おせち料理

 
おせち料理の由来 
元旦に祝う屠蘇の祝肴(おせち料理)は、無病息災と子孫繁栄の願いを祈ったものだ。その願いを食べ物の形や名前の語呂合わせに託してしまうところに、ユーモアあふれる江戸時代後期町人文化のおおらかさ、大きさを感じられる。
 
黒豆、かまぼこ、紅白なます、田作り、栗きんとん・・・せち料理が現在のような形になったのは江戸時代の後半である。おせち料理は、江戸の粋やユーモアを凝縮した庶民文化から開花したものである。そもそもの由来は正月の節供料理で、宮中の「お節供(おせちく)」の行事からきている。お節供は節日に神に供えたもの、宮中で1月1日、7日、3月3日、5月5日、7月7日、9月9日といった節日に神に神饌(しんせん)を供え祭り宴をひらいた。おせち料理は宮中のしきたりが民間に広まったもので、やがて正月にふるまわれる御馳走だけが「おせち料理」と呼ばれるようになった。お正月は年神様をお迎えし、おまつりする儀礼である。料理を作りおきするのは、年神様がいらっしゃる間に煮炊きすることを慎むということから由来しているという。
 
1年に五つの節句を持つ日本の暦。その日は神様にお供えをし、家族揃って節振舞にあずかる。これがおせちの始まりとなり、今はお正月の料理をおせちと呼ぶようになった。ちなみに五つの節句は、1月7日の人日、3月3日の上巳、5月5日の端午、7月7日の七夕、9月9日の重陽を指す。おせちは五穀豊穣を願い、家族の安全と健康、子孫繁栄の祈りを込めて、縁起のよい食材の名にこと寄せ、海の幸、山の幸を豊かに盛り込んだもの。おせちは昔から、五法・五味・五色をバランスよく取り入れて作るのがよいとされていた。
 
おせち料理の意味
 
えび 
腰曲がりえびは、長いひげをはやし、腰が曲がるまで長生きすることを願ってお正月飾りやおせちに用いられる。伊勢えびから、小川の川えびまでいろいろだが、お重詰の中には、小えびを串で止めた鬼がわら焼がよく用いられる。
 
黒豆 
黒豆を上手に炊き上げることができれば、お嫁さんの及第点といわれたくらい、豆を軟らかく炊き上げるには、技術も経験も必要。植物性の高タンパクである豆は、肉食の風習がなかった昔では、欠くことのできない食品だった。この黒豆がお正月に登場するわけは、「まめ」が丈夫・健康を意味することばだったからである。歌舞伎ことばに「まめに暮らせ」とか「あなたもまめね」というセリフがよく出てくる。
 
お多福豆 
「阿多福」という字が当てられ文字通り福を招く食べ物として、祝い膳にはよく登場。空豆の一種で、その形が、ふくよかなおたふくの顔に似ているところから、この名前がつけられた。
 
数の子 
二親から多くの子が出るのを好き事とし、古くからおせちにつかわれた。今は数の子も高価な品となったが、かつて、数の子は日本中どこでも入手できる一般的なものだった。現在使われているのは塩数の子。
 
田作り 
豊作を願い小魚を田に肥料として撒いたことから名づけられた田作り。片口鰯の小魚を天日で干し上げたごまめを砂糖としょうゆで調理したもの。五穀豊穣を祈る。
 
昆布 
喜ぶのことばにかけて昆布はお正月の鏡飾りにも用いられる。日本料理の必需品ともいえる大切なもので、健康長寿がえられるといわれている。おせち料理には、煮しめの結び昆布、昆布巻となかなかの活躍。
 
鯛 
めでたいに通じる語呂合わせ。江戸時代にはじまった七福神信仰とも結びつき(恵比須様が抱えている)鯛はおめでたい魚として有名。
 
橙(ダイダイ) 
代々に通じる語呂合わせ。子孫が代々繁栄するように。
 
錦たまご(ニシキタマゴ) 
黄身と白身の2色が美しい錦玉子は、その2色が金と銀にたとえられ、お正月料理として喜ばれます。2色を錦と語呂合せ。
 
金平ごぼう 
江戸初期に誕生したごぼう料理で、当時、坂田金平武勇伝が浄瑠璃で大ヒットしていた。豪傑金平にちなんで、この滋養たっぷりのごぼう料理を金平ごぼうと呼ぶようになった。強さや丈夫さを願った。
 
ごぼう 
細く長く地中にしっかり根を張るごぼうは、お正月料理やお菓子に重要な役割を果たした。宮中でお正月に配られる花びら餅の芯にも、ごぼうが用いられ大切に扱われた。たたきごぼうは、軟らかく煮たごぼうを叩き、身を開いて、開運の縁起をかついだ。ごぼうの産地八幡の名をとって、牛肉の八幡巻、穴子の八幡巻もお正月らしい巻もの料理となった。
 
里芋 
里芋は子芋がいっぱいつき、子宝にめぐまれるようにの意。
 
紅白なます 
お祝の水引きをかたどったもの。生の魚介などを用いて大根、にんじんと酢で作ったことから、なます、の名がつけられました。今は生の魚介の代わりに、干柿や昆布、ゆずの千切りも用いられる。大根の医者いらず、といわれるように紅白のめでたい色合いばかりではなく、ビタミンCも豊富。
 
紅白かまぼこ 
かまぼこははじめは竹輪のような形をしていた。やがて江戸時代、様々な細工かまぼこが作られるようになると、祝儀用としてかかせないものになった。紅はめでたさと喜びを表わし、白は神聖を表わす。
 
栗金団 
「栗金団」というお菓子は室町時代に既にあったが、おせち料理の栗金団とは別物だった、現在の形になったのは明治時代のこと。「金団」とは黄金の団子という意味で、くちなしの実で黄色に色付けて仕上げた。見た目の黄金の色合い、豪華に見える様子から、おせちの定番になった。黄金色に輝く財宝にたとえて、豊かな1年であるようにという願いが込められている。 
「勝ち栗」という言葉があるように、栗そのものが昔から縁起のよい食べ物として尊ばれてきた。日本中のどこでもある栗は山の幸の代表格。砂糖の貴重な時代には、多くの砂糖を使用して調理する栗きんとんは大変贅沢な料理だった。
 
