甚句の系譜地図

越後甚句信濃追分節松坂 (荷方節・謙良節)新保広大寺牛深ハイヤ節浜甚句草刈り唄長持唄馬子唄 (馬方節・牛方節)よされ節小原節 (オハラ節・オワラ節)木遣り唄土搗き唄 (土突き唄)秋田甚句 (なにゃとやら)鯨唄
地域地元唄 / 北海道東北関東中部近畿中国四国九州
北前船寄港地
 

雑学の世界・補考   

「越後甚句」「越後節」
←「兵庫口説」←「ゑびや節」
「信濃追分」「追分馬子唄」「追分節」「小室節」「小諸節」
←「博労節」
→「越後追分」→「江差追分」
「松坂」「松坂くずし」「松坂節」
「荷方節」「新潟節」
「謙良節」「検校節」
 

「新保広大寺」「広大寺」「神子節」
→「津軽じょんがら節」「口説節」「道南口説」
→「木崎音頭」「八木節」
→「古代神」「高大寺」「麦わら節」
「牛深ハイヤ節」 「浜甚句」 (「唐桑浜甚句」)

「草刈り唄」  「長持唄」「箪笥長持唄」
←(「雲助唄」)
「馬子唄」「馬方節」「馬追い歌」「馬喰節」「博労節」
「牛方節」「牛追い唄」

「よされ節」「よしゃれ節」
 
「小原節」「おはら節」「オハラ節」「オワラ節」  「木遣り唄」 

「土搗き唄」「石曳き唄」「胴搗唄」「土突き唄」  「秋田甚句」 (「仙北甚句」)
←「なにゃとやら」「ナニャドヤラ」 
「鯨唄」

注 / 唄採取できた道県を表示しています
 

「越後甚句」 

「越後甚句」「越後節」
   ←「兵庫口説」←「ゑびや節」

でんがらでんの 大(でつか)いかゝ持てば 二百十日のそりや風よけだア
今年や満作ぢや 穂に穂がさがる かかアしよ喜べ 揃ふてお年が取られるぞ
佐渡で餅ついて越後へ投げた 佐渡と越後がそりや一粘り
奈良の大仏さんは木だんべえか あれは金からかんの仏さま 
「ゑびや節」 (大坂)
「新板はやりおんどおちよ/半兵衛青物づくし」
心中浮名も 数重なれど
これは所も 新靫(シンウツボ)とや
八百屋半兵衛が 根芹(ネゼリ)を聞くに
もとは遠州 浜松茸の
武士の息子で あり釣柿(ツルシ)じやが
分葱(ワケギ)有実(アリノミ) 仁衛門方へ
何時のころ柿 養(ヤウ)椎茸に
形(ナリ)も心も 水前寺海苔
林檎隣町(リンテウ)で 憎まぬ男
それに連添ふ 西条柿は
宇治の辺より お千代と云へる
容色(キリヤウ)よしをば 嫁菜に取りて
和布(ワカメ)同士の ほうれん草で
玉蕈(シメジ)寝し夜の その睦言も
心奥底(オクソコ) 互に菜瓜(ナウリ)
最早香茸(カウタケ) なる唐瓜(カラウリ)は
末の世までも 鳥黐(トリモチ)女房
 ・・・以下省略・・・
「虫づくし」
来し方よりも、今の世迄も耐えせぬものは、恋と言ふ字の曲者(くせもの)なれや、げにも曲者此の一つより、無量無辺の色をば出(だ)せり、誰も迷ふは色里の路、黄金虫をば大分費(つか)ひ、親は勘当〓〓(きりぎりす)、鳴くや藻汐の寒(さぶ)かりし夜も、蠅ななりかや素紙(すかみ)衣(こ)一重、女郎蜘蛛にぞ会はんと思ひ、廓町へと来ごとは来たが、轡虫こそよに荒けなりや、それに遣手が蟷螂(かまきり)虫で、客の障りと蜂払ふよに、叩き出せど我が蓑虫を、恨めよよりかは鳴く〳〵蝉の、蝉の衣の縁薄くとも、時節松虫また蟋蟀(こほろぎ)よ、蝶か花かと世に大切な、遊女(よね)の姿を蚯蚓(みみず)と思ひ、身をば焦する蛍の虫よ、兎角恋には歌を出せさ。
「銭づくし」
それ世の中の、銭(ぜに)をおあしと言ふのも道理、世界国中をくる〳〵廻(めぐ)る、阿弥陀如来も銭ほど光る、兎角銭(ぜに)金(かね)持たねば済まぬ、憂きが中にも唯恋の道、誰もころりとする百の銭、君が姿をみせ銭よりも、心掛(かけ)銭端(ぜにはした)の銭が、積り積りて貫ざしの銭、恋をする身は形も要らぬ、みだけ銭にて紙ばら〳〵と、我が命は君故ならば、腐り銭とも身はならばなれ、文を投銭(なげぜに)恋仕掛銭、我と寝銭を頼みますると、書きし文章(ぶんしよ)はそりや口銭(こうせん)よ、今は互いに心を明かし、繋ぎとめたる駒牽(こまひき)銭(ぜに)よ、馴染(なじみ)重ねて青の銭、末の契は永楽銭(ぜに)と、交す新銭枕の数も、泣くや十四五すつとん〳〵と、とんとお腹に小銭が宿り、忍び逢ひにし二人が仲も、外(よそ)に洩れつゝ銀銭(しろがね)で、是は日銭と皆人言に、浮名立てよとそりや文(ぶん)の銭、誰も恋にはな身を知らぬさ。 
「兵庫口説」
「おまつ/利八恋衣名所街」
(ウ地) げにくに/\の
めいしょこせきの かずおおけれど
わけてなだかき (半フシ) すまのうら
(地) つたへききにし しほやき衣
いはれありはら ゆき平卿は
(下) なにの とがめに 大みや人の
さぜんとなりて (地) すまのうらはへ
 ・・・中略(松風村雨の故事が続く)・・・
(地) ここに此ころ おまつといふて
ふりもよしある 小むすめなるが
としは二八か 二九からざりし
(地) 心利八に おびときそめて
つもるこひぢは よを日にまさり
おやへもれつつ いもせのなかを
(地) つがいわけられ身はかごのとり  
 ・・・以下略・・・
「おのぶ/光平名残の神楽」
水の流は げに清くとも
人の心は ゑて逆瀬川
(フシ) 哀れはかなき 物語
   されば信濃屋 おのぶと云ふて
   年は廿に 足らざりし身の
   器量優れて 人あひ多し
春の梢に咲く藤かづら
縫れあふたる 彼の光平に
(タタキ) ほかの枕は 交さじと
(ハル地) 思ひ思はれ楽しむうちに
   親は我が子の 心を産ず
   今は養子を 談合の噂
   聞くにおのぶが 気は牡丹花の
   (セツキヤウ) 露を焦るる 風情なり
今は包めど 我が身の上を
一トつ二つや 光平さんと
契り込たる 腹(オナカ)の訳を
 ・・・以下略・・・
北海道

 

「江差甚句」 (「じんこ」)
(サンドッコイショ ドッコイショ)
江差船頭衆に どこよて惚れた
(サンドッコイショ ドッコイショ)
汐でみがいた チョイト男ぶり
(サンドッコイショ ドッコイショ)
あれは奥尻 大島小島
浮かぶ白帆が チョイトなつかしや
   沖を行くのは ありゃ何処の船
   声をかけたい チョイト鴎島
雪がつもれば 未練もつもる
別れ湯けむり チョイト五里沢
   江差なまりで 甚句をうたう
   可愛いあの娘の チョイトたばね髪
「函館甚句」 
ともえ港よ 花咲く春に またも沸き立つ あの北洋船
東北  
「津軽ばやし」
嶽(だけ)の白雪 朝日で溶ける 溶けて流れて 郷(さと)に出る
「山形盆唄」
盆が来た来た 山越え野越え 黄金花咲く 波越えて
「高田甚句」 (福島)
高田恋しや伊佐須美様よ 森が見えますほのぼのと
高田下町の石箱清水 飲めば甘露の味がする
高田永井野の相田(境)の欅(ケヤキ)枝は永井野では根は高田
わたしゃ高田のあやめの花よ 咲いて気をもむ主の胸
高田伊佐須美薄墨桜 心堅気で薄化粧
高田宮川千本桜 八重と一重の水鏡
高田よいとこ朝日を受けて 北に新鶴舞遊ぶ
踊りや疲れりゃ高天ケ原よ 草を枕に寝てあかせ
顔は見えぬど編笠ごしに 主を見初めた盆踊
花は色々五色に咲けど 主に見かす花はない
なるかならぬかならないまでも ならぬササギ(ササゲ)に手をくれた
豆は木になるササギは蔓(ツル)に わたしゃあなたのすきになる
花が咲いても実のなるまでは どうせこの身も一苦労
咲いた花より咲く花よりも 咲いてつぼんだ花がよい
鳴くなちゃぼ鶏まだ夜は明けぬ 明けりゃお山の鐘がなる
姉もさすなら妹もしゃしゃれ 同じ蛇の目のからかさを
花の風情をおぼろの月に せめて一差し舞扇
唄の文句で気を引きながら 文句忘れて袖を引く
西は追分東は関所 せめて峠の茶屋までも
笠を忘れた峠の茶屋で 西が曇れば笠恋し
竹に雀は品よいけれど 切れれば仇のえさし竿
土手の桜は嵐にもめる わたしゃお前さんで気がもめる
咲いた花でも嵐がなけりゃ 実る苦労も梨の花
声もかれたし身もやつれた 皆お前さんの為じゃもの
串を刺したり化粧をしたり 人に好かれる吊るし柿
山に木の数野に萱の数 黄金タンポポはせの道
積もる思いと里への土産 袖に湯花の花が咲く
ほれているのにまだ気がつかぬ 色気ないのかあほかいな
主は牡丹でわたしは蝶々 花にうかうか日を暮らす
蝉と蛍を両手に包み 焦がされり鳴かせたり
王手飛車手といわれぬうちに 負ける覚悟をするがよい
先のでようで鬼にも蛇にも なるに神とも仏とも
炬燵(カガリタツ)やぐらに裃(カミシモ)着せて 四角張ったる旦那さん
十二単の窮屈よりも 寝巻一つの主がよい 
「本郷甚句」 (福島)
本郷やー 瀬戸やの瀬戸を焼く煙は
 白くやー焼けてもコーリャァ 黒く立つ
本郷花瓶に稲穂をさせば 今年しゃ豊年 瀬戸の町 
「会津磐梯山」   ←(越後の甚句)
エイヤー 会津磐梯山は 宝の コラ 山よ
笹に黄金(こがね)が エーマタ なり下がる
   エイヤー 東山から 日日(ひにち)の コラ 便り
   行かざなるまい エーマタ 顔見せに
エイヤー 主(ぬし)が唄えば 踊りが コラ しまる
やぐら太鼓(だいこ)の エーマタ 音(ね)もしまる
   エイヤー 会津盆地の みどりの コラ 夏よ
   風もほがらに エーマタ 鶴ケ城
「相馬甚句」   ←(越後の甚句)
赤いたすこの 姉さんは歌で ア ヨイトナヨイトナ
ご仕法たんぼの ササ稲を刈る ア ヨイトナヨイトナ
甚句さ中に 誰が茄子投げた 茄子のとげやら 手に刺さる
親の意見と なすびの花は 千にひとつの 無駄もない
どんとどんとと 鳴る瀬はどこだ あれはみやまの 滝の音
参らんしょ相馬の お妙見様に あれは田畑の 守り神
おらが相馬に 二宮標が まいてくれたよ 楽の種
瀬戸入り船 原釜出船 七里七浜 真帆片帆
お国自慢の あのざ流れ山 聞きさおんなれ 見さござれ
「壁塗甚句」 (「相馬甚句」)
ハァ〜相馬中村の 新開楼が焼けたナ〜 ナンダヨー
ハ イッチャ イッチャ イッチャナット
焼けたその名で サイショ 花が咲くナ〜 ナンダヨー
ハ イヤサカ サッサ
相馬相馬と 木茅もなびく なびく木茅に 花が咲く
相馬中村は 石屋根ばかり 瓦ないので 人が好く
飛んで行きたい あの山越えて 恋し相馬の 中村に
私ゃ竹の子 まだ親掛かり 止めたい雀も 止められぬ
お前そうまで 想うてくれりゃ 嬉し涙が 流れ山

ハァー相馬中村の 新開楼が焼けた ナァーナンダヨー
焼けたその名で サイショ 花が咲く ナァーナンダヨー
ハ イヤサカサッサト
   ハァー相馬相馬と 木茅もなびく
   なびく木茅に サイショ 花が咲く
ハァー相馬中村 石屋根ばかり
かわらないので サイショ 人が好く
   ハァー来るか来るかと 上下見れば
   水の流れの サイショ 音ばかり
ハァー見にくいけれども 相馬の柚子は
みより可愛いと サイショ 人が言う
   ハァーわたしゃ竹の子 まだ親がかり
   とめたい雀も サイショ とめられぬ
ハァー来いと一声 来るなと三声
お前梶原 サイショ ふた心

ハアー 相馬中村の新開楼が焼けたナ
ナンダヨー ア イッチャイッチャ イッチャナ
焼けたその名で サイショ 花が咲くナ ナンダョー
ア アシチャイッチャ イッチャナ
相馬中村は 石屋根ばかり かわらないので 人が好く
来るか来るかと 上下見れば 水の流れの 音ばかり
飛んで行きたい あの山越えて 恋し相馬の 中村に
好きで気ままで こうなるからは 誰に恨みの ないわたし
心せけども 今この身では 時節待つより ほかはない
帰りゃしゃんせや 港が白む 隣り近所の 鶏(とり)もなく
鶏が鳴こうが わたしは泣かぬ 泣けば帰りの じゃまとなる

ハァー 朝も早よから 弁当下げて ナンダネ
ハ イッチャ イッチャ イッチャネ
日がな一日 サイショ 壁を塗る ナンダネ
ハ イッチャ イッチャ イッチャネ
   ハァー 裸一貫 ヘラしかないが ナンダネ
   親父ゆずりの サイショ 心意気 ナンダネ
ハァー 力いっぱい 一の字書いて ナンダネ
正直もんだよ サイショ 壁ぬりは ナンダネ
   ハァー 物は高うなる 手間賃は安い ナンダネ
   土産まんじゅうの サイショ 数が減る ナンダネ
ハァー ねってねられて こね上げられて ナンダネ
シャンと立ってる サイショ 一文字 ナンダネ
   ハァー 立った白壁 見上げる空に ナンダネ
   今日も夕陽あ サイショ あかあかと ナンダネ
「牛沢甚句」   ←(越後の甚句) 
松を見たけりや 牛沢においで 五智の如来の 五本松
あせとあぶらの しぼりの浴衣 着せて喜ぶ 親心
いろで迷わす すいかでさえも 中に苦労の たねがある
恋しなつかし わが出た里は 朝の煙りも なつかしや
月のまるさと 恋路の道は どこもいづこも 皆同じ
締めて鳴るのは 太鼓やつづみ いくらしめても わしゃ鳴らぬ
牛沢よいとこ 豊かな村よ 嫁と姑で 盆踊り
そろたそろたよ 踊り子がそろた 稲の出穂より よくそろた
「三春盆唄」 (「三春甚句」)   ←(越後の甚句)  
サンヤー私ゃ三春町 (ハ ヨイヨイ)
五万石育ち (チョイサット)
サンヤお国自慢の (ハ ヨイヨイ)
アラホンニナー盆踊り (チョイサー チョイサト)
   サンヤー月の灯りに 山道越えて
   サンヤ唄で三春に アラホンニナー駒買いに
サンヤー晴れた夜空に 太鼓が響く
サンヤ三春娘の アラホンニナー盆踊り
   サンヤーお月様さえ 雲からのぞく
   サンヤ三春甚句の アラホンニナー笛太鼓
関東

 

「秩父音頭」
ハアーハエー 花の長瀞 アノ岩だたみ
花の長瀞 アノ岩だたみ
誰れをナー ハーエ
誰を待つやら アレサおぼろ月  (ハア ヨイヨイ ヨーイヤサ)
   夏は山吹 つつじの花よ 夏は山吹 つつじの花よ
   秩父ナ 秩父銘仙 織どころ
秋蚕(あきご)しもうて 麦まき終えて 秋蚕しもうて 麦まき終えて
秩父ナ 秩父夜祭り 待つばかり
   月がやぐらの ま上に来れば 月がやぐらの ま上に来れば
   踊りナ 踊り組む輪の十重二十重
盆の踊りに つい見染められ 盆の踊りに つい見染められ
嫁にナ嫁にくれとは はづかしや
   鳥も渡るか あの山越えて 鳥も渡るか あの山越えて
   雲のナ 雲のさわたつ 奥秩父
秩父名物 三峰山よ 秩父名物 三峰山よ
一にナ 一に長瀞 二に秩父縞  

鳥も渡るか あの山越えて 鳥も渡るか あの山越えて
雲のナァーエ 雲のさわ立つ アレサ奥秩父
   咲くは山吹 躑躅の花よ 咲くは山吹 躑躅の花よ 
   秩父ナァーエ 秩父銘仙 アレサ機(はた)どころ
花の長瀞 あの岩畳 花の長瀞 あの岩畳 
誰をナァーエ 誰を待つやら アレサ朧月
   三十四ヶ所の 観音巡り 三十四ヶ所の 観音巡り 
   娘ナァーエ 娘十九の アレサ厄落とし
一目千本 万本咲いて 一目千本 万本咲いて 
霞むナァーエ 霞む美の山 アレサ花の山
   霧に濡れてか 踊りの汗か 霧に濡れてか 踊りの汗か 
   月にナァーエ 月にかざした アレサ手が光る
主のためなら賃機(ちんばた)夜機(よばた) 主のためなら賃機夜機 
たまにゃナァーエ たまにゃ寝酒も アレサ買うておく
   今宵一夜は 三峯泊まり 今宵一夜は 三峯泊まり 
   明日はナァーエ 明日は雁坂 アレサ十文字
遠く聞こゆる あの笛太鼓 遠く聞こゆる あの笛太鼓 
あれはナァーエ あれは秩父の アレサ盆踊り
   桑の葉影に 流るる太鼓 桑の葉影に 流るる太鼓 
   武甲ナァーエ 武甲二子(ふたご)の アレサ月明かり
燃ゆる紅葉を 谷間の水に 燃ゆる紅葉を 谷間の水に 
乗せてナァーエ 乗せて荒川 アレサ都まで
   炭の俵を 編む手にひびが 炭の俵を 編む手にひびが 
   切れりゃナァーエ 切れりゃ雁坂 アレサ雪化粧
秋蚕(あきご)仕舞うて 麦蒔き終えて 秋蚕仕舞うて 麦蒔き終えて 
秩父ナァーエ 秩父夜祭り アレサ待つばかり 
中部

 

「岩室甚句」
(ヨシタヤーヨシタヤー)
おらがヤー若い時 弥彦詣りをしたればナー (ヨシタヤーヨシタヤー)
なじょが見付けて 寄りなれというたども
嬶が居たれば 返事がならぬ (アーヨシタヤーヨシタヤー)
蝸牛ャー蝸牛 角出せ蝸牛 
角を出さぬと 曽根の代官所へ 申し上げるがいいか蝸牛
村の子供と良寛さまは 日暮れて忘れて隠れんぼ
「新発田甚句」
新発田よいとこ 東も西も 北も南も 黄金色
「長岡甚句」
(ハァーエーヤー) 長岡 柏の御紋 (ハァヨシタヨシタヨシタヨシタ)
七万余石の (アリャ) 城下町
 (イヤーサー余石の アリャ 城下町 ハァヨシタヨシタヨシタヨシタ)
お前だか 左近の土手で 背中ぼんこにして 豆の草取りゃる
お山の 千本桜 花は千咲く 成る実は一つ
流れます 細谷川よ 重ね箪笥が 七棹八棹
川西 わしゃ川東 中を取り持つ アノ長生橋
揃たよ 踊り子が揃た 稲の出穂より アリャよく揃た
踊りも 太鼓打つ人は 昔ならした アノ腕の冴え 
夜はよし しのびにゃ出たが 夕立村雨 片袖しぼる
三夜の 三日月様は 宵にチラリと アリャ出たばかり
百まで わしゃ九十九まで ともに白髪の アリャ生えるまで
お前さんの 声だと聞けば 眠い目も冴え その気も勇む 
「新潟甚句」
ハァー新潟恋しや 白山様の (ハアリャサ アリャサ) 
 松が見えます イヨ ほのぼのと (ハアリャサ アリャサ)
新潟恋しや 五月雨時(さみだれどき)に 蜿ャ路を イヨ 蛇の目傘
碇下おろせば 早や気が勇む 花の新潟に イヨ 樽の音
新潟砂山 米なら良かろ 可愛い船頭さんに イヨ 積ませたい
押せや押せ押せ 下関までも 押せば新潟が イヨ 近くなる
越後新潟の 川真ん中に あやめ咲くとは イヨ しおらしい
樽を叩けば 佐渡まで響く 夏は寄居の イヨ 浜踊り
夜の白山 踊りに更けて 樽の砧が イヨ 冴え渡る
新潟来てみよ 日本一の 流し踊りの イヨ  人の波
新潟砂山 小松を育て 鶴を呼びましょ イヨ 夫婦鶴
月の出潮と 約束したが 月は早よ出て イヨ 杜の陰
佐渡で餅搗いて 越後へ投げた 佐渡と越後は イヨ 一粘り
松の露散る ときわが岡に 昔偲ぶか イヨ 虫も鳴く
仇しあだ波 寄せては返す 寄せて返して イヨ また寄せる
樽の響きにゃ 心も弾む 気がつきゃ踊りの イヨ 輪の中に
字余り
しょんで来たよ 梅の実に 紫蘇の葉 中の種まで 真っ赤で鉄火で しょんで来た
盆だてがんに 茄子の皮の雑炊だ あまりてっこ盛りで 鼻のてっぺん 焼いたとさ
古調
新潟の 川真ん中に あやめ咲くとは イヨ しおらしい
押せ押せ 下関までも 押せば新潟が イヨ 近くなる
寺の婆 名主の嬶も 襷掛けやれ イヨ 秋三月
何たら 長い五月雨(さずい)だ 爺様あくびに イヨ 黴はえた
でんでらでんの でっかい嬶持てば 二百十日の イヨ 風除けだ
ござい堀から 白山までに しんの話が イヨ まだ尽きぬ
下の新地の 道楽稲荷 おれもニ三度 イヨ だまされた
行かんせんか かんせんか かんか林の イヨ 茅刈りに
「古調新潟甚句」
新潟恋しや 白山様の 松が見えます ほのぼのと
「綾渡の夜念仏と盆踊」 (愛知)
「越後甚句(えちごじんく)」「御嶽扇子踊」「高い山」「娘づくし」「東京踊り」「ヨサコイ」「十六踊り」「御岳手踊り」「笠づくし」「甚句踊り(足助綾度踊り)」など10曲の踊りが伝えられている。 
九州

 

「牛深ハイヤ節」 (熊本)
(ハ ヨイサヨイサ) (サーサヨイヨイ)
ハイヤエーハイヤ ハイヤで今朝出した船はエー どこの港に 
サーマ 入れたやらエー
エーサ 牛深三度行きゃ三度裸 鍋釜売っても酒盛りゃしてこい 
戻りにゃ本土瀬戸徒歩(かち)わたり
   ハイヤエー来たかと 思えばまだ南風(はえ)の風ヨー 風さえ恋路の 
   サーマ 邪魔をするエー
   エーサ 黒島沖からやって来た 新造か白帆か白鷺か 
   よくよく見たればわが夫(つま)さまだい
ハイヤエーハイヤ ハイヤで半年ゃ暮らすエー 後の半年ゃ 
サーマ 寝て暮らすエー
エーサ どっから来たかい薩摩から 
碇も持たずによう来た様だい
   ハイヤエーとっちゃ投げ とっちゃ投げ三十四五投げたエー 投げた枕にゃ 
   サーマ 罪(とが)はないエー
   エーサ 権現山から後ろ飛びゃするとも 
   お前さんに暇状(ひまじょう)はやいもせんが取いもせん
ハイヤエー船は 出ていく帆掛けて走るエー 茶屋の娘が 
サーマ 出て招くエー
エーサ おーさやったとん届いたかい 
届いて煮て吸って舌焼いたサイサイ
   ハイヤエー沖の 瀬の瀬にドンと打つ波はエー 可愛い船頭さんの 
   サーマ 度胸さだめヨー
   エーサ 段々畑のさや豆は ひとさや走ればみな走る 
   私ゃお前さんについて走る
ハイヤエーたんと 売れても売れない日でもエー 同じ調子の 
サーマ 風車エー
エーサ 魚貫万匹 茂串鯖 宮崎鰹ん骨横ぐわえ 
加世浦きんなご逆すごき 天附渡れば室鯵(むん)の魚 三匹(ごん)なめたらどっとした
   ハイヤエー瀬戸や 松島つけずにすぐにヨー 早く牛深に 
   サーマ 入れてくれヨー
   エーサ そこ行くねーちゃん汚れが伊達かい 汚れちゃおってもかんざしゃ銀だよ 
   銀のかんざし買うたか貰うたか 貰ちゃおっても買うたと言う
ハイヤエー鯛に 鰹に 鰺 鯖 鰯エー 鰤に万匹(まんびき) 
サーマ 鱶(ふか)の山エー
エーサ 牛深よいとこ一度はお出で 
人情豊かな港町
   ハイヤエーまつよ まつよで黒島の松エー 上り下りの 
   サーマ 手掛け松エー
   エーサ そろばん枕で考えた 
   一桁違えば大きな損だよ
ハイヤエーハイヤ ハンヤはどこでもあるがエー 牛深ハイヤが 
サーマ 元ハイヤエー
エーサ 川端石だい起こせば蟹(がね)だい 
蟹の生焼きゃ食傷のもとだい 食傷蟹なら色なし蟹だい
(ハ押せ ハ押せ ハ押せ押せ押せ押せ 押さねばのぼらぬ 牛深瀬戸じゃ)  
 
「信濃追分」「追分馬子唄」

 

「信濃追分」「追分馬子唄」「追分節」「小室節」「小諸節」
   ←「博労節」 (「馬喰節」「小諸馬方節」「小諸馬子唄」「夜曳き唄」)
    →「越後追分」「酒田追分」「本荘追分」 →「松前節」「江差追分」
   「小諸馬子唄」→「ほっちょせ」(「中津川甚句」)

(アキタホイ) 浅間根越しの (アキタホイ) 焼野の中でヨー (アキタホイホイ) 
 あやめ (アキタホイ) 咲くとは (アキタホイ) しおらしや (アキタホイ)
小諸出てみろ 浅間の山に 今朝も煙が 三筋立つ
碓氷峠の あの石車 誰を待つやら くるくると
浅間山さん なぜ焼けしゃんす 裾に三宿 持ちながら
追分 枡形の茶屋で ホロと泣いたが 忘らりょか
吹き飛ばす石も 浅間の野分けと詠んで 芭蕉翁は 江戸へ去る
一に追分 二に軽井沢 三に坂本 ままならぬ
あのや追分 沼やら田やら 行くに行かれず 一足も
浅間山では わしゃないけれど 胸に煙が 絶えやせぬ
追分一丁二丁 三丁四丁五丁ある宿で 中の三丁目が ままならぬ
高砂の こいを聞かねば 日陰の妻 早く聞きたい 四海波
右は更科 左は吉野 月と花との ここが追分
更科の 月は田毎に映るといえど 私ゃ外へは 移りゃせぬ
碓氷峠の 権現様は 主のためには 守り神
あの山木陰の わしゃほととぎす 人こそ知らねど 鳴き明かす
七里八里の 恋路を踏んでー 衣紋繕う 笑い坂
送りましょうか 送られましょか せめて桝形の 茶屋までも
離れ離れの 村雲さえも 逢いは口説(くぜつ)の 雨が降る
さらばと言う間に はや森の陰 かすかに見ゆるは 菅の笠
苦労する墨 身は細筆 命ゃお前に かけ硯
さぞやさぞさぞ さぞ今頃は さぞや焦がれて いるであろ
西は追分 東は関所 関所越えれば 旅の空
西は追分 東は関所 せめて峠の 茶屋までも
人が言うなら 言わせておきな 屋根に降る雪 胸でとく
浅間押せ押せ 六里ケ原を 押せば追分 近くなる
月も届かぬ 柳のかげに もるる蛍の ともあかり
浅間山から 追分見れば 桃や桜の 花盛り
煙ふいて 千歳百歳 ひるまぬ意気が ゆかし尊し 浅間山
枝は折るまい 折らせもすまい 心置きなく 行かしゃんせ
浅間山から 出てくる水は 雨も降らぬに ささ濁り
宵は月にも 紛れてすむが 更ける鐘には 袖絞る
君の心は 田毎の月よ どこに誠が 照らすやら
雪に叩かれ 嵐にもまれ 苦労して咲く 寒椿
色の道にも 追分あらば こんな迷いは せまいもの
私ゃ野に咲く 一重の桜 八重に咲く気は 更にない
嘘も誠も 売る身の勤め そこが買い手の 上手下手
まとまるものなら まとめて欲しい 思いは同じ 恋の道
神代この方 変わらぬものは 水の流れと 恋の道
なるとならぬは 目元で知れる 今朝の目元は なる目元
四書を読め読め 追分通え 曰くは格子(孔子)の中にある
早く逢いたい お顔が見たい 話聞きたい 聞かせたい
苦労させたり しもするからは 末にゃとやこう 言わしゃせぬ
逢うて戻れば 千里も一里 逢わで戻れば また千里
離れ離れの あの雲見れば 明日の別れが 思われる
何とぞ何とぞ 叶わせ給え お礼参りは 二人連れ
浅間の煙に 文ことづけて 主のお庭へ 落としたい
信濃追分 ラヂオにかけて 広く世間に 聞かせたい
浅間根腰の あやめが今は 飯縄下町で 花盛り
浅間の煙と 追分節は 千代を契りて 絶えはせぬ
石に立つ矢の 例えもあるに 思い切るとは 気が弱い
浅間颪の 北風よりも 主の一言 身にしみる
佐久の夕暮れ どこから暮れる 桑摘み乙女の 手元から
昼はしおれて 夜にはなおる 千曲河原の 月見草
馬に横乗り 浅間を眺め 草刈りつらい 目に涙
浅間山から 坂本見れば 女郎が化粧して 客を待つ
西は追分 東は関所 関所越ゆれば 旅の空
西は追分 東は関所 せめて峠の 茶屋までも
送りましょうか 送られましょか せめて峠の 茶屋までも
さらし手拭い ちょいと肩にかけ 悪所通いも 粋なもの
浅間山から 鬼ゃ出たものを 今は世が世で 鬼が出る
心よくても 追分女郎衆 浅間山から 鬼が出る
一夜五両でも 妻持ちゃ嫌やだ 妻の思いが 恐ろしや
浅間山から 鬼ゃけつ出して 鎌でかっ切るような 屁をたれた
追分油屋の 掛け行燈に 浮気御免と 書いてある
追分宿の 掛け行燈に 浮気御免と 書いちゃない
追分宿の 掛け行燈に 冷やかし御免と 書いてある
五里も六里も 山坂越えて 逢いに来たもの 帰さりょか
浅間山から 飛んできた鴉 金もないのに かうかうと
浅間根越の 小砂利の桔梗 花は咲けども 実はならぬ
小諸出なけりゃ 四ッ谷の清水ー 飲んで追分 一駆けに
坂木照る照る 追分曇るー 花の松代 雨が降る
様の来ぬ夜は 雲場の草で 刈る人もなし 一人寝る
朝咲いて 四ツにしおるる 朝顔さえも 思い思いの 花が咲く
鳥ならば 近き森にと 巣を掛け置いて 焦がれて鳴く声 聞かせたい
(長ばやし)
来たよで戸が鳴る 出てみりゃ風だよ オーサドンドン
来たよで来ぬよで 面影立つよで オーサドンドン
行くよで来るよで 面影さすよだ オーサドンドン
山ある川ある お前さんに気がある たにしがどんとある
ハッサキ砂山 下駄はいてヨジヨジ オーサドンドン  
「正調信濃追分」
(アキタホイ) 浅間山さん (サホイ) エなぜ焼けしゃんすヨー
(アキタホイ) 裾に エ三宿 (サホイ) 持ちながら
「ハ 来たよで戸が鳴る 出てみりゃ風だよ オーサソーダソーダ」
   右は更科 エ左は吉野ヨー 月と エ花との ここが追分
   「ハ 行くよで来るよで 面影さすよだ オーサソーダソーダ」
追分桝形の エ茶屋でヨー ホロと エ泣いたが 忘らりょか
「ハ 来たよで戸が鳴る 出てみりゃ風だよ オーサソーダソーダ」
   さらばと云う間に エはや森の陰ヨー かすかに エ見ゆるは 菅の笠
   「ハ 行くよで来るよで 面影さすよだ オーサソーダソーダ」
小室出て見よ エ浅間の山にヨー 今朝も エ三筋の 煙立つ
「ハ八坂砂山 下駄はいてヨジヨジ オーサソーダソーダ」 
「追分馬子唄」
追分桝形の エー茶屋でヨー ホロと鳴いたが アリャ忘らりょか (ハイーハイー)
浅間山さん エーなぜ焼け エーしゃんすヨー 裾に三宿 エー持ちながらヨー
小諸出てみりゃ エー浅間の エー山にヨー 今朝も煙が エー三筋立つ
碓氷峠の エー権現 エー様は 主のためには エー守り神
浅間山では エーわしゃない エーけれど 胸に煙りが エー絶えやせぬ
浅間根越の エー小砂利の エー中で あやめ咲くとは エーしおらしや
西は追分 エー東は エー関所ヨー 関所越ゆれば エー旅の空
「小諸馬子唄」 (「信濃追分」)
小諸でぬけりゃ 浅間の山にヨー 今朝も三筋の  煙立つ ハイハイ
浅間根腰の 焼野の中に 菖蒲咲くとは しおらしや ハイハイ
ここはどこだと 馬子衆に問えば ここは信州 中山道 ハイハイ
浅間山から 出てくる水は 雨も降らぬに 笹にごり ハイハイ
黒馬(あお)よ啼くなよ もう家(うち)や近い
森の中から 灯が見える ハイハイ
「小室節」
小諸でて見りゃ浅間の山に 今朝も三筋の  煙立つ
小諸出抜けてからまつ行けば 松の露やら 涙やら
田舎田舎と都衆は言えど しなのよいのが 小室節
さても見事やおつづら馬よ 馬子の小唄に 小室節
北海道

 

「江差追分」   ←「信濃追分」「追分馬子唄」「松坂くずし」「謙良節」
(前唄)
国を離れて 蝦夷地が島に  幾夜寝覚めの 波枕 
朝な夕なに 聞こゆるものは 友呼ぶ鴎と 波の音
(本唄)
鴎の鳴く音にふと目を覚まし あれが蝦夷地の 山かいな
(後唄)
月をかすめて 千鳥が鳴けば 波もむせぶか 蝦夷の海
   荒い波風 もとより覚悟 乗り出す船は 浮世丸
   西か東か 身は白波の 漂う海原 涯もない
   泣いたとて どうせ行く人 やらねばならぬ せめて波風 穏やかに
   泣くに泣かれず 飛んでも行けず 心墨絵の 浜千鳥
蝦夷や松前 やらずの雨は 荒れて別れの 風が吹く
泣くも笑うも 今宵が限り 明日は出船か 波の上
山背風 別れの風だよ 諦めしゃんせ いつまた逢うやら 逢わぬやら
心細さに ホロリと涙 名残惜しやと 千鳥鳴く
   波は磯辺に 寄せては返す 沖はしけだよ 船頭さん
   今宵一夜で 話は尽きぬ 明日の出船を 延ばしゃんせ
   泣いたとて どうせ行く人 やらねばならぬ せめて波風 穏やかに
   泣くなと言われりゃ なおせき上げて 泣かずにおらりょか 浜千鳥
大島小島の 間(あい)通る船は 江差通いか 懐かしや
北山おろしで 行く先曇る 面舵頼むよ 船頭さん
鴎の鳴く音に ふと目を覚まし あれが蝦夷地の 山かいな
何を夢見て 鳴くかよ千鳥 ここは江差の 仮の宿
   大島小島の 間通る船は 江差通いか 懐かしや
   北山おろしで 行く先曇る 面舵頼むよ 船頭さん
   忍路高島 及びもないが せめて波風 おだやかに
   主は奥場所 わしゃ中場所で 別れ別れの 風が吹く
松前江差の 津花の浜で 好いた同志の 泣き別れ
連れて行く気は 山々なれど 女通さぬ 場所がある
忍路(おしょろ)高島 及びもないが せめて歌棄(うたすつ) 磯谷まで
蝦夷は雪国 さぞ寒かろよ 早くご無事で 帰りゃんせ
   松前江差の 津花の浜で 好いた同志の 泣き別れ
   連れて行く気は 山々なれど 女通さぬ 場所がある
   忍路高島 及びもないが せめて歌棄 磯谷まで
   蝦夷地海路の お神威(たもい)様は なぜに女の 足止める
浮世の荒波 漕ぎ出てみれば 仇やおろかに 過ごされぬ
浮くも沈むも みなその人の 舵の取りよと 風次第
荒い波でも やさしく受けて こころ動かぬ 沖の石
波に映りし 月影さえも 乱れながらも 丸くなる
   波の上飛ぶ 鴎を眺め 目には思わず ひとしずく
   翼あるなら あの山越えて 飛んで行きたい 主の側
   音に名高い お神威様は なぜに女の 足止めた
   出船入り船 数ある中にネー わしの待つ船 ただ一つ
波路遙かに 想いをかけて 泣けば飛沫も 濡れかかる
巡る年月 待つ身もやせて 磯の松風 一人聞く
沖の鴎よ 流れる雲よ せめて伝えよ この心
主の船唄 夜毎に聞いて 共に暮らすは 何時じゃやら
   けむる渚に 日はたそがれて 沖にいさりの 火が灯る
   江差よいとこ 寝覚めの床に 通う千鳥の 鳴く音聞く
   松前江差の 鴎の島は 地から生えたか 浮島か
   月をかすめて 千鳥が鳴けば 波もむせぶか 蝦夷の海
浮世の苦労も 荒波枕 月を抱き寝の 浜千鳥
明日はいずこの 大海原で 荒い波風 しのぐやら
船底の枕外して 聞く浜千鳥 寒いじゃないかえ 波の上
辛い想いに 泣くのじゃないが 月が泣かせる 浜千鳥
   波は千鳥に 千鳥は波に 後を追うたり 追われたり
   一夜泊まりの 船頭衆に惚れて ついちゃ行かれず 泣き別れ
   沖を眺めて ホロリと涙 空飛ぶ鴎が 懐かしや
   空飛ぶ鴎が もの言うならば 便り聞きたい 聞かせたい
大島子島は めおとの島よ なぜに奥尻 はなれ島
吹くな夜風 片帆に持たせ 月に棹さす 筏舟
雪の空より ほのぼの明けて 雲のかなたに 蝦夷が島
今宵入り船 江差の港 遙かに見えるは かもめ島
   浮世離れて 奥山住まい 月雪花をば 友として
   岩に砕ける 水音聞けば 過ぎし昔が しのばれる
   波の音聞くが嫌さに 山家に住めば またも聞こゆる 鹿の声
   秋が来たかと 紅葉に問えば 鹿と相談 せにゃならぬ
蝦夷の前浜 鰊が群来て いさむ舟子の 大漁節
曳けや浜から 黄金が上がる 黄金千石 二千石
江差の五月は 江戸にもないと 誇る鰊の 春の海
姥が神代の 昔も今も 土地の花なり かもめ島
   今宵一夜は 緞子の枕 明日は出船の 波枕
   昨日西風 今日南風 明日は浮名の 辰巳風
   櫓も櫂も 立たぬ千尋の 深みにはまり 綱も碇も届きゃせぬ
   底の知れない 心の海に うかと碇は おろされぬ
北かと思えば まただしの風 風まで恋路の 邪魔をする
昨日西風 今日南風 明日は浮名の 辰巳風
北(あいの)風別れの風だよ あきらめしゃんせ 
いつまた逢うやら 逢えぬやら
船を出しゃらば 夜深に出しゃれ 帆影見るさえ 気にかかる
   船は櫓でやる 櫓は唄でやる 唄は船頭衆の 心意気
   飲めよ騒げよ 今宵が限り 明日は出船の 波枕
   板一枚下が地獄の 船よりも 下の二枚が おそろしや
   風は吹かねど こころの波に 舵の取りよが むずかしい
蝦夷へ行くときゃ 涙がこぼる 帰るものやら 別れやら
情けないぞや 今朝降る雪は 主の出船を 見せもせず
泣いてくれるな 出船のときは 綱も碇も 手につかぬ
ならばこの身を 鴎に変えて 後を追いたい 主の船
   想いあまりて 磯辺に立てば 哀れさびしき 波の音
   沖の漁り火 かすかに燃えて 遠く寄せ来る 暮れの色
   月は照る照る 夜は更け渡る 磯の波音 高くなる
   浜の真砂に 想いを書けば 憎や来て消す 夜半の波
空を眺めて ホロリと涙 あの星あたりが主の宿
逢いたい診たいは 山々なれど 悲しや浮世は ままならぬ
胸に千把の 萱焚くとても 煙たたせにゃ 人知らぬ
主を待つ夜は 悲しさまさる 泣いてくれるな 浜千鳥
   切れて今更 未練はないが 主はいずこで 暮らすやら
   雨の降る夜も 風吹く夜も 思い出しては しのび泣き
   主は今頃 起きてか寝てか 思い出してか 忘れてか
   波の飛沫に 磯浜千鳥 濡れて明け暮れ 泣くばかり
風のたよりは 松吹くばかり 君は姿を なぜ見せぬ
波は寄せても 砕くるばかり 岩もこの身も やせ細る
人頼みせねば逢われぬ 身を持ちながら 逢えば愚痴やら 涙やら
巡る浮世に はかない縁 いつまた逢うやら 逢えぬやら
   一筆書いては ホロリと涙 どう書きゃまことが 届くやら
   雲に架け橋 かすみに千鳥 及びないのに 恋をする
   雨垂れの音と知りつつ もしやと思い 幾度枕を あげたやら
   磯の鮑を 九つ寄せてネー これも苦界の 片思い
芦の入り江は 霞にくれて 灯影ゆらめく 岸の宿
暑さ知らずの 蝦夷地でさえも 夏は来て飛ぶ 蛍虫
人は涼しと いう川岸に なぜに蛍が 身を焦がす
空にゃ上がれず 水にはとけず 闇に迷うて いるばかり
   国を出る時ゃ 涙で出たが 岬かわせば 先ゃ急ぐ
   吹くな夜嵐 片帆に持たせ 吹くな抱き寝の 波枕
   蝦夷は寒かろ 来て行かしゃんせ わしが手縫いの この上衣
   粉雪さらさら 松前船を 泣いて送るか 浜千鳥
逢いに北見を 主白糠で 狸根室で 釧路向き
酒に与市か 高島いびき 何を聞いても 岩見沢
宗谷そわずに 別るるならば 私ゃ美国と なるわいな
声が高島 静かに忍路 忍ぶ小樽の 仲じゃもの
   今宵目出度く この家の庭に 晴れて見交わす めおと松
   春はなおさら 緑も深く 操正しき 松の色
   荒海の波にもまれて 生えたる昆布は 主と祝儀の 契り草
   生えてうれしや 二葉の松は 家の柱と なるばかり 
東北

 

「本荘追分」 (秋田)
(キターサー キターサ)
ハァー本荘(ハイハイ) ハァー名物(ハイハイ) 
ハァー焼山の(ハイハイ) ハァー蕨ヨー(キターサー キターサ)
焼けば焼くほど(ハイハイ) ハァー太くなる(キターサーキターサ)
本荘名物 焼山の蕨 首をかたげて 思案する
あちらこちらに 野火つく頃は 梅も桜もともに咲く
出羽の富士見て 流るる筏 着けば本荘の 上がり酒
江戸で関とる 本荘の米は おらが在所の 田で育つ
お酒飲む人 花ならつぼみ 今日もさけさけ 明日も酒
お酒飲む人 万年生きる そこで酒飲み 亀という
布団着たよな 日住の山に 帯コ解いたよな 子吉川
流す筏に 御神酒を乗せて 下る子吉の 春の川
花は咲く咲く 御手作堤 心一重の 花が咲く
本荘よいとこ 海辺の町よ 山の宝を 船で出す
本荘追分 聞かせておいて 生きた魚を 喰わせたい
本荘古雪 三筋の町よ 出船入船 引き留める 
立石堂の 立石堂の坂で ホロと泣いたり 泣かせたり  
「南部追分」 (岩手)
西は ハァ追分 ハァ東は関所 関所 ハァ番所でままならぬ
忍路 ハァ高島 ハァ及びもないが せめて ハァ歌棄磯谷まで
沖を ハァ眺めて ハァほろりと涙 空飛ぶ ハァ鴎がままならぬ
逢いたい ハァ見たいは ハァ山々なれど 悲しや ハァ浮世はままならぬ
今宵 ハァ一夜で ハァ峠を越せや さぞや ハァ妻子が待ちかねる  
中部

 

「中道追分節」 (山梨)
西は追分 東は関所 せめて関所の 茶屋までも
富士のすそのは 時雨れておれど 甲府の空は 晴れている
この生魚も まだ女坂よ 右左口(うばぐち)の坂の 難場を越えて
明日は甲府へ 着かなきゃならぬ 急げよ青馬(あお)よ 急げよ青馬よ  
「越後追分」 (寺泊)
ハーソイ ソイソイソイ
櫓も櫂も ソイ 波にとられて ソイ
ハー身は捨て ソイ 小舟ヨ
ハーソイ ソイソイソイ
どこへ ソイ アーとりつく ソイ 島もない
ハーソイ ソイソイソイ
(送り唄)
よくも染めたよ 船頭さんの厚司 ヤラサノエー
腰には大船 裾に波 背なに錨の 紋所をネー
質には入れても 流りゃせぬ
ハーソイ ソイソイソイ
「越後追分」 (新潟)
ハアー荒い ソイ 風にも ソイ
あてない ソイ 主を アーソイソイ
やろか ソイ えぞ地の ソイ
荒海へ ソイ ソイソイ
(合の手)
船は出て行く 港の沖に
エンヤラサーノサー
思い偲んで 見送れど
誰も知らない 私の胸の中
沖の鴎が 知るばかり
佐渡へ八里の 荒波越えて
鐘が聞こゆる 寺泊
(合の手)
立山しぐれて 越後は雨よ
かすかに見ゆるは 佐渡島
佐渡と越後の境のさくら
花は越後へ 実は佐渡へ 
「塩尻甚句」
行こか塩尻、戻ろか洗馬へ ここが思案の桔梗が原 
「ほっちょせ」 (「中津川甚句」) (岐阜)
ここはナ−山家じゃ お医者はないで ア ホッチョセ ホッチョセ
 可愛い殿さを見殺しに ア ホッチョセ ホッチョセ
樣とナ− 旅すりゃー 月日も忘れ 鴬が鳴く 春じゃそな
遠いナ− 畦道 ようきてくれた 裾がぬれつら豆の葉で
美濃のナ− 中津を出て行く時にゃ 三度見返す恵那の山 
「五箇山追分節」 (富山) (牛方節、追分節)
五斗俵かずいてもイナー 道若杉ぬイナー オッソコ ソコソコ
 男だてなら二俵かずくイナー (お囃子)オッソコ ソコソコ
五斗俵二俵 イナー 及びもないがイナー せめて楮(こうぞ)のいわいごいをイナー
姿見えねど イナー 朝霧ついてイナー うたは追分鈴の音イナー
牛の二俵は イナー 鈴の音高いイナー 追うは無駄ごとひかれづめイナー  
 
「松坂」「荷方節」「謙良節」

 

「松坂」「松坂くずし」「松坂節」
「荷方節」「新潟節」
「謙良節」「検校節」
北海道

 

「北海謙良節」
さてもめでたい 松前様は 割びし御紋は あや錦
前に大漁の 海原や 岳の千軒 黄金湧く
城は栄えて 千代八千代 中は鶴亀 五葉の松
枝も栄えて 葉も繁る ああ鶴々と ああ明ける国 
「北海荷方節」
荷方 寺町 花売り婆さま 花は売らずに 油売る
荷方うきみに 真があらば 丸い玉子も 角となる
丸い玉子も 切りよで四角 ものは言いよで 角が立つ
「江差追分」   ←「信濃追分」「追分馬子唄」「松坂くずし」「謙良節」
(前唄)
国を離れて 蝦夷地が島に  幾夜寝覚めの 波枕 
朝な夕なに 聞こゆるものは 友呼ぶ鴎と 波の音
(本唄)
鴎の鳴く音にふと目を覚まし あれが蝦夷地の 山かいな
(後唄)
月をかすめて 千鳥が鳴けば 波もむせぶか 蝦夷の海
   荒い波風 もとより覚悟 乗り出す船は 浮世丸
   西か東か 身は白波の 漂う海原 涯もない
   泣いたとて どうせ行く人 やらねばならぬ せめて波風 穏やかに
   泣くに泣かれず 飛んでも行けず 心墨絵の 浜千鳥
蝦夷や松前 やらずの雨は 荒れて別れの 風が吹く
泣くも笑うも 今宵が限り 明日は出船か 波の上
山背風 別れの風だよ 諦めしゃんせ いつまた逢うやら 逢わぬやら
心細さに ホロリと涙 名残惜しやと 千鳥鳴く
   波は磯辺に 寄せては返す 沖はしけだよ 船頭さん
   今宵一夜で 話は尽きぬ 明日の出船を 延ばしゃんせ
   泣いたとて どうせ行く人 やらねばならぬ せめて波風 穏やかに
   泣くなと言われりゃ なおせき上げて 泣かずにおらりょか 浜千鳥
大島小島の 間(あい)通る船は 江差通いか 懐かしや
北山おろしで 行く先曇る 面舵頼むよ 船頭さん
鴎の鳴く音に ふと目を覚まし あれが蝦夷地の 山かいな
何を夢見て 鳴くかよ千鳥 ここは江差の 仮の宿
   大島小島の 間通る船は 江差通いか 懐かしや
   北山おろしで 行く先曇る 面舵頼むよ 船頭さん
   忍路高島 及びもないが せめて波風 おだやかに
   主は奥場所 わしゃ中場所で 別れ別れの 風が吹く
松前江差の 津花の浜で 好いた同志の 泣き別れ
連れて行く気は 山々なれど 女通さぬ 場所がある
忍路(おしょろ)高島 及びもないが せめて歌棄(うたすつ) 磯谷まで
蝦夷は雪国 さぞ寒かろよ 早くご無事で 帰りゃんせ
   松前江差の 津花の浜で 好いた同志の 泣き別れ
   連れて行く気は 山々なれど 女通さぬ 場所がある
   忍路高島 及びもないが せめて歌棄 磯谷まで
   蝦夷地海路の お神威(たもい)様は なぜに女の 足止める
浮世の荒波 漕ぎ出てみれば 仇やおろかに 過ごされぬ
浮くも沈むも みなその人の 舵の取りよと 風次第
荒い波でも やさしく受けて こころ動かぬ 沖の石
波に映りし 月影さえも 乱れながらも 丸くなる
   波の上飛ぶ 鴎を眺め 目には思わず ひとしずく
   翼あるなら あの山越えて 飛んで行きたい 主の側
   音に名高い お神威様は なぜに女の 足止めた
   出船入り船 数ある中にネー わしの待つ船 ただ一つ
波路遙かに 想いをかけて 泣けば飛沫も 濡れかかる
巡る年月 待つ身もやせて 磯の松風 一人聞く
沖の鴎よ 流れる雲よ せめて伝えよ この心
主の船唄 夜毎に聞いて 共に暮らすは 何時じゃやら
   けむる渚に 日はたそがれて 沖にいさりの 火が灯る
   江差よいとこ 寝覚めの床に 通う千鳥の 鳴く音聞く
   松前江差の 鴎の島は 地から生えたか 浮島か
   月をかすめて 千鳥が鳴けば 波もむせぶか 蝦夷の海
浮世の苦労も 荒波枕 月を抱き寝の 浜千鳥
明日はいずこの 大海原で 荒い波風 しのぐやら
船底の枕外して 聞く浜千鳥 寒いじゃないかえ 波の上
辛い想いに 泣くのじゃないが 月が泣かせる 浜千鳥
   波は千鳥に 千鳥は波に 後を追うたり 追われたり
   一夜泊まりの 船頭衆に惚れて ついちゃ行かれず 泣き別れ
   沖を眺めて ホロリと涙 空飛ぶ鴎が 懐かしや
   空飛ぶ鴎が もの言うならば 便り聞きたい 聞かせたい
大島子島は めおとの島よ なぜに奥尻 はなれ島
吹くな夜風 片帆に持たせ 月に棹さす 筏舟
雪の空より ほのぼの明けて 雲のかなたに 蝦夷が島
今宵入り船 江差の港 遙かに見えるは かもめ島
   浮世離れて 奥山住まい 月雪花をば 友として
   岩に砕ける 水音聞けば 過ぎし昔が しのばれる
   波の音聞くが嫌さに 山家に住めば またも聞こゆる 鹿の声
   秋が来たかと 紅葉に問えば 鹿と相談 せにゃならぬ
蝦夷の前浜 鰊が群来て いさむ舟子の 大漁節
曳けや浜から 黄金が上がる 黄金千石 二千石
江差の五月は 江戸にもないと 誇る鰊の 春の海
姥が神代の 昔も今も 土地の花なり かもめ島
   今宵一夜は 緞子の枕 明日は出船の 波枕
   昨日西風 今日南風 明日は浮名の 辰巳風
   櫓も櫂も 立たぬ千尋の 深みにはまり 綱も碇も届きゃせぬ
   底の知れない 心の海に うかと碇は おろされぬ
北かと思えば まただしの風 風まで恋路の 邪魔をする
昨日西風 今日南風 明日は浮名の 辰巳風
北(あいの)風別れの風だよ あきらめしゃんせ 
いつまた逢うやら 逢えぬやら
船を出しゃらば 夜深に出しゃれ 帆影見るさえ 気にかかる
   船は櫓でやる 櫓は唄でやる 唄は船頭衆の 心意気
   飲めよ騒げよ 今宵が限り 明日は出船の 波枕
   板一枚下が地獄の 船よりも 下の二枚が おそろしや
   風は吹かねど こころの波に 舵の取りよが むずかしい
蝦夷へ行くときゃ 涙がこぼる 帰るものやら 別れやら
情けないぞや 今朝降る雪は 主の出船を 見せもせず
泣いてくれるな 出船のときは 綱も碇も 手につかぬ
ならばこの身を 鴎に変えて 後を追いたい 主の船
   想いあまりて 磯辺に立てば 哀れさびしき 波の音
   沖の漁り火 かすかに燃えて 遠く寄せ来る 暮れの色
   月は照る照る 夜は更け渡る 磯の波音 高くなる
   浜の真砂に 想いを書けば 憎や来て消す 夜半の波
空を眺めて ホロリと涙 あの星あたりが主の宿
逢いたい診たいは 山々なれど 悲しや浮世は ままならぬ
胸に千把の 萱焚くとても 煙たたせにゃ 人知らぬ
主を待つ夜は 悲しさまさる 泣いてくれるな 浜千鳥
   切れて今更 未練はないが 主はいずこで 暮らすやら
   雨の降る夜も 風吹く夜も 思い出しては しのび泣き
   主は今頃 起きてか寝てか 思い出してか 忘れてか
   波の飛沫に 磯浜千鳥 濡れて明け暮れ 泣くばかり
風のたよりは 松吹くばかり 君は姿を なぜ見せぬ
波は寄せても 砕くるばかり 岩もこの身も やせ細る
人頼みせねば逢われぬ 身を持ちながら 逢えば愚痴やら 涙やら
巡る浮世に はかない縁 いつまた逢うやら 逢えぬやら
   一筆書いては ホロリと涙 どう書きゃまことが 届くやら
   雲に架け橋 かすみに千鳥 及びないのに 恋をする
   雨垂れの音と知りつつ もしやと思い 幾度枕を あげたやら
   磯の鮑を 九つ寄せてネー これも苦界の 片思い
芦の入り江は 霞にくれて 灯影ゆらめく 岸の宿
暑さ知らずの 蝦夷地でさえも 夏は来て飛ぶ 蛍虫
人は涼しと いう川岸に なぜに蛍が 身を焦がす
空にゃ上がれず 水にはとけず 闇に迷うて いるばかり
   国を出る時ゃ 涙で出たが 岬かわせば 先ゃ急ぐ
   吹くな夜嵐 片帆に持たせ 吹くな抱き寝の 波枕
   蝦夷は寒かろ 来て行かしゃんせ わしが手縫いの この上衣
   粉雪さらさら 松前船を 泣いて送るか 浜千鳥
逢いに北見を 主白糠で 狸根室で 釧路向き
酒に与市か 高島いびき 何を聞いても 岩見沢
宗谷そわずに 別るるならば 私ゃ美国と なるわいな
声が高島 静かに忍路 忍ぶ小樽の 仲じゃもの
   今宵目出度く この家の庭に 晴れて見交わす めおと松
   春はなおさら 緑も深く 操正しき 松の色
   荒海の波にもまれて 生えたる昆布は 主と祝儀の 契り草
   生えてうれしや 二葉の松は 家の柱と なるばかり 
東北

