箸にも棒にも掛からない

箸と手食とナイフ.フォーク.スプーン食文化箸割り箸の文化箸食誕生の歴史割り箸蕎麦と割箸 
【箸】物をはさみ取るのに用いる二本の細い棒。物をはさむものをいい、木、竹、象牙などで作る。 
箸にも棒にも掛からぬ ひどすぎて何とも取り扱いようがない。手がつけられない。 
箸が転んでもおかしい年頃 日常ごく普通のできごとにもよく笑う年頃。女性の十代後半をいう。 
箸で銜(くく)めるよう 十分に理解するように懇切に教える様子。噛んで含める。 
箸の上げ下ろし こまかな一挙一動。「箸の上げ下ろしにまで文句を言う」 
箸をつける 物を食うために箸でその物をはさんだりつついたりする。食う。 
箸を取る 食事をする。物を食う。食事をはじめる。 
箸を持って食うばかり それ以上はないほどに世話のゆきとどいているさま。 
縄にも蔓(かずら)にもかからぬ どうにもならない。なんとも処置に困る。箸にも棒にもかからない。 
手を付(つ)ける 食べ始める。箸(はし)をつける。「料理に手を付ける」
   
【棒】細長く手に持って振りまわすことができるくらいの木・竹・金属。本来折れたり曲がったりするものが、かたくつっぱってしまうこと。疲れたりして足の関節の自由がきかなくなってしまうこと。「足が棒になる」折れたり、まがったりせず、真直ぐであること。単調で変化のないこと。 
棒に振る それまでの努力や苦心の結果を無駄にする。ふいにする。 
棒ほど願って針ほど叶う 願望のなかなかかなえられないこと。 
棒を折る 手を引く。中途で投げ出す。 
棒を引く 帳消しにする。棒引きにする。 
足が棒になる 歩き過ぎや立ち続けで、疲れ、足がこわばる。 
足が摺粉木(すりこぎ)になる =あし(足)が棒になる 
喧嘩過ぎての棒ちぎり 時機を逸して効果のないこと。 
盗人のあと棒乳切木(ぼうちぎりき) 盗人が逃げたあとに棒を持って来る意で、時機に遅れては役に立たないこと。 
針ほどのことを棒ほどに言う 小さな事を大きく言いふらす。おおげさに言う。針小棒大。 
藪から棒 (「藪から棒を突き出す」の略)物事のしかたがだしぬけであるさま。突然。唐突。寝耳に水。 
命を棒に振る 無意味に生命をすてる。無益に死ぬ。 
他人の別れ棒の端(はし) 夫婦が離別すると他人というよりいっそう疎遠になって、木屑のように互いにかえりみない。 
空家で棒を振る 無駄骨を折る。労しても功がない。 
身代を棒に振る 財産をむだにつかい尽くす。資産をつかい果たす。 
泥田を棒で打つ 何の益もないこと。分別もなくむやみやたらに物事をする。 
争い終わりのちぎり木 =いさかい(諍)果てての棒ちぎり木 
犬も歩けば棒(ぼう)にあたる 物事をしようとする者はそれだけに災難にあうことも多いものだ。なにかやっているうちには思いがけない幸運に会うこともあるものだ。才能のない者でも数やるうちにはうまいことに行きあたることがある。
   
【針小棒大】針ほどの小さいことを棒ほどに大きく言いたてる。物事を大げさに言う。 
【突支棒】(つっかいぼう)戸などを開かないようにしたり、物が倒れないようにささえる棒。 
【如意棒】(にょいぼう)自分の思うがままに伸縮し、自在に用いることができるという棒。 
【ぶっきら棒】言動にあいきょうがない。そっけない。ぶあいそう。 
【心張棒】戸締まりのために戸を押えるつっかい棒。しんばり。せんばりぼう。 
【心棒】物の中心に入れ、その物が曲がったりくずれたりしないように支える棒。心木(しんぎ)。組織や活動の中心となるもの。行動や考えを支える中心となるもの。 
【突張】つっぱるために立てる棒や柱。つっかい棒。 
【撮棒・材棒】(さいぼう)破邪寿福の棒として柊(ひいらぎ)などで作った災難除けの棒。堅木の材で鋲(びょう)や筋金を打って武器に用いたものは鉄撮棒(かなさいぼう)などという。 
【撞木】(しゅもく)仏具の一種。鐘、鉦(たたきがね)などを打ち鳴らす丁字形の棒。しもく。
  
