越後屋の命運

大昔 勤めていた会社
盆暮れのご挨拶 贈答品は越後屋がしきたり

一般の評価も 越後屋が一番
貰った人も  喜んでくれました
 


 

 
 
 
 
 
バブルが終わっても 
越後屋の評価 江戸で一番でした
外商部門は最強 頑張っていました
 
やはり 基盤の富裕顧客も高齢化 
購買層の変化 対応できなかったのでしょう
(株)三越伊勢丹ホールディングス
日本の百貨店の純粋持株会社。同社傘下として三越伊勢丹(関東地方の店舗を運営)をはじめとする各地方の百貨店運営会社などを所有している。
日本国内にある政令指定都市のほぼすべてに出店しているほか、世界進出でも長い歴史を持ち、成功している。同社発足により売上高・規模で日本の百貨店業界首位となり、以降、現在までその座を手放していない。
百貨店業界第5位につけながらも低迷している東京急行電鉄(傘下の東急百貨店)と業務提携し、経営支援していたが、2015年3月末で提携を解消している。
景気低迷期であったはずの1990年代に、独自のマーチャンダイジング(MD)で躍進した新興の伊勢丹が、日本最古の百貨店でありながら、資本増強に苦しんでいた三越を取り込む形で経営統合。2008年4月1日に株式移転により純粋持株会社として発足した。
伊勢丹は長らく同族企業(創業家小菅家)であったが、改革を掲げた当時の世襲経営者がメインバンクとの関係を薄めたのを機に乗っ取り屋に狙われるなどした事件が起き、1993年退任とともに完全に世襲を排した。新宿本店の「解放区」といった過激なMDが実を結ぶのはそのあとである。三越(越後屋呉服店)は三井財閥の源流である名門企業であり、両社はかなり異なった企業体質を持っていた。ただし、慶應義塾大学の学閥が強いことで共通していた。
相互にメインバンクが異なる両社を統合したのはホールディングス代表取締役会長兼最高経営責任者の武藤信一であったが、統合後2年経たない2010年1月に急逝した。
その後、後継と目されていた実力者・二橋千裕は、当時業務提携を結んでいた東急百貨店の社長に転出し、事実上放逐された(2015年3月まで専務執行役員として当社に籍を残していたが、提携終了に伴い退任)。会長の座には橋本幹雄が就いたが代表権は与えられない。武藤は実際には異なる人物を後継として指名したとされる。  
 