 

「南部荷方節」 (青森・岩手)
にがた ハァ出てから ハァ昨日今日で七日
七日ハァなれども ハァまだ会わぬ
傘を ハァ忘れた ハァ敦賀の茶屋に
雨のハァ降るたび ハァ思い出す
傘を ハァ手に持ち ハァ暇を願い
かさねハァがさねの ハァ暇ごい
佐渡で ハァ蕾持ち ハァ新潟で開く
とかくハァ新潟 ハァ花どころ
にがた ハァ出てから ハァまだ帯解けぬ
帯はハァ解けぬに ハァ気はとける
にがた ハァ出てから ハァ青島沖に
船はハァ出船で ハァままならぬ
「謙良節」 (青森)
さてもエー みごとな 岩木富士 
冬はまっ白く 春青く 夏は墨染め 秋錦
アー 衣エー がえする あざやかさ
さてもエー めでたい 正月様よ
年の始めに 千代八千代 鶴の一声 祝わなん
若水汲んで とそ酒を 一富士 二鷹 三なすび
アー 明けてエー うれしや 初夢で

さてもー 目出度い 正月さんよ
かどに立てたる ごかいマツ松 風がそよそよ 雪ほろけ
降りくる雪は 黄金なり 庭にはいずる 亀の舞
アー くるくると うたうはねつるべ
   さてもー 珍し この家の座敷
   奥の座敷は 涼み座敷 六尺びょうを 立て流し
   折り目折り目に 鷹を描く 鷹はさえずる なんと聴く
   アー 福々と アー 福をよぶ
さてもー 目出度い 正月様よ
年の始めに 千代千代と 鶴の一声 祝わなん
若水汲んで とそ酒を 一富士 二鷹 三なすび
アー 明けてうれしや 初夢で  
「鹿角検校節」 (秋田)
さてもめでたい この家のますは
銭ます金ます宝ます そこで身上が上がります
ハアしんしょうが ますます上がります ハア栄えます

さても目出度い この家のご亭主 一の座敷に 御祝儀する 
二の座敷に 孫もうけ 三の座敷に 倉をたて 
五穀倉をば 二十と四つ 金銀倉をば 二十と四つ 
四十八字の いろは倉 大坂下りの 鍵を取る 
倉の番頭は 誰だれか 一に大黒 二に恵比寿 
三の鍵取り 福の神 宇着のように 末広く
団扇の如く まん丸く 柳のように 末長く
この家ご亭主は 果報な人 末にゃ長者と なるわいな
さても目出度い この家のご亭主
朝に早起き 門開く 朝に入るは 朝恵比寿
昼に入るは 福の神 夜は大黒 笑ッて来る
右の手に持つ 倉の鍵 左の手に持つ 宝槌
金のなる木を 庭に植え 家内辛抱で 金がなる
金がこぼれて 長者となる 大枡小枡で 金はかる
又も積みおく 千両箱 千と重ねて 万となる
万と重ねて 億となる 億も目出度い 今日となる
諸国ちょうする 長者となる

盃を三合ひかえて 海老と鰯で祝い申す
春の初めに筆取り持ちて この家ご亭主は長者となる
さても目出度いこの家のご亭主 今年初めて家を建て
如何なる大工の建てた家 飛騨の匠の建てた家
柱白金ヌキ(貫)黄金 屋根は小判のこけら葺き
東切り窓銭すのこ 銭のすのこに朝日さす
朝日かがやく長者となる
さても目出度いこの家のご亭主 一の座敷にご祝儀する
二の座敷に孫をもうけ 三の屋敷に蔵を建て
五穀蔵をば二十と四つ 金銀蔵をば二十と四つ
四十八字のイロハ蔵 大坂下りの鍵を取る
蔵の番とは誰々か 一に大黒二に恵比寿
三の鍵取り福の神 扇のように末広く
打ち出の如くまん丸く 柳のように末長く
この家ご亭主は果報な人 末代までも栄えるように
末に長者となるわいな
さても目出度いこの家のご亭主 朝に早起き門開く
朝に入るは朝恵比寿 昼に入るは福の神
夜は大黒笑って入る 右の手に持つ蔵の鍵
左の手に持つ宝槌 金の成る木を庭に植え
家内辛抱で金が成る 金がこぼれて長者となる
大升小枡で金はかる 又も積みおく千両箱
千と重ねて万となる 万と重ねて億となる
億も目出度いチョウ(今日)となる 諸国ちょうする長者となる
「松坂くずし」 (秋田)
さてもめでたい 鶯小鳥 今年初めて 伊勢参り
伊勢より広い 国はないけれど 一夜の宿を とりかねて
浜辺の小松の この枝に 柴刈り集めて 巣を組んで
十二の卵を 生みそろえ 十二もろとも 立つ時は
銀の銚子に 泉酒
「秋田荷方節」
新潟寺町の 花売り婆様 花も売らずに 油売る
高いお山の 御殿の桜 枝は七枝 八重に咲く
中部

 

「小谷松坂」 (長野)
目出度かろうぞ世はいつまでも 鶴がご門に巣をかけた
鶴がご門に巣をかけますりゃ 亀がお庭で舞を舞う
「郡上踊り/松坂」 (「郡上節」)
ヨーホーイモヒトツショ
合点と声がかかるなら これから文句に掛かりましょ
すべてお寺は檀家(だんけ)から 痩せ畑作りはこやしから
下手な音頭も囃しから お囃子頼む総輪様(そうわさま)
名所案内
鵜舟の篝火赤々と 世にも名高き長良川
その水上(みなかみ)の越美線(えつみせん) 郡上八幡名にしおう
三百年の昔より 士農工商おしなべて
泰平祝う夏祭り 音頭手拍子面白く
唄い楽しむ盆踊り 郡上の八幡出る時は
雨も降らぬに袖しぼる これぞまことのにこの里の
人の心をそのままに いつしか唄となりにかる
山は秀でて水清く 春は桜の花に酔い
秋はもみじ葉茸狩り 夏は緑の涼風や
冬また雪の遊戯(たわむれ)と 名所の多き郡(こおり)とて
訪ねる人の数々に いざや探らん道しるべ
大日ケ岳仰ぎつつ 阿弥陀ケ滝をおとなえば
六十丈の虹吐いて 夏よせつけぬ滝の音
滝の白糸長々と 一千年の昔より
由緒(いわれ)は深き長瀧に 今も睦月の六つの日を
喜び菊の花祭り 人は浮かれてくるす野の
宮居に匂う桜花 緑萌え出る楊柳寺(ようりゅうじ)
のどかなる野の那留(なる)石の その名は高く世に響く
宗祇の流れ今もなお 汲みてこそ知れ白雲(しらくも)の
絶えせぬ水の末かけて 積もる翠(みどり)の山の上(え)に
霞ケ城の天守閣 朝日に映る金の鯱(しゃち)
昔を偲ぶ東殿(とうでん)の 山の端出づる月影に
匂う愛宕のすみぞめや 彼岸桜や山桜
訪(と)い来る人の絶え間なく 杖ひくからぬ稚児の峰
卯山(うやま)おろしの風穴に いでそよそよと立ちし名の
浮きて流るるあさが滝 深き思いを叶(かなえ)橋
行き交う人は深草の 小町にちなむ小野の里
契りはかたき石の面(も)に 写りまします管公(かんこう)の
冠ならぬ烏帽子岳 麓続きの村里は
寿永の名馬磨墨(するすみ)の 出し所と言い伝う
名も高光にゆかりある 高賀の山の星の宮
矢納ケ淵(やとがふち)や粥川に 振り返りつつ蓬莱の
岩間流るる長良川 河鹿の声のおちこちに
ひかれて舟に棹させば 浮世の塵もいつしかに
洗い捨てたる心地する 水の都か花の里
郡上の八幡出る時は 雨も降らぬに袖しぼる
踊りと唄とで町の名も 広く聞こえて栄ゆく
里の皆衆も他所の衆も 音頭手拍子うちそろえ
これぞ真に総輪様 永く伝わるこの里の
郡上おどりの誉をば 万代(よろずよ)までも伝えなん
歌の殿様
お聞きなされよ皆の衆 歌の殿様常縁(つねより)が
歌で天下に名をあげて 歌でお城を取り戻す
平和の里にふさわしき 歌の郡上の物語
郡上のお城の始まりは 下総東氏(とうし)が功により
山田の庄を加えられ 承久年間胤行(たねゆき)は
剣 阿千葉に館して 郡上東家の開祖(もと)となる
文武すぐれしわが東家 代々にすぐれし和歌の道
勅撰集に名を連ね その名天下に聞こえたり
戦乱続き消えかけし 足利時代の文学(ふみ)の道
支えしちからはわが東家 五山文学あればこそ
殊に七代常縁は 和歌に秀でし功により
公家将軍の歌会(うたえ)にも 常に列して名は高し
時に関東(あづま)に乱起こり ときの将軍義政は
常縁公に命じてぞ 東庄回復はかりたる
常縁郡上の兵連れて 関東に転戦十余年
その頃京は応仁の 戦乱長くうち続き
美濃の土岐氏は山名方 郡上の東家は細川に
昨日の友は今日の敵 争いあうぞ是非もなき
ついに土岐氏の家臣なる 斎藤妙椿(みょうちん)大挙して
東氏本城篠脇の 城を襲いて奪いけり
常縁関東にこれを聞き いたく嘆きて歌一首
亡父追善法要に ちなみて無常歌いしに
この歌郡上に伝わりて 聞く者胸をうたれけり
妙椿これを伝え聞き 心は通う歌の道
敵とはいえど常縁の ゆかしき心思いやり
関東の空に歌だより ついに一矢(いっし)も交えずに
十首の歌と引き換えに 郡上の領地返しけり
かくて再び常縁の 徳にうるおう郡上領
歌の真実(まこと)のふれあいに 恩讐こえて睦み合い
戦わずして手に入りし 歌の花咲く郡上領
げにもゆかしき和歌の徳 歌の真実の貴さよ
歌で開けしわが郡上 歌でお城も守られて
歌の郡上の名も高く 平和日本ともろともに
栄えゆくこそうれしけれ 栄えゆくこそうれしけれ
宗祇水
歌の殿様常縁公 歌でお城を取り戻し
いよいよ光る和歌の徳 その名天下にとどろきて
時の帝(みかど)の召しにより 公卿将軍の師ともなり
九十四年の生涯は ひたすら励む歌の道
宗祇法師も都から 文明二年はるばると
あこがれ訪い篠脇の 城に学びし古今集
励む三年(みとせ)の功なりて ついに奥義の秘伝受け
師弟もろとも杖をひく 郡上名所の歌の遺跡(あと)
妙見社頭にいたりては 「神のみ山の花ざかり
桜の匂う峰」を詠み 那比神宮に詣でては
「神も幾世か杉の杜 みやいはなれぬほととぎす」
文明五年秋すぎて 宗祇都に帰るとき
常縁これを見送りて 別れを惜しむ小駄良川
桜樹(おうじゅ)の下に憩いては 名残は尽きず「紅葉(もみじば)の
流るる竜田白雲の 花のみよしの忘るな」と
心を込めし餞(はなむけ)の 歌の真実は今もなお
その名もゆかし宗祇水 清き泉はこんこんと
平和の泉とこしえに 歌の聖のいさおしと
奏で続けるうれしさよ 讃え続けるゆかしさよ
およし物語
およし稲荷の物語 昔の歌の文句にも
きじも鳴かずば撃たれまい 父は長良の人柱
ここは郡上の八幡の 霞ケ城を造る時
お上の評定ありけるが あまた娘のある中に
およしといえる娘あり 里の小町とうたわれて
年は二八か二九からぬ 人にすぐれし器量よし
ついに選ばる人柱 聞きたる親子の驚きは
何に例えるものはなし 親子は思案にくれ果てて
泣くばかりなる有様も お上の御用と聞くからは
ことわるすべもなく涙 そこでおよしはけなげにも
心を決めて殿様や お城のためや親のため
死んで柱にならんとて 明日とは云わず今日ここに
進んで死出の旅支度 白の綸子(りんず)の振袖に
白の献上の帯をしめ 薄化粧なる髪かたち
静かに立ちし姿こそ 霜におびえぬ白菊の
神々しくも見えにける すでに覚悟の一念に
西に向かいて手を合わせ 南無や西方弥陀如来
後世を救わせ給えかし また父母にいとまごい
先立つ不幸許してと あとは言葉も泣くばかり
これが今生のお別れと 後ろ髪をばひかれつつ
一足行っては振り返り 二足歩いて後戻り
親子の絆切れもせず 親も泣く泣く見送りて
どうぞ立派な最期をと 口には云えず胸の内
ただ手を合わすばかりなり かくて時もうつるとて
役人衆にせかれつつ およし一言父母と
呼ばわる声もかすかなり 空には星の影もなく
ただ一声のほととぎす 声を残して城山の
露と消えゆく人柱 この世の哀れととどめける
これぞおよしのいさおしと 伝え聞いたる人々は
神に祈りて今もなお およし稲荷の物語
「泣き荷方節」 (富山)
あー こなたのお人の 路地には  うぐいす鳥が 来て止まる
どういうて鳴く  声聞けば ただ 京、京、と鳴くばいのう
京より広い 大阪を 逢坂越えて なんと島 
唐と日本の そのあいを 船に宝を 積み上げて
こなたの館へ いそいそと 
あー 富山の浄瑠璃 金沢の謡い あいの高岡 なきにがた
「米道踊り唄」 (富山)
「やんしき」踊り (福井)
近畿

 

「松坂節」 (兵庫)
(それ、やっとせー、やっとせ)
豊かなりける豊岡の 町をめぐりて流れゆく
円山川は上つ世に 但馬の水を海原へ
放ち玉いし神々の 霊験業の御恵(みめぐみ)を
殖ゆるばかりの嬉しさは だれしもそれと三開(みひらき)の
富士の山ほど幸福(さいわい)を 積んで渡るや京口の
橋を渡りて新町や 桜みよなら旭道
小尾崎こえて豊田町 万(よろず)宵田の橋こえて
返すたもとの涼しさは いつもここらに立の橋
元町すぎて円山の 新地にならぶかけあんど
堀川橋の帰り舟 眺めてゆかしき花園に
柳行李の久保町を いつしか過ぎて色町の
主のよわいを亀山とおり 稲荷様の金山(こんざん)へ
本懐とげし義士の墓 名は末代と国々に
柳細工と諸共に 広まりゆくぞめでたけれ
 
「新保広大寺」 (口説き)

 

「新保広大寺」「広大寺」「神子節」
   →「津軽じょんがら節」「口説節」「道南口説」「北海道鱈つり唄」
   →「木崎音頭」「八木節」
   →「古代神」「高大寺」「麦わら節」

新保さえ 広大寺は ありゃ何処から出たやれ 和尚だなぁ
新保新田から出たやれ 和尚ださえ
ほらなんきん たおだか ほねつくようだよ
戸板に豆だよ ごろつくようだよ
へんへんてばなっちょなこんだよ
  新保さえ 広大寺は ありゃなんで 気がやれそれた
  お市迷うて そんで気がそれた
  サァ来なさい 来なさい 晩にも来なさい
  おじいさんお留守で ばぁちゃんツンボで
  だれでも知らない そろりと来なさい
  へんへんてばなっちょなこんだよ
切れたな 切れた切れたよ 一思いにやれ切れたな
水に浮草根がやれ 切れたさえ
新潟街道で イナゴがつるんで 三石六斗の
あぜ豆倒して ハァイナゴで幸せ
人間ごとなら そうどうのもとだよ
へんへんてばなっちょなこんだよ

新保 ナーエ コリャ 広大寺かめくり(花札ばくち)こいて
コリャ 負けた ナーエ 袈裟も衣も ヤーレ みなさえ コリャ 取られた ナーエ
(囃し)
ああいいとも いいとも 一時こうなりゃ 手間でも取るかい ナーエ
あとでもへるかい いいこと知らずの 損とりづらめが いいとも そらこい
新保広大寺に 産屋が出来た お市案ずるな 小僧にするぞ ナーエ
桔梗の 手拭いが 縁つなぐなら おらも染めましょ 桔梗の型てば ナーエ
(囃し)
そうとも素麺 下地が大事だ こいてばコンニャク きんには大事だ
もっとも麦飯 とろろが大事だ おらカカそれより まんこが大事だ  いいとも そらこい
さほど目に立つ お方じゃないが どうやら私の 虫やが好くてば ナーエ
(囃し)
新潟街道の スイカの皮でも 抱いたら離すな 十七島田に 乗ったら降りるな
きっきとこいだら ほっぺに吸い付け いいとも そらこい
新保広大寺が ねぎ喰って死んだ 見れば泣けます ねぎのはたけ ナーエー
殿さ殿さと ゆすぶりおこせば 殿さ砂地の 芋で無いぞ ナーエー

あわれなるかや へそ穴くどき 国はどこよと 尋ねて聞けば
国は内股 ふんどし郡(ごおり) だんべ村にて ちんぼというて
おそれおおくも もったいなくも 天の岩戸の 穴よりはじめ
亭主大事に こもらせ給い ふじの人穴 大仏殿の
柱穴にも いわれがござる 人の五体に 数ある穴に
わけてあわれや へそ穴くどき 帯やふんどしに 締めつけられて
音(ね)でも息でも 出すことならぬ 仁義ごとにも 出ることならぬ
夏の暑さに じつないことよ ほんに体も とけるよでござる
日の目おがまず 夜昼しらず よその穴ショの 楽しみ聞くに
春は花見に 夏蛍見に 秋は月見に 冬雪見とて
耳はおお聞く 琴三味線の 鼻は香(こう)買い蘭麝(らんじゃ)の香り
口は三度の 食事のほかに 酒や魚や 茶菓子というて
うまいものには 鼻ふくらしゃる 
北海道

 

「道南口説」
私しゃこの地の荒浜育ち 声の悪いのは親譲りだよ 
節の悪いのは師匠ないゆえに 一つ唄いましょはばかりながら
主と別れた 山の上の茶屋で カモメ泣く泣く臥牛のお山 
甲斐性ないゆえ 弁天様に ふられふられて 函館立てば
着いたところが 亀田の村で 右にゆこうか 左にゆこか 
ままよ七飯浜(なないはま) 久根別(くねべつ)すぎて 
行けば情けの 上磯(かみいそ)ござる
登り一里で 下りも一里 浜に下がれば 白神の村 
波は荒磯 荒谷をすぎて 大沢渡って及部(おいべ)にかかりゃ
ついに見えたよ 松前城下 今夜の泊まりは 城下の茶屋で泊まるサエ
上でゆうなら矢越の岬よ 下でゆうなら恵山のお山 
登り一里で 下りも一里 恵山お山の 権現様よ
わずか下れば 湯茶屋がござる 草鞋腰に付け とどほけ通れば
恋の根田内(ねたない) 情けの古武井(こぶい) 思いかけたる あの尻手内(しりしない)
沖に見えるは ありゃ武井の島 武井の島には鮫穴ござる 
とろりとろりと 浜中通りゃ 沖のカモメに 千鳥ヶ浜よ
戸井の岬を左にかわし 汐の名を取って汐首の浜 
顔を隠して釜谷をすぎりゃ小安気もやく 皆谷地山(みなやじやま)よ
着いたところは 湯ノ川村よ さても恐ろし鮫川ござる 
お前砂森 わしゃ高森よ ついに見えたよ 函館の街
今夜の泊まりは 新川茶屋で 泊まる
東北

 

「津軽じょんから節」
ハアーお国自慢の じょんから節よ 
若衆唄って 主人の囃子 娘踊れば 稲穂もおどる
ハアーお山かけたよ いい山かけた
岩木山からよくよく 見たら 馴染窓コで お化粧の最中
ハアー津軽よいとこ お山が高く
水がきれいで 女がよくて 声が自慢のじょんから節よ
ハアー津軽よいとこ りんごで踊る
岩木お山は 男で飾る  

ハアーさぁさこれから読み上げまする 
  津軽浅瀬石じょんから節よ さてもあわれな落城のはなし
ハアー今は昔の七百年前
  南部行重城主となりて 伝えつたえて十代あまり
ハアー頃は慶長二年の春に
  大浦為信大軍率い 城主政保討死いたす
ハアー時に辻堂常椽和尚
  先祖代々位牌を背負い 高い崖から濁流めがけ
ハアーゃがて春過ぎ真夏となりて
  村の子供等水浴びすれば 砂の中からあわれな姿
ハアー村の人達手厚く葬り
  盆の供養をすました後は 昔しのんでじょんから節よ
ハァー春は城山りんごの花よ
  秋の田の面は黄金の波コ 村は繁昌て家内の笑顔
関東

 

「木崎節」 (「木崎音頭」)
蒲原郡柏崎在で 小名をもうせばあかざの村よ
雨が三年ひでりが四年 都合あわせて七年困窮
新発田さまへの年貢に迫り 姉を売ろうか妹を売ろか
姉ははジャンカで金にはならん 妹を売ろうと相談なさる
妹売るにはまだ年若し 年が若くば年期を長く
五年五ヶ月五五二十五両 売られ来たのが木崎の宿よ
売られてきたのはいといはせねど 顔も所も知らない方に
足をからむの手をさしこめの 
五尺体の五寸のなかでもくりもくりとされるがつらい・・・ 

木崎街道の三方の辻に
お立ちなされし色地蔵さまは
男通ればにっこり笑う
女通れば石とって投げる
(国は)越後蒲原ドス蒲原で
雨が三年、日照りが四年
出入り七年困窮となりて
新発田様へは御上納ができぬ
田地売ろかや子供を売ろか
田地は小作で手がつけられぬ
姉はジャンカ(不器量)で金にはならぬ
妹売ろとの御相談きまる
妾しゃ上州へ行ってくるほどに
さらばさらばよお父さんさらば
さらばさらばお母さんさらば
新潟女衒にお手々をひかれ
三国峠のあの山の中
雨はしょぼしょぼ雉るん鳥や啼くし
やっと着いたが木崎の宿よ
木崎宿にてその名も高き
青木女郎屋というその家で
五年五か月五二十五両
永の年季を一枚紙に
封じられたはくやしはないか
(越後口説)
アーエー木崎音頭を読み上げまする
越後蒲原郡柏崎在で 雨が三年日照が四年
都合合わせて七年困窮 新発田様への年貢に困り
娘売ろうか田地を売ろうか 田地は子作で手がつけられぬ
娘売ろうとの相談きまる 姉にしようか妹にしよううか
姉はじゃんかで金にはならぬ 妹売ろうとの相談きまる
五年五ヶ月五五二十五両で 明日は売られて行く身のつらさ
さらばととさん かかさんさらば さらば近所の皆さんたちよ
売られ売られて木崎の宿へ
音に聞こえた江州屋とて あまた女郎衆の数あるなかに
器量よければ皆客さんが われもわれもと名ざしてあがる
どこの野郎か知らない野郎に 毎夜毎夜の抱き寝のつらさ
つらさこらえて ごりょうがんかける
お願いかけますお地蔵さんへ このや地蔵さんの由来を問えば
木崎宿には名所がござる 上の町から読み上げまする
上の町にはお薬師様よ 中の町には金毘羅様よ 下の町には明神様よ
木崎街道の三本の辻に お立ちなされた色地蔵様は
男通れば石持って投げる 女通ればにこにこ笑う
年増通れば横むいてござる 娘通れば袖ひきなさる
これがやあ ほんとの色地蔵様か ヤーエー  
「木崎音頭」
(旧謡)
北に赤城峰南に利根よ ひかえおります木崎の宿よ
此のや街道の三方の辻に お立ちなされし石地蔵様は
男通れば石を取って投げる 女通ればにこにこ笑う
これがほんとの色地蔵様よ 色に迷って木崎の宿に
通う通うが度かさなれば 持った田地も皆売払い
娘売ろとの相談となる 姉を売ろうか妹を売ろか
姉はあばたで金にはならぬ 妹売ろとの相談きまる
売られ買われて木崎の宿は 仲の町なる内林様へ
五年五ヶ月五五二十五両 つとめする身はさてつらいもの
夜毎夜毎にまくらをかわし 今日は田島の主さん相手
明日はいずくの主さんなるや 返事悪けりゃあのばあさんが
こわい顔してまたきめつける 泣いてみたとて聞いてはくれず
客をだましてその身を売って 情けかけぬが商売上手
わたしゃ貧乏人の娘に生まれ かけし望みも皆水の泡
金が仇の此の世の中に 金がほしいよお金がほしや
二朱や三朱で抱寝をされて いやな務もみな親の為
上る段梯子もあの針の山  ・・・
金が仇のこの世の中よ 金が欲しいよお金が欲しい
二朱や三朱でだき寝をされて 歯くそだらけの口すいつけて
足をからめの手をさしこめと 組んだ腰をゆりうごかして
夢の心地に一人いる 上る段梯子は針の山 

ハアーエ御免こうむり読み上げまする 雨が三年日照りが四年
雨が三年日照りが四年 都合ききんが七年続き
田地売ろうか娘を売ろうか 田地は小作で売るこたてきぬ
田地は小作で売るこたできぬ 娘売ろうと相談かけりゃ
姉を売ろうか妹を売ろか 姉はあばたで金にはならぬ
姉はあばたで金にはならぬ 妹売ろとの相談きまる
売られ買われて木崎の宿の 仲の町なる内林さまへ
仲の町なる内林さま 五年年季で五五二十五両
つとめする身はさてつらいもの つとめする身はさてつらいもの
夜毎夜毎に枕をかわし 今日は田島の主さん相手
明日はいずくの主さんなるや 返事わるけりゃあのばあさんに
返事わるけりゃあのばあさんが こわい目をしてまたきめつける
泣いてみたとて聞いてはくれぬ 客をだましてお金を取って
客をだまして娘を取って 情けかけぬが商売上手
わたしゃ貧乏人の娘に生まれ かけし願いもみな水の泡
かけし望みもみな木の泡 金が仇の此の世の中に
金が欲しいやお金がほしや 二朱や三朱で抱き寝をされて
上るやー段梯子もあの針の山だーやー 

北に赤城峰 南に利根よ ひかえおります木崎の宿よ
此のや 街道の三方の辻に お立ちなされしお地蔵さまは
男 通れば石 とって投げる 女通れば ニッコと笑う
これが ホントの色地蔵さまよ
色に迷って木崎の宿に 通う通うが度重なれば
もった田地もみな売り払い 娘売ろとの相談となる
姉を売ろうか妹を売ろか 姉はあばたで金にはならぬ
妹売ろとの相談決まる
売られ買われて木崎の宿は 中の町なる内林様よ
五年五ヶ月五五二十五両 務めする身はさて辛いもの
夜毎夜毎に枕をかわし 今日は田島の主さん相手
明日はいずくの主さんなるや
返事悪けりゃあの婆さんが こわい顔してまたきめつける
泣いてみたとて聞いてはくれぬ 客をだましてその身を売って
情けかけぬが商売上手 わたしゃ貧乏人の娘に生まれ
かけし願いもみな水の泡
金が仇のこの世の中で 金が欲しいやお金が欲しや
二朱や三朱で抱き寝をされて いやな務めもみな親のため
上がるや〜段梯子もあの針の山だが〜や〜 
「口説き/国定忠治」
今度珍し侠客口説き 国を詳しく尋ねて聞けば
国は上州吾妻郡 音に聞こえし国定村よ
そのや村にて一二と言われ 地面屋敷も相応なもので
親は忠兵衛という百姓で 二番息子に忠次というて
力自慢で武術が好きで 人に勝れし剣術なれば
親は見限り是非ないことと 近所親類相談いたし
地頭役所へお願いなさる 殿の御威光で無宿となりて
近所近辺さまよい歩き ついに博徒の親分株よ
子分子方もその数知れず 一の子分は日光無宿
両刀遣いの円蔵というて 二番子分は甲州無宿
甲斐の丘とて日の出の男 それに続いて朝おき源五
またも名高き坂東安二 これが忠次の子分の中で
四天王とて呼ばれし男 頃は弘化の丙の午の
秋の頃より大小屋かけて 夜の昼のも分かちはなくて
博打渡世で月日を送る 余り悪事が増長ゆえに
今はお上のお耳に入りて 数多お手先その数知れじ
上意上意とその声高く 今は忠次も身も置き所
是非に及ばず覚悟を決めて 子分子方も同意の覚悟
鉄砲かついで長脇差で 種子島へと火縄をつけて
三ツ木山にて捕手に向かい 命限りの働きなどと
忠次付き添う女房のお町 後に続いて妾のお鶴
どれも劣らぬ力量なものよ 髪は下髪長刀持って
今を限りと戦うなれど 子分四五人召し取られては
今は忠次も早たまらじと 危うけれども覚悟を極め
越後信濃の山越えしよと いずくともなく逃げよとすれど
後に付き添う二人の女 命限りに逃げ行くほどに
今度忠次の逃げ行く先は 国はいずこと尋ねて聞けば
これも東国上州なれど 赤城山とて高山ござる
駒も通わぬ鶯谷の 野田の森にと篭りて住めば
またも役人不思議なことに 手先手先をお集めなされ
頭忠次を召し捕らえんと 最寄最寄へ番小屋かける
今は国定途方に暮れて 女房お町と妾に向かい
たとえお上へ召し捕らわれて 重い刑罰厭いはせぬが
残るこなたが不愍なままに さらばこれより国越えせんと
残る子分の二人を連れて 音に聞こえし大戸の関所
忍び忍びて信濃の国へ 忍び隠れて八年余り
鬼も欺く国定なれど 運のつきかや病気が出でて
今は是非なく故郷へ戻る 隣村にて五名井の村の
後家のお徳に看病頼む この家お徳の以前というは
日光道中玉村宿で 数多お客の勤めをすれど
忠次さんには恩あるゆえに たとえこの身は何なるとても
何ぞ病気を本復させて 元の体にひだててやろと
神や仏に願望かけて 雨の降る日も風吹く夜も
裸足参詣を致されまして 茶断ち塩断ち水垢離とって
一所懸命祈ったけれど 天の罰かやお上に知れて
御取り締まりのお手先衆は 上意上意の声かけられて
女房妾や忠次にお徳 それに続いて子分に名主
以上七人召し捕らわれて ついにこれらは軍鶏篭よ
支度できたで厳しく守り 花のお江戸へ差し立てられる
音に聞こえし国定忠次 江戸の役所でご詮議受けて
余り吟味が厳しいゆえに 殊に病気の最中なれば
是非に及ばず一つの悪事 これを白状致したゆえに
関所破りのその咎めやら 木曽の道中臼井のうちで
大戸ばんしの狼谷で 重いお仕置きかけられました
これを見る人聞く人さんよ 男女子供の戒めよ 
「八木節/国定忠治」
ハァーまたも出ました三角野郎が 四角四面の櫓の上で 
音頭取るとはお恐れながら 国の訛りや言葉の違い
お許しなさればオオイサネー 
さてもお聞きの皆様方へ チョイト一言読み上げまする 
お国自慢は数々あれど 義理と人情に命をかけて
今が世までもその名を残す 男忠治のその生い立ちを
 不弁ながらも読み上げまするが オオイサネー
国は上州佐位郡にて 音に聞こえた国定村の 
博徒忠治の生い立ちこそは 親の代には名主をつとめ
人に知られた大身なるが 大事息子が即ち忠冶 
蝶よ花よと育てるうちに
幼なけれども剣術柔 今はようやく十五の年で 
人に優れて目録以上 明けて十六春頃よりも
ちよっと博奕を張り始めから 今日も明日も明日も今日も 
日にち毎日博奕渡世
負ける事なく勝負に強く 勝って兜の大じめありと 
二十才あまりの売り出し男 背は六尺肉付き太く
器量骨柄万人優れ 男伊達にて真実の美男 
一の子分が三つ木の文蔵
鬼の喜助によめどの権太 それに続いて板割浅太 
これが忠治の子分の中で 四天王とは彼らのことよ
後に続いた数多の子分 子分小方を持ったと言えど 
人に情は慈悲善根の
感じ入ったる若親方は 今は日の出に魔がさしたるか 
二十五才の厄年なれば すべて万事に大事をとれど
丁度その頃無宿の頭 音に聞こえた島村勇 
彼と争うその始まりは
かすり場につき三度も四度も 恥をかいたが遺恨のもとで 
そこで忠治は小首をかしげ さらばこれから喧嘩の用意
いずれ頼むとつわ者ばかり 頃は午年七月二日 
鎖かたびら着込を着し
さらばこれから喧嘩の用意 いずれ頼むとつわ者揃い 
頃は午年七月二日 鎖かたびら着込を着し
手勢揃えて境の町で 様子窺う忍びの人数 
それと知らずに勇親方は
それと知らずに勇親方は 五人連れにて馴染みの茶屋で 
酒を注がせる銚子の口が もげて盃みじんに砕け
けちな事よと顔色変えて 虫が知らせかこの世の不思議 
酒手払ってお茶昼を出れば
酒手払ってお茶屋を出れぱ いつに変ったこの胸騒ぎ 
さても今宵は安心ならぬ 左右前後に守護する子分
道に目配ばせよく気を付けて 目釘しめして小山へかかる 
気性はげしき大親方は
気性はげしき大親方は およそ身の丈け六尺二寸 
音に聞こえし怪力無双 運のつきかや今宵のかぎり
あわれ命はもくずのこやし しかもその夜は雨しんしんと 
闇を幸い国定組は
今は忠治は大音声で 名乗り掛ければ勇親方は 
聞いてニッコリ健気な奴ら 命知らずの蛆虫めらと
互い互いに段平物を 抜いて目覚す剣の光り 
右で打ち込む左で受ける
秋の木の葉の飛び散る如く 上よ下よと戦う内に 
運のつきかや勇親方は 胸をつかれて急所の痛手
ひるむ所へつけ込む忠治 首をかっ切り勝鬨あげて 
しめたしめたの声諸共だが オオイサネー 
「継子三次」 (八木節)
ころは安政 元年成るが 国は武蔵で 秩父が郡
真門村にと 百姓いたし 元は良し有る 大百姓で
親の代から 零落いたし 田地田畑 みな売りつくし
今じゃ小作の ひょうをとりて 
送る月日も 貧苦にせまる 今年又候 北アメリカの
異国騒動 品川沖は 新規つきたけ 台場の普請
それを聞いたる 百姓の喜八 土をかついで お金をためて
それを土産に もどらんものと
支度ととのえ わが家を出でる あとは喜八が 後添おたく
継子三次と 明暮れ共に 惨く育てりゃ 横しま邪険
辛くあたれど 三次郎こそは 親に孝行素直 な生まれ
産みの親より 育ての親と
機嫌とりとり 後かたずけて 母の詰め置く 弁当もって
草紙かかえて 寺にと急ぐ 急ぐ間もなく 寺屋であれば
三次精出し 手習いしょうと 恥を書く子や 絵を書くこども
いろは書くのは 三次が一人
習い浅れど もう昼時よ 皆も弁当 三次も共に
弁当開いて 食べようとしたら 飯にたかった あまたの蝿が
ころりころりと 皆死に落ちる それと見るより お師匠さんは
三次その飯 しばらく待ちな
蝿が死ぬのは ただ事ならぬ 犬に食べさせ 試して見よと
犬はその飯 食うより早く 倒れ苦しみ 血へどを吐いて
すぐにその場に 命を捨てた さては三次の 毒弁当は
たしかおたくの 仕業であろうと
胸におさえて これ三次郎 今夜こちらへ 泊まってゆきな
言えば三次は ありがた涙 親の恥をば 話すじゃないが
家に残りし 妹達は 赤いべこ着て 毎日あそぶ
夜はおこたへ ねんねをしたり
おんぶされたり だっこをしたり お乳飲んだり 甘えるけれど
このや私は 打ちたたかれて 三度三度の 食事もみんな
母や妹が 食べたる残り 寒い寒中 雪降る日にも
やぶれひとえに 足袋さえはけず
わしの身体は これこの様に 顔や手足は ひびあかぎれよ
ほんに辛いよ 継母さんは なんで非道な 事するのかと
湯屋で評判 世間でうわさ 聞いて師匠は びっくり致し
それじゃなおさら 泊まっていきな
言えば三次は 涙をはらい 今夜泊まると あの母さんに
打たれたたかれ 責め苦がつらい 帰りますよと 師匠に別れ
家に帰れば 継母おたく 今日の弁当 食べたか三次
はい、と三次の 言葉はにごる
聞いて継母 角をばはやし 弁当食べたは まっかな嘘だ
誠いわなきゃ こうしてやると そばにあったる 薪振り上げて
力いっぱい 打ち伏せまする どうか堪忍 して下しゃんせ
実は弁当 食べようとしたら
それをみるより お師匠さんが ほかの弁当 食べさせました
泣いて詫びるを 耳にも入れず 土間にふせたる あの大釜よ
煮立つ湯玉は 焦熱地獄 三次身体に 荒縄かけて
中へ無残と 押し込みまする 
かかるところへ 三次の身をば 案じましたる 手習い師匠
家の三次は どうした事と 言えばおたくは 何くわぬ顔
家の三次は どうした事か 帰り道草 なまけていると
どうかお師匠 お叱りませと
言えば師匠は 不思議に思い あちらこちらを 見回したるに
土間にふせたる あの大釜よ これはいよいよ 怪しきものと
煙草つけんと いたせばおたく お火はこちらへ 取ります程に
言えど師匠は 耳にもいれず
おたく突きのけ あの大釜よ 蓋を取りのけ 仰天いたす
見るも無惨な この有様に すぐに師匠は 検視を願う
前に来たれば おたくはうしろ 裏の田んぼに 追い詰められて
憎いおたくは 張りつけ柱
七日七夜の あのさらしもの さって一座の 皆様方よ
継子もったる その人々の お気に召さぬか 知れないけれど
このや口説きは 何より手本 わが子継子の 隔てをせずに
育てたまえよ 皆さん方よ  
「五郎正宗」 (八木節)
国は相州 鎌倉おもて 雪の下にと 住居をなさる
刀かじやの 行光こそは 玄関かまえの建物造り
さても立派な かじやであれば 弟子は日増にふえ行くばかり
今日はお盆の 十六日で
盆の休みで 弟子達どもは ひまを貰って 我家に行けば
後に残るは五郎が一人 そこで行幸 五郎を呼んで
今日は幸い 皆んなが留守よ 是非に聞きたい そなたの身上
つつみかくさず 話しておくれ
言えば五郎は 目にもつ涙 聞いて下さい 親方様よ
家のはじを 話すじゃないが 国は京都の三条通り
宿屋家業で 暮らしていたが つもる災難 さて是非もない
火事のためにて 焼け出され
わしと母親 乞食も同じ 九尺二間の裏店ずまい
母は縫針 洗濯仕事 わたしゃ近所のお使いなどで
細い煙りで 暮らしてきたが ある日近所の使いの帰り
悪い子供が 大勢よって
五郎さんには 父親がない 父のない子は ててなし子じゃと
言われましたよ のう母様よ わしに父親 ある事なれば
どうか合わせ 下さるようと 泣いて頼めば 母親言うに
父は関東で 刀剣家じゃ
さほど会いたきゃ 会わせてやろと 家の道具は 皆売り払い
わずかばかりの 路用をもって なれぬ旅路は東をさして
下る道にて 箱根の山で 持ったお金はぞくにととられ
母は持病のさしこみが来て
手に手をつくした そのかいもなく 遂にはかない あの世の旅路
母がいまわに この短刀を 父のかたみと私にくれた
母に別れてどうしょうぞいと 西も東も 分らぬ故に
死がい取りつき なげいていたら
通りかかった 桶やの爺が わしを助けて 下さいました
恩は決して 忘れはしない 父に逢いたい 桶屋をやめて
刀かじやに なりましたのじゃ 訳と言うのは こう言う訳よ
聞いて行先 不思議に思い
五郎もつたる 短刀とりて なかみあらため びっくりいたす
五郎引き寄せ 顔打ちながら さては我子で あったか五郎
親はなくとも 子供は育つ そちの尋ねる 父親こそは
わしじゃ藤六 行光なるぞ
思いがけない 親子のなのり 様子立聞くまま母お秋
障子おしあけ とびこみきたり やいのやいのと 胸なぐらとれば
これさ待たれよ これこれ女房 われの云う事 よく聞きゃしゃんせ
実はしかじか こう云うわけと
一部始終の 話しをすれば その日そのまま すんだるけれど
思い出して お秋のやつが じゃまになるのは 五郎が一人
今にどうする 覚えて居れと くやしくやしが 病気となって
日増し日増しに病気はつのる
軽くなるのは 三度の食事 そこで五郎は心配いたし
生みの親より 育ての親と 子供ながらも 利口のもので
親の病気をなおさんために 夜の夜中に 人目を忍び
そっとぬけ出て 井戸にと行けば
二十一日 願かけいたす 或る夜お秋が かわやに起きて
手水つかおと 雨戸を開けりゃ いつの間にやら 降り積む雪に
風がもてくる 水あびる音 何んの音かと すかして見れば
水をあびるは 孝子の五郎
寒さこらえて あの雪の上 上に座って 両手合わせ
京都伏見の お稲荷様よ 母の病気を治しておくれ
もしも病気が 治らぬなれば 五郎命を 差し上げまする
どうか治して 下さいませと
井戸のつるべに しっかとすがり またも汲み上げ ざぶんとあびる
様子見て居た まま母お秋 胸に一もつ その夜は休む
朝は早くも 起きたる五郎 母の居間にと あいさつ行けば
母のお秋は ふとんにもたれ
いつに変った 猫なで声で そこは寒いよ こっちへお出で
ハイと寄り来る 五郎のたぶさ たぶさつかんで 手元によせて
夕べお前は 何していたの 雪の降るのに 水などあびて
にくいまま母 神にと祈り
祈り殺すか ありゃおそろしや 鬼か天魔か 親不幸者め
枕振り上げ 打たんとすれば 五郎はその手にしっかりすがり
それは母さん 了見違い どうかゆるして 下さいませと
ないてわびるも 耳にも入れず
そばにあったる 煎薬土びん 五郎目がけて なげつけまする
額あたって 流れる血しお わっとなき出す その声聞いて
弟子はその場に かけ込みきたり 五郎助けて 別間に行けば
これを見て居た 行光こそは
おのれにっくい お秋の奴め いまにどうする覚えておれと
思いましたが いやまてしばし 彼のためにて 日本一の
刀かじにと なったるなれば 心落ちつけ 胸なでおろし
そっと五郎を蔭にと呼んで
さぞやつらかろ がまんをしたよ
家の後とりゃ お前であると 父のやさしい 言葉を聞いて
なおも続けて 願かけ通す 五郎一心 神にと通じ
お秋病気も 全快いたす されどこの後 どうなりますか
後の機会に伺いまする  
「乃木将軍と辻占売り」 (八木節)
明治三十七・八年の 日露戦争 開戦以来
苦戦悪戦 致されまして 我が子二人が 戦死をすれど
倦まずたゆまず 奮闘致し 遂に落城 致されまして
御旗旅順に ひるがえされた 
群の指揮官 乃木将軍は 戦死なされた 我が兵卒の
遺族訪問 致されまして 謝罪なされた その一席は
時は二月の 如月月よ 氏の育ちの 乃木将軍は
何処へ行くにも質素な支度
今日は穏やか 散歩をしよと 我が家出掛けて 梅林にて
そこにゃ立派な 売店ありて 腰を下ろして 眺めを致す
梅の香りは また格別と 日ごろたいしなむ 俳諧などで
遂に夜更けて 十一時頃
通りかかった 両国橋の 水の面に 月ありありと
波に揺られる その風景に 寒さ忘れて 佇むおりに
二人連れなる 辻占売りが 破れ袷を 身にまとわれて
赤い提灯 片手に下げて
弟手を引き 寒げな声で 恋の辻占 あの早わかり
買ってください 皆様方と 客を呼ぶ声 さも愛らしや
なぜか今夜は 少しも売れぬ 兄は一人で 心配いたし
そんな事とは 弟知らず
これさ兄ちゃん 寒くてならぬ 早く帰って 母ちゃんのそばで
抱っこ致して ねんねがしたい それを聞くより 兄 伝太郎は
涙声して 弟に向かい 兄の言うこと よく聞かしゃんせ
今宵持ったる この辻占は
売っていかなきゃ お米が買えぬ それに婆やの 薬も買えぬ
さぞや辛かろ 我慢をしなと 兄は弟 いたわりながら
涙声して 客呼ぶ声に 乃木は近寄り 子供に向かい
お前兄弟 いずこの者で
歳はいくつで 名は何と言う 言えば子供は 涙を拭いて
聞いてください のうおじちゃんよ 訳を言わなきゃ 理が判らない
私しゃ十二で 弟五つ 林 伝太郎 弟勇夫
父は伝吉 母親お里
それに一人の 老婆がありて 一家五人で 仲むつまじく
蝶よ花よと 暮らしていたが 父が戦争に 行かれた後は
今だ一度も 便りがないよ どうか様子が 聞きたいものと
思う折から お役場よりも
林伝吉 名誉の戦死 これ聞くより 私の婆は
力落として 病気となりて 熱に浮かされ うわごとばかり
そこで母さん 途方に暮れて 日にち毎日 ただ泣くばかり
私しゃこうして 辻占売りで
学校休んで 近所の人の 使い致して 僅かな銭を
あちらこちらで 恵んでもらい 聞いて将軍 びっくり致し
わしは乃木じゃが お前の家に 用があるから 同伴いたせ
言えば子供は 涙をぬぐい
勇、行こうと 弟連れて 急ぎ来たのが 浅草田町
九尺二間の裏店住まい 家は曲がって 瓦は落ちて
月はさし込み 風吹き通す 見るも哀れな 生活なれば
お待ちください 雨戸をあけて
坊は只今 帰られました 聞いて母親 ニッコと笑い
そこで子供の申する事に 何の御用か 知らないけれど
乃木の将軍 参られました 言えば母親 ビックリ致す
奥で寝ていた 老婆が聞いて
乃木と聞いては 恨めしそうに 床の中から はい出しながら
可愛い倅を 殺した乃木に たとえ恨みの一言なりと
言ってやろうと 座を改めて 婆やごめんと 腰うちつけて
どういう訳にて かたきとなるか
人に話して 良い事ならば 一部始終を 聞かせておくれ
言えば老婆は 涙に暮れて 聞いてください 私の話
わしは一人の 倅があれて 徴兵検査に 合格いたし
しかも陸軍 歩兵となりて
満期除隊も めでたく済んで 嫁をもらって 二人の仲に
可愛い子供が 二人となりて 嬉し喜び 僅かな間
日露戦争に 参加を致し 旅順港なる 苦戦にあって
決死隊にと 志願を致し
恐れ多くも 御国のために 死する命は 惜しまぬけれど
後に残った 二人の孫が 父のない子と 遊んでくれぬ
わしはよいけど 二人が不憫 こんな時には 倅がいたら
こんな苦労は させまいものと
金鵄勲章 二人で抱いて ワッと泣き出す そのありさまを
そばで見ている 私は辛い 胸に釘をば 打たれる思い
どうかお察し 下さいませと 聞いて将軍 涙をぬぐい
何も言うまい これこの通り
片手拝みの 懐中よりも 紙に包んだ 僅かな金す
これは本当の 香典代わり 可愛い倅に 手向けておくれ
あげて将軍 我が家へ帰るが オーイサネー 
中部

 

