知恵の限界 原子力発電

福島原発の教訓 
知恵の限界を超えた地震だったのでしょうか 
無事に収束できましたなら 
後の世代のためにも 
徹底した検証がなされねばなりません
 


 
 
 
東日本大震災
 
2011/3/11 
原子力緊急事態宣言を発令周辺3キロに避難要請  21:16 
政府は11日夜、東北・関東大地震の影響で自動停止した福島県の東京電力福島第1原発の1、2号機で、外部からの電力供給が失われるなど緊急に対策を講じる必要があるとして、原子力災害対策特別措置法に基づく初の「原子力緊急事態宣言」を発令、現地対策本部を設置した。 
枝野幸男官房長官は同日夜、同原発から半径3キロ以内の住民は避難し、3キロから10キロまでの住民は屋内に待機するよう指示したと発表した。 
枝野氏は記者会見で、「(同原発の)炉の一つが冷却できない状態になっている。放射能は炉の外には漏れていない。今の時点で環境に危険は発生していない」と述べた。 
経済産業省原子力安全・保安院によると、東電から同法に基づく通報があった。外部電力の供給が止まった後、非常用ディーゼル発電機が起動せず、緊急炉心冷却装置(ECCS)が作動できない異例の状態になった。 
電気を必要としない一部冷却系も、弁が動かないため炉心を冷却できないという。東電は、各地から非常用の電源車を現場に差し向けたが、復旧は遅れた。 
仮に炉心の水位が下がって燃料棒が露出するようになると、燃料棒が過熱して損傷、放射性物質が放出される恐れがあるという。 
保安院によると、このほか、宮城県の東北電力女川1〜3号機、福島第1の3号機、福島第2の1〜4号機、茨城県の日本原子力発電東海第2でも地震の揺れを検知して原子炉を自動停止した。自動停止した原発は計11基。これらの原発周辺のモニタリングポストなどに異常はなく、放射性物質などは検知されていない。 
原子力災害対策特別措置法は1999年9月の東海村臨界事故を機に制定され、原子炉の正常な機能が失われたり、異常な放射線量に達したりした場合は、首相が緊急事態宣言を出して対策本部を設置する。 
 
2011/3/12 am 
原発で「技術支援の用意」IAEA  05:55 
国際原子力機関(IAEA)は11日、東北・関東大地震の影響で自動停止した福島第1原発に関連して「いかなる技術的な支援も提供する用意がある」と発表した。 
IAEAは、日本政府から「同原発の半径3キロ以内の住民は避難し、10キロ以内の住民には屋内に待機するよう指示した」との連絡を受けたという。 
「どうすればいいのか…」福島・原発に不安募らせる住民  08:27 
放射性物質が外部に漏れた福島県大熊町と双葉町にまたがる東京電力福島第1原発。12日、菅直人首相の指示で避難指示は半径3キロから10キロに拡大された。「屋外に出ないようにしてください」。避難先で眠れぬ一夜を過ごした住民らは早朝から鳴り響く防災無線に一層の不安を募らせた。 
人口約6800人の双葉町。双葉北小学校には約800人が避難。体育館は窓ガラスが割れていて、住民らは教室で過ごした。夜が明けてからは自宅の様子を見るために一時帰宅する人もいた。第1原発近くでは通常の8倍以上の放射線量を検出しており、同小の女性事務員は「どうすればいいのか分からない。帰宅した住民も心配」と話した。 
双葉町役場があるのは当初の避難指示区域の半径3キロ圏内だが、男性職員は「住民のためにも対策本部を離れるわけにはいかない」と情報収集に追われた。 
福島第1原発、半径3キロの住民、避難完了  09:02 
防衛省によると、放射性物質が外部に漏れた東京電力福島第1原発の半径3キロ以内に住む住民約3千人の避難が12日午前6時7分に完了した。 
また同省は東日本大震災で派遣する自衛隊員を約2万人に拡大する。 
福島原発周辺の全町民が避難へ2万人  09:54 
東北・太平洋沿岸地震で、福島県にある東京電力福島第1、第2原発周辺の双葉町、大熊町、富岡町が計約2万人の全町民を避難区域外へ避難させ始めた。 
福島第1原発・正門付近の放射線量、午前8時前に73倍に激増  10:20 
