メンタルコントロール

メンタルコントロール
心のコントロール
表情 態度行動 感情 コントロール

ここ4−5年 大阪なおみの 感情コントロール
セリーナとの準決勝戦 戦いの流れに見えた
素人目にも判る 大進歩
 


 
 
会社人間の日常 プレッシャーのかかる場面
緊張 ・・・ できることなら ・・・
先送り  後回しにする
正面 向き合わない 逃げる
人をまき込む 責任分散
他人へふる 責任回避
放置する 忘れたふり
 
 
会社人間の日常 プレッシャーのかかる場面
下調べ
準備 用意 場面の想定
出席者 上下関係 業界理解度
数字 金額 図表
歴史 故事来歴 現状分析 将来の予測
営業展開 計画 予算
 
 
 
 
 
●大坂なおみの「メンタル」が激変したワケ  2018
大坂なおみ選手が、日本生まれのテニス選手として初めて4大大会で優勝した。決勝の対戦相手は“女王”セリーナ・ウィリアムズ。これまで大坂選手は精神面の脆さを指摘されてきたが、決勝での試合運びは堂々としたものだった。憧れの選手を前に、なぜ崩れなかったのか。スイスのビジネススクールIMD北東アジア代表の高津尚志氏は「気持ちを前向きにさせる『セキュアベース』の有無が勝敗を分けたのではないか」とみる――。
試合後にも分かれた評価
女子テニスの大坂なおみ選手が、全米オープンで優勝した。20歳の大坂選手にとって初めてのグランドスラム(四大大会)のタイトルである。相手は、23回のグランドスラム優勝歴を持つ、元世界1位、セリーナ・ウィリアムズ。出産を経て復帰、第50回の全米オープンで、24回目のグランドスラム優勝を目指していた。
大坂選手のプレイはすばらしかった。一方、試合は、主審からウィリアムズ選手が「試合中にコーチの指示があった」として警告を受け、「ラケットを破壊した」として1ポイントのペナルティ、「審判に暴言を吐いた」として1ゲームを失う、という異例の展開になった。ウィリアムズ選手がこの間、主審や大会審判部に激しく詰め寄るシーンが再三あったこともあり、なんとも後味の悪い試合になった。
各国のメディアやSNSを見る限り、荒れた試合の中で、最後まで集中力を切らさず戦った大坂なおみ選手に対する称賛と敬意が寄せられる一方、ウィリアムズ選手の言動に対しては、極めて否定的・批判的なものも含めて、さまざまな見方がされているようだ。
改めて問い直してみたい。
2人は、何と戦い、何に勝ったのか。あるいは負けたのか。
「勝つ」ことに集中するために「見ない」
類いまれなる才能を評価されながら、生かし切れていなかった大坂選手の最大の敵は、「自分の精神面の脆さ」だったに違いない。試合中にうまくいかなくなると、ラケットを放り投げたり、涙を流したり、またセット間にベンチでタオルを被って「もういやだ、やりたくない」と泣き言を言ったりしていたのも、つい最近までのことである。
ところが、今回の全米オープンでは、明確に「勝利を目指す(Play to win)」を貫いていた。決勝を前にしたインタビューでも、ウィリアムズ選手が子供のころからの憧れの選手であり、彼女と全米オープンの決勝で対戦することが夢であったことを語っている。一方で、「ウォームアップまでは、憧れの選手、として見ていたが、試合が始まったら、単なる1人の対戦相手、と見た」と言っている。
荒れた試合の中でも、集中力を切らさなかった。試合後の会見では、ウィリアムズ選手の試合中の審判に対する猛抗議に関して、「背中を向けていたのでわからなかった」、「観衆の声が大きくて聞こえなかった」と述べている。
私はこれをウィリアムズ選手に対する配慮を含むコメントだと捉えていたが、その後の米国の人気トークショーででは、「何が起こっているのか、本当にわからなかった」とし、「小さいころから、(試合中に)相手が怒ったりしているようなときも、それを見ないようにすることを教えられてきた。別の方向を見て、集中できるようにトライするよう教えられてきたから、そうしようとしていた。心の中では、何が起こっているのか知りたいと思っていたけれど」と語っている。意識的に目をそらすことで、「試合に勝つ」という目標に対する集中力を切らさなかったのだ。
「地球は丸く、草は緑だ。すべてうまくいく」
テニスは過酷なスポーツである。特にシングルスは、いったんコートに出たら1人きりで、相手と対峙し、審判や観衆を味方につけなければならない。そこでは、「勝利を目指す(Play to win)」気持ちや行動を支える、安全基盤(セキュアベース)が必要になる。セキュアベースとは何か。
「守られているという感覚と安心感を与え、思いやりを示すと同時に、ものごとに挑み、冒険し、リスクをとり、挑戦を求める意欲とエネルギーの源となる人物、場所、あるいは目標や目的 / ジョージ・コーリーザーほか著『セキュアベース・リーダーシップ』」
大坂選手には、あの試合で少なくとも3つの大きなセキュアベースがあったと思う。1つ目のセキュアベースは、コーチだ。サーシャ・バイン氏(ドイツ出身、33歳、男性)である。
彼が専属コーチとして昨年12月に就任してからの大坂選手の戦績はすばらしい。大坂選手も決勝後のインタビューの中で、バイン氏について聞かれると、「彼に会えば、彼が本当によい人だとわかると思います。彼は前向きで、楽観的で、それが私には大切です」と笑顔で答えている。一方、バイン氏も「彼女はすごく完璧主義的で、自分自身を責めすぎるし、自分自身に厳しすぎる。だから私は真逆でなければ、と思う。『大丈夫だよ。地球は丸く、草は緑だ。すべてうまくいく』って伝えるようにしている」と語っている。
彼女にとってバイン氏は、弱気、後ろ向き、自責的になりがちな自分を、常に「勝利を目指す」マインドセットに向けてくれる存在だ。それは、セットの合間に直接アドバイスをくれるときだけではない。1人でコートにいなければならないとき。自分で自分に何かを言い聞かせるしかないとき。そのときの言葉のひな型を提供しているのが、コーチなのだ。
高い目標というセキュアベース
2つ目のセキュアベースは、「グランドスラムを取る」という目標そのものである。
決勝前のインタビューで、「セリーナと全米の決勝で戦うことは夢だった」と語る大坂選手に対して、記者が、夢の中ではあなたは勝ったのか、と聞いた。そのときに大坂選手は、「自分が負ける夢を見ることはない」とはっきり言った。また、試合後のトークショーにインタビューでは「勝つチャンスがある、と思わずに試合をすることはない。だから心の中では、勝てると思っていた」と語った。決して、無欲の勝利などではない。
「グランドスラム全制覇、世界ナンバー1、五輪で金メダル」を目標にしている、とも言う。大きな目標が彼女を支えているのだ。ウィリアムズ選手の猛抗議に背を向け、耳をふさぎ、この試合に勝つことに自分の「心の目」を向け続けることは、簡単なことではなかったはずだが、この目標があったからこそできた選択だったと思う。
ライバルもセキュアベースになる
3つ目のセキュアベースは、他ならぬセリーナ・ウィリアムズ選手だったのではないか。
父親に導かれ、姉とともにテニスを始めた大坂選手にとって、ウィリアムズ姉妹は常に目標であり、ロールモデルであり、手本であった。準決勝終了後のコートサイドでのインタビューでは、「Serena, I love you」とまで言っている。長年にわたり、何度とない浮沈を繰り返しながら、今なお現役の最前線で戦うウィリアムズ選手に対する愛情と敬意が、大坂選手の勇気と挑戦の源であったとしても、驚くべきことではない。
この「セキュアベース」は、欧米のビジネススクールのリーダーシップ教育でも教えられている概念で、「他者の能力を引き出す」というリーダーの役割を考えるとき、きわめて重要な示唆を与えてくれる。
リーダーがフォロワーにとって心から信頼でき、安心感を与える存在であると同時に、高い目標に挑戦するよう背中を押してくれる存在でもあるとき、桁違いのパフォーマンスが生まれることが、私も所属しているスイスのビジネススクールIMD教授のジョージ・コーリーザーらによる調査によって明らかになっている。
これは、リーダーとフォロワーだけでなく、親と子、コーチと選手でも当てはまる。詳しい説明はコーリーザーらの著書『セキュアベース・リーダーシップ』に譲るが、セキュアベース・リーダーがフォロワーの能力を極限まで引き出せるのは、守られているという安心感のなかで、「心の目」を「勝利を目指す」ことだけにフォーカスさせることができるからだ。
二重基準との戦いに「心の目」を奪われる
次に、セリーナ・ウィリアムズ選手についても考えてみたい。彼女は何と戦ったのだろうか。彼女が目指していた勝利とは、なんだったのだろうか。彼女の試合中の言動には、批判的な声が目立つ。私自身も、それが最初の反応だった。一方、主審の采配や言動にも、賛否両論があるようだ。
今回、私は、男子選手なら大目に見られる暴言や破壊行為が、女子選手では厳しく罰せられる傾向があること、男子選手がコートサイドで着替えることは容認されていて、女子選手はそうではないことなど、テニスのルール適用における男女間の「二重基準」が現実に存在している、と考えている人が少なくないこと、また、それが問題である、と考えている人が少なくないことを学んだ。
試合の経過と結果だけ見れば、ウィリアムズ選手は主審や審判部と、試合中にこうした二重基準をめぐって戦うことで、この試合の「勝利を目指すこと」から、自らの「心の目」をそらすことになってしまった。
ただ、あれだけ実績があり、長年活躍をしてきた選手である。わかっていたのではないか。二重基準に関する戦いをここで仕掛けることで、全米オープンの記念すべき第50回大会で、出産後初のグランドスラム優勝を飾る、という大きな目標から自分が遠ざかってしまうことを。
負の感情を呼び覚ました審判の警告
ウィリアムズ選手にとっては、この二重基準の問題(そして厳密にいえばその前の彼女の論点である、不正のない、誠実なプレイに対する疑義や、人種による二重基準)は、これまで長年にわたって自分が不当・不平等に扱われてきた(と少なくとも自分が捉えてきた)歴史を思い起こさせ、それに伴う極めて強い負の感情を呼び覚ますものだったのだ。彼女にとって、許しがたい、受け入れがたい問題であり、本質的な侮辱であった。それを甘んじて受け入れてこの試合での勝利を目指すことすら、彼女にとっては「自らに対する不誠実」と捉えられるくらいの出来事だった――そう解釈すべきではないか。
「破壊や暴言が認められるようにするような男女平等ならいらない。だからセリーナの主張には賛同できない」という女性もいる。それはそれでひとつのスタンスである。しかし、根幹は、テニスという過酷なスポーツの試合中におけるフラストレーションの表現や発散手段として、何を容認するか、という議論であり、この基準における男女差を放任しておくことは、「男性らしさ」「女性らしさ」に関するステレオタイプ、あるいは、「男性にはよいとされるが女性ではよいとされない言動(あるいはその逆)」といった社会の「無意識のバイアス」を是認し、助長することにつながると思う。
これは、長期的に見て、男性にとっても女性にとっても不幸なことだ。「破壊行為や暴言がよくない」、というのであれば、「男女どちらにとっても認められない」と定義され、運用されるべきだろう。
二重基準をめぐる戦いは、ウィリアムズ選手ひとりのものではない。それは、性や人種を問わず、すべてのテニス選手にとっての戦いであり、ひいては社会全体にとっての戦いであるべきだ。彼女が決勝戦でその十字架をひとりで背負ってしまったのは、残念だったし、悲しかったし、痛々しかった。ただ、今回のことで、二重基準に関する社会全体の知識と関心は高まったはずだ。
「大義」を果たすためにもセキュアベースが必要
1つ。もう一度グランドスラムで優勝すること。
2つ。平等にルールが適用されるテニス界を作り、テニス界の後進だけでなく、世界のひとびとにとって、無意識のバイアスや差別からより開放された世界をつくることに貢献すること。
どちらも、ウィリアムズ選手という一個人を超えた、大きなインパクトのある「勝利」になるはずだ。特に2つ目は、「大義」といってもいいだろう。賛同、共感し、ともに歩みたい、と思う人は少なくないはずだ。
私は、その2つ目の勝利に向けた歩みの先頭に立つウィリアムズ選手を見たい。そう思う人々は世界中にたくさんいるに違いない。1人のための戦いではなく、大義に向けた歩みなのだから。
そこでは、ウィリアムズ選手にとってのセキュアベースになるような人々が必要だ。彼女の悲しみや怒りを、わがこととして捉えられる人々。「勝利を目指す」中で、事実を整理し、論理を組み立てつつ、人の善意に訴求していく。「心の目」を常に、もっとも大切なところに当て続け、そらさないようにする。そのために、ウィリアムズ選手と連帯していく人々が必要だ。
ウィリアムズ選手にも、セキュアベースとしての役割が求められていいだろう。その役割を彼女が引き受けることは、彼女にとっても、また、人々にとっても、極めて大きな、そしておそらくポジティブなインパクトを持つ。彼女にはそれができるのではないか。そのときに、その大きな歩みの輪の中に、大坂なおみ選手を見いだすことができれば、とてもすてきだ。 
 
