会社

モノづくりのこころ日本人の技術はどこから来たか・・・ 
 
【会社】営利を目的とする社団法人で商法によって設立。合名会社、合資会社、株式会社、有限会社。 
【会社法】会社の設立、組織、機関、解散、清算および社員の権利義務などについて規定した法規の総称。 
【商法】商事に関する法の総称。手形法、小切手法、有限会社法、商慣習法などを含む。 
【発起設立】株式会社を設立する場合に、発起人が会社の発行する株式の総数を引き受けて会社を設立すること。 
【商号】商人が営業上自己を表示するために用いる名称。商法では一営業について一個しか持つことができないことを定めている。 
【株式会社】商法上の会社の一つ。株主の出資および権利義務の単位としての株式を発行し、株主にその所有する株式の引受額の限度において責任を負担させる会社。 
【有限会社】商行為その他の営利行為を目的として、有限会社法によって設立された社団法人。株式会社と同じく有限責任の社員だけで組織され、資本金10万円以上、出資一口1000円以上、社員総数50人以下と定められている。株式会社の特色を中小企業むけに簡素化した企業形態。有限責任会社。
  
【物的会社】会社の債権者に対する責任が、社員の個性などの人的条件よりも、会社の財産に重点がおかれている会社。株式会社や有限会社がこれに属する。 
【合資会社】無限責任社員と有限責任社員とからなる会社。日常の会社経営に前者があたる。 
【合名会社】会社の債務について、連帯して無限の責任を負う二人以上の社員から構成される会社。会社形態のうちもっとも家族企業的、個人企業的。 
【株式】株式会社の資本の構成単位。株式会社の構成員である株主としての地位および株主権。 
【社債】株式会社が一般公衆から資金を調達するために発行する多数の部分に分割された債務の証券、およびこれに対応する債権。 
【有限責任】債務者の財産中のある物または一定額を限度として債務支払の責任を負えばよいとされる場合をいう。
   
【株主】株式会社の株式の所有者。 
【株主権】株主が会社に対してもつ法律上の権利。 
【株主総会】株式会社の意思を決定する最高機関およびその会合。株主によって構成され、その権限は定款の変更、取締役・監査役の任免、決算書類の承認など、法令または定款に定める基本的な事項に限定される。 
【配当】会社が利益金、または建設利息を株主などに分配すること。 
【総会】団体の構成員全員による会合。その団体の意思を決定する議決機関。株式会社の株主総会、社団法人の社員総会など。 
【独占禁止法】「私的独占の禁止および公正取引の確保に関する法律」の略称。昭和22年経済民主化の一環として、財閥解体のあとを受け、独占の再生を防止するために制定された法律。業者間での生産量・価格・販売量などについてカルテル協定を結ぶこと、持株会社を設立すること、不公正な取引で会社を合併することなどを禁止・制限している。独禁法。
   
【金融会社】企業が設立・拡張などで長期産業資金を必要とした場合、その企業の株式・社債などを引き受けて資金を供給することを目的とする会社。独占禁止法では、銀行業・信託業などの金融業を営業する会社をいう。 
【金融機関】金融を主な業務とする機関の総称。銀行、信用金庫、保険会社、証券会社など。 
【金融業】金融を目的とする営業。銀行、信託会社、質屋など。 
【証券会社】証券業をいとなむ株式会社。 
【証券引受会社】有価証券の引受けや募集の取扱いを目的とする会社。 
【引受会社】公債・社債の募集の委託の引き受けをした会社。 
【証券業】有価証券の売買・引受け・売出し・募集または売出しの取扱いなどを行う営業。銀行、信託会社その他政令で定める金融機関以外のもので、大蔵大臣の免許を受ける。
  