【六尺棒】樫などで作り罪人を取り押さえたり打ちすえたりするのに用いる。 
【六尺・陸尺・漉酌】貴人の駕籠を担ぐ人足。江戸時代、駕籠舁をはじめ賄方(まかないかた)・掃除夫など雑役人の総称。棺担ぎ棒。棺を担ぐ役目。 
【用心棒】万一の身を守るために備えておく棒。護衛のために雇っておく従者。博徒などが警戒のためにかかえておく武芸者。 
【高足】田楽で用いる道具、十字架のような形の棒の横木に両足をのせて飛びはねるもの。 
【嫁叩棒】小正月の呪術として嫁の尻を打って多産を予祝する祝棒(いわいぼう)。 
【棒引】金銭の貸し借りをなしにする。帳消し。 
【止木】バーなどで、カウンターの前に置く高い腰掛け。 
【筮竹】(ぜいちく)占いに用いる竹製の細い棒。 
【横車】棒・薙刀(なぎなた)を横ざまに振り回すこと。 
横車を押す 横に車を押して動かすように理に合わないことを無理に押し通す。理不尽なことを強引にする。
  
【竿・棹・桿】竹や木の枝葉を取り去った細長い幹。水底を突いて船を前進させる細長い棒。竹や木の棒を用いる。水棹(みさお)。水馴棹(みなれざお)。鉄の棒。箪笥や長持などの上に付けてかつぐのに用いる棒。釣り竿。物干竿。陰茎の俗語。 
竿になれ鉤(かぎ)になれ まっすぐに連なれ鉤の手に並べの意。 
竿の先の鈴 口やかましく騒々しいこと。多弁なこと。 
竿を入れる 間竿(けんざお)を入れて土地の面積を測る。検地。 
【和合神】中国の道教の一つである白蓮教でいう幸福の神。二人の立姿で、ともに蓬頭(ほうとう)で笑顔をうかべ、緑衣をつけ、一人は右手に棒、左手に鼓を持ち、一人は白蓮の花を捧げ、ともに宝を踏んでいる。像の上には「和合生万福、日進太平銭、随高亭孚書、万事吉兆図」と題してある。中国では婚礼のときにこれをまつった。日本では男女和合の神と信ぜられ江戸時代に流行した。
  
【御輿・神輿】祭礼のときなど神体または御霊代(みたましろ)が乗るとされる輿。形は四角形・六角形・八角形などで屋根の中央に鳳凰(ほうおう)などを飾り、台に二本の棒を貫いて、大勢でかつぐ。おみこし。 
御輿を担ぐ 他人をおだてあげる。もちあげる。かつぐ。 
【抉じ上げる】(こじあげる)梃子(てこ)棒などをさしこんで上へねじりあげる。 
【抉じ開ける】(こじあける)すきまに棒などをさしこみむりやりあける。 
【一概】「概」は「斗掻(とかき)」の意で枡(ます)の縁をならす短い棒。枡で物を量るときに量に過不足がないように、平らにかきならす意。おしなべて同一に扱う。すべてをひっくるめる。大概。まったくそう思いこむ。自分の意志を立て通す。強情。がんこ。 
【江戸鹿の子】紫と白に色づけした原料を巻いて棒のようにし、それを小口切りにした菓子。
   
【一本箸】食物に箸を一本だけ突き立てること。葬式のとき死者に供える枕飯にも同様にするところから、日常はこれをきらう。 
【麻木箸】(あさぎばし)麻幹(あさがら)でつくった箸。盂蘭盆(うらぼん)に仏前に供える。苧殻箸(おがらばし)。 
【苧殻箸】(おがらばし)苧殻を折って箸としたもの。盂蘭盆(うらぼん)の精霊棚(しょうりょうだな)の供え物に添える。 
【折箸】一本の竹や萩などを細く削って中央から折り曲げて作った箸。神前に供えた箸をさげて折ること。 
【御膳箸】御飯を食べるのに用いる箸。 
【真魚箸】(まなばし)魚を料理するときに用いる木や鉄などで作った長い箸。 
【田舎箸】田舎で使用する丈夫一方で優美さのない箸。 
【菓子箸】菓子をはさんで皿などにとり分けるための箸。
  
【鍛冶屋箸】鍛冶屋が鉄をはさむのに用いる鉄製の箸。かなばし。 
【太箸】正月の賀儀に雑煮を食うのに用いる箸。折れることを忌んで丸く太く作るところからいう。雑煮箸。 
【菜箸】(さいばし)おかずをはさんで器や皿などに盛り分ける長い箸。料理をするのに用いる箸。 
【白箸】(しらはし)白木の箸。木地のままで漆などで色の塗ってない箸。 
【白箸の木】うりかえで(瓜楓)の異名。 
【利休箸】中央をやや太くし両端を細く削った杉の箸。会席で用いる。 
【雑煮箸】正月の雑煮を食べる時に用いるはし。白木ですこし太めに作る。多くは柳材を用いる。ふとばし。 
お正月にはお雑煮・御節料理など、独特のものを食べる習慣がありますが、それらを食べる際、雑煮箸といって、柳材の塗りのない丸いものを使います。私たちが普段使う箸は、食べ物を挟む先の方が細く、握る方は太くなっていますが、雑煮箸は天地が同じように細く、どちらからでも食べられるように作られています。それはどうしてなのでしょうか。お正月は、歳神様あるいは御祖霊をお迎えして今年のご加護を祈る行事とされております。一家揃ってお祈りした後、御祖霊へのお供えのお下がりでお雑煮を作り、御祖霊に召し上がって頂き、そして家族もいっしょに頂戴します。御祖霊が食することによって私たちも共に頂くことができ、そうすることで神仏のご加護が私たちに授かります。雑煮箸が天地両用食べられるようにできているのは、その用に供するためで、まさに御祖霊と人との「はしわたし」と言えるでしょう。 
【稲扱箸】扱箸(こきばし)のこと。 
【祝箸】正月などに家の内外の神神にそなえ使う箸。祝い膳に用いる箸。ふとばし。
  