 
 
 
 
●大坂なおみのメンタルを世界一に導いた、極めてシンプルな行動習慣? 2019
人は誰しも心の回復力をもっている。昨年の大坂なおみの劇的な全米オープンテニス優勝からはや1年。そして今年全豪でグランドスラム2連覇を果たした直後の突然のサーシャ・バイン氏のコーチ解任から約半年。「この数ヶ月間苦しい経験をしてきた」とSNSに長文を綴った彼女は先日世界ランク1位に返り咲き、「試合中、また笑えるようになった」とTwitterでうれしそうにつぶやいた。
この間、彼女がどのようにして自分の心を立て直したのかは知るよしもない。しかし大坂なおみを世界No.1に導いたサーシャの著書、『心を強くする 「世界一のメンタル」50のルール』(サーシャ・バイン:著、高見浩:訳/飛鳥新社)から、そのヒントのいくつかが見えてくる。
「すべてが願い通りには進まない」と最初にあきらめておく
50のルールは、人の心の原理原則にもとづくアドバイスから始まる。
「強いメンタルを手に入れるにはどうすればいいか。大切なのは、「この世には自分の力では左右できないことがあるという事実を認めること」だろう。」
“諦める”という言葉は仏教では“真理を明らかにする”という意味をもつとされている。しっかりと現状を見つめた上で前を向く。サーシャはなおみに、もし相手にウィナーを決められて手も足も出ない局面に陥ったら、状況を素直に受け入れ“自分が悪いのではなく、相手がたまたま絶好調なだけ”と考えるように説いたという。他人をコントロールすることはできないが、自分の心は制御できる。テニスプレイヤーが感情をうまく処理して平常心を保てれば、コートの上での判断はより的確なものとなるだろう。
完全主義を捨てる勇気
これまでメディアが大坂なおみを語るとき、“完璧主義者”という形容がたびたび用いられてきた。サーシャも彼女は自分に完全であることを求めるタイプであることを知り、「完全主義者ではなくとも成功できる」というメッセージを伝えてきたと語る。人は誰しも完璧を目指しすぎると、理想と現実のギャップに悩んだり葛藤したりしてしまうもの。“ライバルをちょっとだけ上回っていれば大丈夫”という、おおらかなスタンスがメンタルにゆとりを与えてくれる。
いつも心にプランBを
「プランB、C、D、Eとたくさんの選択肢を持つに越したことはない。環境に応じて臨機応変に変えていくと結果につながりやすく、マインドセットも柔軟になる」
サーシャがなおみの思考の柔軟性に気づいたのは、昨年の全米オープンのサバレンカ戦だった。準々決勝進出をかけた熾烈な戦いの中の重要な局面で、とっさにアグレッシブな戦法に切り替えてマッチポイントを奪い、相手に大きなプレッシャーを与えることで流れを変えたなおみの決断力に成長を感じたという。どんな仕事においても、誰でもプランAまでは準備できる。しかしここぞという局面で、果たしてどこまで別の解決策を編み出せるだろうか。一度立てた戦略を変えるのには勇気がいる。しかしひとつの考えに固執せず柔軟に対処することで、ピンチは自力で打開することができるのだ。

サーシャとなおみは2017年11月から2019年2月までのわずかな間に、めざましい成果を手にしてきた。それは決して“導いた教えが素晴らしかった”からだけではないだろう。本書を読むと、常に選手ファーストで献身的に最善を尽くすサーシャの姿勢が、人としてなおみの信頼を勝ち取ったことも大きく影響したのではないだろうかと思わされる。
人間関係において互いに信頼関係を築くことはとても大切だ。信頼されたければまず先に自分が信頼し、“そこまでするか?”と思われても手を抜かずに努力を惜しまない。これはサーシャのコーチとしてのスタンスだ。エピローグで“この先また共に手を携える可能性はゼロではないと思う”と想いを吐露するサーシャ。いつかまた、ふたりに新たな未来が開かれることを期待したい。 
●大坂なおみ元コーチが明かすメンタルコントロールの極意 2019
いま、日本テニス界を牽引している人物といえば、男子は錦織圭選手、女子は大坂なおみ選手(以下、なおみ)だ。なおみは日本人初のグランドスラム(四大大会)優勝、世界ランキング1位という、これまでのプレイヤーがなしとげられなかった偉業を次々と実現し、日本テニス界の歴史を塗り替えた。コーチとしてそんな彼女を一番近くで支えてきたのが、本書『心を強くする』の著者であるサーシャ・バイン氏だ。
まだ若いなおみは、かつては試合の途中で感情をコントロールできなくなってしまう場面もあった。だがサーシャ氏とタッグを組んでからは、メンタル面で大きく成長し、全米オープンなどの大舞台でも持ち味を存分に発揮できるようになったと言われている。本書では、サーシャ氏がどのようになおみを変えたのか、なおみがどのようなメンタルトレーニングをしてグランドスラムに臨んだのか、その秘密が明らかにされている。サーシャ氏はなおみと組む前、セリーナ・ウィリアムズのチームに所属していた経験もあり、長く世界一に君臨したプレイヤーから学んだメンタルコントロール術も必読だ。
メンタルコントロールを身につけるべきなのは、何もスポーツ選手だけではない。大事なプレゼンを控えるビジネスマンや、受験のために勉強を続けている学生など、大事な場面で結果を出したいすべての人たちに、本書を通してメンタルコントロールの極意を学んでほしい。
要点
(1)野心を抱いてこそ、成功が手に入る。必ず目標達成できると信じ、小さな目標を毎日こなしていくことが重要だ。
(2)人は慣れ親しんだ環境に踏みとどまりがちだが、リスクをとって外の世界に飛び出さなければ、自分の真の価値はわからない。リスクをとるときは自分の気持ちを正直に見定め、変化を受け入れよう。
(3)ナンバーワンになっても急に世界観が変わるわけではない。変わるのは周囲からの見られ方であり、それは「自分が認められた証拠だ」と自信を持てばいい。
要約
心は強くなる
   大きな野心がなければ戦えない
テニスのトーナメントの参加者128名のうち、燃えるような野心を持っている者は数えるほどしかいない。たいていのプレイヤーは、ベスト4やベスト8に残っただけで満足してしまう。
自分は本当に野心を抱いているかどうか、正直に自分を見つめ直すといい。野心を抱いてこそ、成功はあなたのものになる。目標を設定したうえで、その目標は必ず達成できると信じよう。
大きな野心を抱いたら、小さな目標を毎日こなしていく。こなすべき目標を明確に頭に刻み、一日の終わりに、今日なしとげたことに満足できるかどうか、自分に問いかけてみよう。
重要なのは、自分のしていることを信じて、その目標を達成するために邁進すること。そして、その目標を達成できたらすぐ、次の目標を設定することだ。
   「罰ゲーム」で度胸をつける
著者は、大坂なおみ選手(以下、なおみ)と組む前、彼女のことを「お高くとまった女王様」だと思っていたという。なぜなら、すれちがうときに目を合わせてくれないからだ。きっとこっちを見下しているんだろうと思っていた。
だが、初めてきちんと言葉を交わしたとき、そんな印象は吹き飛んだ。お高くとまった女王様だなんてとんでもない。むしろ純真ではにかみ屋の女の子だったのだ。
実際に組んでみると、なおみの内気なところが気になった。彼女が他人の視線を気にしない度胸を身につければ、試合でももっと堂々と自分を押し出せるのではないか。そう考えた著者は、ある「罰ゲーム」を提案した。それは、「練習で勝ったほうが負けたほうに罰ゲームを科すことができる」というものだ。
あるとき、ミニゲームに勝った著者は、なおみに渋谷のスクランブル交差点でダンスをすることを命じた。この経験は、なおみに大切な教訓を教え込んでくれた。「たとえ他人にじろじろ見つめられようが、笑われようが、たいしたことはない」という教訓を。
   誰かの真似はしない
なおみはよく「セリーナ・ウィリアムズに似ている」と言われていたという。打ち方やゲーム運び、髪型などがその理由だった。
そんななおみはセリーナに憧れていたものの、彼女と比較されることは嫌っていた。7年もセリーナと組んでいた著者をコーチに迎えてからも、セリーナがらみの質問は一切しなかった。それはなおみの、他人を真似ずに独自の道を切り拓くという決意の表れだった。
他人からインスピレーションを受けることは悪くない。だが、そのまま真似ることに意味はない。自分に本当に役立つことを見極めたうえで、そこに自分ならではの彩りを添えることが重要なのだ。
   リスクだけが本当に心を強くする
著者はセリーナのヒッティング・パートナーを7年つとめたが、2015年に自ら別れを告げた。それは著者にとって大きなリスクを伴う決断だったが、結果として大坂なおみのヘッドコーチにつくことができ、世界ナンバーワンに挑戦することもできた。
ときには自分を怖がらせるような冒険も必要だ。人は慣れ親しんだ環境に踏みとどまりがちだが、リスクをとって外の世界に飛び出さなければ、自分の真の価値はわからない。
リスクをとるときは自分の気持ちを正直に見定め、変化を受け容れるといい。最初につまずいても後もどりせず、ひたすら前に進もう。
プレッシャーもストレスも手なずける
   ルーティーンを守る
大事なイベントを控えているときは、特別なことをせずにいつものルーティーンを守ることで、実力が出しやすくなる。「チームなおみ」は全米オープンの決勝当日も、それまでと同じウォームアップをし、練習を行った。練習の後のおしゃべりもお決まりだ。
ルーティーンは効果的な手段だが、それにしがみつく必要はない。環境や目標が変わるにしたがって修正していくのがいい。一日の組み立て方はいまのままでいいか、折りに触れてチェックしてみてほしい。
   怒りはためずに吐きだす
テニスから応用できる、とっておきのストレス対策は、怒ることだ。
怒りは、押し殺すのではなく、ときには発散させるのがいい。だから著者は、なおみがラケットを叩き折っても気にしない。怒りを発散させるためなら、ラケットを放り投げたって、わめいたっていい。むしろ「よくやった」と思うくらいだ。
セリーナのプレイにもまた、怒りが一役買っていた。彼女が最上のプレイをするのは、怒りに任せてラケットを叩き折ったときに多かったのだ。怒ったとき、彼女は完全にゲームに入り込む。怒りを発散させることで、どんなピンチに陥っても動じず、形勢逆転に持ちこむことが何度もあった。
   孤独を味方につける
ストレスを感じたら、いったん持ち場を離れてもいい。
なおみが全米オープンの決勝で、セリーナと対戦したときのこと。あと1セットで勝利というところまできていたとき、スタジアムは激しいブーイングなどで騒然としていた。そこでなおみは、椅子に腰を下ろし、頭からタオルをかぶった。観客と自分を隔て、自分だけのパーソナルな空間を作って精神を集中したのだ。
全豪オープンの決勝で凡ミスを重ねていたときも、なおみは持ち場を離れた。ラケットをその場に置き、トイレブレークをとったのだ。そして観客の注目から離れて心ゆくまで孤独を楽しみ、気分を新たにして戦いの場にもどったのである。
感情の力を使う
   「日記」で感情をコントロールする
著者は20年以上にわたって、日記を書く習慣を継続している。自分の気持ちを正直に書き記せば、成長に必ず役立つからだ。著者によれば、日記を書くことは「自己精神療法を行うようなものだ」という。
その日に経験したことや感じたことを正直に書き、大事なことは詳細に記すことで、頭の中に長く留めることができる。同じことを他人に話すのと日記に書くのとでは雲泥の差だ。日記を書くときは、相手の感情を考慮する必要がないからだ。
著者はテニスに関しても、記録をつけている。試合中に気づいたことをすべてメモにとり、試合後に読み返して、気づいたことをなおみに伝えているという。これを読み返すことで、成長の推移を冷静に分析できるし、のちのち多角的な判断を下すのにも役立つ。さらに、自信が深まるというメリットもある。
   「ごめんなさい」をNGワードにする
なおみの口癖は「ごめん」だった。ボールがネットに当たったり、コートをそれたりすると、決まって「ごめん」と言う。
もちろん、絶対に「ごめん」を言わない人がいたら、それは問題だ。ただ、「ごめんなさい」が口癖になると、悪いのは自分だ、自分がいけないのだ、という思考になってしまう。すると自信も抱けないし、積極的にもなれない。著者はそれが心配だった。だからなおみに指摘し、その落とし穴に気づいてもらったという。
自分だけを責めていては、成功から遠ざかりかねない。時には、「他の人が悪いんだ」と考えてみることも重要だ。
   あらゆる場面を想像する
想像力はとてつもない力を秘めている。将来の成功を頭の中に詳細にイメージできれば、実現に近づくだろう。その成功がリアルに感じられ、実現しようという意欲が強まるからだ。
全米オープン決勝でセリーナと対決することになったとき、なおみはかなり前からその瞬間を思い描いていた。だから、いざセリーナと対峙しても、動揺せずに「勝てる」と思えたのである。
試合中は緊迫した場面もあった。だがどれも既に頭の中で解決ずみだったので、容易に対処することができた。彼女は、セリーナに勝つシーンさえもイメージしていたのだ。
勝ち続ける
   トップであることに自信を持つ
テニスの世界ランク1位になることは、誕生日を迎えるようなものだ。特に何も変わらない。
これはテニスに限ったことではない。他のどんな世界でも、トップになったからといってその人の思考法や世界観が突然変わることはない。なおみもそうだった。
断言できるのは、トップになるよりもトップでありつづけることのほうがはるかに難しいということだ。誰も彼もがトップを引きずり落とそうと狙っているのだから。徹底的に分析され、対策を練られるが、「自分の優秀さが認められた証拠だ」と自信を持てばいい。そして、ライバルたちの挑戦に打ち克つこともまたモチベーションにすればいい。
   自分の弱点を認める
「自分の弱さを認めたら、とたんにライバルにつけこまれる」と思うかもしれない。だが自分の弱点を認めることは、人生をより良いものにする最初のステップなのだ。
実際、なおみは、自分の弱点を公然と認めることを恥と思っていない。2019年の全豪オープンの前、なおみはブリスベーンでのトーナメントにて、準決勝で敗れた。その後の記者会見に出席した彼女は、コートでの自分の態度は最低だったと認めたのだ。
その出来事によって、彼女は自分のメンタルを見つめ直した。そして強さと決断力を身につけ、3週間後の全豪オープンを制したのである。
人生も「心の力」で動かせる
   「笑い」で仲間意識を強める
タイミングのいいジョークは、ストレスやプレッシャーをはねのけてくれる。一緒に笑うと、和やかな雰囲気が生まれ、生産力が高まりさえする。
2018年の全米オープンで、著者はなおみの緊張をほぐそうと、おどけて踊ってみせた。そこにたまたま報道のカメラがいたため、そのシーンはたちまちソーシャルメディアやテレビに流された。なおみやチームの面々はそれを見て大笑いし、コートに戻っても和気あいあいとしていた。
ともに笑い合うことは、チームの仲間意識を強める最良の方法だ。ただし、その場を白けさせないよう、時と場合を心得る必要がある。
   あえて気を散らす
勝ちたい気持ちが強すぎて自滅してしまうプレイヤーは多い。目標を見つめるあまり、かえって実力を発揮できなくなってしまうからだ。
なおみもまた、勝ちたいという気持ちが出すぎてしまい、全米オープンの最初の数試合は苦労した。そんなときはリラックスして気を散らすに尽きる。著者は、ポイントとポイントのあいだに鼻歌をうたってみること、頭の中でワン、ツーと数えてみることを勧めた。
また、時間を自分に有利に使うのも役に立つ。ベテランのプレイヤーは、ポイントとポイントの間にゆっくり時間をかけることで、相手の頭を散漫にさせる。そして、集中心をとぎれさせるのだ。  