三越伊勢丹、クーデター勃発で2トップ電撃退任か 3/8
 社内対立先鋭化「三越ばかりリストラ」
三越伊勢丹ホールディングス(HD)は3月7日、大西洋社長が退任し、後任の社長として杉江俊彦取締役専務執行役員が4月1日付で昇格すると発表した。石塚邦雄会長は6月の株主総会で代表取締役会長執行役員を退任する。
前日に大西社長の引責辞任が報じられた。後任が決まらないうちに社長退任が表面化したことで憶測が呼んだ。店舗閉鎖をめぐり、旧三越勢と旧伊勢丹出身者の対立が激化。三越出身の石塚氏が伊勢丹側のエース、大西社長と刺し違えたのではないかと噂された。
三越伊勢丹HDは7日午前、伊勢丹新宿本店近くの本社で社外取締役を中心とする指名報酬委員会を開いた。結論は、会長と社長の2トップを更迭。委員会の協議を踏まえ、その後の取締役会で正式に人事案を決議した。
現在の三越伊勢丹HDのボード(取締役)は、次のとおりだ。
代表取締役会長執行役員 石塚邦雄・三越出身
代表取締役社長執行役員 大西洋・伊勢丹出身
取締役専務執行役員(営業本部長) 松尾?哉・伊勢丹出身
取締役専務執行役員(経営戦略本部長) 杉江俊彦・伊勢丹出身
取締役常務執行役員(業務本部長) 和田秀治・三越出身
取締役 槍田松瑩・三井物産顧問(元社長・会長)
取締役 井田義則・いすゞ自動車相談役(元社長・会長)
取締役 永易克典・三菱東京UFJ銀行相談役(元頭取・会長)
指名報酬委員会は社内2人、社外3人で構成されるとしているが、委員名は明らかにしていない。社内は代表権を持つ石塚会長と大西社長の2人、社外は槍田、井田、永易各取締役の3人と推定できるが、同委員会を仕切る委員長が誰なのかは公表されていない。
社内取締役の構成は、伊勢丹3人に対して三越が2人。伊勢丹が多数派を占めている。それにもかかわらず、大西社長は引責辞任に追い込まれた。何が起きたのか――。
大西社長の急激な改革に労働組合が音を上げ、辞任要求にまでエスカレートした。これを利用して、石塚会長が大西社長に辞任を迫る“クーデター”に発展したとの見方が強まっている。社外取締役たちは、先鋭化している伊勢丹と三越の社内対立を収めるには、喧嘩両成敗、つまり石塚会長と大西社長の退陣しかないと判断した。
伊勢丹主導の改革を継続させるために、経営戦略本部長の杉江取締役を次期社長に起用した。2代続けて伊勢丹出身者が社長に就くが、実は杉江氏は「石塚会長に近い存在」(関係者)という見方もある。経営戦略本部長として大西社長が主導した不採算店の閉鎖など、構造改革路線を杉江氏は補佐する立場だったが、実は石塚会長と気脈を通じていたというのだ。「今後は、社内融和、早期の混乱収拾を最優先させる」(同)という。
2トップの更迭劇は、メーンバンクの三菱東京UFJ銀行の意向が強く反映されたものと金融界では受け止められている。同行はお目付役として社外取締役を送り込んでいる。
メーンバンクが仕掛けた伊勢丹による三越の救済合併
そもそも、三越と伊勢丹の経営統合を仕掛けたのは、三越のメーンバンクの三井住友銀行だった。三越の業績悪化に業を煮やした三井住友銀行が、三越に対して「伊勢丹と組んで再生すべきだ」と迫ったという。三越の伊勢丹への実質的な売却であるから、伊勢丹のメーンバンクである三菱東京UFJ銀行は統合を受け入れた。
持ち株会社三越伊勢丹HDの株主構成を見ればはっきりする。三菱東京UFJ銀行は第8位の大株主だが、三井住友銀行は上位10番に入っていない。
三越も伊勢丹も「企業風土があまりにも違いすぎる」として、当初は統合に消極的だった。それでもメーンバンクの意向には逆らえなかった。2008年4月、持ち株会社、三越伊勢丹HDが発足した。近代百貨店の祖・三越のプライドを傷つけないようにするとの配慮から、社名は三越を先にした。持ち株会社の初代社長には、三越社長の石塚氏が就いた。
三越と組むことを決断した武藤信一・伊勢丹社長は09年6月、社長の椅子を大西洋氏に譲るとともに、三越伊勢丹HDの会長兼最高経営責任者(CEO)に就き、全権を掌握した。だが10年1月、武藤氏が急死し、最高実力者を失った社内は大混乱に陥った。後任人事が発表されたのは、武藤氏の死去から8日後のことだった。
その舞台裏は、三越と伊勢丹の妥協が成立したことによる。CEOを廃止し、集団経営体制に移行。持ち株会社は伊勢丹出身の橋本幹雄氏が会長、三越出身の石塚氏が社長(続投)となった。共同統治体制といえば聞こえがいいが、実際には誰も責任を取らない“無責任体制”に陥ったと揶揄する声もある。
新体制の大仕事は、三越と伊勢丹の百貨店事業の統合だった。11年4月、合併新会社として三越伊勢丹が発足した。そして12年2月、持ち株会社三越伊勢丹HDの会長に石塚氏、社長に大西氏が就任して、今日に至っている。
ボーナス格差で火がつき、三越の店舗リストラで不満が爆発
三越伊勢丹は船出した直後から逆風に見舞われた。給与体系は合併後に一本化されたが、ボーナスの格差は凄まじかった。伊勢丹出身者の11年夏のボーナスは三越出身者の2倍以上といわれたほどだ。
カネの恨みは恐ろしい。旧三越側は「同じ仕事をしているのに、なぜこんなに差が出るのか」と不満を募らせた。一方、旧伊勢丹側は「働かない三越勢に足を引っ張られている」との恨みが強かった。慶應義塾大学出身者が幅を利かせ、“おぼっちゃま”体質の三越と体育会系の伊勢丹では、肌が合うわけがなかった。そんななかで、ボーナス格差が対立の火に油を注いだ。16年夏になってボーナス格差はやっと解消した。
伊勢丹が三越を吸収合併するのであれば、給与や人事を伊勢丹方式で一本化しなければならない。その場合、まず三越側に不利な条件をのませたうえで吸収するという段取りになる。これは吸収(救済)された側の悲哀である。トップが腹をくくって取り組むべき力仕事であり、共同統治という微温的な体制でやれるわけがない。
それが、両社の出身者にボーナスで格差をつけるという、お粗末なやり方だったので、かえって対立を際立たせた。
店舗づくりは伊勢丹流にこだわった。11年5月、JR大阪駅の駅ビルにJR大阪三越百貨店を出店。伊勢丹流の店舗づくりに取り組んだが販売不振が続き、わずか4年後の15年には百貨店の看板を下ろした。
この店舗は、もともと三越が05年に閉店した大阪・北浜にあった旧大阪店の後継店舗として出店を決めていたものだ。経営統合で伊勢丹が主導権を握ったが、伊勢丹の本音は大阪からの撤退だったといわれている。三越側の熱意に押されて出店したが、旧三越大阪店のメーン顧客だった60歳前後のシニア層は、若年層や婦人層をターゲットにしたファッション百貨店を敬遠した。ここでも三越と伊勢丹のミスマッチが失敗の原因となった。ところが、大プロジェクトが失敗したにもかかわらず、誰も責任をとらなかった。
中国人観光客による“爆買い”で三越サイドは元気を取り戻した。銀座三越は、爆買いの聖地となり、爆発的に売り上げを伸ばした。しかし、爆買いバブルが弾け、これを機に大西社長は大リストラに乗り出した。
千葉三越や多摩センター三越を3月末に閉鎖するだけでなく、松山三越、広島三越の売り場縮小を検討すると表明。管理職のポストの1〜2割の削減、人員削減を検討していた。旧三越出身者から「三越ばかりがリストラされる」という不満の声が外部に漏れるようになった。
三越vs.伊勢丹の根源的な対立に、社外取締役は喧嘩両成敗の断を下した。新社長に就く杉江氏は、大西社長のもとで経営戦略本部長として経営改革を推進したが、大西路線をそのまま引き継ぐことはない。
社外取締役が求めているのは、社長への権限の一本化である。集団指導という名の無責任体制の弊害を改め、経営責任を明確化することだ。そのため、6月以降は石塚氏の後任会長を置くことはないとの公算が高まっている。
三越側の“クーデター”は成功したかに見える。だが結局、伊勢丹色が強まるだけと見通す声が多い。
「『三越の店ばかり閉鎖される』というが、それだけ三越の働きが悪かったということだ。大西社長に辞表を書かせたのは石塚会長だが、石塚会長に代表される三越出身者は、天に唾することになったのではないのか」(流通大手幹部)
新社長の杉江氏は、大手アパレル業界では無名に近い。石塚会長に近づいて社長の椅子を手に入れたが、業績を早期に立て直さないと、次は杉江氏の首が飛ぶかもしれない。 
 