【丸箸】形の丸い箸。家の中で鳥を放し若い鷹を訓練すること。 
【御手元・御手許】料理屋などで箸をいう。 
【火箸】炭火などをはさむのに用いる金属製の箸。非常にやせているもののたとえ。「火箸に目鼻」 
【孕箸】(はらみばし)まん中が太く両端が細くなっている箸。正月の祝いなどに使う。割箸の間に楊枝をはさんだもの。 
【香箸】香をたくとき香をはさむのに用いる箸。香匙(きょうじ)。 
【ね文字】練貫のような白い色の箸。白箸(しらはし)。杉箸。 
【塗箸】漆塗りの箸。 
【角箸】(つのばし)動物の角でつくった箸。
  
【灸箸】(やいとばし)灸をすえる時、艾(もぐさ)をはさむ箸。 
【青箸】萱(かや)の茎でつくり赤飯に添えて神棚に供える箸。これで食事をすれば災いをよけ福を招くという。 
【御菜箸】料理をつくるとき、おかずを皿や椀に盛るときに用いる長めの箸。 
【柳箸】新年の雑煮箸などとして用いる柳の木で作った太箸。 
【手許・手元】箸(はし)をいう女房詞。 
【鋏箸】(やっとこばし)鍛冶屋などが熱した鉄などを挟むときに用いる鋏状の箸。 
【割箸】縦に割れ目がつけてある箸。下端から半分ほどの所まで割れ目がつけてあり、使うときに残りの部分を割る。杉、竹などでつくる。
   
【握箸】(にぎりばし)握るような手つきで持つ箸。子どものぎこちない箸の持ち方。 
【御前箸】食物を指でつまんで食べること。 
【渡箸】(わたりばし)食事のとき箸を飯または手許にもどさないで菜から菜へと移して食べる。菜にいったん箸をつけながら中途でよして別の菜に手をつける。不作法として嫌う、うつりばし。 
【割笄・裂笄】(さきこうがい)本は一つで中途から二つにわかれた婦人用の笄。また、箸(はし)のように二本からなる刀の鞘に差し添える笄。わりこうがい。 
【惑箸】(まどいばし)食事のとき迷ってあれこれと菜に箸を向けること。無作法な態度。 
【馬食】箸を使わないで馬のように口を食器につけて食う。
  
【粟茶粥】(あわちゃがゆ)粟を使った茶粥。普通の粥とちがって箸にかからないところから、取り扱いに困ること、始末に弱ることをいう。 
【食い散らす】あれこれと箸をつけて少しずつ食べる。 
【食べ散らす】あちこちの食べものに箸を出してすこしずつ食べる。 
【摘食・撮食】(つまみぐい)食物を箸などを用いないで指先でつまんで食べる。 
【粥箸】小正月の小豆粥を食べるための祝い箸。地方によっては小豆粥をまぜる箸をいい、使用後、屋根に投げ上げたり田畑に立てたりして種々のまじないとする。 
【一膳】食べ物の一人分。一人前の食べ物。箸一対。
 
箸、手食、ナイフ・フォーク・スプーン食文化

 