【証券銀行】主として証券の引受け、債券の発行等によって、企業の設備資金を供給することを業務とする銀行。旧制の日本興業銀行の類。動産銀行。 
【株式仲買人】取引所で株式を売買取引できる者。現在、証券取引所では会員と呼ばれる。 
【証券市場】証券の発行・売買・流通などが行われる市場。特に証券取引所をさすこともある。 
【証券取引所】証巻取引法に基づいて設立され、株式や債券などの証券を売買する会員組織の社団法人。明治12年設立された株式取引所を始まりとする。会員は証券会社に限られ、協同組合の組合員に類する権利・義務をもつ。現在、東京、大阪、名古屋など、九か所に設けられている。 
【証券取引法】有価証券の発行・売買その他の取引の公正と流通の円滑、投資者の保護等を目的として昭和23年に制定された法律。有価証券の募集・売買、証券業者、証券取引所などに関して規定。
   
【株式取引所】株式を売買する取引所。証券取引所。 
【株式市場】株式が取引される市場。 
【株式配当】株式に対する配当。 
【株式プレミアム】株式の価格が額面金額を超過した場合の差額。 
【証券投資信託】投資者から集めた資金を専門家が株式や公社債に投資・運用し、投資者に利益を分配する制度。昭和26年に制定された証券投資信託法に準拠。 
【証券公債】債権額を表示した証券を発行した場合の公債。記名式と無記名式との二種がある。 
【上場】証券取引所または商品取引所で一定の資格や条件を備え取引物件として登録されること。 
【上場株】証券取引に上場されている株式のこと。株式の信頼性や、発行会社の社会的信用が増し、時価での換金が容易になるなどの利点がある。
  
【信用銘柄】証券金融会社の貸借取引の対象となる株。大阪市場ではマージン銘柄という。第一類銘柄。 
【増資】株式会社や有限会社が事業の拡張や運転資金の補充などのために資本金額を増加すること。有償増資と無償増資とがある。 
【株式金融】企業の設立や事業の拡張に必要な資金を株式の発行によって供給すること。 
【預合】定期取引の際の転売、買い戻しと同様の効果があるようにした便宜的な取引方法。株式会社または有限会社の発起人、取締役が、銀行や信託会社と結託して、株式または出資金の払い込みを行なわないのに行なったように装う行為。商法で禁止。 
【自己株式】会社が取得または質受けした自社の発行済の株式。この株式の取得は、株式の消却、合併による取得などの場合を除き、原則として禁じられている。自己株。
   
【持株会社】他の株式会社の株式を保有して、その会社を支配することを目的とする会社。 
【投資会社】投資を目的として他社の株式を取得し保有するための企業。持株会社。 
【信託会社】信託の引受けを業務とする会社。引受け財産には、金銭・有価証券・動産・不動産などがある。資本金は100万円以上。 
【特殊法人】公共の利益または国家の政策上の必要から、特別法によってその設立が認められた法人。日本銀行・帝都高速度交通営団・農林中央金庫・商工組合中央金庫・日本赤十字社など。広義には、公団・公社、特殊会社をも含める。 
【合弁会社】外国との共同出資や共同経営の形で設立・運営されている会社。 
【相互会社】社員の相互保険を営むことを目的とする社団法人。保険業法によって認められた特殊の法人で、営利保険を目的とする株式会社に対するもの。 
【無尽会社】無尽を営業として行う会社。昭和二六年の相互銀行法の制定によって、相互銀行に転換、または統合された。
  
【国策会社】国家の政策を遂行するために物資の生産、流通を統制して合理化を図る目的で設立された半官半民の会社。 
【財閥】財界に勢力のある大資本家、大企業家の一族一門。 
【同族会社】株主または社員の多くが親族・使用人などの特別の関係にある者によって成り立っている会社。 
【幽霊会社】法的な手続きを踏んでいない架空の会社。名前だけ登録して実際には株金の払込みなどを行っていない会社。詐欺の手段などに用いられる。 
【ダミー】(dummy)同一企業で便宜上別名にしている会社。また、その会社をつかっての取引。 
【代理店】一定の会社などの委託をうけて商行為の代理を行う店・会社。 
【トンネル会社】官庁、大手会社などの払下げ品や、寄託工事などを引き受けて、それを他に周旋し、中間利益をとるだけの名目上の会社。
   