三越伊勢丹、異例すぎる社長退任の巨大衝撃 3/13
 杉江新体制はリストラを断行できるのか
まさに異例の退場劇だった。
三越伊勢丹ホールディングス(HD)は3月7日、大西洋社長が同月末に辞任し、後任に杉江俊彦専務執行役員を昇格させる人事を発表した。
大西氏と杉江氏は共に伊勢丹出身。大西氏は6月開催の株主総会まで取締役を続けるが、三越出身の石塚邦雄会長とともに総会で退任する。大西氏は慣例で2期4年務めるはずだった日本百貨店協会の会長も、1年を経ずして辞めることになる。
今回の辞任はかつてないドタバタぶりだった。後任も決まっていない中で辞任報道が先行。実は大西氏の辞任が正式決定した日には、来年度の執行役員人事が発表される予定だった。だが、今回の電撃辞任で、内定していた人事を白紙撤回。杉江体制に合わせ選び直したうえで、今週初めにも新たな役員体制が発表される見通しだ。
労働組合からの圧力
今回の辞任に関しては、店舗リストラをめぐる旧伊勢丹側と旧三越側の対立が引き金になったという見方も報じられている。だが実際は、大西氏が独断専行により求心力を失ったというシンプルな理由によるものだ。
同社には2015年度こそ訪日外国人客の“爆買い”という神風が吹いたが、2016年春以降はその動きが沈静化した。もともと訪日消費を除いたベースでは減収が続いていたため、厳しい実態が一気に表面化。首都圏・地方を問わず店舗は軒並み減収に陥り、特にグループの収益柱である基幹3店(伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店、三越銀座店)の低迷が打撃となった。
伊勢丹新宿本店の2016年4月〜17年2月の売上高は前年同期比で3.1%減。2013年に実施した改装による効果が長続きしなかったことに加え、通路拡張で売り場面積が10%減少したことも響いた。
同社は当初、2016年度の営業利益計画を前期比12%増の370億円としていた。が、昨年10月に240億円へと下方修正。その後も低迷が続いており、残業代や店舗修繕費など経費を必死に削減しても「240億円の達成すら厳しい」(同社関係者)状況だ。
同社は伊勢丹時代からの伝統で、毎年夏、前年度の業績を基にした決算賞与を支給する。最近では3カ月分近い水準が出ていたが、今年は例年にない業績の低迷により決算賞与は半減する見通しだ。
三越伊勢丹はほかの百貨店に比べて高給なことで知られるものの、本給は安く、賞与で還元する仕組みになっている。伊勢丹出身のある社員は、「この決算賞与は衝撃的。そもそも三越と一体になってからは、賞与は頭打ち。統合による果実をまったく実感できない」と吐露する。
現場はリストラ対象店舗をメディアで知った
こうした状況に追い打ちをかけたのが、大西氏のスタンドプレーともいえる言動だった。
2016年11月に開かれた決算会見の席上でのこと。苦戦する地方・郊外店についての改善策を問われた際に、大西氏は伊勢丹松戸店、伊勢丹府中店、広島三越、松山三越の4店を具体的に挙げ、百貨店部分の縮小やテナント誘致など抜本策を講ずる方針を明らかにした。
実はこの時点で4店の改革については社内で機関決定されていなかった。それ以外にも「新潟、札幌の重複店舗の整理」「正月営業の見直し」など、大西氏の口からは次から次へと重要事項が伝えられ、報道先行となった。
これに強く反発したのが、“現場”だった。同社の労働組合は年末にかけて、全従業員に対してアンケートを実施。すると社員からは厳しい声が続々と集まった。
労組は「各種メディアを通じ、これまで名前が挙がっていなかった店舗の構造改革や100億円の人件費削減など断片的な情報が発表されて、職場が混乱した」と経営陣に強く抗議。社内の不満を突き付けられ、大西氏は辞任を決断せざるをえなかった。
労組が反旗を翻したのはこれが初めてではない。1993年、かつての伊勢丹で創業家出身の小菅国安元社長が株式売買に関する不祥事で突如退任したのも、労組との対立がきっかけだったとされる。
ただ、大西氏が辞任しても、同社の現状が好転するとは限らない。
次期社長の杉江氏は食品畑の出身。管理能力には定評があるが、営業力強化に向けた手腕は未知数だ。
今後は伊勢丹新宿本店や三越日本橋本店で大型改装も予定されているが、本業回復の道筋を示すのは容易ではない。大西時代に取り組んだ自社開発商品の強化を続けるかどうかも大きなポイントとなる。新体制では、HDと事業会社のトップを分ける案も検討されているようだ。
他社に目を向けると、高島屋はショッピングセンターなどの不動産開発を収益源に育てた。J.フロント リテイリングはテナントに売り場を貸すことで固定費の圧縮を図ってきた。
リストラを断行できるか
三越伊勢丹も大西氏が主導する形で、ブライダル会社の設立や旅行会社・エステ会社の買収に踏み切るなど事業の多角化を進めてきた。だが、いずれの事業も中途半端。今や競合2社との収益力の差は歴然だ。
そして最大の課題は、高コスト体質が温存されていることだ。3月20日には三越千葉店と三越多摩センター店を閉店するが、両店の正社員は他店への配置換えで雇用は維持される。
大西氏は伊勢丹と三越の「社内融和」を説き、人員削減を伴う抜本的なリストラは後回しにしてきた。後任の杉江氏は大西氏の下で経営戦略本部長に就き、大西路線を支えてきた人物。大きな変化は望めないとの見方もある。
社内に鬱積していた不満のマグマが爆発したことで起きた今回の退場劇。しかし難題は何ら解決していない。杉江新体制は先送りされてきたリストラを断行できるか。三越伊勢丹にとって、自力で再建する最後のチャンスだ。 
三越伊勢丹HD社長、異例ずくめの退任劇の真相 3/13
百貨店最大手、三越伊勢丹ホールディングス(HD)の大西洋社長が3月末に辞任する。改革の道半ばにしてのトップ交代で、社内外は大混乱に陥っている。“ミスター百貨店”と呼ばれた業界の旗手は、なぜつまずいたのか。
「本意ではなかった。しかし、構造改革に伴う問題はトップである私の責任。だから辞表にサインした」
3月7日、突然の辞任を発表した三越伊勢丹ホールディングス(HD)の大西洋社長は、周囲にこう漏らしている。
本意ではない──。この言葉が示すように、三越伊勢丹HDの社長交代劇は、上場企業らしからぬ混乱の中で進んでいった。
きっかけは3月6日、朝刊の1面に「大西社長が辞任へ」との記事が掲載されたことだった。
関係者の話を総合すれば「このタイミングでの辞任は本人は望んでいなかった」というが、報道を受け、後任の社長が未定だったにもかかわらず、大西氏の退任だけが会社側から一方的に発表される。
午前11時、「代表取締役の異動について、明日の取締役会で決議する予定」と、社長交代について異例の“予告”。一方で、後任社長は「未定」で押し切った。
翌7日午前、三越伊勢丹HD本社に、大西氏と石塚邦雄会長、3人の社外取締役が集まり、指名報酬委員会が開催される。ここでようやく、次期社長として杉江俊彦専務の昇格が決まった。
その後開かれた取締役会で、大西氏は自ら辞表を提出し、石塚氏も6月の株主総会をもっての退任を表明。そして、指名報酬委の答申通りに、杉江氏の社長昇格が承認された。
ところがである。後任が決まったにもかかわらず、社長交代の記者会見は開催されずじまい。「新体制が整い次第、会見する」としているが、具体的な日付は9日時点で未定のままだ。
ちなみに10日には、新たな収益源と期待されていた、レストラン事業の記者会見が予定されていた。それも8日になって突然キャンセル。未定であるはずの「新社長の会見準備を広報が行うため」というのが理由だ。
突然のトップ交代は、社内にも波紋を広げた。三越伊勢丹HDでは通常、3月初旬から春の人事異動の内示が行われる。今年も、すでに一部の幹部には内示されていたのだが、トップ交代に伴って「全て杉江新社長の新体制で決め直す」(三越伊勢丹HD)として白紙に戻された。
また、見逃せないのは、7日に発表された人事は、あくまでHDの社長に関してだということ。中核会社である百貨店の三越伊勢丹の社長については、これまた未定のままなのである。
求心力を失わせたマネジメント手法 擁護する役員も不在
何から何まで決まっていない中、“新聞辞令”で大西氏の退任だけが進むという異例ずくめの展開の背景には何があったのか。
業界内には、昨年末から社内外に飛び交っていた、大西氏の経営手腕を疑問視する「怪文書」が理由だとの声がある。
内容から見て、発信源は経営統合以降抑え込まれ反発していた旧三越出身の一派とみられているが、不穏なムードが流れていることを社外取締役などが問題視したというのだ。
だが、三越伊勢丹HDのある幹部はこうした見方を否定し、「伊勢丹や三越という出身に関係なく、多くの役員や部下が大西さんから離れていった」と打ち明ける。
大西氏が求心力を失った一因に、「外にしゃべって社内にやらせる」と社内でやゆされていたマネジメント手法がある。
発端は昨年11月、「抜本的な構造改革」を行うとして、伊勢丹松戸、伊勢丹府中、松山三越、広島三越の4店を名指ししたことだ。
大西氏には、店舗閉鎖や人員削減を行う意図はなかったのだが、機関決定した内容ではない上に、店舗閉鎖と捉えた取引先から問い合わせが殺到。現場は大混乱に陥り、会社側は火消しに追われた。
そうしたトラブルがあったにもかかわらず、今年1月にも、統合に伴って店舗が併存する地域について、「集約して構造改革を進めないと立ち行かない」と一部報道機関に話してしまう。
実は、こうした発言の裏には、経営統合後、構造改革が遅々として進まないことに対する焦りがあった。
「インバウンド特需などによって業績が良かったため、社内に危機感が乏しかった。大西氏は、好調なときにこそ改革すべきだと考えていたが、一向に進まなかった」(三越伊勢丹関係者)
そこで、「外部にトップの思いを発信することで社内を動かす、つまり“外圧”を使って改革を進めようとした」(同)というのだ。
しかし、そうした思いは現場に伝わらず、「社員が話せば情報漏えいになるのに、社長が話すのはいいのか」といった不満が澱のようにたまっていった。
また、“コト消費”をにらんだ成長への布石として、エステや旅行会社を相次いで買収するなど多角化も進めていたが、これも真意が伝わらず、本業以外に手を出すことが許せない社内の一部が反発した。
こうした事態に直面した大西氏は次第に孤立していく。擁護に回る役員がいなかったからだ。
もともと大西氏は、旧伊勢丹社長の故武藤信一氏から引き立てられる形でトップに上り詰めた。そのため、周囲に気を使ってか、腹心を身近に置いて体制を固める道を選ばず、役員の多くは“武藤人事”のまま。大西氏の急激な改革に及び腰だったのだ。
こうして大西氏は四面楚歌に陥り、辞表にサインせざるを得ない状況に追い込まれたというわけだ。
退任表明後、大西氏は近しい人に「こうした状況になってしまったのは自分の責任。外に対して発信し過ぎたことは反省している」と漏らしている。
苦戦が続く百貨店業界で、最近まで勝ち組といわれていた三越伊勢丹HD。しかし、インバウンド特需が剥げ落ちて業績が悪化、改革が急務であることは論をまたない。急進的なトップをすげ替え、改革をストップさせてしまうようでは未来はおぼつかないだろう。 
 