伊達巻き 
「伊達」は華やかさ、派手さを形容する。華やかでしゃれた卵巻き料理ということで、お正月のお口取り「晴れの料理」として用いられた。色や形からおせち料理に登場するようになったようだ。伊達巻きは、蒲鉾を作る際、つなぎに卵白を使用するが、黄味の部分が余り、それを活用するために考えだされたもの。 
名前についての他説、江戸時代、長崎に伝えられたしっぽく料理の中に「カステラかまぼこ」というものがあり、これが江戸に伝えられ、伊達者達が着ていたドテラに似ていった事から伊達巻と呼ばれるようになった。
 
菊花かぶ 
かぶは冬が旬、昔の人は経験から知っていた。大根とともにジアスターゼに富んだ大変健康によい食べ物で、これをおめでたい菊の形に飾り切りし、食紅であざやかな紅白に染めて、酢のものにしたてたのが菊花かぶ。
 
小肌粟漬 
小肌はコノシロという魚の成魚になる前の名前。つまり出世魚なので縁起がよいたべものとされてきた。小肌粟漬は、小肌の切り身を蒸した栗と一緒に酢漬けにしたもの。栗はクチナシで鮮やかな黄色に染めている。栗は五穀豊穣を願ったものだが、防腐効果もあるという知恵も隠されている。
 
一の重が祝肴 
別名前菜にあたる「口取り」の重ともいい、お屠蘇をくみかわす時に祝う肴を盛り合わせます。蓋を開けた時、彩り華やかで、新年の晴れやかさを盛り込み、おめでたさを強調スル。祝い肴(さかな)の黒豆、田作り、数の子、たたきごぼうなどと、前菜にあたる口取りのかまぼこ、昆布巻き、栗きんとんなどを詰める。
 
二の重が焼き物/酢の物 
ごちそうとされる魚などの焼き物、添え物としてさっぱりした酢の物を詰める。
 
三の重が煮〆など煮物 
季節の美味しい根菜をふんだんに使った煮物を盛る。
 
与(忌み数字の四をきらってこう書く)の重が煮物
 
五の重が控えの重
 
大服(おおぶく・だいぶく)  
正月元旦にさんしょう入りの茶を用いること。
 
ごまめの歯ぎしり  
関東では田作りのことをごまめという。(ひしこ)の乾したもの。田植えに際して豊年を祈って祭りをするが、その時に用いるのが田作りである。小さくても尾頭つきの魚を祝魚に用いる意である。正月の祝膳にも、この祝魚を利用するのは、やはり豊年を期待する意を含んでいる。田作りそのものは、上級魚ではないから、軽視することが多いのでそれに反論して立派な魚じゃないかと弁護している言葉である。 田作りを田畑の肥料とし、それを用いて豊年をことほぐという解釈はあたらない。
 
初の餅を食いたい  
餅に初物というのもおかしいが、それでも人情として、初物は欲しい。人間は何でも初物を望む意。
 
餅がゆの節供 
正月十五日に、餅と小豆を入れたかゆを作る。その一部を残しておき、十八日に食べておくと夏、毒虫にさされないといういいつたえがある。
 
餅と酢は家に似る 
その家の好みにより、特有の形や味ができあがるものである。
 
餅は乞食に焼かせ 魚は大名に焼かせる 
餅は何度も裏返して焼く方がいいが魚はそうしない方がいい。そこで、せかせかしている乞食、ゆったりと構えている大名を対照的に出したのである。茨城地方では「餅は大名に焼かせろ、豆は乞食に炒らせよ」という。餅を焼くより、豆を炒るのはさらに忙しくしなければならないので、この言い方ができた。
 
餅腹三日 
餅腹七日ともいう。腹持ちのいいこと。
 
餅は餡(あん)でかたくなる 
他のものの影響で、物事が変わるたとえ。
   
おせち  
1年に5回ある節句の供え物の野菜で作った煮しめが、正月に限られるようになり、現在のような形に発展した。外が黒塗り、内が朱塗りの四段重が正式で、一の重は口取り、ニの重は焼き物、三の重は煮物、四の重は酢の物を入れるとされている。かつては、日ごろ台所で立ち働く女性を正月くらいは休ませようという配慮から、作りおきのきく料理が中心だった。
 
お屠蘇 
新年を祝うもので、肉桂、山椒、桔梗、防風など7種類の生薬を配合した屠蘇散を酒、みりんに浸して作る。 
中国、唐の時代にはじまった習俗で、日本には平安前期に伝わった。
   
祝い箸 
お正月などハレの日には両端が細くなっている白木の箸を使う。これには一方を自分が使い、もう一方に神様が宿るという意味がこめられている。箸袋に名前を書くのは、神様に守っていただけるよう願いをこめたもの。
 
祝い肴三種  
おせちを代表する縁起もので、子孫の繁栄、健康、豊作を願ったもの。祝い肴三種があれば、おせちの形が整うといわれる。
 
田作り/豊作を祈る縁起もので、田畑の土作りにいわしをいれたことに由来する。小さくともお頭つき。 
黒豆/日に焼けて真っ黒になるまでまめ(勤勉)に、しわがよるまで息災に過ごせますようにという願いを込めたもの。 
数の子/子孫の繁栄を願うものです。
 
鏡餅1 
鏡餅は、正月などに神仏に供える円くて平たい餅のこと。大小2つの餅を重ねて供える。地域によっては餅を三枚重ねたり、二段の片方を紅く着色して縁起が良いとされる紅白としたもの、餅の替わりに砂糖で形作ったもの、細長く伸ばしたものを渦巻状に丸め、とぐろを巻いた白蛇に見立てたものなどもある。 鏡餅という名は、昔の鏡の形に似ていることによる。昔の鏡は青銅製の丸形で、神事などに用いられるものであった。三種の神器の一つ、八咫鏡を形取ったものとも言われる。 鏡餅が現在のような形で供えられるようになったのは、家に床の間が作られるようになった室町時代以降のことである。武家では、床の間に具足を飾り、その前に鏡餅を供えた。鏡餅には、譲葉・熨斗鮑・海老・昆布・橙などを載せるのが通例となり、これは具足餅と呼ばれた。 今では、三方に半紙を敷き、その上に裏白(うらじろ、羊歯)を載せ、大小2つの餅を重ね、その上に串柿・干しするめ・橙・昆布を飾る。
 