人間は、火を使うことにより生まれた熱い料理を食べるために、手で食べる手食から、箸やナイフ・フォーク・スプーンなどの道具を用いるようになりました。現代では大きく分けて、手を用いる手食文化、箸や匙を用いる箸食文化、ナイフ・フォーク・スプーンを用いるカトラリー食文化の3つの食文化があります。その理由は、気候、風土、作物に、民族、宗教、文化などの要因が大きな影響を与えて、それぞれの地域で独自の食文化を作り出してきたことによるようです。 
箸食文化 
中国、朝鮮、日本、台湾、ベトナムを中心として、全世界の人口の28%を占めます。世界最古の箸は、紀元前16世紀の殷の時代に、神に食物を供える祭器としてのもので、日常の食生活は手食だったようです。その後漢民族が、粘りのあるジャポニカ種の稲作文化の発展とともに、匙と箸を用いる食文化を発展させました。 
箸の語源は、食物と口との橋渡しからという説があります。 
手食文化 
東南アジア、中近東、アフリカを中心として、全世界の人口の44%を占めます。ヒンズー教やイスラム教などの宗教は、浄・不浄の観念が徹底しており、食物は聖なる右手の3本指(親指・人差し指・中指)でつまんで口に運び、不浄とされる左手は使いません。食事に道具を用いることは不浄とされ、手食が最も清浄と考えられているのです。箸食文化やカトラリー食文化と接触しながらも道具を使わないのは、こうした古くから根付いている宗教観が背景にあるようです。また、箸食文化と同じ米食中心ですが、パサパサしたインディカ種に箸はなじまなかったといえます。 
カトラリー食文化 
ヨーロッパ、南北アメリカ、ロシアを中心として、全世界の人口の28%を占めます。 
ギリシャ・ローマ時代からナイフだけは存在していたようですが、大皿の肉類を切り分ける道具であって、各人が手にもって食事する道具ではなく、切り分けた肉は手づかみで食べていたようです。ナイフ・フォーク・スプーンのセットされた食べ方は、17世紀のフランス宮廷から始まったようです。 
日本独自の箸食文化 
紀元前16世紀の殷の時代に、神に食物を供える祭器として使われ始めた箸ですが、日本に伝来したのは、3世紀の弥生時代末期であるといわれています。やはり神に食物を供える祭器で、ピンセット型をした折箸(1本箸)で、素材は竹製でした。ちなみに、箸という字がタケカンムリであるのは、これに由来しているという説もあります。現在も、天皇の重要な神事である、新嘗祭や大嘗祭の儀式では、この竹製折箸を用いているようです。 
それまで手食文化であった日本でも、7世紀初頭の遣隋使の派遣により、宮中では2本箸と匙を使用し始め、奈良時代には一般的な使用となっていったようです。しかし、箸と匙を併用する中国式箸食文化も、平安時代後期には、器に直接口をつけて食べる「椀の文化」が発展し、鎌倉時代以降は、匙を使わず箸だけを使用する日本独自の箸食文化が形成されたようです。 
お箸のタブー(嫌い箸) 
受け箸  箸を持ったままおかわりをすること 
移り箸 あれこれとお菜ばかり続けて食べることは、卑しいこととされています 
かき箸 食器のふちに口を当てて料理をかきこむこと 
空箸 箸を一度料理につけておきながら食べないで箸を置くこと 
くわえ箸 箸を下に置かず口にくわえたまま手で器を持つこと 
こじ箸 食器に盛った料理を上から食べないで箸でかき回し、自分の好物を探り出すこと 
込み箸 口にほおばったものを箸で奥へ押し込むこと 
探り箸 汁物などを食器の中でかき混ぜて中身を探ること 
刺し箸 料理に箸を突き刺して食べること 
指し箸 食事中に箸で人または物などを指すこと 
叩き箸 給仕を呼ぶ時に食器や食卓を箸で叩いて合図すること 
立て箸 ご飯の上に箸を突き刺すことは仏箸とも言われ、死者の枕元に供える枕ご飯の時のみに許されることです 
涙箸 箸の先から汁をぽたぽたと落とすこと 
ねぶり箸 箸についたものを口でなめてとること 
二人箸 1つの食器の上で二人一緒に同じ料理をはさむこと 
振り箸 箸先についた汁などを振り落とすこと 
迷い箸 どの料理にしようかと迷い料理の上であちこちと箸を動かすこと 
持ち箸 箸を持った手で同時に他の食器を持つこと 
寄せ箸 食器を箸で手前に引き寄せること 
渡し箸 食事の途中で箸を食器の上に渡しておくこと
 
箸・割り箸の文化

 