【会長】会社で社長の職を退いた人などの就く名誉職。 
【代表取締役】株式会社の業務の執行にあたり会社を代表する権限をもつ取締役。取締役会の決議により選任され氏名は登記事項とされいる。会長、社長、副社長、専務取締役、常務取締役など。 
【社長】会社の業務執行の最高責任者。会社の長。 
【頭取】音頭を取る人。銀行・会社などで取締役の首席で代表者となって業務執行の任に当たる者。 
【取締役】株式会社や有限会社の業務執行を担当する者。また、その役職。株式会社では、三名以上が二年以内の任期で株主総会から選任される。取締役会の互選によって代表取締役を定める。有限会社の取締役は一名以上で任期には制限がない。 
【取締役会】株式会社で業務執行に関する会社の意思を決定する機関。取締役の全員で構成し、株主総会の権限に属するものを除き会社運営上の重要な事項の決定を行う。
  
【重役】重い役目。重要な役職。また、その役職にある人。特に江戸幕府や諸大名家の重い役(老中、若年寄、家老など)の汎称。また、その人。銀行・会社の取締役、監査役などをいう。役員。 
【役員】会社・団体などで、そこを代表したり、業務を執行したりする幹部職員。 
【監査役】会社の会計を監査するための機関。また、その人。 
【経営】会社、商店、機関など主として営利的・経済的目的のために設置された組織体を管理運営すること。 
【稟議】官庁・会社で、会議を開くほどではない新事項が生じたとき、主管者が決定案を作成し、関係者間に回して承認を求めること。
   
【社風】その会社特有の気風。 
【社是】会社の経営上の方針、または主張。また、それを表すことば。 
【社運】会社が栄えるか没落するかの運命。「社運を賭けた事業」 
【愛社】自分の会社に愛着をもち尽くすこと。「愛社精神」 
【背任】公務員や会社員などが、自分の利益のために、地位を悪用して、属している役所や会社に損害を与えること。 
【御用組合】使用者またはその利益代表を参加させたり、主たる経費を使用者の補助に仰いだりして自主性を失った労働組合。黄色組合。会社組合。 
【会社員】会社に勤めて事務をとる人、工場で働く人なども含めて広く会社に勤める人。
  
【社員】会社の一員として勤務している人。また、社団法人の構成員。 
【社員権】社団法人の構成員が、社員としての資格で法人に対してもつ権利。株式会社における株主権はその典型。利益配当請求権・残余財産分配請求権などの自益権、議決権・少数社員権・各種の監督権などの共益権に分けられる。 
【社員総会】社団の最高議決機関。社員の全員で構成され、社団の意思を決定し、業務を監督する。ふつう社団法人、有限会社の総会をさし、株式会社では特に株主総会と呼ばれる。 
【代表社員】合名会社や合資会社の社員で、その会社を代表する権限をもつ者。定款や総社員の同意により定められる。
   
【入社】会社などにはいって社員となること。 
【給与】給料。とくに、官公庁・会社で、勤務する者に支給する給料や諸手当。俸給。サラリー。 
【俸給】官公吏などの職務に対して報酬を支給すること。また、その支給する金銭。一般に会社などの勤め人に与える賃金もいう。 
【転勤】勤務の場所が変わること。同じ官庁、会社などの内部で、勤務する場所が変わること。 
【出向】籍をもとのところにおいたままで、他の会社や官公庁に勤めること。「出向社員」
  