三越伊勢丹の社長退任、頼みの「新宿」低迷響く 3/14
 大西氏の百貨店改革道半ば
三越伊勢丹ホールディングス(HD)の大西洋社長が月内に退任する見通しとなった。同社は7日に開く取締役会で「代表取締役の異動について決議する予定」と発表した。大西氏は2012年に社長に就任し、百貨店の建て直しを図ったが、道半ばで退任することになった。
三越伊勢丹HDの2016年4月〜12月期決算は、売上高が前年同期比3.9%減の9306億400万円、営業利益が同36.2%減の196億3700万円と苦戦が鮮明だった。2017年3月期通期の連結業績は、売上高が前年同期比2.9%減の1兆2500億円、営業利益は同27.5%減の240億円で減収減益の予想だ。大西社長を中心に、今春に新中期経営計画を発表する予定で準備を進めてきた経緯がある。店舗の閉鎖や直営売り場の縮小のほか、店舗運営改革についても具体的に発表される見込みだった。
百貨店業界全体の売上高は現在6兆円と、ピーク時の9兆円から3割程度も縮小している。その中で大手3社、三越伊勢丹HDとJ.フロントリテイリング、高島屋は改革を迫られていた。Jフロントは「脱・百貨店依存」を鮮明にして、専門店ビルのパルコを買収するなど、最も積極的に事業の幅を広げてきた。高島屋もアジアを含め、ショッピングセンターなどの不動産事業に力を入れている。
三越伊勢丹HDの2016年4月〜12月期の売上高は約9300億円。このうち百貨店事業が約8500億円を占め、比率は約92%に達する。同じく第3四半期までの累計で、同比率が約65%のJフロント、同約87%の高島屋と比較しても、百貨店依存度が高いことが分かる。一方、百貨店事業の利益率は三越伊勢丹HDが最も低い。百貨店事業で稼いだ利益を同売上高で割った百貨店利益率は1.04%しかなく、Jフロント(同2.43%)の半分以下で、高島屋(同1.22%)にも届かない。現在「衣料品不況」などの逆風もあって、流通業界の中でも、百貨店の厳しさは際立つ。三越伊勢丹HDは、百貨店事業に集中しながら、その事業の利益率が低いという、危機的な状況にあるのだ。2016年1月以降の株価を見ると、他の2社と比べて低迷が続いている。
2017年3月には三越の多摩センター店、千葉店をそれぞれ閉鎖するなど、不採算店舗のリストラを進めているが、地方や郊外店舗を中心に店舗網の再構築は依然として遅れている。昨年11月の中間決算の発表の場で、大西社長は、首都圏にある伊勢丹松戸店や同府中店など、具体名を挙げながら、店舗ごとに収益改善案を検討すると表明した。苦戦する地方店や郊外店の対応が遅れていることについて、大西社長は「検討するだけで、実行が伴わなかった部分がある。本部が考えた戦略と、現地の意向との間で、コンセンサスが取れなかった。最終的には私の責任だ」と話していた。
問題は地方・郊外店だけではない。深刻なのは都心の旗艦店の販売低迷だ。2016年4月〜12月期で、伊勢丹新宿本店の売上高は、1979億6900万円と前年同期比2.8%の減少。三越日本橋本店は1261億6500万円で、2.2%減、三越銀座店は599億4300万円で6.9%減と苦戦した。昨年春時点の期初予想では、伊勢丹新宿本店の2017年3月期の売上高は、2期連続の増収を見込んでいた。しかし、ここ数年の売り上げを底上げしてきた中国人観光客らのインバウンド消費の効果が、急速に剥げ落ちるという誤算に加え、主力の衣料品も不振から立て直し切れなかった。
特に、三越伊勢丹の屋台骨を支えてきた巨艦店舗、新宿本店が振るわない状況は、同社を苦しめている。新宿本店は2012年6月から2013年3月にかけて総額90億円の大規模リニューアルを実施した。年齢別のフロアからライフスタイルに合わせたフロア構成の変更や、自主編集売り場の拡大、婦人のシューズ売り場を1.5倍に広げるなど、「ファッションの伊勢丹」を全面的に押し出した改装だった。
伊勢丹と三越の統合10年で岐路に
伊勢丹新宿本店の別館を全面改装して、2003年大々的にオープンしたメンズ館。この立役者とも言われた大西氏にとっては、新宿本店で手がけたリニューアルは、自らの力を社内外に示す好機だったはずだ。だが結果は、伊勢丹HD全体の業績を押し上げるような効果は発揮できなかった。2014年3月期の新宿本店の売上高は、2654億円と前の期比で12.1%増となったが、翌2015年3月期は2585億円と2.6%減。予想の4.9%プラスの2711億円を大幅に下回る結果となった。
手広く広げた地方・郊外店のリストラが遅れる中で、頼みの旗艦店も落ち込んだことによって、三越伊勢丹HDの危機はより明確になった。
訪日外国人による「爆買い」が沈静化したことは、少なからず百貨店各社に影響を及ぼしているが、三越伊勢丹HDは他社と比べて回復力が乏しかった。三越銀座店内に1年前オープンした市中の空港型免税店「Japan Duty Free GINZA」も苦戦している。消費税だけでなく関税なども免除される空港型の免税店が、沖縄県以外で市中にオープンするのは初めてだった。日本空港ビルデングなどとの共同出資で、三越銀座店8階に開業したが、当初目標を大幅に下回る結果になっている。初年度133億円の売り上げ目標に対し、売上高は44億円、営業損益は20億円の赤字となる見込みだ。
各社が不動産事業などを一気に広げる中、「百貨店であり続ける」「(衣料品不況の)こんなときだからこそ衣料品を改めてしっかりやっていきたい」などと話し、百貨店の「盟主」としてのこだわりとプライドを見せてきた大西社長。その一方で、ここに来てライバル百貨店とは違う形で、サービス業態を軸とした多角化を進めていった。2015年10月にはブライダル事業のプラン・ドゥ・シーと共同出資会社を設立。2016年4月には、ポイントサービスなどを軸に、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)とも共同出資会社を設立した。M&Aも積極的に推し進めた。2016年12月には大手エステ会社、ソシエ・ワールド、2017年2月には高齢者向け旅行会社ニッコウトラベル買収を発表している。
いわゆる「コト消費」強化を進める一方で、社内の人材育成が進んでいたかは疑問が残る。「伊勢丹は、歴史的にもバイヤーが多い会社で、バイヤーこそが花形。商品のことは当然よく知っているが、そこにサービスや『コト消費』といわれて、どれだけついてこられるのか」(証券アナリスト)と、三越伊勢丹の急激な「変化」を危惧する声もあった。
大西氏の退任の背景として、取締役など幹部の間で、かねて不協和音があったことを指摘する声は多い。業績悪化が鮮明になる中で、社内の摩擦は抑えきれないところまで来たのかもしれない。三越と伊勢丹が経営統合したのは2008年。約10年を経て、業界の盟主は岐路に立っている。 
 