食事作法は、「箸に始まり箸に終わる」といわれるように、美しい箸使いが基本となる。多くの人々が会食する冠婚葬祭の「ハレ」の食事の場では、昔から人々が忌みきらう箸使いは「きらい箸」と呼ばれ、してはいけない無作法な扱いとされてきた。今も約七十の箸使いのタブーが伝えられている。 
箸使いの基本は、二本両方を動かすのではなく、下の箸を固定して上の箸だけを自由自在に動かして食べ物をはさむ。これは、私たちの祖先が尊い知恵と経験によって生み出し、一千年以上にわたって継承されてきた、最も美しく機能的な箸使いである。また「箸先五分、長くて一寸」といわれ、あまり箸先を汚さずに食べることがマナーとされている。 
箸を取る時は、箸の中ほどを上から右手で取り、左手を下から添え、右手に持ち直す、いわゆる三拍子が正式である。 
「箸使いを見れば人柄がわかる」といわれ、日本の社会では、箸の持ち方、使い方は、言葉使いや身だしなみとならんで、人柄が評価される大切な要素の一つである。その上、その人をしつけた親や家庭、あるいは会社の評価にまでつながることが多い事も確かである。 
箸の種類 
のし箸 / ともとは武士が出陣時に神に捧げた供物の上げ下げに使った箸が、江戸末期に婚礼時や、箸取りの儀式に使われるようになったもの。 
菜箸 / 精進もの、煮物などを調理するときに使う箸。 
真魚箸 / 肉や魚を料理するときに使う箸。 
盛りつけ箸 / 盛りつけ専用の箸。和菓子職人はきんとん箸とも呼ぶ。 
取り箸 / 食卓で一緒盛りの食べ物をそれぞれの器に取り分けるときに使う箸。 
手元箸 / 食事をするときに使うその人専用の箸。直接口に運ぶ箸。日本では他人が口をつけた箸を使うということを極端に嫌う。これは衛生観念というより、感覚の問題、心の問題だと言われている。 
菓子箸 / 菓子専用の手元箸。黒文字を使う。 
火箸 / 炭なくしては始まらない茶の湯。炭をつぐ火箸は飛鳥の時代に既に使われていた。 
塵箸 / 露地の躙口近く、塵穴に立つ青竹は茶事で最初に見る箸。 
手元箸 
それぞれの個人だけが使う箸である手元箸(銘々箸、食事箸、個人箸とも)はどのように選べばよいのか。日常の食生活で使う「ケの箸」は、一般に性別・年齢に応じて寸法・材質・デザインの異なる場合が多く、めいめいが所有する「個人専用食器」となっている。この箸は、「天太先細」の片口箸が使われる。長さの決め方は、一咫半(ひとあたはん)という、親指と人差し指を直角にひろげて、それぞれの先端を結んだ長さの1.5倍が、その人の一番手に合う箸のサイズといわれている。太さと重さについては、器の重さとのバランスによってかなり違ってくるので一概にはいえないが、関西で15g程度、関東以北になると25g程度が平均という。 
【塗箸】日本人はすでに縄文時代から漆を使い始めていが、塗箸が登場するのは江戸初期のことである。そこには、白木造りの柳・檜箸の清浄さを大切にする独特の根強い美意識があったといえる。はじめは、大名や武家の間で使用され、やがて江戸・大坂・京都の飲食店や豪商、町人なども使うようになった。 
【木箸】紫檀、黒檀などの硬木、あるいは桑・つげ・樺・南天・ひばなどの木箸も愛用されている。ウレタンまたは生漆で艶を出し、色素止めの表面塗装を施したものが多いが、上塗りの全くない素木箸もある。これらの木箸は、塗箸の素地にも使われている。 
【竹箸】竹割箸を中心に、丸箸・塗著・菜箸・懐石箸などがある。竹割箸は高級割箸で、鹿児島と熊本が二大産地。大分と京都では竹の特性を生かして、すす竹箸・白竹箸・ひねり箸・合わせ箸などバラエティーに富んだ製品を作っている。京都はまた茶事用の箸の本場である。 
【割箸】来客用・営業用として使われるハレとケの兼用の箸である。割箸は、日本人が開発した、「木の文化」にふさわしい箸で、木や竹の割裂性を利用した便利さと清潔さ、さらに木目の美しさをそなえている。しかし、わずか一回の使用で捨てられる宿命にあり、考えようによれば、白木の清浄観を好む日本人の美意識と、日本人の価値観を反映した、最高に贅沢な箸である。割箸が最初に登場したのは、江戸・大坂・京都に飲食店が流行した江戸時代中期である。当初は「割りかけ箸」あるいは「引裂箸」と呼ばれる竹の割箸で、江戸の鰻屋で珍重された。本格的な木の割箸は、明治になってからで、明治十年、吉野杉箸の本場、奈良県吉野郡下市町で、寺子屋教師・島本忠雄が吉野杉の割裂性に着目して、丁六型・小判型の割箸を考案したのが割箸時代の幕間けとなった。さらに元禄型・利休型、大正に入ると天削型が考察され、全国に普及していった。この割箸の登場は、日本の食生活の歴史の中で、まさに画期的なことであった。 
割箸の形・呼称 
天削/天(頭)の部分を鋭角に削いだもの。高級品。 
利休/利休が考案したという中平両細型、割著は特に「夫婦利休」といい、高級。 
元禄/元禄小判の略。割著「小判」の割れ目に溝をつけて割りやすくした中級品。 
小判/四つの角をとって頭を小判形にし、割れ目を入れたもの。割箸の主流。 
丁六/江戸時代庶民の貨幣の呼称。加工の全くされない大衆箸で、駅弁などに多い。 
割箸の作法 
箸袋に入った箸を使うときは、まず右手で箸袋から出た箸の上部を取り、左手を箸袋の底の部分に添えて持ちあげます。 
次に、左手を箸袋の中ほどに移し、右手で箸を取り出しましょう。そして、箸置がある場合は、箸を箸置に置き、箸袋は盆や膳にのせないで、左側の外に置いておきます。箸置がない場合は、箸袋で箸置をつくると箸袋が美しく片づき、しかも食事に便利です。  
箸袋入りの割箸に出会ったとき、箸を取り出したあとの箸袋をさりげなく折りたたんで、サッと紙箸置をつくる光景は、とても美しいマナーに見えます。 
箸袋から紙箸置をつくる方法にきまりはありませんが、簡単で美しい「結び文」の方法がよく知られています。  
箸袋の折り方 
袋の左端を四分の一ほどの長さで斜め手前に折り、右手でその上に右半分の袋を斜め手前に折り、袋の端を下にくぐらせて引き出します。折りあがったところで形を美しく整え、きちんと折り目をつけましょう。  
お祝いの箸 
日本最古の文献「古事記」には、川上から流れてきた箸が、人の願いを神に橋渡しする小道具として登場する。 
箸は「生命の杖」と言われ、「箸に始まり箸に終わる」といわれるくらい、生活とは切り離すことの出来ない結びつきがある。その中でも特に、人生にとって「おめでたい」行事の祝い膳には、冬枯れの山の中で真っ先に芽を出す、清浄で縁起の良い「柳」で作った白木のお箸を使う。いにしえの人々は、ことのほか、柳の生命力に畏敬の念を感じていたらしく、邪気を払う霊木としてあがめていたという。人生の節目を祝うためには、それにふさわしい箸を選択しているのである。柳の白木箸の長さは性別年齢に関係なく同じ末広がりの八寸(24センチ)、形状は「中太両細」の両口箸とされている。 
食初め(くいぞめ)の儀式は、地方によって「箸初め」(はしぞめ)「箸染」(はしぞろえ)とも言われ、古くは平安時代に始まったらしい。生後100日、あるいは120日にお祝い膳を調えて、親が食べ物を子供の口に含ませ、健康に育ち無事に成長するようにという願いを込める儀式のことで、このときに始めて人は箸に出会うことになる。  
 