鏡餅2  
鏡餅とは神様と人を仲介するもので、1年間の幸せを願う「晴れの日」に神前に捧げた餅をみんなで分け合って食べることで、神様からの福を受ける信仰の名残りである。つまり、鏡餅は神様にお供えしてからいただく尊い餅である(「お供え」が鏡餅の別名となった)。 なぜ重ねた餅を鏡餅と呼ぶようになったか、 ひとつには丸い餅の形が昔の銅鏡に似ていることからという(古来から鏡は神様が宿るところとされていた)。また、鏡餅の「鏡」は「鑑みる(かんがみる)」、つまり良い手本や規範に照らして考えるという意味の言葉にあやかり、「かんがみもち」とよぶ音がしだいに変化して鏡餅になったとも言われている。 鏡餅の丸い形は家庭円満を表し、重ねた姿には1年をめでたく重ねるという意味もある。 鏡餅の起源に明確な記録はないが、元禄年間の書に丸餅と角餅を重ねた絵が残されており、この頃かといわれている。
 
鏡餅に関する風習 
飾り始める時期は12月28日が最適とされる。「八」が末広がりで日本では良い数字とされているからである。12月29日は、日本では「九」が苦しむにつながるので避けるべきとされる(29を「福」と読み替え餅を搗く地域もある)。12月30日はきりの良い数字なので悪くないと考えられている(ただし、旧暦では12月は30日までしかなかったため、旧暦通りならば「一夜餅」の扱いである)。12月31日に飾るのは「一夜飾り」「一夜餅」として忌避される。 鏡開きの日は1月11日とされる、それまでは飾り続けた状態でよいと考えられている。供え終わったときに木槌などで砕き割り、汁粉などに加工して食べる風習がある(神様に供えたものなので、包丁などで「切る」行為は礼を欠き、縁起が悪いとされる)。
 
鏡餅・飾り方 
日本の信仰は生活を取り巻くあらゆる物に神様が宿るとされてきた。今でも地方によっては道具や台所などにそれぞれ鏡餅を供える風習が見られる。これは物に感謝したり、いつくしんだりする日本人特有の文化の表れだ。  
三方(さんぽう) 鏡餅を乗せる台。尊い相手に物を差し上げるときに、台に乗せることが礼儀であることから使われる。平安朝時代には三方は「衝い重ね」といった。 
橙(だいだい) 木から落ちずに大きく実が育つことにあやかって、代々家が大きく栄えるようにと願った縁起物。 
御幣(ごへい)・四手(しで) 四方に大きく手を広げ、繁盛するように。紅白の赤い色は魔除けの意味がある。 
海老(えび) その姿になぞらえ、腰が曲がるまで長生きできるようにと祈るもの。 
裏白(うらじろ=シダ) 古い葉とともに新しい葉がしだいに伸びてくるので、久しく栄えわたるという縁起をかつぐもの。 
扇(おおぎ)・末広(すえひろ) 末長く繁栄していくようにとの願いが込められている。 
四方紅(しほうべに) お供え物をのせる色紙で、四方を「紅」でふちどることで「天地四方」を拝し災を払い、一年の繁栄を祈願するものです。
 
鏡開き  
旧年の無事を神様に感謝しながら、神様に供えた鏡餅をお下がりとしていただく儀式で、餅を食べる者に力を授けられるといわれている。もともとは武家の間で行なわれていた習慣でしたが、その後、縁起を大切にする商人の間に広がり、一般化したといわれる。 飾るだけでなく食べてこそ鏡餅の意味があるといえる。正月11日に硬くなった鏡餅は手や槌で割りるが、力のいる仕事である。「老婆の今年も割ぬ鏡餅」(碧堂)割った鏡餅は、雑煮やおしるこにして食べるが、それを鏡割りと言わずに、鏡開きと呼ぶのは「割る」という言葉が縁起が悪いと感じたためである。昔、鏡開きは陰暦で祝う小正月が終わる20日の行事だったが、二代将軍徳川秀忠や三代将軍家光の命日にあたるので避けて11日に変わったと言われる。

  
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おせち料理の由来 諸説
おせち料理のいわれ 1
紅白蒲鉾
紅白は祝の色 / 蒲鉾は「日の出」を象徴するものとして、元旦にはなくてはならない料理。紅はめでたさと慶びを、白は神聖を表します。
伊達巻
長崎から伝わったシャレた料理 / 江戸時代、長崎から江戸に伝わった「カステラ蒲鉾」が、伊達者(シャレ者)たちの着物に似ていたので伊達巻と呼ばれるようになったようです。また、昔は大事な文書や絵は巻物にしていたので、おせち料理には巻いた料理が多くあります。
錦玉子
金、銀、錦にたとえて / 黄身と白身の2色が美しい錦玉子は、その2色が金と銀にたとえられ、正月料理として喜ばれます。2色を錦と語呂合わせしているとも言われます。錦織り成すあでやかさで祝いの膳を華やかにしてくれます。
栗きんとん
豊かさと勝負運を願って / 黄金色に輝く財宝にたとえて、豊かな1年を願う料理。日本中どこにでもある栗は、山の幸の代表格で、「勝ち栗」と言って、縁起がよいとして尊ばれてきました。
黒豆
元気に働けますように / 「まめ」は元来、丈夫・健康を意味する言葉です。「まめに働く」などの語呂合わせからも、おせち料理には欠かせない料理です。
昆布巻き
日本料理の必需品、昆布で健康長寿を / 昆布は「喜ぶ」の言葉にかけて、正月の鏡飾りにも用いられている一家発展の縁起ものです。おせち料理には、煮しめの結び昆布、昆布巻となかなかの活躍です。
田作り
小さくても尾頭付き / 五穀豊穣を願い、 小魚を田畑に肥料として撒いたことから名付けられた田作り。片口鰯の小魚(ごまめ)を使った田作りは、関東でも関西でも祝い肴3品のうちの1品です。
数の子
子宝と子孫繁栄を祈る / 数の子はニシンの卵。二親(にしん)から多くの子が出るのでめでたいと、古くからおせちに使われました。正月らしい一品です。
菊花かぶ
旬のかぶもめでたい形で / 冬が旬のかぶをおめでたい菊の形に飾り切りし、紅く染めて、紅白の酢のものに仕立てたのが菊花かぶです。消化によい栄養素を含み、ご馳走の中の箸休めにぴったり。
小肌栗漬
将来の出世を願って / 小肌はコノシロという魚の成魚になる前の名前。出世魚なので縁起がよいといわれています。黄色はクチナシで染めた粟で、五穀豊穣を願っています。
えび
長生きの象徴 / えびは、長いひげをはやし、腰が曲がるまで長生きすることを願って正月飾りやおせち料理に使われます。おせち料理には、小えびを串で止めた鬼がら焼がよく用いられます。
お多福豆
福を招く豆料理 / 「阿多福」という字が当てられ、文字通り福を招く食べ物として、祝い膳にはよく登場します。空豆の一種で、その形が、ふくよかなおたふくの顔に似ているところから、お多福豆と呼ばれています。
紅白なます
紅白でおめでたいさっぱり料理 / 生の魚介と大根、にんじんと酢で作ったことから、なますの名がつけられました。今は生の魚介の代わりに、干柿や昆布、ゆずの千切りも用いられます。
ごぼう
細く長く幸せに / 細く長く地中にしっかり根を張るごぼうは縁起のよい食材として様々に使われています。たたきごぼうは、軟らかく煮たごぼうを叩き、身を開いて、開運の縁起をかついだもの。ごぼうの産地である八幡の名をとった、牛肉の八幡巻、穴子の八幡巻も正月らしい巻もの料理です。宮中で正月に配られる花びら餅の芯にも、ごぼうが用いられ、大切に扱われているのです。
するめ
祝い事を表す縁起もの / 「寿留女」の字をあて、結納の品として使用され、めでたい祝儀の膳に欠かせない品でした。 恵比寿神を奉るエビス棚には、しめ縄が飾られ、するめ・昆布・新巻鮭などを飾る習慣がありました。寿とは、幸せのこと祝事を表す言葉です。
餅(鏡餅と雑煮)
餅は、昔から神様に捧げる神聖な食べものとして考えられ、祝いごとや祭りの日には欠かせないものでした。昔は、多くの家で正月用の餅つきをしましたが、12月31日につくのを一夜餅、29日につくのを苦餅といって嫌いました。正月に、年神様に供える餅が鏡餅で、1月11日の鏡開きまで、床の間や各部屋に飾ります。
雑煮は、年神様にお供えした餅を、野菜や鶏肉、魚介などといっしょに煮込んで作る料理です。地方色豊かな料理で、主として白味噌仕立ての関西風、醤油仕立て(すまし仕立て)の関東風と大きく分けられます。餅の形も関西では丸餅、関東では切り餅(のし餅、角餅)が一般的です。関西で丸餅を使うのは鏡餅をかたどっているためといわれます。  
 