三越伊勢丹 突然の社長辞任が示すもの 3/21
大手デパートを運営する「三越伊勢丹ホールディングス」は、3月7日、任期途中の大西洋社長の辞任を発表しました。さらに、石塚邦雄会長も6月に予定されている株主総会で退任するとしています。
9年前、老舗の「三越」とファッション性の高い「伊勢丹」が経営統合して誕生した国内最大のデパートグループ。かじ取りを担ってきた2人の突然の退任は何を意味するのか。苦境に立つ“デパートの雄”の裏側を取材しました。
最大手デパートが騒然 “事実上の解任”
「事実上の解任劇」の動きが表面化したのは3月4日の午後でした。大西社長によると、定例の経営会議のあと、石塚会長から「今月いっぱいで身を引いてほしい」と告げられたというのです。
大西社長自身は、現在進めているビジネスモデルの改革が軌道にのるまでは、社長を続ける意向でしたが、強く辞任を求められたため、その場で了承したといいます。
そして3日後、本社で開かれた取締役会では、全会一致で辞任が決まり、後任には杉江俊彦専務執行役員が就任することになりました。
発表文に記された社長交代の理由は「経営体制の一新により、更なる企業価値向上を図っていく」だけでした。
会社はこのとき、厳しい業績の続く地方や郊外の店舗の在り方を見直す経営計画の策定を進めていて、大事な時期でした。いったい何が起きているのか。従業員は動揺し、統合前の旧「三越」と旧「伊勢丹」による対立かという臆測も流れました。
2人の経営トップ
大西社長は経営統合前の伊勢丹に入社し、当時のデパート業界では傍流と言われた紳士服担当を長く務めました。
その大西社長が一躍注目を集めたのが、新宿本店の「メンズ館」のリニューアルです。品ぞろえだけでなく、売り場の内装の見直しなども主導し、若い男性を中心とした新たな顧客層を獲得するなど、成功を収めました。こうした実績を買われ、伊勢丹と三越の経営統合後、平成24年に三越伊勢丹ホールディングスの社長に就任しました。去年からは業界の顔とも言える日本百貨店協会の会長も務めていました。
一方、石塚邦雄会長は平成17年に業績が低迷していた三越の社長に就任。郊外型のショッピングセンターに出店するなど、これまでのデパートにない戦略で名門復活に取り組みました。さらに、伊勢丹との経営統合に踏み切り、三越伊勢丹ホールディングスの初代社長に就任しました。
2人は、富裕層に強い老舗の三越と、最先端のファッションを提供する伊勢丹という、カラーの違う2つの会社の融和を進め、売り上げの低迷が続くデパート業界で収益力の強化に取り組んできました。
東京都心にある旗艦店の大規模な改装や、商品力をいかした小型の店舗の出店拡大。そして、飲食やブライダル事業にも参入し、エステや旅行会社など異業種も買収して事業の多角化を進めました。デパートの売り上げ回復に加えて、新たな収益の柱を作ろうとした大西社長を石塚会長も支持し、二人三脚で経営のかじ取りを進めてきた、はずでした。
亀裂はいつから?
2人の間に亀裂が入ったきっかけの1つとされているのが、去年11月の中間決算の記者会見です。この会見で大西社長は、業績を支えてきた“爆買い”の失速に伴い、採算のとれない地方や郊外の店舗の売り場面積の縮小や業態転換などを検討することを明らかにしました。
ここまでは機関決定された方針でしたが、大西社長は、発表予定になかった具体的な店舗名をあげたのです。背景には、地方店の改革がなかなか進まないことへの焦りがあり、店舗名を明らかにすることで、現場の協力を期待したと言います。
しかし、現場の反応は逆でした。
複数の関係者によりますと会見の2か月前、千葉市と東京・多摩市にある三越の店舗の閉鎖を発表していたこともあり、三越の店舗の従業員は「なぜ三越ばかり」という不満が、そして伊勢丹の従業員には「次は自分たちの店舗が閉鎖するのではないか」という不安が広がったというのです。会見で名前のあがった店舗には、「閉鎖するのではないか」という不安に駆られた取引先からの問い合わせが殺到したということです。
さらに異業種の買収など、経営の多角化の成果があがらないことへの経営幹部、OBなどの批判もあったと言います。記者会見をきっかけに大西社長への不満や不信感が一気に広がり、石塚会長が辞任を迫ることになったと見られています。
大西社長はNHKの取材に対して、「今後もデパート業界は縮小に向かうと思うので、成長に向けた種まきをしなければいけないと思ってやってきた。今でもやってきたことは間違ったとは思っていないが、結果として成果に結びつかず、評価されなかった。これを機会に現場の若い人たちがお客さまのことを第一に考えて今までどおり仕事をして、三越伊勢丹が成長していくことを望んでいる」と話しています。
一方、辞任を迫った石塚会長も、大西社長を支えてきた自身にも経営責任があるとして、ことし6月に予定されている株主総会で退任することを明らかにしています。ただ、今回の騒動後、会見などには出席していません。
三越伊勢丹の構造改革は急速だった?
社内で不満が広がったという店舗の閉鎖などの改革。三越伊勢丹の取り組みは急進的だったのでしょうか。
デパート業界では、専門店やネット通販などとの競争の激化で、去年の売り上げは36年ぶりに6兆円を割り込み、ピーク時の6割程度にとどまっています。
このため、高島屋や大丸松坂屋を運営する「J.フロント リテイリング」は、低価格を売りにする衣料品や家電などの専門店をテナントとして積極的に誘致しています。J.フロント リテイリングは、東京・銀座の店舗の建て替えにあたって、「銀座ではこれまでのデパートのビジネスモデルは通用しない」として、従来のデパートの売り場は設けず、テナントだけの商業施設も4月にオープンします。
「そごう・西武」はこの5年間で、地方の7店舗を閉鎖しました。
小売業界に詳しい野村証券のアナリストの正田雅史さんは、「大西社長が進めようとしていたことは他社がすでに進めていることで、三越伊勢丹では先送りにされていたものだ。業績が悪化する中で、やらなくてはいけないことを一気に進めようとしたことが今回の事態の背景にあるのではないか」と話してきます。
混乱の三越伊勢丹 今後のかじ取りは?
「基本的な経営方針の方向性は大西社長と変わらない」。
大西社長の辞任発表から6日後の3月13日、三越伊勢丹の次の社長に就任する杉江俊彦専務執行役員が記者会見を開きました。会見では、地方店の在り方の見直しなど、改革を引き続き進めることを繰り返し強調しました。
一方で、2つの点で大西社長との違いを打ち出しました。
1つは社員との対話です。
杉江次期社長は「大西社長は社員とのコミュニケーションが不足していたのではないか」と振り返り、「新しい経営体制では役員や中間管理職を含めた従業員との対話、コミュニケーションを重視していく」と述べました。
もう1つは、「構造改革」と「成長戦略」のどちらを優先させるかという点です。「大西社長は、成長戦略を先に進めながら構造改革をするという考え方。私は、構造改革を先にやって、要員などが多少生まれたあとに、その要員を成長戦略に活用するという考え方だ」と述べました。
ほかのデパートが先行するテナントの導入、不動産会社との店舗の共同開発を検討し、自社が関わる売り場を減らすなどして、生まれた要員で成長戦略につながる新たなビジネスに挑戦するというのです。
杉江次期社長は、ことし5月をめどに新たな経営計画をまとめる考えです。
三越伊勢丹の2トップの退任は、売り上げの不振が続く中でも、長年培ってきた商売のやり方をスピード感を持って変えることができない現状を、浮き彫りにしました。杉江次期社長には、2トップの突然退任による社内の混乱を収束し、改革を着実に実行することができるのか、早速、経営手腕が問われることになります。  
 