「小代神」(しょうだいじん) (富山)
聞いてサーエ やりたい子守の口説き
一つ他人より早よ起きにゃならぬ  二つ双生児の子守にゃ困る  三つ見ん間に池やせんちゃ(雪隠)囲炉裡の壷や湯鍋や石垣 危い所へ這うて行くにゃ困る  四つ夜なべに椀皿洗いや 素風呂の火とり雑仕せにゃならぬ  五つ何時もかも 食いさし残りや こぼいた飯拾うて食わにゃならぬ  六つ無理を言わずに 気長にかって歌でもうとたり 何でも喋ってだましてすかしてなだめにゃならぬ  七つ泣き声一つで腹が減ったか お腹が痛いか 虫が刺したか おしめが濡れたか 眠たて泣くのか聞き分けにゃならぬ  八つ痩せた子 おとみ子 いがんで泣いたり甘えて駄々こね やんちゃまくのに困る  九つ氷の寒中おしめ洗いや つづれのバットコ洗い干しに困る  十はとても辛抱は難しゅうござる 生まれ里へ返ろうと思う サーエ  
「古代神」 (富山) 
おらあがさーはあよー
おいやい
これからこれわい
なにごーと
え何用とさてたずねりや
春の角川 布子の谷じゃ
山がかすめば 山菜摘みよ
遠い歴史の 金山跡に
流れ止めた さてダムの水
山の肌さえ 素敵じゃないか
影すあの娘の 目許が可愛い
えさてこれから
これさなーあにごと
はいとさあはよーい
(はやし)
ジャントコイ ジャントコイ
はりやその勢では これわい
どうとこへんなは
(はやし)
ハ、アンリヤハイトサーハ
ヨイヤコノショイ
おらあがさーはあよー
おいやい
これからこれわい
なにごーと
え何用とさてたずねりや
夏の潮風 水族館に
魚津市の花 鹿乃子の百合よ
十二なる里 心をつなぎ
魚津まつりの 蝶六踊り
夏の夜空に 流れる音頭
君もあなたも お囃子たのむ
えさてこれから
これさなーあにごと
はいとさあはよーい
(はやし)
ジャントコイ ジャントコイ
はりやその勢では
これわいどうとこへんなは
(はやし)
ハ、アンリヤハイトサーハ
コイセコノショイ
(ちょんがら)
やーれやれ、やーれやれ
一座の皆様方よ
秋の味覚は 魚津のりんご
早く開けた 天神遺跡
お湯は金太郎 北山薬師
五穀豊饒 稲穂の実り
恵みふくらむ 魚津の里よ
お国自慢は 蝶六踊り
(はやし)
ハ、ヨイトコヨイトコ
はりやその勢では これわ
いどうとこへんなは
(はやし)
ハ、アンリヤハイトサーハ
ヨイヤコノショイ
おらあがさーはあよーおいやい
これからこれわいなにごーと
え何用とさてたずねりや
冬の僧ヶ岳 僧眠らせて
魚津港よ 経田漁港
海に乗り出す さて男伊達
開け文化も 世界に伸びよ
せり込み蝶六 みな出て踊れ
踊るゆかしさ 香りを添える
えさてこれから
これさ なーあにごと
はいとさあはよーい
(はやし)
ジャントコイ ジャントコイ
(後唄)
はい目出度 めええでええたあ
ああーああの
あの若の松さあああまああーあよーい
枝も栄える 葉もしいげええるーい
(はやし)
ソリヤ 目出度い踊りじゃ
イヤサカ サッサ
「古代神」 (富山五箇山)
私のサーヱ、殿マはほめるじゃないが、木工木挽や桶屋もなさる
人が頼めば左官もなさる 人の頼まぬヱサシがすきで
ヱサシでるときゃ衣裳からちがう 紺の股引ビロードのきゃはん
浅黄こうかけ切り緒の草鞋 腰にモチ箱手に竿を持って
向うの小山に登りて見れば 松の小枝に小鳥が一羽
小鳥めがけて竿さし出せば 竿は短かし中次ぎもたず
鳥の方から申すようには あなたヱサシか私はむづのとる鳥
ご縁あるなら次にきて さしやれサーエ
「小代神」 (富山五箇山)
船のサーヱ 船頭さんに木綿三反もろた
私が着ようか殿マに着せうか 殿マ着る時は染めねばならぬ
白く染めれば兎のようなる 黒く染めれば鳥の様なる
何に染めよと紺屋のおやじに問えば
紺屋のおやじの思いつきいやる
一に朝顔、二に杜若、三に下り藤、四に獅子牡丹
五ツ伊山の千本桜、六ツ紫桔梗に染めて
七ツ南天花 八ツ八重桜、
九ツ小梅に小散しつけて、
十オ殿マにこれをぬうて着せうかサーヱ 
「麦わら節」
「江尾こだいぢ踊り」 (鳥取県)
いつも七月盆ならよかろ 踊りするとて殿に会う
月といっしょに出るときゃ出たが 月は山端に妾しゃここに
去年おとどしゃ踊りもしたが ことしゃお墓で灯をともす  
 
「牛深ハイヤ節」

 

「牛深ハイヤ節」

(ハ ヨイサヨイサ) (サーサヨイヨイ)
ハイヤエーハイヤ ハイヤで今朝出した船はエー どこの港に 
サーマ 入れたやらエー
エーサ 牛深三度行きゃ三度裸 鍋釜売っても酒盛りゃしてこい 
戻りにゃ本土瀬戸徒歩(かち)わたり
   ハイヤエー来たかと 思えばまだ南風(はえ)の風ヨー 風さえ恋路の 
   サーマ 邪魔をするエー
   エーサ 黒島沖からやって来た 新造か白帆か白鷺か 
   よくよく見たればわが夫(つま)さまだい
ハイヤエーハイヤ ハイヤで半年ゃ暮らすエー 後の半年ゃ 
サーマ 寝て暮らすエー
エーサ どっから来たかい薩摩から 
碇も持たずによう来た様だい
   ハイヤエーとっちゃ投げ とっちゃ投げ三十四五投げたエー 投げた枕にゃ 
   サーマ 罪(とが)はないエー
   エーサ 権現山から後ろ飛びゃするとも 
   お前さんに暇状(ひまじょう)はやいもせんが取いもせん
ハイヤエー船は 出ていく帆掛けて走るエー 茶屋の娘が 
サーマ 出て招くエー
エーサ おーさやったとん届いたかい 
届いて煮て吸って舌焼いたサイサイ
   ハイヤエー沖の 瀬の瀬にドンと打つ波はエー 可愛い船頭さんの 
   サーマ 度胸さだめヨー
   エーサ 段々畑のさや豆は ひとさや走ればみな走る 
   私ゃお前さんについて走る
ハイヤエーたんと 売れても売れない日でもエー 同じ調子の 
サーマ 風車エー
エーサ 魚貫万匹 茂串鯖 宮崎鰹ん骨横ぐわえ 
加世浦きんなご逆すごき 天附渡れば室鯵(むん)の魚 三匹(ごん)なめたらどっとした
   ハイヤエー瀬戸や 松島つけずにすぐにヨー 早く牛深に 
   サーマ 入れてくれヨー
   エーサ そこ行くねーちゃん汚れが伊達かい 汚れちゃおってもかんざしゃ銀だよ 
   銀のかんざし買うたか貰うたか 貰ちゃおっても買うたと言う
ハイヤエー鯛に 鰹に 鰺 鯖 鰯エー 鰤に万匹(まんびき) 
サーマ 鱶(ふか)の山エー
エーサ 牛深よいとこ一度はお出で 
人情豊かな港町
   ハイヤエーまつよ まつよで黒島の松エー 上り下りの 
   サーマ 手掛け松エー
   エーサ そろばん枕で考えた 
   一桁違えば大きな損だよ
ハイヤエーハイヤ ハンヤはどこでもあるがエー 牛深ハイヤが 
サーマ 元ハイヤエー
エーサ 川端石だい起こせば蟹(がね)だい 
蟹の生焼きゃ食傷のもとだい 食傷蟹なら色なし蟹だい
(ハ押せ ハ押せ ハ押せ押せ押せ押せ 押さねばのぼらぬ 牛深瀬戸じゃ)  
東北

 

「津軽あいや節」 (青森)
アイーヤーアーナー
アイヤ雨にうたせず 風にもあてず 育てあげたる それもよいや  一つ花
アイヤ今宵(こよい)めでたい 花嫁姿 親も見とれて それもよいや うれし泣き
アイヤ歌が流れる お国の歌が よされじょんがる それもよいや アイヤ節    
アイヤ破れ障子に 鶯書いて さむさこらえて それもよいや 春を待つ 
「津軽おはら節」 (青森)
お山晴れたよ 朝霧晴れた 裾の桔梗も 花盛り 谷の向こうで まぐさ刈り

(サァーハァサァー ダシタガーハァヨイヤー)
ハァー春は桜の 弘前城 夏は緑の岩木山
秋は十和田の 紅葉狩り 冬は大鰐 湯の香り
   ハァー津軽富士の そよ風に 岩木の川の せせらぎに
   恵み豊かな 山川の 情けに育つ 津軽唄
ハァー唄のひと節 三味の音に のせて女の 心意気
思いかよわす 小原節 津軽よいとこ オハラ 唄どころ

サ アーアア サア出したがよいやー
アー津軽名物あの七不思議 世にも珍し不思議なことよ 
西海岸は北金ヶ沢 ここの銘木銀杏の幹は
幾星霜の今の世に 神の御授けお乳が出るよ 
同じ郡の十三村は 夏冬通して雪囲い
雨が降っても草履はく 北の郡は金木町 
嘉瀬と金木の間の川コ小石流れて木の葉が沈む
ここの隣りの長富堤 春秋変わらぬ浮島ござる 
葦に節なし黄金葦 一度来てみよオハラ四方の君
「津軽塩釜甚句」 (青森)
蒸気ァ出ていく 煙は残る
残る煙は オワラ 癩のたね ハー オワラナ オワラナト
   裸島さえ 潮風ァいやだ
   まして茂浦は オワラ 潮煙 ハー オワラナ オワラナト
野内ざる石 あわびのでどこ
お湯の浅虫 オワラ 貝ばかり ハー オワラナ オワラナト
   塩釜たてた なんというてたてた
   釜さ水汲んで 牛さ柴つけた ハー オワラナ オワラナト
茂浦よいとこ 来てみりゃわかる
前は茂浦島 オワラ 狐島 ハー オワラナ オワラナト
「南部あいや節」 (青森)
アイヤー あいの山にはお杉とお玉 お杉三味ひくヤレハア玉踊る
アイヤー 鮎は瀬に着く鳥ゃ木に止まる 私や貴方のヤレハァ目に止まる
アイヤー あいはもやくや煙草の煙 次第次第にヤレハァ薄くなる
アイヤー 長く咲く花胡桃の花よ 末を案じてヤレハァ丸くなる
アイヤー 竹の切り口シコタンコタンと なみなみたっぷり溜まりし水は
飲めば甘露のヤレハァ味がする
アイヤー 竹に雀が あちらの山からこちらの山へと
チュンチュンパタパタ 小羽をそろえて
仲良く止まるヤレ 私や貴方のヤレハァ気に止まる
「南部甚句」 (「八戸甚句」「塩釜」「浜の町」)    ←「塩釜甚句」 
春の初めに ハァ〆縄張りて 折り目節目に ハァーサー金がなる
鮫で飲む茶は ハァ渋茶も甘い 鮫は水がら ハァーサー心がら
浜の松から ハァ塩釜見れば  お客もてなす ハァーサー茶屋のかがぁ
鮫の蕪島 ハァ回れや一里  鴎くるくる ハァーサー日が暮れる
新地裏町 ハァ夜明けに通れば 太鼓つづみで ハァーサー夜が明ける
寄せてくだんせ ハァ戻りの節は 一夜なれども ハァーサー鮫浦へ

浜の町から塩釜見れば お客もてなす茶屋のかが
門に立てたる祝の松は かかる白雲皆黄金
さーさ出た出た三日月様よ 暮にちらりと見たばかり
小夜の中山日暮れに通れば 霧のかからぬ山はない
新地袈町夜明けに通れば 太鼓つづみで夜が明ける
沖の鴎が嫁とる時は いわし姶にさばのすし
花の八戸十和田の紅葉 鮫でかぶ島かもめ飛ぶ
「白銀ころばし」 (「南部甚句」)    ←「塩釜甚句」 
おばばどごさ行げァ二升樽下げで 嫁の在所に孫抱ぎに 
来たがちょーさん待ってだね
おらも行きたいあの山こえて 娘ァ来たかといわれたい
鮫で呑む茶は渋茶もうまい 鮫は水柄所がら
鮫の蕪島まわれば一旦 鴎しぶしぶ日が暮れる
白銀そだちで色こそ黒い 味は大和のつるし柿
島の鴎さ嫁取る時は いわし胎にさばのすし
「南部あいや節」 (岩手)
アイヤー あいの山にはお杉とお玉 お杉三味ひくヤレハア玉踊る
アイヤー 鮎は瀬に着く鳥ゃ木に止まる 私や貴方のヤレハァ目に止まる
アイヤー あいはもやくや煙草の煙 次第次第にヤレハァ薄くなる
アイヤー 長く咲く花胡桃の花よ 末を案じてヤレハァ丸くなる
アイヤー 竹の切り口シコタンコタンと なみなみたっぷり溜まりし水は
飲めば甘露のヤレハァ味がする
アイヤー 竹に雀が  あちらの山からこちらの山へと
チュンチュンパタパタ 小羽をそろえて
仲良く止まるヤレ 私や貴方のヤレハァ気に止まる  
「南部茶屋節」 (岩手)
(チョイサッサコラサッサ〜)
ハァ目出度目出度の この家の座敷 (チョイサッサコラサッサ)
茶屋節しょて来る 鶴と亀 (チョイサッサコラサッサ〜)
ハァ声はすれども 姿は見えぬ 藪に鶯 声ばかり
踊れ踊れと 茶屋節せめる 踊りゃ出ぬので 汗が出る
目出度目出度の 若松よりも 盛るお山の 黄金花
唄も出来たし 踊りも出来た 狭いお庭も 広くなる  
「鹿角アイヤ節」 (秋田)
アエーヤアサエー 
鮎は瀬につく 鳥ァ木に止まる 人は情けのサエー 下に住む
情けないのは 煙草の煙 次第次第に薄くなる
あえや能代の 川真中で アヤメ咲くとは しおらしや
あの娘見染めた 去年の四月 これも桜の 花見どき
酒は好いもの 気が勇むもの 飲んだ心が 富士の山
「あいやぶし」 (花輪町踊り・鹿角)
あいや 花輪の川まんなかに アヤメ咲くとは しおらしや
鮎は瀬につく 鳥ァ木の枝に 人は情けの下に住む
あいやそれ 枕がかわる かわる枕に とがはない
「大正寺おけさ」 (秋田)
「庄内節」「庄内ハエヤ節」 (山形)
ハァ〜想って通いば千里も一里 逢わずに帰いればただの一里も又千里
眉毛(マユゲ)おとして鉄漿(オハグロ)染て 主と苦労がして見たい
辛抱してくれ今しばらくは 長く白歯にしておかぬ
恋に焦(コガレ)て鳴く蝉(セミ)よりも 泣かぬホタルが身を焦がす
きみは鳴いても暮れ六つばかり 唄うかわいや夜明けまで
泣いたからとて許すな心 きみは泣き泣き気をうつす 
「塩釜甚句」 (宮城)
(ア ハットセ)
塩釜(ア ハットセ) 街道(かいど)に 白菊植えて(ア ハットセ)
 何を聞く聞く アリャ 便り聞く (ハッ ハッ ハットセ)
千賀の浦風 身にしみじみと 語り合(お)う夜の 友千鳥
千賀の浦風 片帆に受けりゃ 可愛いかもめが 後や先
末の松山 末かけまくも 神の始めし 海の幸
塩釜西町 鳴いて通る烏 銭も持たずに 買お買おと
さぁさやっこらさと 乗り出す船は 命帆を上げ 波枕
塩釜出る時ゃ 大手振(おおてんぶり)よ 奏社の宮から 胸勘定
塩釜港に 錨はいらぬ 三味や太鼓で 船つなぐ
押せや押せ押せ 塩釜までも 押せば雄島が近くなる
「嵯峨立甚句」 (宮城)
うたいなされや 声はり上げて(チョイサ)
うたは仕事のホンニ はずみもの (チョイ 〜 チョイサ)
   昔なじみと つまづく石は
   にくいながらも 振りかえる
金のなる木は 無いとはうそよ
辛棒する木に 金が成る
   音に聞えた 嵯峨立薪(まき)は
   広い世間で ままとなる
「笠野浜甚句」 (宮城)
笠を忘れた 笠野の茶屋で (ハートセ)
雨の降るたび コリャ思い出す
 (ハートセ ハートセ)
可愛い笠野に 天皇様なけりゃ 土用の六月 コリャ誰稼ぐ
ござれ六月 笠野の浜に 来てみりゃ帰りが コリャ嫌になる
赤い帯締め 浜辺の子供 千鳥啼く音に コリャ昼寝する  
「坂元おけさ」 (宮城)
関東

 

「潮来甚句」 (茨城)
揃うた揃うたよ 足拍子手拍子(アラヨイヨイサー) 秋の出穂より ヤレよく揃うた
潮来出島の 真菰の中に あやめ咲くとは ヤレしおらしや
潮来出島の ざんざら真菰 誰が刈るやら ヤレ薄くなる
私ゃ潮来の あやめの花よ 咲いて気をもむ ヤレ主の胸
ここは加藤洲 十二の橋よ 行こか戻ろか ヤレ思案橋
潮来出てから 牛堀までは 雨も降らぬに ヤレ袖しぼる
姐さどこ行く サッパ舟漕いで 潮来一丁目に ヤレ紅買いに
からりからりと 細棹さして 島の姐らは ヤレ会いに来る
出島よいとこ 真菰のかげに 紅い襷が ヤレひらひらと
潮来出島の 十二の橋を 往きつ戻りつ ヤレ夜が明ける
泣いて別れた 出島の田圃 風に真菰が ヤレさらさらと
筑波颪を 片帆にかけて 潮来出島へ ヤレひと走り
潮来崩しと 頭で知れる 藁で束ねた ヤレ投げ島田
どうせやるなら 大きな事おやり 奈良の大仏 ヤレ蟻が引く
潮来姐やの 投げ盃は 親の意見じゃ ヤレ止められぬ
中部

 

「佐渡おけさ」 (相川おけさ・選鉱場おけさ) (新潟)
ハアー 佐渡へ (ハ アリャサ)  佐渡へと草木もなびくヨ (ハ アリャアリャアリャサ)
 佐渡は居よいか 住みよいか (ハ アリャサ サッサ)
佐渡へ 八里のさざ波こえてヨ 鐘が開える 寺泊
雪の 新潟吹雪にくれてヨ 佐渡は寢たかよ 灯も見えぬ
佐渡へ 来てみよ 夏冬なしにヨ 山にゃ黄金の 花が咲く
來いと ゆたとて行かりよか佐渡へヨ 佐渡は四十九里 波の上
波の 上でもござるならござれヨ 船にゃ櫓もある 櫂もある
佐渡の 金北山はお洒落な山だヨ いつも加茂湖で 水鏡
霞む 相川夕日に染めてヨ 波の綾織る 春日崎
夏の 相川夕焼け雲にヨ 金波銀波の 春日崎
真野の 御陵(みささぎ)松風冴えてヨ 袖に涙の 村時雨
おけさ 踊りについうかうかとヨ 月も踊るよ 佐渡の夏
おけさ 踊るなら板の間で踊れヨ 板の響きで 三味いらぬ
佐渡と 越後は竿さしや届くヨ 橋をかけたや 船橋を
佐渡と 柏崎ゃ竿差しゃ届くよヨ 何故に届かぬ 我が思い
佐渡の 三崎の四所御所櫻ヨ 枝は越後に 葉は佐渡に
佐渡の 土産は数々あれどヨ おけさばかりは 荷にゃならぬ
月は 傾く東は白むヨ おけさ連中は ちらほらと
おけさ 正直なら傍にも寢しよがヨ おけさ猫の性で じやれたがる
来いちゃ 来いちゃで二度だまされたヨ またも来いちゃで だますのか
来いちゃ 来いちゃでおけさは招くヨ 佐渡は踊りに 唄の国
佐渡の おけさかおけさの佐渡かヨ 渡る船さえ おけさ丸
居よい 住みよい噂の佐渡へヨ 連れて行く気は ないものか
度胸 定めて乗り出すからはヨ 後へ返さぬ 帆かけ船
山が 掘れたら黄金が出るにヨ 主に惚れたら 何が出る
泣いて くれるな都が恋しヨ 啼くな八幡の ほととぎす
花に 誘われ雲雀にゃ呼ばれヨ 今日も出て行く 春の山
明日は お発ちかお名残惜しやヨ せめて波風穏やかに
島の 乙女の黒髪恋しヨ またも行きたや 花の佐渡
おけさ 連中と名を立てられてヨ おけさやめても 名は残る
沖の 漁り火涼しく更けてヨ 夢を見るよな 佐渡ケ島
沖の(遠い) 漁り火夜になく鴎ヨ 波は静かに 更けていく
二見 夕焼け三崎は霞むヨ 真野の入り江に 立つ鴎
小木は 間で持つ相川山でヨ 夷(えびす)港は 漁で持つ
あなた 百までわしゃ九十九までヨ 共に白髪の 生えるまで
咲いた 桜になぜ駒繋ぐヨ 駒が勇めば 花が散る
佐渡で 唄えば越後ではやすヨ 踊る鴎は 波の上
海じゃ 漁する鉱山じゃあてるヨ 佐渡は住みよい 暮らしよい
佐渡の おけさと日蓮様はヨ 今じゃ知らない 人はない
仇し 仇波寄せては返すヨ 寄せて返して また寄せる
仇し 情けをたもとに包みヨ 愛はゆるがぬ 襷がけ
浅黄 手拭鯉の滝登りヨ どこの紺屋で 染めたやら
三味や 太鼓で忘れるようなヨ 浅い思案の わしじゃない
浅い 川なら膝までまくるヨ 深くなるほど 帯をとく
押せや 押せ押せ船頭も舵子もヨ 押せば港が 近くなる
お国 恋しや海山千里ヨ みんなご無事か 佐渡島
追えば 追うほどまた来る雀ヨ 引けば鳴子の 綱が鳴く
矢島 経島小舟で漕げばヨ 波にチラチラ 御所桜
待つに 甲斐ない今宵の雨はヨ 家におれども 袖濡らす
嫌な お客の座敷を離れヨ 丸い月見る 主のそば
思い 出すなと言うて別れたに 思い出すよな ことばかり
恋に 焦がれて鳴く蝉よりもヨ 鳴かぬ蛍に 身を焦がす
浪に 浮島浮名は立てどヨ 恋に沈んだ 音羽池
伊勢は 朝日よ佐渡では夕日ヨ 海の二股 またがやく
西行 法師は山見て勇むヨ わたしゃ主見て 気が勇む
酒の 相手に遊びの相手ヨ 苦労しとげて 茶の相手
花か 蝶々か蝶々が花かヨ 来てはチラホラ迷わせる
水も 漏らさぬ二人の仲をヨ どうして浮名が 漏れたやら
泣くな 嘆くな今別れてもヨ 死ぬる身じゃなし また会える
固い ようでも油断はならぬヨ 解けて流るる 雪だるま
遠く 離れて逢いたいときはヨ 月が鏡に なればよい
望み ある身は谷間の清水ヨ しばし木の葉の 下くぐる
咲いた 花なら散らねばならぬヨ 恨むまいぞえ 小夜嵐
花も 実もない枯木の枝にヨ 止まる鳥こそ 真の鳥
佐渡の 海府は夏よいところヨ 冬は四海の 波が立つ
佐渡の 二見の二股見やれヨ 伊勢も及ばぬ この景色
梅の 匂いを桜にこめてヨ しだれ柳に 咲かせたい
新潟 名物朝市見やれヨ 一にイチジク 二に人参ヨ 三にサンド豆 四にシイタケ
五にゴボウで 六大根 七つ南蛮売りナス売り菜売り 八つ山の芋 九に栗クワイ
十でとうなすカボチャが売り切れた
来いと 云うたとて ちょっこらちょいと隣の酒屋へ徳利持って
1合や2合の酒買いに行くよなわけには 行かりょか佐渡はヨ 佐渡は四十九里波の上
(ぞめき)
(ざわめくの意味で テンポを速めて 賑やかさを出して唄う 歌詞は佐渡おけさと同じ)
北は 北は 大佐渡 南は小佐渡ヨ 間(あい)の国仲 米どころ
行こか 行こか 佐渡が島歸ろか越後ヨ 中に冴えたる 秋の月
泣いて 泣いて くれるな出船の時はヨ 綱も碇も 手につかぬ
「選鉱場おけさ」
ハー 朝もナー (ハ アリャサ)早よから 
カンテラ下げてナーヨ (ハ アリャアリャアリャサ)
 高任(たかとう)通いの 程のよさ (ハ アリャサ サッサ)
鶴がナー 舞います高任(たかとう)[ 鶴子(つるし)]の山にナーヨ お山繁昌と舞い遊ぶ
嫁もナー 姑も手をうち鳴らしナーヨ 五十三里を 輪に踊る
燕ナー 可愛や千里の海をナーヨ 恋いの翼で 飛んでくる
ピントナー 心に錠前掛けてナーヨ 合い鍵や互いの 胸に置く
佐渡のナー 金山この世の地獄ナーヨ 登る梯子が 針の山 
「加賀ハイヤ節」 (石川)
ハイヤかわいや 今朝出た船はよ  アラヨイアラヨイ
どこの港へソーレ 着いたらよ  アラヨイアラヨイ
ここのかか様 朝起きゃ早いよ 表ひらいてソーレ 福を呼ぶよ
来いと言伝て その行く夜さはよ 足のかるさはソーレ いつもよりよ
三味や太鼓で 忘れるようなよ 浅い惚れよはソーレ せんがいよいよ
「越中おわら節」 (富山)
歌われよーわしゃ囃す
八尾よいとこ おわらの本場 キタサノサードッコイサノサ
二百十日を オワラ 出て踊る
来たる春風 氷が解ける うれしや気ままに 開く梅
私ゃあなたに あげたいものは 金の成る木と 卵酒
虎は千里の藪さえ越すに 障子一重が ままならぬ
仇や愚かで 添われるならば 神にご苦労は かけやせぬ
恋の病も なおしてくれる 粋な富山の 薬売り
そっと打たんせ 踊りの太鼓 米の成る木の 花が散る
見たさ逢いたさ 思いが募る 恋の八尾は 雪の中
狭いようでも 広いは袂 海山書いたる 文の宿
話するなら 小松原の下で 松の葉の様に こまごまと
おわら踊りの 笠着てござれ 忍ぶ夜道は 月明かり
お風邪召すなと 耳まで着せて 聞かせともなや 明けの鐘
待てど出てこず 出る時ゃ会えず ほんにしんきな 蜃気楼
蛍こいこい 八尾の盆に 夜の流しの 道照らせ
鳴くなこおろぎ 淋しゅうてならぬ お前一人の 秋じゃなし
私ゃ野山の 兎じゃないが 月夜月夜に 会いにくる
手っ甲脚絆に 紅緒の襷 可愛いやな早乙女 風の盆
唄で濡れたか 夜露を着鬢がほつれた 風の盆
唄で知られた 八尾の町は 盆が二度来る 風の盆
唄の町だよ 八尾の町は 唄で糸取る 桑も摘む
花や紅葉は 時節で色む 私ゃ常盤の 松の色
花も実もない 枯木の枝に とまる鳥こそ しんの鳥
軒端雀が また来て覗く 今日も糸引きゃ 手につかぬ
白歯染めさせ 又落とさせて わしが思いを 二度させた
私ゃ朝顔 朝寝の人に 丸い笑顔は 見せやせぬ
あなた今着て 早お帰りか 浅黄染めとは 藍足らぬ
八尾おわらを しみじみ聞けば むかし山風 草の声
鹿が鳴こうが 紅葉が散ろうが 私ゃあなたに 秋がない
城ヶ島から 礫を投げた 恋の思案の 紙礫
城ヶ島から 白帆が見える 白帆かくれて 松の風
城ヶ島から 白帆が見える 二つ三つ四つ 有磯海
お前来るかと 待たせておいて どこへそれたか 夏の雨
来るか来るかと 待たせておいて 何処へそれたか 夏の雨
八尾よいとこ 蚕の都 秋は野山も 唐錦
八尾八尾と 皆行きたがる おわらよいとこ 唄の里
烏勘三郎の 嫁さの供は 柿の提灯 下げてきた
可愛い鳥だよ つぐみの鳥は 柿をつついて 紅つけた
月が隠れりゃ また手をつなぐ 揺れる釣橋 恋の橋
月は満月 夜はよいけれど 主に逢わなきゃ 真の闇
月に焦がれる すすきの花は 枯れてしおれて また招く
雪の立山 ほのぼの開けて 越の野山は 花盛り
磨け磨けど ねは鉄のよう ついと浮気の 錆が出る
針の穴から 浮名がもれる 逢うて逢われぬ 人の口
粋な小唄で 桑摘む主の お顔見たさに 回り道
別れが辛いと 小声で言えば しめる博多の 帯がなく
仇な色香に 迷いはせねど 実と情けにゃ つい迷う
瀬戸の桐山 烏のお宿 桐の枯葉を 着て泊まる
古謡
あいや可愛いや いつ来て見ても たすき投げやる 暇がない
たすき投げやる 暇あるけれど あなた忘れる 暇がない
調子替わりは いつでもよいが 心変りは いつも嫌
姉ま何升目 三升目の釜 後の四升目で 日が暮れる
姉まどこへ行く 三升樽下げて 嫁の在所へ 孫抱きに
姉まどこへ行く 餅草摘みに 俺も行きたや びく下げて
殿まと旅すりゃ 月日を忘れ 鶯鳴くそな 春じゃそな 
あなた百まで わしゃ九十九まで 共に白髪の 生えるまで
おらっちゃ姉まの 山行き帰り 桐山焼き餅 三つ貰うた
二百十日に 風さえ吹かにゃ 早稲の米喰うて 踊ります
山へ登れば 茨が止める 茨離しゃれ 日が暮れる
お前一人か 連衆はないか 連衆ぁ後から 駕籠で来る
ホッと溜息 小枠を眺め こうも糸嵩 ないものか
盆が近うなりゃ 紺屋へ急ぐ 盆の帷子 白で着しょう
唄うて通るに なぜ出て会わぬ 常に聞く声 忘れたか
常に聞く声 忘れはせねど 親の前では 籠の鳥
咲いた桜に なぜ駒つなぐ 駒が勇めば 花が散る
竹に雀は 品よくとまる とめてとまらぬ 恋の道
向こう小坂の 仔牛を見れば 親も黒けりゃ 子も黒い
飲めや大黒 踊れや恵比寿 亀の座敷に 鶴の声
八尾四季
揺らぐ吊り橋 手に手を取りて 渡る井田川 春の風
富山あたりか あの灯火は 飛んでいきたや 灯とり虫
八尾坂道 別れてくれば 露か時雨か ハラハラと
もしや来るかと 窓押し開けて 見れば立山 雪ばかり
鏡四季
恋の礫か 窓打つ霰 明けりゃ身に染む 夜半の風
積もる思いも 角間の雪よ 解けて嬉しい 梅の花
主の心は あの釣橋よ 人に押されて ゆらゆらと
八尾坂道 降り積む雪も 解けて流れる おわら節
五文字冠り
雁金の 翼欲しいや 海山越えて 私ゃ逢いたい 人がある
桜山 桜咲さねば ありゃただの山 人は実がなきゃ ただの人
菊水の 花は枯れても 香りは残る 清き流れの 湊川
滝の水 岩に打たれて 一度は切れて 流れ行く末 また一つ
隅田川 清き流れの 私の心 濁らすもそなたの 胸の中
ポンと出た 別荘山から 出た出た月が おわら踊りに 浮かれ出た
色に咲く あやめ切ろうとて 袂をくわえ 文を落とすな 水の上
奥山の 滝に打たれて あの岩の穴 いつほれたともなく 深くなる
白金の ひかり波立つ 海原遠く 里は黄金の 稲の波
枯芝に 止まる蝶々は ありゃ二心 他に青葉を 持ちながら
朝顔に 釣瓶とられて わしゃ貰い水 どうしてこの手を 放さりょか
月の出の 坂を抜け行く 涼風夜風 盆が近いと 言うて吹く
逢えば泣く逢わにゃなお泣く泣かせる人に何で泣くほど逢いたかろ
色に咲く 菖蒲切ろうとて 袂をくわえ 文を落とすな 水の上
長閑なる 春の夜道に 手を引き合うて 主に心を つくづくし
露冴えて 野辺の千草に 色持つ頃は 月も焦がれて 夜を更かす
十五夜のお月様でも あてにはならぬ 四五日逢わなきゃ角が立つ
奥山の 一人米搗く あの水車 誰を待つやら くるくると
久々で 逢うて嬉しや 別れの辛さ 逢うて別れが なけりゃよい
ほのぼのと 磯に映りし あのお月様 深い仲だが とまりゃせん
花咲いて 幾度眺めた あの海山の 色に迷わぬ 人はない
元旦に 鶴の声する あの井戸の音 亀に組み込む 若の水
諏訪様の 宮の立石 主かと思うて ものも言わずに 抱きついた
唐傘の 骨はちらばら 紙はがれても 離れまいとの 千鳥がけ
今返し 道の半丁も 行かない内に こうも逢いたく なるものか
今しばし 闇を忍べよ 山ほととぎす 月の出るのを 楽しみに
三味線の 一の糸から 二の糸かけて 三の糸から 唄が出る
字余り
梅干しの 種じゃからとて いやしましゃんすな 昔は花よ 鴬とめて鳴かせた こともある
竹になりたや 茶の湯 座敷の柄杓の 柄の竹に
いとし殿御に 持たれて汲まれて 一口 飲まれたや
這えば立て 立てば歩めと育てたる 二親様を 忘れて殿御に 命がけ
二間梯子を 一丁二丁三丁四丁五六丁掛けても 届かぬ主は
どうせ天の星じゃと あきらめた
綾錦 綸子 羽二重 塩瀬 縮緬 郡内緞子の重ね着よりも
辛苦に仕上げたる 固い手織りの木綿は 末のため
ふくら雀に 文ことづけて 道で落とすな 開いてみるな 可愛い殿御の 手に渡せ
三十六 十八 三十八 二十四の 恋しい主と 共に前厄 案じます
青海の波に浮かべし宝船には ありとあらゆる宝を積んで
恵比寿 大黒 布袋に 毘沙門 弁天 寿老人 福禄寿
硯引き寄せ 巻紙手に取り 細筆くわえてさてその次は
どうしてどう書きゃ真実誠が届いていつまたどう返事が 来るのやら
三越路の 中の越路で見せたいものは 黒部 立山 蜃気楼
蛍烏賊 余所で聴けないものは 本場八尾のおわらの 節のあや
常願寺 神通 片貝 黒部 早月 庄川 小矢部の 七つの川は
ほんに電気の王国 お米の産地でその名も高い 富山県
櫓太鼓の音に目覚まし 小首をかしげ 今日はどの手で
スッテンコロリの ヨイヤさと投げるやら 投げられるやら
ままになるなら 京の三十三間堂の 仏の数ほど手代や番頭を 
たくさんおいて そして三万三千三百三十三軒ほど 支店を設けて 暮らしたや
竹の切り口 シコタンコタンや なみなみチョンボリ
ちょいとたまり水 澄まず濁らず 出ず入らず
橋になりたや 京で名高き 一条二条三条四条の次なる
五条の橋に 牛若さんのよな 不思議な殿御を連れ行き 花見に 通わせる
熊谷さんと敦盛さんと 組み討ちなされしところは何処よと
尋ねてみたら 十(とお)九の八七六五の四の三の二の 一の谷
いろにほへと ちりぬるを わかよたれそつねつねならむ
うゐのおくやま けふこえて あさきゆめみし ゑひもせすん
西新町(しんにゃしき)東新町(ひがししん)諏訪町
上新町(かみしん)鏡町(しんだち)西町 東町 調子合わせて
今町(なかまち)下新町(したまち)天満町(こくぼ)
福島で 夜が明けた
長ばやし
越中で立山 加賀では白山 駿河の富士山 三国一だよ
春風吹こうが 秋風吹こうが おわらの恋風 身についてならない
二百十日に 夜風邪をひいたやら 毎晩おわらの 夢見てならない
あんたもそうなら 私もそうだよ 互いにそうなら 添わなきゃなるまい
来たよで来ぬよで 面影立つそで 出て見りゃ風だよ 笹の葉にだまされた
きたさで飲んだ酒ゃ まだ酔いが醒めない 醒めないはずだよ あの娘の酌だもの
五箇山育ちの 百巻熊でも 木の実がなければ 八尾へ出てくる
千世界の 松の木ゃ枯れても あんたと添わなきゃ 娑婆へ出た甲斐がない
三味線が出を弾きゃ 太鼓がドンと鳴る 手拍子揃えて おわらにしょまいかいね
手打ちにされても 八尾の蕎麦だよ ちょっとやそっとで なかなか切れない
八尾よいとこ おわらの出たとこ 蕎麦は名物 良い紙たんと出る
見送りましょうか 峠の茶屋まで 人目がなければ あなたの部屋まで
おわらのご先生は あんたのことかいね その声聞かせて 私をどうする
一人で差すときゃ 野暮だが番傘 二人で差すときゃ 蛇の目の唐傘
しょまいかいね しょまいかいね 一服しょまいかいね 
一服してからそれからまたやろかいね
雪の立山 ほのぼの夜明けだ 里は黄金の 稲穂の波立つ
加賀では山中 佐渡ではおけさだ 越中のおわらは 実りの唄だよ
駒形茂兵衛さん おわらで迷うたか 恋しやお蔦さんに 会いとうてならない
提げても軽そな 蛍の提灯 石屋の引っ越しゃ 重くて嫌だよ
じいさんばあさん おわらに出よまいか 今年も豊年 穂に穂が下がるよ
茶釜と茶袋は よい仲なれども 仲に立つ柄杓が 水さいてならない
瓢箪ブラブラ 糸瓜もブラブラ ブラブラしとれど 落ちそで落ちない
どんどと流れる 水道の水でも いつかは世に出て 主さんの飯(まま)となる
来られた来られた ようこそ来られた 来られたけれども わがままならない
来られた来られた ようこそ来られた 来られぬ中から ようこそ来られた
権兵衛が種蒔きゃ 烏がほじくる 三度に一度は 追わねばなるまい
南蛮鉄のような 豪傑さんでも あんたにかけては 青菜に塩だよ
七合と三合は どこでも一升だよ 一升と定まりゃ 五升枡はいらない
焼けます焼けます 三百度の高熱(たかねつ) その熱冷ますにゃ 主さんに限るよ
見捨てちゃ嫌だよ 助けておくれよ 貴方と添わなきゃ 娑婆に出た甲斐がない
浮いたか瓢箪 軽そうに流れる 行く先ゃ知らねど あの身になりたや
「小谷おけさ」 (北安曇郡小谷村)
おけさ踊るなら板の間で踊れ 板のひびきで三味ゃいらぬ
あいも見もせにゃこがれもせまい 雉子もなかずばうたれまい
唄は理に積む鳥ゃ木に止まる 人は情けの下に住む 
「佐渡ハンヤ節(山田のはんや)」 (新潟)
「小木おけさ」 (新潟)
「赤泊おけさ」 (新潟)
「新潟おけさ」 (新潟)
「寺泊おけさ」 (新潟)
「出雲崎おけさ」 (新潟)
「柏崎おけさ」 (新潟)
「巻おけさ(やかたおけさ)」 (新潟)
「塩沢はねおけさ」 (新潟)
「地蔵堂おけさ」 (新潟)
「三十おけさ」 (新潟)
「三条おけさ」 (新潟)
「美山ハイヤ節」 (福井)
「白峰ハイヤ節」 (石川)
近畿

 

「宮津アイヤエ踊り」 (京都)
「初瀬おけさ」 (奈良)
中国

 

「三原やっさ節」 (広島)
見たかエー (ハ ヤッサ ヤッサ) 
見たか聞いたか 三原の城はエー
(ハ アラ ヨイヨイ ヨイヤナ ヨイヤナー)
地から湧いたか サーマヨ (ハ ヤッサ ヤッサ) 浮城かヨ 
(ヤッサ ヤッサ ヤッサモッサ ソッチャセー)
月はまんまる金波に銀波 やっさ踊りに夜がふける
見たか 三原の胡蝶の踊り 風に桜の花が散る
三原の港は 情の町よ 酒の出どころ恋どころ
踊りつかれて ねてみたものの 遠音ばやしが 気にかかる
三原はよいこと 町のまん中に 昔 忍ばす 城の跡
夢の浮城 かすみに明けりゃ 昇る朝日の 桜山
何をかくやら 筆影山は 風の波間影うつす
やっさ やっさと街から街へ 心うき城 足そぞろ
やっさ踊りについみこまれて 嫁にせがまれ はずかしや
酒を飲むなら 三原の酒を 心うきうき踊りだすよ

見たかエーエーエ (ハ ヤッサ ヤッサ)
見たか聞いたかア ア三原の城はエー
(ハアーラ ヨイヨイ ヨイヤナー ヨンヤナー)
地から生えたか サーマヨ
(ハア ヤッサ ヤッサ) ハ浮城かヨー
(ヤッサヤッサ ヤッサモッチャ ソッチャセー)
桜山より 瀬戸内見れば 瀬戸の島山 真帆片帆
月はまん丸 金波や銀波 やっさ踊りに 夜が更ける
三原港に 灯のつく頃は 真帆も片帆も 入ってくる
船頭可愛や 三原の沖で 一丈五尺の 櫓がしわる 
「境さんこ節」 (鳥取)   ←「追分節」「佐渡おけさ」
さんこ さんこと 名は高けれど さんこ さほどの きりょうじゃない
   (アリャ 瓢箪ばかりが 浮きものか
   わたしも いささか 浮いてきた
   サアサ 浮いた 浮いた)
沖は白波 波風立てど 境よいとこ しけ知らず
   (アリャ 八反畑のさや豆が 一さや走れば みな走る 
   わたしゃ あんたに ついて走る 
   サアサ ついて来い ついて来い)
伯耆境の 港が開け 裏も 表も ない日本
   (アリャ 山は大山 海では堺 境港が 築かれて 
   宝 山ほど 荷をつんで 出船 入船 ままとなる 
   アリャ 御繁盛 御繁盛)  (唄囃子)

さんこ境は 海からあけて (ヨイショ)
船に大漁の 福の神
 (ハラ スッチョイ スッチョイ スッチョイ スッチョイナ)  (囃子)
大漁大漁と わき立つ港 揚る唄声 さんこ節
境よいとこ 日も夜ものびて 町は黄金の 花ざかり
晴れた大橋 港の空に 祝うかもめの 晴れ姿
大漁祈願に さんこを踊りゃ 今日も港は 旗の波
境みなとは さんこの唄で えびす大黒 福おどり

さんこさんこと 名は高けれど さんこさほどの 器量じゃない
   (アリャ 八反畑の さや豆が 一さやはしれば 皆はしる 
   わたしゃあんたに ついてはしる 
   サアサ ついて来い ついて来い)
伯耆境の 港が開き 裏も表も ない日本
   (アリャ 山は大山 海では堺 境港が きずかれて 
   かかる山ほど 荷を積んで 出船入り船 ままとなる 
   アリャ 御繁盛 御繁盛)
恵比寿大黒 鯛釣り上げて 竿(かさ)をかついで 福踊り
   (アリャ ひょうたんばかりが 浮きものか 
   わたしもいささか 浮いてきた
   サアサ 浮いた 浮いた) (唄囃子) 
「安来節」   ←「出雲節」「さんこ節」「おけさ追分節」
出雲名物 荷物にならぬ 聞いてお帰れ 安来節
松江名所は かずかずあれど 千鳥お城に 嫁が島
俺がお国で 自慢のものは 出雲大社に 安来節
出雲八重垣 鏡の池に 映す二人の 晴れ姿
愛宕お山に 春風吹けば 安来千軒 花吹雪
私しゃ雲州 浜佐陀生まれ 朝も早うから 鱒やどじょ
安来千軒 名の出たところ 社日桜や 十神山
「十神山から沖見れば いづくの船かは 知らねども 滑車(せみ)の下まで帆を巻いて ヤサホヤサホと 鉄積んで 上のぼる」
「浜田節」 (島根)
「般若踊り」 (山口)
四国 

 

「阿波踊り」 (「阿波よしこの節」)  (徳島)    ←「ぞめき踊り」
(囃子) アーラ偉い奴ちゃ 踊る阿呆に 見る阿呆
同じ阿呆なら 踊らにゃ 損々
新町橋まで 行かんか 来い来い
阿波の殿様 蜂須賀様が 今に残せし 阿波踊り
(囃子) アーラ偉い奴ちゃ偉い奴ちゃ ヨイヨイヨイヨイ
笹山通れば 笹ばかり 大谷通れば 石ばかり
猪豆食うて ホーイ ホイ ホイ
巡礼お鶴の あの菅笠に いとし涙の 雨が降る
こうも鳴門で 未練の深み それで渦ほど 気がまわる
踊り踊らば しなよく踊れ しなのよいのを 妻に持つ
「阿波よしこの」
ハアラ エライヤッチャ エライヤッチャ ヨイ ヨイ ヨイ ヨイ
阿波の殿様 蜂須賀さまが 今に残せし 阿波踊り
笹山通れば 笹ばかり 猪 豆喰て ホウイ ホイ ホイ
笛や太鼓の よしこのばやし 踊りつきせぬ 阿波の夜
踊る阿呆に 見る阿呆 同じ阿呆なら 踊らにゃ損々
「阿波の麦打ち唄」
阿波の藍ならヨ ヨホホーヤ 昔を今に 染まる色香は 変りゃせぬ
ヨホホーヤ トヨエ サー ウットケ ウットケ
鳥もハラハラヨ ヨホホーヤ 夜もほのぼのと 鐘がなります寺々に
十八招けば 石でも粉になる お庭にカラツは いけてない
ドシドシ もちゃげて上げて 打たシャンセ
九州

 

「呼子ハイヤ節」 (佐賀)
「田助ハイヤ節」 (長崎)
「五島ハイヤ節」 (長崎)
「生月ハイヤ節」 (長崎)
「樺島ハイヤ節」 (長崎)
「牛深ハイヤ節」 (熊本)
「天草ハイヤ節」 (熊本)
「阿久根ハイヤ節」 (鹿児島)
「鹿児島ハンヤ節」 (鹿児島)
ハンヤエーハンヤ  はんやで今朝でた舟はナーア (ハヨイサーヨイサー)
どこの港にさーま  着いた やらナー   
(ハヨイサーヨイサー) (ハヨイサーヨイサー)
ハンヤエーハンヤ はんやで半年暮れたナー (ハヨイサーヨイサー)
後の半年サーマ 寝て暮らすナー  
(ハヨイサーヨイサー) (ハヨイサーヨイサー)
エーサ 今来た青年(にせ)どん よか青年どん
相談かけたら はっちこそな青年どん (ハヨイサーヨイサー)  
 
「浜甚句」

 

「浜甚句」 (「唐桑浜甚句」)

目出度目出度(めでためでた)の若松様ヨ 枝も栄えて葉も茂る
唄いなされやお唄いなされ 唄で器量が下がりゃせぬ
気仙気仙沼のイカ釣り船は イカも釣らずにあねこ釣る
お崎さんまで見送りました さあさこれから神頼み
あまり長いのは皆様困る ここらで一休み

(ヨイヨイヨイトサ)
アードーギめでたや(アヨイトサッサ)
ドーギやドーギ こんどくだれば(アヨイトサッサ)
ドントここのドーギ(アヨイヨイヨイトサッサ)
ドントここのドーギ(アヨイヨイヨイトサ)
色は黒くとも釣竿もてば 沖びゃ鰹の色男 
唄いなされ 唄で御器量はさがりゃせぬ
   めでためでたの重なる時は 天の岩戸も押しひらく 
   思う殿御の鰹釣る姿 枕屏風の絵に欲しい 
思う殿御に萬祝着着せて 赤い手拭かぶせたい 
南風吹かせて船くだらせて くだり土産にゃ紺がすり 
   明日は出船かお名残りおしや 雨の十日も降ればよい 
   鰹になりたい大灘沖で 思う殿御に抱かれたい 
唄え唄えと唄責められて 唄は出ないで汗ばかり 
あまり長いは手ばたき困る ここらあたりで一と休み 

はぁーあぁあー
船は出て行く ありゃ朝陽が昇る かもめ飛び立つ あれいっさ賑やかさ
 (よいよいよいとさっさ)
沖を流れる ありゃ炭俵(すみすご)さいも かもめに一夜の あれいっさ宿を貸す
呑めや騒げや ありゃ今宵が限り 明日は出船だ あれいっさ波枕
年に一度の ありゃ正月二十日 笛や太鼓で あれいっさ獅子踊り
唄が下手でも あれや出す奴上手 出さぬ船には あれいっさ乗れまいか
一つ召(あが)ってけろ ありゃ何も無いけど 俺の心は あれいっさ酒魚
唄い唄いと ありゃ歌責められて 唄もせず あれいっさ汗ばかり
揃った揃ったよ ありゃ手叩き揃った 秋の出穂より あれいっさ尚揃った
必ず必ず ありゃ口には出すな 胸で解かせよ あれいっさ屋根の雪
この家座敷は あれや目出たい座敷 鶴と亀が あれいっさ舞い遊ぶ
東北

 

「気仙甚句」 (岩手)
ハァー気仙甚句の (ハ、コリャ〜)
コラ始まる時は 天の岩戸も アレサ押し開く (ハ、ヨイト〜)
気仙よいとこ 寒九の雨に 赤い椿の 花が咲く
気仙名所は 数々あれど 広田根崎の椿島
花は咲いても 実のなるまでは どうせ妾も 一苦労
五葉山の白雪 朝日でとける 島田娘は 寝てとける
沖で三十日 港で二十日 思った大船渡に たゞ七日  
「遠島甚句」 (宮城)
(ハヨーイヨーイヨーイトサ)
ハアー 押せや押せ押せ(ハーヨーイトサッサ)
ア ニ挺艪で押せや
押せば港が (ア コラサノサッサ)
アレサ近くなる (ハーヨーイヨーイヨーイトサ)
   ハアー 三十五反の ハア 帆を巻き上げて
   行くよ仙台 アレサ石巻
ハアー 泣いてくれるな ハア 出船のときは
沖で艪櫂が アレサ手につかぬ
   ハアー沖を流るる ハア 炭すごさえも
   鴎に一夜の アレサ宿を貸す
ハアーぜひに一度は ハア きてみやしゃんせ
わしが国さの アレサ松島  
「石投げ甚句」 (「笠浜甚句」「帆走り甚句」) (宮城)
船は出て行く 朝日は昇る(ハットセ)
 かもめ飛び立つ アノ にぎやかさ (ハットセ ハットセ)
さぁさやっこらさと 出て行く船は どこの港に 着いたやら
朝の出掛けの 艪櫂の音で 磯の千鳥も 目を覚ます
さぁさ歌えや 石投甚句 いつも大漁が 続く様(よ)に
お前来るかと 浜まで出たが 浜は松風 音ばかり
さぁさかっぽり出せ 五尺の袖を ここで振らねで どこで振る
唄の掛合い するではないか 唄でご返事 貰いたい
浜はよい処(とこ) 一度はござれ 魚食(か)食せ 面倒みる
歌は袂に 山ほどあるが 心初心で 歌われる 
「十三浜甚句」 (宮城)
ソリャ 一つ歌うちゃ ハァ 遠慮もするが
歌い始まりゃ オヤサ 幕ひかぬ
   ソリャ なんと吹く風 ハァ 昨日今日で二日
   明日の入り船 オヤサ 気にかかる
ソリャ そばにも寄られぬ ハァ バラ株さえも
さわりたいよな オヤサ 花が咲く
   ソリャ 一つ歌います ハァ 十三浜甚句
   地なし節なし オヤサ ところ節
ソリャ 浜でなんだれ ハァ 手拭帯に
いつも大漁か オヤサ 締めどおし
「浜甚句」 (福島)
ハ アー 三十五反の コラ帆を捲きあげて 行く仙台ホンニ石の巻
沖に三十日港に二十日 着いた原釜にただ七日
サアサヤッコラサと漕ぎ出す船は 命帆にあげ浪枕
船は千来る万来る中に わしの待つ船まだ見えぬ
南風吹かせて船下らせて 元の千石積ませたい
船は出て行く朝日は昇る 鴎飛び立つ賑やかさ 
「いわき浜甚句」 (福島)
船は一番だ いわきの沖に 招く大漁の 船おろし
「相馬浜甚句」 (福島)
関東

 

「網のし唄」 (「網延唄」) (茨城)
沖の瀬の瀬で どんと打つ波は
みんな貴方の アレサ 度胸定め
   ハァ 延せや延せ延せ 大目の目延し
   延せば延すほど アレサ 目が締まる
ハァ 一丈五尺の 艪を押す腕に
濡れて花咲く アレサ 波しぶき
   船は新造で 船頭さんは若い
   大漁させたや アレサ お船さま
沖でちらちら アラ 灯が見える
あれは平磯の アレサ さんま船 

(ハ ヨーイ延(ノ)せ ヨイーヤ延せ)
延せや 延せ延せ(コラショ) 大目の目延し
(ハ ヨーイ延(ノ)せ ヨイーヤ延せ)
延せば 延すほど(コラショ) アレサ 目が締まる
(ハ ヨーイ延(ノ)せ ヨイーヤ延せ)
私ゃ湊の 荒浜育ち 波も荒いが 気も荒い
沖の瀬の瀬で どんと打つ波は 皆(みんな)あなたも 度胸定め
一丈五尺の 艪を押す腕に 濡れて花咲く 波しぶき
小間(こま)の十四も 大目の網も 切れりゃ網師の 手に掛かる
船は新造で 船頭さんは若い 大漁されたや お船主
磯の小岩に どんと来る波は 出船見送る 胸を打つ
「磯節」 (茨城)
(ハーサイショネ)
磯で名所は 大洗様よ(ハーサイショネ)
松が見えます ほのぼのと (松がネ)
見えますイソ ほのぼのと  
   荒い波風 やさしく受けて(ハーサイショネ) 
   心動かぬ 沖の石 (心ネ)
   動かぬイソ 沖の石
三十五反の 帆を捲き上げて(ハーサイショネ)
行くよ仙台 石巻 (行くよネ)
仙台イソ 石巻

