死者・負傷者の発生である。  
タバコの煙が人体の健康に害をもたらすということは説明するまでもないだろう。喫煙層がますます広がる一方で、その誰しもが無関係ではいられない煙草に潜む有毒成分のリストには、次から次へと新たな項目が加わっていることを、医学上の研究が日を追うごと示される。喫煙者自身にとっては健康に悪影響を与えることなど百も承知のはずで、喫煙者自身の健康上のアプローチから禁煙を迫る程度でタバコが排除できるのであれば、嫌煙権運動など起きる前に、喫煙者が自発的な禁煙を始めたことだろう。現代の喫煙を巡る最大の対立はここにある。  
ポイ捨て、火の不始末はどんなことがあっても許されるものではないが、煙に関しては全く引かない人間がいるのも事実だ。タバコの煙が人体に有毒であることは明らかなので、本来嫌煙権を認め、迷惑をかけないことも喫煙マナーの基本的なルールではないだろうか。しかし、喫煙マナーは「タバコ問題」という大きな枠の中に収められ、健康問題や嫌煙権、それに喫煙防止教育や禁煙教育も含んでしまうために「タバコの排撃行動」と勘違いされやすい。  
嫌煙権は"喫煙権"の反対の概念ではない。WHO(世界保健機関)が「非喫煙者のきれいな空気を吸う権利を侵してはならない(嫌煙権)」ことを前提に加盟各国にたばこ対策を勧告しているように現代の「喫煙の自由」はそれを除いた範囲でしかない。  
喫煙者から見ればかなり批判的な話に感じるかもしれない。しかし、決してタバコそのものを否定しているわけではない。タバコの箱に手をかけたときに煙がどのような動きをするのか、吸った後にどのようなことをしなければならないかを事前に予測し、迷惑行為にあたるか否かを判断する必要性があると私は考える。
3.喫煙防止教育と禁煙指導とは  
現在のタバコ問題で最も活発に語られているのが喫煙防止教育と禁煙指導である。本や実践によりいろいろな呼び方はあるものの、広く知られているのはこの2つである。喫煙防止教育は青少年期に学校教育において「喫煙の習慣をつけないこと」「最初の1本のタバコに手を付けないこと」を系統的・計画的に指導することを目的にしている。禁煙指導は文字通り、喫煙者に対して禁煙を指導していくものであり、主に健康や経済的損失の面からアプローチをかけていく場合が多い。医療、教育、労働環境など、様々な面で研究が行われているために、文献・実践は非常に多く見受けられる。また。この二つに対する境界線はあいまいである。どちらも「喫煙を防ぐ」ということが目的であり、成人した喫煙未経験者が喫煙防止教育を受けても問題ないし、逆に喫煙常習者の未成年者は禁煙の指導を受けるからだ。  
文献「喫煙防止教育のすすめ」によると「…喫煙防止教育とは、心身共に健康な国民を育成するために、喫煙の害について正しく理解させる教育の過程であり、健康教育の重要な一分野である。健康教育は、健康についての知識を与えるだけでなく、個人の認識や態度に働きかけ、健康にとって望ましくない行動を阻止させることにある。したがって、喫煙防止教育(広義)の目的は、人の一生涯において喫煙未経験者に対して喫煙習慣を獲得しないように、また、喫煙者に対しては、喫煙習慣を絶たせ、さらにさらに喫煙問題についての感受性を養い、責任ある行動がとれるように育てるという人間の自己改革に迫る倫理的側面を持つ。すなわち、喫煙開始を防止する教育(狭義の喫煙防止教育)、喫煙習慣を止めさせる教育(禁煙または断煙の教育)そしてタバコの煙や吸い殻などが他人の迷惑になっていることを理解させる教育(倫理観の教育)の三つの側面を持つ。具体的には、タバコという教材を通して科学的認識を正しく育て、それを基礎として人が自分自身の生命と健康を大切にし、あわせて周りの人々の生命と健康を守る心を育てることにある…」となっている。(註1)  
さらに同書では、次のことも述べている。子供を取り巻く社会環境は子供の喫煙を誘発する要素が蔓延しているといえる。家庭では親・兄弟姉妹で、学校では教師・友人・先輩であり、マスメディアではテレビのコマーシャル、新聞・雑誌の広告宣伝、地域社会では自動販売機や友人からの圧力である。多種の要因が複雑に絡み合っているために、これらを防ぐ手段は喫煙防止教育だけで済まない。学校・家庭・地域の連携が必要である。しかし、地域社会にしても家庭にしてもタバコのが有害であるという漠然とした意識はあっても知識や教育方法を学んできていないので、結局は教育機関が中心とならざるを得ない。児童・生徒は1日の三分の一から四分の一を学校で過ごすために、教職員や仲間の喫煙は喫煙への大きな要因となる。家庭に置いては子供が親の模倣をしながら成長していくため、親がタバコを吸うようでは「朱に交われば赤くなる」といわれるように結局は喫煙に走ってしまう。地域社会に置いては自動販売機の多さが問題となる。町中に非常に多く配置されているがタバコ自販機も例外ではない。機械は20歳以上か否かを判断できない。それ以上に自用に供するか否かは販売員がいても同じことだ。思春期以降になると友人の圧力などが行動要因になってしまう。続いてマスメディアである。テレビ・週刊誌・新聞などの宣伝・広告、あるいはドラマなどでの喫煙シーンは喫煙の大きな要因になる。以上のように学校環境、家庭環境、地域社会、そしてマスメディアにおいて、喫煙を引き起こす要因は多種多様にころがっている。  
禁煙指導は喫煙防止教育以上に多数の実践例と書物の発行がされている。その多くに言えることは喫煙者そのものを直接悪だと決めつけていないことである。実際「…たばこをやめることは、あきらめや禁欲ではなく、自分を取り戻して、そうありたいと願う生活と自由を手に入れる手段…」(註2)という考え方が多く見受けられる。また、「…空気を汚しているとか不潔だとか言って喫煙者をけなすのは禁物です…」「…それでは自分自身は守れますが、周りの喫煙者には何の助けにもなりません。攻撃を受けた喫煙者は怒り、もっと惨めになり、その結果喫煙の必要性がさらに増すからです…」(註3)と書かれているように、強制的な禁煙は逆効果になりかねないと言われている。「精神的禁煙法」と呼ばれる方法ではかえってストレスが増してしまい、根本的な解決にはならないとも言われている。結局は本人の意志と努力で禁煙することになり、周りの人たちはそれの手助けをすることになるとされている。  
これらの文献の共通した目的は「喫煙そのものをやめましょう」ということであり、吸う場合のマナーなどについてはほとんど触れられていない。つまり、本人が「害を承知で吸えばいい」などと考えてしまったら手の打ちようがないことになる。それは喫煙者がいる限り煙で害を受ける非喫煙者が出続けることを意味する。喫煙をやめたくない人に禁煙を強制することはできない。だからこそ、喫煙時に周りに害を与えないことを重点的に徹底させる必要があるのではないだろうか。  
(註1)高石昌弘「喫煙防止教育のすすめ」 / (註2)足立淑子「女性の禁煙プログラム」 / (註3)アレン・カー著、阪本章子訳「禁煙セラピー」
4.国・自治体の対策  
各省庁や東京都はタバコ対策を講じているといっている。その内容とはどんな内容なのだろうか。各省庁のホームページなどに載せられた情報をひととおり挙げてみる。  
厚生省のタバコ対策は1987(昭和62)年及び1993(平成5)年には「喫煙と健康-喫煙と健康問題に関する報告書」により、国内外の知見をまとめ、1995(平成7)年に意見具申された「たばこ行動計画」に基づき、「防煙」「分煙」「禁煙支援」の3つの柱にそった施策を講じているそうだ。1996(平成8)年には「公共の場所における分煙のあり方検討会報告書」をまとめ、非喫煙者を受動喫煙の害から保護するためのガイドラインを公表した。  
労働省のタバコ対策は 労働安全衛生法に基づき「事業者が講ずべき快適な職場環境の形成のための措置に関する指針」(快適職場指針)を1992(平成4)年に公表し、喫煙対策に関する事項を盛り込んだことと、1996(平成8)年には、具体的な対策のために「職場における喫煙対策のためのガイドライン」をまとめたことである。  
公安職では警察庁のたばこ対策は未成年者喫煙禁止法を所管し、未成年者喫煙防止の観点から、違反者の取り締まり(未成年者の補導、親権者や販売店への罰則)を行っている。消防庁のたばこ対策は火災予防の観点から、消防法、火災予防条例などを定めている。  
運輸省のたばこ対策は鉄道営業法、旅客自動車運送事業等運輸規則、海上運送法等を所管し、主として安全上の配慮から公共輸送機関における喫煙を規制している。JRや営団地下鉄も加盟する(社)民間鉄道協会は、駅構内における禁煙を行っている。  
環境庁のたばこ対策は、大気汚染による健康影響を調査する上で、喫煙の影響は無視できないとの観点で、成人を対象とした疫学調査を行う場合には、喫煙の有無を一因子として考慮している。また、大気汚染による健康被害予防事業の一環として、従来より喘息予防及び喘息患者の健康回復を目的として保健指導を行っている。その際、喫煙による気道粘膜損傷は患者本人はもとより、家族に対しても影響を与えることから禁煙を指導している。  
大蔵省のたばこ対策は開放経済体制への対応とたばこ事業の効率的運営を図るためにたばこの専売制度を廃止し、たばこ産業の健全な発展と税収確保を目的として1984(昭和59)年「たばこ事業法」を制定し、翌年施行した。たばこ事業等審議会「喫煙と健康問題総合検討部会」の答申においては、喫煙と健康問題の認識の上に、広告や警告表示について記載している。  
東京都は1996(平成8)年に出された「都立施設分煙計画」に基づき、東京都における分煙化推進のあり方について検討を重ね、1997(平成9)年3月「東京都分煙化ガイドライン検討会報告書」をまとめた。分煙化が世界的な潮流であること、都民の関心の高さ、交通機関等における自主的取り組みを踏まえて、受動喫煙の影響を排除、減少させるために、都民の自発的な意志と取り組みを基本に、公共の場所等における分煙化を推進する必要があるとされた。喫煙マナーに関しては喫煙者は、非喫煙者の受動喫煙による影響や不快感、ストレス等を与えることを認識し、喫煙するときには、次のことを喫煙マナーとして守ることが求められるとされている。(ア) 禁煙場所、禁煙区間での禁煙の遵守(イ) 混雑した場所での喫煙と歩きたばこの自粛(ウ) 吸い殻のポイ捨て防止(エ) 子ども、妊産婦等に対する配慮(オ) 家族への配慮である。  