大坂なおみ選手が世界一の地位を勝ち取ったのは、間違いなく著者の貢献あってこそであろう。本書を通して、いかに二人が努力を重ね、勝つべくして勝ったのかがわかる。
要約でも触れた著者の日記のうち、全米オープンのときのものが本書の巻末に掲載されている。それを読むことで、まるで自分もその歴史を作った瞬間に立ち会えたかのような感覚を覚えた。
成功を掴むために、ぜひ手に取っていただきたい一冊だ。
著者 / サーシャ・バイン (Sascha Bajin)
テニスコーチ。1984年生まれ、ドイツ人。ヒッティングパートナー(練習相手)として、セリーナ・ウィリアムズ、ビクトリア・アザレンカ、スローン・スティーブンス、キャロライン・ウォズニアッキと仕事をする。その後2018年シーズンから当時世界ランキング68位だった大坂なおみのヘッドコーチに就任すると、日本人初の全米オープン優勝に導き、WTA年間最優秀コーチに輝く。2019年には、全豪オープンも制覇して四大大会連続優勝し、ついに世界ランキング1位にまで大坂なおみを押し上げたところで、円満にコーチ契約を解消。
 
 
 
 
 
●大坂なおみ「今の私は違う人」 抗議行動もモチベーションにつなげている 2020
USオープン3回戦で、第4シードの大坂なおみ(WTAランキング9位、8月31日づけ/以下同)が、マルタ・コスチュク(137位、ウクライナ)を6−3、6−7、6−2で破って、3年連続で4回戦進出を決めた。結果としては大坂が経験の差を見せつけて、18歳の若手を退ける形になったが、勝負を決めるまでに2時間33分を要した。
コスチュクは、女子テニス界で将来を嘱望されている若手のひとりだ。14歳の時に出場した2017年オーストラリアンオープンのジュニアの部で優勝し、2018年オーストラリアンオープンでは、予選から勝ち上がって3回戦に進出する快進撃を見せた。今回のUSオープンは、2回戦で第31シードの選手を破り、この試合に臨んだ。
一方、大坂は2回戦に続いて、左太ももにテーピングを巻いてのプレーだったが、出だしは冷静沈着なテニスが光った。パワーとスピードのあるグランドストロークは深く伸びがあり、さらにサービスの出来もよく、第1セットではファーストサーブでのポイント獲得率が86%と非常に高かった。コスチュクのサービスゲームを2回ブレークしてセットを先取してこのまま勝利へ突き進むかと思われた。
しかし、第2セット第4ゲームで、約10分要しながら6回のブレークポイントを活かせずに、コスチュクのサービスキープを許すと、大坂のメンタルが少しずつ揺らぎ始める。
「第2セットのあのゲーム(第4ゲーム)は、ターニングポイントでした。とても長かったです。彼女(コスチュク)がサーブの時に、ものすごくいいプレーをしてきました。私は、いろいろなことをトライしましたが、彼女は答えを得たかのように対応してきて、私は彼女をコントロールできなかったです」(大坂)
コスチュクは、フォアもバックもグランドストロークを果敢に打ち、これが功を奏し第7ゲームで初めてサービスブレークに成功。コスチュクが5−4で迎えた第10ゲームでは、コスチュクのプレーがやや硬くなったのを大坂が見逃さずに、得意のフォアをダウンザラインへ決めてブレークバック。お互いワンブレークでタイブレークに突入した。
大坂は2−0とするが、4ポイントを立て続けに落とすと思わずラケットをコートに投げつけた。そのまま悪い流れは変えられず、コスチュクが2回目のセットポイントを取ってセットオールに持ち込んだ。
ファイナルセットは第4ゲームで、0−40と大坂が最大のピンチを迎えた。しかし、コスチュクはリターンエースやストロークウィナーを強気に狙いにいく半面ミスも多く、結局大坂が5回のブレークポイントをしのいでサービスキープに成功。
このチャンスを逃したコスチュクにはプレーを立て直す気力は残っておらず、大坂がこの第4ゲームから一気に5ゲーム連取で勝負を決めた。
コスチュクは、大坂の30本より多い36本のウィナーを決めたが、51本のミスは多すぎた。22歳の大坂が、18歳のコスチュクを最後に突き放せたのはやはり経験の多さの違いだろう。大坂には2度グランドスラムで優勝し、世界ナンバーワンも経験している矜持がある。
「ツアーでプレーするからこそ学べることがあり、試合をするからこそ学べる何かがあると思います」
こう語った大坂は、いずれコスチュクも自分のように世界のトップレベルへ駆け上がってくるだろうと予見する。
また、この試合では大坂のメンタルの成長が垣間見えた。苦しい展開にラケットを投げて、今大会で初めて負の感情を発露させてしまった場面もあったが、ファイナルセットでの難局を乗り越えて勝利に辿り着く、決してあきらめない強いメンタルを披露した。
新型コロナウイルスの世界的大流行によるツアー中断を経て、復帰戦を迎えた時、「すべて(コロナウイルス)が始まった以前と、今の私は違う人かもしれませんね」と自己分析している。
その言葉通り、ツアー中断中に自分を見つめ直して、シャイな自分とは決別すると宣言した。黒人人種差別へ抗議し、"Black Lives Matter"のムーブメントにも賛同し、SNSから自分の意見をしっかりと主張している。もともと内気で口数の少ない女の子であった姿からすると、想像を超えるようなアクティブな活動ぶりだ。
さらに、大坂はUSオープンでの毎試合入退場時に、黒人人種差別関連の不幸な事件で亡くなった黒人の名前がプリントされたマスクをつけており、アメリカだけでなく世界から反響を呼んでいる。そこには、少しでも多くの人に知ってもらいたいという大坂の狙いがある。
これは通常、大会で認められない行為なのだが、今回のUSオープンでは、「Be Open」というキャンペーンが展開されており、人種、ジェンダー、SOGI(性的志向・性自認)などへの公正や平等のメッセージを身につけることがグランドスラムで初めて許可された。
"Black Lives Matter"がきっかけになっているが、大会期間中に政治的なメッセージやヘイトスピーチでなければ、試合前と後での選手からのメッセージの発信が認められている。
大坂の一連の抗議行動は、USオープンでいいプレーをしようとする彼女自身のモチベーションにもつながっている。ただし、試合時に雑念になるようなことは決してコートに持ち込まず、プレーだけに集中することを心がけている。オンコートでのプレーだけでなく、オフコートでの取り組みが、プロテニスプレーヤー・大坂なおみの進化につながり、特に精神面での成長を促しているように見える。
4回戦で大坂は、第14シードのアネット・コンタベイト(21位、エストニア)と対戦する。対戦成績は大坂の4勝0敗で、直近のUSオープン前哨戦の準々決勝でも戦っており、大坂がフルセットで勝っている。
昨シーズンの大坂は、グランドスラムではいつも優勝宣言ばかりしていたが、それがいい結果に結びつくことはなかった。だが、今回の大坂は違う。
「優勝のことは考えるのをやめました。自分自身へあまりにも大きなプレッシャーをかけていたように感じます。優勝へ向けていいポジションにいることだけを考えています。とにかく1試合1試合向き合っています」
テニスがメンタルによって大きく左右されることは周知のとおりだが、コートのオンオフの両方で成長を見せている大坂が良好なメンタルを維持できるのなら、USオープンでの結果はおのずとついてくるはずだ。 
 
 
 
 
 