おせち料理の由来 2
おせち料理、もともとは季節の変わり目とされる「節」に、神に供え物をし、宴を開くという宮中行事で用いられていた料理。「御節供料理」と呼ばれたこの料理は、いつしか庶民の間にも浸透し、お正月の「おせち料理」として定着したのです。昔の人々はおせち料理に、豊作や家内安全、子孫繁栄を願う意味を込めました。
祝い肴三種
黒豆・・・元気に働けますように!
「まめ」は元来、丈夫・健康を意味する言葉です。「まめに働く」などの語呂合わせからも、おせち料理には欠かせない料理です。
数の子・・・子宝と子孫繁栄を祈る
数の子はニシンの卵。二親(にしん)から多くの子が出るのでめでたいと、古くからおせちに使われました。正月らしい一品です。
田作り・・・小さくても尾頭付き
五穀豊穣を願い、 小魚を田畑に肥料として撒いたことから名付けられた田作り。片口鰯の小魚(ごまめ)を使った田作りは、関東でも関西でも祝い肴3品のうちの1品です。
口取り
紅白蒲鉾・・・紅白は祝いの色
蒲鉾は「日の出」を象徴するものとして、元旦にはなくてはならない料理。紅はめでたさと慶びを、白は神聖を表します。
伊達巻・・・長崎から伝わったシャレた料理
江戸時代、長崎から江戸に伝わった「カステラ蒲鉾」が、伊達者(シャレ者)たちの着物に似ていたので伊達巻と呼ばれるようになったようです。また、昔は大事な文書や絵は巻物にしていたので、おせち料理には巻いた料理が多くあります。
栗きんとん・・・豊かさと勝負運を願って
黄金色に輝く財宝にたとえて、豊かな1年を願う料理。日本中どこにでもある栗は、山の幸の代表格で、 「勝ち栗」と言って、縁起がよいとして尊ばれてきました。
昆布巻・・・日本料理の必需品、昆布で健康長寿を
昆布は「喜ぶ」の言葉にかけて、正月の鏡飾りにも用いられている一家発展の縁起ものです。おせち料理には、煮しめの結び昆布、昆布巻となかなかの活躍です。
酢の物
紅白なます・・・紅白でおめでたいさっぱり料理
お祝いの水引をかたどったもの。おめでたい意味があります。生の魚介と大根、にんじんと酢で作ったことから、なますの名がつけられました。今は生の魚介の代わりに、干柿や昆布、ゆずの千切りも用いられます。
焼き物
海老・・・長生きの象徴
えびは、長いひげをはやし、腰が曲がるまで長生きすることを願って正月飾りやおせち料理に使われます。おせち料理には、小えびを串で止めた鬼がら焼がよく用いられます。
煮物(煮しめ)
煮しめ
里芋・・・子芋がたくさん付くことから、子宝を祈願。
レンコン・・・穴があいたレンコンには、先を見通せるようにとの意味が。
くわい・・・くわいの大きな芽に、出世を祈って。
ごぼう・・・細く長く幸せに
細く長く地中にしっかり根を張るごぼうは縁起のよい食材として様々に使われています。たたきごぼうは、軟らかく煮たごぼうを叩き、身を開いて、開運の縁起をかついだもの。ごぼうの産地である八幡の名をとった、牛肉の八幡巻、穴子の八幡巻も正月らしい巻もの料理です。宮中で正月に配られる花びら餅の芯にも、ごぼうが用いられ、大切に扱われているのです。
その他
菊花かぶ・・・旬のかぶもめでたい形で
冬が旬のかぶをおめでたい菊の形に飾り切りし、紅く染めて、紅白の酢のものに仕立てたのが菊花かぶです。消化によい栄養素を含み、ご馳走の中の箸休めにぴったり。
錦玉子・・・金、銀、錦にたとえて
黄身と白身の2色が美しい錦玉子は、その2色が金と銀にたとえられ、正月料理として喜ばれます。2色を錦と語呂合わせしているとも言われます。
小肌粟漬・・・将来の出世を願って
小肌はコノシロという魚の成魚になる前の名前。出世魚なので縁起がよいといわれています。黄色はクチナシで染めた粟で、五穀豊穣を願っています。
お多福豆・・・福を招く豆料理
「阿多福」という字が当てられ、文字通り福を招く食べ物として、祝い膳にはよく登場します。空豆の一種で、その形が、ふくよかなおたふくの顔に似ているところから、お多福豆と呼ばれています。
するめ・・・祝い事を表す縁起もの
「寿留女」の字をあて、結納の品として使用され、めでたい祝儀の膳に欠かせない品でした。恵比寿神を奉るエビス棚には、しめ縄が飾られ、するめ・昆布・新巻鮭などを飾る習慣がありました。寿とは、幸せのこと祝事を表す言葉です。
お重箱
めでたいことを重ねるという願いを込め、重箱に詰めます。基本は四段重、正式には五段重だそうです。  
 