これらが国の各省庁と東京都のタバコ対策である。中央省庁の消極的な態度が目に付く。国税と密接に結びついている為に思い切った政策を実行できないのだ。  
肝心のタバコ会社の自主規制は「1.テレビ、ラジオ、シネマ、屋外TVボード、インターネットによる製品広告は行わない」「2.見本たばこの配布は、街頭では行わない」「3.未成年者を対象とする製品広告・販売促進活動は行わない」「4.現在の社会環境に鑑み、次のような製品広告及び販売促進活動は行わない。1女性の喫煙ポーズを製品広告に用いない。2女性向けの新聞及び雑誌においては、製品広告を行わない」「5.広告物に未成年者の喫煙禁止文言等を明瞭に表示する。 」「6.包装に注意文言、T/N量(紙巻きたばこが対象)に加えて、喫煙マナー文言(喫煙マナーをまもりましょう)を明瞭に表示する」となっている。  
この自主規制は形骸化していると言っていい。全国たばこ販売協同組合連合会、つまり店頭で販売する側は自動販売機の設置場所の制限(法律)に加えて、1996(平成8)年度より逐次、屋外自動販売機へのタイマー取り付けにより、深夜の時間帯(午後11時から午前5時)における稼働停止という規制を設けている。製造より小売りの方が積極的に自主規制を敷いているのは皮肉なものである。  
全体的に見ると官公庁やタバコ会社の力は現時点では望めないといってよい。少なくとも国やタバコ会社にはマナーを向上させる意思ははないだろう。法で禁じていながら未成年の喫煙まで黙認しかねない状態にある。なりふり構わない喫煙が最も喫煙本数を増やすことになり、それだけ売り上げが伸びるため、期待する方が間違いなのかもしれない。喫煙マナーを守らせることに関しては都道府県、区市町村の条例に期待するしかないのが現状である。
5.マナー違反とは  
前章までの話をまとめて考えると、マナーを守るということは結局「他人に害を与えないようにする」ということに他ならない。健康問題が引き金になっているのは間違いないのだが、伊佐山芳郎氏の「さらば、タバコ社会」を見る限り、問題はそれだけではないと私は考えている。喫煙者があまりにも大きな顔をして吸っているという社会環境にも大きな原因があるのではないだろうか。  
文献「煙が目にしみる」から識者の反応を引用してみる。「…「吸いたくない人が煙を吸わされるのも困るが、『嫌煙権』等を盾にタバコを吸う自由を奪うのもの、いやな傾向だと私は思っている」(「新潮45」1997年3月号、曽野綾子氏)、「米国の禁煙ブームに悪乗りした形の規制強化に付き合わされる国民こそいい面の皮である」(「週刊ダイヤモンド」1997年4月6日号、車内記者)、「嫌煙権という言葉、正しくは『嫌煙草(たばこ)権』じゃないか。『煙』が嫌いなら、秋刀魚の煙も嫌なのか」(「週刊文春」1997年5月29日号、野坂昭如氏)、「最近の異常な禁煙ブームを認めるわけにはいかない。誰しも体によくないのは承知して吸っているのだから、それを理由に禁煙をすすめるとしたらよけいなお世話だ。"吸う権利"が無視されている」「自由は公平に保障せよ」(「女性セブン」1997年8月8日号、上坂冬子氏)…」(註1)  
日本では嫌煙者の意思を問う発想が非常に乏しいと感じる。「タバコを吸っても良いですか?」という一言すら言えない、あるいは言う必要がないと考える人があまりにも多いのである。吸いたくない人が煙を吸わなくて良い方法の1つとして、タバコの煙が出るということを事前に察知することがある。タバコの煙が近くで出る場合は「申し訳ないのですが、ご遠慮いただけませんか?」と言う、聞き入れられない場合、あるいは禁煙スペースが空いている場合などは移動する等の予防策が取れる。よく考えてみると同じ有害な煙を発する行動としては部屋にバルサンなどで害虫の駆除をする場合が考えられる。この場合、周りの人々や消防署に報告することがルールである。煙の量の違いはあるものの、タバコの場合も同じように、許可を得るまでいかなくとも、喫煙の意思を周囲に知らせるのは最低限のマナーである。そもそも喫煙は目的が害虫の駆除などの必要な行動ではなく、「タバコを吸いたい」という喫煙者本人の欲求であり、なおさら周りの人々の理解を得なければならないのは言うまでもない。野坂氏はバルサンや殺虫剤ではなく、秋刀魚の煙を比較対象にしていること自体、タバコ会社と同じごまかしを言っていることに他ならない。駅のホームなどでは分煙の広告を表示しているが、ひとこと断りを入れることすらできない人があまりに多いために、「混雑時の喫煙はご遠慮ください」という一文を入れるに至っている。喫煙マナーがまるで守らない人がいる、あるいはいちいち看板を出さなければ守る人がいないという好例ではないか。地下鉄での終日禁煙すら理解できず、平然と吸っている人はごくまれにだが見かける。ここまで来るとマナー違反とか迷惑行為を通り超えてしまうのだが、ルールすら守れない者に容易に喫煙が許される社会というのもきわめて問題であると考えられる。1998年に流れた日本たばこのCMで、俳優の緒形拳さんが「タバコは大人にだけ許された嗜みです」と言っている光景が滑稽にすら見える。法律的には大人とされていても行動はまるで子供であり、未成年の喫煙を禁止する理由が一つ減ることにもなる。  
議論はタバコの煙を巡る害に集中しがちだが、必ずしもそれだけではない。地方自治体から「ポイ捨て禁止条例」という法的な規制ができてきたのがゴミ問題である。その多くは空き缶・ガム・タバコを罰則の対象としている。つまり法的な規制が必要なほど、ポイ捨ては多いことになる。空き缶やガムも同じではないかという意見もあるだろう。確かに同じだ。同じくらい街の景観を汚している。そしてその清掃費用はほとんど公費や社費、つまり税金や企業の売り上げなどからまかなわれているのが現状なのである。そのコストは喫煙者だけではなく、非喫煙者も同率に負担することとなる。  
そして火災の危険が放っておけない問題となっている。先ほど挙げたとおり、タバコの不始末は火災原因の第2位という不名誉な記録をもっている。つまり、タバコが火を伴う危険物だという意識はまだまだ低いのである。喫煙者本人がやけどをするだけであれば自業自得ということもできる。しかし、火災になると建築物などへの被害が当然のように出てくる。喫煙者全員がそこまで考ているのであれば、火の始末にはもっと気を使う人が増えるだろう。そして火災件数は現在の件数に比べ激減するに違いない。タバコよりも多い火災原因は放火しかない。「他人の迷惑を顧みない人間が火災の多くを引き起こしている」ということを考えられても仕方ないのだ。  
喫煙マナーを違反するということはすなわち「迷惑タバコ」という考え方もできる。上の問題を全て満たす、つまり「煙の害」「ゴミ問題」「火災の危険」を引き起こす典型的な「迷惑タバコ」が1つ連想できるのではないだろうか。それは「歩きたばこ」である。公道でこれを制限する法律は何一つない。それでいて、最も不特定多数の人間に害をまき散らすことになる。  
煙の害については「歩いているのだから煙が一カ所に集中しなくてよいのではないか」という考え方をする人もいるかもしれない。しかし、移動しながら有毒な煙を吐き出すのであれば車でもできるわけで、その煙も現在は環境技術が進歩したこともあり、タバコに比べたら害が少ないとされている。さらに、現在もハイブリッドカーや電気自動車の開発によりさらなる無煙化、無害煙化が図られている。それに対してタバコはどうだろうか。低タールタバコといっても喫煙者の吸い込むタールが減るだけで一酸化炭素をはじめとする他の成分が減るわけではない。さらに困るのが速度である。歩きたばこをする人間は他の歩行者と速度が同じなのだ。つまり真後ろを歩いている人にとっては有毒な空気を吸い続けなくてはならない。前から歩いてくる人は吸い続ける時間こそ後ろを歩く人より少ないかもしれないが、逃げようがない。すれ違った直後は漂う煙にさらされなければならないからだ。煙が一カ所に固まっている方が、避ける方法を察知できる分、まだマシというものである。なお、この煙について、歩きたばこの場合、周りの人間に喫煙の許可を得ていくとキリがなくなってくる。換言すれば、許可の得ようがないということになる。目立つ格好をして服やカバンに「私は歩きたばこをしています」と書いて歩かなくてはならないことになる。そのようなことは非現実的であるし、誰も実行しようとは思わないだろう。  
ゴミ問題はポイ捨て禁止条例からも明かであるが、公道に散乱する吸い殻である。歩きたばこの場合、ポケット灰皿を携行するか公共の灰皿を見つけるかしない限り、ポイ捨てする結果になる。全員が全員ポケット灰皿を持ち歩くわけもなく、吸い終わったタバコを吸い殻入れを見つけるまで持ち歩く人など滅多に見ない。それにポケット灰皿を持ち歩いたり、吸い殻入れまで吸い終わったタバコ持ち歩くとしてもその途中で飛散する灰については全くの無関心である。地面に落ちてそのまま誰にも危害与えることなく土に還れば問題ないと言い訳もできるのだろうが、実際はそうもいかない。灰は非常に軽いために風邪ですぐに吹き上げられてしまう。そして地面に着く前に人の洋服などに付着する可能性が高い。歩きたばこの場合は近くに人がいるだけで衣服などに付着する危険性は高まることだろう。  
火災の危険は歩きタバコの場合、ほとんどが火の不始末が原因である。ポイ捨てする人間にはほとんどが地面にタバコを落として踏みつけて火を消す。これで消した気分になってそのまま歩き去る人がほとんどである。だが、実際に火が消えているか否かに関しては全くと言っていいほど無関心で、それが原因で火災という場合もないとは限らない。また、他の歩行者とすれ違う際に衣服や皮膚に触れてしまい、やけどや衣服の損傷などを引き起こすこともあるだろう。  
マナー違反、すなわち迷惑タバコの廃絶こそ喫煙者と非喫煙者の共存に向けた第一歩である。  
(註1)渡辺文学編著「煙が目にしみる」 / (註2)伊佐山芳郎編著「さらば、たばこ社会」 / (註3)同上 
6.マナーとモラルの確立にむけて  