●大坂なおみ、試されるメンタル面の成長度 全豪OP 2021/2/16
テニスの全豪オープン女子シングルスで、2年ぶりにベスト8に進出した第3シードの大坂なおみ(23)=日清食品=は16日、準々決勝で35歳の謝淑薇(台湾)と対戦する。何を仕掛けてくるかわからないトリッキーな相手で、2年前の全豪3回戦でも大苦戦。自身の成長を確かめる試金石となる。
謝はシングルスの世界ランクは71位だが、ダブルスは1位。大坂は過去4勝1敗と勝ち越しているが、5試合中4試合はフルセットにもつれ込むなど、苦戦を強いられている。パワープレーヤーの大坂にとっては最も嫌な技巧派だ。
大坂は謝について「スーパー・ディフィカルト(本当に難しい)な相手。ビデオゲームなら、彼女のキャラクターを選んでプレーしたいくらい。彼女が選ぶプレーは自分の頭では考えられない。見るのはとても楽しいけれど、相手にするのは楽しくない」とコメント。多彩な攻撃にかなりてこずらされることになりそうだ。辛抱強いプレーが要求される。
ただ、大坂は4回戦で見事な粘りをみせており、課題だった精神面の成長を感じさせている。昨年準優勝、第14シードのガルビネ・ムグルサ(スペイン)に4−6、6−4、7−5で逆転勝ち。第3セットの第5ゲームをブレークされ、ラケットをコートに叩きつける場面もあったが、2度のマッチポイントをしのいだ。
メンタルトレーニングの成果もみられる。世界ランク43位のカロリーヌ・ガルシア(27)=フランス=にストレート勝ちを収めた2回戦後の会見。大坂は唐突に「昨晩、試合に負ける夢を見た。初対戦だったことから不安が夢になったようだ」と告白した。
「敗戦が正夢になったことが何度もあり、とても嫌な気分だった。でも、以前ならそれを心の中にしまいこんでいたが、今回は周囲に夢の内容を打ち明けた。そして、『相手はコントロールできない。できるのは自分をコントロールすることだけ』と覚悟を決めることができた」
淡泊な展開が多かったが、現在は追い詰められてから逆転を期待できる選手になった。優勝候補の呼び声どおりのプレーをしているといっていい。
●ハードコートで、今の大坂なおみに大きな死角はない! 2/18
オーストラリアンオープン女子シングルス準決勝で、第3シードの大坂なおみ(WTAランキング3位、2月8日付け、以下同)が、第10シードのセリーナ・ウィリアムズ(11位、アメリカ)を6−3、6−4で破り、メルボルンで2年ぶり2度目の決勝進出を決めた。グランドスラムでは通算4度目の決勝進出となる。
「本当にナーバスだった。ネットを挟んでコートの反対サイドに彼女(セリーナ)がいるのを見て、第1ゲームのサーブで怖気づいてしまった」と振り返った大坂は、準決勝の第1セット第1ゲームで硬さが見られ、いきなり自分のサービスゲームのブレークを許した。
さらに、大坂0−2で迎えた第3ゲームで、ダブルフォールトによって30−40になりピンチを迎える。ここで大坂は、
「自分がコントロールできることをコントロールしていこうと自分自身に言い聞かせた。彼女(セリーナ)が何を仕掛けてくるのか考えるのではなく、自分自身のプレーをしようとした」
凡ミスが減って第3ゲームを大坂がキープ。続いて第4ゲームで初めてセリーナのサービスをブレークし、第3ゲームから5ゲーム連取で一気に試合の流れを引き寄せた。
第2セットは、大坂が第1ゲームをブレーク。第8ゲームでは、大坂がダブルフォールトを3回犯して、セリーナにブレークバックを許すものの、大坂は決してパニックにはならない。4回戦で、第14シードのガルビネ・ムグルサ(14位、スペイン)に2回のマッチポイントを握られながらも勝ち切ったことが自信になっていた。
続く第9ゲームでは、セリーナは自分のペースに持ち込めずラブゲームで、大坂にブレークを許し、この時点でほぼ勝負は決した。第10ゲームは、大坂が落ち着いてラブゲームでサービスをキープ。オーストラリアンオープン歴代チャンピオン同士の対戦だったが、23歳の大坂が、75分のストレートセットで39歳の元女王セリーナを退けた。“今の時代、チャンピオンになるのにふさわしいのは私よ”とも受け取れるような大坂の力強い勝利だった。
「今日はたくさんのミスをしてしまった。正直私が勝てるチャンスはあった。自分が(第1セットで)5−0にできていたかもしれないのに」と振り返って、悔し涙を浮かべたセリーナは会見を途中で打ち切ってしまうほど感情を露わにした。
大坂のファーストサーブは確率こそ45%だったが、ファーストサーブでのポイント獲得率が85%で非常に高かった。大坂のサーブは時速190km台をたたき出す高速サーブと回転系サーブのコンビネーションが良く、セリーナは大坂のサーブを攻略しきれなかった。
大坂は、ダブルフォールト8回、ミスを21本犯すものの、サービスエース6本を含む20本のウィナーを決めた。
また、ウィム・フィセッテコーチと取り組んできたリターンの向上も、勝利へのキーになり、準決勝での大坂のリターン返球率は73%で、強力なサーバーであるセリーナに対しても高い返球率を記録し、大坂の成長がうかがえた。
これで大坂はマッチ20連勝(棄権2回を含む)となり、コート上で落ち着いた状況判断ができる大坂のテニス、フィジカルの充実からくる動きの良さ、そして、フィセッテコーチとの信頼関係からもたらされる安定したメンタル、いずれもグランドスラム決勝進出にふさわしい高いレベルにある。
決勝で、大坂は、初めてグランドスラムの決勝に進出してきた第22シードのジェニファー・ブレイディ(24位、アメリカ)と対戦する。対戦成績は大坂の2勝1敗で、直近では、2020年USオープン準決勝で大坂がフルセットで勝っている。
「彼女(大坂)は、サーブが良いしパワーもある。攻撃的なプレーでプレッシャーをかけてくる」と語るブレイディは、オーストラリアンオープンだけでなく、グランドスラムでの初優勝を目指す。
ちなみに、ブレイディは、オーストラリアが入国者全員に課した新型コロナウィルス対策の検疫14日間を過ごした時、チャーター機の同乗者からコロナ陽性者が出たため、ホテルの部屋から1歩も出ることのできない完全隔離となった72名中の1人だった。
一方の大坂は、オーストラリアンオープンで2回目、グランドスラムでは通算4回目の決勝進出となる。ブレイディより、経験に勝る大坂が有利だろうか。
「私としては本当に気にしていません。有利なのか不利なのか私にはわかりません。誰が対戦相手であろうと、私が勝利しそうな選手として試合に臨むことになるかもしれません。そうすると、私がプレッシャーを感じて、不利になるかもしれません。対戦相手が、なりふり構わず向かってくるかもしれないし、失うものが何もないような気持ちで向かってくるかもしれません。グランドスラム決勝で負けたくないという思いが重くのしかかってくるかもしれません。だから、私の中で考慮するべきことがたくさんあります。でも、私は、それらのことについてあまりストレスを今は感じません。たぶん、後から襲ってくるのかもしれませんね」
また、大坂は、以前とは目標設定が変わり、今は自分のためにだけでなく、一緒に戦うフィセッテコーチや2人のトレーナーのために勝ちたいという気持ちになっている。
「私は歴史を作りたかった。日本人初のグランドスラム優勝者になりたかった。それが私の目標だったと思います。トロフィーや壁に自分の名前が刻まれているのを見るのは嬉しい。でも、それより大きなことがあるように思う」
心技体が充実した現在の大坂を、ハードコートでの戦いで倒すのは、誰にとっても簡単なことではない。勝負に絶対はないが、2年ぶり2度目のオーストラリアンオープン優勝を目指す大坂に大きな死角はない。
●大坂なおみ コロナ禍で劇的な進化 吉川コーチ「考える時間になった」 2/18
女子テニス世界ランキング3位の大坂なおみ(23=日清食品)が、新型コロナウイルス禍をプラスに変えている。
連覇を狙った昨年の全豪オープンではまさかの3回戦敗退。続くフェドカップでも感情面でプレーが乱れてしまい、大粒の涙を流した。しかし、コロナの感染拡大でツアーが休止したため、自らをイチから見直す時間が生まれたという。
日本テニス協会の吉川真司女子代表コーチ(43)は「トップ選手としてコート内外でやるべきことのバランスが取れていなかった。テニスに対してもう一度向き合って、どのようなことをしていくのか。どのようなことをしていきたいか。自分がどんな選手でありたいかってことを考える時間になった」と指摘。
「もしツアーのストップがなければ、果たして今の状況まで戻れているかってことに関しては、自分の中では確実にこうなっているとは言えない」と話すほど、大坂にとっては貴重な時間となった。
精神的に成長した大坂は、全豪オープンで圧巻のパフォーマンスを披露。準決勝(18日)では、世界ランク11位のセリーナ・ウィリアムズ(39=米国)に快勝し、4度目の4大大会制覇に王手をかけた。
土橋登志久強化本部長(54)も「コロナで一回立ち止まる機会があったのはよかった。(メンタルの)コントロールができない中で、自分を見つめ直して、テニスが好きだってことが一番の基本であるってことを思い出せたことで、大きく変わってきたかなと思う」と目を細めた。
多くのアスリートがコロナ禍で影響を受ける中、大坂は着実に進化を遂げているようだ。 
●大坂、2年ぶり決勝進出 セリーナにストレート勝ち 2/18 
テニスの全豪オープン第11日は18日、メルボルン・パークで行われ、女子シングルス準決勝で、第3シードの大坂なおみ(日清食品)は第10シードのセリーナ・ウィリアムズ(米国)を6―3、6―4のストレートで下し、優勝した2019年以来、2年ぶりの決勝進出を決めた。四大大会4勝目を懸けて、20日の決勝では、第22シードのジェニファー・ブレイディ(米国)と第25シードのカロリナ・ムホバ(チェコ)の勝者と対戦する。
大坂がセリーナと四大大会で顔を合わせたのは18年全米オープン決勝で勝って以来。通算では大坂の3勝1敗となった。 
●全豪オープン 大坂なおみ セリーナ・ウィリアムズに勝ち決勝へ  2/18 
テニスの四大大会、全豪オープン女子シングルスの準決勝で2回目の優勝を目指す大坂なおみ選手が、四大大会で23回の優勝を誇るアメリカのセリーナ・ウィリアムズ選手にセットカウント2対0のストレートで勝って、2年ぶりに決勝に進みました。
世界ランキング3位の大坂選手は18日の準決勝で、プロが参加できるようになったオープン化以降で四大大会歴代最多の23回の優勝を誇る世界11位の39歳、セリーナ・ウィリアムズ選手と対戦しました。
これまでの対戦成績は大坂選手の2勝1敗で、2018年の全米オープン決勝では大坂選手が勝って四大大会初優勝を果たしましたが、18日は第1セットの第1ゲームで大坂選手がセカンドサーブを狙われてブレークを許す苦しい出だしとなりました。
それでも大坂選手は、力強い打ち合いとなったストローク戦で相手を上回る粘りを見せてブレークを返すなど、第3ゲームから5ゲームを連取して、このセットを6−3で取りました。
第2セットも、ネットすれすれを通る精度の高いバックハンドや、得意のサーブでポイントを重ねて試合を優位に進めましたが、第8ゲームにミスが続いて追いつかれました。
しかし、ここで崩れることなく冷静に試合を組み立てて、すぐに相手のサーブをブレークして、このセットも6−4で取り、セットカウント2対0のストレートで勝ちました。
大坂選手の決勝進出は、優勝したおととしの大会以来、2年ぶり2回目です。
オーストラリアのメルボルンで行われている大会は、州の外出制限が17日に解除されたことを受け、18日から再び観客を入れて行われていて、20日に行われる女子シングルスの決勝で、大坂選手は世界24位でアメリカの25歳、ジェニファー・ブレイディ選手と対戦し、去年の全米オープン以来、4回目の四大大会優勝を目指します。
ブレイディ選手は四大大会で初めての決勝進出で、2人の対戦成績は大坂選手の2勝1敗です。
直近では、去年の全米オープンの準決勝で対戦し、大坂選手が勝っています。
大坂選手は試合後のインタビューで「最初はミスが多く緊張して怖かったが、観客も入ったので試合を楽しむことにした。セリーナ・ウィリアムズ選手を相手にひどい試合をしたくなかったので、ベストを尽くした」と話していました。
セリーナ・ウィリアムズ選手は、試合後の会見で「緊張はしていなかった。大坂選手との違いはミスの数だ。私はきょう、あまりにも多くのミスを犯した。第1セットでゲームカウント5−0とリードできるチャンスもあったと思うが、とにかくミスが多かった」と振り返りました。また、調子については「大会を通じて調子はよかったし、きょうも最初の数ゲームはいいプレーができていた。ただ簡単なミスが多かった」と話しました。そして記者から、これが最後の全豪オープンになるのかと聞かれると「分からない。別れを告げるときは誰にも言わないと思う」とだけ話し、最後は涙を浮かべながら会見場をあとにしました。
決勝進出を決めた大坂なおみ選手について、観客からは2年ぶりの優勝への期待の声などが聞かれました。
地元メルボルンの男性は「大坂選手は立ち上がりは苦労しているようでしたが、強く立ち直った。パワーがあり、かつてのセリーナ・ウィリアムズ選手をほうふつとさせる。将来にわたって優勝を重ねてくれることを期待しています」と話していました。
友人と観戦した女性は「大坂選手は2ゲームを先行されても挽回し、そのあとは試合を支配していた。サーブが速く、彼女のような選手を相手に戦うのは大変だと思います。決勝でも勝ってほしいです」と話していました。
また、現地在住の日本人女性は「世界トップクラスの2人の試合は、決勝のような緊迫感がありました。メルボルンはロックダウンがあって精神的に大変だったし、日本も大変な中、元気づけられる試合でした」と興奮冷めやらぬ様子で話していました。 
●大坂は「コートでのロールモデル目指している」、コーチ談 2/19
女子テニスで四大大会3勝を誇る大坂なおみのコーチを務めるウィム・フィセッテ氏は19日、同選手は四大大会で優勝するだけでなく、コート上での振る舞いでもロールモデルになりたいと思っていると述べた。
以前、試合中の感情のコントロールに苦しんでいた大坂は、フィテッセ氏とチームとともにメンタルコントロールの改善に取り組み、現在出場中の全豪オープンでは、常に冷静さを保ったまま20日の決勝まで勝ち進んでいる。
フィテッセ氏は報道陣に対し、「ここ数年の経験から、冷静に振る舞っているときは、自分が何をする必要があるのかが明確で、良いプレーができることを分かっている。ネガティブになってはいけないということではないが、すぐに気持ちを切り替えることが非常に重要」とコメント。
さらに、「ナオミは、コートで常に良い振る舞いができる人間になりたいと思っているようだ。それは、若手選手にとってのロールモデルのようなもの」とも話した。
 