原子力安全・保安院は12日、福島第1原発正門付近の放射線量が同日午前7時40分現在で通常時の約73倍に当たる5・1マイクロシーベルト時だったと発表した。前回の発表では通常の約8倍で、放射線量は急激に増加している。 
福島原発1号機で燃料棒が露出の可能性放射能漏れの恐れ  11:43 
原子力安全・保安院は12日、福島第1原発1号機の減圧作業で、原子炉内の水位の低下が続き、燃料棒が露出している可能性があると発表した。 
燃料棒が露出すると、原子炉内の温度が高まり、最悪のケースでは炉心が崩壊し、放射能が漏れる恐れもある。 
保安院はこれまでに消防車のポンプを使い、原子炉内に6千リットル以上の水を注入している。このため、水位を測定する機器が正常に作動していない可能性もあるとして、慎重に状態を調べている。 
福島第1、2原発で枝野氏「危害を想定する状況ではない」  11:45 
枝野幸男官房長官は12日午前の記者会見で、東日本大震災の影響で自動停止した東京電力福島第1原発から放射性物質が漏れていることについて「原子炉格納容器内の圧力上昇を降下させるためであり、管理された中での放出だ」と強調した。 
冷却機能の喪失で原子力災害対策特別措置法に基づく緊急事態宣言に追加した同第2原発については「放射性物質を含む外部への流出は確認されていない」と述べた。 
その上で「具体的に危害を及ぼすような事態を想定する状況ではないし、そうならないよう万全を期している」と述べた。 
 
2011/3/12 pm 
福島原発の避難指示圏内に5万9000人の住民  12:01 
原子力安全・保安院の12日の発表によると、避難指示を受けた福島第1原発の半径10キロ圏内の住民は約5万1千人。また、福島第2の避難指示の半径3キロ圏内には約8千人の住民がいるという。 
福島原発で炉心溶融放射性物質漏れ、事態深刻  14:18 
経済産業省原子力安全・保安院は12日、東日本大震災の影響で自動停止した福島第1原発1号機の周辺で、放射性物質のセシウムが検出されたと発表した。保安院幹部は「炉心の燃料が溶け出しているとみてよい」と、炉心溶融が起きたことを明らかにした。原子炉の冷却が十分できなかったのが原因で、原発の安全にとって極めて深刻な事態。外部への放射性物質漏洩(ろうえい)確認は初。 
また正門近くの放射線量の数値が通常の70倍以上、1号機の中央制御室で通常の約1千倍に上昇した。 
原子炉格納容器内の気圧が高まり、容器が耐えられずに破損するのを防ぐため、保安院は第1原発の1、2号機について、格納容器内の蒸気を外部に放出するよう東電に命令した。原子力災害対策特別措置法に基づく措置命令。 
「逃げるしかない」福島原発から避難の住民  15:51 
東北・太平洋沿岸地震で、福島第1原発1号機から半径10キロの福島県大熊町、双葉町、浪江町などの住民は12日、政府による避難指示により町から避難した。 
政府は11日、同原発から半径3キロの住民に避難を呼びかけたが、12日朝に半径10キロへ拡大した。西へ隣接する川俣町の小学校などが避難所へ指定され、同町へ至る国道114号は住民のいわきナンバーの車が約950台、数珠つなぎになった。浪江町内は避難する車で渋滞したという。 
同原発で機械のメンテナンスの仕事を請け負う双葉町の土建会社経営、松本喜成さん(35)は「原発の中にあるクレーンが折れ曲がっていた。本当にやばい、逃げるしかないと思った。まだ連絡が取れない従業員がおり心配だ」と話した。 
浪江町の主婦、岩野美千代さん(48)は夫と高校2年の長女と離ればなれのまま避難し「とにかく不安でどうしていいのか分からない。どのくらい続くのか」。一家で避難していた双葉町の会社員、伊藤吉夫さん(69)は「放射能を浴びたくない。指示に従って安全な場所へいくほかない」と話した。 
原発「爆発」誰も説明できず危機意識ない政府、東電  20:40 
誰も説明できないのか−。東京電力福島第1原発1号機で12日午後3時36分ごろ、大きな爆発が起きた。東日本大震災と大津波に続き、原発の建屋の外壁が吹き飛ぶという前代未聞の事態。放射性物質漏えいは、人体への影響は。募る疑問に国、東電とも、何も答えぬまま時間だけが過ぎ、危機意識の欠如をうかがわせた。 