現在、日本における喫煙マナーは世界で最も低いレベルにあると考えられる。少なくとも先進国の中では分煙が進んでいないことは飛行機内で喫煙席を設けようという論議が後を絶たないことからも明かだろう。 また、分煙をしていない飲食店も多く、この業界では「目先の収益のためには」という発想がどうしても拭いきれないようである。それにはどうしても「大人の無知・無理解」というものが関係していると思えてならない。親の世代が無知であるために、子の世代に知識が与えられず、親の行っている迷惑タバコをマネしてしまう。さらに親が嫌煙権を「一部の感情的な煙嫌いが騒いでいるだけだ」と考えていれば子供にも同じような発想が受け継がれないという保障はどこにもなくなってしまう。青少年に対してのみ、喫煙防止を訴えても親が我が物顔でタバコを吸っていたら、悪影響を受けても不思議はない。つまり、知識を与えるべき相手は全ての人間なのである。  
教育や法律によって知識を与えてもモラルの守れない者があまりにも多い場合は、強制的にいくつかの害を排除するしかない。ニコチン入りのガムと禁煙パイプ、それにかみタバコ。この3つには強制的に問題になりうる二つの原因を強制的に排除させる。煙をださないために非喫煙者から見た場合、現在もっとも問題視されている煙害を排除することが最も容易にできる。そして火を使わないため、火災の原因になることもまずないだろう。ガムと禁煙パイプはコストダウンがはかられていないうえに、日本においてかみタバコの流通量は驚くほど少ない。ポイ捨ての減少にはつながらないという問題があるが、それでも煙と火災の不安がなくなるだけでも大きな進歩になるだろう。  
自治体や企業にも創意工夫が欲しいものだ。自治体の制定したポイ捨て禁止条例の多くは罰金で終わってしまう。これでは見つからなければよいという発想になり、再犯がなくなることはおそらくないだろう。そこで、吸い殻拾いなどのボランティアで罰金の減額、あるいは免除をするほうが、より建設的である。さらにJTなどのタバコ会社は有害な煙の出ないタバコの開発やタバコの副流煙を大気に放出しないような器具の開発・販売、あるいは禁煙パイプ・ニコチンガムのコストダウンを図るべきである。  
嫌煙権の盛り上がりの影で喫煙権を訴える喫煙者も少なくない。非喫煙者の嫌煙権を踏みにじり、幼児や妊婦の健康を脅かし、街の景観を汚し、挙げ句、不始末によって火災を引き起こす現在の状況がある限り、喫煙権が制限されるのはやむを得ないことだろう。他人の権利を奪ったり、害を与えることを許すまでに自由を拡大することは、もはや自由ではなく放縦であり、極端な換言をすれば暴挙ともなるだろう。逆に嫌煙権の枠を超えた「タバコは法律で禁止しろ」という言い分も行き過ぎである。いつまで経っても直ることのない喫煙者の態度にいらだち、非喫煙者がこのような考えに至ることもわからないではないが、それは分煙やモラルの確立をはかってもなおかつ、迷惑タバコが横行し、深刻な問題として続く場合の話であろう。現在、考えられがちな喫煙権対嫌煙権という構図は少なくとも間違い、あるいは時期尚早であると私は考える。その考え方が喫煙者・非喫煙者の双方にある限り、対立の解消もマナーの遵守も悲観的であると言える。喫煙者と非喫煙者が共存できる社会を造った上で、喫煙権と嫌煙権の言い分をどこまで認めていくかを話しうのがすじであろう。。  
まず、徹底するべきは分煙であり、否定されるべきは歩きたばこである。喫煙者以外の人間に煙を吸わせてしまうことがいかに害であるか、火の不始末がいかにして火災の原因になるか、そしていかに路上のゴミの量を増やしているかを教えなければならない。その際、「タバコをやめる」とか「タバコを減らす」という選択をするのは周りの人間ではなく喫煙者本人である。そのためには喫煙におけるマナーや正しい知識から再度教育しなければならない。喫煙教育が学校教育で確立しているとは言い難く、本来すべての国民に一斉に教育しなくてはならないかもしれない。  
喫煙が法律で禁止されていない以上、周りに命令する権限はない。しかし、それは「どこでも吸ってよい」ということではないし、「タバコは絶対悪である」ということでもない。あくまで周囲の人間との調和によってモラルが確立されるのであり、それを守って共存してこそ社会なのであると私は考えている。 
  
東京五輪、重大な“障害”浮上 たばこ規制強化を妨げるJTと財務省の“不可侵領域”
現在、建設予算2500億円と見積もられた新国立競技場の設計・建設費用をめぐる問題で、文部科学省と東京都、日本オリンピック委員会(JOC)、日本スポーツ振興センター(JSC)が揉めている。今後も二転三転する可能性が高く、長引けば2020年の東京五輪・パラリンピックにも大きな影響が出ると懸念されている。  
しかし、東京五輪をめぐる問題は新国立競技場ばかりではない。日本にはクリアしなければならない高いハードルがいくつもあり、そのひとつとして指摘されているのが受動喫煙問題だ。  
オリンピックの全権を司る国際オリンピック委員会(IOC)は、たばこに対して一貫して厳しい姿勢で対峙してきた。1988年以降は開催都市にたばこ規制を促し、五輪競技会場は全面禁煙化が打ち出されている。また、たばこメーカーをはじめとする関連産業のスポンサー契約もかたくなに拒否しており、10年には世界保健機関(WHO)とIOCが協力してたばこ撲滅に立ち向かうことでも合意している。中国はたばこ大国といわれるが、08年に開催された北京五輪でも開催直前に北京市で喫煙管理条例が施行されている。  
日本では、02年に受動喫煙防止が盛り込まれた健康増進法が制定されたが、これだけでは甘いと指摘するのが、松沢成文参議院議員だ。神奈川県知事時代に受動喫煙防止条例を制定するなど、松沢氏はたばこ規制を徹底的に進めた。  
「健康増進法には罰則がないので、効果はほとんど上がっていません。しかし、社会の流れを受けて東京都内の飲食店は喫煙席と禁煙席といったかたちで分煙が当たり前になってきました。これらは厳密にいうと『席分煙』と呼ばれるもので、受動喫煙防止の効果は薄い。その理由としては、禁煙席に座っても煙が流れてくることや、従業員が接客のときに受動喫煙してしまうからです。ファストフード店やファミリーレストランなどでは未成年者が働いていることも珍しくなく、そうした未成年者をたばこから守ることも大事です」(松沢氏)  
松沢氏は『JT、財務省、たばこ利権』という著書を出すほどのたばこ規制論者として知られるが、たばこ規制を主張する議員は決して多くない。その理由は、日本特有のたばこ利権構造にあると松沢氏は指摘する。
長い産業化の歴史  
たばこの歴史をひもとくと、日本でたばこが産業化されたのは戦国時代で、税金が課せられるようになるのは明治9(1876)年からだ。明治31(1898)年に葉煙草専売法が施行され、明治39(1906)年には製造から販売まで大蔵省の管理下に置かれた。そこから、たばこに関する税金は大蔵省の利権と化した。戦後、大蔵省専売局が公社化されてもこの構造は変わらず、昭和60(1985)年に民営化されてJTになっても利権は引き継がれた。  
JT株の大半は、いまだに財務省が保有しているため、JTは財務省の意向に逆らうことはできない。財務省という後ろ盾もあって、政治家にとってもJTは不可侵の聖域となっている。さらに与党・自民党にとってもたばこ農家は強力な支援団体のため、簡単にはたばこ規制に乗り出せない。  
税収面でのたばこの貢献も見逃せない。たばこは地方税収分だけでも年間約1兆2000億円もの巨額な財源になっている。市町村で金額は異なるが、税収が最も大きい大阪市で約291億円、2位の横浜市で約220億円、3位の名古屋市で約174億円となっている。  
IOCやWHOの提唱する受動喫煙防止条例を推進すれば、公共スペースをはじめ飲食店で喫煙することはできなくなり、公園や駅前広場など屋外での喫煙も厳しく制限される。必然的にたばこの消費量は減り、たばこによる税収も減少するだろう。税収に影響が及べば、行政が立ち行かなくなる可能性が出てくる。  
さらに、たばこ税は取りやすい税金で安定財源でもある。人口減少などで税収が落ち込む市町村にしてみれば、それを手放すことは難しく、わざわざ財務省を敵に回したくないという思惑もある。これが、たばこ規制を消極的にしている理由だ。なかには、東京都千代田区のように条例で路上喫煙を規制する自治体もある。千代田区の生活環境条例(通称:路上喫煙禁止条例)は2002年に制定されたが、この条例によって路上喫煙者は激減した。  
それでも五輪開催の決まった東京のたばこ規制は一向に強まらない。五輪誘致の立役者だった猪瀬直樹都知事(当時)は愛煙家だったこともあり、受動喫煙防止対策に消極的だったともいわれる。  
その後、14年に新たに就任した舛添要一都知事は厚生労働大臣を務めた経歴から、東京のたばこ規制には理解があり、就任後には規制強化を打ち出した。それでも「最近はトーンダウンしている」(松沢氏)という。舛添知事にしてみれば、国立競技場問題が紛糾しているときに、厄介な問題を増やしたくないとの思いがあるのかもしれない。  
だが、そうした事情は国際社会に通じない。IOCやWHOの決めたガイドラインを順守しなければ、東京五輪開催への影響は避けられず、早急なたばこ対策が求められる。
払拭されない「国営色」  
たばこ規制の機運が強まれば、JTや財務省の抵抗が予想される。1985年に専売公社が民営化されるかたちで誕生したJTは、政官財に大きなネットワークを張り巡らせている企業であり、これまでも何度もたばこ規制の危機を乗り越えてきた。  
そうした政治力を駆使する一方で、JTは独自に生き残り策を模索している。たばこ以外の事業にも手を伸ばし、多角化を図った。88年にはJT飲料を設立して飲料事業に、96年にはバーガーキングジャパンを設立して飲食事業にも進出したが、長い歳月をかけて進めた多角化は苦戦。このほどJTは飲料事業から撤退することを発表し、自販機事業はサントリーに売却することが決まった。バーガーキングジャパンは、2001年には全店舗の営業を終了している(その後、別法人によって営業開始)。  
こうした背景もあり、JTは国内市場が厳しくなる状況の中、海外に活路を求めて海外たばこメーカーのM&A(合併・買収)を繰り返した。92年の英マンチェスター・タバコ買収から始まり、99年には米RJRナビスコを買収して勢いを加速させた。JTは、この買収で「キャメル」「ウィンストン」といった今ではJTの主力商品になりつつあるブランドを獲得。さらに、世界3位のたばこメーカーへと躍進した。  
JTは誕生の経緯や長らく専売という国の手厚い保護を受けながら、巨大企業に成長してきた。民営化されたとはいえ、現在も株式の多くを政府が保有していることを踏まえれば「国営企業色」を完全に払拭しているとはいいがたい。