【定年・停年】官庁・会社で職員・従業員などが退官・退職するようにきめられている年齢。 
【退社】会社の従業員がその会社をやめること。 
【退職】職をしりぞくこと。 
【退職金】官公庁・会社などに勤める人が退職する際に、一時金として支給される金銭。 
【肩叩】退職を勧告したりなどする時をいう。「会社側の肩たたき」 
【親会社】資本参加したり、役員を派遣したり、下請けさせたりして、子会社を支配する会社。
  
【子会社】資本参加、役員派遣などの形式によって他会社の支配を受けている会社。狭義では資本参加によるものをいう。 
【傍系会社】ある企業の系列下の会社で、子会社ほどは関係が密接でないもの。 
【系列会社】同一系列にある会社のグループ。ある会社の系列下にある会社。 
【合併】二つ以上の会社が一つになり新しい会社となること。 
【吸収合併】合併しようとする会社のうち一会社だけが存続し、他の会社が消滅して存続会社に吸収されるもの。 
【会社更生法】経営困難な状況にはあるが再建の見込みのある株式会社を維持し、その更生を図るための法律。昭和27年制定。 
【清算】会社・組合など法人その他の団体が解散した場合にその財産関係を整理すること。 
【清算会社】解散によって清算の状態にある会社。 
【更生手続】窮境にあるが再建の見込みのある株式会社について、株主や債権者などの利害を調整しながら会社事業の更生を図る裁判上の手続き。
   
【再建】一度おとろえたりすたれたりしたものを再度つくり上げること。「再建の見込のある会社」 
【総会屋】いくつかの会社の株を少しずつ持って株主総会に出席し、その席でいやがらせをしたり、または議事進行に協力して、会社から金品をとることを常習としている者。 
【会社ごろ】(「ごろ」は「ごろつき」の略)会社や重役などの弱点などにつけこみ、脅迫して金品などをゆすり取ることを常習とする者。
   
【オフィス】(office)会社、役所などの、事務をとる所。事務所。事務室。 
【オフィス‐ガール】(office girl)会社、役所などの女事務員。BG。オフィスレディー。 
【オフィス‐レディー】(office lady)「オフィス‐ガール」と同意で、今日それにかわって用いられることば。普通、略してOLという。 
【オフィス‐ワイフ】(office wife)会社で、重役の身の回りの世話をする女事務員。重役の女秘書。 
【ビジネス】(business)仕事。職業。事務。また、事業。商売。 
【ビジネス‐ガール】(business girl)主に事務系の仕事にたずさわっている、会社づとめの若い女性。OL。
  
【ビジネス‐スーツ】(business suit)背広。特に色や仕立てがじみなもの。 
【ビジネス‐センター】(business center)官庁、会社、銀行などが集中していて、その都市の事業や商業の中心をなす地区。 
【ビジネス‐マン】(businessman)企業で事務系の仕事をする社員。会社員。事務員。 
【ビジネスライク】(businesslike)感情をまじえず、物事を事務的に処理するさま。 
【オーエル】(office lady)会社の女子事務員。BGに代わって使われるようになった語。
 
 
【 コラボレーション】(collaboration) 異なる立場や人による共同作業や、その成果。複数の立場や人によって行われる協力・連携・共同作業。その協力によって得られた成果(=共同開発品・合作品・協力体制)もコラボレーションと呼ばれる。コラボと略される場合もある。語が用いられる場合、「意外な組み合わせ」「付加価値の創出」というニュアンスが込められる傾向がある。 「日韓のミュージシャンによる新曲の共同制作」「自動車メーカーと家具メーカーによる自動車の共同開発」「製造・流通・小売の各企業が、各々のコンピューターシステムを統合して作る、新しい協調体制(コラボレーションシステム)」
 
市場のグローバル化、標準化、法令遵守要請など、企業を取り巻く社会環境は大きく変化した。事業環境の変化に対応し競争優位を確保するには、基本として以下が重要となる。 
社員一人ひとりの生産性の最大化 
個々の生産性を、異なる立場や人による共同作業(コラボレーション)によって組織の力としてまとめる 
個々の生産性を、企業価値の向上につなげる
 