三越伊勢丹・大西社長退任 多角化路線に現場反発 3/24
三越伊勢丹ホールディングス(HD)の大西洋社長(61)が今月末で退任し、杉江俊彦取締役専務執行役員(56)が四月一日付で社長に就任する。大西氏は事業多角化などの構造改革を進めようとしたが成果が出ず、任期途中での退任に追い込まれた。その大西氏の経営姿勢に対し、新社長の杉江氏は就任の記者会見で「対話が不足していた」と指摘した。老舗百貨店で何が起きていたのか。 
積極展開奏功せず
大西氏は伊勢丹出身。旗艦店の伊勢丹新宿本店に高級紳士服などを扱う「メンズ館」を開店させた実績を買われ、二〇一二年に三越伊勢丹HDの社長に就任した。その後、メンズ館は名鉄百貨店(名古屋市)に開設されるなど、一時は業界内の成功の「ビジネスモデル」にもなった。
だがインターネット通信販売が伸びる中で百貨店離れが進行。中国からの旅行客を中心とした「爆買い」も失速し、大西氏は消費者との接点を広げようと事業の多角化に走った。
小型店を積極出店。さらに「TSUTAYA(ツタヤ)」を経営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)、婚礼事業のプラン・ドゥ・シー(東京)などとの提携も推進した。だが、本業のもうけを示す一七年三月期の連結営業利益は、前期比27%減の二百四十億円に落ち込む見通しとなった。
リストラ策に不満
急速に事業分野を広げた大西氏。しかし、社内には「少ない人数で運営している現場への負担が大きすぎる」といった不満の声が渦巻いていた。
こうした中で大西氏は昨年十一月「一八年度に五百億円」と設定した営業利益の目標達成を先送り。さらに記者会見で伊勢丹の松戸店(千葉県松戸市)と府中店(東京都府中市)、松山三越(松山市)、広島三越(広島市)の四店の売り場縮小などに言及した。だが、これは社内で機関決定されたリストラ策でなく、労働組合の反発を招いた。
三月十三日の社長就任の記者会見。杉江氏は四店について「仮に閉めるとしても(一七年三月期決算を発表する)五月は発表できない」と強調。さらに大西氏と同じ伊勢丹出身でありながら「大西社長はアグレッシブかつパワフルで対外的には情報を積極的に発信してきたが、社内での対話は不足していた」と問題点を指摘した。
ひと言でいえば、大西体制は「独善的な上意下達(じょういかたつ)」に走る悪い意味での「体育会体質」を持っていたようだ。だが、これが三越出身の社員らの反発につながった。
三越出身で大西氏に辞任を迫ったとされる石塚邦雄会長(67)も六月の株主総会で退任する。杉江氏は「『伊勢丹派対三越派』といった内部抗争はない」と言うが、今後も難しい経営のかじ取りを迫られそうだ。 
三越伊勢丹HD社長辞任 日経にリークした人物の意図とは 3/24
3月6日、日経新聞は〈大西社長辞任へ 三越伊勢丹HD〉と報じたが、大西洋・社長(61)は辞任報道が出た当日にも丸川珠代・五輪相との会合に予定通りに出席していただけに、一部の経営幹部を除けば「間もなく社長を辞める」と想像した社員は皆無に近かったようだ。
日経の第一報の翌日(7日)、三越伊勢丹は取締役会で「3月末での大西社長の辞任」を決定し、後任に杉江俊彦・専務が昇格することも合わせて発表した。“後任社長未定”の異常事態は1日で解消されたとはいえ、“密なるを以て善しとする”を鉄則とする企業トップ人事が事前に漏れていたことで、社内外の動揺は尾を引きそうだ。
「取締役会の決議前に日経が書いたということは、社内の誰かが“社長辞任確実”という情報をリークしたからと想像できます。大西氏の辞任を既成事実化して、追い落としを確実にする意図があったと見るのが自然です」(経済誌『経済界』編集局長の関慎夫氏)
さらに続報では石塚邦雄・会長が大西氏を前に「現場が持たない。責任を取って辞めてもらいたい」と迫った場面があったことも伝えられた。
三越伊勢丹HDは、三越百貨店と伊勢丹百貨店の経営統合で2008年に誕生した。その中で大西氏は「伊勢丹メンズ館」を成功に導いた功績が認められ、2009年に53歳の若さで伊勢丹社長に抜擢され、2012年にはHD社長に就任した。
「ミスター百貨店」の異名をとった大西流経営の特徴について、大西氏との共著もある経済ジャーナリスト・内田裕子氏が解説する。
「店舗をテナントに貸す傾向を強めたライバルの 島屋やJフロントリテイリング(大丸・松坂屋)に対し、大西さんは仕入れを充実し、魅力的なオリジナルブランド商品を提供することで百貨店に消費者を取り戻そうとした。矢継ぎ早の改革を打ち出した背景には“このままでは10年後に百貨店はなくなってしまう”という危機感があった。しかし、そうした危機感を社内で共有できないもどかしさも感じていたように思います」
“引導”を渡した三越出身会長
そうした中で大西氏は、社内に多くの“敵”を作りすぎたという見方もある。
「2008年の経営統合は、業績不振に陥っていた三越を伊勢丹が助ける事実上の“救済合併”と見られていた。統合以降に閉鎖された店舗は旧三越が大半で、昨夏に解消されるまでは旧伊勢丹出身者のほうが給与が高いという賃金格差も残っていた。旧三越の社員には鬱憤が溜まっていたといわれています」(前出・関氏)
そんな状況の中で大西氏に強烈な逆風となったのがインバウンド(訪日外国人)による“爆買い”の失速だった。百貨店事業が92%と高い三越伊勢丹の売り上げは急減し、昨年10月に2017年3月期の純利益見通しを大幅下方修正(2%減→51%減)した頃から、「社内の“大西降ろし”ムードが急加速した」(経済誌記者)という。
最終的に大西氏に“引導”を渡したとされる石塚会長が旧三越出身(合併時の三越社長)だったのも因縁というべきか。
ユニクロなどの量販店の攻勢や消費者の節約志向など、百貨店を取り巻く状況は厳しく、体制を刷新しても業績回復の見通しは立たず、気まぐれなインバウンドに依存する状況は変わりそうにない。前出・内田氏はこう語る。
「大西さんの辞任は、百貨店ビジネスの“最後のひと花”が散ったという意味になるかもしれない」 
 