完全民営化の動き  
そんなJTだが、政府保有株式を売却して完全に民営化することも検討され始めた。完全民営化されればJT法は廃止になり、自由に資金調達ができるようになる。また、農家からの葉たばこ全量買い取り義務はなくなる可能性も高い。  
「JTは態度を明らかにしていませんが、海外から葉たばこを安く輸入できるメリットがあるので、内心では完全民営化に賛成しています。しかし、そうなれば国内市場の製造から販売まで独占している利権も手放すことになる。外国メーカーと対等に戦うことになるので、同社は完全民営化を目指しながら、利権は手放さずに済む方策を模索しているようです。しかし、そんな虫のいい話は、さすがに世間も認めない。同社もそれを十分に理解しているので、態度を曖昧にして自民党などの顔色をうかがっているのです」(松沢氏)  
東京五輪を契機として、日本のたばこ規制、そしてJTをはじめとする業界全体に大きな変化が訪れるのか、岐路に立たされているといえよう。 
  
たばこ利権の打破が健康社会と財政再建につながる
たばこが健康に重大な影響を及ぼすことは、今や疑いようのない事実である。たばこは、脳血管疾患、心臓疾患、肺疾患、そしてがんを誘発する大きな原因の一つであり、喫煙者のみならず、非喫煙者も、受動喫煙による健康被害を受ける可能性がある。誰もがたばこを吸う自由はあるが、健康社会を創るためには、たばこに関する正しい理解とともに、適切な規制が求められている。二○○三年に世界保健機関(WHO)の総会で採択された「たばこ規制枠組条約(FCTC)」では、「たばこの消費及びたばこの煙にさらされる」ことが、死亡や疾病、障害を引き起こすと科学的証拠により明白に証明されていることを明らかにしたうえで、たばこの需要を減らし、たばこの煙にさらされることを防ぐための措置を求めている。日本も翌年にこの条約に署名しており、条約に定められた措置を講じる義務と責任を有している。
受動喫煙防止は本来は国の課題  
このうち、たばこの煙にさらされる受動喫煙の防止については、二○○七年に条約締約国による全会一致で採択された「たばこの煙にさらされることからの保護に関するガイドライン」を遵守しなければならない。ガイドラインでは、「一○○%禁煙以外のアプローチは不完全である」(注:分煙では不完全ということ)、「すべての屋内の職場、および屋内の公共の場は禁煙とすべきである」「たばこの煙にさらされることから保護するための立法措置は  
強制力を持つべきである」とし、二○一○年二月までに屋内の公共の場における完全禁煙を実現するための法的措置を講じることを定めている。  
日本は、二○○三年の条約の採択にあたって、ドイツ、アメリカとともに厳しい規制の採用に反対意見を述べ、WHOの他の加盟国から「悪の枢軸」と評された恥ずべき経緯がある。さらに、二○○七年のガイドラインの採択にあたっては、日本だけが一部の記載の削除や変更を求めるなど、国際社会の中で孤立した行動を取って非難を受けた。  
その後、ドイツは二○○七年九月に「受動喫煙防止法」を制定した。アメリカでも多くの州が州法で受動喫煙防止措置を定め、二○○九年六月にはオバマ大統領が、食品医薬品局(FDA)に強力な権限を与える「たばこ規制法」に署名している。今や、条約に基づいて欧州、北米、そしてアジアの主要国や大都市においても、受動喫煙防止の法的措置が実行されている。一方、日本では、たばこの規制に関して、いまだに具体的な法律を議論する気配は見られない。厚生労働省のホームページを見ると、国内法を整備する義務はないと言わんばかりに、「ガイドラインには法的拘束力がない」と記載されているほどだ。  
条約とは、国際社会の中でさまざまな国がその利害を乗り越え、それぞれの役割を果たすために締結する約束である。一国の政府が署名し、国会の議決を経て批准しながら、それを履行しないというのは、国際社会における責任ある国家のなすべきことではない。ましてや日本は、WHOの事務経費の約二割を負担する主要構成国である。最終的に全会一致で採択されたガイドラインを遵守しないのでは、国際社会からも孤立してしまう。  
WHOは、新型インフルエンザや臓器移植の問題でも新たな方針を打ち出し、指導力を発揮している。日本もそれを錦の御旗として国内対策を推進している。しかし、ことたばこ規制の間題となると、WHOの方針を全く無視して平然としている。これはダブルスタンダード(二重基準)であり、許されることではない。  
私は、このように国の対応が全く進まないなかで、条約やガイドラインの精神を全国に発信することで国を動かし、社会を変革していくことが国際県神奈川の果たすべき大きな役割と考えた。そこで、「公共的施設における禁煙条例(仮称どの制定を二○○七年の知事選挙でマニフェストに掲げ、県民の信任を得た。そして、二年間に及ぶ県民、事業者、議会との大激論を経て、日本初の「受動喫煙防止条例」を提案し、昨年三月に成立させることができた。  
今年の四月から、神奈川県の公共的室内空間は、学校、病院、官公庁施設などの公共施設については禁煙、飲食店、宿泊施設などの民間施設については禁煙または分煙の選択(一部適用除外あり)となり、受動喫煙から県民の健康を守る新たなルールがその第一歩を踏み出すことになる。  
しかし、受動喫煙防止対策は、本来は国が全国一律に取り組むべき課題であることに変わりはない。私は、先の衆議院議員総選挙の各党マニフェストに、受動喫煙防止措置の法制化を盛り込むよう要請活動も行ったが、残念ながら、実際に争点になることはなかった。  
なぜ受動喫煙防止をはじめとするたばこ対策が政治の場では進まないのか。その最大の要因は、たばこをめぐる利権構造が立ちはだかっていることだ。  
この利権構造こそが、条約やガイドラインの採択で日本国政府が抵抗した大きな理由である。それは国民の健康を守る厚労省も及び腰になる、財務省とたばこ産業との濃密な癒着関係である。
厚労省VS財務省  
「たばこ対策」の所管は、言うまでもなく健康行政を預かる厚労省である実際に厚労省は、専門家などからなる「受動喫煙防止対策のあり方に関する検討会」を設け、昨年三月に「基本的な方向性として、多数の者が利用する公共的な空間については、原則として全面禁煙であるべき」とする報告書も公表している。この検討会では、神奈川県として条例の考え方を説明し、その必要性を報告書に盛り込んでもらうことができた。  
しかし、そうした動きの一方で、思い通りの「たばこ対策」を打ち出せず、他省庁との関わりあいで苦慮しているのが厚労省の実態である。二○○○年の「健康日本21」の策定時と二○○六年の中間見直し時の二度にわたって「喫煙率の引き下げ」の数値目標を盛り込もうとし、いずれも関係省庁の反対で断念したのだ。二○○九年二月に、私が厚労省を訪れた際、当時の副大臣は受動喫煙防止対策について前向きの姿勢を示しつつも、「関係省庁との調整が必要」と難しさを滲ませていた。この関係省庁の代表格が「たばこ産業」を所管する財務省であり、霞が関の縦割りの弊害がそこに顕著に現れている。  
厚労省が禁煙や受動喫煙防止対策を進めようとしても、たばこ産業を所管し、予算編成で絶大な権力を握る財務省がブレーキを踏んでいては、話が進むはずもない。
既得権三点セット  
一般的に、産業分野ごとの所管省庁は、一次産業は農林水産省、二次産業は経済産業省、三次産業はそれぞれのサービスを所管する省庁が担う。しかし、たばこ産業については、葉たばこの生産農家から、国内唯一のたばこ製造業者であるJT、そして製造たばこの販売事業者まで、一次、二次、三次を通じて財務省の支配下にある。「たばこ税」を確保し、たばこ利権を守るために、「たばこ耕作組合法」「たばこ事業法」「日本たばこ産業株式会社(JT)法」という三つの法律を財務省が所管する体制を堅持しているからだ。  
たばこ耕作組合法は、一九五八年に制定され、「たばこ産業の健全な発達」を目的に、葉たばこの買入契約の締結や農水省が所管する農業協同組合との協調を定めている。  
また、たばこ事業法およびJT法は、たばこの専売制の廃止に伴って一九八四年に制定され、「製造たばこに係る租税が財政収入において占める地位等にかんがみ、(中略)我が国たばこ産業の健全な発展を図り、もって財政収入の安定的確保に資すること」を目的としている。そのための仕組みとして、たばこ事業法では、JTによる原料用国内産葉たばこの全量買入、JTによるたばこの製造独占、小売価格の認可制、小売販売業の許可制を定めている。さらに、JT法では、政府による株式の二分の一以上の保有、JTの取締役選任や定款変更への財務大臣の認可、財務大臣によるJTの監督を定めている。  
つまり、これらの法律により財務省は、「国内産葉たばこのJTによる全量買入」「JTによるたばこの製造独占」「政府によるたばこ産業の監督」という三点セットの仕組みを設けることで、国内のたばこ産業を強固な保護の下に置いているのだ。  
自由主義経済の先進国でありながら、財務省は、たばこが持つ担税力に期待し、生産から流通・販売までのすべてを国家管理の下に置いて、利権構造をはびこらせている。たばこ産業は、自由な競争による市場経済から隔離された、社会主義計画経済そのものなのである。
国策会社JT  
このような体制がなぜ維持されなければならないのか。それは、一九八一年に経済団体連合会(経団連)の土光敏夫名誉会長のもとに設置された「第二次臨時行政調査会(第二臨調)」に遡る。第二臨調は、「増税なき財政再建」と「三公社(国鉄・専売公社・電電公社)の民営化」を打ち出した。そして、一九八二年の「行政改革に関する第三次答申—基本答申」では、専売公社について「たばこ耕作者、流通業界等への影響に配慮しつつ段階的に葉たばこ等の問題(注:後述)を解決し、また、逐次要員の合理化を行う必要があるため、当面、政府が株式を保有する持ち株会社とする。事業が合理化され、安定的な収益の確保の目途が得られた段階で、政府は市場の状況等を勘案しながら、逐次特殊会社の株式を公開する。国産葉たばこ問題が解決され、特殊会社の経営基盤が強化された段階で製造独占を廃止し、特殊会社を民営会社とする」とした。たばこ事業法とJT法はこれを受けて制定されたものだ。  
現在のJTは、JT法に根拠を持つ特殊会社であり、財務大臣が取締役選任などに係る認可権限と広範な監督権限を持ち、発行済株式の五○・○一%を保有している。このためJTは、トップの座を常に旧大蔵省OBが占めてきた。  