経済産業省原子力安全・保安院の中村幸一郎審議官らは爆発後、断続的に記者会見を開いたが、こわばった表情で「情報を収集しながら対策を検討したい」「詳細について確認中」と述べるだけ。 
周辺住民の生命を脅かしかねない事態にもかかわらず、何を聞かれても「情報がない。確認中だ」と繰り返した。業を煮やした記者が「最悪の事態を想定していないのではないか」と声を荒らげても、「最大限努力する」としか答えず、かみ合わないやりとりが続いた。 
これに先立ち記者会見した枝野幸男官房長官も同様に「しっかりと把握して対応したい」「住民の安全については万全を期す」と繰り返すのみ。「節電」「取材の安全性」などについて一方的に話しだし、肝心の爆発についてはほとんど答えずに会見を終えた。 
当事者の東電もまったく同じ対応。東京都千代田区の東電本店では、吉田薫広報部長らが記者会見を開き「ご心配をおかけして申し訳ありません」と謝罪したが、爆発の影響などを尋ねられても「しっかり評価しなければ分からない」と、踏み込んだ回答を避けた。 
チェルノブイリの再来ない福島第1原発でロシアの専門家  22:51 
東日本大震災で炉心溶融の被害が出た福島第1原発について、ロシアの核物理学研究施設クルチャトフ研究所のベリホフ所長は12日、1986年に大事故を起こしたチェルノブイリ原発と違い、燃えやすい黒鉛が炉心を取り巻くタイプではなく、核分裂反応が制御できなくなった同原発のような事故は起きないとの見方を示した。ロシアのメディアが伝えた。 
チェルノブイリ原発の地元ウクライナにあるチェルノブイリ・センターのグルイガロ副所長も「日本の原子炉は近代的なタイプ。核分裂は制御され、(放射性物質を含む)蒸気が排出される可能性があるにすぎない」として、放射性物質が大量に漏れることはないとの見解を示した。ロシア非常事態省も「(日本の原発の)状況は一貫してコントロールされている。脅威はない」との声明を出した。 
原発爆発米中露にも衝撃  23:12 
放射性物質の漏れが起きた福島第1原発の被害の行方を、中国、ロシアの原発推進国と原発新設を再開する米国の3大国は最大限の関心を持って注視している。安全対策に教訓を得ようとする一方で、各国に推進の立場を変更する考えはうかがえない。事態の悪化が政策の見直し論議につながることには警戒感を隠せずにいる。(北京川越一、モスクワ遠藤良介、ワシントン柿内公輔) 
「世界の原子力産業が、この機に日本の経験から学ぼうとするだろう」−。米紙ウォールストリート・ジャーナルは、こんな専門家の見方とともに、日本の原発被害に寄せる世界の関心の高さを伝えている。 
中国環境保護省の張力軍次官は12日の記者会見で「原発発展計画を変更することはない」と宣言した。 
経済急発展に伴い、電力需要が拡大する中国は、環境汚染の元凶である石炭を使った火力発電から原発への移行を着々と進め、稼働中の原発は13基。建設中の原発は20基を超える。 
中国では地震が多発し、昨年5月には、広東省深センの大亜湾原発で燃料棒にひびが入る事故も起きたが、張次官は「日本の放射物質漏れは影響を及ぼさない」と意に介さない。 
中国が狙うのは“原発輸出国”への転身だ。国内需要が満たされれば、目を海外に転じるのは確実。今年1月には使用済み核燃料からウランなどを取り出す再処理技術の開発実験に成功。日本の原発事故を今後の攻勢の“追い風”にしたいという思惑もちらつく。 
ロシアも“原発覇権戦略”を鮮明にし、日本のメーカーから先端技術を導入する協調路線も模索していただけに、福島第1原発の事故の衝撃は大きい。 
旧ソ連時代の1986年にチェルノブイリ原子力発電所事故を経験しており、極東部では大気中の放射線レベルを測定する頻度を高めて警戒している。 
ロシアは原子力を石油、天然ガスに次ぐ戦略的エネルギーと位置づけ、国策原子力企業「ロスアトム」が中国やインドなどで原発建設を受注し存在感を増してきた。日本の事故を機に「地震地帯で原発を建設することの危険性」を指摘する専門家の見解も出始めた。海外展開に一定の影響が出る可能性もある。 
一方、輸入石油依存から脱却を目指す米国は、ブッシュ前政権下の2005年成立のエネルギー推進法で、1979年のスリーマイル島原発事故以来停滞していた原発の推進へ転換。オバマ大統領も昨年、「安全でクリーンな次世代原発を建設する」とし、約30年ぶりの原発新設に融資保証を供与すると発表した。 