磯で名所は 大洗様よ(ハーサイショネ) 松が見えます ほのぼのと
「松がネ」見えます イソ ほのぼのと (ハーサイショネ)
ゆらりゆらりと 寄せては返す 波の瀬に乗る 秋の月
「波のネ」瀬にのる イソ秋の月
水戸をはなれて 東へ三里 波の花散る 大洗
「波のネ」花散る イソ 大洗
三十五反の 帆を巻き上げて ゆくよ仙台 石の巻
「行くよネ」仙台 イソ 石の巻
泣いてくれるな 出船の時にゃ 沖で艪かいも 手につかぬ
「沖でネ」艪かいも イソ 手につかぬ
潮風吹こうが 波荒かろが 操かえない 浜の松
「操ネ」かえない イソ 浜の松

(ハーサイショネ)
磯で名所は 大洗様よ (ハーサイショネ)
 松が見えます ほのぼのと (松がネ)見えますイソ ほのぼのと
三十五反の 帆を捲き上げて 行くよ仙台 石巻  (行くよネ)仙台イソ 石巻
船はちゃんころでも 炭薪ゃ積まぬ 積んだ荷物は 米と酒 (積んだネ)荷物はイソ 米と酒
荒い波風 やさしく受けて 心動かぬ 沖の石 (心ネ)動かぬイソ 沖の石
ゆらりゆらりと 寄せては返す 波の背に乗る 秋の月 (波のネ)背に乗る 秋の月
葵の御紋に 輝朝日かげ 薫も床しい 梅の花 (薫もネ)床しいイソ 梅の花
あれは大洗 大洗松よ 鹿島立ちして 見る姿 (鹿島ネ)立ちしてイソ 見る姿
あまの小舟の わしゃ一筋に 主を頼みの 力綱 (主をネ)頼みのイソ 力綱
当たって砕けて 別れてみたが 未練でまた逢う 岩と波 (未練でネ)また逢うイソ 岩と波
朝日昇るよ 神磯上へ 降りて鎮まる 大洗 (降りてネ)鎮まるイソ 大洗
磯や湊の 東雲鴉 来ては泣いたり 泣かせたり (来てはネ)泣いたりイソ 泣かせたり
磯で曲り松 湊で女松(めまつ) 中の祝町 男松 (中のネ)祝町イソ 男松
磯の鮑を 九つ寄せて これが九貝(苦界)の 片想い (これがネ)九貝のイソ 片想い
行こか祝町 帰ろか湊 ここが思案の 橋の上 (ここがネ)思案のイソ 橋の上
色は真っ黒でも 釣竿持てば 沖じゃ鰹の 色男 (沖じゃネ)鰹のイソ 色男
岩に寄りつく 青海苔さえも 好かれりゃ焼いたり 焼かせたり (好かれりゃネ)焼いたりイソ 焼かせたり
羨ましいぞえ あの碇綱 みずにおれども 切れやせぬ (みずにネ)おれどもイソ 切れやせぬ
沖にチラチラ 白帆が見ゆる あれは湊の 鰹船 (あれはネ)湊のイソ 鰹船
沖の漁火 三つ四つ五つ 月の出潮に 見え隠れ (月のネ)出潮にイソ 見え隠れ
沖の暗いのに 苫とれ苫を 苫は濡れ苫 とまとれぬ (苫はネ)濡れ苫イソ とまとれぬ
沖の瀬の瀬の 瀬で打つ浪は みんなあなたの 度胸さだめ (みんなネ)あなたのイソ 度胸さだめ
沖の瀬の瀬の 瀬の瀬の鮑 主さんが取らなきゃ 誰が取る (主さんがネ)取らなきゃイソ 誰が取る
沖に見ゆるは 大亀磯よ 鶴も舞い来る 真帆片帆 (鶴もネ)舞い来るイソ 真帆片帆
沖の鴎に 汐どき聞けば 私ゃ立つ鳥 波に聞け (私ゃネ)立つ鳥イソ 波に聞け
沖の鴎と 芸者のつとめ 浮いちゃおれども 身は苦界 (浮いちゃネ)おれどもイソ 身は苦界
沖で鰹の 瀬の立つ時は 四寸厚みの 櫓がしなう (四寸ネ)厚みのイソ 櫓がしなう
思い重ねて 波打つ胸に 春の南東風(いなさ)が 肌をさす (春のネ)南東風がイソ 肌をさす
親のない子と 浜辺の千鳥 日さえ暮れれば しをしをと (日さえネ)暮れればイソ しをしをと 
海門橋とは 誰が岩船の 恋の浮名も 辰の口 (恋のネ)浮名もイソ 辰の口
君と別れて 松原行けば 松の露やら 涙やら (松のネ)露やらイソ 涙やら
君を松虫 涼みの蚊帳に 更けて差し込む 窓の月 (更けてネ)差し込むイソ 窓の月 
恋の那珂川 渡しを止して 向こうへ想いを 架ける橋 (向こうへネ)想いをイソ 架ける橋
心残して 湊の出船 揚がる碇に すがる蟹 (揚がるネ)碇にイソ すがる蟹
心寄せても さきゃ白波の 磯の鮑の 片想い (磯のネ)鮑のイソ 片想い
咲いてみしょとて 磯には咲けぬ 私ゃ湊の 浜の菊 (私ゃネ)湊のイソ 浜の菊
実の平磯 情けの湊 男伊達なる 磯の浜 (男ネ)伊達なるイソ 磯の浜
白む沖から 朝霧分けて 夜網上げくる 流し船 (夜網ネ)上げくるイソ 流し船
潮風吹こうが 波たたこうが 操かえない 浜の松 (操ネ)かえないイソ 浜の松
汐どきゃいつかと 千鳥に聞けば 私ゃ立つ鳥 波に聞け (私ゃネ)立つ鳥イソ 波に聞け
汐は満ち来る 想いはつのる 千鳥ばかりにゃ 泣かしゃせぬ (千鳥ネ)ばかりにゃイソ 泣かしゃせぬ
すがりついても 主ゃ白波の 磯の鮑で 片想い (磯のネ)鮑でイソ 片想い
底の知れない 千尋の海に 何で碇が おろさりょか (何でネ)碇がイソ おろさりょか
浪が打ち寄る 磯辺の月に 泣くは千鳥と わしばかり (泣くはネ)千鳥とイソ わしばかり
涙隠して 寝る夜はともに 浜で千鳥が 泣き明かす (浜でネ)千鳥がイソ 泣き明かす 
泣いてくれるな 出船の時にゃ 沖じゃ櫓櫂が 手につかぬ (沖じゃネ)櫓櫂がイソ 手につかぬ
西は広浦 東は那珂よ 漁る蓑着に 水焔る (漁るネ)蓑着にイソ 水焔る
原山並木が 何恐かろう 惚れりゃ三途の 川も越す (惚れりゃネ)三途のイソ 川も越す
平磯沖から 帆を巻き上げて 那珂の川口 走り込む (那珂のネ)川口イソ 走り込む
人の前浜 何怖かろう 入道山さえ 越えて行く (入道ネ)山さえイソ 越えて行く
更けて琴弾く 浜松風に 鼓打ち合う 浪の音 (鼓ネ)打ち合うイソ 浪の音
船の戻りが 何故遅かろう ちょうど東南風の 送り風 (ちょうどネ)東南風のイソ 送り風
船は千来る 万来る中で わしの待つ船 まだ来ない (わしのネ)待つ船イソ まだ来ない
船底枕で 寝る浜千鳥 寒いじゃないかい 波の上 (寒いじゃネ)ないかいイソ 波の上
湊とまりに 入り来る船は 夢も静かな 舵枕 (夢もネ)静かなイソ 舵枕
水戸を離れて 東へ三里 波の花散る 大洗 (波のネ)花散るイソ 大洗
水戸の梅が香 どこまで香る 雪の桜田 御門まで (雪のネ)桜田イソ 御門まで 
山で赤いのは 躑躅に椿 咲いて絡まる 藤の花 (咲いてネ)絡まるイソ 藤の花
私ゃ平磯 荒浜育ち 波も荒いが 気も荒い (波もネ)荒いがイソ 気も荒い
私とあなたは 酒列磯よ 世間並みには 添われない (世間ネ)並みにはイソ 添われない
春の曙 見渡す船は 浪も静かに 帆を上げて (来るよネ)鮪のイソ 大漁船
夏の夕暮れ 千船の帰帆 釣った鰹は 朝鰯 (あれはネ)湊のイソ 大漁船
秋は広浦 船行く空も 晴れて嬉しき 月今宵 (招くネ)尾花をイソ 女郎花
冬枯れ寒さに 彩る浪は どこに群がる 大鰯 (獲ってネ)五反のイソ 萬祝
水戸で名所は 偕楽園よ 梅と躑躅に 萩の花 (月のネ)眺めはイソ 千波沼
月の姿に ついほだされて 鳴くや千波の 渡り鳥 (鳴くやネ)千波のイソ 渡り鳥
深き思いの あの那珂川に 水に焦がれて のぼる鮭 (恋はネ)浮名をイソ 流し網
平磯名所は 磯崎岬 君が建てたる 観濤所 (下にネ)護摩壇イソ 神楽岩
浪に浮かれた 鰯の色は 沖で鴎が 立ち騒ぐ (舟でネ)鴎がイソ 立ち騒ぐ
昇る朝日に 白帆が見ゆる あれは函館 鰊船 (摘んだネ)荷物はイソ 那珂湊
春の出初めに 白帆が三艘 初め大黒 なか恵比須 (あとのネ)白帆はイソ よろずよし
新艘おろして 七福神が 大漁祝いも 初日の出 (鶴とネ)亀とがイソ 舵を取る
もしや来るかと わが胸騒ぎ 惚れりゃ風にも だまされる (憎やネ)嵐がイソ 戸を叩く
「押込甚句」 (千葉)
押せや 押せ押せ 船頭さんも 水夫(かこ)も 押せば 港が 近くなる
「三崎甚句」 (神奈川)    ←「二上り甚句」
(キタサーエ)
エー三浦三崎に (アイヨーエ) ドンと打つ波は (エーソダヨーエ)
可愛いお方の 度胸定め (エーソダヨーエ)
(三崎の港に菊植えて エー根も菊 葉も菊 枝も菊 エー晩にゃあなたの便り聞くーエ キタサーエ)
三浦三崎に 錨はいらぬ 三味や太鼓で 船つなぐ
三崎城ヶ島は 見事な島よ 根から生えたか 浮島か
わたしゃ三崎の 荒浜育ち 色の黒いのは 親譲り
三浦三崎は 女の夜針(または 夜這い) 男後生楽 寝て待ちる
海の宝を 山ほど積んで 三崎港は 東洋一
烏賊になりたい 島下の烏賊に 浜の若い衆に 釣られたい
鯛になりたや 城ヶ島の鯛に 島の若い衆に 釣られたい
松になりたや 三崎の松に 上り下りの 船を待つ
三崎城ヶ島に 灯台あれど 恋の闇路は 照らしゃせぬ

エー三崎みなとに (アイヨーエ) 錨はいらぬ (エーソーダヨーエ)
三味や太鼓で 船つなぐ (エーソーダヨーエ)
「トコラットの帆前船 コラ 上は デッキですべくるヨーエ キタサーエ」
   エー三浦三崎に どんと打つ波は 可愛いお方の 度胸さだめ
   「三崎港に菊植えて 根もきく葉もきく 枝もきく 晩にゃあなたの 便りきく」
エー私ゃ 三崎の 荒浜育ち 色の黒いのは 親譲り
「姐さん持って来た 烏賊なます  おいらも一杯 食べたいよう」
 
「草刈り唄」

 

「草刈り唄」 
東北

 

「外山節」 (岩手)
外山街道に 笠松名所 名所越えれば 行在所
あんこ行かねか あの山越えて わしと二人で わらびとり
わたしゃ外山の ひかげのわらび たれも折らぬで ほだとなる
おれと行かねか あの山かげで 駒コそだてる はぎかりに
南部外山 山中なれど 駒を買うなら 外山に  

わたしゃ外山の 日蔭のわらび (ハイハイ)
誰も折らぬで ほだとなる (コラサーノサンサ コラサーノサンサ)
わしと行かねか あの山蔭さ 駒コ育てる 萩刈りに
わたしゃ外山の 野に咲く桔梗 折らば折らんせ 今のうち
外山育ちでも 駒コに劣る 駒コ千両で 買われゆく
外山街道に 笠松名所 名所越えれば 行在所
日の戸越えれば からかさ松よ 外山牧場の お関所よ
わらび折り〜 貯めたる銭コ 駒コ買うとて 皆つかった
あねこ行かねか あの山越えて わしと二人で わらひとり
「正調外山節」
わたしゃ外山の 日蔭のわらび
誰も折らぬで ほだとなる ほだとなる 誰も折らぬで ほだとなる
(ヤーンコーリャサンサ ヤーンコーリャサンサ)
   外山育ちで 色こそ黒い
   味は自慢の 手打そば 手打そば 味は自慢の 手打そば
南部外山は 駒コの出どこ
駒コ買うなら 外山に 外山に 駒コ買うなら 外山に
   俺と行かぬか あの山越えて
   駒コ育てる 萩刈りに 萩刈りに 駒コ育てる 萩刈りに
「萩刈り唄」 (岩手)
(ハイ)おれと (ハイ)行かねか ナーハー あの山越えて
(ハイ)わらと (ハイ)鎌持って ナーハー アリャ 萩刈りに
萩を刈り刈り お山の上で 里の馬っコを 思い出す
萩は外山 馬コは南部 日本一だよ おらが牛
「秋の山唄」 (「草刈り唄」) (宮城)
ハァー 奥州涌谷の箆岳(ののだけ)様はヨー 樵夫(やまご)繁盛の ハァー守り神ヨー
気になる気になる お山の狐 これほど待つのに なぜコンと鳴く
山に木の数 野に萱の数 黄金たんぽぽ はぜの数
木樵山家の 小屋には住めど まさか木の実は 食べやせぬ
おれと行かねか あの山越えて 縄と鎌持って 木を伐りに
声がよく似た 来るはずないが わしの心が 迷うたか
よくも似た声 あなたの声は 小杉林の 蝉の声 
「夏の山唄」 (「草刈り唄」「かくま刈り唄」) (宮城)
鳴くなちゃぼ鳥 まだ夜が明けぬ 明けりゃお山の 鐘が鳴る
「秋田草刈り唄」 (秋田)
朝の出かけに どの山見ても 霧のかからぬ アリャ山はない
俺とお前は 草刈り仲間 草もないない アリャ七めぐり
田舎なれども 俺が里は 西も東も アリャ金の山
峰の白百合 揺れたと見たら 草刈るおばこの アリャ頬かむり
馬よ喜べ どの山見ても 今年ゃ馬草の アリャ当たり年

馬に鞍おき砥や鎌つけて 引き出す馬子衆のいさましや
白根の山坂のぼりて見れば 霧のかからぬ山はない
砥ぎし鎌にてあつめた草は 葛とすすきと萩ばかり
馬につけてもゆさゆさと 早くみせたい両親(ふたおや)に
「新庄節」 (山形)   ←「草刈り馬子唄」(「羽根沢節」)
ハアー あの山高くて 新庄が 見えぬキタサッ 新庄恋しや 山憎や
ハアー 猿羽根山越え 舟形 越えてキタサッ 会いに来たぞえ 万場町に
ハアー 猿羽根の地蔵さん あらたな 神よキタサッ 一度かければ 二度叶う
ハアー 新庄習いか 間味屋の 作法かキタサッ いつも仕切が 前勘定
ハアー 花の万場町 上がれば 下がるキタサッ 金の足駄も たまらない
ハアー 親の意見を 俵に つめてキタサッ 万場町通いの 道普請
「羽根沢節」 (山形)
たとえ鮭川の 橋ゃ流れても 羽根沢通いは 止められぬ 
「相馬草刈り唄」 (福島)
ハァー俺と行かねか 朝草刈りにとナンダコラヨー 
(ハァー チョイ チョイ)
いつも変らぬ あの土手の陰にとナンダコラヨー
(ハァー チョイ チョイ)
   ハァー粋な小唄で 草刈る娘とナンダコラヨー
   お顔見たさに あの廻り道とナンダコラヨー
ハァー見たか見て来たか 相馬の城下とナンダコラヨー
焼けて世に出た 駒焼茶碗と あの新開楼とナンダコラヨー
   ハァー俺と行かねか ヤンガン堤の土手にとナンダコラヨー
   籠と鎌持って もみの木の 小枝に絡まる あのアケビ採りとナンダコラヨー

ハアー おれといかねか 朝草刈りに卜 ナンダコラョー 〔ア チョーイチョイ〕
 いつも変わらぬ アノ土手のかげに ナンダコラョー 〔ア チョーイチョイ〕
いぎな小歌で 草刈る娘 お顔見たさに回り道
奥山育ちの わさびでさえも 縁ありゃ肴の つまとなる
寝ても寝むたい 宵から寝ても 朝の朝草 夢で刈る
街道歌で通る 流しで聞けば ある水なげても 汲みに出る
草を刈られた あのきりぎりす 鳴き鳴き小馬に 乗せられる
馬コ踏むなよ 蛍の虫を 螢可愛いや 闇照らす
井戸のかわずは 空うちながめ 四角なものだと 議論する
「相馬節」 (「壁ぬり甚句」) 
ハアー なんだ大郎七 豆腐は豆だ ナンダコラョー
あやめ団子はナ 米の粉 ナソダコラョー
雨は天から 横には降らぬ 風のたよりで 横に降る
雨の降るとき 天気が悪い 親父おれより 年は上
歌の歌いそめ 暦の見そめ もろた手ぬぐい かぶりそめ
心せけども 今この身では 時節待つより ほかはない
見にくいけれども 相馬の柚子は みよりかわいと 人がいう
お前の姿と 雷様めは なりもよければ ふりもよい
お前来るかと 浜まで出たに 浜は松風 音ばかり
「新相馬節」 (福島)
ハアー はるか彼方は 相馬の空かョ
ナンダコラヨー卜 ア チョーイ チョイ
相馬恋しや なつかしや ナンダコラヨート ア チョーイ チョイ
情けないぞや 今朝降る雪は 主の出船も 見えがくれ
秋の夜長に 針の手とめて 主の安否を 思いやる
ほろり涙で 風呂たく嫁ご けむいばかりじゃ ないらしい
待つ夜の長さを 四、五尺つめて 逢うたその夜に 伸ばしたい
当座の花なら なぜこのように かたいわたしを 迷わせた
わすれな草とて 植えてはみたが 思い出すような 花が咲く
関東

 

「篠井草刈り唄」 (栃木)
くもりゃくもらんせ がんがら山よ どうせ篠井は見えやせぬ
わしと行かぬか 朝草刈りによ 草のない山七めぐり
いくらかよても 青葉の山よ 色のつく木はさらにない
朝の出がけに どの山見ても 霧のかからぬ山はない
馬の背にのり 朝草刈りによ 唄で山路を越えて行く
いきな小唄で 草刈る主よ お顔見たさにまわり道
草刈り負けたら 七ぼら八ぼら それで負けたら鎌を研げ
篠井山なか 三軒屋でも 住めば都で花が咲く
嫁に行きたや 篠井の里によ 夫婦そろうて共がせき
娘十八 篠井の育ち 腕におぼいの手うちそば
お前百まで わしゃ九十九まで 共に白髪の生えるまで
「篠井の金堀唄」
ハ ハッパかければ切羽がのびる 延びる切羽が金となる ハーチンチン
ハ 曇るがんがら宝の山よ 星に黄金が流れ出る ハーチンチン
ハ 佐竹奉行は己等の主よ 恵みあつきで精が出る ハーチンチン
ハ 右に鎚持ち左に打金 一つ打つ度火花散る ハーチンチン
ハ 抗夫さんなら来ないでおくれ 一人娘の気をそそる ハーチンチン
ハ 夫婦揃って黄金掘れば 女房笑顔で背負い出す ハーチンチン
「常磐炭坑節」 (茨城)
ハァー朝も早よからヨ カンテラ下げてナイ(ハヤロヤッタナイ)
または(ハヨイショヨイショ ヨイショヨイショ)
坑内通いもヨードント 主のためナイ(ハヤロヤッタナイ)
 または(ハヨイショヨイショ ヨイショヨイショ)
遠く離れてヨ 逢いたいときはナイ 月が鏡とヨードント なればよいナイ
逢えばさほどのヨ 話もないがナイ 逢わなきゃその日がヨードント 過ごされぬナイ
おらが炭坑でヨ 見せたいものはナイ 男純情とヨードント よい女ナイ
おらが炭坑にヨ 一度はござれナイ 義理と人情のヨードント 花が咲くナイ
義理と人情のヨ 花咲くときはナイ 炭坑通いはヨードント やめられぬナイ
ここの炭坑のヨ 姐さん被りナイ 指に輝くヨードント 黒ダイヤナイ
可愛いあの娘のヨ 指見ておくれナイ 指に輝くヨードント 黒ダイヤナイ
竪坑三千尺ヨ 下れば地獄ナイ 回る車はヨードント 右左ナイ
竪坑三千尺ヨ 下れば地獄ナイ 死ねば(末は)廃抗のヨードント 土となるナイ
娘可愛いやヨ 選鉱場の陰でナイ 月を眺めてヨードント 涙拭くナイ
娘よく聞けヨ 坑夫の嬶はナイ 岩がドンとくりゃヨードント 若後家だナイ
発破かければヨ 切端が残るナイ 残る切端がヨードント 金となるナイ
だみね山からヨ 飛んでくるカラスナイ 金もないのにヨードント カオカオとナイ
坑夫さんにはヨ どこがよくて惚れたナイ 飯場通いのヨードント 程のよさ
向こう通るはヨ 坑夫さんじゃないかナイ 金がこぼれるヨードント 袂からナイ
お前選鉱場にヨ おいらは切端ナイ 思い通わすヨードント トロ車ナイ
山の帰りがヨ 噂のもとでナイ 今じゃ噂でヨードント 過ごされぬナイ
手拭片手にヨ カンテラ片手ナイ 主にまた会うヨードント 坑夫風呂ナイ
中部

 

「忍野草刈り唄」 (山梨)
ハアーナー 朝草刈れば ハアー
殿やせる 鎌切れろ 刈らずとたまれ ハアー 寄せ草
ハアーナー 夕べの茶屋の ハアー
てご娘 ハアー 花ならば 一枝折りて ハアー 土産に
ハアーナー 思わば切れろ ハアー
桶のたが いま一度 呼びたい江戸の ハアー 桶屋  
「吉野の草刈り唄」 (長野)
草を刈るなら吉野の山で どうぞまじりの嵐草(あらしぐさ)
草を刈るなら桔梗花残せ 桔梗は女の縁の花
花は蝶々か蝶々が花か  さてはちらちら迷わせる
近畿

 

「草刈り唄」 (奈良・十津川)
草の 刈りくちョ ひろめておいてョ
明日は殿ごとョ さま寄せ刈りョ 〔サマヨーイ・ヨイ〕
唄え 唄えョ 山から野からョ
谷の響きにョ アリャ 声そえてョ 〔サヤヨーイ・ヨイ〕
 
「長持唄」

 

「長持唄」「箪笥長持唄」
   ←(「雲助唄」)
東北

 

「南部長持唄」 (岩手)
ハァ今日はナァーハーエ 日も良いしナァー
ハァ天気も良いしナァヨー 結びナァーハエー
合せてナァー ハァヤレヤレ 縁となるナァーヨー
目出度〜の 若松様だ 枝も栄える 葉も茂る
蝶よ花よと 育てた娘 今日は他人の 手に渡す
「秋田長持唄」
蝶よナーヨー 花よとヨー 育てた娘 
 今日はナーヨー 他人のヨー オヤ 手に渡すナーエー
さあさお立ちだ お名残おしや 今度来る時ゃ 孫つれて
傘を手に持ち さらばと言うて 重ね重ねの いとまごい
故郷恋しと 思うな娘 故郷当座の 仮の宿
箪笥長持 七棹八棹 あとの荷物は 馬で来る

蝶ヨなーヨー 花ヨとヨー あーヤレヤレ
育てた娘 今日はなーヨー 他人のヨー あーヤレヤレ 手にわたす 
   「今日のとうさんいい顔してる 思い出してるお前のことを
   お前を初めて見たときに 同じ顔して見つめていたヨ あーヤレヤレ 可愛い娘」
故郷をなーヨー 恋しとヨー あーヤレヤレ
思うな娘 故郷をなーヨー 当座のヨー あーヤレヤレ 仮の宿
   「かあさん上手に言えないが からだを大事にいい嫁になれ
   涙で言葉になりません どうぞ娘をたのみます
   あーヤレヤレ どうぞ娘をたのみます」
   「まゆから飛び立つ蝶は あーヤレヤレ 嫁に出る
   今日はなーヨー 一番キレイダヨー あーヤレヤレ あーヤレヤレ あーヤレヤレ」
「馬子節」 (秋田・鹿角)
(出立の歌)
お立ちなハーエ お立ちとなハーヨ 首尾よくお立ちなハーエ
めでたなハーエ めでたのなハーエ 若松様よなハーエ 枝も栄えてなハーヨ
その葉も広くなハーエ お立ちなハーエ お立ちとなハーヨ
わしばかりお立ちなハーエ 残るなハーヨ お客はなハーエ みな福の神なハーヨ
(道中の歌)
とろりなハーエ とろりとなハーヨ この村通ればハーエ 村は良い村なハーヨ
その基盤のなハーエ 福寿村ハーヨ わたしゃなハーエ この道なハーヨ
やめらりゃこまるなハーエ 早く行かぬとなハーヨ みな日がなハーエ 暮れるなハーヨ
(嫁迎えの歌)
入るぞよなハーエ 入ればなハーヨ この女じょの都なハーエ
この家なハーエ ご亭主になハーヨ その納めますなハーヨ
親父なハーエ たんすを渡すなハーヨ 開けてなハーエ 見やんせ中黄金ハーヨ

(出立ちの歌)
お立ちナーハーエ お立ちどナーハーヨ 首尾よくお立ちンナーハーエ
めでたナーハーエ めでたのンナーハーヨ
若松様よンナーハーエ 枝も栄えてナーハーヨ その葉も広くンナーハーエ
お立ちンナーハーエ お立ちとなナーハーヨ
わしばりお立ちナーハーエ 後に残るナーハーヨ 
お客はナーハーエ みな福の神ナーハーヨ
(道中での歌)
とろりナーとろりとナーエ この村通ればナーハーヨ
村は良い村ナーハーエ その碁盤のナ福寿村ハーエ
わたしゃナーこの道ハーエ やめらりゃ困るナーハーヨ
早く行かねとナーハーエ みな日が暮れるナーハーヨ
(嫁迎えの歌)
入るぞナーハーエ 入るぞナーヨ
この家にナーハーエ 中にナー入ればヨー この嬢の都のナーハーエ
おやじナーハーエ 今来たナーヨ
箪笥をナーハーエ 渡すナーエ 
開けて見ゃんせナー 中黄金ナーハーエ

(里家出立の歌)
お立ちナーハエ お立ちとナーハーヨー 皆様お立ちナーハーヨー
後にナーハエ 残るはナーハーヨー 皆福の神ナーハーヨー
後のナーハエ 座敷でナーハーヨー お祝いなされナーハーヨー
(里家の庭にて)
この家館の お屋敷見れば 屋根は小判でソノ こけら葺き
(道中の歌)
とろりとろりと この村通れば さても良い村ソノ 福寿村
(到着の歌)
この家館の ご門を見れば 柱白銀ソノ ヌキ(貫)黄金
この家館の お庭を見れば 前と後ろにソノ 蔵七つ
中に入れば このジョゥ(嬢)の都 箪笥長持ソノ 七棹八棹
ここのご亭主にソノ 納めおく

蝶や花よと 育てた娘 今は他人のソノ 手に渡す
たとえ貰ったて 粗末にしない 奥の一と間にソノ 控えおく
立ちハィ(盃)頂き 目出度くお辞儀 後に残る客ソノ 皆福の神
この家館の お庭を見れば 前と後ろにソノ 蔵七つ
とろりとろりと この村通れば 無乱碁盤でソノ 福々と
入るぞ入るぞな 里家のご門 中に入ればソノ この嬢の都
目出度目出度と 若旦那様よ ご事業益々ソノ 五万石
諸国宝を 納めまいらす この家ご亭主にソノ 納めおく 
「長持唄」 (宮城)
ハアー 今日はナー 日も良し ハアー 天気も良いし
結びナー合わせてヨー ハアー 縁となるナーエー
   ハアー 蝶よナー 花よとヨー ハアー 育てた娘ー
   今日はナー 晴れてのヨー ハアー お嫁入りだーエー
ハアー さあさナー お立ちだヨー ハアー お名残り惜しやー
今度ナー 来る時ャヨー ハアー 孫連れてナーエー

(里方を出る時)
ハァー 笠をナー 手に持ちヨー ハァー さらばと言うて
重ねナー 重ねのヨー ハァー 暇乞いナァーエー
両手ついては 両親(ふたおや)様よ 永のお世話に なりましたぞえ
さあさお立ちだ お名残惜しや 今度来る時ゃ 孫連れて
(途中のめぼしい所で)
私ゃ嫁(ゆ)きます あの山越えて 花の故郷 後に見て
(婚家に近づいて)
今日は日もよし 天気もよいし 結び合わせて 縁となる
蝶よ花よと 育てた娘 今日は晴れての お嫁入り
(婚家について)
箪笥長持 嫁諸共に 二度と返すな 故郷に
故郷恋しと 思うな娘 故郷当座の 仮の宿
「仙北長持唄」 (宮城)
「長持歌」 (福島)
これでナ別れか お名残り惜しいョ ながのナお世話に なりましたョ
たんす七棹(さお) 長持八棹 持たせてやるぞ 花嫁ご
たんす長持 持たせてやるに 帰るものとは 思うなよ
さらば行きます ふた親様よ あどを頼みます 兄姉様よ (門おくり)
今日は日もよい 天気もよいし 結び合わせて 縁となる (途中)
受けとりましたよ この長持を 二度と返さぬ 里方へ
このや長持 受けとるからは 台場石腐るとも 返しゃせぬ (ご門迎え) 
関東

 

 
中部

 

「長持唄」 諏訪大社
諏訪にナー 名高きヤレヤレ 御柱祭の 今日はナー 山出し 登りかけナーヨー
諏訪のナー 御御柱ヤレヤレ 申寅の年 今年やナー 寅(申)年 お目出度いナーヨー
祭り祭りと 数あるけれど 諏訪の 御柱 日本一
男見るなら 七年一度 諏訪の木落し 坂落し
どうせ乗るなら 木落しお乗り 諏訪の男の 度胸だめし
ござる長持や 御柱御用 かつぐ若衆は 諏訪の花
御小屋出て見りゃ 明神様の 森が見えます ぽのぼの  
「山中節」 (石川)   ←(追分節)
ハアー わすれしゃんすな山中道を
 東ゃ松山 西ゃ薬師 チョイ チョイ チョイ
送りましょうか 送られましょうか せめて二天の橋迄も
傘を忘れて二天の橋で 西が曇れば思い出す
主のお傍とこおろぎ橋は 離れともない何時までも
山が高うて山中見えぬ 山中恋しいや 山にくや
薬師山から湯座屋をみれば ししが髪結うて 身をやつす
とんで行きたやおの山中へ 思いかけたる ほととぎす  

ハアー 忘れしゃんすなー 山中道を 東ゃ松山 西ゃ薬師
送りましょうか送られましょうか せめて二天の橋までも
山が高うて山中見えぬ 山中恋し山にくや
谷にゃ水音峰には嵐 あいの山中湯のにおい
薬師山から湯座屋を見れば 獅子が髪結うて身をやつす
薬師山から清水を見れば 獅子が水汲むほどのよさ
桂清水で手拭きひろた これも山中湯の流れ
桂地蔵さんにわしゃ恥ずかしい 別れ涙の顔見せた
お前見染めた去年の五月  五月菖蒲(しょうぶ)の湯の中で
飛んで行きたやこおろぎの茶屋 恋のかけ橋二人連れ
谷にゃ水音峰には嵐 あいの山中湯の匂い
浴衣肩にかけ戸板にもたれ 足でろの字をかくわいな
山が赤なる木の葉が落ちる やがて船頭衆がござるやら
笠を忘れて二天の橋で 西が曇れば思い出す
恋のしがらみかわいやおつる  泣いて別れた二天橋
近畿

 

「長持唄」 (兵庫・但馬)
(門出の歌)
今日は日も好し天気も好し 結び合わせて縁となる
蝶よ花よと育てた娘 今日は晴れてのお嫁入り
さっさと行きますお名残惜しや 今度来るときゃー孫連れて
箪笥三竿に長持四竿 持たせてやります親心
(道中歌)
箪笥長持桐の白木 中の衣装はなお見事
目出た目出たが三つえの重なり 鶴が御門に巣をかける
鶴が御門に巣をかけたらば 亀はお庭で舞をまう
(嫁入り先の門出での歌)
今日は日もよしお日柄もよし 結び合わせて縁となる
蝶よ花よと育てた娘 今日は晴れてのお嫁入り
なのも知らずに来ましたわいな 頼みますぞえ新郎さんよ
(受け取りの歌)
承知しました引き受けました 受けた限りは返しませんぞ
お前百までわしゃ九十九まで 共に白髪がで生えるまで
この家の床の間で花さかせます ああ繁盛繁盛 
「長持唄」 (和歌山)
祝いナー 目出度の この長持は
行たらナーエ 来やせな 帰さしゃせなエー
父(とと)さまナーエ 母(かか)さまナーエ 
御世話になった 今度ナーエ 来る時ゃ やや連れてナーエ  
中国

 

 
四国

 

 
九州

 

「博多長持唄」
ここはナーエー ここは箱崎(ヤロヤロー) お汐井(しおい)道よ 
右もナーエー 右も左もヨーエー 松ばかりナーエー(ホイホイホイ)
「箪笥長持唄」 (佐賀)
ハァー箪笥ナーヨ 長持ゃエー (ハァーヤロヤーローエー) サァー白木に朱雀
 中のナーヨ ご衣装は サァー綾錦また見事ナーヨ
(アラシッコイ シッコイ シッコイ) 
ハァー船もナーヨ 早かれエー サァー追風もよかれ
 先のナーヨ 幸せ サァーなお良かれナーヨ
ハァー届けナーヨ 届けとエー サァー末まで届け
 末はナーヨ 鶴亀 サァー五葉の松ナーヨ

箪笥ナーヨ長持ァ 七棹八棹 中にゃナーヨ 金銀 綾錦ナーヨ (ヤレヤレ)
箪笥長持 お渡しします 花の屋敷に 納めておくれ
箪笥長持 受け取るからは 二度と再び 返しゃせぬ
可愛がらんせ 今度の嫁は 朝寝嫌いの 仕事ずきよ
うけて眺むりゃ 小判の音する いくらお婿さんな 嬉しかろ  

今日はナー 日も良し 天気も良いし 結びナー 合せて 縁となる ナーエー
蝶よナー 花よと 育てた娘 今日はナー 他人の 手に渡す ナーエー
故郷ナー 恋しいとよ 思うな娘 故郷ナー 当座の 仮の宿 ナーエー
目出度ナー 目出度の重なる時は 天のナー 岩戸も 押し開く ナーエー
昇るナー 朝日のヨー 勢い込めて 箪笥ナー 長持 担ぎ込むナーエー
サアサナー お発ちだよ お名残り惜しや 今度ナー 来る時ャ 孫連れて ナーエー
嫁のナー 荷物は この家の宝 受けてナー 下され 御亭主様 ナーエー
箪笥ナー 長持よー 七棹八棹 さらばナー めでた 納めます ナーエー 
「長持唄」 (大分)
アー 祝いナーヨー めでたや若松様よ 枝もナーヨー
 栄える エー 葉も繁るナーヨー
たんす長持受け取りまする 道中無事にと届けます
蝶よ花よと育てた娘 今日は他人の人となる
生みの父上母上様よ 長のお世話になりました
たんす長持白木じゃあれど 中のお衣裳は綾錦
所望だ所望だと道ゃはかどらぬ 家じゃ婿さんが待ちかねる
たんす長持ち受け取りました 奥の座敷におさめます

ハー たんすナーヨー 長持ゃ ハー お渡しまする
 末々ナー よろしく ハー 頼みますナーヨー
たんす長持ゃ受け取りまする 二度とこの敷居ゃ越しゃせぬ
蝶よ花よと育てた娘 今日は晴れてのお嫁入り
船は入船 帆を巻き上げて 恵比須 大黒 舞い込んだ  
「長持唄」 (鹿児島)
音符もろたよ よか嫁 もろた 二度と かえさぬ この村里へ
音符花よと 育てた娘 今日は 晴れての お嫁入り
(他人のオヤ手に渡す)
音符立つぞ 今度こそ 立つぞ 今度来る時や オヤ孫つれて
 
「馬子唄」「馬方節」「牛方節」

 

「馬子唄」「馬方節」「馬追い歌」「馬喰節」「博労節」
「牛方節」「牛追い唄」
東北

 

「道中馬方節」 (青森)
矢立エー ハーエ 峠をエー
ハーエ 夜風をエー ハー 受けてヨーエ
ハーエ あきたエー ハーエ 夜長をエー
ハー あとにするヨーエ ハイ ハイハイト
   ここはエー ハーエ どこよとエー
   ハーエ 尋ねてエー ハー 聞けばヨーエ
   ハーエ ここはエー ハーエ 津軽のエー
   ハー 関の橋ヨーエ ハイ ハイハイト  
「南部馬方節」
ハアアーア アアーアーエ 朝の出がけにハアアーエ
山々見ればアーヨー (ハイーハイ)ハアアーエ
霧のオエハアーエかからぬ ウーエハア 山も無い (ハイハイ)
   南部片富士 裾野の原は
   西も東も 馬ばかり
さても見事な 馬喰さんの浴衣
肩に鹿毛駒 裾栗毛
   朝の出がけに 山々見れば
   黄金まじりの 霧が降る
ひとり淋しや 馬喰の夜ひき
明日は南部の 馬の市
   一夜五両でも 馬方いやだ
   七日七夜の 露を踏む
妾もなりたや 馬喰の嬶に
いつの芦毛の 駒に乗る
   心細いよ 馬喰の夜道
   何時も轡の音ばかり  
「南部馬方三下り」 (岩手)
朝の ハァ出がけに ハァ山々見れば 霧の ハァ掛からぬ山も無い
南部 ハァ良いとこ ハァ名馬の出所 一度 ハァお出でよ駒買いに
袖と ハァ袖とに ハァ手を入れかけて これが ハァ博労の幕の内
辛い ハァものだよ ハァ博労の夜道 七日 ハァ七夜の七手綱
かがよ ハァ今来た ハァ味噌米あるな なんの ハァ味噌米塩も無い
おらも ハァ成りたや ハァ博労のかがぁに いつも ハァ葦毛の駒に乗る
あねこ ハァ起きろよ ハァ浅草刈りに 朝の ハァそよ風身の薬
「南部駒引唄」
ハァー今日は天気もよいし 日もよいし ドンドとひき出せホーイホイ
目出度エ 目出度エのヨー(ヤー) 若松様ヨー(ホー)
枝もナーエー 栄えるヨー 葉も茂る(ヤー)
栄える枝も(ホー) 枝もナーエ 栄えるヨー葉も茂る
ハァー荒ごもけだてて じみちにのりだせ 天下の御用だホーイホイ
言うなエ語るなヨー お駒の池をヨー そこにナーエ清水のヨー
あることを 清水にそこにそこにナーエ 清水のヨーあることを
ハァーともぐつはらってドンドと 追い込め三十五両千疋ホーイホイ 
「南部道中馬方節」
矢立エハァ峠のエハアエ夜風をエ ハァうけてヨーエ
ハアエ秋田エハア夜長をエ ハァー後にするヨ
   こころ淋しや 馬喰の夜道よ
   鳴るはくつわの 音ばかり
一夜五両でも 馬方いやだ
馬の手綱で 日を暮らす
   さても見事な 馬喰のゆかた
   肩に鹿毛駒 裾栗毛
ここはどこよと たずねて見れば
ここは津軽の 関の橋よ 
「南部牛追い唄(沢内牛追い唄)」 (岩手)
田舎なれどもサーハーエ 南部の国はサー
 西も東もサーハーエ 金の山コーラサンサエー
沢内三千石 お米の出どこ つけて納めた お蔵米
さても見事な 牛方浴衣 肩に籠角 裾小ぶち
今度来るとき 持って来てたもれ 奥のみ山の ナギの葉を
肥えたべこコに 曲木の鞍コ 金の成る木を 横づけに
江刈葛巻 牛方の出どこ いつも春出て 秋もどる
「南部牛方節」 (岩手)
(キヤホ〜パーパーパー) 田舎なれども 南部の国はサー
 西も東も 金の山 (コラサンサエー キヤホーパーバーバー)
つらいものだよ 牛方の旅は 七日七夜の 長の旅
牛よつらかろ いまひと辛抱 辛抱する木に 金がなる
待っていろよ 牛方のかかさん 帰り土産に 金の小判
藪川街道に 深野沢がなけりゃ 通る牛方に 宿がない
赤も良い〜 高白も良い 中の背赤が なお可愛い
さんさしだの中 萱野のうさぎ 親がはれば 子もはねる
「秋田馬子唄」
(ハイーハイ)はぁ あべや(ハイ)はぁ  この馬(ハイ) 急げや唐毛〈からげ〉(ハイーハイ)
 はぁ 西の(ハイ)はぁ お山に(ハイ) ありゃ陽が暮れる(ハイーハイ)
辛いものだよ 馬喰〈ばくろう〉の夜道 七日七夜の ありゃ長手綱
一人寂しや 馬喰の夜道 後に轡〈くつわ〉の ありゃ音ばかり
さらば行くよと 手綱を曳けば 馬も嘶く〈いななく〉 ありゃ鈴も鳴る
峠三里の 山坂道を 青馬〈あお〉よ辛かろ ありゃ重たかろ 
「秋田馬方節」   
一人淋しや馬喰の夜道 闇(やみ)にくつわの音ばかり
今宵一夜で峠を越すか さぞや妻子が待ち兼ねろ
見目のよい子に馬曳(ひ)きさせて 七里七浜 唄で通る
 
ハアーエ 朝の出がけにエ
ハアエ東を見ればョ ハーアエ黄金
ハアエまじりのエ ハーエ霧が振る
   ハアーエ 博労さん晩の泊りはエ
   ハアエどこよときけばョ ハアエ泊りはエ
   ハアエ秋田のエ ハーエ本所町よ 
「牛方節」 (秋田)  
春の追ぼえ出しさあハエ 七疋追えばセー
どれが先やら 後だやら コラサンサヨー
さんさしだれ斑さぁハエ 歩けでぁ黒こぶちセー
早く行かねば 日が暮れる コラサンサヨー

金の牛べごコに 曲木の鞍コサーエ
金の成る木コ 横につけてサーエ コラサンサヤエト
あべやかしぶち 急げや赤毛サーエ
高いお山に 陽が暮れるサーエ コラサンサヤエト
金の牛コに 錦の手綱サーエ
おらも引きたや 引かせたやサーエ コラサンサヤエト
春の初めに 七疋追ぼえばサーエ
どれが先やら 後だやらサーエ コラサンサヤエト

可愛い牛方のサーハエ 浴衣コ見ねかセー
肩にかご牛 裾小斑 コラサンサエー
さんさ下り藤サーハエ 下がってもいるしセー
わしのベココが それさ往く コラサンサエー
わしの赤斑サーハエ などばりいるしセー
ひたすらまゝばり 掘っているね コラサンサエー
あべやかし斑サーハエ 急げや赤毛セー
高いお山に 陽が暮れる コラサンサエー
肥えたベココにサーハエ 曲木の鞍コセー
金の成る木を 横コにつけて コラサンサエー 
「村山馬喰節」 (「山形馬喰節」)
(ハーイハイドー)
ハァーエードーエ (ハーイ)
竿灯にナーヨーエ (ハーイ)
登りのナーエ (ハーイ)
小坂の茶屋でナー (ハーイハイドー)
最上のナーヨーエ (ハーイ)
馬喰さんヨーナーエ (ハーイ)
お帰りの際にはナー (ハーイハイドー)
お寄り下しゃんせヨー (ハーイ)
ほんにナーヨーエ (ハーイ)
ほんにナーエ (ハーイ)
 待ちておるヨー (ハーイハイドー)
ハアーエードーエ 二両でナーヨーエ
買ったる馬ッコーエ 売りにかけたならヨー
十両で売れた 儲けをナーヨーエ
見たならヨーエ 八両儲けた
今年のナーヨーエ 年のナーエ
アーアリャアーエ 初馬喰ド 
「宮城馬喰節」 (宮城)
「白河馬喰節」 (福島) 
関東

 

「馬方節」 (那須塩原) 
ハァー 奥のばくろうさん どこで夜が明けた
ハァー どってばかけだす うわきなたしょだよ ハィーハィー
ハァー 二十三坂 七曲り
ハァー もらった馬でも 関東に引き出しゃ 十五両二分だよ ハィーハィー
ハァー うすい峠のごんげん様よ わしのためには守り神
ハァー 七ツ八ツ引く親方よりも 一つ手引きがわしゃかわい
ハァー 馬よ泣くなよもう家ゃ近い 森の中から火が見える  
「那須馬喰節」
「箱根馬子唄」    ←「南部馬方節」
箱根八里は(ハイハイ)馬でも越すが(ハイハイ)越すに越されぬ大井川(ハイハイ)
めでためでたのこの盃は 鶴が酌して亀が飲む
関所通ればまた関所 せめて関所の茶屋迄も
お前百までわしゃ九十九まで 共に白髪の生えるまで

(ハイハイ)
箱根(ハイハイ)八里は(ハイハイ)
馬でも越すが(ハイハイ)越すに越されぬ 大井川(ハイハイ)
箱根御番所に 矢倉沢なけりゃ 連れて逃げましょ お江戸まで
三島照る照る 小田原曇る 間〈あい〉の関所は 雨が降る
松になりたや 箱根の松に 諸国大名の 日除け松
雲か山かと 眺めた峰も 今じゃわしらの 眠り床
箱根番所と 新井がなけりゃ 連れて行きましょ 上方へ
尾上 高砂 千歳の松は 千代も変わらぬ 深緑 
中部

 

「御坂馬子唄」 (山梨)
御坂夜道は 何やらこわい (ハイー ハイ) 早く音を出せ ホトトギス (ハイ― ハイ)
今日の寒さに 主さんは御坂 お手に手綱が 凍りつく
松になりたや 御坂の松に 上り下りの 手かけ松
御坂三里は 海ならよかろ かわいいあなたと 船で越す
好いた馬方 やめろじゃないが 御坂夜道は よさせたい 
「小諸馬子唄」 (長野)
小諸でぬけりゃ 浅間の山にヨー 今朝も三筋の  煙立つ ハイハイ
浅間根腰の 焼野の中に 菖蒲咲くとは しおらしや ハイハイ
ここはどこだと 馬子衆に問えば ここは信州 中山道 ハイハイ
浅間山から 出てくる水は 雨も降らぬに 笹にごり ハイハイ
黒馬(あお)よ啼くなよ もう家(うち)や近い
森の中から 灯が見える ハイハイ
「追分馬子唄」 (長野)
追分桝形の エー茶屋でヨー ホロと鳴いたが アリャ忘らりょか (ハイーハイー)
浅間山さん エーなぜ焼け エーしゃんすヨー 裾に三宿 エー持ちながらヨー
小諸出てみりゃ エー浅間の エー山にヨー 今朝も煙が エー三筋立つ
碓氷峠の エー権現 エー様は 主のためには エー守り神
浅間山では エーわしゃない エーけれど 胸に煙りが エー絶えやせぬ
浅間根越の エー小砂利の エー中で あやめ咲くとは エーしおらしや
西は追分 エー東は エー関所ヨー 関所越ゆれば エー旅の空
「小室節」
小諸でて見りゃ浅間の山に 今朝も三筋の  煙立つ
小諸出抜けてからまつ行けば 松の露やら 涙やら
田舎田舎と都衆は言えど しなのよいのが 小室節
さても見事やおつづら馬よ 馬子の小唄に 小室節
「小谷馬方節」 (長野)
「馬方節」 (愛知・北設楽郡津具村)
「五箇山追分節」 (富山) (牛方節、追分節)
五斗俵かずいてもイナー 道若杉ぬイナー オッソコ ソコソコ
 男だてなら二俵かずくイナー (お囃子)オッソコ ソコソコ
五斗俵二俵 イナー 及びもないがイナー せめて楮(こうぞ)のいわいごいをイナー
姿見えねど イナー 朝霧ついてイナー うたは追分鈴の音イナー
牛の二俵は イナー 鈴の音高いイナー 追うは無駄ごとひかれづめイナー  
「越前馬子唄」 (福井)
(ハイハイ)
笠を忘れた (ハイ) ハァー 敦賀の (ハイ)
茶屋で (ハイハイ) 空が 曇れば (ハイ)
ハァ 思い (ハイ) 出すョ (ハイハイ)
わらで髪結うた 馬方なれど 女郎衆 待ちます 府中の宿で
あなた一人が お連れがあるか お連れ後から 駕籠で来る
今庄まで来た 府中まで五里じゃ 帰り馬なら 乗せてくれ
二百十日に 風さえ吹かな 親子三人 寝て暮らす
お月さんでさえ ごじゃれにじゃれて 日野の山から すきのぞき
馬は豆好き 馬方酒が好き 乗った中乗りゃ 女郎が好き  
近畿

 

「鈴鹿馬子唄」 (三重)   ←「小室節」
(ハイ ハイ)
坂は照る照る 鈴鹿は曇る (ハイ ハイ) 
あいの土山 エー雨が降る (ハイ ハイ)
馬がもの言うた 鈴鹿の坂で お参宮上(おさん女郎)なら エー乗しょと言うた
坂の下では 大竹小竹 宿がとりたや エー小竹屋に
手綱片手の 浮雲ぐらし 馬の鼻唄 エー通り雨
与作思えば 照る日も曇る 関の小万の エー涙雨
関の小万が 亀山通い 月に雪駄が エー二十五足
関の小万の 米かす音は 一里聞こえて エー二里ひびく
馬は戻(い)んだに お主は見えぬ 関の小万が エーとめたやら
昔恋しい 鈴鹿を越えりゃ 関の小万の エー声がする
お伊勢七度 おたがわ八度 関の地蔵は エー月参り 
「丹波馬方節」 (兵庫) 
(ハイハイ)
お国エ(ハイ) ハァー問われて(ハイ) 肩いからせて(ハイハイ)
ハァー俺はエ(ハイ) ハァー丹波の アリャ篠山だヨ(ハイハイ)
   丹波エ ハァー与作の 馬追い姿  
   ハァー霧にエ ハァー消え行く アリャ鈴の音 
中国四国九州

 

「室津郷馬子唄」 (高知)
「加世田馬方節」 (鹿児島)
ここは薩摩のヨ 三太郎坂よ 駒は痩せ駒
積み荷は 重し 重し
降りてたもれようオ あの旦那様よ 先のドブツで
また乗せ 申す 申す
ここは薩摩のヨ 白銀坂よ 夜道とおれば 
夜道は 障る 障る
昼も岩肌ヨ 通りでござる 雨の夜道は
ひとしお ござる ござる  
 
「よされ節」

 

「よされ節」「よしゃれ節」    
北海道・東北

 