変化への対応環境づくり  
アイデアを創出しやすい環境  
時間や場所を限定しない共同作業環境 
膨大な情報を容易に利用活用できる手段
  
モノづくりのこころ

 

著者は元花王の代表取締役である。東京理科大学卒、米スタンフォード大学留学、理学博士と言う経歴ながら、アメリカ型NBA型経営を否定し、理科系に偏らない「思いきって理文の枠を外せ」と説き、職人の技を尊重する異色の経営者である。 
著者は、日本の製造部門及びそれに付随する部門の比重が、GDPで大きな比率を占めていることを挙げると共に、課題として輸出される工業製品の内、わずか6業種で80%を占める現状(2003年度)に警鐘を鳴らし、新しい次世代型基幹産業育成の必要性を説いている。 
著者はまた、日本型MOT(マネージメント・オヴ・テクノロジー)の必要性を説いているのだが、日本に於いてMOTは、 
1.理工学と経営学を融合させた教育・研究を行う大学院修士課程のプログラム 
2.企業戦略に合致した技術戦略を、立案できるエンジニアに与える資格(理工版NBA) 
3.企業に於いて技術を経営戦略に活かすことのできるマネージャー 
4.技術を中心とした経営戦略、あるいはマネジメント 
と幾つもの意味に使われているが、著者は日本型MOTを、(4)の経営戦略の1つとしてとらえ、次のように定義づけている。 
「MOTとは、マネジメントというテーブルの中央に技術を於いて議論すること、あるいは技術を中心にして経営戦略を立案し、実施していくこと」 
日本の大学院に於いて確かにMOT講座が増えているのだが、テキストはアメリカ版の直輸入が多いことを指摘し、日本に於いて職人のモノづくり意識、夢やロマン、情熱・創意工夫・やる気などに敬意を払うべきだと強調する。 
著者の経歴からは異質に思える職人の技だが、たとえば幕末黒船を率いて日本に渡来したペリー提督の、次のような言葉を紹介している、 
実際的および機械的技術において日本人は非常に巧緻を示している。そして彼らの道具の粗末さ、機械に対する知識の不完全を考慮するとき、彼らの手工上の技術の完全なことは素晴らしいもののようである。(中略)他の国民の物質的進歩の成果を学ぶ彼らの好奇心、それらを自ら使用にあてる敏速さによって、これら人民を他国民との交通から孤立せしめている政府の排外政策の程度が少ないならば、彼らはまもなく最も恵まれたる国々の水準まで達するだろう。日本人がひとたび文明世界の過去及び現在の技能を所有したならば、、強力な競争者として、招来の機械工業の成功を目指す競争に加わるだろう。 
顧みれば、ペリーの予言の通り、瞬く間に産業革命を自家薬籠中のものとして「文明開化」した日本だが、先の大東亜戦争において一敗地にまみれた後、刻苦勉励によって、空前の発展を遂げた原動力こそ、職人を中心とした技術の力、すなわち(縄文に発する)「匠の技」ではなかったか。 
ところがいまや、戦後高度成長に注がれた情熱は今や消え失せ、やる気を失い無気力になった若者の増えてきた現状は、その後モノづくりを3Kと卑しみ、モノづくりの前に人づくりを怠ってきたことの証左である。 
著者が説くのは、東洋の古典「易経」の陰陽五行説が示す相互依存であり、、「個」ではなく「集団」であり、昔の日本の姿に立ち戻ることである。アメリカ型(「個」の)経営は「晴れの日の経営法であり、日本には根付くことはない。 
ただ問題は、多くの日本人が、グローバルスタンダードに名を借りたマネーゲームにうつつを抜かし、コスト面にこだわって、チャイナに製造をゆだねるという風潮である。著者は日本が、いまこそ奥深い「日本型モノづくり」に回帰することを願っているのである。 
文中「知の揺らぎが企業を豊かにする」とか「独自の質に<経験価値>を加える」とか「職人型社員が製造業を支える」など、含蓄ある言葉を鏤(ちれば)める。理文の枠を大きく超えた著者の英知と教養が吐かせた言葉である。 
いま多くに企業に見られる、考えられないような事件・事故、たとえば電力会社であってはならない原発での隠匿・虚偽報告などを見ると、経営のトップに、モノづくりスピリットを軽視する「アメリカ型NBA型経営者」の姿を見いだせるではないか。彼らは知らず知らず「モラルハザード」の道をひた走っているのだ。
  