存続問題で市が大揺れ「伊勢丹松戸店」の行方 9/19
 突然の支援に議会反発、このままでは閉鎖か
たった一つの店舗の存続問題に、自治体が揺れに揺れている。
舞台は千葉県松戸市。JR松戸駅から5分ほど歩いたところに、伊勢丹松戸店がある。1974年に開業した、市内唯一の百貨店だ。
都内の競合百貨店や郊外の大型商業施設に押され、売り上げは低迷。ちょうど今夏に賃貸借契約の更新を迎えることもあり、その動向が注目されていた。
10年間で約21億円の家賃支払い
8月29日に始まった松戸市の9月定例議会。ここで市が提案したのが、同店の4階に市の施設を整備し、伊勢丹に10年間で約21億円の家賃を支払うというものだ。地下1階から11階まで展開していた伊勢丹は、地下1階から4階までに大幅縮小して存続を図る。
この提案に議会側が猛反発。9月7日に開かれた市議会の常務委員会は、全会一致で市の支払いを認めなかった。本会議での議決はこれからだが、このままの案では議会を通る可能性はほとんどない。
この問題を議会で取り上げた松戸市議会の山中啓之議員(無所属)は「市が甘く見られている。なぜ伊勢丹の存続のために、ここまで手厚い支援をしなければならないのか」と憤る。
伊勢丹を運営する三越伊勢丹ホールディングスは「さまざまな可能性を検討している」(広報)。ただ市に対し、売り場面積の縮小と市の施設導入を存続の条件に挙げ、9月中にまとまらなければ来春以降に閉鎖すると通告しているもようだ。
行政支援を店舗存続の条件にすること自体は、珍しくはない。今回特殊なのは10年間で21億円という額の多さに加え、「重要議案にもかかわらず、(市の説明が定例会の直前に)突然出てきた」(山中議員)ことだ。
社長交代で「ガラリと変わった」
市と三越伊勢丹は昨秋から店舗存続に向けた協議を進めてきたが、「社長交代を機に、三越伊勢丹の雰囲気がガラリと変わった」(小林邦博・松戸市総合政策部長)。実はこれまで同社から提示されていたのは、11階までの売り場を維持しつつ、9階以上の一部に市の施設を入れる案だった。現計画が示されたのは5月下旬という。
3月、三越伊勢丹では大西洋・前社長が電撃辞任した。後を受けた杉江俊彦社長は企画畑出身で、「成長より構造改革に軸足を置く」と公言、それが計画変更につながったようだ。
とはいえ、同社内も一枚岩ではない。営業出身の役員は松戸店存続を主張しており、企画系の役員と意思統一が図られていない。そこに杉江社長のリーダーシップは感じられず、結果として市に“高い球”を投げているようにも映る。
「周辺市に比べ、松戸は中心市街地のにぎわいや雇用創出で劣る」(小林部長)。市は家賃などの条件を見直し、修正案を提出したい考え。ただ定例議会の会期は9月25日まで。残された時間はほとんどない。  
 