「北海よされ節」 (北海道)
○ 姉と妹に 紫着せて どちらが姉やら 妹やら 姉は山々 山桜
 妹吉野の 糸柳 よされソーラヨーイ
○ あの娘十八 村一番の 踊り上手で よく稼ぐ 嫁にやるのか 婿とるか
 月の十五夜 気にかゝる よされソーラヨーイ
○ あの娘十八 村一番の 踊り上手で よく稼ぐ 嫁にゆくのか 婿とるか
 月の十五夜 気にかゝる よされソーラヨーイ
○ あの娘よい娘だ 村一番の 踊り上手で よく稼ぐ 嫁にやるのか 婿とるか
 月の十五夜 気にかかる よされソーラヨーイ
○ 唄で自慢の 北海道は 雪の中から 唄声もれる 踊りなされや お囃子なされ
 老いも若きも 皆踊る よされソーラヨーイ
○ 蝦夷地よいとこ 一度はござれ 北は米蔵 千両箱 波に黄金の 花が咲く
 祝う大漁の ○○し唄 よされソーラヨーイ
○ 蝦夷地よいとこ 一度はござれ 北は米蔵 千両箱 波に黄金の 花が咲く
 唄う大漁の 祝い唄 よされソーラヨーイ
○ 蝦夷の海辺に ながれる唄は 岩にくだけて 寄せ返る 追分まじりの 波しぶき
 沖の鴎も 舞い踊る よされソーラヨーイ
○ 音頭とるのは 小粋な若衆 踊るあの娘の 方えくぼ 仲をとりもつ よされ節
 添わせ見せたや 花同志 よされソーラヨーイ
○ 熊とマリモと 追分節は 自慢話の 種になる 国の名物 数あれど
 わけて盆唄 よされ節 よされソーラヨーイ
○ そよぐ夜風に 誘いの太鼓 いつか知らずに やぐら下 心も踊る 盆唄に
 昼の疲れも どこへやら よされソーラヨーイ
○ 揃い浴衣に ちりめん帯が ぐるり輪になりゃ チョイと可愛い こよい十三日 盆踊り
 さす手引く手に 花が咲く よされソーラヨーイ
○ 揃い浴衣に ちりめん帯が ぐるり輪になりゃ チョイと可愛い こよいお盆だ 盆踊り
 さす手引く手に 花が咲く よされソーラヨーイ
○ 揃た揃たよ 踊り子が揃た 手足引く手に しなつけて 歌が揃えば 気も揃う
 みんな揃って よされ節 よされソーラヨーイ
○ 揃た揃たよ 踊り子が揃た 出足引く手に しなつけて 歌が揃えば 気もそろう
 みんな揃って よされ節 よされソーラヨーイ
○ 揃た揃たよ 踊り手が揃た 手足引く手に しなつけて 歌が揃えば 気もそろう
 みんな揃って よされ節 よされソーラヨーイ
○ 揃た揃たよ 踊り手が揃た 出足引く手に しなつけて 歌が揃えば 気もそろう
 みんな揃って よされ節 よされソーラヨーイ
○ 電信柱に ツバメがとまる 停車場停車場に 汽車止まる 港港に 船泊まる
 ○○す○○○の ○○とまる よされソーラヨーイ
○ 盆の踊りに 化粧はいらぬ たすき花笠 なおいらぬ 心も明るく 輪になって
 ○○○○○○○ それ踊れ よされソーラヨーイ
○ 盆の踊りに 化粧はいらぬ たすき花笠 なおいらぬ 心も明るく 輪になって
 親も子も来い 孫も来い よされソーラヨーイ
○ 盆の踊りを 踊らぬ者は 当世不向きの おくれもの 品のよしあし いゝじゃないか
 下駄のへる程 踊りゃんせ よされソーラヨーイ
○ 盆の踊りを 踊らぬやつは 出世不向きの おくれもの しなのよしあし いいじゃないか
 下駄の減る程 踊りゃんせ よされソーラヨーイ
○ 盆の踊りを 踊らぬやつは どうせ不向きの おくれもの 姿(しな)のよしあし いいじゃないか
 下駄の減る程 踊りゃんせ よされソーラヨーイ
○ 盆の十六日ゃ 地獄も祭り エンマ様さえ 踊るそな じゝもおばゝも それ踊れ
 今宵お盆だ 夜明かしだ よされソーラヨーイ
○ 山で啼く啼く あのきりぎりす 草と刈られて 丸められ 八百屋お七じゃ ないけれど
 馬の背で啼く その声あわれ ソーラヨーイ
○ 炭鉱(やま)の男は 陽気なものさ 地下は千尺 深いもの 掘れば○○○る 黒ダイヤ
 可愛いあの娘の 気にかかる よされソーラヨーイ 
「南部よされ節」 (青森)
よされ駒下駄の 鼻緒が切れたヨサレサァヨサエー
誰がたてたか ヨサ又切れたヨサレサァヨサエー
何をくよくよ 川端柳ヨサレサァヨサエー
水の流れを ヨサ見て暮らすヨサレサァヨサエー
声の良いのに 唄せて聞けばヨサレサァヨサエー
松の林の ヨサ蝉の声ヨサレサァヨサエー
よされ茶屋のかがぁ 花染めのたすきヨサレサァヨサエー
肩に掛からねで ヨサ気に掛かるヨサレサァヨサエー
よされ茶屋のかがぁ お客を設けたヨサレサァヨサエー
客と思えや ヨサ福の神ヨサレサァヨサエー
「津軽よされ節」 (青森)
アー調子替わりのよされ節 ヨサレソラヨイヤー
アー恋し懐かし 我が家を離れ
アー私深山で炭を焼く 山小屋暮らしも幾月ぞ 指折り数えて早六月
アー空行く雲の色見ても 谷間流れる水見ても 秋の深さを思わせる
アー里は今頃何してる 稲やりんごの取り入れか 吾が子思えば寝もやらず
一人眺める 峰の月 ヨサレソラヨイヤー
   津軽よいとこ おいらの国よ
   春は桜の弘前に 盃片手に眺むれば 霞に浮かぶ津軽富士
   夏はそよ風波静か 大渡瀬(おおどせ)深浦浅虫よ 中でも際立つ十和田湖や
   黒石在は秋の頃 続くりんごの紅園に 流れる乙女の 国の唄
   冬はスキーの阿闇羅山 日本一の名も高い 麓に大鰐湯の町よ
   右も左も よされ節 ヨサレソラヨイヤー
浜の松風 夜毎に聞いて
待てど来ぬ人焦がれ船 どこの港に居るのやら 山背吹き出しゃ寝付かれぬ
私ゃおきざり鴎鳥 夢の通い路白波に 未練月夜に濡れて泣く
逢うが別れの運命(さだめ)なら いつか逢う日も巡りくる 船は潮路の風次第
早く聞きたや 舟唄を ヨサレソラヨイヤー
   おらが津軽に 一度はござれ
   どこの村にも湯の煙 一度入れば雪の肌 どんな女も惚れてくる
   米は名代の津軽米 粘り強くて艶ようて 津軽ならでは味わえぬ
   津軽りんごの味のよさ 一度食べたら忘られぬ 袈裟や衣の坊主でも
   色と香りで 迷わせる ヨサレソラヨイヤー
右に下北 左に津軽
中に抱かれた陸奥の海 前に鴎が舞い遊ぶ 出船入船大漁船
遠く霞むは恐山 山の麓に立つ煙 あれは炭焼く煙かや
青函航路は波静か 明日は小樽か札幌か 
夢も楽しい 波枕 ヨサレソラヨイヤー
   父は高嶺の津軽の富士よ
   母は岩木の川水よ 中に生まれて色づいた りんご娘の紺絣
   色のつくのを待ちかねて 母の膝からもぎ取られ 泣く泣く箱に入れられて
   知らぬ他国で皮剥かれ 味のある内しゃぶられて 芯が細れば捨てられる
   津軽の夢見て 泣いている ヨサレソラヨイヤー
花が咲いたり燕が来たり
春を待つやら水車 水の飛沫に濡れながら 日にち毎日くるくると
巡る浮世のはかなさよ 水音瀬音に夢のせて 誰の思いで廻るやら
道行く車は輪が二つ 夫婦車ではなれない 水車あわれや輪が一つ
一人暮らしで 世を送る ヨサレソラヨイヤー
   酒は天下の 宝の水よ
   汗を流した一日は 熱いお酒の一杯は 喉を通ればついホロリ
   祝儀の酒なら格別よ 重ねるごとに気が踊る 弾む手拍子唄がとぶ
   踊るよされの晴れ姿 じょんがら節よあいや節 座敷賑わう酒の味
   酒の善し悪し 飲み次第 ヨサレソラヨイヤー
深山育ちの 藪鶯が
花に誘われ谷を出て 里の一声よされ節 声の調べも乱れがち
まだ春浅きひなどりの 親に抱かれてホーホケキョ 唄もこの世にままならぬ
海山越えて旅の空 遠くきらめく一つ星 故郷(ふるさと)恋しや父恋し
夜は枕に 母の夢 ヨサレソラヨイヤー
   りんご畑で 別れてきたが
   顔が夜空にちらついて 思い切る気を迷わせる 未練月夜は薄曇り
   意地は女のうわべだけ 胸に涙のやるせなさ 呼べど帰らぬ恋の夢
   渡り鳥でもまた戻る 春は過ぎてもまた巡る 二度と帰らぬ人の春
   夜毎夜毎に すすり泣き ヨサレソラヨイヤー
津軽よいとこ 一度はござれ
四季に見あかぬ津軽富士 花は弘前おうよう園 港青森人の波
若い娘コの紅の袖 波止場あたりにチラチラと 誰を待つやらもの思い
一夜泊まりの旅の衆 煙残して行く船も 津軽恋しゅうてまた戻る 
住めば人情の 厚いとこ ヨサレソラヨイヤー
   津軽よいとこ 住みよいところ
   厚い人情のあるところ 旅の鳥でも一休み 一夜泊まりが七八日(ななようか)
   四方(よも)の山々花盛り 招く姉コは片えくぼ 心あかした薄化粧
   りんご見たさに来た人が りんご作りや子を作り 末は津軽の人となる
   一度来てみよ 俺が国 ヨサレソラヨイヤー
故郷偲んで りんごを唄う
わしの生まれは弘前よ 津軽民謡を口ずさみ りんご畑を見て育つ
岩木高嶺の雪解けりゃ 桜とお城に 人がよい まもなくりんご 咲き誇る
津軽娘が手入れして 人工交配袋掛け 枝もたわわに実を結ぶ
色つや味良く 世界一 ヨサレソラヨイヤー
   土堤にあやめの花咲く頃は
   村の社の宵祭り 朝から聞こえる笛太鼓 若い娘の胸躍る
   今夜踊ろよ盆踊り 派手な浴衣に帯締めて 月にほんのり白い雲
   あふれるような晴れ姿 お月様さえだまされる 私もあの娘にだまされた
   情け豊かな 村娘 ヨサレソラヨイヤー
さても見事な揃いの衣装
津軽リンゴの染め模様 方に大中玉かんよ 腰にデリシャスゴールデンよ
裾に千成雪の下 お国自慢の新柄で 可愛いあの娘によく似合う
リンゴ祭りのお祝いに 津軽乙女の意気見せて 踊る連中の身を飾る
揃い衣装の はなやかさヨサレソラヨイヤー
   父は高嶺の津軽の富士よ
   母は岩木の川水よ 中に生まれて色づいた りんご娘の紺絣
   色のつくのを待ちかねて 母の膝からもぎ取られ 泣く泣く箱に入れられて
   知らぬ他国で川むかれ 味のあるうちしゃぶられて 芯が細れば捨てられる
   津軽の夢見て 泣いているヨサレソラヨイヤー
東下りの左衛門殿が
腰掛け茶屋にて腰おろし こんにゃく肴で酒飲んで こんにゃく刺をば喉にさす
申しそこ通る姐さんよ 刺取る薬を知らないか 刺取る薬を教えましょう
浜辺に生えた竹の子と 山家深山の蛤と 六月土用に降る雪と 三品煎じて飲んだなら
どんな刺でも すぐ取れるヨサレソラヨイヤー 
「黒石よされ節」 (青森)
黒石よされ節 どこにもないよサーアンヨ(ハ エッチャホーエッチャホー)
歌って見しゃんせ 味がある ヨサレサーアンヨ(ハ エッチャホーエッチャホー) 
十和田帰りに 車をとめてサーアンヨ お湯の温湯(ぬるゆ)で 一休み
見たか黒石 聞いたかよされサーアンヨ 盆の踊りは 日本一
岩木眺めて 踊ろじゃないかサーアンヨ 秋はりんごと 米の山
よされこま 下駄の緒こ切れたサーアンヨ たてて間もなく 又切れた
踊り踊るなら 愛宕の庭(つぼ)でサーアンヨ 深くなるほど 御堂のかげ
そこのあんさま 頬被り嘘だサーアンヨ おらと馴染まば 教えてやる
温湯板留(いたどめ) 鰹節ゃいらぬサーアンヨ 中野お不動様 だしになる
行けば板留 帰れば温湯サーアンヨ 思い中野で 気はもみじ
踊るも跳ねるも 今夜ばりだサーアンヨ 明日は田圃で 稲刈だ
姉コかわエく無いな 坊様と連れてサーアンヨ 
 かわエベァかわエく無エベァ 好きだからどせばサーアンヨ
サヨ子コラコラ 泣かねでさべろサーアンヨ 泣けば話コ くどくなる
今夜一夜は 浦島太郎よサーアンヨ 明けてくやしや 玉手箱
馴染持てから 二三日たてばサーアンヨ 金の千両も 持た心
一夜二夜なら わしゃ帯解かねァサーアンヨ 長く馴染むなら 帯も解く
親父持てから 一升飯ゃ足れねァサーアンヨ 食ったり食ねァだり 腹へらし
馴染ゃ買てけだ 赤い緒の下駄コサーアンヨ はけば世間の 人ァ騒ぐ
話ししたとて ケヤグになたらサーアンヨ 俺ほ若い衆は 皆ケヤグ
馴染ゃ唄コを 水産前で聞けばサーアンヨ 掛けた襷も ゆるくなる
馴染ゃ持つなら 二十四か五六サーアンヨ 十九 二十は 色ばかり
思い切ろたケヤ 飴鉢投げたサーアンヨ  思い切るのか 粘るのか
好きと好きなら 野原で寝てもサーアンヨ  離れ座敷で 寝た心
行げばじょうしきだじゃ中野のお松と 歌えばサーアンヨ
 お松じょうしきだば おら嬶いらぬ
めらし居だかと 窓からみればサーアンヨ  親父ゃ横座で 縄なてら
旦那様でも 惚れれば馴染みサーアンヨ 不調法ながらも 足あげる
よされよされは どこでもはやるサーアンヨ まして黒石 なおはやる 
「南部よしゃれ節」 (岩手)
ハァよしゃれ茶屋のかかサー 花染めのたすき
サーハーンヨー (チョイサノサッサ)
肩にかからねでサー気にかかる
ヨーシャレサーハーンヨー (チョサノサッサト  チョイサノサッサ)
よしゃれおかしゃれ その手はくわぬ その手くうよな 野慕じゃない
よしゃれ駒下駄の 鼻緒が切れた 誰がたてたか また切れた
南部〜と 皆様おしゃる 南部あねコと 馬がよい
よしゃれ〜は どこでもはやる まして南部の 雫石
一ッ出します 憚りながら 唄の違いは ご免なされ
おらも若い時 こちゃ来と言われた 今じゃ秋の水 よけられる  

よされ駒下駄の 鼻緒が切れたヨサレサァヨサエー
誰がたてたか ヨサ又切れたヨサレサァヨサエー
何をくよくよ 川端柳ヨサレサァヨサエー
水の流れを ヨサ見て暮らすヨサレサァヨサエー
声の良いのに 唄せて聞けばヨサレサァヨサエー
松の林の ヨサ蝉の声ヨサレサァヨサエー
よされ茶屋のかがぁ 花染めのたすきヨサレサァヨサエー
肩に掛からねで ヨサ気に掛かるヨサレサァヨサエー
よされ茶屋のかがぁ お客を設けたヨサレサァヨサエー
客と思えや ヨサ福の神ヨサレサァヨサエー  
「雫石よしゃれ」 (岩手)
「花輪よされ」 (秋田)
よされサァ よされ駒下駄緒が切れた よされサァァ…
誰が立てたやら又切れた よされサァァ…
円い玉子でも 切りよで四角 物も言いよで 角が立つ よされサァァ…
関東

 

 
中部

 

「柴橋よされ」 (新潟)
 
「小原節」「おはら節」「オハラ節」「オワラ節」

 

「小原節」「おはら節」「オハラ節」「オワラ節」 
 

 

「津軽おはら節」 (青森)
お山晴れたよ 朝霧晴れた 裾の桔梗も 花盛り 谷の向こうで まぐさ刈り

(サァーハァサァー ダシタガーハァヨイヤー)
ハァー春は桜の 弘前城 夏は緑の岩木山
秋は十和田の 紅葉狩り 冬は大鰐 湯の香り
   ハァー津軽富士の そよ風に 岩木の川の せせらぎに
   恵み豊かな 山川の 情けに育つ 津軽唄
ハァー唄のひと節 三味の音に のせて女の 心意気
思いかよわす 小原節 津軽よいとこ オハラ 唄どころ

サ アーアア サア出したがよいやー
アー津軽名物あの七不思議 世にも珍し不思議なことよ 
西海岸は北金ヶ沢 ここの銘木銀杏の幹は
幾星霜の今の世に 神の御授けお乳が出るよ 
同じ郡の十三村は 夏冬通して雪囲い
雨が降っても草履はく 北の郡は金木町 
嘉瀬と金木の間の川コ小石流れて木の葉が沈む
ここの隣りの長富堤 春秋変わらぬ浮島ござる 
葦に節なし黄金葦 一度来てみよオハラ四方の君
「秋田小原節」
ハァーサーサダシタガ アヨーエ
ハァー野越え山越え 深山越え
あの山越えれば紅葉山
紅葉の下には鹿がおる
鹿がホロホロ 泣いておる
鹿さん鹿さん 何故なくの
   ハァー私の泣くのは ほかじゃない
   はるか向こうの 木の陰に
   六尺あまりの狩人が
   五尺二寸の鉄砲かつぎ
   前には赤毛の 犬をつれ
   後ろに黒毛の 犬つれて
ハァーあれにうたれて 死んだなら
死ぬるこの身はいとはねど
後に残りし 妻や子が
どうして月日を送るやら
思えば涙が おはら先にたつ  
「越中おわら節」 (富山)
歌われよーわしゃ囃す
八尾よいとこ おわらの本場 キタサノサードッコイサノサ
二百十日を オワラ 出て踊る
来たる春風 氷が解ける うれしや気ままに 開く梅
私ゃあなたに あげたいものは 金の成る木と 卵酒
虎は千里の藪さえ越すに 障子一重が ままならぬ
仇や愚かで 添われるならば 神にご苦労は かけやせぬ
恋の病も なおしてくれる 粋な富山の 薬売り
そっと打たんせ 踊りの太鼓 米の成る木の 花が散る
見たさ逢いたさ 思いが募る 恋の八尾は 雪の中
狭いようでも 広いは袂 海山書いたる 文の宿
話するなら 小松原の下で 松の葉の様に こまごまと
おわら踊りの 笠着てござれ 忍ぶ夜道は 月明かり
お風邪召すなと 耳まで着せて 聞かせともなや 明けの鐘
待てど出てこず 出る時ゃ会えず ほんにしんきな 蜃気楼
蛍こいこい 八尾の盆に 夜の流しの 道照らせ
鳴くなこおろぎ 淋しゅうてならぬ お前一人の 秋じゃなし
私ゃ野山の 兎じゃないが 月夜月夜に 会いにくる
手っ甲脚絆に 紅緒の襷 可愛いやな早乙女 風の盆
唄で濡れたか 夜露を着鬢がほつれた 風の盆
唄で知られた 八尾の町は 盆が二度来る 風の盆
唄の町だよ 八尾の町は 唄で糸取る 桑も摘む
花や紅葉は 時節で色む 私ゃ常盤の 松の色
花も実もない 枯木の枝に とまる鳥こそ しんの鳥
軒端雀が また来て覗く 今日も糸引きゃ 手につかぬ
白歯染めさせ 又落とさせて わしが思いを 二度させた
私ゃ朝顔 朝寝の人に 丸い笑顔は 見せやせぬ
あなた今着て 早お帰りか 浅黄染めとは 藍足らぬ
八尾おわらを しみじみ聞けば むかし山風 草の声
鹿が鳴こうが 紅葉が散ろうが 私ゃあなたに 秋がない
城ヶ島から 礫を投げた 恋の思案の 紙礫
城ヶ島から 白帆が見える 白帆かくれて 松の風
城ヶ島から 白帆が見える 二つ三つ四つ 有磯海
お前来るかと 待たせておいて どこへそれたか 夏の雨
来るか来るかと 待たせておいて 何処へそれたか 夏の雨
八尾よいとこ 蚕の都 秋は野山も 唐錦
八尾八尾と 皆行きたがる おわらよいとこ 唄の里
烏勘三郎の 嫁さの供は 柿の提灯 下げてきた
可愛い鳥だよ つぐみの鳥は 柿をつついて 紅つけた
月が隠れりゃ また手をつなぐ 揺れる釣橋 恋の橋
月は満月 夜はよいけれど 主に逢わなきゃ 真の闇
月に焦がれる すすきの花は 枯れてしおれて また招く
雪の立山 ほのぼの開けて 越の野山は 花盛り
磨け磨けど ねは鉄のよう ついと浮気の 錆が出る
針の穴から 浮名がもれる 逢うて逢われぬ 人の口
粋な小唄で 桑摘む主の お顔見たさに 回り道
別れが辛いと 小声で言えば しめる博多の 帯がなく
仇な色香に 迷いはせねど 実と情けにゃ つい迷う
瀬戸の桐山 烏のお宿 桐の枯葉を 着て泊まる
古謡
あいや可愛いや いつ来て見ても たすき投げやる 暇がない
たすき投げやる 暇あるけれど あなた忘れる 暇がない
調子替わりは いつでもよいが 心変りは いつも嫌
姉ま何升目 三升目の釜 後の四升目で 日が暮れる
姉まどこへ行く 三升樽下げて 嫁の在所へ 孫抱きに
姉まどこへ行く 餅草摘みに 俺も行きたや びく下げて
殿まと旅すりゃ 月日を忘れ 鶯鳴くそな 春じゃそな 
あなた百まで わしゃ九十九まで 共に白髪の 生えるまで
おらっちゃ姉まの 山行き帰り 桐山焼き餅 三つ貰うた
二百十日に 風さえ吹かにゃ 早稲の米喰うて 踊ります
山へ登れば 茨が止める 茨離しゃれ 日が暮れる
お前一人か 連衆はないか 連衆ぁ後から 駕籠で来る
ホッと溜息 小枠を眺め こうも糸嵩 ないものか
盆が近うなりゃ 紺屋へ急ぐ 盆の帷子 白で着しょう
唄うて通るに なぜ出て会わぬ 常に聞く声 忘れたか
常に聞く声 忘れはせねど 親の前では 籠の鳥
咲いた桜に なぜ駒つなぐ 駒が勇めば 花が散る
竹に雀は 品よくとまる とめてとまらぬ 恋の道
向こう小坂の 仔牛を見れば 親も黒けりゃ 子も黒い
飲めや大黒 踊れや恵比寿 亀の座敷に 鶴の声
八尾四季
揺らぐ吊り橋 手に手を取りて 渡る井田川 春の風
富山あたりか あの灯火は 飛んでいきたや 灯とり虫
八尾坂道 別れてくれば 露か時雨か ハラハラと
もしや来るかと 窓押し開けて 見れば立山 雪ばかり
鏡四季
恋の礫か 窓打つ霰 明けりゃ身に染む 夜半の風
積もる思いも 角間の雪よ 解けて嬉しい 梅の花
主の心は あの釣橋よ 人に押されて ゆらゆらと
八尾坂道 降り積む雪も 解けて流れる おわら節
五文字冠り
雁金の 翼欲しいや 海山越えて 私ゃ逢いたい 人がある
桜山 桜咲さねば ありゃただの山 人は実がなきゃ ただの人
菊水の 花は枯れても 香りは残る 清き流れの 湊川
滝の水 岩に打たれて 一度は切れて 流れ行く末 また一つ
隅田川 清き流れの 私の心 濁らすもそなたの 胸の中
ポンと出た 別荘山から 出た出た月が おわら踊りに 浮かれ出た
色に咲く あやめ切ろうとて 袂をくわえ 文を落とすな 水の上
奥山の 滝に打たれて あの岩の穴 いつほれたともなく 深くなる
白金の ひかり波立つ 海原遠く 里は黄金の 稲の波
枯芝に 止まる蝶々は ありゃ二心 他に青葉を 持ちながら
朝顔に 釣瓶とられて わしゃ貰い水 どうしてこの手を 放さりょか
月の出の 坂を抜け行く 涼風夜風 盆が近いと 言うて吹く
逢えば泣く逢わにゃなお泣く泣かせる人に何で泣くほど逢いたかろ
色に咲く 菖蒲切ろうとて 袂をくわえ 文を落とすな 水の上
長閑なる 春の夜道に 手を引き合うて 主に心を つくづくし
露冴えて 野辺の千草に 色持つ頃は 月も焦がれて 夜を更かす
十五夜のお月様でも あてにはならぬ 四五日逢わなきゃ角が立つ
奥山の 一人米搗く あの水車 誰を待つやら くるくると
久々で 逢うて嬉しや 別れの辛さ 逢うて別れが なけりゃよい
ほのぼのと 磯に映りし あのお月様 深い仲だが とまりゃせん
花咲いて 幾度眺めた あの海山の 色に迷わぬ 人はない
元旦に 鶴の声する あの井戸の音 亀に組み込む 若の水
諏訪様の 宮の立石 主かと思うて ものも言わずに 抱きついた
唐傘の 骨はちらばら 紙はがれても 離れまいとの 千鳥がけ
今返し 道の半丁も 行かない内に こうも逢いたく なるものか
今しばし 闇を忍べよ 山ほととぎす 月の出るのを 楽しみに
三味線の 一の糸から 二の糸かけて 三の糸から 唄が出る
字余り
梅干しの 種じゃからとて いやしましゃんすな 昔は花よ 鴬とめて鳴かせた こともある
竹になりたや 茶の湯 座敷の柄杓の 柄の竹に
いとし殿御に 持たれて汲まれて 一口 飲まれたや
這えば立て 立てば歩めと育てたる 二親様を 忘れて殿御に 命がけ
二間梯子を 一丁二丁三丁四丁五六丁掛けても 届かぬ主は
どうせ天の星じゃと あきらめた
綾錦 綸子 羽二重 塩瀬 縮緬 郡内緞子の重ね着よりも
辛苦に仕上げたる 固い手織りの木綿は 末のため
ふくら雀に 文ことづけて 道で落とすな 開いてみるな 可愛い殿御の 手に渡せ
三十六 十八 三十八 二十四の 恋しい主と 共に前厄 案じます
青海の波に浮かべし宝船には ありとあらゆる宝を積んで
恵比寿 大黒 布袋に 毘沙門 弁天 寿老人 福禄寿
硯引き寄せ 巻紙手に取り 細筆くわえてさてその次は
どうしてどう書きゃ真実誠が届いていつまたどう返事が 来るのやら
三越路の 中の越路で見せたいものは 黒部 立山 蜃気楼
蛍烏賊 余所で聴けないものは 本場八尾のおわらの 節のあや
常願寺 神通 片貝 黒部 早月 庄川 小矢部の 七つの川は
ほんに電気の王国 お米の産地でその名も高い 富山県
櫓太鼓の音に目覚まし 小首をかしげ 今日はどの手で
スッテンコロリの ヨイヤさと投げるやら 投げられるやら
ままになるなら 京の三十三間堂の 仏の数ほど手代や番頭を 
たくさんおいて そして三万三千三百三十三軒ほど 支店を設けて 暮らしたや
竹の切り口 シコタンコタンや なみなみチョンボリ
ちょいとたまり水 澄まず濁らず 出ず入らず
橋になりたや 京で名高き 一条二条三条四条の次なる
五条の橋に 牛若さんのよな 不思議な殿御を連れ行き 花見に 通わせる
熊谷さんと敦盛さんと 組み討ちなされしところは何処よと
尋ねてみたら 十(とお)九の八七六五の四の三の二の 一の谷
いろにほへと ちりぬるを わかよたれそつねつねならむ
うゐのおくやま けふこえて あさきゆめみし ゑひもせすん
西新町(しんにゃしき)東新町(ひがししん)諏訪町
上新町(かみしん)鏡町(しんだち)西町 東町 調子合わせて
今町(なかまち)下新町(したまち)天満町(こくぼ)
福島で 夜が明けた
長ばやし
越中で立山 加賀では白山 駿河の富士山 三国一だよ
春風吹こうが 秋風吹こうが おわらの恋風 身についてならない
二百十日に 夜風邪をひいたやら 毎晩おわらの 夢見てならない
あんたもそうなら 私もそうだよ 互いにそうなら 添わなきゃなるまい
来たよで来ぬよで 面影立つそで 出て見りゃ風だよ 笹の葉にだまされた
きたさで飲んだ酒ゃ まだ酔いが醒めない 醒めないはずだよ あの娘の酌だもの
五箇山育ちの 百巻熊でも 木の実がなければ 八尾へ出てくる
千世界の 松の木ゃ枯れても あんたと添わなきゃ 娑婆へ出た甲斐がない
三味線が出を弾きゃ 太鼓がドンと鳴る 手拍子揃えて おわらにしょまいかいね
手打ちにされても 八尾の蕎麦だよ ちょっとやそっとで なかなか切れない
八尾よいとこ おわらの出たとこ 蕎麦は名物 良い紙たんと出る
見送りましょうか 峠の茶屋まで 人目がなければ あなたの部屋まで
おわらのご先生は あんたのことかいね その声聞かせて 私をどうする
一人で差すときゃ 野暮だが番傘 二人で差すときゃ 蛇の目の唐傘
しょまいかいね しょまいかいね 一服しょまいかいね 
一服してからそれからまたやろかいね
雪の立山 ほのぼの夜明けだ 里は黄金の 稲穂の波立つ
加賀では山中 佐渡ではおけさだ 越中のおわらは 実りの唄だよ
駒形茂兵衛さん おわらで迷うたか 恋しやお蔦さんに 会いとうてならない
提げても軽そな 蛍の提灯 石屋の引っ越しゃ 重くて嫌だよ
じいさんばあさん おわらに出よまいか 今年も豊年 穂に穂が下がるよ
茶釜と茶袋は よい仲なれども 仲に立つ柄杓が 水さいてならない
瓢箪ブラブラ 糸瓜もブラブラ ブラブラしとれど 落ちそで落ちない
どんどと流れる 水道の水でも いつかは世に出て 主さんの飯(まま)となる
来られた来られた ようこそ来られた 来られたけれども わがままならない
来られた来られた ようこそ来られた 来られぬ中から ようこそ来られた
権兵衛が種蒔きゃ 烏がほじくる 三度に一度は 追わねばなるまい
南蛮鉄のような 豪傑さんでも あんたにかけては 青菜に塩だよ
七合と三合は どこでも一升だよ 一升と定まりゃ 五升枡はいらない
焼けます焼けます 三百度の高熱(たかねつ) その熱冷ますにゃ 主さんに限るよ
見捨てちゃ嫌だよ 助けておくれよ 貴方と添わなきゃ 娑婆に出た甲斐がない
浮いたか瓢箪 軽そうに流れる 行く先ゃ知らねど あの身になりたや
「丹波節」
「隠岐オハラ」
「安久節」 (やっさぶし) (宮崎)
安久武士なら 尻(しる)高うつぶれ  前は泥田(むただ)で オハラ深うござる
 ヤッサ ヤッサ
武士も武士武士 安久武士は  都州島津の オハラ侍じゃ
見れば琉球の お城のまわしは 尻をつぶらにゃ オハラ攻められぬ
進め進めよ 我ら続け  城を落すは オハラ安久武士
安久武士なら 脇差しゃいらぬ  精神(むね)の刃で オハラ敵を切る
安久武士なら(安久床取れ) 枕はいらぬ 互い違いの オハラ腕枕
床の掛絵に 小梅と書いて あなた鶯 オハラ来て止まれ
御息女(おごじょ)こらこら 簪が落ちた 持たぬ簪ゃ オハラ落ちはせぬ
好いたお方に 酒さす時は 金の茶碗に オハラなみなみと
武士といえども 強いが武士か 情けあるのが オハラ武士じゃもの
船は船でも 島津の船は 丸に十の字の オハラ軍(いくさ)船
「鹿児島おはら節」    ←「安久節」 
花は霧島 煙草は国分 (ハ ヨイヨイ ヨイヤサ)
燃えて上がるは オハラハー 桜島 (ハ ヨイヨイ ヨイヤサ)
雨の降らんのに 草牟田川濁る 伊敷原良の オハラハー 化粧の水
見えた見えたよ 松原越しに 丸に十の字の オハラハー 帆が見えた
おけさ働け 来年(でねん)の春は とのじょ持たせる オハラハー よか青年(にせ)を
伊敷原良の 巻揚(まきゃげ)の髪を 髪を結うたなら オハラハー なおよかろ
雨の降る夜は おじゃんなと言うたに 濡れておじゃれば オハラハー なお可愛い
桜島には 霞がかかる 私ゃ貴方(おはん)に オハラハー 気がかかる
この地去っても 夢路に通う 磯の浜風 オハラハー 桜島
抱いて寝もせず 暇もくれず つなぎ船かよ オハラハー わしが身は
月のちょっと出を 夜明けと思うて 主を帰して オハラハー 気にかかる
薩摩西郷さんは 世界の偉人 国のためなら オハラハー 死ぬと言うた
可愛いがられて 寝た夜もござる 泣いて明かした オハラハー 夜もござる 

花は霧島 煙草は国分(こくぶ) 燃えて上がるは オハラハー 桜島
(ハッ ヨイ ヨイ ヨイヤサット)
雨は降らんのに 草牟田川(そうむたがわ)濁る 伊敷原良(いしきはらら)の オハラハー 化粧(けしょ)の水
見えた見えたよ 松原ごしに 丸に十字の オハラハー 帆が見えた
おけさ働け 来年の春は とのじょ持たせる オハラハー よか青年にせを
伊敷原良の 巻揚の髪を 髪を結うたなら オハラハー なおよかろ
雨の降る夜は おじゃんなと言うたに 濡れておじゃれば オハラハー なお可愛い
桜島には 霞がかかる 私ゃ貴方に オハラハー 気がかかる
この地去っても 夢路に通う 磯の浜風 オハラハー 桜島
抱いても寝もせず 暇もくれず つなぎ舟かよ オハラハー わしが身は
月のちょっと出を 夜明けと思うて 主を帰して オハラハー 気にかかる
薩摩西郷さんは 世界の偉人 国のためなら オハラハー 死ぬと言うた
可愛がられて 寝た夜もござる 泣いて明かした オハラハー 夜もござる
 
「木遣り唄」

 

「木遣り唄」 
 

 

「気仙坂」 (岩手)    →「斉太郎節」 
気仙坂 ヤーハエ 七坂八坂 九坂
十坂目に ヤーハエ 鉋を掛けて 平らめた
それは 嘘よ ヤーハエ 御人足をかけて 平らめた
ヨイト ソーリャ サーノーナー ヨーホエ
どこの旦那様(えなさま) ヤーハエ 今朝の寒(しば)れに どこさ行く
姉コ騙しの 帯買いに 帯コ買うならば ヤーハエ 
地(ぢよ)よく幅よく 丈長く 結ぶところは 鶴と亀
鶴と亀 ヤーハエ 下がるところは 下がり藤
目出度いところは 祝い松
「斉太郎節」 (宮城)
松島の サーヨー 瑞巌寺ほどの 寺もない トーエー
アレワエーエエ エイト ソーリャー 大漁だエ
   前は海 サーヨー 後ろは山で 小松原 トーエー
   アレワエーエエ エイト ソーリャー 大漁だエ
石の巻 其の名も高い 日和山トエー 西東 松島 遠島 目の下に
富山は 高さも高い 名所山 見渡せば 八百八島 目の下に
塩釜様の 御門の前 八重桜 咲き乱れ 浮名たつみ 西の町
汐汲みが 織り来る波に 桶取られ 桶返せ 戻せや沖の 白波よ
「大漁唄い込み」
(斉太郎節) 松島の 瑞巌寺ほどの 寺もない
(遠島甚句) 三十五反の 帆を巻き上げて 行くよ仙台 石巻
「木遣くずし」 (東京)
格子造りに ご神燈下げて 兄きゃ家かと 姐御に 問えば
兄きゃ 二階で木遣りの稽古 音頭取るのは アリャ 家の人
 (エンヤラヤ サノヨーイサ エンヤラヤ エンヤラヤレコノセー
  サノセー アレワサ エンヤラヤー)
つねりゃ紫 食いつきゃ紅よ 色で仕上げた 私の身体
目出度 目出度の 若松様よ 枝も栄えて アリャ 葉も繁る
「上社の御柱木遣り唄」 諏訪大社
(御柱の曳行始まり)
御小屋の 山の縦の木は 里へくだりて 神となる
山の神様 御乗立て 御双方 御手打 綱渡り工ー
男綱女綱の 綱渡り工ー 御双方様 ご無事でお願いだー
綱渡りだでー お願いだー
本(もと)から 末(うら)まで お願いだー
ここは木落し お願いだー
ここは宮川川越しだ どうでもこうでも お願いだー
(安国寺御柱屋敷到着)
山の神様 お帰りだー 皆様ご無事で おめでとう
ここは前宮ーの 坂テコ方衆 やれお願いだー
卸双方 御手打ち お引取りー
(本宮境内に近づく)
ここはきざはし お願いだー
もうー息だでー おねがいだー
どうでもこうでも おねがいだー
(本宮到着)
山の神様お帰りだー 皆様ご無事で おめでとうー
卸双方 御手打ち お引取りー
千秋落だでー おめでとうー
「下社の御柱木遣唄」
(御柱の曳行始まり)
奥山の大木 里へくだりて 神となる ヨーイサ
綱渡りヨーイサ
男綱女綱の 綱渡り ヨーイサ
本(もと〉から 末(うら)まで 綱渡り ヨーイサ
伊勢神明 天照皇大神宮 八幡大菩薩 春日大明神
山の神が 先立ちて 花の都へ 曳きっける ヨーイサ
ここは木落し お願いだー
本から末まで お願いだー
もうー息だでー お願いだー
(御柱が動き出し)
ヨイサ ヨイサ ヨイサ オイサ コーレハサンノーエ ヨイショ ヨイショ
(御柱が止まれば)
テコかっとくれ ヤレ ヨイトコショ  
アラ ヨイトコショ ヤレ ヨイトコショ  
アレハサンノーウェー コレハサンノーウェー  
岡崎「五万石」
五万石でも岡崎様は アヨイコノサンセー
お城下まで船が着く ションガイナ
ア ヤレコノ船が着く お城下まで船が着く
ションガイナアヨーイヨーイ ヨイコノサンセ (マダマダ ハヤソー)
花は桜木 人なら武士よ 武士といやれば 三河武士
私の心は 矧の白帆 行方白波 水のまま
見たか聞いたか 岡崎様の お馬じるしの 三つ団子  
「木遣り唄」 (「お木曳き木遣唄」「伊勢音頭」) (三重)
(アァヨー オイナー エー) 竹に雀はー (アヨイヨイ) 品良く止まる (アァヨーイセーソーリャセ) 止めてなー止まらぬ (ヨイソーレーサー) 色の道
(ソーラーヨーイトーコセー エーヨーイーヤーナー ソレ アレワイセーソレワイセーソーリャーヨーォイートセ) 又は (ホンマカイナヨードッコイセー エーヨーイーヤーナー ソレ アレワイセーソレワイセーソーリャヨーォイートセ 姉さんもせ ソラ 妹ともせ ソラ 母(かかぁ)は納戸で○ー○ーせー)
めでためでたの 若松様よ 枝もな栄える 葉も茂る
お伊勢参りして 飲んだか酒を 天のな岩との 菊酒を
床の掛け軸眺むれば 上から鶴さん舞い下がる 下から亀さん舞い上がる 天と地との真ん中で 鶴となー亀とが 舞を舞う
坂は輝る輝る 鈴鹿は曇る 愛のなー土山 雨となる
伊勢は津でもつ 津は伊勢でもつ 尾張なー 名古屋は 城でもつ
差した盃 中見て飲みゃれ 中は鶴亀 五葉の松
真ん中づくしで申すなら 頭の真ん中ギリギリで お顔じゃお鼻が真ん中で 背中じゃ背筋が真ん中で おなかじゃおへそが真ん中で へそから三寸下がったら こんもり繁った森がある 一番お寺がケイガン寺 二番お寺がサネガン寺 三番お寺がアナガン寺 三つあわせてボボガン寺 朝も早よから坊さんが 出たり入ったり又出たり(X3以上) 有り難とて 有り難とて 有り難とて 白いなー涙が ポロポロと
一かけニをかけ三をかけ 四かけて五かけて星をかけ 橋の欄干腰をかけ はるか向こうを眺むれば 十七・八なる姉さんが 石鹸片手にぬか袋 もしや姉さんどこ行きゃる どこえ行くとて知れたこと 風呂屋の風呂へ風呂入りに 風呂は沸いたか三助さん 風呂は只今抜きました 抜いたあなたは良いけれど 抜かれた私の 身のつらさ
一合マス二合マス三合マス ソレ 四合マス五合マス六合マス ソレ 七合マス八合マス九合マス ソレ 貴方と私は一升マス 一升になったら 上げます 下げます 持上げます 持上げりゃ白酒こぼれます こぼれりゃ 布団が汚れます 汚れりゃ 布団を 洗います
祭りお宮に 御神燈あげて 氏子なー揃えて 宮参り
大福長者の音娘 今夜にせまる嫁入りに 箪笥長持ち 十二竿 琴に三味線笛つつみ これだけ揃えてやるきゃらな きっと帰るな戻されな そこで娘が申すには 父さん母さんそりゃ無理よ 東が曇れば雪とやりゃ 西が曇れば雨とやりゃ 一生連れ添う婿さんの お気になー めさなきゃ わしゃ帰る
今年しゃうれしや ○○に毛がはえた はえた初○○ 誰に挿す
イザリ勝五郎 車に乗せて やれ引け それ引け 初春に
宮の拝殿 若者よ(たたり○○)そこへ神主(ゆきまろ)現れて おまえら二人は何をする 何をするとて知れたこと 宮の氏子を増やすため 氏子増やしも良いけれど 神をなー 粗末に してくれな
うちの裏の竹薮で 十七・八なる姉さんが 何故かしくしく泣いている 何が悲して泣いている 父ちゃん無いのが悲しのか 母ちゃん無いのが悲しのか いいえそうではありません 私の○○○○に毛がないの 何か薬は無いでしょか あります あります あぁります 山で取れたる松茸(まったけ)と浜で取れたる蛤(ハマグリ)を焼いて粉にしてつけたなら 私の○○○○に毛がはえた 
「よさこい節」 (「土佐節」) (高知)
土佐の高知の 播磨屋橋で
坊さんかんざし 買うをみた ヨサコイヨサコイ
   御畳瀬(みませ)見せましょ 浦戸をあけて
   月の名所は 桂浜 ヨサコイヨサコイ
土佐はよい国 南をうけて
さつまおろしが そよそよと ヨサコイヨサコイ
   土佐の名物 珊瑚に鯨 
   紙に生糸に 鰹節 ヨサコイヨサコイ
はらみの廻し打ち 日暮れに帰る
帆傘船年に 二度取る米もある ヨサコイヨサコイ 

土佐の高知の 播磨屋橋で
坊さんかんざし 買いよった ヨサコイヨサコイ
   坊さんかんざし 買いそなことよ 
   瞽女さん眼鏡を 買いよった ヨサコイヨサコイ
土佐はよい国 南をうけて 
薩摩おろしが そよそよと ヨサコイヨサコイ
   夜さ来い晩に来い 言わんすけれど 
   行って見りゃ真実 こいじゃない ヨサコイヨサコイ
見ませ見せましょ 裏戸を明けて 
月の名所は 桂浜 ヨサコイヨサコイ
   言うたちいかんちゃ おらんくの池にゃ 
   しお吹く魚が 泳ぎよる ヨサコイヨサコイ
 
「土搗き唄」「石曳き唄」「胴搗唄」「土突き唄」

 

「土搗き唄」「石曳き唄」「胴搗唄」「土突き唄」 
 

 

「やら節」「七之助節」 (岩手)
目出度〜の若松様よ (ハドッコイサット) 枝も栄えるアレサ葉も茂るナ 
エノヤァーンアーレー サノヨーエサ ヨンヤラサノエーエヤレコノセ 
 ヤァーレーエコレワサヨー エノヤーレー
この家旦那様の床の惘の掛図 鶴と亀とが舞い遊ぶ
目出度嬉しや音頭をもろうたネ 酒と肴とお酌まで揃えて
声もつきたし文句もつきた ここはよいとこ納め置くぞえ
土方すれゃこそ色コが黒い 土方やめればタマゴ肌

目出度うれしや 思うこと叶うた 
旦那大黒チョーコチョイ おかみさんは恵比寿ネー
ハーヨンヤラセー
ござる若い衆は チョーコチョイ 福の神
セーノヤーハレ サノヨーエサヨンヤラ
セェーノヤレコノセー ヤハーセエー ヨイ〜
あまり長けれゃ 皆様あきるネー
ハーヨンヤラセー
ここらあたりで シャシャンをたのむぞ
「花笠音頭」 (山形)
目出度目出度の 若松様よ
枝も (チョイチョイ) 栄えて葉も茂る
(ハ ヤッショ マカショ シャンシャンシャン)
   わしがお国で 自慢なものは
   茄子と (チョイチョイ) 胡瓜と笠踊
裏の石橋坂 ならよかろう
とんと (チョイチョイ) 踏んだら悟るよに
   米のなる木で 作りし草鞋
   踏めば (チョイチョイ) 小判の跡がつく
俺が在所に来て 見やしゃんせ
米の (チョイチョイ) なる木がお辞儀する
   花の山形紅葉の 天童
   雪を (チョイチョイ) 眺むる尾花沢  
(花笠踊り)
花の山形 紅葉の天童  雪を (チョイチョイ)
 眺むる 尾花沢 (ハ ヤッショ マカショ シャンシャンシャン)
おらが在所に 来て見やしゃんせ 米の なる木が おじぎする
雪の舟形 情に厚い 呼べば とけそな やさすがた
娘盛りを なじょして暮らす 雪に 埋もれて 針仕事
長い 長もち 唄かけながら 可愛い おばこが 嫁にくる
おばこなぼになる 十三七つ 百合の 花コに にてめごい
「正調花笠音頭」
揃ろた揃ろたよ 笠踊り揃ろた 秋の出穂より
 まだ揃ろた ヤッショウマカショ
花の山形 紅葉の天童 雪をながむる尾花沢
おらが在所へ来てみてしゃんせ 米のなる木が おじぎする
朝の六時から弁当さげて 徳良通いは 楽じゃない
ついて固めて でかしたつつみ 水も漏らさぬ深い仲
おらが国で自慢なもの なすときゅうりと笠踊り 
「土突き歌」「相馬土搗唄」
ハァー Iここは大事な 大黒柱
たのみますぞえ コラ皆様に
エーンヤーレ サノ ヨーイサ ヨイヤラサ エエンヤレコノセ
 ヤアノエ エエンヤ コレワサ エーヤーレ
上げるもやげる 天竺までも 天の川原の 果てまでも
ここは大事な 大黒柱 爺さん出て見ろ 孫つれて
ここは大事な 戌亥の柱 頼みますぞえ 綱の人
この家旦那の お名前何と 蔵は九つ 蔵之助
さんよ土突棒は 上がるようで上がらぬ 米の水でも 飲みてえか
ここらでどうだか おら辺ではやる お昼休みに 酒さかな

ハァ〜ここは大事な 大黒柱(チョイ チョイ)
頼みますぞえ コラ 皆様に
エーエンヤーレ サノヨーイサ ヨンヤラサーノー
エー ヤレコノセー(チョイチョイ チョイド)
 ヤーハモーエンヤ コレワサエーエンヤーレ (ハァ ヨイショ ヨイショ)
ここは大事な 大黒柱 小石砕けろと 突いてたもれ
上げろ持ちゃげろ 天竺までも 天の川原の 果てまでも
この家旦那は お名前何と 蔵は九つ 蔵之助
金の柱に 黄金の垂木 屋根は小判の 鱗葺き
さんよ胴突き棒は 上がるようで上がらぬ 米の水でも 飲みてえか
ここは大事な 乾の柱 頼みますぞえ 綱元様よ 
「土搗き唄」 (茨城・波崎町)
めでためでたが重なりまして (ハヨイヨイ)
エー門に七重の ヤハレしめを張る
(アリャヨーイヨーイ ヨーイヤセ) (ハコリャリャ ハコリャリャサーヨイトネ)
鯉の滝のぼりは何とてのぼる (ハヨイヨイ)
アー命限りと ヤハレいうてのぼる
(アリャヨーイヨーイ ヨーイヤネ) (ハコリャリャ ハコリャリャサーヨイトネ)
ヤーハノエー かわりますぞやヤーハノヘー
(ヤットコセー ヨーイヤナ)
オヤかわりますぞや 蕎麦屋の丼 ヨホイトネ
(アリャアリャノリャ ヨーイトコヨイトコネ)
この娘よいこだぼたもち顔で (ハヨイヨイ)
エーきな粉つければ なおよかろ ヤーイヤラ
(ハヨーイショ ヨンヤラサノセー ヤイコラサ) (ヤレノサーイ アレワサエーンヤーラ)
咲いだ桜へなぜ駒つなぐ (ハヨイヨイ)
エー駒が勇めばコリャ 花が散る ヤーイヤラ
(ハヨーイショ ヨンヤラサノセー ヤイコラサ) (ヤレノサーイ アレワサエーンヤーラ) 
「土羽打ち唄」 (「岡山節」) (埼玉)
初めかけますぞ ナーハンソラソラ
お手をそろえて エーヨー
アリャともどもに オモシロク
エートモサー ヨイトモサ
   初めかけて頼む ナーハンソラソラ
   お手をそろえて エーヨー
   アリャともどもに オモシロク
   ヨイトモサー ヨイトモサ
ソラー何と みなさまヨーイ
やりましょじゃないか ナーハンソラソラ
お手をそろえて エーヨー
アリャともどもに オモシロク
エートモサー エートモサ
ハー ドッコイショー ドッコイショ
   ソーラーヨー 私ゃ 太田のヨーエ 金山育ち ナーハンソラソラ
   お手をそろえて エーヨー
   アリャともどもに オモシロク
   エートモサー ヨイトモサ

(小貝川と利根川の合流付近でうたわれていた唄)
「ならしならし」
ならしなーよ ならせよだーよ (ソーレ ソラドッコイショ)
あれさよー 土羽ならせよ (ヤッサノ コラサ)
さくらなーよ さくらがだーよ (ソーレ ソラドッコイショ)
あれさヨー 花ひらくよ (ヤッサノ コラサ)
ならしなーよ ならせよだーよ (ソーレ ソラドッコイショ)
「一つ打ち」
ヨーホイト コラサー (ヨイトヤ コラサヨー)
おそろいなったじゃ ないかいだーよ (ヨーホイト コラサー)
ヨーホイト コラサー (ヨイトヤ コラサヨー)
おたのみしますよ みなさんにだーよ (ヨーホイト コラサー)
ヨーホイト コラサー (ヨイトヤ コラサヨー)
きめこめしめこめ どなたもだーよ (ヨーホイト コラサー)
「ニつ打ち」
ヤーレン ハイカラさんなら まーたー こないでおくれ ソーラーイ
 (ヤーレン ヨイトヤ ナンダイマータ コレハサノソーライ)
ヤーレン かわいい娘の まーたー なんと気をもます ソーラーイ
ヤーレン お染めの宅より まーたー 来いとのたより ソーラーイ
ヤーレン お上手なものだよ まーたー どなたにだれ泣く ソーラーイ

(大利根町琴寄の唄)
「土羽打ち唄」
さあさナーハイ皆さま やりましょじゃないかヨー
ドッコイ ドッコイ
お角力ナーハエ甚句でもソーレ ホントニしょこばでもヨー
ハ ヨイコラ ヨイコラ
「杭打ち唄」
ソーレそのなり ヨーイヤーレヤーレー
コラショで飲んだ酒 ヨーイヤーレヤーレー
まだ酔い醒めぬだ ヨーイヤーレヤーレー
醒めぬはずだ ヨーイヤーレヤーレー
あの娘の酌だぞ ヨーイヤーレヤーレー
「土羽打ちのならし唄」
初めかけますぞ ナーハンソラソラ お手をそろえて エーヨー
アリャともどもに オモシロク  エートモサー ヨイトモサ
   初めかけて頼む ナーハンソラソラ  お手をそろえて エーヨー
   アリャともどもに オモシロク ヨイトモサー ヨイトモサ
ソラー何と みなさまヨーイ 
やりましょじゃないか ナーハンソラソラ お手をそろえて エーヨー 
アリャともどもに オモシロク エートモサー エートモサ
ハー ドッコイショー ドッコイショ
   ソーラーヨー私ゃ 太田のヨーエ
   金山育ち ナーハンソラソラ  お手をそろえて エーヨー
   アリャともどもに オモシロク エートモサー ヨイトモサ
「たこ搗き唄」
ソーレ ヨーホイヤー コーラサ
その気でマタ やりましょだよ
「土搗節」 (長野)
今日は日も好し石場が坐る 石場坐ればコリャ 
 酒が出る オモシロヤー サーヨッサイ アーモッサイ
三の石場は火伏せのご祈とう お家火難は ないとつく
ここのお家は目出度い お家いつも どんどと唄の声
ここのお背戸にみょうがとふきと みょうが 目出度や富貴繁盛
土手のもぐらもちゃまだ年若い どんな石でも 持ちゃげます
嫁と婿とは石臼育ち 入れて まわせば粉ができる
ここは乾か乾の隅か おつき納めて お目出度い  
「三国節」 (福井)
三国三国と 通う奴ぁ馬鹿よ 帯の幅ほど ある町を
ある町を エエある町を 帯の幅ほど ある町を
   やしゃでやのしゃで やのしゃでやしゃで やしゃでやのしゃで こちゃ知らぬ
   こちゃ知らぬ エエこちゃ知らぬ やしゃでやのしゃで こちゃ知らぬ
盆のお月さん まんまるこでまるて まるてまんまるこで かどがない
かどがない エエかどがない まるてまんまるこで かどがない
   新保砂浜 米ならよかろ いとし舟子にただ 積ましょ
   沖に白帆が 百九十九はい わしの殿御は あの中に  

三国三国と 通う人あるが 帯の幅ほど ある町を
三国祭りは めめんじゃこ祭り そうけ持って来い 掬くてやる
掬くてやる 掬くてやる そうけ持って来い 掬くてやる
岩が屏風か 屏風が岩か 海女の口笛 東尋坊
東尋坊 東尋坊 海女の口笛 東尋坊