 
 
 
 
●大坂なおみ、全豪オープンで2度目の優勝 2021/2/20
テニスの四大大会の第1戦、全豪オープンは20日、メルボルンで、女子シングルス決勝が行われ、大坂なおみ(23)がジェニファー・ブレイディ(25)=米国=を6―4、6―3で破り、2度目の優勝を果たした。
ブレイディが四大大会の決勝に進出したのは初めて。第1セットは両者とも質の高いショットを披露し接戦となったが、その後は実力と経験で勝る大坂が勢いに乗り、1時間半に満たない試合時間で決着をつけた。
4度目となる四大大会制覇を成し遂げた大坂は、試合後のインタビューでブレイディの健闘をたたえ、自身のチームとファンに感謝の言葉を贈った。
新型コロナウイルスの感染が広がる中、ともに隔離を余儀なくされたチームについては「私にとって家族のよう」「この優勝はあなたたちのためのもの」と語った。
また前回の全米オープン決勝は無観客開催だったことに言及し、今回スタジアムに足を運んでくれたファンへの感謝を述べた。
今年の全豪オープンは、メルボルンのあるビクトリア州が感染抑止のためのロックダウン(都市封鎖)に踏み切ったことを受け、13日から5日間にわたり無観客での試合が行われていた。
●大坂なおみに絶賛の嵐 盤石の強さに海外識者「エリートの仲間入り」 2/20
テニスの全豪オープンは20日、女子シングルス決勝で世界ランク3位・大坂なおみ(日清食品)が同24位ジェニファー・ブレイディ(米国)を2-0(6-4、6-3)で破り、2年ぶり2度目の優勝を果たした。4大大会は昨年の全米オープンに続く連勝&通算4度目V。強さを見せつけた23歳に対し、海外識者から絶賛の嵐が巻き起こっている。
大坂は第1セットは接戦となったものの、なんとか先取。ミスが続く場面でも決して崩れなかった。第2セットでも先にブレークするなど4ゲームまで連続で奪うと、最後まで冷静に押し切った。
ツイッター上では海外識者が次々と称賛している。ポルトガルのスポーツ専門メディア「レコード」のホセ・モルガド記者は「21連勝。グランドスラムでは14連勝」と投稿。さらに「オオサカは4度目のグランドスラム制覇でキム・クライシュテルス、ハナ・マンドリコワ、アランチャ・サンチェス・ビカリオに並んだ。次は誰を狙う? シャラポワ、ヒンギスである」とした。
米紙「ニューヨーク・タイムズ」などに寄稿するベン・ローゼンバーグ記者は「ナオミ・オオサカが4度目のグランドスラム制覇。正真正銘のエリートの仲間入りを果たした」と投稿。米紙「USAトゥデー」のコラムニスト、ダン・ウォルケン氏は「素晴らしい試合だったとは言えないが、オオサカにとって偉大な大会だった」とつづった上で「全仏とウィンブルドンでまだ3回戦を超えたことがない。これが彼女にとっての次の挑戦」と課題も付け加えている。
●大坂なおみ最強姉妹次ぐ4度目V 隔離楽しむ精神力 2/20
世界3位の大坂なおみ(23=日清食品)が、2年ぶり2度目の優勝を果たした。同24位のジェニファー・ブレイディ(米国)に6−4、6−3でストレート勝ち。4年連続4度目となる4大大会制覇は、コロナ禍でも揺るがない強靱(きょうじん)なメンタルからもたらされた。
22日付世界ランキングで2位に復帰。同じハードコートで実施される東京オリンピック(五輪)の金メダル獲得へ弾みをつけた。
センターコートに声が響く。日の丸が揺れ、ファンの額には「必勝」のはちまきがキリリと巻かれた。「がんばれ〜、なおみ」。その声にほほ笑むと、大坂はゆっくりとサービスの構えに入った。マッチポイントで時速174キロのサーブをたたき込んだ。
優勝の瞬間、「本当にハッピーだった。手が震えちゃった」と、ラケットを頭に乗せ、笑顔でぴょこんと跳び上がった。日本語で「頑張りました。勝ったよ〜」。両手の親指を立てるサムアップで、テレビ観戦する日本のファンに勝利のメッセージを送った。
センターコートの収容人員は最大1万4820人。しかし、感染症対策で、半分の最大7477人に入場数は限られた。実際は7381人が入り、ほぼ“満員”だった。「本当に、見に来てくれてありがとう」。大坂は心の底から感謝を述べ、表彰式後、観客へのサインに延々と応えた。
風もあり、トスが乱れ、第1サーブの確率は48%。1回戦から7試合で、決勝が最も調子が悪かった。優勝したい、ミスしたくないとの思いからか「すごく緊張した」。ミスにも助けられた。ただ、4回目の優勝に「5回の優勝が目標。次が7〜8回。そして10回よ」と胸を張った。
通常、全豪は1月開催。それが新型コロナの対策に時間がかかり、2月に延期された。海外からの渡航者を原則受け入れていないオーストラリアは厳しい感染症対策で選手たちを迎えた。1日5時間の外出は可能とはいえ、入国後、2週間の隔離は必須だった。
その2週間、毎日、PCR検査が行われた。チャーター便に乗った選手に陽性者が出れば、同乗者は入国後、部屋から1歩も出られない完全隔離を強いられた。有観客で始まった大会は、途中で5日間の無観客開催も余儀なくされた。
それでも大坂の強さは揺るがなかった。部屋でNetflixや食事を堪能し、外野の雑音さえ楽しんだ。「楽しみが食事だけ。だから少し太っちゃった」と苦笑い。表彰式では「隔離を一緒に乗り越えてきた仲間。これはあなたたちのためのもの」と、銀のトロフィーを掲げた。コロナ禍にも負けず、自分を奮い立たせた優勝で、大坂が真の女王に君臨する。 
 
 
 