箸食誕生の歴史

 

箸の誕生
箸は黄河流域で誕生した。現在見つかっている最古の箸は河南省安陽県の殷墟(紀元前十八世紀〜紀元前十一世紀)から出土した銅製の箸だが、当時は手食であったことは明らかであることから、食事用ではなく食べ物を取り分ける、あるいは祭祀用のものだと考えられている。
おそらく黄河流域では、『獣肉や野菜を包丁と俎で食べやすい大きさに料理して食べていた。食べるときに、フォークや匙でなくて、手食の感覚を延長して、汁の実などを挟みあげたくなったのであろう。熱い食べ物を取り出すのに、指先に代わる竹ぎれか木ぎれを使ったのが、箸食の始まりといわれる。一本の棒では食べ物を固定できないので、二本でそれをしっかり挟み上げるようにしたのである。』
これが直接箸を使って食べ物を口に運ぶようにはならなかった。箸は、食事を取り分けたり、調理する際に箸を使って固定したりする用途に使われ、取り皿に並べられた食事を手で食べていた。次第に手ではなく匙を使って食するようになり、匙を使わずに箸を使ってそのまま口に運ぶように変化していくのが、箸食の始まりである。
箸の登場は紀元前三〜二世紀
箸が食事用で使われるようになったのは様々な史料・出土品などから紀元前三〜二世紀頃であったと考えられている。春秋戦国時代に手食が一般的であったのは様々な文献から明らかだが、紀元前三世紀頃から「韓非子」「荀子」「管子」など様々な書物で箸が現れるようになる。前漢時代に入ると「礼記」などで箸のマナーも語られるようになり、紀元後に入るころまでに箸食が庶民の間で一般的になっていった。
箸食を定着させた江南の粘着米
箸食が一般化しても飯は匙食が主で、おかず類は箸、飯を食べるときは匙を使って食べていtらが、次第に飯も箸食が一般化していく。その箸食への移行の大きな要因として、江南の粘着米の浸透があったと考えられている。飯の匙食は明代まで続いていたようだが、大きな要因はモンゴルの侵攻で、江南に逃れた漢民族が江南の粘着米を主食とするようになって、おかず類を食するときに一般的であった箸を、ご飯を食べるときに匙に持ち替えずとも、箸を使ってそのまま食することが出来るようになったことである。
餐叉(フォーク)はなぜ定着しなかったか
中国では匙、箸より早く餐叉と呼ばれる二股のフォークが誕生している。紀元前2000年頃の斉家文化遺跡からの出土品を始めとして、殷、戦国時代前期から十四世紀まで広く分布し、手食の補助用に使われていたようだが、突き刺す、すくうなど用途が限られているのに対して、後に誕生する箸の方が多様な用途に使うことが可能であることから、食事用としては定着しなかった。この点、ナイフ・フォーク食が定着した欧州と対照的である。
朝鮮の匙箸文化
朝鮮半島では、匙食が早くから見られ、その後も匙食が主で箸食が従として定着した。紀元前八世紀〜七世紀の咸鏡北道羅津遺跡から出土した骨製の匙が最も古い。一方で箸の出土で最も古いものは紀元523年の百済武寧王陵から出土した青銅製の箸で、その後も箸より匙の出土が多く、汁や飯は匙で食べ、箸を補助的に使うという、儒教の祖孔子が匙食であったことに倣ったものだとも言われる伝統的な匙箸文化を現代まで残している。
箸の日本伝来
日本への箸の伝来は、少なくとも、魏志倭人伝で手食を行う倭人の姿が描かれた紀元三世紀以後のことで、同じく紀元三世紀、弥生時代の登呂遺跡、唐古遺跡から木匙が出土しているが、最古の箸の出土品は七世紀の飛鳥板葺宮遺跡から出土した檜の箸で、以後藤原宮、平城京跡からも竹製・木製の箸が出土しており、七世紀から八世紀にかけて積極的に中国文化を吸収していきながら貴族など身分の高い者の間での箸の使用が一般化していたと考えられている。
日本でも、貴族の饗応料理などでは飯は匙で食べられることが一般的であったが、次第に箸で飯を食べるようになっていったようだ。十二世紀、平安時代後期ごろの様々な記録によれば貴族たちは用途に応じて金属製、木製、竹製など箸を使い分けていたようである。また平安後期から鎌倉時代にかけて庶民の間でも箸の使用が広がっていったと考えられ、戦国時代に海外から日本を訪れた宣教師たちが、庶民の箸の使用を様々な記録に書き留めている。
日本中世の食文化革命
日本における匙の衰退は室町時代以降のことで、かつて匙と箸とはセットで準備されていたが、この頃までに、貴族たちの間でも食事の際には箸だけが使われるようになった。匙の衰退と箸のみの使用への移行は鎌倉・室町時代におきた食文化の革命的変化を背景としている。すなわち、『嗜好飲料としての喫茶風習の広がり、点心喫茶が契機となった二度食から三度食への移行、精進料理の形成、大豆食文化や野菜食文化の発展、茶道と懐石料理の形成、点心・茶子をもとにした菓子の発達』である。多様な食文化の発展は箸の必要性を高め、箸もまた機能性を高めていく。
日本の箸の宗教性
日本の箸が他の箸文化圏と大きく違うのは、箸が強い宗教性をもったことであった。箸は神が降りる依り代としての役割を始め、『神に捧げる御饌には俗手を使わないという信条』にもとづいて神事でも重要な役割を持ち、『命の糧を運ぶ箸には神が宿り、神との共食によって新たな霊力が得られるという思想』が形作られる。神事に使われる箸は一回ごとに穢れ忌避の観念から新しい素木の箸が用いられ、使用後は処分されることになるが、古くから食事用の箸も、伊勢神宮式年遷宮時の端材から箸を作る習慣(現在は途絶えている)に見られるように、多くは建材の余りを用いて作られ、一回使用すると捨てられていたと見られている。また仏事でも葬儀でお供え物を運んだり、火葬後の骨を運んだりと様々な場面で箸が用いられるがこの際の箸も一回限りで処分される。この箸一回限り使用の思想は、江戸時代になると割箸の発明へと結びつく。
割箸とともに現在一般的に使われる塗箸の登場も江戸時代のことだ。『不思議なことに、漆の技術は縄文時代からあったが、漆の塗箸が現れるのは江戸時代に入ってからである。』と専門家も首をひねるが、おそらくはこのような木製・竹製の箸が持つ宗教性が漆塗りでコーティングし塗箸として繰り返し使用する発想へと至らせなかったのだろう。江戸時代の合理主義が一方で割箸を、他方で塗箸を生み出した点、食文化史における興味深い事例であると思う。 
 