二○○○年には初めてプロパーの本田勝彦氏が社長に就任し、その後同じくプロパーである現在の木村宏社長にバトンタッチしたが、会長職には旧大蔵省OBが就いている。現在も、旧大蔵省OBが会長、副社長、常勤監査役に就いており、実質的に財務省の支配下にある。JTは財務官僚の有力な天下り先であり、「渡り」の対象にもなっているのだ。  
JTは、財務大臣の認可を受ければ、たばこ以外の事業も展開できることになっている。実際に、鳥居薬品や加卜吉を買収し、医薬や加工食品、飲料などの事業も展開している。加工食品事業では、中国製冷凍ギョーザの農薬混入事件で世間の耳目を集めた。しかし、  
こうした事業展開は限定的で、売上高の九二・五%、営業利益では九九・八%をたばこ事業に頼っている(二○○九年三月期決算)。  
一般の人々はこのような構造を知らずに、JTを「民営化」され自立した企業と考えがちだが、これは見せかけである。本物の「民営化」とは、政府の株式保有をゼロにし、たばこの製造独占や国産葉たばこの全量買入契約を廃止することだ。たばこ事業法やJT法が存在する限り、JTはたばこ産業保護のための国策会社の性格を持ち続ける。
国産葉たばこ問題とたばこ利権構造  
JTが特殊会社のまま民営化されない理由は、第二臨調の基本答申にも盛り込まれていた「国産葉たばこ問題」にある。国産葉たばこの価格は国際価格の三倍以上であり、たばこの製造原価を押し上げ、国際競争力に影響を与えているという問題である。財務省は、国産葉たばこ問題が解決されるまで、JTに国内たばこの製造独占を認めるとともに、国産葉たばこの全量買入契約制を続けるとしている。  
しかし、誰が考えても、この国産葉たばこ問題が将来解決されることはあり得ない。法律の制定後すでに四半世紀を経て、世界の農業情勢は大きく変わっている。国際化・グローバル化が進むなか、すでに多くの農作物が自由化された。生産者や事業者は品質や安全性、あるいは生産性の面で血の滲む努力をし、国際市場で戦っている。日本の主食であり食糧安全保障の立場から公益性が高いコメですら、一九九五年に食糧管理制度が廃止され、一部輸入を認め自由な販売や流通が可能になった。こうしたなかで、国産葉たばこだけが市場の競争にさらされず、完全保護下に置かれているのだ。たばこ耕作者のみが、全量買入契約制という枠組みのなかで、所得を保障されるという公益性はどこにあるのであろう。  
たばこ税収は、この一○年間、ほぼ二兆円強(うち国税一兆円強、地方税約一兆円)で推移している。八五○兆円を超える膨大な国の債務残高を考えると貴重な財源である。このため、財務省はたばこ規制に消極的とならざるを得ない。たばこに対する規制強化は、たばこ税の減収に直結すると考えているからである。財務省はこの財源を守るため、たばこ産業全体を支配下に置き、政治的な影響力を持つ「たばこ族議員」との癒着関係を築き、利権構造を固めてきた。  
一方、葉たばこ生産農家で構成される「たばこ耕作組合」は、農家の経営を支える国産葉たばこの全量買入契約制やJT株式の政府保有の堅持を求め、たばこ族議員への働きかけを強めて、その見返りとして彼らを選挙で応援してきた。  
さらにJTは、販売事業者を強い影響下に置く一方で 株式の半数を有する大株主・財務省のOBの天下りを受け入れ、実質的に財務省の支配を受けてきた。  
このように、財務省を中心に、たばこ族議員、葉たばこ生産農家、販売事業者、そしてJTが、たばこに関する資金の流れをめぐって、堅固に結びつく。これがたばこ利権構造である。そこには、国民の健康という視点や発想は全くない。そこにあるのは、販売量の維持によるたばこ税の確保であり、明治以来培ったという生産流通秩序の維持である。この利権構造は、たばこ事業法が掲げる「財政収入の安定的確保」のもとに強固に結びついており、見方を変えれば政府による喫煙の促進につながっていると言っても過言ではない。つまり、この利権構造を打破しなければ、たばこ規制枠組条約を遵守し、国民の健康を守るための実効ある「たばこ対策」を進めることは不可能なのである。
不十分かつ後進的な対策  
たばこ規制枠組条約では、締約国に対し「受動喫煙防止措置」のほかに、「たばこの需要を減少させるための価格及び課税に関する措置」や、たばこ製品の包装等にたばこによる健康への有害な影響を記述する警告を付すこと、あらゆるたばこの広告、販売促進等の包括的な禁止を行うこと等を求めている。  
現在、受動喫煙防止措置としては、健康増進法で多数の者が利用する施設を管理する者に対し努力義務を課している。しかし、諸外国の法律や神奈川県の条例が定めるような罰則はなく、努力義務にとどまるための実効性が極めて低い。  
たばこに対する有害表示については、たばこ事業法で注意表示の義務付けや広告に関する配慮などを定めている。確かに、諸外国に比べれば随分遠慮がちだが、たばこの箱には注意表示がある。たばこ販促のためのあからさまなテレビコマーシャルもなくなった。しかし、たばこ事業法が「たばこ産業の健全な発展」という目的を持っている限り、これ以上喫煙行動を効果的に抑止する施策を期待できるはずもない。さらに、たばこの需要を減少させる措置については、具体的な政策は全く講じられていない。たばこ事業法、JT法で守られた堅固な日本のたばこ産業が、そうした措置を易々と受け入れるはずがない。まして、財務大臣はJTの発行株式の半数を有する大株主である。自分の利益を減少させかねない  
対策に及び腰になるのは当然と言えば当然である。  
このように、わが国のたばこ対策は、強固なたばこ利権構造に阻まれ、極めて不十分かつ後進的であり、条約が求める対策が取れているとは言い難い。条約を誠実に遵守するためには、日本のたばこ産業の構造に手をつけることを避けるわけにはいかないのだ。
たばこ産業はもはや斜陽産業  
厚労省の調査では、日本人の喫煙率は一九九八年の二七・六%から二○○八年には二一・八%へとほぼ一貫して減少傾向にある。また、神奈川県が実施した調査では、受動喫煙防止の条例化に約八割の県民が賛意を示した。国民の健康志向や受動喫煙防止の取り組みなどたばこを取り巻く社会環境を考えると、喫煙率は今後も低下を続けることは明らかである。  
また、たばこの販売本数は一九九七年の約三二八○億本から、二○○八年には約二四六○億本に、葉たばこ生産農家は一九九六年の約二万九○○○人から、二○○九年には約一万二○○○人に減少しており、国内のたばこ産業を取り巻く環境は極めて厳しい状況にある。  
これに追い討ちをかけるのが外国産たばこの伸びで、一九八七年の輸入関税撤廃以降、国内販売のシェアが一貫して上昇し、二○○七年で三五・一%に達している。こうした状況で、今後も国内のたばこ産業を保護しつづけることは、国民の利益に適うのだろうか。財団法人医療経済研究機構の試算では、喫煙により発生する医療費などの経済的損失は七兆円を超える。たばこは、嗜好品として愛煙家が癒しとする以外は、その毒性により愛煙家自身の健康を蝕み、周囲の人々に受動喫煙の被害をもたらすものなのである。今後の医療費の増大を抑えるためにも、改革は不可避である。  
このように、もはやたばこ産業には未来はないと言っても過言ではない。国民の健康を守るためにも、たばこ産業に従事する方々のためにも、たばこ対策とたばこ産業の構造改革を大胆に進める具体的な処方箋を早急に検討し、断行すべきだ。
たばこ産業の構造改革を  
そのためには、第一に、たばこ事業法やJT法を廃止して政府保有株を売却し、早期にJTの完全民営化を断行することだ。葉たばこの生産から製造、たばこの販売まで、たばこ事業を財務省の支配下に置くこれらの法律を廃止し、たばこ利権構造そのものを解体すべきである。  
葉たばこ農家は全量買入制度がなくなるため、他の作物と同様に価格や品質面での経営努力を行うか、他の作物への転作を進めることになる。JTは完全民営化により製造独占を失うが、全量買入の制約がなくなり、国の関与から離れて自由な経営戦略や一層の多角化が可能となる。  
一方、販売事業者については、健康増進を目的として、小売販売業の許可制など一定の流通秩序を維持する必要があるだろう。  
この改革に向けて最大の課題となるのが、現に葉たばこの生産によって生計を立てている農家への配慮である。三倍以上の内外価格差は容易に解消されるものではない。民主党のマニフェストは、農家全体への所得補償政策を打ち出している。しかし、葉たばこに対して通常の農作物と同様に価格保障・所得補償政策を行うことは、これまで喫煙者が負担してきたコストを非喫煙者に転嫁することになり、国民の理解は得られないだろう。  
ここで活用できるのが、時価総額で一兆三○○○億〜一兆五○○○億円にのぼるJTの政府保有株式五○○万株である。この売却益を活用して葉たばこ農家の転作などを支援し、たばこ産業の市場化を緩やかに進めることができる。また、減収を余儀なくされる販売事業者への支援や禁煙指導・禁煙支援など、たばこ対策を総合的に進めるための財源にも活用できる。さらに余った分は、民主党のマニフェストに褐げた改革を実現するための財源、言い換えれば「新たな埋蔵金」ともなるだろう。  
第二には、「たばこ対策法」あるいは「受動喫煙防止法」を制定することである。現行の健康増進法は、喫煙だけではなく、食生活、運動など生活習慣に関する全般を網羅するものであり、たばこ対策について、多数の者が利用する施設を管理する者に対し受動喫煙防止の努力義務を課しているだけである。  
しかし、受動喫煙の防止に関しては、神奈川県の条例のように、公共的な空間において明確かつ具体的な手法を示して喫煙に関するルールを定める必要がある。  
さらに、注意表示や広告規制、販売業の登録制や許可制などは、「財政収入の安定的確保」を目的としたたばこ事業法に盛り込まれているが、これらを「国民の健康」を目指した法制のもとに再構築しなければならない。  
こうした視点に基づき、WHOのたばこ規制枠組条約締約国としての義務を果たすためにも、新たな「たばこ対策法」の制定が急務である。
たばこ増税は一石二鳥  
第三には、たばこ規制枠組条約でも求められているように、たばこの価格政策を行うこと、つまり、たばこ税を大胆に増税することである。  