おせち料理の由来 3
今では、お正月に食べるお祝いの料理を指しておせち料理といいますが、その起源は古く、弥生時代といわれています。当時の人々は、作物の収穫を季節ごとに神様に感謝し、生活の節目をつけていました。自然の恵みや収穫に感謝して神様に供えたものを「節供(せっく)」といいます。また、供えたものを料理して、大漁や豊作を願い、自然の恵みに感謝して食べた料理を「節供料理」といいます。この「節供料理」がおせち料理の始まりです。
時代の流れの中で、中国から節句の行事が伝わると、宮中では元旦や五節句の宮中行事の際に「節会(せちえ)」と言われる宴が催されるようになります。節会で神様に供えたり、振舞われた料理を「御節供(おせちく)」といい、その後、略されて「おせち」と言われるようになりました。
江戸時代になり、庶民が宮中行事を生活に取り入れるようになると、おせち料理は全国的に広がっていきました。1年の節目で一番大切なお正月に食べる料理を、おせち料理と呼ぶようになったのも、この頃です。おせち料理を漢字で「御節料理」と書くのも納得!ですね^ ^
※五節句とは? 1年に5回ある季節の節目の日(節日)のことで、1月7日(人日)、3月3日(上巳)、5月5日(端午)、7月7日(七夕)、9月9日(重陽)を指していいます。
おせち料理の意味
洋食や中華料理のおせちも目に付く今日この頃ですが、おせち料理は、もともと日本にある行事食でもあります。重箱に詰められている料理や素材が、それぞれに意味を持っています。それでは、一般的な三段重の場合を例にして1つずつみていきましょう。
一の重
おとそを祝うための祝肴(数の子、田作り、黒豆、たたきごぼう)や、口取り(かもぼこ、伊達巻、栗きんとんなど)を詰めます。
祝肴
数の子
数の子はニシンの卵です。ニシン(二親)は卵が多い(たくさんの子がでる)ので、子宝や子孫繁栄を願う縁起物として食べられます。
田作り
その昔、田植えの肥料に乾燥したいわしが使われていました。田作りという名前は、田を作るというところに由来しています。また、いわしの肥料を使った田んぼが豊作だったところから、別名ごまめ(五万米)とも呼ばれています。豊作を祈願する食べ物です。
黒豆
黒色は道教で魔除けの色とされています。この一年まめ(まじめ)に働きまめ(健康)に暮らせるようにと、邪気を払い、無病息災を願った食べ物です。「黒く(真っ黒に日に焼けるほど健康に)まめに暮らす」という、語呂合わせからという説もあります。
たたきごぼう
ごぼうは、地中深く根を張るので、家(家族・家業など)がその土地にしっかりと根を張って安泰に、 という願いが込められています。また、その色や形が黒い瑞鶏(豊作の象徴)に似ていることから、豊作を願って食べられました。たたきごぼうは、別名開きごぼうともいわれ、運が開くという意味も持っています。
口取り
紅白かまぼこ
かまぼこの形(半円状)が、初日の出の形に似ていることから用いられます。赤色は魔除けを、白色は清浄・神聖を表します。また、紅白で縁起が良いとされています。
伊達巻
伊達巻の「伊達」は、華やかさや派手さを表す言葉で、華やかな卵焼きという意味で伊達巻という名前がついたとか、伊達政宗が魚のすり身に卵を混ぜて焼いたものを好んで食べたなど、諸説あります。 伊達巻の形が巻物に似ていることから、文化の発展または、学問や習い事の成就を願う食べ物です。
栗きんとん
きんとんは漢字で金団と書きます。その字の通り金の団子つまり金銀財宝を意味し、金運を呼ぶ縁起物です。
二の重
口代わりの酢の物と焼き物を詰めます。一の重に詰め切れなかったものや煮物を詰めても大丈夫です。
酢の物
紅白なます
紅白の色は水引を表しており、平安と平和を願う縁起物です。
ちょろぎ
ちょろぎは「長老木」「長老喜」「千代老木」「長呂貴」といった、おめでたい漢字が当てられ、長寿を願う縁起物として食べられます。
酢蓮
レンコンは、仏教で仏様のいる極楽の池にある、といわれておりけがれの無い植物とされています。たくさんの穴があることから、将来の見通しがいい(先見性がある)という縁起を担いだ食べ物です。
菊花かぶ
旬のかぶをおめでたい菊の花に飾り切りし、紅白の酢の物にしたのが、菊花かぶです。長寿を願う縁起物として食べられます。また、武家社会では、かぶは頭に通じることから、頭(かしら)を目指すようにと、縁起のいい食べ物として広まったともいわれています。
焼き物
海老
海老の姿にたとえて、腰が曲がるまで長生きしますように。と長寿を祈る食べ物です。赤は魔除けの色と言われていますが、それとは別に、海老の朱色が晴れやかであることから、おせち料理に用いられるという説もあります。
ぶり
ぶりが成長と共に名前が変わる出世魚であることにあやかって、出世を願って食べられます。