割り箸

元禄(げんろく)箸 
高級品/檜 普及品/白樺、アスペン材、竹 
角を切り落とし、溝を入れて割り易くしたもので、断面が八角形が2つ並んでおり、まるで元禄模様に見えるところから、その名がついたと云われる一般的な割り箸です。明治20年頃に奈良県吉野郡下市町で開発され、流通量の最も多い形状です。 
天削(てんそげ)箸 
高級品/杉、檜 
箸の持ち手側の片側を斜めに鋭角的にカットし、材質の木目を強調したもので、箸の先を丸く加工したものが多い。大正5年奈良県吉野郡で考え出された高級料亭やお客様のおもてなし用。 
利休(りきゅう)箸 
高級品/吉野杉 普及品/エゾ松、アスペン材、竹 
千利休が考案したとされる卵中(2本に割れていないで中ほどでくっついているもの)を元にデザインされ、箸の真中が最も太く、両端になるに従って細くなっている。茶の宗匠「千利休」が、茶席で客をもてなす時に愛用したと伝えられています。明治末期に奈良県吉野郡下市町で開発された。 
丁六(ちょうろく)箸 
中溝も四方の面取りも一切されていない最もシンプルなもので、よっぽど安っぽいものでないと使われません。最近は100膳で100円程度で、木の油が抜けきらず油臭いものが多い。 
小判(こばん)箸 
高級品/吉野杉 普及品/白樺材、アスペン材 
箸の手元部分の切口が小判型に見えることから命名された。割箸としては最も古く明治10年に奈良県吉野郡下市町で開発されました。元禄箸と同じく用途の広い一般的な割箸です。 
竹割(たけわり) 
九州の熊本県南部から鹿児島県北部の豊富な竹材を利用し開発されたもので、油を吸わない性質があり、揚げ物や鍋物に向きます。特に中華料理店では好まれる傾向があります。太めで割り易く、値段の割には高級感もあるので人気が高い箸です。最近は中国からの輸入品が大勢を占めます。 
丸(まる)箸 
高級品/柳(みずき) 普及品/アスペン材 
この箸は、利休箸同様に一本ずつの組箸で、お正月用として古くから使われ、中太両細の俵型で、断面は全ての部分で丸型になっています。  
 