 
●大坂なおみ 
(1997 - ) 大阪府大阪市中央区出身の女子プロテニス選手。自己最高ランキングはシングルス1位。これまでにWTAツアーでシングルス7勝を挙げている。うちグランドスラムは通算4勝で、2018年と2020年の全米オープン、および2019年と2021年の全豪オープン優勝者。身長180cm。体重75kg。右利き、バックハンド・ストロークは両手打ち。
2019年までは日米二重国籍だったが、22歳の誕生日を迎えるにあたり日本国籍を選択、選手登録は日本。日清食品ホールディングス所属。マネージメントはIMG。拠点はボカラトン、エバートテニスアカデミー。姉の大坂まりもプロテニス選手。
男女を通じてアジア初の世界ランキング1位。日本人初のグランドスラムシングルス優勝。プレミア・マンダトリー優勝。日本人史上3人目となるWTAファイナルズ出場。WTAアワード年間最優秀新人賞。
来歴
ITFデビューまで
1997年10月16日、大阪府大阪市で生まれ、中央区の空堀商店街の近くに住んだ。1999年全仏オープン女子ダブルスを優勝したビーナス・セリーナのウィリアムズ姉妹を見た父と、姉の大坂まりの影響で3歳からテニスを始め、テニス経験のない父の教えの下、近所の靱テニスセンター等で練習した。2001年にアメリカ合衆国へ移住。父方の祖父母がいる、ニューヨーク州ロングアイランドのエルモントに住んだ。母は日系企業に勤めて家計を支え、姉妹は全米オープンの会場でもあるナショナル・テニス・センター等で毎日6時間近く練習した。オルデン・テラス小学校三年生まで過ごした。2006年フロリダ州に移住し、ペンブロークパインズの公共コートで練習した。2007年8月、全国公共公園テニス協会選手権で大坂まりとの14才以下女子ダブルスで優勝した。また14才以下のフロリダ選抜に選ばれた。2008年ヨネックスとスポンサー契約を結んだ。Broward Virtual中学・高校に入学した。
2011 - 15年 ツアー下部大会を転戦
プロツアー出場資格が得られる14歳になった2011年10月、ITFサーキット「モンテゴ・ベイ大会」でデビューした。以降厳しい環境を求めてジュニア大会には目を向けず、ツアー下部大会に出場した。
2013年6月ITFサーキットエルパソでサナズ・マランドに敗れたが準優勝。9月、プロに転向した。
2014年6月飛び級で高校を卒業した。7月バンク・オブ・ウェスト・クラシックで初めて予選を突破し本戦出場。1回戦で対戦した2011全米オープン女王のサマンサ・ストーサーに2-1で勝利。最速193km/hのサーブで大番狂わせを演じた。
2015年5月カンガルーカップで鄭賽賽に敗れ準優勝した。10月試合制限解禁の18才になる。WTAファイナルズのライジング・スター・インビテーショナルに出場。キャロリン・ガルシアを下し優勝した。11月WTA125Kシリーズのフワヒン選手権でヤロスラワ・シュウェドワに敗れるも準優勝した。年間最終世界ランキングは144位。
2016年 グランドスラムでの躍進、トップ50入り
2016年全豪オープンでは予選を突破し、グランドスラム初出場。本戦でも2回戦で第18シードのエリナ・スビトリナに勝利。3回戦でビクトリア・アザレンカに敗れた。4大大会初出場で3回戦進出は小幡陽子以来52年ぶり。3月のマイアミ・オープンでは予選を突破し本選出場、本選2回戦で元世界ランキング5位のサラ・エラニを破って3回戦まで進出した。大会後のランキングで95位となりトップ100入りをした。
全仏オープンでは1回戦で第32シードのエレナ・オスタペンコに6-4, 7-5で勝利。2回戦でもミリヤナ・ルチッチ=バロニに6-3, 6-3で勝利。3回戦では世界ランク6位のシモナ・ハレプと対戦、第1セットを先取するも6-4, 2-6, 3-6で惜敗した。
ウィンブルドンは、ひざのけがのため欠場。
全米オープンでは1回戦で第28シードのココ・バンダウェイに6-7(4), 6-3, 6-4で勝利、2回戦で段瑩瑩に6-4, 7-6(3)で勝利し3回戦進出。3回戦では第8シードのマディソン・キーズを相手に第3セット5-1で、あと2ポイントまで追い込むも、そこから逆転され、5-7, 6-4, 6-7(3)で敗れた。
9月の東レパン・パシフィック・オープンではワイルドカードで出場。1回戦で土居美咲との日本勢対決に6-4, 6-4で勝利すると、2回戦で第6シードのドミニカ・チブルコバに6-2, 6-1で圧勝、準決勝でエリナ・スビトリナに1-6, 6-3, 6-2で逆転勝利と強豪を撃破し、WTAツアーで自身初の決勝進出を果たす。決勝は元世界ランキング1位のキャロライン・ウォズニアッキに5-7, 3-6で敗れ準優勝となった。大会後のランキングで47位となりトップ50入りを果たす。これらの活躍が評価され、日本勢初となるWTAアワード最優秀新人賞を受賞した。11月25日、日清食品ホールディングスとの所属契約を結んだ。
2017年 トップ10に初勝利
1月、全豪オープンでは、2回戦で第9シードのジョアンナ・コンタに敗れた。全仏オープンは初戦敗退。
7月、ウィンブルドンでは2回戦で第22シードのバルボラ・ストリコバに勝利したが、3回戦で第10シードのビーナス・ウィリアムズに敗れた。
全米オープンでは初戦で前回覇者で第6シードのアンゲリク・ケルバーに勝ちトップ10に初勝利した。全米オープンで前回覇者が1回戦で敗退するのは全137回のうち女子では2度目、男子を含めても3度目という歴史的な番狂わせであった。その後3回戦でカイア・カネピに敗れた。年間最終世界ランキングは68位。12月、セリーナ・ウィリアムズらトップ選手のヒッティング・コーチを務めたサーシャ・バインがコーチになった。彼はキャロライン・ウォズニアッキとの契約終了2日後にコーチの依頼が来たことに、掛け持ちはしないこと、自身から契約破棄しないことから3日前に連絡が来ていたら断っていたことを「これも運命だね」と語る。また女子選手が200km/hクラスの高速サーブを打てるならば、黙っていてもトップ30圏内に入れる可能性があるのに、当時70位前後であったのを理解できなかったという。
2018年 プレミアマンダトリー、グランドスラム初優勝
全豪オープンでは、2回戦で第16シードのエレーナ・ベスニナ、3回戦でアシュリー・バーティに勝利したが、4回戦でシモナ・ハレプに敗れた。
3月、ツアーカテゴリで4大大会に次ぐプレミア・マンダトリートーナメントのインディアンウェルズ・マスターズで1回戦・元世界1位マリア・シャラポワに6-4 6-4で勝利。その後も勝ち進み、準々決勝で世界ランク5位のカロリナ・プリスコバに6-2 6-3で勝利、準決勝で現世界ランク1位のシモナ・ハレプに6-3 6-0で勝利。そして決勝でダリア・カサキナに6-3 6-2で勝利しWTAツアー初優勝。シングルスでのプレミア・マンダトリー大会優勝は日本人女子初である。この優勝により、WTAランキングを44位から22位とした。練習拠点であるエバートテニスアカデミーで、練習をよく見ていた元世界1位のクリス・エバートは「サーシャを高く評価したい。彼は、彼女に何が欠けていたのか、何が必要かを知っていた。彼女の動きは(コーチ就任前と)明らかに違ってきている」とコーチ変更が初優勝への背景にあることを指摘した。続くプレミア・マンダトリートーナメントであるマイアミ・オープンでは、1回戦で同大会8回の最多優勝記録を持つセリーナ・ウィリアムズに6-3 6-2のストレート勝ちを収めた。
グランドスラムで初めてシード選手として迎えた全仏オープンは3回戦で第13シードのマディソン・キーズに1-6, 6-7(7)で敗れた。7月、ウィンブルドンでは3回戦で初めてのセンターコートでプレーしたがアンゲリク・ケルバーに敗れた。
8月17日、インスタグラムでプレッシャーを感じていたこと、克服しつつあることを告白した。全米オープンでは第20シードで出場。3回戦をダブルベーグルで勝利し、4回戦でアリーナ・サバレンカを6-3、2-6、6-4で下すと、準々決勝ではレシヤ・ツレンコを6-1、6-1で圧倒し、日本女子として1996年ウィンブルドンの伊達公子以来22年ぶりのグランドスラムベスト4進出(全米オープンに限れば初めて)を決めた。準決勝はマディソン・キーズに6-2、6-4とストレートで勝利し、グランドスラムで日本女子史上初の決勝進出を果たした。決勝はセリーナ・ウィリアムズを6-2、6-4のストレートで下し、20歳でグランドスラム初優勝を果たした。この優勝でWTAランキングも7位に上昇、トップ10入りをした。続く東レパン・パシフィック・オープンはカロリナ・プリスコバに敗れたが準優勝した。10月、錦織圭と伊達公子に並ぶ日本人歴代最高タイの4位を記録した。また日本女子で3人目のWTAファイナルズに出場した。年間最終世界ランキングは5位。
2019年 全豪オープン初優勝・世界ランキング1位
全豪オープンでは第4シードとして出場し、3回戦で第28シードの謝淑薇に5-7、6-4、6-1で勝利、4回戦で第13シードのアナスタシヤ・セバストワに4-6、6-3、6-4で勝利し、初めて全豪オープンベスト8に進出した。準々決勝では第6シードのエリナ・スビトリナに6-4、6-1で勝利し、これにより錦織圭と伊達公子の持つ4位の記録を上回り男女通じて日本勢最高の世界ランキング3位以上が確定した。準決勝では、第7シードのカロリナ・プリスコバに6-2、4-6、6-4で勝利した。勝利した方が世界ランキング1位となる決勝では、第8シードのペトラ・クビトバに7-6(7-2)、5-7、6-4で勝利し初優勝を果たした。グランドスラム初優勝からの連続優勝はジェニファー・カプリアティ以来18年ぶり、オープン化以降史上6人目の快挙となった。また、生涯獲得賞金が11億円を超え杉山愛を抜き日本最多となった。今大会ではサービスエース・リターンエース・ウィナー・ブレークの数が女子シングルスの出場者で最も多く、これについて杉山愛は「大坂は『ビッグサーバー』から『オールラウンダー』の選手に変貌を遂げた」と語っている。また、他にも優勝の要因として、「肉体改造によるバックハンドの威力向上」「精神面での成長」を挙げた。1月28日付の世界ランキングで、李娜の持つ2位の記録を上回り男女通じてアジア人初の1位となった。
しかし2月、サーシャ・バインとのコーチ関係を解消したところから、大坂の歯車が狂い始めた。3月のBNPパリバ・オープン、5月のマドリード・オープン、8月の全米オープンと、同世代のベリンダ・ベンチッチに3連敗。グラスコートシーズンではバーミンガム・クラシック、ウィンブルドン選手権とユリア・プチンツェワに連敗するなど苦しんだ。それでも9月に父のレオナルド・フランソワ氏が代理コーチに就任すると、生まれ故郷の大阪で開催された東レ・パンパシフィック・オープンでは2年連続決勝進出、決勝でアナスタシア・パブリュチェンコワを6-2, 6-3で下しツアー4勝目を挙げた。続くチャイナ・オープンでも、準々決勝で全米王者のビアンカ・アンドレースクを、準決勝では同大会前年優勝のキャロライン・ウォズニアッキを、そして決勝では世界ランキング1位のアシュリー・バーティをそれぞれ破り優勝。日本人選手が2大会連続で優勝するのは史上初のことであり、スランプからの復活を印象づけた。WTAファイナルズはラウンドロビン初戦でクビトバを7-6, 4-6, 6-4で破り同大会初白星を挙げたが、第2戦を前に右肩の負傷のため欠場を発表し、シーズンを終えた。年間最終世界ランキングは3位。
2020年 2年ぶりの全米優勝
年始のブリスベン国際でベスト4入りした後、全豪オープンに前年覇者として挑んだが、3回戦で新星コリ・ガウフに3-6, 4-6で敗れた。
3月から新型コロナウイルス感染症の流行の影響でツアーが中断された際には、「マリオテニス エース」を使用した国際チャリティー大会に出場して錦織圭と対戦した。
ツアー再開後の復帰戦、ウエスタン・アンド・サザン・オープンではベスト4するも、ウィスコンシン州で起きた黒人襲撃事件(ジェイコブ・ブレークへの銃撃事件)に抗議する意を込めて翌日の準決勝を棄権すると発表した。しかし、大会側も同意で大会日程を1日延期することを表明したため出場を続行。準決勝でも勝利して決勝に進出したが、この試合で負傷し、決勝は棄権した。
全米オープンでは第4シードとして出場、勢いそのままに勝ち上がり決勝まで駒を進めると、前哨戦の決勝で対戦する予定だったビクトリア・アザレンカを1-6, 6-3, 6-3の逆転で破り、2年ぶり2回目の優勝を果たした。また、引き続き黒人襲撃事件への抗議の意を込めるため、着用しているマスクに過去の犠牲者の名前を記したことでも大きな話題となった。全仏オープンは脚の痛みで欠場し、そのままシーズンを終えた。年間最終世界ランキングは3位。
2021年 2年ぶりの全豪オープン優勝
第3シードで参戦した全豪オープンでは、3回戦まではストレート勝ちで順調に勝ち上がった。4回戦では、スペインのガルビネ・ムグルサを相手に一時はマッチポイントを握られるなど苦戦したが、冷静さを失わず4-6、6-4、7-5で逆転に成功した。これ以降、準々決勝では台湾の謝淑薇を、準決勝では米国のセリーナ・ウィリアムズをいずれもストレートで下した。決勝でも米国のジェニファー・ブレイディを6-4、6-3のストレートで下し、2年ぶり2度目の全豪オープン優勝を決めた。
日本代表
2011年10月、全米テニス協会が大坂にほとんど関心を示さなかったので、父親が「テニス選手としての国籍」は日本を選択した。
2013年9月、東レパン・パシフィック・オープン予選に出場。初戦でシルビア・ソレール・エスピノサに敗れるも、吉川真司代表コーチが「すごい才能」と日本テニス協会に報告した。2014年7月、バンク・オブ・ウェスト・クラシックで本戦出場後、日本テニス協会に登録していないが、日本オリンピック委員会から強化指定選手の認定を受けた。2016年6月6日、特例による五輪出場資格の56位以内を目指していたが、87位と届かずリオ五輪に出場出来なかった。