三越伊勢丹 40〜50代の早期退職促進へ 退職金積み増す 10/20
業績の低迷が続くデパート最大手「三越伊勢丹ホールディングス」は、人件費の削減に向けて40代から50代の管理職を中心に早期の退職を促すため、退職金を大幅に積み増すなど、来月にも早期退職制度を見直す方針を固めました。
関係者によりますと三越伊勢丹ホールディングスは、業績の立て直しに向けて人件費の削減を図るため、早期退職制度を見直す方針を固めました。
新たな制度では、部長級での早期退職の対象年齢を従来の50歳から48歳に引き下げ、48歳から50歳では退職金の加算額を5000万円とするほか、40代後半から50代前半の課長級などでは退職金の加算額を最大で2倍に増やすなど管理職を中心に退職金を大幅に積み増す仕組みになっています。
業界最大手の三越伊勢丹は、ファッション性の高さと高級路線などで一時は業績も好調でしたが、ネット通販との競争激化や地方店舗の不振などを背景に業績が低迷していて、早期退職制度の見直しは9年前の経営統合以来初めてとなります。
今回の見直しによって、バブル期に大量に採用された40代と50代を中心に早期の退職を促し、人件費の削減につなげたい考えです。
来月にも正式に制度を改める方針で、応募する人数の目標は設けないとしています。三越伊勢丹では、業績の立て直しに向けて千葉県の伊勢丹松戸店の閉鎖を決めるなど不採算の店舗の見直しも進めています。
デパート業界苦境 三越伊勢丹はコスト削減遅れ
三越伊勢丹ホールディングスは9年前の平成20年に、富裕層に強い三越とファッション性の高い品ぞろえを得意とする伊勢丹が経営統合したデパート業界の最大手です。
両社の強みを生かして最先端の衣料品などを取り扱うデパートとして業界をリードしてきましたが、価格の安い衣料品の専門店や流行の変化に素早く対応して幅広い商品を扱うネット通販などとの競争で厳しい経営環境が続いています。
ここ数年は外国人旅行者によるいわゆる「爆買い」の効果で大都市圏の店舗が売り上げを伸ばし、低迷する地方の店舗を補っていました。
しかし、爆買いの失速で昨年度の決算は最終的な利益が前の年度を43%余り下回る大幅な減益となりました。
三越伊勢丹は立て直しを急ぎ、ことし3月に売り上げが低迷していた千葉市と東京・多摩市の店舗を閉鎖し、来年3月には千葉県松戸市の店舗を閉鎖する予定です。
今回の早期退職制度の見直しは、40代から50代の管理職を中心に早期の退職を促すことで人件費の削減につなげる狙いがあります。
デパート業界は売上げが去年、36年ぶりに6兆円を割り込み、業界全体が厳しい環境に置かれ、中でも三越伊勢丹はコスト削減などの取り組みの遅れが指摘されてきました。
このため事業の見直しを加速するとともに多様化する顧客のニーズを捉える新たな成長戦略が課題になっています。  
三越伊勢丹、早期退職促進へ 退職金、課長級は最大倍増 10/20
百貨店大手の三越伊勢丹ホールディングス(HD)は、管理職の早期退職制度を見直す。退職金の加算額を、部長級は最大で5千万円にし、課長級では最大で倍増させる方向だ。業績低迷を受け、管理職の早期退職を促し、人件費の圧縮をはかる。
今秋に募集する早期退職を前に、退職金を加算する「ネクストキャリア制度」を見直し、部長級は対象を50歳から48歳に引き下げる。退職者数の目標は設けない方針だ。
三越伊勢丹HDは「ここ数年、早期退職の応募者が減っていた。時流に合うように条件を拡大する」(広報)としている。旧三越と旧伊勢丹が経営統合した2008年以降、制度の見直しは初めてとなる。
売り上げが低迷する百貨店業界のなかでも三越伊勢丹HDは構造改革が遅れ気味で、3月には業績不振の責任を取る形で前社長が退任した。後任の杉江俊彦社長は5月の記者会見で、「人件費が同業と比べて多く、大きな課題だ」と述べ、今秋に早期退職を募るとしていた。  
 
 
 
 
 

 
2017/3-