祝いの席にはつきものの鯛ですが、「めでたい」の語呂合わせから用いられています。
うなぎ
おせち料理にうなぎが入るようになったのは、ごく最近のことです。うなぎのぼりにあやかって、出世を祈願するものです。
三の重
筑前煮や煮しめなど、季節の野菜をたっぷり使った煮物を詰めます。
昆布巻き
こんぶは養老昆布=よろこぶで不老長寿とお祝いの縁起物です。「子生(こぶ)」の字をあてて、子孫繁栄を願うものでもあります。また、巻物に通じることから、伊達巻同様、文化の反映や学問成就の意味も持っています。
煮しめ
根菜を中心とした野菜などを一緒に煮た煮しめには、家族が仲良くいっしょに結ばれるという意味があります。もちろん!煮しめに入る具材も、それぞれ意味を持っています。
○里芋 / 親芋にたくさんの小芋が付くことから、子宝に恵まれますようにという願いが込められています。
○くわい / 最初に大きな芽が出ることから「めでたい」にかけて、出世(芽が出る)を願った食べ物です。黄色に色づけ(クチナシで着色)することで財を表し、お金や豊かさを祈願します。また、昔の仮名遣いで「か」を「くわ」と書いたことから、くわい → かい → 快 で、一年を快よく過ごすことができるように。という説もあります。
○陣笠椎茸(椎茸) / 椎茸の笠を陣笠に見立てたものです。神様へのお供えとして珍重されていた椎茸は、元気、壮健への願いが込められています。
○楯豆腐(豆腐) / 煮含めた高野豆腐に焼き目をつけて楯に見立て、家が守られるように。という祈りを込めたものです。
○手綱こんにゃく / こんにゃくを手綱に見立てたもので、手綱を締めて心を引き締め、己を厳しく戒め戦いに備える心を養う、ということを意味しています。武家社会の名残がここにあります。また、「結び目」が「円満」「良縁」に通じることから、縁を結ぶという縁起を担いで用いられます。
○梅花にんじん(にんじん)
梅は、花が咲くと必ず実を結ぶことから、縁起ものとされています。また、にんじんの赤色は寿をあらわすとも言われています。ちなみに・・・円くかたどったにんじんは、日の出にんじんと呼ばれます。まんまるは良縁を意味するそうです。
○たけのこ
たけのこは成長が早いので、子供がすくすく育つように願った、天に向かって伸びるので、立身出世を願った、その成長する様子を家の繁栄にたとえたなど、様々な説があります。
 
おせち料理の種類といわれ 4
おせち料理には、たくさんの料理があります。栄養バランスや保存性のよさなど、まさに先人の知恵の結晶といえますが、重箱に詰めるときは、段ごとに詰める内容が決まっています。その基本を踏まえておけば、重詰めだけでなく、皿盛りにする場合にも参考にできます。
壱の重【口取り・祝い肴】
重ねた時に1番上になる壱の重には、正月にふさわしい祝い肴を詰めます。中でも、数の子・田作り・黒豆を「三つ肴」といい、正月には欠かせないものとされています。関西では、黒豆ではなくたたきごぼうを加えた、数の子・田作り・たたきごぼうが三つ肴です。
そして、それぞれの食材には、人々の願いが込められています。
数の子  子宝に恵まれ、子孫繁栄。ニシンの子なので「二親健在」にも通じる。
田作り  イワシが畑の肥料だったことから「田作り」「五万米」(ごまめ)と呼ばれ、豊作祈願の料理。また、小さくても尾頭付き。
黒豆  まめに(勤勉に)働き、まめに(丈夫で元気に)暮らせるように。
たたきごぼう  ごぼうのように根を深く張り代々続く。たたいて身を開き開運を願う。
三つ肴の他、お正月ならではのおめでたい料理が入ります。
紅白かまぼこ  半円形は日の出(年神様)を表す。おめでたい紅白で、紅は魔除けの意味があり、白は清浄を表す。
伊達巻  昔の伊達者(シャレ者)たちの着物に似ていたので伊達巻と呼ばれるようになったといわれる。「伊達」とは華やかという意味がある。巻き物が書物や掛軸に通じることから知識や文化の発達を願う。
昆布巻  「喜ぶ」にかけて
栗きんとん  栗は「勝ち栗」と呼ばれる縁起もの。「金団」と書き、黄金色で縁起がよく蓄財につながる
ちょろぎ  「長老喜」「千世呂木」と書き、長寿を願う
錦玉子  黄身と白身の2色が金と銀にたとえられる。2色を錦と語呂合わせしているとも。
弐の重【焼き物】
縁起のいい海の幸が中心です。
ぶり  ぶりは大きさによって名前が変わる出世魚。ぶりで立身出世を願う。
鯛  「めでたい」にかけて。姿もよく味もよい鯛は、江戸時代から「人は武士、柱は檜(ひ)の木、魚は鯛」といわれ、めでたい魚として祝膳には欠かせないもの。
海老  腰が曲がるまで長生きできるように。
参の重【煮物】
山の幸を中心に、家族が仲良く結ばれるよう煮しめます。
れんこん  穴があいていることから、将来の見通しがきくように
里芋  子芋がたくさんつくことから、子孫繁栄
八つ頭  頭となって出世をするように、子芋がたくさんつくので子孫繁栄
くわい  大きな芽が出て「めでたい」、子球がたくさんつくので子孫繁栄
ごぼう  根を深く張り代々続く
与の重【酢の物・和えもの】
忌み数字の「四」は使わず、「与の重」とします。日持ちのする酢の物などを詰めます。 三段重の場合は、酢の物も焼き物などと一緒に、彩りよく詰めるとよいでしょう。
紅白なます  紅白でめでたく、祝いの水引にも通じる。根菜のように根を張るように
菊花かぶ  菊は邪気を祓いと不老長寿の象徴。
小肌粟漬け  小肌はコノシロという魚の成魚になる前の名前。出世魚で縁起がよい。クチナシで黄色く染めた粟で、五穀豊穣を願う。
五の重【控えの重】
年神様から授かった福を詰める場所として空っぽにしておくか、家族の好物や予備の料理などを入れます。
今のように冷蔵庫がなかった時代、本来のおせち料理は、保存がきくお料理がほとんどです。日持ちがするという理由以外にも、年神様に静かに過ごしていただくため、台所で騒がしくしないという心配りも含まれていました。また、かまどの神様に休んでいただくためや、神聖な火を使うのを慎むためともいわれています。そして、年末年始、多忙な女性が少しでも休めるようにという配慮もあったかも知れません。
現代のおせちは、家族の好みのものを中心に、洋風や中華風の料理が入ったり、サラダのような生野菜が加わったりと、とても多彩になりましたが、先人のこうした知恵と心を大切にしながら、素敵な正月を迎えたいものです。
おせち料理をいただくとき、ぜひ使っていただきたいのが「祝い箸」です。
祝い箸の由来と使い方
おせち料理やお雑煮をいただくときは、「祝い箸」を使います。祝い箸は末広がりの八寸(約24センチ)で縁起がよく、「両口箸」「柳箸」「俵箸」とも呼ばれていて、祝い事には欠かせない箸なのです。
祝い箸の由来
「祝い箸」は、両方の先端が細くなっていて、「両口箸」とも呼ばれます。それは、一方は神様用、もう一方を人が使うためで、"神人共食"を意味しています。おせち料理は年神様へお供えし、それを下げていただくもの。新年を祝い、1年の恩恵を授かる意味から年神様と食事を共にするわけです。
両方とも使えるからといって、ひっくり返して取り箸にしたりするのはタブーです。
その大事な箸がお祝いの席で折れたりするのを忌み嫌うため、丈夫で折れにくい柳の木が使われています。また、柳は水で清められた神聖な木とされ、春一番に芽吹くおめでたい木とされています。そのため「柳箸」ともいわれ、縁起良く「家内喜」と書くこともあります。
また、「俵箸」と呼ばれるのは、五穀豊穣を願って米俵を模し、中ほどが太めにできているから。また、「はらみ箸」と呼んで子孫繁栄を表したり、「太箸(たいばし)」と呼ばれることもあります。
祝い箸の使い方
お正月の祝い箸は、大晦日に家長が家族の名前をそれぞれの箸袋に記入し、箸を入れて神棚に供えておくのが習わしです。その箸を元旦に使ったら、自分で清めて(洗って)、松の内(1月7日まで)は同じ箸を使います。美しい箸袋に入った祝い箸もいろいろ市販されていますし、和紙や千代紙などを使って箸袋を自分で手作りしても楽しそうです。  
 