酒は酒屋で 濃い茶は茶屋で 三国小女郎は 松ケ下
姉と妹に 紫着せて どれが姉やら 妹やら
西も東も みなみにきたか 三国瀧谷 糸桜
主を待つ間の あの東尋坊 心とどろく 波の音
さても見事な 安島の雄島 根からはえたか 浮島か
佐渡で十九日 酒田で十日 思う三国で ただ一夜
鷹巣くもれば 間もなく雨よ 急げ湊へ 沖の船
玉屋蔵から 沖合見れば かくし帆待ちの 船見ゆる
松になりたや 雄島の松に 上り下りの 船を待つ
新保砂浜 米ならよかろう いとし船子に ただ積ましょ
沖を走せ走せ 広野を見れば 娘かわいや 柴を刈る
三国湊を 出てゆく船は 支那や朝鮮 ロシヤまでも
主にもろうた 八尾の雪駄 七夜切れても まだ一夜
江戸の吉原 三国の小女郎 初にむかえて できた里
三国出村の 女郎衆の髪は 船頭さんには いかり綱
小女郎一人に 新兵衛さんが二人 どうせ一人は 波のうえ
三国小女郎の その昔より 真情づくなら まけはせぬ
お前ら出ならんか 三国の浜へ 女浪男浪が さしまねく
唄は上ハ町 情の出村 わずかにへだてて 地蔵坂
流れ流れて 浮名の末も 三国湊や 九頭龍川
金が降る降る 三国の出村 船が出るたび はいるたび
三国湊へ 船のり入れな 積荷出村で からになる
新保汐風 三国はあらし 出村吹く風 色の風
愛宕山から 飛んでくる烏 銭も持たずに 買お買おと
立った浮名の そのはじまりは 宿の浜辺の 踊りから
出村思案橋 もどろかいこか 何の思案橋 ゆくがよい
往こうかもどろか 恋路の闇に 心迷うた 思案橋
行こうか岩崎 もどろか請地 ここが思案の 境橋
三国女郎衆は 親よりましや 雨の降らんのに カサくれた
三国女郎みて うちのかゝ見れば 山に住いなす 猿のよう
三国生まれの 子飼いの女 お手に入れたは 主ひとり
三国通いを 知らない人は 世にも憐れな 金の番
三国湊を 抱えた沖の 雄島雌島の 夫婦島
三国お山王 お猿子祭 山車を見せたや 旅の衆に
三国祭は 申の日繰りて 山王祭と いうわいな
三国祭は めめんじゃこ祭 そうけ持ってこい 掬てやる
神のお庭の 静かにくれて 雨の音きく 桜谷
空の曇りも あの青あらし 吹いてながして 日和山
三国湊の お性海寺様の 椿みごとに 咲きみだれ
三国名所で 名高いものは 千本桜の 瀧谷寺
花がちるちる あの糸桜 鐘は入相 瀧谷寺
三国三国と 通う奴馬鹿よ 帯の幅ほど ある町を
鷹巣山見よ 夕焼けこやけ 積る白雪 黄金色
汐見夜桜 その花かげで ちらと見初めた 主じゃもの
島が桜か 桜が島か 三国向島 見にござれ
三国名物 万寿に雲丹よ 下戸も上戸も にがしゃせぬ
雄島亀島 夫婦の岩も はなればなれに 苦労する
雄島西の空 夕空やける 烏なきなき かえる空
三国よい所 雄島をうけて 鷹巣あらしが そよそよと
岩の東尋坊 女松の新保 波止場かかえた みぎひだり
わたしゃ新保の 瀬にいた鴎 あとも濁さで たつわいな
お前ら来ならんか 新保の山へ 雄松雌松の 枝折りに
お前ら見なんだか 新保の浜を 金の木ござらぬ 松ばかり
わしの心と 新保の松は 枯れて落ちても 二人づれ
三国新保の大川でさえ かけりゃかかるよ 長い橋
主がくるかと お手てをかざし 長い新保の橋を見る
袈裟を忘れた 新保の浜へ 酔いがさめれば 思い出す
笙を忘れた 新保の茶屋へ 空が曇れば 思い出す
誰がどう言うても 金津はざいご 三国や湊で船が立つ
三国湊は 九頭龍川の 沿うて開らけた よい湊
かわい殿御の 矢帆なし姿 枕屏風の絵にしたい
沖に白帆が百九十はい わしの殿御もあの中に
わたしゃ波止場の 役人ならば 今朝の出船を 手でとめる
厚司なわ帯 腰には矢立 問屋通いの ほどのよさ
姉にささせたら 妹にもささせ 同じ蛇の目の からかさを
お前一人か 連れ衆はないか 連れ衆あとからかごでくる
義理と誠に 二人を立てりゃ 合いで小女郎の 身がもたぬ
お着せ申した 羽織の襟を かえすそれさえ つらい朝
来いとおっしゃれば 妻ゃどこまでも 下は南部の はてまでも
逢わぬ恨を 書いたはとがよ 逢えばやさしい 主じゃもの
船は出い行く 帆かけて走る 女郎衆浜へ出て 袖しぼる
娘いたかと 窓からのぞきゃ 親父横座で 縄のうてる
主が主なら 私もわたし 気嫌とる気は さらにない
好いてはまれば 泥田の水も 飲んで甘露の 味がする
嫌と思えば 婆もかげも 歩く雪駄の音もいや
街のまん中を 戻りつ行きつ 五銭白銅が 落ちている
沖のど中に 絹機たてて 浪に織らせて 岩に着しょ
米の生る木で 草履をつくり あるきゃ小判の あとがつく
差いた盃 中見てあがれ 中は鶴亀 五葉の松
波止の灯台 出船をてらす 恋の入り船 まだ見えぬ
梅がいやじゃし 桜もいやじ 桃と桃との あいがよい
浅い川なら 膝までまくる 深くなるほど 帯をとく
宵の横どり 夜中の茶臼 今朝の別れに 本間取り
姉のかわらけ 妹の毛武者 同じおそそに 裏おもて
虎は千里を 走ると言えど 腰巻一重が ままならぬ
盆のお月さんは まん丸こで丸て まるてまんまるこで 角がない
盆の十六日 闇ならよかろ お手を引き合うて 音頭とり
踊りたてたら こわいてはならぬ あけの烏が 鳴くまでは
踊る人もなし 御見物ばかり 桶の底なし 側ばかり
唄はうたいたし 唄の数知らず 一ツ唄うては 七かえし
も早や踊りも やめたらよかろ 天の河原も西ひがし
鯉の滝のぼり なんと言うて登る 山を滝にしよと 言うてのぼる
伊勢の大神楽 京へのぼるやら 笛や太鼓の 音がする
西も東も 南に北か 私しゃ他門から 逢いに来た
いつも七月 盆ならよかろ 踊る○○○に会うまいか
酒はのみたし 酒屋はねたし 起きてる酒屋にゃ 借りがある
雨が降ってくる 洗たく物ぬれる ねんね泣きだす ままこげる
おばばどこ行きゃる 三升樽さげて 嫁の在所へ 孫だきに
やしゃでやのしゃで やのしゃでやしゃで やしゃでやのしゃで こちゃしらぬ
「島原土搗唄」 (長崎)
ヨイトン ヨーエー
島で名所どみゃ(ヨイヨーイ)
加津佐(かづさ)の岩戸 
根から生えたか エー(アリャ エイソーラ)
根から生えたか (ハァー ヨイヨイ)
浮き島か
   根から生えたか 浮き島か
   ヨーイヤ ヤッーサ サットセー
   ハァー ホリャゲロ ホリャゲロ
   ヨイトン ヨーエー
   島を回るときゃ(ヨイヨーイ)
   おタネを連れて
   おタネ櫓(ろ)もこぐ エー(アリャ エイソーラ)
   おタネ櫓もこぐ (ハァー ヨイヨイ)
   かじも取る  
おタネ櫓もこぐ かじも取る
ヨーイヤ ヤッーサ サットセー
ハァー ホリャゲロ ホリャゲロ
ヨイトン ヨーエー 
 
「秋田甚句」 (「仙北甚句」「なにゃとやら」)

 

「秋田甚句」 (「仙北甚句」)
   ←「なにゃとやら」「ナニャドヤラ」 

甚句踊らば 三十が盛り
(ハー オイサカサッサ キタサカサイサイ キタカ コリャコリャ キタサカサッサ)
三十過ぎれば その子が踊る
甚句踊らば 姿よくおどれ
姿よい娘を ササ嫁にとる

甚旬踊らば しなよく踊れ
(きたかさいさい きたさかさいさい きったかさいさい きたさかさっさ)
しなのよい娘を さっさぁ嫁にとる
相性見たれば 柳とやなぎ
同じ沢目の さっさぁ糸柳  
「ナニャドヤラ」(なにゃどやら) 
(キリスト祭り)
ナニャド ナサレテ ナニャドヤラ
ナニャドヤレ ナサレデ ノーオ ナニャドヤレ
ナニャドヤラヨー ナニャド ナサレテ サーエ ナニャドヤラヨー
ナニャド ナサレテ ナニャドヤラ ナニャド
(一戸)
にゃにゃとやらよ にゃにゃとなされてさえ なにやらどやら
にゃにゃとなされてさえ にゃにゃとやらよ  
(七戸天間林)
なにゃ ハ はどやら ヨーイ なにゃ ハ はどなされダ ありゃ サーエ
なーにゃ ハ はどやら ヨーイ (タショ− ヤーレショ)
(八戸)
ニャニャトヤレャリャ ニャニャトナサレノー ニャニャトヤレャリャ  
(岩手)
ナニャド ナサレテ ナニャドヤラ
ナニャドヤレ ナサレデ ノーオ ナニャドヤレ
ナニャドヤラヨー ナニャド ナサレテ サーエ ナニャド ヤラヨー
ナニャド ナサレテ ナニャドヤラ ナニャド
 

 

「虎丈さま」「虎女さま」 (とらじょさま) (青森)    ←「ナニャドヤラ(なにゃとやら)」
南部 よいとこ 粟めし稗めし のどさひっからまる 干菜汁(チョイサ チョイサ)
南部殿様 ぼた餅好きで ゆうべ七皿 今朝八皿(チョイサ チョイサ)
雨コは降る降る 白粉コは落ちる 唐傘コ買ってけろや とらじょ様(チョイサ チョイサ)
とらじょ様から なに買って貰った 白粉七色 蛇の目傘(チョイサ チョイサ)
   田名部横町の 川の水飲めば 八十ばあさまも 若くなる
   八十ばあさまが若くもなれば 焼いた魚が 泳ぎだす
   おやじ貰ってけだ おかだ娘は欲しくない ならば天間の みよ子欲しい
   みよ子欲しいたって およびもないし ならば妹の みえ子でも
なにも知らない なされ節ひとつ なにゃとなされの なにゃとやら 
「南部一つ甚句」 (「ヤライ節」) (岩手)    / 「ナニャドヤラ」
一ッ甚句踊りの始まる ノオコリャ時は
へらもしゃくしもありゃ 手にノオコリャつかぬ
ナニャトヤーラ ヨオイヤナ ナニャトナサレテノオコリャ ヨオイヤナ
村のはんずれの地蔵様も 踊り見てノオコリャ動き出す
老も若きも嫁も姑も ノオコリャ出て踊る
唄えや踊れ夜明けまで 夜明けがらすが ノオコリャ鳴くまで  
「なにゃとやら」 (南部盆唄 「虎女さま」) (岩手)    ←「ナニャドヤラ」 
ナニャトヤラエ ナニャトナサレタ ナニャトヤラ
とらじょさまから なに買ってもらた お白粉七色蛇の目傘
雨コバラバラ お白粉落ちる 傘コ買ってけろ とらじょさま
親父もらってけだ おがだコばほしぐね ならば天間の美代子ほし
美代子ほしたて およびもないよ いまじゃ坪の元めァかが
美代子美代子と 呼ぶとぎァよがった 美代子嫁に呉で事ァ欠けだ
親父ァなんても 兄貴ァなんても わたしや平間の美代子よい
南部殿さま ボタ餅好きで 夕べ七皿 今朝八皿
南部よいとこ 粟めし稗めし のどにひっからまる干菜汁  
「江刺甚句」 (岩手)    ←「秋田甚句」
甚句踊りは かどまで来たや (チョイサノサッサ チョイサノサッサ)
じいさま出てみろ アリャ孫つれて (チョイサノサッサ チョイサノサッサ)
   この家座敷は めでたい座敷 
   鶴と亀とが アリャ舞い遊ぶ
甚句踊らば 品良く踊れ
品の良いのを アリャ嫁にとる
   めでたうれしや 思ふことかのうた
   四つのすみから アリャ黄金わく
甚句踊りの 江刺の里は
味がじまんの アリャ米どころ
沢内「さんさ踊り」 (岩手)    ←「秋田甚句」
さんさ踊らば品良く踊れ 品の良いのをサンサ嫁に取る
さんさ踊りの始まる時は へらも杓子もサンサ手につかぬ
馬コ売ったとて渡されよか手綱 振向く馬コはサンサ涙声
馬に惚れても馬喰さんに惚れな 縞の財布がサンサからになる
銭コ取たとて渡されよか手綱 振り向く馬コはサンサ涙声
盆の十三日法会する晩だ あずきこわめしサンサ豆もやし
私しゃ音頭取って踊らせるから 夜明がらすのサンサ渡る迄
こよい踊りにあの子を招く 明けりゃ黄金のサンサ穂が招く
揃うた〜よ踊り子が揃うた 秋の出穂よりサンサ良く揃た  
正調「沢内甚句」 (岩手)    ←「秋田甚句」
沢内三千石 お米の出どこ (ハイハイトキタサ)
つけて納めた コリャお蔵米 (ハイハイトキタサ)
大信田歯朶の中 貝沢野中 まして大木原 嶽の下
沢内三千石 お米の出どこ 桝ではからねで 箕ではかる(身で代る)
月の夜でさえ 送られました 一人帰らりょか この闇に
沢内三千石 所の習慣 姉が妹の 仲人する
甚句踊の 始まる時は へらも杓子も手につかぬ
甚句踊るより 泣く子をあやせ 親じゃなければ あやされぬ
踊り踊るべと けえもち鍋まけた へらでさらねで 手でさらた
(和賀郡沢内村)
沢内三千石お米(こめ)の出処(でどこ) (ハイハイトー キタサ)
つけて納めたコリャお蔵米 (ハイハイトー キタサ)
大志田歯朶(しだ)の中 貝沢野中 (ハイハイトー キタサ)
まして大木原(おぎわら) コリャ岳の下 (ハイハイトー キタサ)
   沢内三千石お米(よね)の出処(でどこ) 升で量らねで箕で量る
   月の夜でさえ送られました 一人帰さりょかこの闇に
沢内三千石所の習い 姉が妹の仲人する
甚句踊りの始まる時は 箆(へら)も杓子も手につかぬ
   沢内三千石冷水がかり まけて給れやご検見殿(けみどの)
   折れぬ花とはそは思わねど 一枝折りたやあの花を
沢内おばこの焼いたる炭は 赤くなるほど熱が出る
浮世離れた牧場の小屋で 牛に添え寝の草枕 
「どどさい節」 (岩手)    ←「秋田甚句」
惚れた〜と 川端柳 水に押されて 根が掘れた
 ドン〜サイ〜ドドサイサイ ドン〜サイ〜サーイ
惚れたからとて 毎晩来るな 月に二度とか 三度来い
一度二度なら あわねばよかった 心見られて 後口惜し
一夜でもよい あわせておくれ わしの願いは そればかり
上り七坂 下りは八坂  一つ一つは 恋の坂
来いと言うたとて 笹山越えて 笹の小露で 袖ぬらす
「文字甚句」 (宮城)   ←「秋田甚句」
甚句 アラ出た出た 座敷がせまい (チョイサー) 
せまい アラ 座敷も サアサ 広くなる (ハイハイハイハイチョイサ)
花と アラ もみじは どちらも色よ 花は アラ ほころぶ もみじは染まる
わしも アラ なりたや 栗駒山に 文字 アラ 花山 サアサ 目の下に
川の アラ 源 栗駒山に 残る アラ 白雪 サアサ 駒姿
わしと アラ お前は 焼野のわらび わらび焼けても サアサ 根が残る

文字 アラ よいとこ 栗駒山と (ハイハイハイハイチョイサ)
細倉 アラ 鉱山 サアサ その合いの里 (ハイハイハイハイチョイサ)
川の アラ 源 栗駒山に 残る アラ 白雪 サアサ 駒姿
音に アラ 名高き 栗駒山の 下を アラ 流れる 迫川
西も アラ 東も 山また山に 煙 アラ なびくよ 炭窯の
文字 アラ 名物 何よと問えば 炭に アラ お米に 甚句節
私 アラ 文字の 山中生まれ 山で アラ 生まれて 沢育ち
文字 アラ 奥山 沢中さえも 住めば アラ 都の 風が吹く
文字 アラ 春駒 娘がひいて 山の アラ 奥から 炭運ぶ
お嫁 アラ とるなら 文字の娘 里の アラ 土産に 二歳駒
甚句 アラ 踊り子 お嫁にほしい わけて アラ 文字の 踊り手を
伊達の アラ 家老の 綱元様は おらが アラ 文字を 生んだ人
踊れ アラ 今夜の 月出るまでも 明日は アラ 働け 星出るまでも  
「ドンパン節」 (「円満蔵甚句」) (秋田)    ←「どどさい節」「仙北甚句」
ドンドンパンパン ドンパンパン
ドンドンパンパン ドンパンパン
ドドパパ ドドパパ ドンパンパン
踊りやるなら おらうたう 太鼓たたいて 景気よく
ほんとにそうだよ その意気で 手拍子そろえて ひと踊り
   唄コで夜明けたわが国は 天(あま)の岩戸のはじめより
   尺八 三味線 笛 太鼓 忘れちゃならない 国の唄
秋田は米の国 酒の国 女のよいのは 日本一
小野の小町の出たところ お嫁さん貰うなら 皆おいで
   笑ってくれるな おら言葉 あのせ このせに そだなんす
   言うめと思っても すぐに出る おらが秋田の国なまり
酒飲む人は 可愛いね 飲んでくだまきゃ なお可愛い
ふらりふらりと 九人連れ 右に左に 四人連れ
   自慢コ言うなら 負けないぞ 米コ本場で 酒本場
   秋田のふきなら 日本一 小野の小町の出たところ

姉山さ行くか 行かねがや 今蕨っコ さかりだ
酒屋の本当の え〜どころ 一ふくベッコ しょっかけて
   自慢コ言うなら 負けないぞ 米コが本場で 酒本場
   秋田の蕗なら 日本一 小野の小町の 出たところ
唄コ聞くなら 黙って聞け 上手もあれば 下手もある
お前方こさ来て唄ってみれ なかなか思うようにゃ いかねもだ
   朝まに起きれば 飲みたがる 戸棚の隅ッコさ 手コ入れて
   あっちこっち見ながら 笑い顔  茶わんで五六杯も 知らぬ顔
おら家のオヤジは ハゲ頭 隣のオヤジも ハゲ頭
ハゲとハゲが喧嘩して どちらも毛が(怪我)無く 良かったな

お酒のむ人 かわいいね 飲んでくだ巻きゃ 尚かわい
ぶらりぶらりと 九人連れ 右に左に 四人連れ
   唄コ聞くなら だまって聞け 上手もあれば 下手もある
   みんなもここへ来て 唄って見れ なかなか思うように いかねもんだ
自慢コ言うなら 負けないぞ 米コが本場で 酒本場
秋田のふきなら 日本一 小野小町の 出たところ
   いつ来て見ても 井戸端に きれいに咲くのは あやめ花
   秋田おばこに よく似てる かわいい花だよ 皆おいで
「七浦甚句」 (「南部節」) (新潟)    ←「なにゃとやら」
浅い川なら膝までまくる深くなるほど帯を解く
あの子こち向けかんざしゃ落ちるかんざしゃ落ちない顔見たい
雨の降る時ゃ佐渡家と言われ佐渡家かさまら傘いらぬ
一夜泊りで覚えた甚句今朝は別れの唄となる
嫌で幸い好かれちゃ困るわしもこの頃他にある
今じゃ磯辺の鴎でさえも乙女なかよく暮らす波
   色でしくじる紺屋(こうや)の娘紺とあさぎを染め違い
   歌を切らすななぜ歌切らす歌で求めたこの踊り
   海は夕凪釘名(くいな)の浜を通る磯船主の舟
梅に鶯鳴かないけれどやけに昼来て夜帰る
江戸で吉原南部で宮古宮古まさりの鍬ヶ崎
   逢(お)うてやまやま語ろとすれど逢えばうれしゅうて語れない
   おかか騒ぐな盆だこそ踊る秋の八日だりゃ踊る
   沖の敷島(引き島)灯りが揺れる可愛いあの子のさざえとり
   沖は(海は)夕凪釘名(くいな)の浜を通る磯船主の船
沖は小波漁火映えて殿は烏賊場か夜もすがら
踊りたいけど身は振りづらい前のやや子(抱き子)が邪魔になる
踊り疲れて浜辺に出れば沖の漁火ちらちらと
踊る七浦甚句に明けて漁に暮れるか漁火が
   お前夜叉水わしゃ奥山の谷の落ち水あわですむ
   思い出しては写真を眺め眺め写真はもの言わぬ
   思い出すより惚れよが薄い思い出さずに忘れずに
   おらちゃ若い時ゃ砂原まで通た三幅前掛け帆にかけて
   帰らしゃんすかまだ夜は夜中月が廊下の窓をさす
かかを可愛い時ゃ子のないうちだかかに子がありゃ子が可愛い
角に立つなよ足に血が下るお前好いてもわしゃすかん
鴎泣く音にふと目を覚ましあれが蝦夷地の山かいな
かわいがられて寝た夜もあるが泣いて別れた夜もござる
子供連れ添た夫婦の岩に赤い入り陽がほのぼのと
   佐渡の二見の二股見やれ伊勢も及ばぬこの景色
   島のようなる絵にかく佐渡を歌で流すか帆かけ舟
   しんぼしてくれ年なら五年せめてこの子が五つまで
   そのまた柱を杖につき富士の山にも腰かけて
タライ舟にて敷島通いサザエアワビの鳴きどころ
月も仲間に甚句がはずむ踊り太鼓が空渡る
出船かわいや入り船よりも見えた帆がさが早見えぬ
どうせこうなりゃ二足のわらじ共に履いたり履かせたり
どうせ行く人やらねばならぬせめて波風穏やかに
どんと当たれば砕けて散らす波のしぶきの双ツ岩

どんと打ち寄せ砕けて散らす波のしぶきの二つ岩
泣いてくれるな出船の時にゃ綱も錨も手につかぬ
泣くな嘆くな今別れてもいつかどこかで会える身だ
長手岬から磯長々と波が音頭とりゃ岩踊る
波は磯辺に寄せては返す明日は時化だよ船頭さん
南部一番北田(喜太郎)の豊子反で二枚の着物着る
南部津軽のあわ飯へ飯のどにつかえてしゃくとなる
南部出る時ゃ涙で出たが今じゃ南部の沙汰もいや(ない)

南部よいとこ女のよばえ男寝て待つ極楽だ
晩ね行くぞやどの手が枕明日は追手の風枕
吹いてくれるな夜中の嵐主は今夜も沖泊まり
二見夕焼け静かに暮れりゃ人もうらやむ夫婦岩
二見夕焼け静かに暮れりゃ月の笑顔に銀の波
二見夕焼け三崎はかすむ真野の入り江にたつ鴎(藤紫)
 
惚れた顔すりゃあの馬鹿野郎が雨の降る夜も通てくる
惚れたからとて毎晩来てはダメだ月に二度とか三度とか
盆の十六日ゃ第三日だ踊る子供の縁日だ
夫婦岩から岬を見れば月の光で岩踊る
目もきく歯もきくえらもきく明日は殿ごの便り聞く
夕べ見た夢めでたい夢ださかづき台に菊植えて
夕べ見た夢でんぽげな夢だ千石船を下駄にはく
別れ惜しむなおかもいさまよ何故に女の足止めに
わたしゃ磯辺の鴎となりてついて行きたいどこまでも
 
「鯨唄」

 

「鯨唄」
 

 

「アイヌの鯨祭のうた」 北海道
浜へ鯨があがってきた フンボ エー
行ってみようよ フンボ エー
浜へ大きな鯨が 白身の肉をどっさり背負って
上ってきた フンボ エー
行ってみようよ フンボ エー 
「勝山の鯨唄」 千葉
やれ目出度のう うれしめでたの 
ヤレ若松よナアエヤ ヤレ若松よナアエヤ
アア枝も栄える葉もしげる サア突いたしょ突いたかしょ
ホイ槌鯨のこもつは 突いたかしょ
今度突いたも(は) ヤレ勝山組よナアヤレ
ヤレ勝山組よナアヤレ アア親もとるとる子もとるよ
サア突いたしょ突いたかしょ 沖のかごめに
ヤレもの問えばナアヤレ ヤレもの問えばナアヤレ
アアつちは来る来る 明日も来る
誰がさしたよ ヤレ枕箱ナアヤレ ヤレ枕箱ナアヤレ
アア夜中夜中に目をさます (後略)
「勝山の槌鯨」 千葉
うれし目出度の若松さまよナア (此時船中一同に)ヤアレ 若松さまよナア
インヤ枝も栄ゆる葉も茂る (一同のはやし)サアツイタカシヤウ
槌の子持ちをツイタカショ
   今度ついたも内宿組よナア 親もとる子もとるよ
   長いかたなをからでも指すかそなたなるまいからかない
   おもしろいものヤアレ 笛の音ワナ さすが都の竹の根よ
   知らで硯のヤアレ そばに寝てナア 身おば染たよ墨染に
沖の渡(と)中にヤアレ や立て上り下りの船をまつ
淀の川瀬のヤアレ 水車ナア たれをまつやらくると
何をなひくよ河端柳ナア 水の出ばなおなびきぞよ
何とさしたよヤアレ まくら箱ナア 夜中に眼をさます
   こんど御ざらば持て来てたもれナア 伊豆の御山のなぎの葉を
   ヤレおしこんだ 加知山浦へおしこんだ つちんぼのお金をかますにとりこんで
   おどらば拍子面白や三国一じゃ つち(槌鯨)をとりつんまいた(捕りしこと)
「勝山の土鯨」 千葉
突いたかしょ突いたかしょ 土のこまつや突いたかしょ
嬉し目出度のヤレ若松様よナエヤ ヤーレ若松ヨナーエ 枝も栄える葉も繁る
アレヤー 突いたかしょ突いたかしょ ホイ土のこまつよ突いたかしょ
今度突いたも勝山組よ 親も捕る捕る子も捕ろよ
沖の鴎にヤレもの問えば 土も来る来るやすも来る
「岩井袋の槌鯨」 千葉
咲て見事な岩山つつじ 植て咲かせてさまにやる
おしま原からよせてくるつちを 二十余隻秦士かさしてとる
をまい百までわしゃ九十九まで 友に白髪のはいるまで
船が新造で櫓かいが新木沖のつちんぼかよりかかる
   中をいわいて門に立つ これも酒屋の杉はやし
   お前十七はしゃ寅の年 詣る薬師も寅薬師
お山づでんどいをなる神は ここわくわばら四方まさる
沖の瀬の七瀬あはび 海士がとらねば瀬てくちる
   傘をわすれた駿河の茶屋へ 空がくもりておもい出す
   沖の渡中の三本竹 しほにもまれて葉がよれる 
「突ン棒」 静岡
何と咲いたよ エー枕箱 ゝ 目覚めに目を覚ます
サー突いたかじょう ゝ チョイとツチの子持を突いたかじょう
土肥の地組で エー追せておいて ゝ 戸田の嵐を吹いて通る
サー突いたかじょう ゝ ホイ ツチの子持を突いたかじょう
(中略)
イエエンゆごとしんみず何から先よ アエーンエーンサッサ
まくら咲いて誠に鯨突く エー目出度のヤァ
いわか枝もオーンヤラーン 
「鯨取船明神丸の唄」 三重
[流し唄]
(前唄)
エェーヘェーヘェーヘェーエェーエ―― イヘーエ――ヘェー
エェーイ――ヘェー エ――ヘエーヘー
エ――サ――アー サーヨォシテーヨォシテ
(本唄)
今年ゃ世が良て穂に穂が咲いた
アー 枡はさて置いて箕で計る ヤッサ 治まる御代ヤトーセ
吹けよ西風上がれよヒシコ
アー 上がりゃ四日市の浜で捕る ヤッサ 治まる御代ヤトーセ
吉田通れば二階から招く
アー しかも鹿子の振袖じゃ ヤッサ 治まる御代ヤトーセ
躑躅(つつじ)椿は山坂照らす
アー 鰯ゃ四日市の浜を照らす ヤッサ 治まる御代ヤトーセ
沖のカモメに潮時問えば
アー 私ゃ発つ鳥波に問え ヤッサ 治まる御代ヤトーセ
太鼓叩きはどなたで御座る
アー あれは富田の清助じゃ ヤッサ 治まる御代ヤトーセ
宮の熱田のならずの梅は
アー 花は咲いても 実はならず ヤッサ 治まる御代ヤトーセ
宮の熱田の二十五丁橋は
アー 誰が掛けたか知らぬ間に ヤッサ 治まる御代ヤトーセ
鳥羽はよいとこ朝日をうけて
アー 七つ下がれば女郎がでる ヤッサ 治まる御代ヤトーセ
鳥羽のセンスイ錨はいらぬ
アー 三味や太鼓で船つなぐ ヤッサ 治まる御代ヤトーセ
〜以下略〜
[役唄]
安芸の宮島 廻れば七里
アァ 浦は七浦 ノホホイホイ 七恵比寿 お目出度や
[突唄]
沖のカモメに 鯨はと問えば
サァ 鯨が来る来る ノホホイホイ 後へ来る お目出度
ヤッソレー
イヤッサー ソレジャイナーエー
イヤッサー ヨイトコショーエー
[役唄]
お諏訪前で 鯨を突いた
サァ これもお諏訪の ノホホイホイ 御利生かや お目出度や
[役唄]
うれし目出度の 若松さまは
アァ 枝も栄えて ノホホイホイ 葉も茂る お目出度や
[役唄]
うれし目出度で 詣れば渡る
アァ 伊勢の大淀の ノホホイホイ 宇治橋や お目出度や
[梶直し唄]
これで妻子も諸共に
ア− 珠を持って 遊べ ヤッサ それじゃ 治まのぉー
アー エートー  シャーントーセイ
ソレジャー ヤーサ シャーントーセイ
[梶直し後唄]
弥栄(いやさか) 子孫の家の ホーイノホーイ
アァソーレイ
[梶直し後唄]
伊勢の間の山を通ればヨォ
ア− お杉やお玉  ヤッサ 治まる御代ヤトーセ 
「綾踊」 和歌山
エー明日は吉日エー 砧打つエーヨイヨイ
明日は吉日エー砧打つ エーお方姫子も出て見やれホイ
砧踊りは面白や エーなおも砧は面白や
   エー何とさしたるエー 枕やらエーヨイヨイ
   何とさしたるエー枕やら エーちょいと夜中に目を覚ますホイ
   砧踊りは面白や エーなおも砧は面白や
エー淀の川瀬のエー 水車エーヨイヨイ
淀の川瀬のエー水車 エー誰を待つやらくるくるとホイ
砧踊りは面白や エーなおも砧は面白や
「綾踊」 和歌山
明日は吉日砧打 明日は吉日砧打
おかた姫子も出て見やれ
きぬた踊りは面白や 猶もきぬたは面白や
   背美が孕んで産めばこそ 背美が孕んで産めばこそ
   沖にお背美がたえやらん
   きぬた踊りは面白や 猶もきぬたは面白や
お背美子持を突き置いて お背美子持を突き置いて
春は参ろぞ 伊勢様へ
きぬた踊りは面白や 猶もきぬたは面白や
   竹になりたやお山の竹に 旦那栄えるしるし竹
   栄える旦那 旦那栄えるしるし竹
「綾踊り節」 和歌山
エー明日は吉日エーエー砧打つエーエヨイヨイ 明日は吉日エーエー砧打つ
エーお方姫子も出てみやれ 砧踊りは面白や
エーなおも砧は面白や
エー何と差したるエーエー枕やらエーエヨイヨイ 何と差したるエーエー枕やら
エー宵と夜中に目を覚ます 砧踊りは面白や
エーなおも砧は面白や
エー脊美が孕んでエー産めばこそエーエヨイヨイ 脊美が孕んでエーエー産めばこそ
エー沖にお脊美が絶えやらん 砧踊りは面白や
エーなおも砧は面白や
エーお脊美子持ちをエーエー突き置いてエーエヨイヨイ 脊美の子持ちをエーエー突き置いて
エー春は参ろうぞ伊勢様へ 砧踊りは面白や
エーなおも砧は面白や 
ようだ エー伊勢の山田でエーエー吹く笛はエーエヨイヨイ 
ようだ 伊勢の山田でエーエー吹く笛は  
エー響き渡る宮川へ 砧踊りは面白や
エーなおも砧は面白や
エー面白いぞやエーエー笛の音はエーエヨイヨイ 面白いぞや笛の音は
エーさすりゃ都の竹じゃもの 砧踊りは面白や
エーなおも砧は面白や
エー淀の川瀬のエーエー水車エーエヨイヨイ 淀の川瀬のエーエー水車
エー誰を待つやらくるくると 砧踊りは面白や
エーなおも砧は面白や
<節が変わる>
エー太地エーコノ網方梶取通い
エー月に子持ちを二十五持ちヤーサ エーアリャコリャ
子持ちを突きに
エー月に子持ちを二十五持ちヤーサ
前のエーコノ轆轤へカガスをはえて
エーお脊美ョ巻くのに暇もないヤーサ エーアリャコリャ
巻くよなお脊美
エーお脊美ョ巻くのに暇もないヤーサ
竹にエーコノなりたやお山の竹に
エー旦那栄える印竹ヤーサ エーアリャコリャ
栄える旦那
エー旦那栄える印竹ヤーサ
「祝い目出度節」 和歌山
三国一じゃ
祝い目出度の若松様は 枝も栄えて葉も茂る
今宵の祝いに明日は座頭掛けよ これも祝いの御利生から
重ね掛けすりゃ角右衛門様組よ 親も取り添え子も添えて
「今宵夢見節」 和歌山
三国一じゃ
今宵夢見た目出度い夢を 座頭枕を子持ちを前に
旦那盃差すと見た
壇に立ちたる茜巻 誰じゃ俺じゃ 角右衛門様羽差
座頭掛けに来た漕ぎに来た
旦那百までわしゃ九十九まで 共に白髪の絶えるまで
「すず田節」 和歌山
恋をして磯辺を行けば千鳥鳴く なお鳴け千鳥恋の止むほど
鳴け千鳥恋しくば尋ねてござれ身が宿へ
杉の一本松をたよりに 忘れてもすず田の浜へ夜行くな
すず田の浜は藻原かき原脊美どころ
「明日の子持ち節」 和歌山
明日の子持ちは角右衛門様組よ
親も取り添え子も添えて
ここのお家は目出度いお家 鶴と亀とが舞をする
ここのお家は目出度いお家 船のみよしに鶴が舞い
船のとべりに亀躍る
とろりとろりと船漕ぎ寄せて
春は参ろぞ伊勢様へ 掛けて参ろぞ伊勢様へ
組の栄えは網組よ 子持ち連れ魚賑々と
寄せて掛け取る羽差水主
いつまでも旦那かわらず網組よ 右は替わらず網組よ
今年も一じゃ 大きな大たろ取り済ました
「魚踊り節」 和歌山
目出度の若松様よナー枝も添えアーソレジャイ
栄える葉も茂る
エー今夜の祝いで明日は座頭掛けよナー
これも祝いのアーソレジャイ御利生から
エー掛けたや ァ角右衛門様組よ エー角右衛門様組よ
親も取り添え子も添えて
座頭は座頭は角右衛門様へ寄せ掛かる
エー今年ァ幸せ思う事ァ叶うたよ エー思う事ァ叶うたよ
末は鶴亀五葉の松
座頭は座頭は角右衛門様へ寄せ掛ける
これからやっさなやっさなァ
一で河崎丹波河崎通い 下女思うてござれヨイヤサ
ソリャソリャ デイチュウじゃ
今宵の月はやっさなやっさなァ
白い黒い浅黄なんぞと争うて 杉原
エー紙でヨイヤサ
座頭の子持ちァあさなあさな
巣立ちで育つ明日りゃ座頭連れヨイヤサ
ソリャソリャ デイチュウじゃ
夜明けに突くよ
夜明けにァ銛でよいそりゃ
そりゃそりゃ デイチュウじゃ
三国一じゃ 座頭取りすました
「轆轤(ろくろ)節」 和歌山
ホーランエーエエ
太地は鯨でヤーエー
ヤットコセーエヨーイーヨーナー
太地は鯨で浜をば照らす
ヨーイートナー
ソリャソーレア アーリャーリャイ
ヨーイトーコーヨーイトーコーナー
ヨーイト巻いた
ヨイサーヨイサーヨイサーヨイサー
ホーランエーエエ
今宵目出度のヤーエー
ヤットコセーエヨーイヤーナー
今宵目出度の角右衛門様よ
ヨーイトーナー
ソリャソーレア アーリャーリャイ
ヨーイトーコーヨーイトーコーナー
ヨーイト巻いた
ヨイサーヨイサーヨイサーヨイサー
「殿中踊」 和歌山
突いたや三輪崎組はサ ゝ 親も捕り添え子も添えて
前なる轆轤(ろくろ)へかがすをつけてサ ゝ 大背美巻くよ暇もない
組は栄える殿様組はサ ゝ 旦那栄えるいつまでも
竹になりたやお城の竹にサ ゝ これは祝いのしるし竹
船は着いたや五カ所の浦にサ ゝ いざや参らん伊勢様へ
ソリャ 一国二国 三国一じゃ
「鯨おどり」 和歌山
沖の長須にヨーエー(ハイハア)背美問えば (ハーヨーイヨイ)
沖の長須にヨーエー 背美問えば 背美は(エイハア)来る来る後へ来る(きぬた)
前のロクロにヨーエー(エイハア)綱つけてヨ (ハーヨーイヨイ)
前のロクロにヨーエー 綱つけて 浦へ(エイハア)土産の突き鯨(きぬた)
沖で潮吹きゃヨーエー(エイハア)浦千鳥 (ハーヨーイヨイ)
沖で潮吹きゃヨーエー 浦千鳥 組の(エイハア)栄えを千代と鳴く(きぬた) 
「堺出島浜くじら音頭」(鯨踊り音頭) 大阪
波の花咲く(コラセ) かすみの海でさ 沖で鯨が しおを吹く(マカセ)
沖に見えるが(コラセ) 鯨の船か 小高か たいじか 宮崎か(マカセ)
「くじら音頭」 (堺出島浜伝承唄)
堺住吉(コラセ) 三社か四社かさ 表三社で 裏と四社(マカセ)
四社の前でと(コラセ) 扇をひろめ(ママ) 扇めでたや 末はんじょう(マカセ)
鯨とろとて(コラセ)綱まですいて くじら熊野へ みなかえる(マカセ)
出島浜にて(コラセ) 鯨がとれて 今はうれしや 宮詣り(マカセ)
堺あんりゅう町(コラセ) 浪花の松は 天に押されて 地で開く(マカセ)
沖に見えるは(コラセ) 鯨の船か 小高か たいじか宮崎か(マカセ)
前のろくろは(コラセ) かがすをはえて 鯨まくまで ひまがいる(マカセ)
目出度目出度の(コラセ) 若松さまよ 枝も栄えて 葉も茂る(マカセ)
あきの宮島(コラセ) まわれば七里 浦は七浦 七えびす(マカセ)
沖のかもめに(コラセ)潮時とえば 私や立つ鳥 波にとえ(マカセ)
沖のとなかの(コラセ) 三本竹よ うまづ(ママ)竹かや 子が出来ず(マカセ)
うまずだけでは(コラセ) わしやなけれど 潮にもまれて 子がさかぬ(マカセ)
とろりとろりと(コラセ) 船漕ぎ立てて 春は詣ろや 伊勢さまに(マカセ)
堺住吉 名所がござる(コラセ) 角(かく)の鳥居に それ橋か(マカセ)
和歌の浦には(コラセ) 名所がござる 一にごんげん 二に玉つ島(マカセ)
つつじ椿は 野山を照らす(コラセ) せみの子持ちは 村照らす(マカセ)
さがみ(相模)横山(コラセ) てるての媛は つまの小栗と 二度添える(マカセ)
播州高砂(コラセ) 尾上の松は 枝も栄えて 葉も茂る(マカセ)
ひい(比井)のからこ(唐子)の(コラセ) 中手(かて)の磯は 根からはえたか 浮島か(マカセ)
沖に見えるは(コラセ) 鯨の山か こざかたいぢか みやざきか(マカセ)
沖に見えるは(コラセ) 鯨の山か 陸へのぼせば 黄金山(マカセ)
堺出島の(コラセ) 船持(神社)さまは 出船入船 お守りなさる(コラセ)
竹になりたや(コラセ) お江戸の竹に お江戸御番所の とゆ竹に(マカセ)
えびす大黒(コラセ) いずみの国のさ 西と東の 守り神(マカセ)
浪の花咲く(コラセ) かすみの海で 沖で鯨が 潮を吹く(マカセ)
  [鯨のもりつきのかけ声。歌詞五番ごとに入れていく]
   一国二国三国一の大せみ
   取りすまして よいよーい よや よや やあやあやー
   やよせ やよせ やれつけや 
「鯨唄」 山口
祝え目出度の 若松様よ 枝も栄える 葉もしげる
竹になりたや 薬師の竹に 通栄える しるしの竹よ
納屋のろくろに  網くりかけて 大せみ巻くのに ひまもない
三国一じゃ綱に 今年は大漁しょ ヨカホエ
「鯨唄」 山口
夢を見たナー 目出度い夢を(サイサイ)
背美を枕に子持前エー(アドコデモトッタリ)
子持前に 大がちよりかかる(アサイサイ)
これも御神の御利生かえ(アドコデモトッタリ)
「鯨唄」 山口
祝いイエーアエー目出度のサーヨイヤサー
若松サーイヨー様じゃ
イヨーサーヨーエヨーエーエーヨイヤサーアー
枝も栄えるヨイヤサー葉も (後略)
「祝え目出度」 山口
祝え目出度の ヨイサー 若松様よ
枝も栄える ヨイヤサー 葉もしげるよ
竹になりたや ヨイヤサー 薬師の竹に
通栄える ヨイヤサー しるし竹よ
納屋のろくろに ヨイヤサー 綱(つな)くりかけてよ
大せみ巻くのにゃ ヨイヤサー ひまもないよ
三国一じゃ 網(あみ)に今年は大漁しよ ヨカホエ
「さても見事な」 山口
さても見事な 通の網よな せみの大がちが寄りかかる
今年ゃ 寄りかかるな 座頭の大がちが寄りかかる
   今宵祝えで 明日はせみを懸けてな これも祝えの 御利しょかな
   今年ゃ 御利しょかな これもあなたの 御利しょかな
納屋のろくろにゃ 綱くりかけてよ おせみ巻くのにゃ ひまもない
今年ゃ ひまもない 子持ち巻くのにゃ ひまもない
   三国一のじゃ 網にあしたは 朝懸けしよ ヨカホエ
「夢を見ようよ」 山口
夢を見ようよ 目出度い夢を ヨイヤサー
せみを枕にゃよ 子持ちを前に ヨイヤサー
旦那盃ゃよ 飲む段に立てたるよ
あかね鉢巻は誰じゃ ヨイヤサー
   誰じゃござらぬよ 旦那様若衆 ヨイヤサー
   せみを懸けにゃ来たよ
   浜辺に大座頭を巻き据え置いて サーサィ
   とかく通は幸せじゃ ヨカホエ
「旦那様」 山口
旦那様常にはあがらずとも
今日のこの御酒を一つ引きうけて
あがれよお客様 ヨイヤサー
様がお差しなら 六つも七つも引きうけて
あがれよお客様 ヨイヤサー
しづがみはこいしく
おせみさま まだ沖に ヨイヤサー
あすは南堂で朝懸けしょ ヨカホエ
「朝のめざめ」 山口
朝のめざめに サーヨイヤサー
イヨ山見をすれば イヤ大せみは 浮いて来る間によ
子持ちは寄せくる サーヨイヤサー
イヨ羽差しは勇む イヤ捕らにゃかなわぬ
懸けにゃかなわぬ サーヨイヤサー
イヨー通の沖で イヤ懸けて殺して
懸けて殺して サーヨイヤサー
イヨー通の浦へ イヤ漕げとよいならば
漕がにゃかなわぬ サーヨイヤサー
イヨ田の浦の浜の いや納屋のろくろにゃ
納屋のろくろにゃ サーヨイヤサー
子持ち巻くのにゃ ソリャソリャ
一じゃいの また一じゃいの
朝も懸けたが また懸ける ヨカホエ
「思うことは叶う」 山口
思うこたよ叶う ヨーノサ ヨイヤサー
末は鶴と亀とが ヨイヤサー
ヤレ祝えのものじゃ ヨーノサー ヨイヤサー
良かれ良かれと ヨイヤサー
ヤレ通は良かよ ヨーノサー ヨイヤサー
いつも捕るのが ヨイヤサー
ヤレ通のよ 網じゃ ヨーノサー ヨイヤサー
飲めよ大黒 ヨイヤサー
ヤレ唄えよ恵比須 ヨーノサー ヨイヤサー
金のふくさに ヨイヤサー
やれ金箱そえて ヨーノサー
ソリャソリャ 一じゃいの 一じゃいの
宝打ち出す槌じゃもの ヨカホエ
「見嶋組鯨唄」 山口
拍子よく 蝉や坐頭の三番叟
とうとうとれる白子の吉左吾 佐用殿百猿
見嶋組あゝら目出たの三番叟
おゝきな魚を千山来も取る 西の市人
「みしま鯨唄」 山口
見島鯨ハ誰がかけそめた 組の旦那のかけそめた
竹になりたや御山の竹ニ 旦那さかえる印竹や
納屋のろく路に綱くりかけて
蝉をまくのにひまもない 子持まくのにひまもなや 
「鯨舟の歌」 高知
三国一ぢゃ 子持取りすました
でかしたでかした 明日はでかした
大きな大背美を捕った
   嬉し目出度の思ふこたかな
   いやとったりや ともさで
   末は鶴亀 五葉松
重ね取りよする 浮津浦組よ
いやとったりや ともさで
親も取りそへ 子もそへて
   今日も背美取る 明日も取る
   いやとったりや ともさで
   明後日は旦那で 金かける
三国一ぢゃ 子持取りすました
でかしたでかした 明日はでかした
大きな大背美を捕った
   いや組の栄は 久方の子持連魚を
   日々に来て 押し寄せて 寄せて
   突き取るはざしかこ 何時迄も何時迄も
   旦那栄える 浦屋もにぎはうかな浮津浦  (以下略)
「鯨舟の唄」 高知
三国一じゃ子持ち捕り済ました アでかしたでかした
ソリャ明日はでかした ア大きな大背美をとった
ソリャオン和歌の ア大浦から アヨーイ ア焦がれて来 ソリァ来たか
アソレモエーンエーンエーンエー アヨーイ
ア様は嬉しゅや アヨーイ アもろ共に 嬉し目出度の ア若松様よナー
ア枝もヨー ソリャ 栄える ア葉も茂る
ソーリャ枝もナーヨーシ ア枝もヨー ソリャ 栄える ア葉も茂る
イヤ旦那様の鯨舟 ソリァ浮津の甚五郎が造りたや
突き候背美のソリァ 子持ち突き候エ
イア旦那様の神楽さん ソリァ如何なる日を見て据えたやら
捲き候背美のソリァ 子持ち捲き候エ
イア旦那様の油納屋 ソリァ如何なる日を見て建てたやら
練り候背美のソリァ 子持ち練り候エ
イヤ鉢巻鉢巻 茜鉢巻ゃ浮津浦組よナー ソリャ
親も獲り添え ア子も添えてオモシロイ ソリャヨーカロ
ソリャ大背美は 舟に寄りかかる寄りかかる
ヤあわの中のひよどり エイヤシャリシャリシャリソリァ
一国二国三国一じゃ子持ち捕り済ました
ア三国一じゃ子持ち捕り済ました
「三国」 高知
三国一ぢゃ子持獲りょすました
でかしたさア でかしたさア
あすはでかした大けな大たろ大獲りぢゃ
祝えごりょしょにまず背美獲ろや
これも祝いのごりょしょかぇ
重ね獲りょする津呂浦の組は
親も獲りそえ子もそえて
前の轆轤(ろくろ)へカガスをはえて
子持ょ巻くのにひまがない
そりゃまた一ぢゃ子持獲りょすました
でかしたさアでかしたさア
あすは大けな大たろ大獲りぢゃ
「和歌」 高知
そりゃアわかへくる時ゃえりかけござれ
わかの女郎すはえりにつく
亀が舞する鶴たつ島に
お宮詣りの下戸(げこ)の祝(しゅく)
たけになりたやお山のたけに
旦那栄えるしるしなり
「組の栄え」 高知
組の栄えはひらかたの
子持つれ魚(いお)日々にきて 押寄せて
かけて突き獲る羽差舟子
右は彼の津呂組それまた一ぢゃ
子持獲りょすました
明日はでかしたでかしたさア
大きな大たろ大獲りぢゃ 
「鯨骨切り唄」 佐賀
アー 小川山見から ソーライ こう崎見れば
こう崎ゃ セミのいお ソーライ 沖ゃ ナガスよ
ア セミのいお こう崎ゃよ
こう崎ゃ セミのいお ソーライ 沖ゃ ナガスよ
アーよう切る よう切る
   アー おやじ舟かや ソーライ 万崎沖で
   ジャイを 振りゃげて ソーライ ミト招くよ
   ア 振りゃげて ジャイをよ
   ジャイを 振りゃげて ソーライ ミト招くよ
   アーよう切る よう切る
アー ミトは 三重がわ ソーライ その脇ゃ 二重
セミの子持ちは ソーライ 逃がしゃせぬよ
ア 子持ちは セミはよ
セミの子持ちは ソーライ 逃がしゃせぬよ
アーよう切る よう切る
   アー 沖じゃ 鯨とる ソーライ 浜では さばく
   納屋の旦那さんは ソーライ 金はかるよ
   ア 旦那さんは 納屋でよ
   納屋の旦那さんは ソーライ 金はかるよ
   アーよう切る よう切る
アー 納屋のロクロに ソーライ 綱繰りかけて
セミを巻くのにゃ ソーライ 暇もないよ
ア 巻くのにゃ セミをよ
セミを巻くのにゃ ソーライ 暇もないよ
アーよう切る よう切る
   アー 漕がにゃ かなわぬ ソーライ 小川の浦で
   今日は 大漁の ソーライ 祝い酒よ
   ア 大漁の 今日はよ
   今日は 大漁の ソーライ 祝い酒よ
   アーよう切る よう切る
「轆轤(ろくろ)巻き上げ唄」 佐賀
沖じゃ鯨取る 浜ではさばく ヨーイヨイ 
納屋の旦那さんな こりゃ金はかる ヨーイヨーイヨイヤナー 
ドートー エンヤ巻いた エンヤ巻いた 巻いた 巻いた
   ツツジ椿は野山を照らす ヨーイヨイ 
   セミの子持ちは ヤレ納屋照らす ヨーイヨーイヨイヤナー 
   ドートー エンヤ巻いた エンヤ巻いた 巻いた 巻いた
祝いめでたの若松様よ ヨーイヨイ 
枝も栄える こりゃ葉もしげる ヨーイヨーイヨイヤナー 
ドートー エンヤ巻いた エンヤ巻いた 巻いた 巻いた
「鯨お唄い」 佐賀
思うことは ソリャ叶うたよーの サーヨイヤサ
末は鶴亀 亀ヨイヤサ
ヤーレソリャ 祝いのソリャアーものじゃようの サーヨイヤサ
鶴が舞う舞え 舞うよーヨイヤナ
ヤーレソリャ この屋のソリャアー 上でようのサーヨイヤサ
よかれよかれぇー ヨーヨイヤサヤーレソリャ
この先ゃソリャよかれよの サーヨイヤサ
三国一じゃアー これから先は 鯨も大捕れしょアーヨカホイ
「波差志(はざし)唄」 佐賀
ミシマクジラハ タカカケソメタ クミノタンナカ カケソメタ
ナヤノロクロニ ツナクヒカケテ セヒヲマクノニ ヒマモナヤ
サテモミコトノ ヲクミノアミヨ セヒノコモチカ ヨリカカル
タケニナリタヤ ヲヤマノタケニ ダンナサカエル シルシタケ
「羽指踊(はざしおどり)」 佐賀
いわひ目出たの若松さまよ 枝も栄へる
葉もしげる 三國一しやあすは あみに大がけしよ
   竹に成りたやお山の竹に 旦那栄へる
   葉もしげる 三國一しやあすは網に 大がけしよ 
納屋のろくろに綱くりかけて 子持
巻くのハひまもなや あすはあみに 大がけしよ
「鯨納屋石搗歌(くじらなやいしつきうた)」 佐賀
松に花さく萬代かけて
上下万みん五常の道を
まもるめぐみで幾久しくも
つヾくつくしの名も立なみの
松浦がたとやひれふる山に 
残るくもりのはれ行方ハ 
虹のまつ原其かたわらに 
しづが里とて賑ふ町に
萬はかりし桝屋といふて 
数代栄華のえだ葉もさかへ
質屋酒やに寿命を延す
薬し辺々売広まりて
諸事の小ま物おみせがあまた
物のうりかひ出入もあまた
心廣川利兵衛さんな   
何に不足もなさおりからに
君の御用て筑前の守   
兼て長崎御預りで
諸士のおともで唐おらんだと
立に行きの御とまりじく
三のちゃやともなる家がらの
数年御宿のこんいと成て
あひの名物玉嶋川の   
清きながれのわたしばなれど
汐のみちひにふねふつがふと
桝屋一ッ手のちぞふのはしを
かけて近来御通りあれバ
上下揃ておんよろこびの
桝屋気どくの御ほうびとして
今度ちくぜんかねざき沖に 
うをの道筋かじめの嶋へ  
なやのしぐみを下さる比ハ 
天保十一子の初春に    
福を道行大こく天の
あたえ成かやこわありがたや
うんき桝やの利兵衛さんな 
時にあふぎの末廣川と
成てあをがんかなめが大事
徳者中まにはなされけれバ
我も我も打祝で
鶴のすごもる一本杉屋   
かじめ仕出の咄のねつに  
すヾもなまりもみな打とけて
和合はなしのおふなや小なや
受つなかしつ質屋の出合
なれど新きのしだしの事で 
金も諸方に銀仕を見立
思ひ思ひに手くばりなさる
時にしたつる船材木ハ
日向仕出しの五そふのうわに
虹の浜べにみな買上て
私領御料の木引をあつめ
我も我も夜ハ日に次で
引やはまさき手くりの伝へ
四十八うらの船大工しに
わけて願もいそぎの事で
呼子名古屋にかた嶋掛て  
くみになれたるえり人斗り
よせもよせたる三百余り  
ひごそかひあげ上ずにかけて
もっそかけあみ引船のつな 
くじらまきどふつり掛かがす
かじわもり早けん打上る  
小だま小だまがあらいそなみの
音にまさりてさも賑かに
つくりならぶるうらはま伝へ
いろは印の新ぞふ受て   
萬小道具早つみ込みて
船のおやじは水主船頭を  
見立見立てわけ渡しけり
風をまてどもおりあしけれパ
雨天つヾいて出船もならす
おなじ所にまむしの神や
すわのみやなる神主様へ  
右の次方をかたられけれバ
ちかく川上鏡にたしま   
唐津明神うきだけ山へ   
気勢(お)いかへれバあらたなことハ
そらにくまなき日ハ清(すが)々と
四海浪風おさまる冬の
中の月末日をあらたまの
こよみひらけバ其日も天しや
よろずよしよし船押出す
白ほまきあげせみ口しめて
四十八そふおい手にまかせ 
鳥もおそるゝげん海なだを 
風にならんで行勢ひハ
むかし源平船いくさより
まして気づよく乗り出しけり
浪の高嶋打こし見れパ   
神集嶋とやさよひめ嶋   
いわれ咄しぞあら面白や  
けやの大戸ハはひして通る 
みさきかわれバ心もゆるみ 
船にそなえし御酒ひろめんと
たんなたんなはなだ酒出て
さへつおきへつ呑相の嶋  
木でも竹でも引のこの嶋  
はるかへだてゝかのだざいふや
玉の箱崎心で拝す      
次に古(いに)しへ神代のむかし
いこくたひじのなされし時の 
一千の御宝ひみつの玉を
おさめおかれし此鹿の嶋   
今にいたりて龍神祭り
残し置れし船物語り
風がよけれバほどまぢかくも
船の掛りもよき地の嶋へ   
ついていろはの印を立る   
水主も船頭も心のいかり   
とんとおろして問屋に上り
旦那旦那に附船頭や
親父手付に水主はさしまで  
思ひ思ひの地走の末に    
うちのよめかゝ隣のむすめ
客にむかふてようこらさった
国のならいで物やわらかに
くじらあいさつこちやたいがたく
付つまわしつ取物類を
ゆだんさんすなかんだら心  
しめつゆるめつ嶋役人ハ
廣き所に屋敷を見立
渡し玉へバ地わりをいたす
むねも落付石搗おんど    
伊勢ハ津で持津ハ伊勢でもつ 
古歌をまなんでかりほのいほの
苫のあら吹露霜よけて
住しかりがね田毎の月も   
見ずに汐吹くじらをにらむ
船は白嶋山家のみ崎
思ひ思ひにかじめの嶋へ   
かよふ千鳥の声山からも
ざいを振立ふり込方え    
右も左りも早追船の     
浪の龍田はもみじがてらす  
蝉の子持はかじめをてらす  
次の長すハざ頭の手引    
沖のかもめか親鳥こ鳥    
続く大雨とのがたまでも
なやのしかふを見物せんと
思ひ思ひに大樽小樽     
つめる油が千丁余り
せじる火の手が雲井を照   
富士や朝間のけぶりも今ハ  
およぱざけり心の内ハ    
日本取てもとよとみ公ハ   
武士の名正三国一と     
角力附でも大関成が     
それにまさりて日本のくじら
取てたらぬとせけんのうわさ
深山からすも鵜のまねすれバ
水におぽるゝ古人の言葉
仇にこぽすな廣川の水
せくなせきゃるな浮世ハ車
まわり大がね千万両も
のぞみますやがすき八合で
わたり兼ても心にとかき
引てかん定大つもごりの   
明て目出たきみ箱に玉の
三つの朝日もかヾやくよふに
今年ばかりかまた来年も
もふけ重ねてほふらひ山と  
庭に鶴亀まいあそびける 
「長崎くんち 鯨の潮吹き」  長崎
[前日の唄]
(オオ 背美よ 背美よ)
祝い芽出度やー 祝い芽出度アヤアー
(ヨイヤサー ヨイヤサー)
ハアーエイーヨーオーオオ 若松さまアーヨー 枝も栄える 枝も栄える
(ヨイヤサー ヨイヤサー)
ハアエイーヨーオーオオ 葉も茂る 檀那(だんな)百まで 檀那百まで
(ヨイヤサー ヨイヤサー)
ハアエイーヨーオーオオ わしゃ九十九まで ともに白髪の ともに白髪の
(ヨイヤサー ヨイヤサー)
ハアエイーヨーオーオオ はえるまで
(デーカイタ デカイタ)
(明日も大きな 大背美よ ヨッシリヨイサ ヨッシリヨイサ)
[後日の唄]
(オオ 背美よ 背美よ)
背美は曳きくる 背美は曳きくる
(ヨイヤサー ヨイヤサー)
ハアエイーヨーオーオオ 羽差は勇む 納屋の手代衆は 納屋の手代衆は
(ヨイヤサー ヨイヤサー)
ハアエイーヨーオーオオ 金はかる つつじ椿は つつじ椿は
(ヨイヤサー ヨイヤサー)
ハアエイーヨーオーオオ 野山を照らす 背美の子持は 背美の子持は
(ヨイヤサー ヨイヤサー)
ハアエイーヨーオーオオ 納屋照らす
(デーカイタ デカイタ)
(明日も大きな 大背美よ
ヨッシリヨイサ ヨッシリヨイサ ヨッシリヨイサ ヨッシリヨイサ)< 同上 >
[挨拶廻りなどの歌]
(オオ 背美よ 背美よ)
祝い芽出度やー 祝い芽出度アヤアー
(ヨイヤサー ヨイヤサー)
ハアエイーヨーオーオオ 若松さまアーヨー  枝も栄える 枝も栄える
(ヨイヤサー ヨイヤサー)
ハアエイーヨーオーオオ 葉も茂る
(オオ 背美よ 背美よ)
背美は曳きくる 背美は曳きくる
(ヨイヤサー ヨイヤサー)
ハアエイーヨーオー オオ 羽差は勇む
(デーカイタ デカイタ)
(明日も大きな 大背美よ
ヨッシリヨイサ ヨッシリヨイサ ヨッシリヨイサ ヨッシリヨイサ)< 同上 >
「正月唄」 長崎
年の始めの門の松サーヨイヤサー 年の始めの門の松サーヨイヤサー
年はふけても若の浦ハイヨー 風根魚間の松風よアー沖に来る大背美様よ
背美組よなテーテーハーハハイヨー 朝がけ捕ろぞな
重ねがけしょうよみさき浦 ヨイヤサー 名所続けよ生月は サーヨイヤサー
名所続けよ生月は 一国二国三国一じゃ
祝うて一同が捲かれますぞ ハイヤオイ
「祝い目出度」 長崎
祝い目出度の サーヨイヤサー 若松サイヨー様じゃい
サーヨヨエーアヨイヤサー
枝も栄える ヨイヤサー 葉も茂るよ ソリャサー
   竹になりたや サーヨイヤサー 大山のサイヨー竹にゃ
   サーヨヨエーアヨイヤサー
   旦那栄える ヨイヤサー しるし竹アソリャサー
納屋の轆轤に サーヨイヤサー 綱打ちサイヨー掛けて
サーヨヨエーアヨイヤサー
大背美捲くのにゃ ヨイヤサーひまもない
   三国一じゃ 祝うてこの船ゃ 背美の子持ちば朝がけしょ
   ハイヤオイ
「鯨唄」 長崎
「羽指歌」
納屋の轆轤(ろくろ)につなくりかけて
大背美(おおせみ)巻くのにゃ ひまもない。イヨひまもない
子持ち巻くのにゃひまもなや
「勇魚捕歌」
年の初めの門の松 サーヨイヤサー
年の初めの門の松 サーヨイヤサー
年は古りても若の浦 ハイヨオ
かざね魚まの松風よ アーソリャ
テーテーハーハー ハイヨオ
朝がけ捕ろそな
鶴は千年歳古りて サーヨイヤサー
鶴は千年歳古りて サーヨイヤサー
年は古りても若の浦 ハイヨオ
かざね魚まの松風よ アーソリャ
お山に来る大背美様よ 背美組よな
テーテーハーハー ハイヨオ
「勇魚節(いさなぶし)」(別名「エンヤラヤ」) 長崎
月は傾く 平戸の沖で
勇魚(いさな)取る子の 櫓(ろ)の速さ
エンヤラヤノヤー エンヤラヤノ
エンヤラヤノ エンヤラホイノサー
「弁財天」 長崎
(みなみまつうらぐん・しんかみごとうちょう)
祝う目出度の サー弁財天の浦よな
サー弁財天の浦よな
浦はチョイ七浦七蛭子 お伊勢利生よ
サー明日は座頭ば 懸きょよな
サー子持ちも懸きょな
是もチョイお伊勢の御利生かな
鼻の野首に サー山見をすればな
サー山見をすればな
座頭はチョイ小河原の前に来る
竹になりたや サーお山の竹にな
旦那チョイ栄える しるし竹
懸けた懸けたよ サー持双に懸けたよ
サー有川大組ゃよう 有川大組ゃ 又懸けた
祝ふて三度
「生歌 はざし歌」 長崎
祝う目出度の サー弁財天の浦よな
弁財天の浦よな 浦はチョイ七浦七蛭子
何とさいたる アーソコタイ 油やら ハイヨ
 (御方よ姫子も出てうしゃれ 生歌踊りの祝う面白や ハイヨ)
明日は吉日 アーソコタイ 生歌打つ ハイヨ
淀の四十路の アーソコタイ 水車 ハイヨ
空の星さや アーソコタイ 夜は蛭子 ハイヨ
八巻八巻蔦八巻きを しっかと締めかけて
踊らば容姿の祝う面白や 一国二国三国一じゃ
祝うて今年は 幸せよかろうよ ハイヤオイ
「年の始め」 長崎
年の始めの門に松 サーヨイヤサー
年は経れても和歌の浦
サァ安中に来る 大座頭さまは新綱ヨナ
サァ父母 ハーイヨ 朝懸けソーライソーライ
名所よ続きの有川浦 サーヨイヤサー
風根魚間の松風よ サーヨイヤサー
   鶴は千年の年経れて サーヨイヤサー
   年は経れても和歌の浦
   サァ野首に来る 大座頭さまは新綱ヨナ
   サァ父母 ハーイヨ 朝懸けソーライソーライ
   名所よ続きの有川浦 サーヨイヤサー
   風根魚間の松風よ サーヨイヤサー
蛭子よ続きの有川浦 サーヨイヤサー
年は経れても和歌の浦
サァ魚待ち来る 大座頭さまは新綱ヨナ
サァ父母 ハーイヨ 朝懸けソーライソーライ
名所よ続きの有川浦 サーヨイヤサー
風根魚間の松風よ サーヨイヤサー
   懸けそよ続きの有川浦
   サァー 三国一じゃ
   祝ふて今年は 幸せよかろうよ ハイヤオイ
「旦那様」 長崎
旦那様の鯨船 如何なる大工が造りしぞ
 (座頭ばなーよし座頭はんのほいよ ハイヨ 座頭ば懸け揃え)
旦那様の御家には 如何なる御蛭子供えしぞ
旦那様の神楽さん 如何なる月日に据えたやら
旦那様の油納屋 如何なる製造備えしぞ
一国二国三国一じゃ ここの御家は末が末まで 繁昌しましょうよ ハイヤオイ
「祝い目出度」 長崎
祝う目出度の サーヨイヤサー
若松さいよ様じゃよ サアヨイ サーヨイヤサー
枝も栄える ヨイヤサー 葉も繁るよ
ソリャ 今年ゃ幸せ サーヨイヤサー
思ふた事ちゃサイヨ 叶うよ
サーヨイ サーヨイヤサー
末は鶴亀 ヨイヤサー 五葉の松よ
ソリャ 竹に成りたや サーヨイヤサー
お山のサイヨ 竹によ サーヨイ サーヨイヤサー
旦那栄える しるし竹よ
ソリャ 一じゃいな 又一じゃいな
祝うて今年は 幸せよかろうよ
ハイヤオイ
「網の目締歌」 長崎
アーつつじ椿はナーエー (ホーラエー ヤーラエー)
アー野首を照らすナーエー (ホーラエー ヤーラエー)
アー座頭の子持ちはナーエー (ホーラエー ヤーラエー)
アー納屋をてらすナーエー (ホーラエー ヤーラエー)
アー親は百までナーエー (ホーラエー ヤーラエー)
アー子は九十九まで (ホーラエー ヤーラエー)
アー孫は白髪の生えるまで (ホーラエー ヤーラエー)
「神戻りの歌」 長崎
ハーヨイトヨイヨイ 
おやじ船かなズイノーヨー 野首の沖で采を振り上げ 
ノーヤ 網船(みと)招く ハーヨイサヨイヨイ
   網(みと)は三重側ズイノーヨー その脇ゃ二重 逃がしゃせまいぞ
   ノーヤ 座頭の鯨(いよ) ハーヨイサヨイヨイ
明日は良い凪ズイノーヨー 沖までじゃやらぬ 座頭の子持ちは
ノーヤ 端(へた)で捕る ハーヨイサヨイヨイ
「轆轤巻の歌」 長崎
ヤットセー ヤットセー
飲めよ大黒 歌えよ蛭子 ヨイヨイ 中の尺取りゃノウ福の神
ヨーイトー そら巻け そら巻いた ヤットセー ヤットセー
   沖にゃ鯨捕る 端(へた)には剖く ヨイヨイ 納屋の旦那衆は ノウ金はかる
   ヨーイトー そら巻け そら巻いた ヤットセー ヤットセー
今年ゃ幸せ 思うこちゃ叶う ヨイヨイ 末は鶴亀ノウ五葉の松
ヨーイトー そら巻け そら巻いた ヤットセー ヤットセー
「納屋手歌」(なやてうた) 長崎
夫組(そのくみ)は 冬組春浦(ふゆぐみはるうら) 勢美(せみ)座頭(ざとう)
長須(ながす)児鯨(こくじら)花出しや
子持連魚(こもちれんぎょ)白長須(しろながす)
勢子持(せこもち)に立羽立(たちはたつ)
七尋物(ななひろもの)に雑物(ざつぶつ)や 扨(さて)名所は数多し
觜(はし)囀(さえずり)に山臚(さんりょ?)
衣(ころも)黒皮(くろかわ)敷(しき)胴身(どうみ)
赤身(あかみ)臓(はらわた)骨(ほね)筋(すじ)髭(ひげ)や
立羽(たっぱ)尾刷毛(おばいけ)とう[*革ヘンに「堂」]握(にぎ)り
唯輪(?)たけりに貝(かい)の元(もと)から肝(きも)までも捨(すて)りなし
旦那(だんな)手代(てだい)に別当役(べっとうやく)
帳役(ちょうやく)若衆見習(わかしゅうみならい)は
勘太郎(かんたろう)追(おい)を最初也(さいしょなり)
親父(おやじ)役人(やくにん)惣支配(そうしはい)
勢子(せこ)の羽指(はざし)に持双(もっそう)や 流し沖番水主(かこ)の者
舳押双海(へおしそうかい)行列は 山見(やまみ)注進(ちゅうしん)天秤(てんびん)と
麾(き)の模様に 依(より)そかし
手柄仕勝(てがらしがち)の羽矢(はや)万(よろず) 一・二の銛(もり)は大事なり
剣切(けんきり)手形(てがた)仕課して 頭漕(とうそう)より浜(はま)までは
誠(まこと)に勇ミ敷(いさみしき)働(はたらき)なり 浜は大納屋(おおなや)西東
勘定(かんじょう)樽屋(たるや)道具納屋(どうぐなや)
鍛冶屋(かじや)大工(だいく)に釜懸(かまがかり)
大切(おおぎり)小切(こぎり)煎粕(いりかす)や
魚切部屋(うおきりべや)の飯焚(めしたき)や
田島(たじま)の納屋(なや)の前細工(まえざいく)
小取(こどり)日雇(ひやとい)に立番(たちばん)や
夜廻(よまわり)不寝(ねず)の大鼓番(たいこばん)
轆轤場(ろくろば)虎落(もがり)内札(?)は 坪場(つぼば)魚棚(うおたな)苫塵(とまちり)や
呉竹杭(くれたけくい)に縄筵(なわむしろ) 船は碇(いかり)帆(ほ)梶(かじ)柱(はしら)
持双柱(もっそうはしら)八挺櫓(はっちょうろ)
手柄褒美(てがらほうび)の羽指歌(はざしうた)
関東胡麻(かんとうごま)の誥出し(たけだし?)
道具(どうぐ)浜売(はまうり)仕替物(しかえもの) 実に蓬莱(ほうらい)の山そかし
「祝いめでた唄」 長崎
祝いめでたの若松様よ 枝も栄える 葉も茂る
竹になりたや お山の竹に 大主栄える白しょ竹
これの柱に綱くりかけて お金まくのに ひまもない
三国一じゃ 祝うて仕合せ叶うよ ハイヤー オイ
「思うこと叶う」 長崎
大主さん仕合せ 思うこと叶うた
末は鶴亀 五葉の松 ハイヤー オイ
「建築祝い」 長崎
さても見事な新宅作事 大工手業な金業な
金の床ぶち 黄金の柱 小判雨戸に 銭すだれ
小判雨戸に 銭すだれ ハイヤー オイ
「中唄」 長崎
さす盃に花が咲く 花も黄金の花が七重咲く
さして上げて しのだの水は鯉の酒
飲まばや伊勢の天目で がぶがぶとさし上げて
さいとりさしは よいもさす
さし上げて お泊まるならば この宿に
女郎も裏屋にゃ 風呂もたて揃えて
若君様のお乗りの船は 月にたて波風静かに
乗りすまそうよ ハイヤー オイ
「新造船祝い」 長崎
新造造りて 新造作りて イヨ 浮かべてみれば
沖の鴎(かもめ)の 沖の鴎の イヨ 浮き姿
沖の鴎は 沖の鴎は イヨ 背美(せみ)じゃと思うて
納屋のロクロに 納屋のロクロに イヨ 綱くりかけて
背美をまくのにゃ 子持まくのにゃ イヨ ひまもない
ハイヤー オイ
「明日はよい凪」 長崎
明日はよい凪 明日はよい凪 イヨ 沖まじややらぬ
磯のもぎわで 磯のもぎわで イヨ 魚をとる
船頭せきゃるな 船頭せきゃるな イヨ 若衆もせくな
魚のさかりゃ 魚のさかりゃ イヨ まだならぬ
新造ゃたまにゃ 新造ゃたまにゃ イヨ 綱くりかけて
魚をまくのにゃ 魚をまくのにゃ イヨ ひまもない
ハイヤー オイ
「津茂里(つもり)」 長崎
東山から仕合せ山が 大主さんに ころびかかれば
ころべよ尺八ゃ こちよれまくら
やほえてよしよもや 背美の魚
背美と はざしは もろはくだるま
仲のよいこた 人知らぬ 明日もござるなら
もてきてたもれ 山の小松に いちごをすえて
さまは末代 わしゃ一期(いちご)
親父ゃ百まで 子は九十九まで
髪にゃ白髪のはえるまで
髪にゃ白髪のはえるまで ハイヤー オイ
「ハザシ唄」 長崎
さても見事な旦那衆の網よな
背美が寄りてくる 子持は寄せてくる
背美のおうがち おうがけしょ
親父船かよ半ばに寄せよ
子持は寄りてくる ハナゲの沖よ
采を振り上げで イヨ 網戸(みと)招く
みとは八重張りそのわきゃ二重
沖の手張りはみな一重
ともに苫(とま)釣りおもてにしるし
背美はぢゃれもの イヨ みと指いて
みとにやかぶせて 剣で殺して
よろづでとめる もつそにかけて
漕げとよいなら 漕がねばならぬ
田ノ浦の浜に納屋の轆轤に
綱つり掛けて背美を巻くほど
目出度旦那衆仕合せよかろよ よかおい
明日はよい風 沖まじゃ出さぬ
磯の藻(も)ぎわで大がけしょ
魚(いお)ぞ魚ぞ 名烏山見(ながらすやまみ)
沖の鯨舟目も見せぬ
背美はあとより子を連れて
明日は旦那衆は大がけしょ
「瀬田の鯨組唄」(うちかけ踊り唄) 長崎
国は対州(たいしゅう)よ 城下というて
城下町には 亀谷(かめや)さんがござる
もとのくらしを おもうぞうなさる
非人ことづて なされたくらし
おおかみさまに おねがよあげて
おもたかのたよ 鯨組をなさる
冬は茂江にてしょばいなさる
春は廻(まわり)に 納屋うちかけて
金のびょうぶに きんらんまくら
金のたらいで ちょうずをなさる
やまにいくぞや おいさまおい
「廻の鯨組唄」 長崎
麦は穂が出る 鯨組はもどる
なにを頼りに 麦とりいれよか
亀谷さんのくらしをやれ
乞食非人に まさつたくらし
そこでお上に願いをあげて
願いかのうて 鯨組をなさる
春になったら廻にござる
廻りや花よと納屋うちかけて
亀谷さんのすまいを見やれ
金の屏風に 金襴(きんらん)まくら
金のたらいで ちょうずをなさる
金の茶碗で 御飯をあがる
そこで一の別当さん手許につれて
あがる山見は寺崎山見
三里眼鏡で四方を見れば
はるかの沖には子持ちが見ゆる
それを見るより苫つりあげて
三六隻皆漕ぎいでて
池田もたれに網うちはりて
みとは三重がわ そのわきや二重
そこで子持がみとうちかぶる
一にけんぎり 二にはやたてて
刃刺しやとびこみ 胴なわいれて
新造もっそに早からみっけ
さあさ漕ぎやれ寺崎さして
そこで別当さんが語り出す
廻 唐州が皆あつまりて
からすみたよな かんだらなさる
そこで別当さんが語り出す
打つな叩くなちょうちゃくするな
人をのろえば 鯨がとれぬ 
 