このたばこ増税の問題については、二○○八年春、日本財団会長の笹川陽平氏が「たばこ一○○○円論」を提起し、大きな議論を巻き起こした。氏の試算では、たばこ増税を断行して一箱一○○○円とした場合、税収は九兆円を超え、現在の二兆円から七兆円も増収となり、値上げにより消費量が三分の一に減ってもなお三兆円を超える税収が見込めるとしている。そしてこの税収は、経済不況が続き消費税の増税が難しいなかで国家財政の再建にも寄与し、さらに増税による喫煙率の減少 は中長期的には国民医療費を削減することになり、七兆円を超えるという喫煙による国民の経済的損失の減少にもつながると指摘している。  
氏の提言を受ける形で設立された「たばこと健康を考える議員連盟」が日本学術会議から聴取した試算では、価格が一○○○円になると喫煙人口が約一四%減り、たばこ消費量が約半分になる一方、税収は六兆円余と四兆円以上の増収になるという。  
諸外国と比較してみると、たばこの一箱あたりの価格はドイツが七○○円程度、フランスが八○○円程度、英国やノルウェーでは一○○○円を超えており、海外との比較では日本のたばこの価格はまだまだ安いと言っても過言ではない。  
たばこ増税は、このようにたばこ税収を増加させるだけでなく、たばこ消費減によって喫煙率を下げて国民医療費を減少させる可能性が高く、まさに一石二鳥の特効薬なのである。もちろん、喫煙による経済的負担、歳出や税収への影響については、ざまざまな試算があるだろう。なかには、たばこの消費が減ると喫煙者が長生きし、将来の年金負担が増加するという乱暴な議論もあるようだ。しかし私たちは、政治が最優先すべき課題は国民の安全や  
健康であるという基本を忘れてはならない。
新政権は利権構造を打破できるか  
今回の政権交代で、これまで改革の大きな障害となっていた「たばこ族議員」が力を失った。また、官僚主導から政治主導への改革を目指す民主党政権は、政・官・業癒着の既得権益を打破し、生活者のための政治を標袴している。民主党のマニフェストを実行するためには、約一六・八兆円の財源が必要とされており、予算編成の手法を抜本的に組み替えることも表明している。今がまさに大胆な改革に踏み切る千載一遇の機会なのだ。  
民主党のマニフェストには、たばこ対策が示されていないが、マニフェストに先んじて公表された政策集「INDEX二○○九」には、「たばこ税については財源確保の目的で規定されている現行の『たばこ事業法』を廃止して、健康増進目的の法律を新たに創設します。『たばこ規制枠組み条約』の締約国として、かねてから国際約束として求められている喫煙率を下げるための価格政策の一環として税を位置付けます」と明記されている。  
たばこ利権構造を打破することができれば、民主党のマニフェスト推進に必ずつながっていく。たばこ規制が進めば健康社会が実現でき、将来的に医療費が減少して財政再建につながる。JTを完全民営化すれば天下りを廃止でき、株の売却益は新たな「埋蔵金」となる。  
また、たばこ税を上げれば新たな税収が生まれ、埋蔵金とあわせてマニフェストを実現するための新たな財源となる。経済情勢が厳しいなかで、このたばこ利権構造の打破は国民を守り富を生む構造改革なのである。  
政府税制調査会では、健康目的課税への転換に向け、たばこ税の小幅増税とたばこ事業法の廃止を税制改正大綱に盛り込むことを検討しているというが、今求められているのは単なる対症療法や弥縫策ではなく、たばこ利権構造を打破し、健康社会を実現するための大胆な改革なのである。  
政権交代を機に、この改革を早期に実行に移し、私たちにとって最も大切な、国民の安全や健康を第一に考える国づくりを進めていくことをあらためて提案したい。今やそうした具体的な「脱喫煙社会」へのプログラムの実行こそが求められているのである。  
たばこ規制枠組条約に基づくガイドラインの履行期限は今年二月に迫っている。 
  
タバコ広告の歴史
日本のタバコ広告・規制の流れ  
現状(2003)  
(1)日本ではタバコ広告に関する法的規制はない。1998年にテレビ・ラジオ、映画館、インターネットでの個別ブランド広告が自粛されているが(自主規制)、新聞・雑誌、看板での広告は対象外で、テレビでも喫煙マナーに関する広告は継続されている。  
(2)全国の小中高校生がよく読むとされる雑誌には多くのタバコ広告が認められたとの報告があり、未成年者の喫煙防止対策上、タバコ広告に関する議論が必要。  
(3)財務省は2004年春をめどに、タバコの広告や販売促進活動の規制を大幅に強化する。  
タバコ広告・規制の主な経過(日本タバコ協会資料から)  
85年 4月 午後6時〜8時台のテレビCM / 女性向けと、読者の50%以上が未成年者の雑誌への広告 / 未成年者に人気のあるタレント、モデルの起用  
87年 8月 女性の喫煙ポーズの広告  
89年 1月 午前5時〜午後8時台のテレビCM  
95年10月 週末のラジオCM / 小・中・高校の正門から100メートル以内の屋外広告  
98年 4月 テレビ、ラジオCMの全面中止  
02年 6月 読者の25%以上が未成年者の雑誌  
主なタバコ規制の強化案 || 現在 / 規制強化案  
○ 見本品配布 || タバコ業界で街頭配布自主規制 / レストラン・小売店頭含め全面禁止の方向  
○ 車内広告 || 規制なし / 禁止を検討  
○ マスコミ || 夜間のテレビ、映画、インターネットなどは法的には認めているが、タバコ業界は自粛 / テレビ、映画、インターネットも法的に禁止  
○ 街頭看板 || 小・中・高の周辺は自主規制 / 禁止区域を拡大  
○ スポーツなどイベントのスポンサー || 規制なし / 規制を検討         
日本公衆衛生学会速報(2001)  
タバコCM自粛後は喫煙シーンが増えるー人気ドラマ6作品の分析結果からー  
日本のタバコ会社は、テレビやラジオ、インターネットなどにおけるタバコの製品広告を1998年4月から自粛している。一方で、テレビドラマには、タバコの喫煙シーンが登場する。こうしたシーンの未成年者への影響を懸念している川村学園女子大学教育学部の坂口早苗氏らは、喫煙シーンやタバコ関連の場面が何回出てくるかを人気テレビドラマ6作品で詳細に分析し、その結果を11月2日の一般演題(示説)「健康教育」で発表した。  
電車内・テレビのたばこ広告禁止へ 財務省が規制強化 (2003)  
タバコ広告への規制が05年7月にも大幅に強化される見通しになった。タバコ業界を所管する財務省が、バスや電車、タクシーといった公共交通機関での車内広告などを原則として禁止する方針を固めた。タバコ業界はすでにテレビCMなどを自主規制していたが、それを上回る厳しい規制がかかることに対し業界側の反発も予想される。  
業界は現在、テレビやラジオ、インターネット、屋外大型スクリーンなどでのCMを自粛しているがこれを公的にも禁止する。さらに未成年者の目にふれやすい学校の近くでの屋外広告看板の設置や、見本タバコの配布についても規制を強化する方針。  
財政制度等審議会(財務相の諮問機関)での議論を経て、03年度中にも正式に決める。  
タバコ広告は、たばこ事業法に基づき89年に作った指針で規制されてきたが、実際には業界の自主規制が先行していたため実効性はなかった。世界保健機関(WHO)が5月、広告や販促活動の原則禁止・規制強化を盛り込んだ「タバコ規制枠組み条約」を採択するなど、タバコ広告への規制強化が世界的に加速しているのを受け、全面的に指針を見直す。  
タバコ広告に未成年人気のタレント禁止  財務省が指針改正案(2003)  
財務省は12月16日、未成年者向けたばこ広告の規制強化を柱とした、業界の自主規制に関する指針の改正案をまとめた。未成年者に人気があるタレントを広告に起用しないことなどが盛り込まれた。  
世界保健機関(WHO)が5月に開催した総会で「タバコ規制枠組み条約」が採択されたことから、国内での対応を検討してきた。広告に対する法的規制が困難なことから業界の自主規制で対応することにした。  
改正案では、未成年者の目に触れる場所でタバコの宣伝をしないことを求めた。現在は、学校から100メートル以内での広告を自主規制しているが、対象エリアを拡大することになりそうだ。  
見本タバコを配布する場合は、相手が未成年でないかを厳しく確認させる。新聞や雑誌でのタバコ広告の扱いや、電車やバスなどの車内広告の規制強化については今後、具体案を検討する。  
来年3月までに改正の手続きを進め、新しい指針を踏まえて業界団体が自主規制を見直す。
諸外国のタバコ広告・規制の流れ  
概説  
○ アメリカでは1971年にたタバコ広告を禁止したが、その直後から新聞・雑誌、屋外・交通機関での広告が増加。  
○ ノルウェーでは1975年から国内における全てのタバコ製品の広告と販売促進活動を禁止。  
○ 1990年代に入って、アメリカ映画における1分当たりの喫煙回数が再び増加し出演者(主役)の喫煙シーンが増加。  
○ 日本の1995〜96年に放映された若者向けの連続テレビドラマ(民放)において、喫煙関連シーンはアメリカの同種の調査に比べ数倍高い。ドラマの筋とは関係ないシーンが多く青少年に対する影響ははかりしれない。頻回に見ることによって喫煙に対するプラス指向が広まる。  
○ EUでは2006年までに原則的に全てのタバコ広告・スポンサー活動を禁止するよう決定。  
WHOのタバコ情報 (禁煙医師連盟)  
1、子供達にタバコを売っている重大な証拠・タバコ広告は3歳の幼児にも影響を及ぼします。調査によると6歳の子供でもタバコCM俳優のジョー・キャメルをミッキーマウスと同程度に知っていました。他の研究ではジョー・キャメルは大人より子供に人気が高い事が分かりました。  
・子供は、TVでのスポーツ放送で最も頻回に宣伝されるタバコの銘柄を良く知っています。  
・9歳の子供達はタバコ広告の影響を受けやすく、タバコを吸い始めることに対し、肯定的なイメージを受けている事が明らかになりました。  
・11歳の子供達が最も印象深く記憶しているタバコの銘柄は、最も頻回に広告されていました。  
・調査によると10歳と11歳の子供達の3分の1、および中学生の半分はスポーツ・スポンサーであるタバコの名前を述べることが出来ます。  
・タバコの宣伝活動は未成年を標的にしており、より幼い子供達を魅了する内容になっています。  