日本の原発被害について米国は「日本政府の管理下にある」(国務省高官)として情報収集に徹しているが、国内の政策見直し論議が再燃する可能性もある。
 
2011/3/13 am 
160人被曝の可能性福島原発周辺で  06:44 
経済産業省の原子力安全・保安院は13日、東京電力福島第1原発の周辺で約160人が被曝(ひばく)した可能性があることを明らかにした。 
被曝した可能性があるのは、国の避難指示を受け原発から10キロ圏内を出るために双葉厚生病院から移動して、同原発から約3・7キロ離れた県立双葉高校のグラウンドで救助のヘリを待っていた約60人と、原発での爆発後に福島県外にバスで避難した約100人。 
バスで避難していた100人のうち9人の放射線量を測定したところ、3人から通常を上回る数値が検出されたという。今後、160人全員の放射線量も調査するとみられる。 
仏政府「深刻だが、破局ではない」 
 テレビでは「チェルノブイリ級の大事故か」と議論 07:03 
東京電力福島第1原発で起こった爆発事故を受けて、フランス政府は12日、エネルギー関連の関係閣僚と原発業界の合同会議を開いた。会議後の記者会見で、ベッソン産業・エネルギー・デジタル経済担当相は福島の事故は破局ではないと表明、国民に冷静な対応を求めた。 
電力エネルギーの約8割を原発に依存するフランスでは、福島第1原発の事故は極めて高い関心を呼び、テレビは爆発の映像を繰り返し放映。専門家が「(旧ソ連で起きた)チェルノブイリ(原発事故)級の大事故か」と生放送で議論を繰り広げた。 
ベッソン担当相は記者会見で「深刻な事故ではあるが、破局ではない。チェルノブイリに匹敵するものではない」と言明。「福島第1原発の事故は、日本を襲った(地震と津波の)巨大な悲劇と比べれば、それを超えるものではない」とも述べた。また「フランスの原発は地震や洪水などすべてのリスクを想定している」と述べて安全性を強調した。 
福島原発3号機、放射性物質含む蒸気を外部に放出冷却機能喪失で  10:33 
東日本大震災の被災地にある東京電力福島第1原発の3号機について、原子力安全・保安院は13日、圧力を下げるため、1号機と同様に、原子炉格納容器内の微量の放射性物質を含む蒸気を外部に放出する弁を開けたと発表した。原子炉の高圧給水系が止まり、冷却機能が失われたため。 
福島第1原発では、1号機で爆発があり、負傷者が4人出ているほか、原子炉圧力容器への海水注入で冷却が行われている。
 
2011/3/13 pm 
米大使館「深刻なデマ流れ続けている。日本の指示に従って」 13:46 
在日米国大使館は13日、東日本大震災を受け「深刻なデマが流れ続けている。米市民は日本の防災当局の指示に従うように」と注意を促すルース大使名のメッセージを出した。 
特に炉心が一部溶融した福島第1原発について「即時の退避指示が出ているのは同原発から半径20キロ以内の人々だ」と指摘。「他の退避指示は出ていない」と強調した。 
「爆発でも周辺住民に影響ない」と枝野氏  15:52 
枝野幸男官房長官は13日午後の記者会見で、福島第1原発3号機について「爆発的なことが万一生じても、避難している周辺の皆さんに影響を及ぼす状況は生じない」と述べた。 
また、枝野氏は福島第1原発3号機の炉心の一部が変形する可能性は否定できないが、全体が炉心溶融に至る「メルトダウン」の状況にはないと述べた。 
放射線量が一時1557マイクロシーベルトに、枝野氏説明  16:00 
枝野幸男長官は13日午後の記者会見で、福島第1原発周辺の放射線量について、午後1時52分にこれまでで最も多い1557・5マイクロシーベルトを観測したが、2時42分に184・1マイクロシーベルトに低下したと説明した。 
また、福島第1原発の問題に絡み、避難の状況で新たに対応する必要はないと語った。 
NYタイムズ、CNNは「メルトダウン」警戒  17:10 
米紙ニューヨーク・タイムズは13日付紙面もトップ記事として日本の地震を報道、福島の原発に焦点を当て1面を含め3ページにわたり「完全メルトダウン回避へ、損傷原子炉に注水」などの見出しで伝えた。これとは別に原発以外の地震ニュースにも2ページを割いた。 