蕎麦と割箸

 

割れ目を入れてあり、使うときに二つに割る箸のことである。材質は木もしくは竹でできていることが多い。日本人の木の文化と共に開発された箸であり、来客用、営業用として使われるハレとケの兼用の箸である。祝い事や神事は「ハレ(晴れ)の箸」、家庭用や普段使うのは「ケの箸」、この両方を兼ね備えているのが割り箸である。 
蕎麦は箸で喰ふものである。其れは當然であるが、塗り箸よりも割箸で喰ふ方が美味いやうな氣がする。そのざらざらした質感が、麺と良く合ふのである。日本や朝鮮、中國、越南など極東亜細亜の國々は箸文化圏を形成してゐる。そして他の様々な文化と同様、箸もまた七世紀頃に中國から輸入されたのである。 
使ひ捨て箸である竹製「引裂き箸」が登場したのは江戸初期であると云ふ。更に現在の木製割箸は、明治初期に奈良縣吉野群下市の寺子屋教諭、嶋本忠雄によつて発明されたさうだ。一度使つて捨ててしまふ割箸も良く見れば樂しい。 
丁六型(てうろく) 
日本で最初の木製割箸がこの型である。明治十年代に吉野下市で考案された。それまでは繰返し使用する杉製の「丸箸」か、「引裂箸」と云ふ竹製のものが一般的だつたらしい。丁六の名は恐らくその長さが六寸であつた事から來たものだらう。そして親しみ易さと「六」を掛けて、江戸時代の庶民の硬貨「丁六銀」に因んで名附けられたのでは無いか。板木に割り目が入るだけのシムプルで簡易な割箸との印象が強い。大衆普及品として、驛蕎麦や辨當に良く使はれる。 
小判型(こばん) 
丁六から約十年後、明治二十年代の考案である。周囲の角を丸めるやうな面取り処理が施された。上から見ると角が外れて小判のやうに見えるので小判型と云ふ。丁六がやや粗い印象であるのに對して、面取りを施しただけで格が上がる。日本が豊かになつた今日では驛蕎麦でも普通に見られる。 
元祿型(げんろく) 
縦に一直線の溝が美しい。割箸は如何に角を丸くするかと云ふ点に心を砕いて發展したのだらう。箸の周圍と割り目部に面取り處理が施されてゐる。「元祿」の名は元祿小判に由來する。金の含有量を減らして改惡された同硬貨と、溝の分だけ削りとつた割箸を重ねたものとの事である。尤も割箸の方は改惡では無く、中級品であつて、丁六や小判よりも格が高い。明治三十年代の考案であるから、驛蕎麦とほぼ同じ歴史を持つ。驛蕎麦に於ゐても度々見受けられる。 
利休型(りきう) 
千宗易が、茶道に於いて箸の美形を追求して完成したのが利休箸である。赤杉が本式だが白杉でも良い。これを割箸にしたのが明治末期考案の利休型割箸である。先細中太のすらりとした箸であり、高級品である。桧や吉野杉、竹などが使はれる。全日空の機内食では白楊材と思はれる素材の利休割箸が使用されるが、殘念乍ら驛蕎麦で出会つた事は無い。 
天削型(てんそげ) 
上部を斜めに削つた肉厚の割箸を天削と云ふ。比較的新しく、大正五年の考案との事である。桧材や吉野杉材で作られる高級品である。之ならば普及品の上部を斜めに削れば出來さうな氣もするが、先端部を細く加工した上面取処理を施すなど、手がかかつてゐる。日本航空の機内食では短目の杉製と思はれる天削割箸が使用される。高級割箸の長さは七寸〜八寸が普通である。すらりとした氣品ある箸が使ひ捨てとはなんとも勿体無い。矢張り驛蕎麦で見た事は無い。単価は9圓程度か。 
 
竹や杉、桧などが割箸の高級素材である。それは木目の細かさや香りの高さが好ましい爲であらう。一方普及品では松、白樺など弾力性に富む木材が利用されるやうである。近年はカナダ産の白楊が普及品に多く使用されてゐる。やや粉つぽいが、眩しいやうな白さが清々しい。驛蕎麦で見られるのは普及品であるが、割箸は蕎麦を引き立てる重要な脇役であると小生は思ふ。  

 


  
出典「マルチメディア統合辞典」マイクロソフト社 / 引用を最小限にするための割愛等による文責はすべて当HPにあります。  
出典不明 / 引用を含む文責はすべて当HPにあります。