・ティーンエイジャーは最も人気があるスポーツのスポンサーであるタバコ銘柄を好みます。タバコ産業は非常に巧妙な宣伝活動を行っており、子供にタバコを売っていることや子供にタバコを宣伝していることを隠しています。事実、タバコ会社の宣伝活動により、子供達は「大人になること」と「タバコを吸うこと」を同一視しています。タバコ産業の冷酷な宣伝活動によりティーンエイジャーは洗脳され、喫煙を肯定的にとらえ、タバコを吸いたいと熱望しタバコを吸い始めます。  
2、 知られていること-広告とタバコに関する事実  
・1993年、健康局の主任経済アドバイザー、Dr. Clive Smeeさんは広告とタバコに関する最も包括的な研究を発表しました。212に及ぶ時系列研究を調べた結果、広告とタバコ消費量の関係について Smeeさんは結論しました。 「タバコの広告はタバコの消費量を増やすという説を支持する根拠があります。」Smeeさんは4ヶ国での『タバコ広告の禁止』の効果を検証しました。そして、『タバコ広告の禁止』により、タバコ消費量は4%〜9%低下する事を発見しました。Smeeさんは結論しました。「『タバコ広告の禁止』は交絡因子による影響を考慮しても喫煙率の低下をもたらします。」  
・時系列研究による計量経済学的な調査のメタ分析により、宣伝活動費とタバコ消費・の間に正の相関関係を発見しました。調査により、宣伝活動費が10%増加するとタバコ消費量が0.6%増加することが判りました。  
3、1970年代:・1971年1月1日、米国ではTVでのタバコCMが禁止された。  
・広告はタバコの売上に貢献する(1972) Warwick大学のCentre for Industrial Economic and Business Researchの調査 「広告と旺盛なタバコ需要:英国市場の分析」は結論しました。「我々の調査では統計的に見ると広告は販売量の増加に対する大きな効果があることが判りました。広告は現在の販売量だけではなく将来の販売量にさえも影響を与えます。広告宣伝費を10%増やせばタバコの売上が2.8%増加することが明らかになりました。」  
・スポンサーの効果はありません。(1976) Imperialタバコは言いました。「私たちの経験によると、スポンサー活動を行ってもタバコ需要は拡大しません。」  
・タバコ規制に抵抗します。(BAT、1976年) BATの『タバコと健康問題対策計画』によると、「私たちはタバコの広告規制に抵抗するべきです。しかし、あまりにも頑固な態度をとるとタバコ規制を促すことになります。」  
・広告収入によりメディアの編集者は沈黙します。(1978) 調査によると、メディアは広告収入のため、批判的なコメントを書けないことが明らかになりました。「私は7年間出版社で働きました。しかし、タバコ広告を掲載する雑誌にはタバコが人々の健康や社会そのものを破壊するという明確な警告記事を一度も掲載することが出来ませんでした。広告収入は全米の雑誌社の編集者を沈黙させたのです。」  
・タバコ規制国への働きかけBATの役員は、マーケティングに関する5日間の会議に出席しました。「広告規制の内容は国ごとに異なるようです。タバコ広告が禁止された国でもテレビやラジオなどを利用して大々的に宣伝活動をする方法が無いか模索すべきです。」  
・タバコを連想するタバコ以外の製品を探しましょう。「あらゆる機会を通じて、タバコ以外の製品等でタバコの銘柄を連想するようなものを探しましょう。視覚的に訴えるものがよいでしょう。これは、長期的でコストがかかる提案です。しかし、タバコを直接的に宣伝することが禁じられた場合にはタバコを効果的に連想するように宣伝しましょう。」  
4、1980年代:  
・若者が熱中するスポーツ Imperial Tobaccoの『Player's Filter Creative Guidelines』によると、「16歳から20歳の子供達に人気があるスポーツを広告に利用すべきです。そうすれば、彼らは近い将来タバコを吸いたくなるでしょう。」  
・芸術賞 Imperial Tobaccoの会長Andrew Reidさんは『Imperial Tobacco 芸術賞』のスポンサー活動の理由について説明しました。「長年、我々は芸術活動に対して大きな支援を行ってきました。なぜなら、この国の文化は国際的にも大きな影響を与えてきたからです。そして、それは、タバコ産業を広く宣伝する機会をも与えてくれました。スポンサー活動は我々の日々の営業に大きく貢献してくれました。」  
・黒人のコミュニティーを狙え RJRのマーケティング計画によると、「大多数の黒人は洗練されたユーモアや、微妙なユーモアに対して反応しません。彼らには判りやすく、率直に宣伝したほうが良いでしょう。」  
・販売は84%も増加(1987) F1レースのロータスチーム・マネージャーPeter Warr さんはRJRの投資の影響について言いました。ブラジルでのキャメルの売上は少なかったが、ブラジルグランプリ以降、売上は84%も増加しました。  
・侮辱(1988) 広告代理店Abbott Mead Vickersの David Abbottさんは言いました。「タバコの広告の目的は従来の製品の代わりに新らしい製品を吸ってもらうことではありません。7000万ポンドから1億ポンドもの大金を投じて、現状維持を図ったり、販売拡大を狙わないはずが無いでしょう。広告は確かに少なくなってきています。しかし、広告は女性や第三世界で新しい喫煙者を増やしています。タバコ広告は政府の矛盾した態度とあいまって健康教育を困難にしていると思います。」   
・タバコ産業は無意味な話をします(1988) McCannEricksonの広告担当重役Emerson Footeは2000万ドルの予算を動かしていました。「タバコ産業はタバコ広告により売上は増えていないと、巧妙に主張しています。これは全く馬鹿げた主張です。タバコ産業も判っています。私は広告により様々な商品の消費量を増やしました。タバコ産業は奇跡的な大失敗をし、タバコの消費が伸びなかったと主張しています。」  
・死の商品を売る方法(1988) 5つのタバコ会社の販売コンサルタントを経験したことがあるFritz Gahaganさんは言いました。「問題はいかにして死の商品を売るかという事です。いかにして年間35万人、1日当たり1000人を殺す毒を販売するか?大宇宙、山、屋外、湖、海岸などのイメージを利用して販売します。健康な若者、運動選手等も販売に利用します。タバコが有害であると言う印象は与えません。新鮮な空気、健康、若さや活力など、誤った印象を利用して毒を売るのです。」  
5、1990年代  
・英国はタバコ広告を禁止すると約束(1997) 英国の厚生大臣Tessa Jowellは、女王のスピーチの後、英国政府はタバコ広告を禁止するつもりであることを発表しました。「政府はタバコ広告を完全に禁止することを約束します。これは効果的なタバコ対策を施行するために不可欠な第一歩です。」  
・タバコ消費は減少しない(1997) Imperial Tobaccoの最高経営責任者Gareth Daviesさんは労働党が提案したタバコ広告の禁止について言いました。「私は合法的な大人の嗜好品の消費を抑える規制に対し、断固として反対します。広告を規制してもタバコの消費は減らないでしょう。」タバコ広告禁止の裏をかくGallahersのスポークスマンはタバコ広告に関する政府の発表に対してコメントします。「広告無しに製品を市場で販売する方法はいくらでもあります。」
1989年、米国公衆衛生局長官報告によるとタバコ広告がタバコ消費量を増やすことを決定的に証明する調査の困難さを強調しましたが、次のように結論しました。  
「今までの調査や経験的、論理的証拠により宣伝広告活動はタバコ消費を増やします。」公衆衛生局長官はタバコ広告は7つの機序で喫煙を増やすと推測します。  
米国公衆衛生局長官はタバコ広告がタバコ消費量を増やす機序について説明しました。  
1.子供達にタバコを吸うよう誘惑し、タバコ常習者に至らしめる。  
2.喫煙者がタバコ消費量をさらに増やすよう誘惑する。  
3.禁煙の意欲を減退させる。  
4.禁煙している者を誘惑し再びタバコを吸わせる。  
5.広告収入に依存するメディアを買収してタバコの危険性に関する報道を妨害する。  
6.タバコ産業から資金援助を受ける団体を利用してタバコ規制に反対する。  
7.あらゆるところで広告、後援活動を行うことにより、タバコがあふれる環境を作り、  
タバコを容認させ、タバコの有害性に関する警告を減弱させる。  
米国における未成年者向け雑誌タバコ広告の推移 (2001)  
タバコ産業との和解条項と雑誌におけるタバコ広告.New Engl J Med 345: 504-511, 2001(8月16日号)から  
背景:1998年,46州の司法長官は米国の4大タバコ会社との間の訴訟で,裁判所の提示した和解案に署名した.和解は18歳未満を対象としたタバコ広告を禁止している.  
方法:我々はタバコ15銘柄の広告費用と,未成年者の38の雑誌におけるタバコ広告への暴露の推移を解析.「若者向け」銘柄は,1998年に8年生,10年生,および12年生が5%以上を消費している銘柄と定義,その他全ての銘柄を「成人向け」銘柄とした.また「若者向け」雑誌は,読者の最低15%,または読者の最低200万人が12〜17歳である雑誌とした.広告への暴露を測定する標準的測定法である「作用」は,特定の銘柄のタバコ広告が掲載された雑誌を少なくとも1冊は読んだ,この年齢範囲の若者の数とした.  
結果:2000年の米国通貨に換算して,1995年に38誌に掲載された15銘柄のタバコ広告費用は2億3820万ドル,1998年は2億1930万ドル,1999年は2億9110万ドル,2000年は2億1690万ドルであった.  
「若者向け」雑誌への「若者向け」ブランド広告費用は1995年には5640万ドル,1998年は5850万ドル,1999年は6740万ドル,2000年は5960万ドルであった.「成人向け」ブランドの「若者向け」雑誌への広告費用はそれぞれ,7220万ドル,8230万ドル,1億860万ドル,6760万ドルであった.2000年には,「若者向け」銘柄タバコの雑誌広告は,80%の米国の未成年者に平均17回ずつ「作用」した.  
結論:タバコ会社との和解条項は,雑誌へのタバコ広告および未成年者のこれら広告への暴露に対し,ほとんど効果を認めていない.  