地域地元唄

 

 
北海道

 

「ソーラン節」 (「沖揚げ音頭」)
ヤーレンソーランソーランソーランソーランソーラン(ハイハイ)
にしん来たかと 鴎に問えば わたしゃ立つ鳥 波に聞け チョイ
ヤサ エーエンヤーサーノドッコイショ (ハードッコイショドッコイショ)
ヤーレンソーランソーランソーランソーランソーラン (ハイハイ)
沖の鴎に 潮どき問えば わたしゃ立つ鳥 波に聞け チョイ
ヤサ エーエンヤーサーノ ドッコイショ (ハードッコイショドッコイショ)
ヤーレンソーランソーランソーランソーランソーラン (ハイハイ)
男度胸なら 五尺のからだ どんと乗り出せ 波の上 チョイ
ヤサ エーエンヤーサーノ ドッコイショ (ハードッコイショドッコイショ)
ヤーレンソーランソーランソーランソーランソーラン (ハイハイ)
躍る銀鱗 鴎の唄に お浜大漁の 陽がのぼる チョイ
ヤサ エーエンヤーサーノ ドッコイショ (ハードッコイショドッコイショ)

鰊来たかと かもめに問えば 私しゃ立つ鳥 波に聞け
沖の鴎に 潮時聞けば 私しゃ立つ鳥 浪に聞け
男度胸なら 五尺の身体 どんと乗出せ 浪の上
沖で鴎の 鳴く声聞けば 船乗り稼業は やめられぬ
波の瀬のせで どんと打つ波は 可愛い船頭衆の 度胸だめし
今宵一夜は どんすの枕 あすは出船の 波枕
玉の素肌が 飛沫に濡れりゃ 浮気鴎が 見てさわぐ
「いやさか音頭」 (「子叩き音頭」)    ←「鯵ヶ沢甚句」 
姉ここちゃ向け かんざし落ちる  (アーイヤサカサッサ)
かんざし落ちないナ 顔見たい
アリャ顔見たい 落ちないナ 顔見たい  (アーイヤサカサッサ)
   来いちゃ来いちゃで 二度だまされた 
   又も来いちゃでナ だます気か
十七八(じゅうしちはち)なら 山さもやるな
山にゃ人さすナ 虫がいる 
   お前行くなら わしゃどこまでも
   蝦夷や千島(ちしま)のナ 果てまでも
「チョイサ節」
大漁手ぬぐい きりりと締めて どんと起こせば 百万両
飲めや大黒 歌えや恵比須 仲をとりもつ 福の神
「ナット節」 
裏の畑に 蕎播いて そのまた隣に 粟播いて
そのまた隣に 黍播いて そば通ってあわなきゃ きびわるい
   会いたい見たいが 籠の鳥 もしもこの身が 飛べるなら
   番屋の屋根に 巣をつくり 焦がれ鳴く声 聞かせたい
一輪咲いても 花は花 一夜の嵐に 散るはイヤ
たとえ草履の 鼻緒でも 切れて気持ちの よいものか
   一度咲く花 二度までも 咲かせたいとは 思えども
   月にむら雲 花に風 浮世はままに ならぬもの 
「道南ナット節」
(ハーナットナット)
波の花散る北海を 思い出したら又来てね
木彫りの小熊を共にして アリャご無事で内地へ 戻りゃんせ(ハーナットナット)
   誰に買われて行くのやら おばここけしが片えくぼ
   知らぬ他国でふるさとの アリャ夢見て泣くだろう 明け暮れに
連絡船のドラが鳴る 函館港は涙雨
逢うは別れと知りながら アリャなんで又鴎が なくのやら
   来年来るやら来ないやら 来ても又逢うやら逢えぬやら
   わたしゃ深山の水車 アリャ花咲く春まで くるくると
「根室女工節」
女工女工とみさげるな 女工のつめたる缶詰は
横浜検査で合格し アラ女工さんの手柄は外国までも
   工場の窓から沖見れば 白波分けて旗たてて
   又も積んできた蟹の山 アラ可愛い女工さんまた夜業
故郷離れて来ておれば 文の来るのを待つばかり
千島がよいの便り船 アラ今日も来るやら来ないやら 
「艪漕ぎ唄」
オスコエー エー オスコエー エンヤーサー
オスコー エー オスコエーンヤー
沖でカモメが啼くその時は 浜は大量の花が咲く
オスコエー オスコエー オスコエー エンヤーサー
エスコエー エー オスコエーンヤー
押せや押せ押せ 二丁櫓(にちょうろ)で押せや 押せば港が 近くなる
オスコエー エー オスコエー エアンヤーサー
オスコエー エー オスコエーンヤー
泣いてくれるな出船の時は 泣けば艪櫂(ろかじ)が手がつかぬ
オスコエー エー オスコエー エアンヤーサー
オスコエー エー オスコエーンヤー 
「北海タント節」
ハアー 一つ日の本北海道に 生きるこの身の 有り難や 有り難や
蝦夷はよいとこ 野も山も 昇る朝日に うろこ波
黄金白銀 タントタント あいこのじょうさく そんわけだんよ
   ハアー 二つ二人の 共稼ぎなら 荒い波風 いとやせぬ いとやせぬ
   逢いに北見の鴻の舞(こうのまい) 拓北原野(たくほくげんや)の 真ん中も
   共に手を取り タントタント あいこのじょうさく そのわけだんよ
ハアー 三つ港や 入船出船 あいの連絡 宝船 宝船
花の函館 夜知らぬ なぞは手宮の 古代文字
思案顔して タントタント あいこのじょうさく そのわけだんよ
   ハアー 四つ夜明けの 鐘鳴り渡る 都札幌 人通り
   遠い流れの 石狩川に 可愛い鈴蘭 ういて来る
   秋は秋味 タントタント あいこのじょうさく そのわけだんよ
ハアー 十に豊栄 お国の宝庫 拓け山から 港から
日本はせまいと 言うけれど 見せたい我等の 北海道
海の幸山の幸 タントタント あいこのじょうさく そのわけだんよ
 
東北

 

青森
「鯵ヶ沢甚句」    ←「八社五社」 
西の八幡 港を守る(ア ヤットセ)
主の留守居は ノォー嬶(かか)守る
ソリャ嬶守る 留守居は ノォー嬶守る
(ヤーアトセー ヤーアトセー)
   鯵ケ沢育ちで 色こそ黒いが
   味は大和の ノォー吊し柿
   ソリャ吊し柿 大和の ノォー吊し柿
七里長浜 高山稲荷
松の屏風に ノォー潮煙
ソリャ潮煙 屏風に ノォー潮煙
   浜は大漁で 陸また繁盛
   出船入船 ノォー賑やかさ
   ソリャ賑やかさ 入船 ノォー賑やかさ

鯵ヶ沢育ちで 色こそ黒いが
味は大和のノー つるし柿
ソリャ つるし柿 大和のノー つるし柿
(ハー イヤサカ サッサト)
   七里長浜 高山稲荷
   松の屏風にノー 潮煙
   ソリヤ 潮煙 屏風にノー 潮煙
西の八幡 港を守る
主の留守居はノー かか守る
ソリヤ かか守る 留守居はノー かか守る
「五所川原甚句」   / 「鯵ヶ沢甚句」
ひとつ唄いましょ 五所川原甚句 唄の文句は わしゃ数知らぬ
声はかれても 身はやつれても 声の限りで わしゃ口説きましょ
「嘉瀬の奴踊り」   / 「鯵ヶ沢甚句」 
さぁさこれから嘉瀬の奴踊り踊る さぁさこれから奴踊り踊る
(ソラ ヨイヤナカ サッサ)
嘉瀬と金木の 間の川コ 小石流れる 木の葉コ沈む
嘉瀬はよいとこ お米の出どこ 嘉瀬の奴踊り お国の自慢
稲妻ピカピカ 雷ゴロゴロ 
意気地なしオヤジ 薔薇株サ ひかかって 千両箱ひろた
竹の切り口 シコタンコタンの
ナミナミたっぷり
溜まりし水は 飲めば甘露のコリャ味がする

(ソラ ヨイヤナカ サッサ)
嘉瀬と金木の 間の川コ 小石流れて 木の葉コしずむ
(ソラ ヨイヤナカ サッサ)
盆の十六日 二度あるならば お墓参りも 二、三度するよ
稲妻ゼカピカ 雷ゴロゴロ
いくじなしおやじ ばら株さ ぶっちゃさって 千両箱ひろった
雨が降るのに よくきた姉コ 傘にひとひら ぬれてる落葉
どうせ踊るなら 二、三度まわれ 奴踊りなら あの夜明けまで
月が出たのに 何故出て逢わぬ お前はがくれ アノキリギリス
「津軽甚句」 (「どだればち」)    ←「鯵ヶ沢甚句」「庄内節」
高い山コから 田の中〈なが〉みれば(ホーイホイ)
見れば田の中 稲〈いにゃ〉よく萌でる(ホーイホイ)
   どだば むけのなみゃ 口ねな どだば
   口も手もある から骨〈ぼにゃ〉やめる
どだば 家〈え〉コのてでゃ 雨降る中を
笠もかぶらねで けらこも着ねで
   唄は良いもの 仕事コァ出来る
   話ゃわるいもの その手がとまる
カラス啼く啼く お宮の屋根で
カラスその日の ありゃ 役で啼く
   夫婦二人で 田の草取れば
   広い一町田も ありゃ せまくなる
今年ゃ豊年だよ 雀こさわぐ
せがれいそいで 案山子を立てろ
   どだば見事だば 津軽のりんご
   色コばりでねじゃ この味みなが
「黒石甚句」
サァーアー キタコラサッサ ハイハイ
乙女心を 紅葉に染めて アキタコラサッサ
燃えて流れる中野川 チョイサッサーハイハイ
温湯 板留かつぶしいらぬ 中野もみじをだしにとる
嫁に来るなら 白粉いらぬ 黒石湯の町 肌光る
宿の二階に疲れを解けば お湯の板留河鹿鳴く
いで湯あちこち浅瀬石川よ ちょいと登れば十和田湖よ
住まば黒石清水の里に 今日も平和なお湯が湧く
着いた湯の町紅葉の山よ 窓に眺める二人連れ
米とりんごに命をかけて 明日の黒石築く夢  
「沖揚げ音頭」    →「ソーラン節」
(音)ヨートコセノーコリャー
(多勢)ヨーイ
(音)ヨーイヤーサー
(囃子)アーヨイヤー
ヤサノーヨーイサー
エーノーヤーサー
ヨートコナー
アーリャーエンヤーアリャリャー
ドッコイ ヨーイトーコー
ヨーイトー コーナ
ヨーリャエー
ヤートコセ
ワーラーノ山にー居たー
アーヨイトコーナー
アーリャエンヤ アリャリャー
ドッコイヨートイ ヨーヨーイトコナー
アーラーエー沖の鷗がヤーエー
ヤートコセー ヨーイヤサー
ワーリャもの言うならばあ
ヨーイトコーナ
ワーリャエンヤー
ドッコイヨーイト コーヨーイトコーナ
オーリャーエ.ー便り聞いたりーヨーイー
ヤートコセーヨーイヤー
オーリャーエー聞かせたりょう
ヨーイトナー
アーリャ エンヤ アーリャ ドッコイ
ヨーイトナー コーヨーイトコナ
オーリャエ 水が鏡と ヤーエ
ヤートコセ  
岩手

 

「相拳節」 (「相子節」「あいこ節」)
ハァヨイコラ〜ヨーイトセ ハァドンドンスメスメシャーントセ
ハァまたもきてはシャーントセ
相けん相けんと 勝負はつかぬ 勝負わからぬ 夜明けまで
相けん踊りなら 負けてもよいが 真剣勝負なら 負けられぬ
浮世離れた 牧場の小屋で 牛と添い寝の 草枕
けんかに負けても 酒さえのめば さほど恥には なりゃしない
来たて顔みせ 帰るて泣かせ ほんに貴方は 罪な人
折れぬ花とは そは思えども 一枝折りたや あの花を
「南部木挽き唄」
ハァー木挽居たよだ ハァあの沢奥にヨ
ハァ今朝もやすりの オヤサハァ音がするヨ
何の因果で木挽にほれた 木挽半年山暮らし
大工さんより木挽がにくい 仲のよいとこ引き分ける
親方金借せ鋸の目が欠けた 鋸は嘘だよ逢いに行く
わたしゃ南部の奥山育ち 朝は早よから木挽き唄よ
木挽因果なもの女と堅木 日に一度もあわれない
木挽さんより大工さん可愛い 縁のない木を組み立てる
南部木挽舞唄
花のお江戸のサーエー 糸屋の娘ヨー 
姉は二十一サーエ 妹は二十ヨー
   妹ほしさにサーエー 御立願をかけたとセー 
   伊勢にゃ七度サーエー 熊野にゃ三度ヨー
おらやふく板サーエー 吹きたまりのないようにヨー 
背割り背割りとサーエー 吹き下すは上木挽
「南部相撲甚句」 (南部相撲取甚句)
南部名所を 甚句に説けば 
北上川に 抱かれて 高くそびえる 岩手富士
ちゃぐちゃぐ馬っコも 賑やかに
二十万石もこずかたの 栄(さか)る人出の 城下町
春は桜の 石割で 牛馬も肥ゆる 小岩井に
お茶を飲むなら 南部鉄 唄は名高い 外山で
沢内甚句は 米所 あれは花巻 獅子踊り
昔 源義経や 弁慶 最後は衣川
詩人 石川啄木や 宮沢賢治に 原敬と
相撲で先代 柏戸に 弓取り式なら 太田山
小兵ながらも 前田川 今じゃ人気も 花光
「南部囃子甚句」 
押せや押せ押せ 一関までも 押せば都が コラサッサ 近くなる
(コラサッサー)
城下盛岡 すみよい所 南部片富士 コラサッサ 黄金わく
鶴の一声 雲間に響く はやし甚句が コラサッサ 世に響く 
「南部甚句」
春の初めに ハァ〆縄張りて 折り目節目に ハァーサー金がなる
鮫で飲む茶は ハァ渋茶も甘い 鮫は水がら ハァーサー心がら
浜の松から ハァ塩釜見れば お客もてなす ハァーサー茶屋のかがぁ
鮫の蕪島 ハァ回れや一里 鴎くるくる ハァーサー日が暮れる
新地裏町 ハァ夜明けに通れば 太鼓つづみで ハァーサー夜が明ける
寄せてくだんせ ハァ戻りの節は 一夜なれども ハァーサー鮫浦へ  
「南部都々逸」
都々逸は 下手でも やりくり上手 今朝も質屋で褒められた
白鷺は 小首かしげて 二の脚踏んで やつれ姿に水鏡
韓信は 股を潜るも 時世と時節 踏まれし草にも花が咲く
大海の 水を飲んでも鰯は鰯 泥水飲んでも鯉は鯉
朝顔は 馬鹿な花だよ 根の無い竹に 命捧げて絡みつく
宮城

 

「小野田甚句」
沖の鴎に潮時聞けばわたしゃ立つ鳥ササ波に聞け
 (チョイチョイチョイナ)
沖の小舟は帆かけて走る舟は帆まかせササ帆は風まかせ
船は出て行く朝日は登る鴎飛び立つササ賑やかさ
可愛い殿御の声する時は水も湯となれササ風吹くな
踊れ踊れと踊らせおいて品のよい娘をササ嫁にもろ
さあさ出た出たもろこし船よ浪に揺られてササ岸による
田舎なれども一度は御座れ小野田馬の市ササ盛り場に 
「大漁唄い込み」
(斎太郎節)
(エンヤー ドット エンヤー ドット)
松島の サーヨー 瑞巌寺ほどの (ハァ ソレソレ)
寺もない トーエー (アレワエー エイトソーリャ)
(ハァ ドッコド) 大漁だエー
前は海 サーヨー 後ろは山で (ハァ ソレソレ)
小松原 トーエー (アレワエー エイトソーリャ)
(ハァ ドッコド) 大漁だエー
石巻 その名も高い 日和山 西東 松島遠島 一眺め
富山は 高さも高い 名所山 見渡せば 八百八島 眼の下に
塩釜様の 御門の前の 八重桜 咲き乱れ 浮名も辰巳 西の町
(遠島甚句)
リャ リャ リャ リャ (ハァ ヨイヨイ ヨイトナ)
ハァ 三十五反の (ハァ ヨイトサッサ) ハァ 帆を巻き上げて
 行くよ仙台 (ハァ コラサノ サッサ) オヤサ 石巻 (ハ ヨーイヨーイ ヨーイトナ)
押せや押せ押せ 二挺艪で押せや 押せば港が 近くなる
遠島どこよと かもめに聞けば 黄金花咲く 金華山
沖でかもめの 鳴く声聞けば 船乗り稼業は 止められぬ
ぜひに一度は 来て見やしゃんせ わしが国さの 松島へ
泣いてくれるな 出船の時に 沖で艪櫂が 手につかぬ
船は出てゆく 朝日が昇る かもめ飛び立つ にぎやかさ
南風(みなみ)吹かせて 船下らせて 元の千石 積ませたい 
「さんさ時雨」
さんさ時雨か萱野の雨か 音もせで来て濡れかかる ショウガイナ
さんさふれ〜五尺の袖を 今宵ふらぬで何時のよに
武蔵あぶみに紫手綱 かけて乗りたや春駒に
門に門松 祝に小松 かかる白雲 みな黄金
この家お庭の三蓋小松 鶴が黄金の巣をかけた
この家座敷は芽出度い座敷 鶴と亀とが舞い遊ぶ
芽出度嬉しや思うこと叶うた 末は鶴亀 五葉の松
扇芽出度や末広がりで 重ね〜の お喜び
雉子のめんどり 小松の下で 夫を呼ぶ声 千代々々と 
「定義節」
ござれ七月 六日の晩に 二人揃うて 縁結び 縁結び
「定義如来参詣道中唄」 (明治初年頃の唄)
時は旧七月六日のことよ 定義詣りと二人連れ
八幡町を後にして 落ち合茶屋にて腰をかけ
これこれ花ちゃん これから定義に幾里ある
そこで花ちゃんの申すには 定義様まで五里と半
それでは花ちゃん”さようなら” 竹は無くても大竹よ
急げば早くも二本松 赤坂小阪もひと登り
青の木茶屋でひと休み 日も西山に傾いた
八枚たんぼを下に見て 昼もさびしい夜盗沢
新道隧道通り抜け 見上げて見えるは高柵よ
大倉日向の切払い 天狗橋より天狗茶屋
小田や石子や石名窪 とぜんで通るは山ぎわよ
海老沼 曲戸に栗生坂 地蔵菩薩を伏し拝み
年は古いが若林 千本杉とは此処なるか
夏も涼しいひゃっこ沢 何時もどんどと滝ノ上
はや高森に登りけり 小手をかざして眺むれば
矢籠部落に大原よ うしろは獅子込みおうとどよ
地蔵平の賽の河原 一の鳥居は高見沢
定義の里に着きにけり 五三のキザハシ登りつめ
二人で揃うて手を合わせ これこれ申し如来様
この縁結んで賜れと 二度も三度も伏し拝む
アリヤラン コレハノセイ ササヤレ サンノセイ 
秋田

 

「西馬音内盆踊り唄」「ガンケ」
(地口)
時勢はどうでも 世間はなんでも 踊りこ踊たんせ
日本開闢 天の岩戸も 踊りで夜が明けた
   おら家のお多福あ めったにない事 びんとで髪ゆった
   お寺さ行ぐどて そば屋さひかかって みんなに笑われた
隣の娘さ 踊りこ教えだば ふんどし礼にもらた
さっそく持てきて 嬶どさ見せだば 横面なぐられた
   大太鼓小太鼓 笛に三味線 鼓に鉦鼓ツコ
   五拍子揃えて 音頭を掛けたば 江戸中鳴り響(ひび)だ
西馬音内女ごは どこさえたたて 目に立つはずだんす 
手つき見てたんせ 足つき見てたんせ 腰つき見てたんせ
   名物踊りは 数ある中にも 西馬音内あ一番だ 
   嫁こも踊るし 姑も踊る 息子はなお踊る
地口という奴ア 口から出放題 音頭の拍子です 
言われて悪いやつア 後ろへ廻って 五升樽ぶら下げれ
   地口櫓で 地口を言うのは 俺らよな馬鹿ばかり 
   気の利いたあんちゃは ぐりっと廻って 二三度やったころんだ
よい事悪いこと 地口櫓で あんまりしゃべてけな
隣のあねこは 何とか言われて 其の晩ぼだされた
   仲のよいのは おら家の爺さまと 隣の独り婆
   盆参りするどて 蕎麦屋さ引掛って 御布施で酒飲んだ
嫁コと 三度呼ばたば 漸く返事した 
きのう結った勝山 左サぶ曲げて おがわコ持って来た
   踊るて跳ねるて 若いうちだよ 俺らよに年行げば
   なんぼ上手に 踊って見せても 誰も見る人ねエ
貧乏たらたら 一升買いするたて 寝酒コやめられねエ
褌質やて 半杯買た酒 板の間みななめた
   ええとこ見つけた 間男見つけた 七両二分よこせ
   七両二分なら いつでもやるから そなたの嬶よこせ
なんだで事ねエく 嬶どこ叩エだば 寝てから動ぎゃがねエ
今度のことア 御免してこれから うんとて動け嬶ア
   お寺の和尚(のの)さん まるめろ畑サ まるめろもぎに行った
   長い棹コで ボッキリつづだば 同役が落ちて来た
文福茶釜を ドッサリ投げたば バッサリ毛が生えた
和尚も長老も 閑居も小僧も これ見てたんまげた
   五徳という奴ア 小首をかしげて 囲炉裏の隅にいる
   鍋コ乗せろか 釜コ乗せろか 此処らが思案どこ
鍋コも種類は 飯鍋汁鍋 あるいわ貝焼鍋
世間の口鍋 俺ら嬶焼なべ てでアどさ むしりつく
   豊年だ万作だ これアまた良い秋だ
   面白まぎれに 一ツ踊ったば あば腹ア万作だ
わたしという奴ア わたしといえども お前の手に渡り
焼けばはなれる 焼かねばこげつく 中々こわい奴
   貧乏というのものア あさましものだよ 夜討ちの忠臣蔵
   朝食うて伴内(ばんない)米櫃アお軽で からだは由良之助
何にも知らない 振りして居るのは 大星由良之助
毎日毎日 島原かよいも 心にすきがない
   大高源吾は 小雪の降る時 煤払い竹たぎゃて
   あした待たるる 宝船とは コリャまた橋の上
岩永左エ門 阿古屋を責めるに 胡弓と琴三味線
俺らえのバッチャア おれどご責めるに 火箸と灰ならし
   お前達お前達 踊コ見るたて あんまり口あくな 
   今だばええども 春先などだば 雀コア巣コかける
囲炉裏の炭の火ア どっさりおぎだば おらてでア喜んだ
大胡坐ぶかえて 腹あぶりしながら どぶろくまぐらてだ
   あこ行くあねさん 斯うなるからには よっぱど金アかがた
   上から下まで 膏薬だらけで 麝香の匂いアする
囲炉裏の鉄漿(かね)がめ カネ出す時には 臭いと嫌がられ
それでもあねさんの 口まで吸われて 鏡で身を照らす
   囲炉裏の木のひりア 一本になったら 火箸を取よせて
   いぶるのけぶるの つつたりほったり ぶったりたたいたり
お前の子だから 口ききアがな 乳の子サリャ投げた
朝間に泣かれ 夜中に泣かれ かがアどさ手をさげた
   ぎっちもち それ ぎっちもち 板敷ぎっちもち
   なんだと思って 押さえて見たりば 隣の夜べア男
津軽のはてから 長門の浦まで 踊コおどて来た
花コ貰った 巾着見たりば 一両二歩這入(ひゃ)てだ
   玄米一升で 桃コ買ったら 三つ四つまけられた
   揚句のはてには 袋を忘れて 親父にぼだされた
俺ら家の嫁コ 俺ら家さ来てから 万作つづきです
万作つづきも 困ったものだよ 年子さ二た子もた
   俺ら家のあんこアだ 嫁コを取てから 夜遊びさねエぐなた
   夜遊びどころか 嫁コが大事で 座敷さかざて置く
今年ア豊年 踊らにやなるまい 婆から童(わらし)まで
親父が踊って 狭いどてよせたば 息子が文句言う
   八ツにやかまし 親父を持ったので 仲間さ義理アかける
   朝まに起きれ 昼寝はやめれ 夜遊びするひまねヤ
とおに年寄りの 踊コよいとて みんなにほめられた
のし紙貰って 家(え)さ行(え)て見たりば 小半紙二枚入ャてだ
   居催足つけたて 掛取り来たたて 盆ア踊アやめられねヤ
   したべでアお前また 踊コやめれば 上作取りはずす
一杯気嫌で 踊コ踊ったば みんなにほめられた
いい気になりアがて 頬被り取たれば 息子にどやされた
   コラ豊年だ 万作だ 命の洗濯だ
   洗濯ついでに 踊コあるうち 毎晩踊に来い
所名物 行ったら見て来い 西馬音内盆踊
嫁コも姑コも 拍子につられて 其のまま踊りだす
   今年の踊子 揃いも揃うた ほんとによく揃うた
   手つき足つき 品よく踊れば 嫁コに世話するぞ
兄さん兄さん 嫁コをとるなら 俺アどこ貰らたんせ
踊も踊るし 唄コも唄うし お産も軽えから
   今年の皐月は 程よぐ雨降って 水引ア楽であった
   向のあねコも 俺ら家(え)のあねコも お蔭で万作だ
名物踊は 数ある中にも 西馬音内ア一番だ
嫁コも踊る 姑も踊る 利息はなお踊る
   西馬音内おなごは 何処さ行(え)たたて 目に立つ筈だんす
   手つき見てたんせ 足つき見てたんせ 腰つき見てたんせ
兄んちゃん兄んちゃん あんまり見たくねヤ よだれコ拭いてけれ
見いねア振りして 踊てるあねさん 横目でにらんでる
   豊年だ 万作だ コリャ又よい秋だ
   面白まぎれに 田さ行(え)て見たれば 案山子のずぶくぐり
お髭をつくって 侍さんなら俺ら家(え)に 一人居(え)だ
おどどし生まれた 虎まの斑コで ギャンギャ猫振りアえエ
   五十六十は 若いものだよ 昔の娘達
   踊り狂うて 腰コが痛けりゃ ボサマコ頬ん置く
三月かかって 踊コ習たば 漸くものになた
踊ったお蔭で 腰あびゃええとて 嫁コに貰われた
   俺ら家のあんこと 隣のあねこと 竹の子取りに行た
   竹の子取らねヤで 昼寝コしったば なんだかおがてきた
秋田の町から 西馬音内まちサ 不思議な商人ア来た
けつのダンゴ 脱けらば脱けれ 刻み昆布です
   なんでもないのに 小理屈言う奴 俺だば大嫌い
   サッサと纏めて 踊コ踊れば それこそ大好きだ
子供の踊は 無邪気なものだよ 拍子はなんでもええ
ドロンの太鼓で お手てをひろげて 一足出はてゆく
   俺ら家の娘コ 嫁コやるから 踊コ教せてけれ
   踊も教せるし うめアもの食わせるし うんとて稼でけれ
振袖姿の 踊子見たれば 不思議に若くなる
拍子に浮かれて 二足三足 知らずに踊ってた
   高い櫓の 絵灯篭がともって 音頭が湧き出せば
   川原田の方から 月が出て来て 雲から覗いてる
見れば見るほど 優しい踊で 拍子もおだやかだ
天下太平 豊作万作 百姓大当たり
   蚕(とどこ)で種とる 馬コで仔コとる 女郎衆はお客とる
   町でア盆踊 人々集めて 色々人気とる
踊りの上手も 見目のよいのも 土地柄血筋柄
なんでもかんでも 嫁コを欲しがら 此処から貰らたんせ
   出雲の神様 盆踊見でアどて はるばるやって来た
   上手に踊れば 手帳に控えて 嫁コに早くやる
盆踊見るなら 西馬音内目ざして 必ず来てたんせ
篝火囲んだ 踊子数えりゃ かれこれ五百人
   川原田の池には 緋鯉に真鯉 じょろじょろ遊んでる たまには木陰に 
   ガサゴソめかして 浴衣の鯉もいる
西馬音内よい町 中町本町 裏町桜井町 橋場に寺町
連込(おつれ)み小路に 横町間(あわエ)コ道
   酒コはよいもの 不景気景気か 泣面笑い顔
   うんとて飲んで 皆出て踊れ へべれけすとどごどん
旱天(ひでり)に旱天 毎年旱天で 鹿内さ堤築(つつみつ)だ
堤の御利益 叶ったせいやら 今年は上作だ
   何処さ行(え)っても 不景気話は せっぺアに聞飽きた
   三味線太鼓の 踊の拍子で 不景気ぼってやれ
ドンと響いた 櫓の太鼓に 集まる踊子は
馬音の流れに 産湯を使った 奇麗な嬢コ達
   コンクリートの 文化住宅 には誰がいる
   丈は三尺 廻りも三尺 小松の才の神
隣りの嬢コ 舞鶴公園さ つつじコ見に行った
どこかのアンコに 袂を引張られ お顔も赤つつじ
   田圃の百姓に 舞鶴公園 どこだと聞いたれば
   なんたら解らねヤ 三里も手前から つつじで真赤です
時勢はどうでも 世間はなんでも 踊コ踊ったんせ
日本開闢 天の岩戸も 踊で夜が明けた
   信渕先生 生まれた西馬音内 名物沢山だ
   米コに繭コ 酒コに蕎麦コ 箸コに炭コです
稲作不足は 何処の話か 西馬音内万作だ
それも其筈 百姓の神様 信渕誕生地
   豊年満作 今年も上作 御嶽のお護りだ
   あげるお神酒は 松の緑に 鶴の若返り
西馬音内名物 酒コを飲んだれば 呆れた事ア出来た
皺コはのるやら 腰コはのるやら 夜あがり遅くなた
   桜は川原田 つつじは原狐(はらこ)で お酒は若返り
   一杯機嫌で 弥助そばだよ 土産は蕎麦饅頭
猫コがオダケて 桜の花咲きゃ 川原田大賑ゃか
ゆしぎのおさんは 花より団子で 戸棚のつまみ食い
   田沢の田ゴ作 芋作茂作は 橋場の橋見てだ
   どんがり踏んで見て 鉄筋コンクリーて やっぱり硬エもんだ
雄勝鉄道の 電車に乗ったら これだは気持ちよい
雄物の川越え 稲穂の波わけ 鳥海雲に見る
   西馬音内名物 踊コ見るなら 電車で来てたんせ
   送り迎えは 特別仕立てで 踊コただだんす
月はかくれて 篝火消えて 電灯も消えればエ
皆が逃げたら ボロット二人で ウントテ踊るベしゃ
(甚句)
お盆恋しや かがり火恋し まして踊り子 なお恋し
月は更けゆく 踊りは冴える 雲井はるかに 雁の声
押せや押せ押せ 下関までも 押せば港が 近くなる
踊る姿にゃ 一目でほれた 彦三頭巾で 顔しらぬ
今宵ひと夜は まけずに踊れ オジャレ篝火 消えゆるまで
今宵ひと夜は 力のかぎり 踊れ東の しらむまで
踊れ踊れよ 夜が明けるまで ひびく太鼓に 月がさす
がんけ踊って 知らねでいたば 夜明け烏が 阿呆というた
踊ってみたさに 盆踊り習った ヤッと覚えたば 盆がすぎた
揃うた揃うたよ 踊り子揃うた 稲の出穂より なお揃うた
踊り踊らば 三十が盛り 三十過ぎれば その子が踊る
お前百まで わしゃ九十九まで ともに白髪の 生えるまで 
「お山コ三里」 (おやまこさんりん)
お山コ三里 どこからはやる 秋田の仙北 角館
くるかくるかと 待たせておいて よそにそれたか はぐれ雲
おまえ吹く風 わたしゃ飛ぶ木の葉 どこへ落ちるも 風次第
ぬしは牡丹で わたしは蝶々 花にうかれて 日を暮らす
おまえ思えば 照る日も曇る ひく三味線も 手につかぬ
お山越えれば また山つづき いつか我が家に 帰るやら  
「秋田音頭」 (「御国音頭」)
ヤートセー コラ 秋田音頭です 
ハイ キタカサッサ コイサッサ コイナー
コラ いずれこれより御免なこうむり 
音頭の無駄を言う アーソレソレ 
当たり障りもあろうけれども
サッサと出しかける ハイ キタカサッサ 
コイサッサ コイナー 
   秋田名物 八森鰰々(ハタハタ) 男鹿で男鹿ブリコ 
   能代春慶 桧山納豆 大館曲わっぱ
太平山から 四方の景色を 覗いて見たならば 
船は沢山 大漁万作 秋田は大繁盛
   秋田の国では 雨が降っても 唐傘などいらぬ
   手頃な蕗の葉 さらりとさしかけ サッサと出て行かえ
秋田よいとこ 名物たくさん 東北一番だ 
金山木山に 花咲く公園 美人が舞い踊る
   秋田の女ご 何してきれいだと 聞くだけ野暮だんす
   小野小町の 生まれ在所 おめはん知らねのげ
何につけでも 一杯呑まねば 物事はかどらね
呑めば呑むほど 気持ちコ開けて 踊りコなど出はる
   秋田名物 コの字づくしを つまんで言うならば
   坊ッコにガッコ 笠コに小皿コ 酢ッコに醤油ッコ
時勢はどうでも 世間は何でも 踊りコ踊らんせ
日本開闢(かいびゃく) 天の岩戸も 踊りで夜が明けた
   おら家(え)の兄貴 生意気こきゃがって 月賦で車買った
   ちょすもちょせねで 免許も取れねで あばァなんとせばえ
隣の爺さま 物好ぎたげで 月賦でバイク買った
運転するしび 全然知らねで ババァなんとせばえ
   おめ達おめ達 踊りコ見るなら あんまり口開ぐな
   今だばええども 春先などだば 雀コ巣コかける
嬶はお多福 女中は床拭く 目腐れまなぐ拭ぐ
鉱山山師は 大きたホラ吹く 聞ぐ人泡を吹く
   新婚当時は 優しいもんだよ 花チャン御飯まだ
   二、三年もしまえば ガラッと変わって お多福酒買ってけ
巡査が来たたて 消防衆来たたて ちっともおっかなぐね
えーごどしねたて 悪いごどさねば でっきりおっかなぐね
   汽車も速いし 電車も速い 電信なお速い 
   何でもかんでも 速いどこいったば 足袋はで足洗った
妻君ある人 秋田に来るなら 心コ固く持て
小野小町の 生まれ在所 美人がうようよだ
   奥州仙台 白石城下で 女の敵討ち
   姉は宮城野 妹は信夫 団七首落とす
いろはにほへと ちるぬるをわかは 昔のたとえごと 
今の人達ゃ 見識高くて サンキュウ ベルマッチョ
   おら家のお多福 めったにないこと 鬢取って髪結った
   お寺さ行ぐどて 蕎麦やさひかがて みんなに笑われた
お寺の和尚さん 法事さ行くのに にわとり貝焼食た
ナムカラタンノ トラヤノヤッたば 頭さ羽根おえだ
   秋田のおばこ 蕗刈る姿 みんなさ見へでもだ
   赤い襷に あねさん被り 本当に惚れ惚れす
秋田の名所 海では男鹿島 山では鳥海山
田沢の緑に 十和田の紅葉 絵描きも筆投げた