2019年10月に日本国籍を選択する手続きを行った。
2017年2月、フェドカップの日本代表に初選出され、アジア・オセアニアゾーン1部決勝で自身はガリナ・ボスコボワに勝利したがチームは敗れた。2018年4月、フェドカップはワールドグループ2部プレーオフで勝利し4年ぶりのワールドグループ2部昇格に貢献した。
2018年1月、ホップマンカップは予選敗退した。
プレースタイル
アグレッシブ・オフェンシブベースライナー。豪快でパワー溢れるグラウンドストロークを持ち味とし、両サイドからウィナーを打つことが出来る。パワフルなフォアハンドが武器であるが、脚を踏ん張り、一度の強打で形勢を逆転できるバックハンドも得意。サーブも非常に強力で、最速サービス記録歴代10位の201km/h(125マイル)を計測し、また様々なスピンサーブも打て、緩急をつけることができる。
好きなサーフェスはハード。好きなショットはフォアハンド。
第1セットを先取すると気持ちが乗り負けない。2016年10月の天津オープン準々決勝以降61連勝。第1セットを先取した試合は過去81試合。ストレート勝ちが69試合、フルセット勝ちが7試合で、勝率は約9割3分8厘。第1セットを落とした試合は64試合で、ストレート負けが43回、フルセットでの敗退が8回で、逆転勝ちは13回だけ。勝率は約2割3厘。
人物
家族
父親はハイチ共和国ポルトープランス出身で、アメリカ合衆国のニューヨーク市立大学シティカレッジで学んだ後、13年間日本に在住した、 ハイチ系アメリカ人。母親は北海道根室市出身の日本人で、苗字の「大坂」は母方から来ている。北海道札幌市で出会った両親は、その後大阪府大阪市に転居し、父親は大阪市内で大手語学学校の英語講師をしていた。大坂の姉の大坂まりもプロテニス選手である。大坂の母方の祖父は1945年にロシアサハリン州の勇留島で生まれ、根室漁業協同組合組合長をしている。札幌市の住居が、大坂の日本の住民票の住所である。大坂の母方の曾祖母は「勇留島に萱草の花が咲く頃」の著者の大坂みつよである。
国籍
2018年までは法的には日米二重国籍であったが、 日本テニス協会に所属している。2019年に22歳の誕生日を迎えるに当たり、日本国籍を選択して必要な手続きを行ったことを同年10月10日に明らかにした。
ハイチ系アメリカ人と日本人の両親を持ち、アメリカ合衆国に移住したが、本人は日本、アメリカ、ハイチという3つの国を代表している事を誇りにしている。
育った環境から日本語よりも英語の方が流暢であるが、テニスの記者会見等では英語で質問された後に自らの国籍の言語での質問も受けるのが通例であるため、日本語の勉強もしている。
父親の出身地、カリブ海の島国ハイチでも偉業をたたえる声が広がっている、中南米の最貧国とあってテニス選手の人口は少ないが、ゆかりのある大坂の活躍は地元メディアが連日大きく報じ、試合も生中継している。
テニス関連
試合のルーティーンを決めていてシューズは右から履く。当日の朝食はスモークサーモンを載せたベーグルを食べる縁起担ぎをしている。しかし初優勝した2018インディアンウェルズ決勝は小麦ではなくサワードウ・トーストであった。
憧れの選手はセリーナ・ウィリアムズとロジャー・フェデラー。小学校3年に「将来の夢」というテーマで憧れのセリーナの絵を描き、「彼女のようになりたい」と願いを込め自室に飾った。また良く見る選手はノバク・ジョコビッチ。
2014バンク・オブ・ウェスト・クラシック時、スポンサーはゼロ。飛行機、ホテル、遠征先の食事代は、両親が支えていた。インタビューで当時持っていなかった携帯電話が欲しいと答えたが、母親に賞金で買いなさいと諭された。
ダリア・カサトキナは大坂なおみが苦手な股抜きショットを教えた直後の2018年インディアンウェルズ決勝に敗れ「股抜きショットが見られなかったことが残念」と話し、次のマイアミ・オープンへプライベートジェット機を共有して向かった。
エピソード
大坂が好きな音楽は黒人音楽で、とりわけビヨンセの大ファンであり、「なぜビヨンセが全米オープンと同時期にマイアミでコンサートを開催することに決めたのか教えて。私、本当に泣きそうなの」とツイッターで発言し、2018全米オープンと同時期にビヨンセのライブが重なったことを嘆いている。
大坂が好きな料理は日本食で、特に鰻、焼肉、寿司を好む。フロリダ州フォートローダーデール近くのセミノール・ハードロック・ホテル内の高級和食レストラン「KURO」を訪れた写真を、度々ツイッター上で公開している。
アニメ・漫画好き。特に日本のアニメ、漫画は、日本語を学ぶ材料にもなっている。2016全豪オープンのエリナ・スビトリナ戦後のインタビューで「最強になるんだ、これまでの誰とも違う」と『ポケットモンスター』のテーマソングから答えた事がある。『ユーリ!!!on ICE』を見ていて、平昌オリンピックで、羽生結弦が2大会連続でオリンピック金メダルを獲得した際には、羽生のフリースケーティングの演技の動画とともに「本当に泣きそう。今まで誰かの熱狂的なファンになって感激したことないけど、ユウユウ(羽生結弦)の熱狂的ファンになったみたい。」と投稿した。『ハイキュー!!』を読んで、バレーボールをしてみたが上手く出来なかったエピソードを明かしている。
ゲームは『オーバーウォッチ』、『ジ・エルダー・スクロールズ5スカイリム』などが好き。2018年インディアンウェルズ優勝後から退屈しのぎにプレステ4を遠征に持参し始めた。7月にオーバーウォッチのプロリーグであるオーバーウォッチ・リーグ最終戦も観戦した。
好きな色は黒。好きな俳優はブラックパンサーに出演したマイケル・B・ジョーダン。好きなテレビドラマは『The Office』。映画は『猿の惑星』。好きな街は東京都渋谷区の原宿である。
使うメガネはCOACHのホースアンドキャリッジパイロット。
大坂はオリコンの「好きなスポーツ選手ランキング2018」の「女性部門」で初の1位に輝いた。
2019年9月16日、大阪府知事から感動大阪賞、大阪市長から市長特別表彰が贈られた。
アメリカの経済誌『フォーブス』の2020年の発表によると、年収は世界の女子スポーツ選手として史上最高の3740万ドル。
政治問題
黒人差別抗議活動へ熱心に取り組んでおり、2020年にBLMが盛り上がると賛同する言動を見せた。その年のウエスタン・アンド・サザン・オープンでは大会期間中に起きた黒人襲撃事件(ジェイコブ・ブレークへの銃撃事件)に抗議する意を込めて準決勝を棄権すると発表。しかし、大会側も同意で大会日程を1日延期することを表明したため出場を続行した。続く全米オープンでは着用しているマスクに過去の犠牲者の名前を記したことでも大きな話題となった。日本国内では冷ややかな意見も数多く見られたが、海外では共感を呼び、ニューヨーク・タイムズやナイキなどから称賛を受けた。日本には人種差別は存在しないとする声に対し、大坂は2人のコメディアン(Aマッソ)が2019年に大坂なおみの肌の色を侮辱した事実を思い起こさせるツイートを投稿した。
2019年1月に公開された大坂なおみをモデルにした日清食品のアニメCMでは肌の色がホワイトウォッシュされているという批判があり、公開中止された。その後少女漫画誌『なかよし』2021年2月号より連載開始された大坂なおみをモデルにした漫画「アンライバルド NAOMI天下一」(構成:水野タマ 監修:大坂まり 作画:上北ふたご)では肌の色に留意されている。
4大大会優勝
全豪オープン 女子シングルス:2勝 (2019年・2021年)
全米オープン 女子シングルス:2勝 (2018年・2020年) 
●簡単にメンタルを強くする方法
メンタルだってスキルのひとつ 
自分はメンタル面に課題がある、と思っている人は多いのではないでしょうか。そして、周囲のメンタルが強そうな人を見て、自分には絶対にまねできない、とあきらめてはないでしょうか。生まれながらに強いメンタルを持っている人もたまにはいますが、実は、周りからメンタルが強いと思われている人でも、本人にはその自覚はなく、むしろメンタルが弱いと気にしていることも意外と多いのです。
私は現在、200人のメンバーを抱えるチームのリーダーをつとめており、日々、ストレスとプレッシャーと対峙しながら仕事を行っています。周囲からは、平然としているように見えるらしく、「メンタル、強いね」と言われることもあるのですが、自分ではまったくそうではないと思っています。
実際に若い頃からメンタル面で悩みながら仕事をしてきました。入社3年目で10人ほどの小さいプロジェクトのプロジェクトマネージャーを任されましたが、そのときは日々、胃の痛い思いをしていました。
しかし、それから10年経った今では、それくらいの規模では特にプレッシャーを感じることはないですし、200人規模の大きなチームに対するプレッシャーともうまく付き合えるようになりました。
それはなぜか? 
メンタルをスキルとして強化してきたからです。
はっきり言います。メンタルもスキルのひとつです。プレゼンテーションや資料作成といったビジネス・スキルと同様に、学んで習得していくものなのです。
多くの人が年次とともに組織内でポジションが上がったり、より大きな仕事をしていくようになります。そして、それにともなって受けるプレッシャーやストレスも強くなっていきます。
それらに対峙できるメンタルを、意識的に作りあげていくのです。
ただ、メンタルはスキルと言いましたが、体系立ったスキルエリアではありません。ロジカル・シンキングのように、お決まりの作法があるわけではないのです。私もいろいろな人のやっていることを見よう見まねで、試行錯誤しながら強化してきました。
今回は、私がやってきた「メンタルを強化する3つの方法」をご紹介します。
自分の弱いメンタルと向き合うことから始める
3位 自分のメンタルをノートに書き込む
つらく、苦しい状況にあるときに、その心理状態をノートに書きこみます。前回記事で紹介した「自分ノート」に書き込んでいます。「自分ノート」でなくてもいいので、何かに書き出してみてください。
書き込む理由は、活字にすることで自分の心理状態と冷静に向き合い、分析することができるからです。
自分がなぜそのような心理状態になっているのか。原因となっているものは何なのか、どうすればいいのか、などをあわせて書いておきます。書くことでメンタルがすぐに持ち直すわけではありませんが、そのときどきのメンタルを分析することで対処方法も次第に見えてきます。
私の場合、最近では、「怒られるのも仕事のうち」と書いています。
ポジションがあがったり、責任範囲が広がってくると、自分の仕事だけでなく、チームや組織の仕事に責任を持つようになります。そうすると、配下メンバーの仕事の責任も持つようになり、メンバーの失敗も自分の責任になります。
チームが大きくなればなるほど、メンバーごとに細やかなフォローはできなくなりますが、責任はなくなりません。チームの責任者として、怒られる場合もあります。もちろんストレスを感じます。
そんなときは、「怒られるのも自分の仕事のひとつである」と考えるようにしています。
このように、苦しい状態をノートに書き、なぜ苦しいのか、どうしたらいいのか、ということを淡々と活字にして、自分の内面と向き合うのです。
メンタルについての書きこみは、そのままにせず、たまに読み返すのが効果的です。読み返すことで、今の自分のメンタルが過去と比べて成長していることを実感できるためです。
誰しも、思い返すと入社当時と今の自分では悩みやストレス、プレッシャーのレベルと質は変わってきていると思います。長い目で見れば、成長しているのです。
今から7年前、2008年の私の「自分ノート」には、「悲観的になりすぎず もう少し 楽観的に」というメモが残っています。
この時、一緒に仕事をしていた先輩に言われた言葉です。
その当時、仕事上でストレスを感じることがいくつかあったのですが、ネガティブな精神状態に陥っていることが周囲から見てもわかったのだと思います。
今では当時のような内容では悩みませんし、仕事の失敗などでネガティブになっている後輩に対して、ポジティブになるように方向付けをしたりしています。
つまり成長をしているということです。一度、ぜひ試しに書き綴ってみることをおすすめします。
メンタルを強くするための「自主トレ」
2位 感度を下げるトレーニングをする
メンタルはスキルなので、トレーニングをしないと身に付きません。
メンタルを強くするためのマインドを私は次のように5つに分類しています。
   1. 前向きになる
   2. 失敗を引きずらない
   3. 受け流す
   4. 感度を下げる
   5. 逃げない
私が今いちばんトレーニングで力を入れているのは、「感度を下げる」ことです。「感度を下げる」とは、できるだけ感情的にならないようにする、ということです。
たとえば、報告の場で叱責されたり、社内のミーティングでいろいろなことを言われると、感情的になってしまう場合があります。感情的になってしまうと、論理的に説明できなくなったり、無用な摩擦を起こしてしまったりします。そうなると何もいいことはありません。
そうならないように「感度を下げる」のです。私はまだ苦手です。苦手なので「ロボットになったつもりで」と言い聞かせて感情的にならないようにトレーニングしています。
これをストレスやプレッシャーのかかる場で意識して行います。意識してトレーニングしない限りは身に付きません。
なお、私は5番目の「逃げない」が最も大切なことだと考えています。1〜4の方法をそれぞれ身に付けていきながらも、さらに大きな仕事をしていく、リーダーとしてやっていくうえでは、最終的には「逃げないメンタル」を高いレベルにまで持って行きたいと思っています。
油断するとどうしても逃げたくなる気持ちが出てくることもあるので、「逃げない」と日々自分に言い聞かせて継続的に強化を行っています。
最後の支えになる言葉はあるか?
1位 支えになる言葉や音楽を持つ