御節料理 5
節会や節句に作られる料理。節日のうち最も重要なのが正月であることから、正月料理(しょうがつりょうり)を指すようになった。単におせちともいう。
「おせち」は「御節供(おせちく、おせつく)」や「節会(せちえ)」の略であり、中国から伝わった五節供の行事に由来する。奈良時代には朝廷内で節会(せちえ)として行われ、そこで供される供御を節供(せちく)と言った。現在のような料理ではなく、高盛りになったご飯などであったとされる。
この五節会の儀を一般庶民がならって御節供を行うようになったものと考えられている。もともとは五節句の祝儀料理すべてをいったが、のちに最も重要とされる人日の節句の正月料理を指すようになった。正月料理は江戸時代の武家作法が中心となって形作られたといわれている。
江戸時代、関西では「蓬莱飾り」、江戸では「食積(くいつみ)」、九州の佐賀・長崎などでは「蓬莱台・手懸け盛り」と称し歳神様に三方などでめでたい食べ物などを床の間に飾り、また年始の挨拶に訪れた客にも振舞ったり家族も食べたりした。
重詰めへの移行
傍廂(1853年)によれば天明の頃までは食べていたがそれ以降は飾るだけとなり、正月料理は重詰め等へと変化していく。膳に盛られた料理と重に詰められた料理が用意され、このうち膳に盛られた料理を「おせち」と呼んだ。のちの「東京風俗志」(明治34年)によるとお膳に供えた煮物を「御節」、重詰めしたものを「食積」と呼んでいる。
重箱に本膳料理であった煮染めを中心とした料理が詰められるようになり食積と御節の融合が進んだ。現在では重箱に詰めた正月料理を御節と呼ぶようになっている。重箱に御節料理を詰めるようになったのは明治時代以降のことと言われている。
重箱に御節を詰める手法が完全に確立した時期は第二次世界大戦後でデパートなどが見栄えの良い重箱入りの御節料理を発売したことによるとも言われている。正月料理の重詰めについては江戸時代の文化・文政年間の料理茶屋における料理の影響を受けているとみる説もある。
構成
内容
御節料理の基本は、祝い肴三種(三つ肴、口取り)、煮しめ 酢の物、焼き物である。地方により構成は異なる。三つ肴の内容は関東では黒豆、数の子、ごまめ(田作り)の3種、関西では黒豆、数の子、たたきごぼうの3種である。
一つ一つの料理は、火を通したり干したり、あるいは酢に漬けたり味を濃くするなど、日持ちする物が多い。これは歳神を迎えて共に食事を行う正月の火を聖なるものとして捉え、神と共食する雑煮をつくるほかは火を使う煮炊きをできるだけ避けるべきという風習に基づく。家事から女性を解放するためという要素があるとみる説もある。
また、関西には「睨み鯛」といって三が日の間は箸をつけない尾頭つきの鯛を焼いたものを重詰めする風習がある。
現在では、食品の保存技術も進んだため、生ものや珍味のほか、中華料理、西洋料理など多種多様な料理を重箱に詰めて供することも多い。マリネなどのオードブル、ローストビーフや牛肉の八幡巻などの肉料理、寿司などが企業や生活情報サイトなどでレシピとして提案されている。また、これらの御節料理を宅配サービスを前提とした食料品店、百貨店、料亭、インターネット上の店舗が販売し、買い求める人々も増えている。
祝い肴(口取り)
黒豆 / 黒豆をしわが寄らないように、甘く煮たもの。 / 黒は道教において邪除けの色とされている。黒く日焼けするほど達者(マメ)に働けるようにと邪気を払い長寿と健康(無病息災)を願ったもの。
数の子 / ニシンの魚卵の薄皮を取って汁に漬け込んだもの。 / 数の子は卵の数が多く、また、ニシンは「二親」に通じ、五穀豊穣と子孫繁栄を願ったもの。
田作り(ごまめ) / イワシの幼魚の佃煮。 / カタクチイワシを田の肥料としたところ五万俵ものコメが収穫できたとのいわれに由来している。「ごまめ」は「五万米」であり「田作り」の名とともに五穀豊穣を願ったもの。
たたきごぼう(酢ごぼう) / ゴボウを擂粉木などで叩いて酢などで和えたもの。関西地方でよくみられる / たたきごぼうは瑞鳥(豊年の象徴)を表したもので豊作と息災を願ったもの。黒色には邪を払うという意味を持つ。また、ごぼうは地中に深く根を張ることから用いられる。
紅白かまぼこ / 紅白二色のかまぼこ。元は神饌の赤米、白米を模したもの。 / 形状が初日の出の形に似ることから用いられる。赤色は魔除け、白色は清浄を意味している。紅白の色が縁起が良いとされる。
伊達巻 / 「伊達」の由来は華やかさや派手さを表す言葉で伊達政宗の派手好きに由来することの他、諸説ある。見た目の豪華さで定番となる。卵焼きやだし巻を代わりに使用する場合もある。 / 巻物(書物)に似た形から文化・学問・教養を持つことを願う縁起物。
搗ち栗/栗金団 / 搗ち栗(かちぐり)は栗の実を搗いたもの。栗金団は栗餡や芋餡を練ったきんとん。 / 搗ち栗は「勝ち」に通じることに由来。「金団」とは金色の団子という意味で、金銀財宝を意味しており金運を願ったもの。ただし、栗を用いるようになったのは明治時代以降とされる。
お多福豆 / 文字通り福が多からんことを祈願した。
焼き肴
鰤の焼き物 / ブリも参照。照り焼きにすることが多い。 / 出世を祈願。出世魚であることにあやかったもの。地域によっては鮭の塩引き