同紙は、日本の原発政策には市民団体の反対が根強いことも紹介。事故が日本の政策に影響を与えるかどうかをみるのは「まだ早い」とした。 
さらに「日本の原発事業者は時々、親しい政府当局者とともに、不安感を強める一般市民の目から原発での出来事を隠してきた」とした。 
CNNテレビは「メルトダウンが進行している可能性」にキャスターらが繰り返し言及した。専門家は「大規模メルトダウンは進行していない」とした上で、部分的な炉心溶融の可能性はあるとの見方を示した。 
住民ら160人に被ばくの可能性  17:21 
福島県は13日、建屋の爆発が起きた東京電力福島第1原発の3キロ圏内から避難した19人の被ばくを新たに確認したと発表した。被ばく確認は12日に発表した3人と合わせ22人となった。経済産業省原子力安全・保安院のまとめでは、住民ら約160人に被ばくの可能性があるという。 
福島県によると、3キロ圏内にある同県双葉町の双葉厚生病院の患者や職員90人と、特別養護老人ホームの入所者や職員100人の計190人のうち133人を検査したところ、19人の被ばくが判明した。12日に確認した3人も同病院からの避難者だった。 
保安院は、双葉厚生病院の避難者約60人と、バスで避難した双葉町の住民約100人の計約160人に被ばくの可能性があると発表した。双葉町住民のうち9人には検査も実施し、全員の被ばくを確認したという。
日本から逃げ出し始めた外国人福島第一原発事故、政府と東電の重すぎる責任 
 2011/3/17 00:55 
日本から外国人が撤退を始めた。ドイツの航空会社、ルフトハンザ航空は成田空港への発着を当面見合わせることを決めた。日本発着便は当面、関西空港や中部空港へ振り替えるという。また、フランスのある大手企業は日本駐在員を本国へ呼び戻した。 
横浜は危ない、神戸に向かえ 
こうした動きは今後、ますます活発になると見られる。原因は福島第一原発の事故である。放射能汚染がどれほど広がるか分からない地域に大切な社員を派遣できないというわけだ。 
米国のある大手食品メーカーは、本来の入港先である横浜港を突如変更、神戸港に行き先を変えたという。これはその米メーカーから食料品輸入している企業から聞いた確かな話だ。福島から数百キロ離れた横浜でも安心できないということらしい。 
同様のケースは日本企業の間でも始まっている。ある日本の大手食品メーカーは茨城県にあるレストランへ食材の搬入拒否を伝えてきたという。福島県に隣接する県というのがその理由である。 
枝野幸男官房長官は、こうした事態について「明らかな過剰反応であり、福島第一原発から半径30キロメートルを超える地域では直ちに人体に影響を与えるような放射能を浴びることはない」と、3月16日午後6時からの記者会見で述べた。 
恐らく、それは正しい。しかし、放射能という目に見えない危険に対する恐怖は簡単に拭えない。そしてそれ以上に、政府の対応に対する不信感がこうした行動の背景にあるのは確かだろう。 
安全対策3原則のうちひとつしかできなかった福島第一原発 
 2011/3/17 07:00 
事故により深刻な事態を迎えている福島第一原子力発電所。原発の安全対策の3原則は、「止める」(緊急停止)「冷やす」(炉心の過熱を抑える)「閉じ込める」(放射性物質が漏れ出さないようにする)の3つといわれている。しかし今回、福島第一原発ができたのは、最初の「止める」だけだった。京都大学原子炉実験所・小出裕章助教はこう説明する。 
「原子炉内は常に冷やすことが必要です。ところが地震や津波の影響で、熱を冷ますための水を注入する装置が働かなくなってしまった」 
今回は、福島第一原発6基のうち、運転中だった3基が冷却必要な事態に陥った。まず、12日午後、1号機で水素爆発が発生。3号機も1号機とまったく同じ経緯をたどり、14日午前に1号機よりも激しい水素爆発を発生。続く2号機は、爆破はしなかったものの、14日午後に政府が冷却作業を決定。 
1〜3号機すべてに海水の注入が開始された。 
「海水の塩分が原発の精密機械に影響を与え、もう二度と使えなくなる可能性もあります。相当の非常事態といっていいでしょう」(原子力発電所関係者)