メンタル・スキルをトレーニングで向上させたとしても、そのときの自分のメンタル・レベルを超えた、過度のプレッシャーやストレスを受けると心がくじけそうになります。くじけそうになったときに支えとなるものを持っておくと非常に役立ちます。
座右の銘、本や雑誌で読んだ言葉、誰かが言っていた言葉など、あとは、音楽もいいと思います。私にはいくつかありますが、今回は、私が最近使っている言葉をひとつ紹介します。
「イバラの道でも道は道や、歩け!」
私が役員スタッフをしていたときに、その役員が発した言葉です。これを聞いたときは、どんだけ前向きなんだ、と軽く衝撃を受けました。
でも、確かに「道がない」と思うとそこで終わってしまいますが、まだ「道がある」と思えば何か解決策を探そうと前に進みます。
「もうこれ以上、打ち手はない」という状況はビジネスではあまりありません。
どのような無理難題でも、「必ず道はある」はずです。そのような前向きな気持ちを持つことの大切さを思い出せさせてくれる言葉です。
私が担当するチームに対して、非常に厳しいミッションを課されたことがありました。具体的にはここでは書けませんが、戦国時代の戦いになぞらえて簡単に言うならば、「10万の兵力の相手に対して、6万の兵力で戦え」というミッションです。
昔であれば「できない」と思ってあきらめてしまっていたかもしれませんが、私は「必ず道はある」と思い、すぐに「どうやったらできるか」を考え始め、戦略と計画を立てました。
このように、くじけそうになったり、負けそうになったときに、自分を鼓舞するようなものがあると、乗り越えられるための支えとなります。
メンタルは強いか弱いかで語られがちです。しかし、繰り返しですが、メンタルはスキルなのです。スキルである以上、伸ばしていくものなのです。 
●メンタルコントロールのトレーニング
そもそもメンタルの意味は?3つの構成要素
メンタルは、言葉の意味としては「精神」や「心」という訳になりますが、精神面や意志の強さ、集中力の高さなどを表しています。メンタルはさまざまな要素の集合体であり、強くするためにはさまざまなアプローチが必要です。
メンタルは、大きく分けて3つの構成要素である「思考」「感情」「行動」で構成されています。この3つの要素をバランスよく組み合わさっているものがメンタルと言えます。
メンタルが強い・弱いとはどういう状態なのか?
主に「思考」が中心であるメンタルは、日常的にも強い、弱いという状態で表現されています。そもそもメンタルが強い、弱いはどのような状態を表しているのでしょうか。
メンタルが強いと言われる人は、どんなことがあっても強い精神力で自身を保つことができる人です。プレッシャーがかかる場面でも動じない、冷静に判断できる、感情に左右されずいつも通りのパフォーマンスができる状態なのです。
一方で、メンタルが弱いと言われる人は、ネガティブな感情を長く引きづりがちな人です。日々のさまざまな出来事やストレスが身に降りかかり、それを深く受け止めて引きづります。深く受け止めてしまうため、ネガティブな感情の中に入り込んでしまい、中から抜け出せない状態に陥ります。
メンタルが弱い状態が続くと、心にストレスを溜め込む状況となり、心身に支障が出ることもありますので、注意が必要です。
メンタルが強い人と弱い人の特徴を紹介
メンタルが強い人と弱い人には、どのような特徴があるのでしょうか。それぞれのタイプの主な特徴を紹介します。
「メンタルが強い人」の特徴
常に前を向いて生きている / メンタルが強い人は、常にポジティブな精神で前向きに生きています。例え、試合でピンチになったとしても「何とかなる」という精神で困難を乗り越えていくタイプです。また、自身をしっかりと持っているので、周囲やその状況に惑わされることもなく、常に自分を信じて前に突き進んでいくことができます。
失敗を恐れない / 何事も行う前から、失敗することを恐れていては前に進めません。メンタルが強い人は、失敗は成長できるチャンスと捉えており、失敗することを恐れず突き進んでいくタイプです。例えば、サッカーの試合でPKを失敗したとしても、また次に成功するためにはどうしればいいのかを考えて、何度失敗したとしても、目標を達成するまでは諦めず、最後までやり遂げるでしょう。
苦しいときほど笑顔 / スポーツで結果を出したい場合は、プレッシャーと戦いながら真剣な表情で頑張るべきだ、と思う傾向があります。しかし、プレッシャーで緊張したままでは、充分な実力は発揮できません。緊張した状態だと、筋肉が収縮して思うように体が動かないからです。むしろ、笑顔のほうがリラックス状態になり良いパフォーマンスを発揮できます。試合中にピンチになった場合は、表情も強ばり体もガチガチになりがちです。そういうときこそ、笑顔を忘れずに良いイメージを浮かべ乗り切るでしょう。
「メンタルが弱い人」の特徴 
ネガティブな思考で物事を捉えている / 物事は捉え方次第で、ネガティブにもポジティブにも自在に変化します。例えば、レギュラーを外された場合、ネガティブな人は「自分は必要じゃないってことなのか」など、マイナスに捉えてしまうタイプです。物事をマイナス局面から捉える傾向があります。ポジティブな人は楽観的に考え、与えられた環境でも結果を出していくでしょう。
周囲と常に比較をしている / 日頃から、自分と周囲を比較して「自分はダメだ」「チームの中でも一番弱い」などマイナスの感情を生み出すタイプです。精神的に強い人は、「あの人は凄い」「いつか追い抜いてみせる」とプラスに転じて考えることができます。
うまくいかないことを人のせいにする / 何か試合でうまくいかないことがあれば、すぐに何かのせいにして、自分は悪くないと思い込み、楽な方へ逃げようとします。自身の実力や練習不足を素直に受け入れることができず、人や何かに押し付けて逃げ出してしまうタイプです。自身を叱咤激励する勇気もなく、弱い自分を認めようとしません。
メンタルコントロールを鍛えるための6つのトレーニング方法
前述のように、メンタルは自分自身の考えや捉え方次第で、自在にコントロールできるものです。ここでは、メンタルコントロールができるようになるためのトレーニング方法を紹介します。
最終的なゴールをイメージして目標設定をする
メンタルをコントロールする上で重要なことは、「イメージをする力」です。自分自身で最終的に目指すべきゴールを設定し、しっかりとイメージするようにしましょう。目標設定は、より具体的に、より詳細にイメージすることが重要です。
つまり、自分の理想のイメージを鮮明に具体的に持っていればいるほど、脳はイメージを実現しようとしてくれるのです。そしてその良いイメージは肉体的な動きにも連動しています。イメージトレーニングをしていた人と、実際に練習をしていた人を比較しても、同じような脳の働きをしていたという結果になるのです。なぜなら脳は、現実に起こっていることと、イメージで思っていることの区別をつけることができないからです。
しかしイメージトレーニングだけしていれば上達するということではありません。イメージトレーニングを行いつつ、体を動かすことも行いましょう。そうすることで、脳から筋肉への伝達ルートが強くなります。
例えば、レモンを口に含んだ状態を想像してみましょう。自然と唾液が分泌される結果からも、私たちの脳は、想像と現実をはっきり区別できていません。
いつまでに目標を達成し、達成した時の周囲の景色や気持ち、周りの自分を称える声、など詳細な情景をイメージしましょう。最終的な目標をイメージする流れを、毎日5分行うようにしましょう。続けることで自分に自信がもてるようになります。
マインドフルネス瞑想で集中力をアップする
近年、世界的に有名な企業であるグーグル、インテル、ナイキなどが取り入れたことで話題になっているマインドフルネス瞑想。マインドフルネスとは、瞑想を手段として用いることで、集中力を高めたり、自身の気持ちをコントロールできるようにしたりするトレーニングです。
瞑想を行うことで、集中力が高まり、勝負所で力を発揮できるようになったり、リラックス効果があったり、ダイエット効果も期待できます。
このマインドフルネス瞑想は、1979年にアメリカのマサチューセッツ大学教授であった、カバット・ジン氏が仏教の修行法である瞑想から宗教的な部分を取り除き、ストレス緩和に用いたことから始まったと言われています。
また、広く知られるようになったのは、科学的に根拠があると証明されてからでした。2013年には、209の研究、延べ被験者数1万2000人以上を対象に分析を行い、特に不安、うつ、ストレスという心理的な問題において減少効果が見られました。
このようなマインドフルネス瞑想を、毎日10分継続することでも、ストレスは軽減されるでしょう。人の頭は常に何か考えたりしています。その状態から解放することで、自律神経が回復されます。また、集中力アップにも効果があり、良いパフォーマンスを発揮できるでしょう。
肯定的な自己暗示をかける
自分の過去にネガティブな体験や経験があり、それが自身の潜在意識の中に入っていると、自己否定を招いている場合があります。このような場合には、潜在意識を書き換える作業が必要となります。
一般的には、潜在意識をポジティブなものに書き換える作業を、「アファメーション」といいます。アフォメーションの方法は、なりたい自分になるための言葉を自分に言い聞かせます。なりたい自分の文言を、何度も何度も自分に投げかけることで、思い込み状態を作り出すのです。
できないと思っていれば当然できません。「自分はできるんだ」という肯定的な言葉を自身に投げかけることで、自身の潜在意識からポジティブに変えていきます。思い込みの状態を作りだせば、無意識の状態でも、ポジティブな思考や行動が期待できるでしょう。
理想の人をモデリングする
成功する体験がなければ、成功した人を真似するのが一番の近道です。これを「モデリング」といい、成功した人を観察して真似をする方法です。
「人の真似をするなんて恥ずかしくてできない」と思うかもしれませんが、モデリングは確実に早く目標を達成する可能性が高い方法です。モデリングをすると、今までの自分のやり方や考え方を客観的に見直すこともでき、新しい視野の発見が期待できます。理想の人を真似ることで、ポジティブな思考になり、成功へのイメージも明確になるでしょう。
生活習慣を見直して規則正しい生活を送る
生活習慣が乱れていると、心身ともに健全な状態を維持できなくなります。安定した心の状態を維持するためにも、規則正しい生活を送るようにしましょう。まずは、しっかりと睡眠を取ることです。睡眠時間が不足すると、次の日のパフォーマンスにも影響します。
睡眠中に、脳の中ではお掃除が行われています。脳脊髄液が毒性のある排泄物を除去作業を行っています。したがって、睡眠不足になると、体調にも支障をきたす場合もありますので、しっかりと睡眠を確保して規則正しい生活を送るようにしましょう。
ストレスを発散させリラックスできる状態にする
メンタルをコントロールするためには、リラックス状態になることが重要です。そうすることでストレスを発散できます。リラックス状態を作るポイントは、「オン」と「オフ」を使い分けることです。そして楽観的なものの考え方を身につけるようにしましょう。
メンタルコントロールに大切なのはセロトニン
メンタルをコントロールするためには、心の状態が安定していることが基本となります。さまざまな習慣や行動で、リラックス状態を作り出すこともできますが、朝のある習慣を身に付ければ、簡単に精神を安定させる効果があります。
それが、幸せホルモンと言われている「セロトニン」の分泌です。どのようにすれば、セロトニンを増やすことができるでしょうか。
幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」とは?
幸せホルモンと呼ばれている神経伝達物質である「セロトニン」は、精神を安定させる効果があり、ストレスを軽減させる働きがあります。セロトニンが不足すると、うつ病などの精神疾患に陥る場合がありますので注意が必要です。
ストレス耐性を手に入れるためのセロトニンの増やし方
では、体内のセロトニンを増やすための方法を紹介します。
日光を浴びるようにする / 朝起きてから、すぐに日光を全身で浴びることで、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌がストップされ、セロトニンの分泌が始まります。夜勤などの関係で、朝の日光を浴びることができない場合は、蛍光灯の光などで代替え可能です。
軽い運動を心がける / リズミカルで規則正しい運動を心がけることで、セロトニンの分泌を促すことができます。ウォーキングやスクワットなど軽めの運動で規則正しい運動を取り入れましょう。また、運動が難しい場合には、歯を磨いたり、ガムを噛むなどして一定のリズムのある動作を繰り返すことでセロトニンの分泌効果が得られます。
セロトニンを生成する食材を取り入れる / セロトニンは、アミノ酸の1種であるトリプトファン、ビタミンB6、炭水化物によって体内で生成されます。トリプトファンは、体内で作ることができないため、食事で取り入れるしか方法がありません。トリプトファンを多く含む食品は、卵、牛乳、バナナ、チーズ、豆腐などに含まれています。同時にビタミンB6を多く含む食品である、にんにく、カツオ、レバー、マグロなども摂取することをおすすめします。その中でも特にバナナは全てを含んだ食品として手軽に取り入れることができます。
メンタルコントロールができるトレーニングって、難しいのかな、なんて思っていたけど、意外とすぐにでもできそうなものばかりで安心したわ。
そうだね。自分に合う方法を見つけて毎日続けていくことが大切なんだよ。
そうよね。毎日習慣化してしまえば、きっとメンタルコントロールができるようになるわね。
その調子!規則正しい生活習慣を取り入れて、心身ともに安定した毎日を過ごしていくことが大切だね。そうすれば、自然とポジティブな気持ちになれるよ。今日から一緒にトレーニングを頑張ろう!  
 
 

 
2021/2