日本人の技術はどこから来たか

 

バブル崩壊後、ようやく明るい光がわずかながらほの見えたと思われた途端、「金融ビッグバン」と「財政立て直し」という大きな波を同時に起こした反動で、いまや日本は沈没寸前と思われる事態に直面している。そうした中では、かつて「日本の製造業はアメリカに学ぶものがない」と豪語した80年代の驕りはきれいに吹き飛んで、あらゆるものが悲観的に取り扱われている。こうした(日本人通例の)振幅の大きさは、冷静で正しい判断と対応を忘れさせるとして「「もはや技術なし」という悲観論が支配的だったオイルショックのときも、現実には世界が瞠目するような省エネ技術の開発で乗り切ってしまった」日本人の底力、潜在的技術力にもっと正当な自信を持つべきだと強調する。 
第1部「日本技術の個性と思想」では、伊勢神宮と法隆寺を対比させながら、日本の技術の特徴である「不易と流行の二重構造」から始まって、われわれがそうした技術の流通において、ほとんど無意識に「ものの流れと情報の流れ」を結合させた社会の仕組みを構築していたことを検証する。そしてそれはそのまま21世紀のために仕組みに直結していることを(例えばLSI・ICこそ情報流通の申し子であるという発想で)解き明かしてくれる。またその中で筆者は「国産戦車開発の軌跡」から、そして「現場遊離・現場無視」という「悪しき遺伝子」にも触れ、歴史に学ばぬ日本の現状に警鐘を鳴らす。 
塾長が本号の時評で述べた「キャリヤー」という名の「科挙制度モドキ」が、現場遊離・現場無視によって国際金融市場との乖離をますます拡大して、日本経済を奈落の底に落しいれたこととオーヴァーラップするのである。 
第2部「近代技術の源流」では、信長のたぐい稀な新技術の活用からはじまり、時代の中で生き生きとその才能を開花させ「技術」の中に思う存分発揮してきた多くの人と実績を紹介し、激動の幕末を「理想と野心」の共存した大航海時代になぞらえ、海と結びつく勝海舟と坂本龍馬との関わりから、この二人の生きざまにダブらせて締め括っている。 
「おわりに−−アジアの世紀と日本の技術」では、縄文・弥生の時代からのアジアと日本の関わりから発して、宇宙時代を迎えての両者の新局面に明るい展望を見る。題名からもわかるように、内容的にも見て塾長が「乱世の縄文」で指摘してきたことを、同書では「匠の技」の面に特化して証明してくれているという側面を持つ。 
筆者は日本の縄文&弥生の二層構造に触れながら「弥生文化の表層の底には、あっけなく一掃されたかに見えた縄文の非稲作系の技術が、実はしたたかに根を下しており、この基層の部分がかたくなに自己主張しているのかもしれない」として、特に「現場の技術集団にほとんど宿命的にこの構造が組み込まれているようだ」と、縄文からの何千年にもわたる「ミレニアム・スケール」で日本の技術力は磐石不動だと結ぶのである。

 


  
出典「マルチメディア統合辞典」マイクロソフト社 / 引用を最小限にするための割愛等による文責はすべて当HPにあります。  
出典不明 / 引用を含む文責はすべて当HPにあります。