鯛の焼き物 / 元は神饌。 / 「めでたい」の語呂合わせ。
海老の焼き物 / 伊勢海老を使うことが多かったが、高価であるため、クルマエビなどが使用されている。 / 長寿を祈願した縁起物(ひげが長く腰が曲がっている様子に由来)。また、海老は脱皮することから生命の更新を意味するもの、または、脱皮を繰り返していくことから出世を願うものとされる。
鰻の焼き物 / ごく最近の趣向。 / 鰻登りから出世を祈願。
酢の物
紅白なます / 大根と人参を用いたなます。 / 祝い事に用いる紅白の水引にあやかる。
ちょろぎ / 植物の根をシソ酢で赤く染めたもの。多くの場合、黒豆と共に盛り付けられる。 / 「長老木」、「千代呂木」あるいは「長老喜」の字をあて長寿を願う。
酢蓮(すばす) / レンコンの酢の物。 / 穴が多数ある蓮根は将来の見通しがきくという意味の縁起かつぎである。
煮物
昆布巻き / 煮しめの中の材料としても用いられる。身欠きニシンなどの魚を昆布で巻いて干瓢で結ぶ。 / 「喜ぶ」の語呂合わせ。また、昆布は「ひろめ」あるいは「えびすめ」とも称された。「ひろめ」は末広がりである昆布の形状に由来する。また、「昆布」に「子生」の字をあて子孫繁栄を願ったものともいわれる。昆布巻きは伊達巻と同じく巻物(書物)に似た形から文化・学問を象徴する意味を持つ。
陣笠椎茸(椎茸) / 煮しめの材料の一。陣笠椎茸は椎茸の傘を陣笠に見立てたもの。 / 武家社会の名残。
楯豆腐(豆腐) / 煮しめの材料の一。楯豆腐は豆腐に焼き目を付けて楯に見立てたもの。 / 武家社会の名残。
手綱こんにゃく(コンニャク) / 煮しめの材料の一。手綱こんにゃくはコンニャクを手綱に見立てたもの。薄く切ったコンニャクに縦に切り目を入れ、そのなかに片端をとおす。 / 武家社会の名残。
芽出しくわい(くわい) / 煮しめの材料の一。梔子とともに煮て色付けする。 / 最初に大きな芽が一本出ることから「めでたい」にかけたもの。芽が出ることから出世を祈願したもの。また、古くは平仮名の「か」を「くわ」と表したので、くわい=かい=快から、一年を快く過ごせるように。
花蓮根(蓮根) / 煮しめの材料の一。 / 先述のように穴が多数ある蓮根は将来の見通しがきくという意味の縁起かつぎである。この孔が空いていることから将来が見通せるようにとの意味のほか、花蓮根には花の後に実を結ぶようにとの意味がある。
矢羽根蓮根(蓮根) / 煮しめの材料の一。 / 破魔矢の矢羽根に見立てたもの。
八ツ頭(里芋) / 煮しめの材料の一。八ツ頭はサトイモの栽培品種 / 親イモが大きいことに因んで頭(かしら)になることを願うもの。また、里芋は親芋に子芋がたくさん育つことから子宝を願ったものとされる。
金柑 / 「ん」は「運」に通じ、運を重ねるの意 / 財宝としての「金冠」を意味している。
梅花にんじん(人参) / 型で抜くか、包丁で5角形の梅のはなびらがたにしたもの
組重
御節料理を詰めるのには組重(組になった重箱)を用いる。重箱に詰める意味は、めでたさを「重ねる」という意味で縁起をかついだものである。
重箱は外を黒塗り、内を朱塗りとしたものが正式とされる。
組重については、本来は五段重であったともいわれ、この五段重を正式としている説もある。ただ、最近では四段重が普通となっており、この四段重を正式なものとしている説もある。
四段重は春夏秋冬を表すといわれ、また、完全を表す「三」にさらに一つ重ねる意であるともいわれる。
一方、五段重における五の重は土用を表すといわれる。ただ、五の重の内容については諸説あり、五段重を用いる場合、来年こそは重箱を一杯にできますようにという意味で五の重には実際には詰めることはしないとするもの、なますや酢の物を詰める重であるとするもの、「控えの重」として多めに御節料理を詰めたりあるいは家族の好物を詰めるために用いられる重であるとするものなどがある。
なお、組重の四段目については四(し)が「死」を連想させ不吉で縁起が悪いことから「与の重(よのじゅう)」と呼ばれている(四の字も参照)。
三段重や二段重といった略式のものも多くなっている。
重詰め
重詰めの形式には、市松、七宝、八方、段取、升詰、隅取といった形式がある。一つの重の品数は奇数とする。
関東では隙間なく詰められるのに対して、関西では裏白などを飾りつけながらふんわりと散らしながら詰められていたが、後にその限りではなく、販売している関西風・京風お節も隙間なくキッチリと詰めて販売しているのがほとんどとなった。
四段重の一般的な構成については次の通り。
一の重には祝い肴のうち三つ肴と口取り。
二の重には焼き物。
三の重には煮物もしくは酢の物。
与の重には酢の物もしくは煮しめ。
五段重の一般的な構成については次の通り。
一の重には祝い肴。
二の重には口取り。
三の重には鉢肴あるいは海川の幸または焼き物。
与の重には煮しめ(山の幸の煮物)。
五の重(五段重とする場合の五の重については先述のように説が分かれる)
なお、黒豆・田作り・数の子の祝い肴については一の重に入れられるほか別の入れ物に盛り付けられることもある。