映画の喫煙場面は未成年者の喫煙を促す−−米国の調査(2001)  
映画作品でたばこが登場する場面を頻繁に観た未成年者では、喫煙率が比較的高いことが、9〜15歳の青少年を対象とした米国の横断的調査で明らかになった。
TV・ラジオのタバコ宣伝禁止へ(メキシコ)(2002)  
メキシコでは来年からテレビ・ラジオでのタバコ広告が禁止されます。  
タバコ広告規制はメキシコの喫煙を減少させるキャンペーンの一部として実行されます。広告禁止に加えて、厚生大臣のJulio Frenkさんは言いました。「タバコのパッケージの、側面ではなく、正面にタバコの有害警告を表示するように義務付けます。薬局でのタバコ販売の段階的禁止も計画しています。」「私たちの政策は簡単です。」「多国籍企業であるタバコ産業に対し、タバコ産業の母国が行っている同様なタバコ規制に、この国でも従うように求めているのです。」  
メキシコではPhilip Morrisの関連会社 Cigatam社とBATの子会社Cigarrera La Moderna社がタバコ市場を独占しています。厚生大臣のJulio Frenkさんは言いました。「メキシコ人の生命は米国人や英国人の生命の価値に劣るという考えは受け入れることが出来ません。」  
メキシコでは毎年、タバコ関連疾患で5万人が死亡しています。さらに、タバコ関連疾患の治療費として年間約30億ドルが費やされています。  
オランダもタバコ広告禁止(2002)  
オランダ厚生省はヨーロッパタバコ規制指令の実施に伴いオランダでは今年11月からタバコ広告が禁止されると言いました。オランダの上院Eerste Kamerは4月にEUの規制を採択しました。この法律は木曜日に厚生省が定めた予定に従って有効になります。11月7日から全ての印刷物以外の広告とタバコ会社のイベント、スポンサー活動が禁止されると厚生大臣は言いました。来年の1月からは印刷広告も禁止されます。2004年の初めには職場での喫煙と公共交通機関での喫煙が禁止されます。隣国のドイツでは政府の努力もむなしく、ヨーロッパ指令がタバコ産業に妨害されました。ドイツのタバコ産業は大きな影響力を持っています。  
TVの喫煙シーン規制(イタリア厚生省)(2002)  
タバコ対策に熱心に取り組んでいるイタリア厚生大臣Girolamo Sirchia さんは水曜日、テレビ局(Rai、MediasetおよびLa7)の管理者に、喫煙を促す番組や映画を中止させるために、自警団の設立を提案する手紙を送りました。  
Sirchia 厚生大臣は手紙の中でTV番組には若者を狙う裏の意図が込められていると述べました。「TV番組では喫煙が権力や解放、自由、SEXなどと連想付けられています。TV局はこのような間接的な宣伝を行うべきではありません。」  
Sirchia 厚生大臣は喫煙対策はEUの目標であり、イタリアも全面的に賛同しています。この法案は自宅や特別に設計された喫煙所を除く、屋内での喫煙をほぼ全面的に禁止するものです。カフェやバーを含む全ての屋内空間での喫煙が禁止されます。Istat(国立統計研究所)の最新の統計では、イタリアには1800万人の喫煙者と1500万人の受動喫煙者がいます。  
映画の脚本家がタバコを魅力的に演出したことを謝罪(2002)  
ハリウッドの脚本家(Screenwriter)で、映画"Basic Instinct"や"Showgirls,"などの撮影に携わったJoe Eszterhasさんは映画の中でタバコを魅力的に演出したことを謝罪しました。8月9日の Associated Press の報道です。  
長い間タバコを吸い続けてきたEszterhasさんは、先日、喉頭癌の治療を受けていることを公表しました。「私の多くの映画の中で喫煙シーンは重要な部分となっていました。なぜなら私が攻撃的な喫煙者だったからです。」「喫煙は悪い少年のイメージの一部でした。喫煙、飲酒、パーティ、ロックンロール、これは私が長い時間をかけて築き上げたものです。」彼は語りました。  
57歳のEszterhasさんは、映画産業に、映画の中で喫煙を促すことを止めるよう呼びかけています。「私の手は血で汚れています。(訳注;人を殺したという意味。)ハリウッドも同じです。」彼は語りました。「私は数えることが出来ないほど多くの人々を殺した殺人者の共犯でした。私は神との契約により、これを事実であると認めます。私を許してください。他人が私と同じような犯罪を犯すことを止めさせるよう努力します。」  
タイは飲食店、トイレでの喫煙を禁止(2002)  
タイ厚生省は積極的なタバコ対策を推進し、空調設備のある飲食店および公衆トイレでの喫煙を全面的に禁止すると金曜日に発表しました。  
Sudarat Keyuraphun厚生大臣は記者会見で現在の16種類の公共施設での喫煙を禁じる法律を強化し、商店街、映画館、美容院を含めた19種類の施設での喫煙を禁じる規制案に署名しました。  
「我々は空調設備のある飲食店での喫煙を禁止することでタイ国民の健康を向上することが出来ます。」Sudarat Keyuraphun厚生大臣は語りました。この法律は11月8日から有効になります。厚生大臣は法律に違反すると喫煙者には2000バーツ($47.50)、施設のオーナーには20,000バーツの罰金が科せられると語りました。5月に、タイはタバコ産業に対し、未成年者の喫煙を防ぐため、タバコのパッケージに肺癌の写真を警告表示するよう求めると語りました。  
マレーシアがタバコ広告禁止へ(2002)  
マレーシアは来年からすべてのタバコ広告を禁止すると厚生省は発表ました。しかしながら、F1などのタバコ産業の資金に大きく依存しているスポーツは一時的に免除されます。「先週開催された閣僚会議では、マレーシアでのタバコの銘柄に関するあらゆる宣伝活動を来年の1月1日から禁止することが決定した。」と、Chua Jui Meng 厚生大臣は語りました。しかし、サッカーとF1カーレースについては「さらなる議論」が必要であると語りました。  
抜け穴! 多くのタバコ産業は先進国の市場の成熟と訴訟による打撃を受け、タバコ広告規制が甘い発展途上国に利益を求めるようになりました。現在、マレーシアでは9歳以下の子供達への直接的なタバコ広告を禁止しています。そこで、タバコ産業は間接的な宣伝やスポンサー活動を通じてタバコを宣伝する抜け道を見つけました。しかし、改正された新しい法律はさらに強力になります。Mr Chua さんは語りました。3大タバコ産業であるBritish American Tobacco、Japan Tobacco Industry 、Philip Morrisは今年の年末から全てのタバコ関連広告を撤去することに合意したと厚生大臣は語りました。  
厚生大臣はタバコ宣伝広告費の増加と喫煙者の増加には関連があると語りました。そして、タバコ産業は今年の1月から5月までに約1240万ドルを投じてタバコを宣伝しており厚生省はこのようなタバコ広告に対抗することは不可能だと語りました。1986年の喫煙率は21.5%でしたが1996年の喫煙率は25%に上昇しました。  
英国政府タバコ広告禁止を検討(2002)  
英国厚生大臣は今年の年末までにタバコ広告が禁止される可能性があると語りまた。タバコを宣伝する印刷物、インターネット、屋外広告などを禁じる「タバコ広告と宣伝の禁止法案」が英国議会で承認されようとしています。もし、夏休み後にこの法案が承認されれば2002年末より効力を発揮すると厚生大臣のHazel Blearsさんは語りました。  
「我々はタバコ広告の包括的な禁止を導入することを決定しました。」「タバコ広告とタバコの宣伝活動を禁止することは、若者の喫煙開始を防ぎ、癌や心疾患などタバコ病による数多くの死亡を減少させることに繋がります。」「タバコ広告の禁止により年間3000人の生命が救われる。」と厚生大臣は語りました。  
英国厚生省はタバコ広告禁止法案の重要な構成に関する諮問報告書を発表しました。報告書はタバコを販売促進するための広告やタバコの銘柄のシェアを維持するための広告の禁止は速やかに効果を発揮することができるでしょう。しかし、ほとんどのスポーツ大会は2003年7月までにタバコ産業以外のスポンサーを見つけなければなりません。世界的なイベントであるF1レースなどでは、例外的に、2006年の10月を目標にタバコ産業によるスポンサー活動を段階的に廃止していきます。国民11月15日までこの法案に対するコメントを提出することが出来ます。  
「マイルド」使用を禁止 EUタバコ規制新法 (2001)  
欧州連合(EU)は2002年9月末から、タバコの箱に喫煙の有害性を明確に警告する文を印刷することを義務付け、「マイルド」や「ライト」などの用語の使用を禁ずる厳しいタバコ規制新法を施行する。EU外交当局者によると、EU閣僚理事会と欧州議会が2月28日、新法の内容に合意。双方は近くそれぞれ投票で法案を最終承認する。米タバコ会社RJRナビスコの海外事業部門を買収し、欧州市場で「マイルドセブン」の販売拡大に取り組んでいる日本たばこ産業(JT)なども事業戦略の再検討を迫られそうだ。  
ロシアのタバコ政策 (2001)  
ロシア下院はタバコの広告を原則禁止する広告法改正案を採択した。タバコ専売店以外でのテレビ、新聞、街頭広告が対象。「喫煙が健康を阻む」としており、ヨーロッパで広がる「タバコ広告規制」の動きがロシアにも波及したようだ。 
  
禁煙タクシー
1987年、以前 / 1987年まで、全てのタクシー車内で、運転手や乗客の喫煙が当たり前でした。非喫煙者の運転手と乗客も受動喫煙やタバコの残臭がすることはタクシー車内では普通の光景でした。  
1988年、禁煙タクシー第一号の個人タクシーが誕生 / 安井さんという個人タクシー事業者が受動喫煙防止の観点から禁煙タクシーを初めて走らせました。当時、禁煙タクシーを始めるには、行政に医師の診断書の提出することが必要だったほか、屋根上に1メートル程ある大きな禁煙車表示灯が義務付けられていました。  
1989年、世界禁煙デーが定められる。 / WHO(世界保健機構)が5月31日を世界禁煙デーと決議しました。  
1995年、厚生省が受動喫煙防止の方針を発表 / 当時の厚生省が「たばこ行動計画検討会報告書」を発表しました。公共の場所での受動喫煙防止を目指した内容でした。  
1998年、航空機の禁煙化が進む。 / ANA、JALが国際線での全面禁煙を発表。  
そして2000年 / 大森交通 法人タクシーとして初めて、禁煙タクシーを都内で走らせる。禁煙車両車内表示大森交通は法人タクシーで初めて、運送約款に「当社の禁煙車両では喫煙を控えていただくこと、またお客様が当社の禁煙車両内で喫煙し、又は喫煙しようとする場合、乗務員が中止を求めることが出来ること、お客様がこの求めに応じない時は、運送の引き受けまたは継続を拒絶することがある」旨を明記しました。禁煙車両灰皿表示つまり大森交通の禁煙車両では、乗務員が喫煙しようとするお客様をお断りしても、乗車拒否にはならないという完全禁煙タクシーをスタートさせました。この条項を盛り込んだのは、いずれ禁煙の時代が来るという漠然とした感覚からでした。この時は保有車両の一部からスタートしました。