福島原発事故の「チェルノブイリ級」扱いはヒステリーな煽り  
 2011/4/26 16:00 
福島原発事故を「チェルノブイリ級」と必要以上に騒ぐのは、「煽り」でありヒステリーだ。もっと冷静な分析が必要である。 
原子力安全委員会の推定では、今回の事故で原子炉から放出された放射性物質は「63万テラベクレル」、保安院は「37万テラベクレル」としている。チェルノブイリは「520万テラベクレル」なので、その約1割だが、国際原子力事象評価尺度(INES)に基づく事故レベルでは、「数万テラベクレル以上」はすべて「レベル7」なので、この基準に従えば評価は正しい。 
ただし、単純に汚染がチェルノブイリの1割と考えるのは間違いだ。なぜなら、チェルノブイリは原子炉そのものが大爆発で四散してしまったので、その「520万テラベクレル」はそっくりそのまま環境に放出されたが、福島は違う。 
「今回の推定では、原子炉の外に出た物はすべてカウントされているが、漏れた物質の多くは汚染水として原発内に留まっている。周辺環境に出た放射能はさらに一桁は少ないのではないか」(原子炉技術者) 
タービン建屋などに溜まった汚染水は、すさまじい放射能を帯びる。東京電力は3月28日時点で、この水の放射能レベルを「1立方センチあたり1900万ベクレル」と発表した。 
汚染水はおよそ6万トン、すなわち6万立方メートルある。もしすべて同じ濃度なら、汚染水全体では、 
19,000,000ベクレル×60,000,000,000立方センチ=1,140,000,000,000,000,000ベクレル 
になる。桁を直すと「114万テラベクレル」で、放出総量を超えてしまう。このことから、平均の放射線量はもっと低いと思われる。推計は難しいものの、「63万テラベクレル」のかなりの部分が、今も水の中にあると考えられるのだ。 
また、漏れた物質にはヨウ素やテルルなど半減期(放射能が半分になる時間)の短い物質が多く、放射能はすでに事故当初より一桁か二桁は小さくなっている。 
もちろん、セシウム137(半減期30年)なども大量に漏れたので今後も周辺では対策が必要だが、チェルノブイリのように、「ありとあらゆる核物質が飛び散った」わけでもない。 
「チェルノブイリ級」の言葉は誤解の元だ。
福島原発1号機メルトダウンで”海のチェルノブイリ”の危機 
 2011/5/20 07:00 
東京電力は5月15日、福島第一原発1号機で、地震発生の16時間後にメルトダウンの状態にあったことを初めて認めた。そんななか、“消えた汚染水”について懸念の声があがっている。 
これまで、1号機では圧力容器内で溶融した燃料を冷やすために合わせて1万トン以上の注水を行ってきたにもかかわらず、圧力容器や格納容器にたまった水はその半分にも満たなかった。13日に作業員が1号機原子炉建屋地下に水があることを目視で確認したが、その量は約3000トン。残りの汚染水について、東芝で30年にわたり原子炉の設計に従事した吉岡律夫さんがこんな見解を示す。 
「汚染水が建屋へ流出し、さらに海に流れていく危険性があります。その場合、燃料に含まれる半減期2万年のプルトニウムなどが海を汚染し続ける。この“海のチェルノブイリ”ともいうべき最悪のシナリオが現実となってしまう。そうならないためには、建屋からの流出を防ぐことに全力をあげるべきです」 
1986年に起きたチェルノブイリ原発事故の際には、いまなお原発から半径30キロ圏内での居住が禁止されるほど、土壌が汚染された。海洋汚染はこれまでほとんど例がないだけに、はたして海水、海底のほか、海藻や貝類、甲殻類、魚類といった生態系にどれほどの影響を及ぼすか、予想もつかない。 
汚染水についていえば、ここ2週間で建屋地下の水位が20cm以上上昇した3号機でも、建屋やトレンチと呼ばれるトンネルに高濃度汚染水が2万2000トンたまっていると見られる。17日午後からこの汚染水を集中廃棄物処理施設に移送し、水を浄化するシステムをつくり、汚染水を減少させていくという。しかし、それが整備されるまでの道のりはまだ遠い。福島原発の危険はなお現在進行形だ。

 
2011/3