他人(ひと)の嬶ァすりゃ 忙しいもんだと きたもんだ
湯文字紐とく 褌はずす 入れる もちゃげる
気をやる いく 抜く 拭く 下駄めっけるやら 逃げるやら
   俺ほの笛吹き 六十になたども まだまだ聞が若い
   夜這いに行ぐどて 二階(にげ)から落ちだば ケッペの骨折だた
折だれた品物 ブラブラ下げて 骨接ぎ医者さ行た
医者どの骨接ぎ ヘノコに骨ねェ とってもヤじゃねでャ
   白玉喰(け)にあべ 白玉喰にあべ 白玉喰に行たば
   上から白玉 下から金玉 腹なか 玉だらけ
お前(め)と別れて 何度もヤッタども お前より うめガモね
何度も何度も 言うよで悪りども 本当に アンベえがた
   お前がた お前がた 踊りコ見るたて あんまり立て見るな
   立っていいのは 電信柱と あんちゃのガモばかり
急ぐな急ぐな あんまり急ぐな 決して急ぐでネ
あんまり急げば 本物はずして 畳のへりつつく
   十四の時から 商売すれども こたガモ見たことネ
   太くて長くて 先がでかくて 痛くてはまらない  
ようやく騙して 一番やったれば 拭く紙持たねがし
着物のほころび ムリッと切らして 綿コで用立てた
   女というもの 卑しいものだよ ガモコを鵜呑みする
   男というもの 馬鹿ケなものだよ 呑まれて鼻ならす
去年も不作 今年も不作 その後何とする
米買った残りで ズロースこ買わねば 穴から穴出はる
   停車場の隅コで 立ちベッコしてたば 枕木飛んできた
   どでんびっくり ググッと抜いたば ボヤッと湯気上がた
俺えの姉ちゃ 滅多にないこと 縁側さ昼寝した
春風吹くたび 腰巻きヒラヒラ 黒猫顔出した
   俺えの嬶ァ 難産したどて やらねど抜かしゃがた
   三日もあけずに ムリッと入れたば こいだば死んでもエ
女というもの 尋常な面して 鬼よりまだ怖い
生なヘノゴを 生でまくらて 似たよなガキこしゃだ
   一助 二助 隣の三助 お前(め)まだ 何だけナ
   人が骨折って 開けた穴コさ 何しにガモ入れた
爺ちゃと婆ちゃ この世の名残りと 一発ブッ始めた
行くの来るのと バルチック艦隊 とうとう夜が明けた
   物に例えて 申そうならば 青菜の茹で上げだ
   入れる前だば シャキッとしてでも 出せばグンニャグニャ
俺ほの踊り子 十八なたども 腰巻きたった一枚(いちめ)
あんまり踊たば 腰巻き破れて 穴から穴出はた
   俺ほの親方 脚気の妙薬 女のアンペ舐めた
   女ゴも女ゴ 親父も親父 舐めたし 舐めさせた 
「秋田おばこ」     ←「庄内おばこ」「庄内節」 
おばこナーハイ ハイ
何んぼになるハイ ハイ
此の年暮らせば 十と七つ
 ハァーオイサカサッサー オバコダ オバコダ
十七ナー おばこなら 何しに花コなど 咲かねどな
咲けばナー 実もやなる 咲かねば日陰の 色もみじ
おばこナー どこさ行く 裏の小山コさ ほんなこ折りに
ほなコナー 若いとて こだしコ枕コに 沢なりに
おばこナー 居るかやと 裏の小窓から のぞいて見たば
おばこナー居もやせで 用のない婆様など 糸車
「秋田人形甚句」
(キタカサッサー アエー)
囃子 はずめば(ハイハイ) 浮かれて 踊る
(キタカサッサー アエー)
踊る人形の(ハイハイ) キタカサッサー 品の良さ
   どこになびくか あの糸柳
   風の吹くたび キタカサッサー 気にかかる
好きになったら 惚れてもみるが
惚れてふられりゃ キタカサッサー 恥ずかしい
   黄金花咲く 秋田の里の
   人形甚句の キタカサッサー 程の良さ
「毛馬内よしこの」 (本調子よしこの)
毛馬内よしこの どこでも流行る ましてこの町(ちょう) なお流行る
浅い川なら ひざまでまくる 深くなるほど 帯も解く
逢えば気もよい 心もよいし 重き頭も 軽くなる
「花輪よしこの」 (二上り)
花輪よしこの どこでも流行る ましてこの町(チョウ)は なお流行る
踊りおどらば 姿(シナ)よく踊れ 姿にほれても 嫁にとる
揃ろたそろたよ 踊りッ子そろた 稲の出穂より よくそろた  
「鹿角甚句」
さぁはぁアァア…甚句おどりのァ 始まるときは
ヘラも杓子もサァ 手につかぬ サカヤッセ
さぁはぁアァア…歌っておどるもァ 三十がさかり
三十こければサァ 子がおどる サカヤッセ

盆と正月と一度に来れば 小豆こわめし豆もやし
そろたそろたよ稲の穂そろった 早生も中生もよくそろた
歌て踊ってどもこの子がじゃまだ 早くとてけろ出て踊ら
掘れた横目コ糸より細い りんきまなぐに角がたつ
さても似た声来る筈ねがきや わしの心コ通ったのか
夕べな出た星今夜も出はた とかくあの星色の星
一人ひとりと離れた仲が 今はめでたい二人連れ
三味の糸さえ切れれば結ぶ わしとあなたは結ばれぬ
青い竹なら割っても見せたい 中にくまりのない私
さてもよい腰そなたの腰は カラス田の畔渡るよだ
(一ツ甚句)
サーア 甚句踊りの始まるときは トコヤッセ 篦も杓子もサァ手につかぬ
田舎なれども鹿角の里は 西も東もサァ金の山
踊りおどらば品よく踊れ 品に惚れてもサァ嫁に取る
この家お庭に入るが初め 履いた下駄緒のサァ切れるまで
姉コ見るより田の水見れば 親父喜ぶサァ稲もてる
千歳昔の錦木塚よ 姫の機織るサァオサ(筬)の音
盆の十六日闇の夜でくれろ 嫁も姑もサァ出て踊る
狭いようでも鹿角の里は 西も東もサァカネ(黄金)の山
踊り来るくるお庭コ狭い もっと広がれサァ太鼓打ち
朝は朝星夜は夜星 昼は野端のサァ水を汲み
小坂七村井の水飲めば 七十年寄りもサァ若くなる
米のなる木で作りし草鞋 歩めば小判のサァ型がつく
揃ろた揃ろたよ踊り子揃ろた 秋の出穂よりサァよく揃ろた
踊りおどらば品よく踊れ 品の好いのをサァ嫁に取る
お前百までわしゃ九十九まで 共に白髪のサァ生えるまで
声はこの通り聞くどこねども 歌コ好きだばサァやめられぬ
月はまんまん夜はほのぼのと 渡るカリガネぅサァうらめしや
夕べ出た星今夜も出はた とかくあの星サァ色の星
親子妻とも田植えてしまえ 神は千歳のサァ種を待つ
秋の黄金の稲穂を眺め 心ゆくまでサァ踊る夜や
ここのお庭にいつ来て見ても 鶴と亀とのサァお酒盛り
千に咲くたってなる実は一つ あとに咲くのはサァ無駄の花
酒を上があがらば中見て上がれ 酒の中にもサァ文がある
お前紺染めわしゃ浅黄染め 末は夫婦にサァなる見そめ
声の立つ程我が身が立てば 声をしずめてサァ身を立てる
音に聞こえし来満越りゃ 八戸通いもサァ近くなる
踊りおどらば三十が盛り 三十こければサァ子が踊る
声コァこの通り聞くどこねども 歌コ好きだばサァやめられぬ
姉と妹に紫着せて どれが姉やらサァ妹やら
裏の石橋板ならよかろ ドーンと踏んだらサァ悟るよぅに
山で白いは山百合の花 里で白いはサァ蕎麦の花
甚句さ中に誰茄子投げた 茄子の棘やらサァ手に刺さる
咲いた桜に何故駒繋ぐ 駒が勇めばサァ花が散る
俺ぁも若いとき山さも寝たけ カノカ(芝草)寝敷にサァ柴枕
山で伐る木は数々あれど 思い切る気はサァ更にない
お前その気で変らば変われ 私しゃ変わらぬサァ松の色
夏は木の下寒中は炬燵 離れがたいやサァジャジャの側
声の好いのに歌わせ聞けば 小松林のサァ蝉の声
一人娘に桜とつけた 桜咲くたびサァ咲かせたい
深く掘れ掘れ金山田畑 深く掘るほどサァ実る世や
小坂七村井戸の水飲めば 八十年寄りもサァ若くなる
来たり来ねだり夏の堰水 どうせ来ねならサァ来ねばよい
障子開ければこの家の座敷 風がそよそよサァ吹きまくる
七つ八つからイロハを習い ハの字忘れてサァイロばかり
盆が来たのに踊らぬ者は 木仏金仏サァ石仏
月は満々夜はほのぼのと 心細さよサァ秋の空
俺も若いときススキに尾花 今はやつれてサァ炭俵
盆が来た来た山越え野越え 稔る稲穂のサァ峰越えて
(二ツ甚句)
サーァハァー 甚句踊りのァ始まる時は 
 サカヤッセー 箆(ヘラ)も杓子もサァ手につかぬ
盆の十六日ァ木の葉も踊る 嫁も姑もサァ出て踊れ
俺も若い時ァすすきに尾花 今はやつれてサァ炭俵
空の雲ないァ秋晴々と わしが心こサァいつ晴れる
白い黒いとァ争いするな 白い黒いもサァ墨が書く
ここのお庭にァいつ来てみても 鶴と亀とがサァ舞い遊ぶ
盆が来たきたァ山越え野越え 実る稲穂のサァ峰越えて
来るか来るかとァ上下みてた 用ない鴉がサァ啼いている
人のお方とァ枯木の枝は 登りつめればサァ命がけ
一つうたいますァ憚りながら 声ここの通りサァ聞くどこねども
踊りおどらばァ三十が盛り 三十こければサァ子が踊る
歌って下んせァこの座の若衆 歌ってご器量こサァ下りゃせぬ
流れ小川のァ川底みれば 小石小砂こサァみな黄金
お前その気でァ変らば変れ わたしゃ変らぬサァ松の色
歌の先生もァおるかもしれぬ 仮名の違いはサァごめんなれ
たまに吹く風ァ雨降るとても よそのなびくなサァ糸柳
白い白いよァ雪より白い わしが心こサァ面白い
馴染みよいものァ親より子より 親父とってけだサァお方より
盆の十六日ァ正月から待ちた 待ちを十六日サァ今来たか
好きとすきならァ泥田の水も 飲めば甘露のサァ味がする
来いと書くとてァ来るなと書いた 筆のあやまりサァ今悔し
切れてしまえばァ又たてる 控えまするよサァ三味の糸
惚れてならないァ他国の人に 末は鴉のサァ泣き別れ
小坂七村ァ井戸の水飲めば 八十年寄りもサァ若くなる
わしとお前はァ枯葉の松よ どこへ落ちるもサァ二人づれ
ちょいと抱きしめァ手枕させて 指であいとるサァ三味の糸
行く度来る度ァくどきたてならぬ わたし一人のサァ身ではなし
唄コうたってァ通るを聞けば 針も鋏もサァ手につかぬ
ここのお庭にァ入るが初め 松にからまるサァ藤の花
立てば芍薬ァ座れば牡丹 踊る姿はサァ百合の花
あちらたてればァこちらが立たぬ 両方立てればサァわしゃ立たぬ
わすれていたのにァまだ顔みせた 二度の思いをサァさせる気か
鹿角よいとこァ十和田に小坂 大湯尾去沢サァ湯瀬小真木
踊りおどらばァ前より後ろ 後ろ姿はサァ誰もみる
お前好きだてァ親投げらりょか 金で買われぬサァ親じゃもの
川の鳴瀬にァ布旗立てて 波に織らせてサァ岩に着せ
お前吹く風ァわしゃ飛ぶ木の葉 どこへ落ちるもサァ風次第
信州信濃のァ新蕎麦よりも わたしゃあなたのサァ側がよい
ほれたほれたよァ川端柳 水にうたれてサァ根がほれた
来るかくるかとァ待たせておいて よそにそれたかサァまぐれ雪
夏は木の下ァ寒中は炬燵 離れがたいサァぢゃぢゃのそば
花と言われてァ咲かねも恥だ 咲けば実もなるサァ重くなる
惚れた横目こァ糸より細い りんきまなぐにサァ角がたつ
聞いて見事なァ南部の歌コ もとは鹿角のサァ山の歌
「おこさ節」 
鳴くな鶏 まだ夜が明けぬよ アラオコサノサー
明けりゃお寺の こらやのや こら鐘が鳴るよ おこさでおこさで本当だネ
それは全くだよ 鶏はだしだ アラオコサノサー
鶏ァ裸足でも こらやのや こら嬶持ッてらよ おこさでおこさで本当だよ
お前来るかと 一升買って待ってたよ アラオコサノサー
あまり来ないので こらやのや こら飲んで待ってたよ おこさでおこさで本当だよ
お前来るなら 一升買って持って来い アラオコサノサー
こちら山奥 こらやのや こら水ばかり おこさでおこさで本当だネ

お前来るかと 一升買って待ってたヨ アラ オコサノサ
あんまり来ないので コラヤノ ヤッコラ 飲んで待ってたヨ オコサデ オコサデ ホントダネ
わしとお前は 火ばしにおとるよ アラ オコサノサ
火ばし夜昼 コラヤノ ヤッコラ 二人ずれ オコサデ オコサデ ホントダネ
風に灯りを 消させておいてネ アラ オコサノサ
忍び込むのが コラヤノ ヤッコラ 窓の月ネ オコサデ オコサデ ホントダネ
恋の古傷 お医者はないかネ アラ オコサノサ
なぜか今夜は コラヤノ ヤッコラ また痛むネ オコサデ オコサデ ホントダネ
啼くな鶏 まだ夜が明けぬネ アラ オコサノサ
明けりゃお寺の コラヤノ ヤッコラ 鐘が鳴るネ オコサデ オコサデ ホントダネ 
「旧からめ節」   ←「石刀節」「石切り唄」「ざるあげ節」
(前歌)
一、おせや おせおせ 青ばんおせば ハァー ドッコイ ドッコイ
  おせば 直利に近くなる ハァー ドッコイ ドッコイ
二、直利ァ 出てくる 坑夫は勇む ハァー ドッコイ ドッコイ
  まして 旦那さま お喜び ハァー ドッコイ ドッコイ
三、直利ァ 親父の 金場を見れば ハァー ドッコイ ドッコイ
  白(金偏+白)で山築く 富士の山 ハァー ドッコイ ドッコイ
(本唄・踊り唄)
四、からめ からめと 親父嬶カカアせめる ハァー ドッコイ ドッコイ
  なんぼからんでも からめたてゃならぬ ハァー ドッコイ ドッコイ
(囃子)
ハァー からめて からめて からめて千貫
親父の借金 年賦ですませ
五、金カネが出る出る 銀シロがね黄金 ハァー ドッコイ ドッコイ
  鉄も鉛も 銅アカがねも ハァー ドッコイ ドッコイ
(囃子)
ハァー からめて からめて からめて千貫
どっさり掘り出せ おくにのたからだ
六、からす鳴く鳴く 床屋の屋根で ハァー ドッコイ ドッコイ
  お山繁昌と 鳴くからす ハァー ドッコイ ドッコイ
(囃子)
ハァー からめて からめて からめた黄金は
鹿角の花だよ どんどん吹き出せ
七、田舎なれども 鹿角の里は ハァー ドッコイ ドッコイ
  西も東も 金カネの山 ハァー ドッコイ ドッコイ
(囃子)
ハァー からめて からめて からめた黄金は
どっこい千両 どっこい万両
八、金の牛コに 錦の手綱 ハァー ドッコイ ドッコイ
  おらも引きたい 引かせたい ハァー ドッコイ ドッコイ
(囃子)
ハァー からめて からめて しっかりからめて
握った手綱を うっかりはなすな
九、朝の出がけに お山を見れば ハァー ドッコイ ドッコイ
  黄金まじりの きりが降る ハァー ドッコイ ドッコイ
(囃子)
ハァー からめて からめて しっかりからめて
どっしり掘りだせ 郷土オクニの名物
十、直利ァ 出てくる お山が盛る ハァー ドッコイ ドッコイ
  かみも こまえも皆さかる ハァー ドッコイ ドッコイ
(囃子)
ハァー からめて からめて しっかりからめて
どっこい繁昌 どっこい繁昌
十一、目出た 目出たの 若松よりも ハァー ドッコイ ドッコイ
  さかるお山の 黄金花 ハァー ドッコイ ドッコイ
(囃子)
ハァー からめて からめて しっかりからめて
かねつる千年 からめは万年
十二、一に稲荷の鳥居が赤い ハァー ドッコイ ドッコイ
  まして直利の 金赤い ハァー ドッコイ ドッコイ
十三、からめ からめと お山の唄は ハァー ドッコイ ドッコイ
  お山繁昌と なりひびく ハァー ドッコイ ドッコイ
十四、西は台所 東は床屋 ハァー ドッコイ ドッコイ
  いつもどんどん 音がする ハァー ドッコイ ドッコイ
十五、赤沢山より 元山よりも ハァー ドッコイ ドッコイ
  白(金偏+白)のとる山 田郡山 ハァー ドッコイ ドッコイ
十六、踊り元山 唄田郡山 ハァー ドッコイ ドッコイ
  三味の引く山 赤沢山 ハァー ドッコイ ドッコイ
十七、親父大黒 かかあ恵比寿顔 ハァー ドッコイ ドッコイ
  一人娘は 弁才天 ハァー ドッコイ ドッコイ
十八、東尾去沢 西小真木 ハァー ドッコイ ドッコイ
  南大葛に 北小坂 ハァー ドッコイ ドッコイ
前唄は三節、踊り唄十五節、全部で十八節であった。祝宴などでは現在、九節目(最後)に、次の唄を歌って終わることとしている。
九、あまり長いと 踊り子 こわい ハァー ドッコイ ドッコイ
  ここは良いとこ なかのきり ハァー ドッコイ ドッコイ
元山「からめ節」
前唄 
一 おせや押せ押せ青ばんおせば おせば直りに近くなる
  ハァドッコイドッコイドッコイナ
二 直りァ出て来る坑夫は勇む ました旦那様お喜び
  ハァドッコイドッコイドッコイナ
三 直りァ親父の金場を見れば 白(金偏+白)で山積む富士の山
  ハァドッコイドッコイドッコイナ
踊  
四 からめからめと親父がせめる なんぼからんでもからみたてャならぬ
  ハァからめて千貫 親父の借金年賦ですませ
  ハァドッコイドッコイドッコイナ
五 金(カネ)が出る出る白金黄金 鉄も鉛も赤金も
  ハァドッコイドッコイドッコイナ
六 烏鳴く鳴く床屋の屋根で お山繁昌と鳴く烏
  ハァドッコイドッコイドッコイナ
七 金のベゴコに錦の手綱 おらも引きたい引かせたい
  ハァからめてからめてしっかりからめて
  握った手綱をうっかりはなすな
  ハァドッコイドッコイドッコイナ
八 一に稲利の鳥居が赤い まして直りの金赤い
  ハァドッコイドッコイドッコイナ
  余りがないと歌い子ァこわい ここは良いとこ中のきり
  ハァドッコイドッコイドッコイナ
九 奥比(金偏+比)奥迄直りで掘れた 五十匁メ六十匁メ腕の先
  ハァドッコイドッコイドッコイナ
十 直りァ出て来るお山が盛る 上カミも小前コマエも皆盛る
  ハァどっこも繁昌どっこも繁昌
  ハァドッコイドッコイドッコイナ
十一 朝の出かけに元山見れば 黄金まじりの霧が降る
  ハァドッコイドッコイドッコイナ
十二 目出た目出たの若松よりも 盛るお山の黄金華
  ハァドッコイドッコイドッコイナ
十三 愛宕山から吹き来る風は お山繁昌と吹きまはる
  ハァドッコイドッコイドッコイナ
十四 田舎なれども鹿角の里は 西も東も金の山
  ハァからめてからめてからめた黄金は
  鹿角の花だよどんどん吹き出せ
  ハァドッコイドッコイドッコイナ
十五 踊りァ元山唄田郡山 三味の引く山赤沢アカサ山
  ハァドッコイドッコイドッコイナ
  余り長いと踊り子ァこわい ここはよいとこ中のきり
  ハァドッコイドッコイドッコイナ
「石刀節」 (「石頭節」 せっとうぶし) 
一に稲荷の鳥居は赤い まして直利の金赤い
向う通るは鉱夫さんではないか 金はこぼれる袂から
直った直ったと皆坑内すきの数 銀は金場に富士の山
鉱夫さんとは名がよけれども 行けば山奥坑内あなの中
発破かければ切羽がのびる のびる切羽が金となる
(はやし言葉)
一寸掘ってもあの子のためだよ 鍋釜売っても よいかかもたせろ

ハァー鉱夫さんとは 名はよけれども 行けば山奥穴の中
ハァー向こう通るは 鉱夫じゃないか カネ(金)がこぼれる袂から
ハァー発破かければ 切羽が進む 進む切羽が金となる
ハァー朝の出がけに 鉱山見れば 黄金混じりの霧が降る
ハァー愛宕山から 吹き来る風は お山繁昌と吹いて来る
「鉱山節」 (石刀節の一種)
坑夫さんとは名は良いけれど 夜も昼をもコラー 穴の中
土方やめらせ坑夫さんにさせて わしの穴をも掘らせたい
土方殺すにゃ鉈鎌いらぬ 雨の十日も降れば死ぬ
朝の門出に鉱山見れば 黄金混じりの霧が降る
「鉱山唄」 (石刀節の一種)
ハアー 黄金花さく尾去沢の山、掘れば掘るほど黄金ある
ハアー 押せや押せ々々下の関までも、押せば港が近くなる
ハアー 愛宕山から吹いて来る風は、お山繁昌と吹いとくれ 
「塩釜」
花輪町から 塩釜見れば お客もてなす 四ツ手駕籠
末の松山 波越すとても 変わるまいぞえ 胸と胸
月はまんまる 夜はほのぼのと 心ぼそさよ 秋の空
さァさ出たでた もろこし舟が 波に押されて 岸に寄る

雨の降るときヤエ 松原通れば 松の露やらササ 涙やら
岳の白雪ヤエ 朝日でとける 姉コ島田はササ 寝てとける
月は満々ヤエ 夜はほのぼのと 心細さよササ 秋の風 
「生保内節」 
吹けや生保内東風 七日も八日もハイ ハイ
 吹けば宝風 ノオ稲みのる ハイーキターサッサーキターサ
吹けや生保内東風 秋吹くならば 黄金波打つ ノオ前田圃
生保内東風なら ひがたの風よ そよりそよりと ノオ湯のかおり
わしとお前は 田沢の潟よ 深さ知れない ノオ御座の石
とろりとろりと 沖行く舟は 十七招けば ノオ岸による
前の田沢湖 鏡において 雪で化粧する ノオ駒ヶ岳
風の模様で 別れていても 末にまとまる ノオ糸柳
上を見てさえ 限りはないと 下を見て咲く ノオ藤の花
「正調生保内節」 
吹けや生保内東風 七日も八日もハイ ハイ
 吹けば宝風ノオ稲みのる コイ コイ コイ コイト
ドドと鳴る瀬に 絹機織立てて 波に織らせてノオ瀬にきせる
雨はどんどと 雨戸にさわる 心まよわすノオ南風
生保内乗り出し 角館越えて 駒よ急げよノオ久保田まで
一度二度なら 褄折り笠よ 三度笠ならノオ深くなる
葦を束ねて 降るよな雨に 通い来るのをノオ帰さりょか
「船方節」
(アー ヤッショーヤッショー) ハアー(アー イヤサカサッサ)
三十五反のエー(アーイヤサカサッサア) 帆を巻きあげて(アー ヤッショーヤッショー)
鳥も通わぬ沖走る その時時化に逢うたならエー(アー ヤッショマカショ)
網も錨も手につかぬ 今度船乗りやめよかと(アー ヤッショーヤッショー)
とは思えども港入り あがりてあの娘の顔みれば(アー イヤサカサッサ)
辛い船乗り 一生末代 孫子の代まで やめさせぬ(アー ヤッショーヤッショー)
沖の小舟と漁師の船は 今日も一日波の上 
波はついたり曳く網大漁 船足重いぞ 船頭さん
「二ッ井甚句」
山形

 

「かくま刈り唄」
ハアー 山は深いし かくまは延びた
お山繁昌と ハアー 烏啼く 烏啼く
ハアー 山で赤いのは 躑躅か椿
お稲荷様の ハアー 鳥居か 鳥居か 
「酒田甚句」
日和山 沖に飛島 朝日に白帆
月も浮かるる 最上川
船はどんどん えらい景気
今町舟場町〈いままちふなばちょ〉 興屋〈こや〉の浜 毎晩お客は
どんどん シャンシャン
シャン酒田は よい港 繁盛じゃおまへんか
   海原や 仰ぐ鳥海 あの峰高し
   間〈あい〉を流るる 最上川
   船はどんどん えらい繁盛
   さすが酒田は大港 千石万石 横づけだんよ
   ほんまに酒田はよい港 繁盛じゃおまへんか
庄内の 酒田名物 何よと問えば
お米にお酒に おばこ節
あらまぁ ほんに すてき
港音頭で 大陽気 毎晩お客は
どんどん シャンシャン
シャン酒田は よい港 繁盛じゃおまへんか
「真室川音頭」    ←「真室川花電車」「山水小唄」←「ナット節」
私ゃ真室川の 梅の花 コーリャ 貴方マタ この町の鶯よ
(ハコリャコリャ)
花の咲くのを待ち兼ねて コーリャ 蕾の中から通って来る
(ハ ドントコイドントコイ)
   蕾のうちから 通っては見たが 開らかぬ花とて 気がもめる
   早く時節が 来たならば 一枝ぐらいは折ってみたい
私ゃ真室川の 山桜 貴方マタ浮気な 春の風
咲かせてくれたは よいけれど 一夜で散れとは 憎らしや
   花の山形 紅葉の天童 雪をマタ眺むる尾花沢
   声ものどかな 新庄節 庄内鶴岡 米の里
山を越え川を越え はるばると 真室川見たさに 故郷(くに)を出た
深山がくれの 百合の花 そっとマタ手折れば 香に迷う
   今日は日もよし 天気もよし 恵比須マタ 大黒浜遊び
   大鯛小鯛を釣り上げて 釣り竿かついで踊りこむ
貴方は御殿の八重桜 私ゃマタ垣根の朝顔よ
いくら程よく 咲いたとて 御殿の桜にゃ およばない(届かない)
   遠く離れて 何を待つ 頼りとするのは 文ばかり
   たとえお金が かかろとも お手紙のやりとり位は しておくれ
夢を見た 夢を見た 夢を見た 貴方と添うとこ 夢に見た
三三九度の盃を いただくところで 目が覚めた
   裏から回れば 垣根コあるし 表から回れば 犬吠える
   鳴くな騒ぐな 泥棒じゃないよ この家の娘の 色男
真室川よいとこ 新庄を受けて 娘マタ美人で 唄どころ
上り下りに ちょいと足とめて 聞いてマタお帰りこの音頭
   鏡見るたび 思い出す 両親(ふたおや)恨むじゃ ないけれど
   も少し器量よく 生まれたら どんなマタ男も 迷わせる
お山のお山の 山鴉 可愛いと鳴いたが なぜ悪い
今見ただけでも 好きは好き 十年添うても 嫌やは嫌や
   花が咲いた 花が咲いた 花咲いた 娘マタ十八 花咲いた
   いずれ散る花 一枝位 あなたのことなら あげまする
広い田んぼに 出てみれば さらしマタ手拭い 頬被り
紅い襷にもんぺはき 稲刈るおばこの 艶姿
   あの時逢わねば ただの人 逢うても惚れなきゃ ただの人
   惚れて添わなきゃ ただの人 添うても別れりゃ ただの人
添わせておくれと 願掛けて 添わせてくれたは よいけれど
それからどうしてよいのやら 神様教えてくれなんだ 
「百目木茶屋唄」
茶屋は百目木(どうめき) 二階の景色 前を流るる 最上川
夏は清水 てんを浮かして 見事に咲かせた かきつばた 
上り下りの 船のかずかず 夕暮涼しき 中河原
梁にござれや どんどん 鱒でも鯉でも とれ次第 
ちょいとあがらんせ
「百目木甚句」
ハァー あてらざわ
御日市(おまち)帰りに百目木の茶屋で 一ぱい飲んで眺むる最上川
向こうに見えるは何じゃいな 上杉さんのお米蔵
どんと積んで下すは酒田船
ハァー あてらざわ
お米山と積んで帆を巻きあげて 今日も下るぞ酒田船
いつごろお帰り 風次第 荷物は何々 松前の
にしん こんぶに たら かすべ 京の友禅 博多帯 
おみやげ話は たんとたんと
「庄内おばこ節」   ←「庄内節」「出羽節」 
おばこ来るかやと(アコリャコリャ) 田ん圃のはんずれまで出てみたば
(アコバエテコバエテ)
おばこ来もせで(アコリャコリャ) 用のないたんばこ売りなどふれて来る
(アコバエテコバエテ)
おばこ居たかやと 裏の小窓から覗いて見たば
おばこ居もせで 用のない姿さまなど糸車
酒田山王山で 海老コと鰍コと相撲とった
海老コなんして マタ腰ァ曲がった 
鰍コと相撲とって 投げられて それで腰ァまがった 
福島

 

「羽黒節」
ハアー 昔節では さかずきや来ない 〔チョイ チョイ〕
 今のはやりの 羽黒節 羽黒節 〔チョイ チョイ チョイ〕
羽黒さんのような ぼた餅ほしい くるりくるりと 食いまわる
羽黒さんさえ 登れば降りる わたしやあなたに とろのぼせ
忘れらりょうか お羽黒様 一の鳥居の 左わき
月に一度は お羽黒様へ ご利生あるなら 来月も
羽黒節では さかずき来ない 今のはやりの 相馬節
わたしや初野の 羽山(羽黒)の下で 生水飲むせいか 気がさくい
月にお羽黒さま 二度あるならば こんな苦労は せまいもの
ほれたのぼせた 髪毛までも いれたかもじの 中までも 
「相馬二遍返し」 (南方)   ←「羽黒節」 
(ハー イッサイコレワイ パラットセ)
ハァー 二遍返しで 済まないならば(ハァコラヤノヤ)
お国自慢の 流れ山
 (ハー イッサイコレワイ パラットセ)
伊達と相馬の 境の桜 花は相馬で 実は伊達に
相馬相馬と 木萱もなびく なびく木萱に 花が咲く
相馬恋しや お妙見様よ 離れまいとの つなぎ駒
誰か来た様だ 垣根の外に 鳴いた鈴虫 音を止めた
駒に跨り 両手に手綱 野馬追い帰りの 程のよさ
相馬中村 石屋根ばかり かわらないので 人が好く
二遍返しは ままにもなるが 三度返しは ままならぬ
(ハー イッサイコレワイ パラットセ ハ 大難沖まで パラットセ)

ハアー 相馬相馬と木萱もなびく(ア コラヤノヤ)
 なびく木萱に花が咲く 花が咲く(ハアー イッサイ コレワイ パラットセ)
駒にまたがり両手に手綱 野馬追い帰りの程の良さ
伊達と相馬の境の桜 花は相馬に実は伊達に
みにくいなれども相馬のゆずは 実より皮いい(可愛い)と人が言う

ハアー 相馬相馬と木萱(きかや)もなびく ァ コラヤノヤット 
なびく木萱に花が咲く 花が咲く ハア イッサイコレワイパラットセ 
 大灘沖(だいなんき)まで パラットセ
相馬恋しお妙見(みょうけん)さまよ 離れまいとの繫(つな)ぎ駒
駒にまたがり両手にて綱 野馬追(のまおい)帰りの程(ほど)のよさ
伊達と相馬の境の桜 花は相馬で実は伊達に
相馬名物駒焼(こまやき)茶碗 又も名物流れ山
相馬名物石屋根ばかり 瓦ないので人が好く
鮎(あゆ)は瀬にすむ鳥ァ木にとまる 人は情の下による
竹に雀は仙台さんの御紋 相馬六万石九曜(よう)の星
二遍返しで済まないならば 又も名物お野馬追い
二遍返しはままにもなるが 三度返しはままならぬ
二遍返しで三編目には 義理と人情の板ばさみ 

ハアー 相馬相馬と 木萱もなびく
なびく木萱に 花が咲く 花が咲く
ハ イッサイコレワイ パラットセ 大囃沖(だいなんおき)まで パラットセ
伊達と相馬の 境の桜 花は相馬に 実は伊達に
相馬名物 駒焼茶碗 またも名物 流れ山
二遍返しで すまないならば お国自慢の 流れ山
二遍返しは ままにもなるが 三度返しは ままならぬ
二遍返して 三遍目には 義理と人情の 板ばさみ
炊いたお米は ままにもなるが 二遍返しは ままならぬ
相馬恋しや お妙見様よ 離れまいとの つなぎ駒
(北方)
ハアー あゆは瀬につく 鳥ゃ木にとまる ハイ ハイ
人は情の下に住む 下に住む ハイー ハイ ハイ
あそび暮せば 身にしむ寒さ かせげば凍らぬ 水車
煙草一葉に 思わく書いて 心きざんで すわせたい
蝉はなけども 暮六つかぎり 蛍可愛いや 夜明けまで
会われないから 来るなというに 来ては泣いたり 泣かせたり
帰りしゃんすか 夜はまた夜中 月は廊下の 屋根の上
義理と人情の 花咲くうちは 相馬通いは やめられぬ
「田の草取り歌」
腰の痛さに この田の長さ 〔トカイ− トカイー〕
暑い盛りの 日の長さ 〔トカイー トカイー〕
わたしやおもだか 田の中育ち 稲の元ばり 見て暮らす
二番取り上げ 三番が盛り 今日の上がりは 日が高い
天気よいせか こんなにもてた ことしや豊年 大当り
じやまだじゃまだと 青田にぴるも たんぼ取っても 取り切れぬ
早くこの田や 草取り上げて 晩に行くぺや 歌聞きに 
「船のり甚句」
船は出てゆく 朝日は昇るネ 〔ヨイトサー ヨイトサー〕
かもめ飛び出す ヤレ にぎやかさネ 〔ヨイトサー ヨイトサー〕
浅間山では わしやないけれど 胸にけむりは 絶えはせぬ
沖の暗いのに 白帆が見える あれは紀の国 みかん船
船は新造船 船頭さんは若い 万事たのむぞ おやじどの
竹になるなら お山の竹に 新造小船の しるし竹
船は小さくとも 藁であてしても 漁で負けまい おやじどの
沖の大船 錨でとめる わたしや情の きにとまる 
「相馬流れ山」
相馬流れ山ナー ナーエ (スイー)
習いたかござれナーエ (スイースイ)
五月中の申(さる)ナー ナーエ (スイー)
アーノサお野馬追いナーエ (スイースイ)
枝垂(しだ)小柳 なぜ寄りかかる いとど心の 乱るるに
相馬恋しや お妙見さまよ 離れまいとの つなぎ駒
手綱さばきも ひときわめだつ 主の陣笠 陣羽織
野止め駒止め 在郷も町も 今日は破軍の 星祭り
向い小山の がんけのつつじ およびなければ 見て暮らす
国見かくれに まだ帆が見えぬ ととを思うて 頬ぬらす
花を見たくぱ 横川入りに 猿が烏帽子の 岩つつじ 
「相馬盆唄」 (「豊年踊り」) 
(ハアヨーイヨーイ ヨーイトナ)
ハアーイヨー 今年ゃ豊年だよ (ハアー コーリャコリャ)
穂に穂が 咲いてヨー (コラショー)
ハアー 道の小草にも  ヤレサー米がなるヨー
   ハアーイヨー そろたそろたヨ 踊子がそろたヨー
   ハアー 秋の出穂より  ヤレサーよくそろたヨー
ハアーイヨー 踊り疲れて 寝てみたもののヨー
ハアー 遠音ばやしで ヤレサー 寝つかれぬヨー 
「青津甚句」 
揃たそろたよ おどり子が揃た 稲の出穂より よくそろた
青津館から 横前見れば つなぎそろえた お米舟
嫁に来るなら 青津をやめろ 藍とからしで 殺される
踊りおどらば しなよくおどれ しなのよい娘を 嫁にとる
音頭とる奴が 橋からおちた 流れながらに 音頭とる
来り来ないだり 夏堰の水 いっそ来ないなら 来ぬが良い
月はまんまる 踊りもまるい ぬしとわたしも まるい仲
月の出会いと 定めて来たが 月は早よ出て 森の中 
「麦つき歌」
麦もつけたし 寝ごろも来たし 卜ー卜
うちの親たちや コリャ 寝る寝ろと トートット
   思い直して 〔コラショット〕
   添う気はないかョ 〔コラショット〕
   鳥も枯木に 〔コラショット〕
   アノ ニ度とまるナ 〔コラショット〕
麦をつくるなら 七日八日 三日四日は 誰もつく
麦をつくなら 男とつきゃれ 男力で 麦の皮むける
ついてお手伝い する気で来たか つかぬ気ならば そばにも寄るな
相馬よいとこ 女の夜なぺ 男極楽 寝て待ちる
夜麦つきして なにとくとれる 朝寝するだけ とくをする
麦つぎ帰りに 東を見れば ほんにすごいこっちゃ 鶏の声
からみついても 油断はならぬ 若木枯らして またよそに
南はずれの 色白リンゴ ひとつ落として 味みたい
思って三年 見染めて四年 文のやりとり 去年から
うちのとうちゃん かぼちゃの性で 隣りの分まで 手を伸べる
おめらほではやんねが おらほではやる 麦つき帰りの 杵枕
今夜の麦つき だまり虫揃うた よくも集めた こちのかかあ 
「神長老林節」
オーイ おらが相馬の ホイ
カンチョロリン節はヨー
おごらの舟 かんちょろりん
和子らのノーノサイ かんちょろりん トッテンチロリン チンチロリンノ
シャーン シャン ホーイホイ
とんび山で鳴け からすは浜でヨ 里でにわとり 時つくれヨ
お前とんびか 烏でないかヨ 共に社の 森で鳴けヨ
なくな烏コ さわぐなとんびヨ おらやのわらしこ 目をさますヨ
お前とんびに 油揚さられヨ 私ゃからすに 餅取られるヨ  
「伊達甚句」
ハァ東雲山西吾妻山北に黄金の半田山半田山
 (寄らんしょナイ来らんしょナイそうだナイ本当にナイまた来てくなんしょナイ)
ハァ伊達の梁川と保原の街道万に一つの坂もない坂もない
ハァあなた飯坂わしゃ湯の町よ仲をとりもつ十綱橋十綱橋
ハァ伊達の霊山すすきが招く昔しのんで紅葉狩紅葉狩 
「相馬酒盛り甚句」
「相馬さんさ時雨」
「安積甚句」「安積守屋甚句」 (あさかもりやじんく) 
「瀬上節」 (「瀬上甚句」)
 
関東

 

栃木
「日光和楽踊り」 
はぁえ 日光名所は 朱塗りの橋よ
下を流るる (コラショ) ヤレサヨー 大谷川〈だいやがわ〉
(ハァ ヨーイヨーイヨイトナ)
   はぁえ 日光街道の 並木を行けば
   風がそよそよ ヤレサヨー 夏知らず
はぁえ 一目見せたや 故郷の親に
和楽踊りの ヤレサヨー 伊達姿
   はぁえ 和楽踊りに 娘を連れて
   力こぶある ヤレサヨー 婿えらみ
はぁえ 北は男体〈なんたい〉 南は筑波
中をとりもつ ヤレサヨー 宇都宮
   はぁえ 八汐つづじは 春咲く花よ
   和楽踊りは ヤレサヨー 夏の花
はぁえ 日光名物 数々あれど
和楽踊りは ヤレサヨー 日本一
   はぁえ チラリチラリと 並木の杉の
   渡り鳥かよ ヤレサヨー 暁の空
はぁえ 山はしぐれる 河原は暮れる
朱の紙橋が ヤレサヨー ほのぼのと
   はぁえ 主が情けで 深山の雪も
   解けて流れて ヤレサヨー 幸の湖〈さちのうみ〉
はぁえ 山は男体 水清滝の
和楽踊りは ヤレサヨー 精銅所
   はぁえ 親子兄弟 皆出て踊れ
   家じゃ猫めが ヤレサヨー 留守居する
はぁえ 踊りつかれて 堤に休みゃ
櫓太鼓が ヤレサヨー また誘う
   はぁえ 踊りは下手でも 仕事は上手
   下手で職工さんが ヤレサヨー 勤まるか
はぁえ 丹勢山から 精銅所を見れば
銅〈かね〉積む電車が ヤレサヨー 行き来する
   はぁえ 踊り踊れよ たたけよ太鼓
   月の世界に ヤレサヨー とどくまで
はぁえ 日光街道を シャンシャン鈴音
馬子〈まご〉は嫁頃 ヤレサヨー 紅緒笠〈べにおがさ〉
   はぁえ 汽てき鳴るのに 隣じゃ起きぬ
   起きぬはずだよ ヤレサヨー 新所帯 
「花づくし」(「神輿甚句」) 
せぇ〜 さてはこの場の 皆様方よ
年の初めの新玉の
松を楽しむ正月や
二月に咲いたる梅の花
三月盛りの八重桜
四月上から下がり藤
五月の梅雨に咲く花は
菖蒲名代に杜若(かきつばた)
六月牡丹に蝶が舞う
七月野原に咲く萩に
照らす八月たもと脱ぎ
心地よく見る九月菊
十月紅葉に鳴く鹿の
十一月の垂れ柳
小野道風じゃないけれど
蛙見つめりゃ切りがない  
群馬

 

「草津節」 (「正調草津節」「ドッコイショ節」)   ←「土羽打ちのならし唄」「岡山節」 
草津よいとこ 一度はおいで (ハァ ドッコイショ)
 お湯の中にもこりゃ 花が咲くよ (チョイナ チョイナ)
春はうれしや 降る淡雪に 浮いた姿がこりゃ 目に残るよ
草津よいとこ もみじの名所 紅の流るるこりゃ お湯の川よ
明けりゃ湯煙 暮れれば湯もや 草津の町こりゃ 湯のかおりよ
朝の湯煙 夕べの湯もや 草津は湯の町こりゃ 夢の町よ
草津恋しと 幾山こえて 合いに来たかよこりゃ 山ツバメよ
錦織り成す 野末をみれば 晴れた浅間にこりゃ 煙り立つよ
忘れしゃんすな 草津の道を 南浅間にこりゃ 西白根よ
草津名物 もみじにつつじ 可愛いすずらんこりゃ ホトトギスよ
お医者様でも 草津の湯でも ほれた病はこりゃ 治りゃせぬよ
ほれた病も 治せば治る 好いたお方とこりゃ 添やなおるよ 

草津よいとこ 一度はおいで (ア ドッコイショ)
 お湯の中にもコーリャ 花が咲くヨ (チョイナ チョイナ)
草津よいとこ 里への土産 袖に湯花のコーリャ 香が残るヨ
草津よいとこ 白根の麓 暑さ知らずのコーリャ 風が吹くヨ
春はうれしや 降る淡雪に 浮いた姿がコーリャ 目に残るヨ
草津よいとこ 夏来てみれば 軒端近くにコーリャ 四季の花ヨ
草津よいとこ 紅葉の名所 虹の流るるコーリャ お湯の川ヨ
積もる思いと 草津の雪は とける後からコーリャ 花が咲くヨ
積もる話の つきない内に 憎や時間湯のコーリャ 鐘が鳴るヨ
お医者様でも 草津の湯でも 惚れた病はコーリャ 治りゃせぬヨ
惚れた病も 治せば治る 好いたお方とコーリャ 添や治るヨ
明けりゃ 湯煙 暮れれば湯もや 草津湯の町コーリャ 湯の香りヨ
チョイナチョイナは 何処から流行る 草津温泉コーリャ 湯もみからヨ
チョイナチョイナで 草津は明けて もんだもんだでコーリャ 日が暮れるヨ
忘れしゃんすな 草津の道を 南浅間にコーリャ 西白根ヨ
馬子の追分 浅間は焼けて 暮れる草津にコーリャ 湯の煙ヨ
浅間高原 六里を越せば 草津平がコーリャ 四里四方ヨ
浅間山ほど 胸をば焼けど 主は白根のコーリャ 峰の雪ヨ
湯もみ馴染みか 妹山背山 松の木(こ)の間をコーリャ わらび狩りヨ
草津よいとこ 紅葉の名所 紅の流るるコーリャ お湯の川ヨ
朝の湯煙 夕べの湯もや 草津湯の町コーリャ 夢の町ヨ
錦織りなす 草津の広野 浅間の煙もコーリャ あかね染めヨ
「草津湯もみ唄」
草津恋しやヨーホホイ あの湯煙にヨ (ハヨイヨイ)
 浮いた姿がヨーホホイ 目に残るトカヨー (ハドッコイセ ハヨイヨイ)
湯もみ馴染みかヨーホホイ 妹山背山ヨ 松の木(こ)の間をヨーホホイ わらび狩りトカヨー
馬子の追分ヨーホホイ 浅間は焼けてヨ 暮れる草津にヨーホホイ 湯の煙トカヨー
草津よいとこヨーホホイ 夏来てみればヨ 軒端近くにヨーホホイ 四季の花トカヨー
草津よいとこヨーホホイ 里への土産ヨ 袖に湯花のヨーホホイ 香が残るトカヨー
暑さ白根のヨーホホイ 山風受けてヨ 草津娘のヨーホホイ 夕涼みトカヨー
朝の湯煙ヨーホホイ 夕べの湯もやヨ 草津湯の町ヨーホホイ 夢の町トカヨー
草津よいとこヨーホホイ スキーの名所ヨ 自慢話もヨーホホイ お湯の中とかヨー
錦織りなすヨーホホイ 野末を見ればヨ 晴れた浅間にヨーホホイ 煙立つトカヨー
草津電車にヨーホホイ 飛び込む蛍ヨ 燃ゆる思いをヨーホホイ のせて行くトカヨー
白根登ればヨーホホイ お花の畑ヨ 草津町にはヨーホホイ 湯の畑トカヨー
草津伊香保はヨーホホイ 手の先届くヨ なぜに届かぬヨーホホイ 我が思いトカヨー
忘れしゃんすなヨーホホイ 草津の道をヨ 南浅間にヨーホホイ 西白根トカヨー
湯もみ見たけりゃヨーホホイ 草津へおいでヨ 旅の疲れもヨーホホイ もんでやるトカヨー
「草津小唄」
(サテ) 朝の湯けむり ゆうべの湯もや ヨイトサノサ
(ハキタサ) 草津ァ湯の町 サァサヨイトサノ夢の町
 ヤァレ モンダ モンダ ヨイトコリャセ (サテ)
浅間おろしに 木萱もなびく ヨイトサノサ 草津恋しと サァサヨイトサノ いうてなびく
梅雨はらはら 草津の宿で ヨイトサノサ ひとり寝て聞く  サァサヨイトサノ 湯もみ唄
つもる思いと 草津の雪はヨイトサノサ とけるあとから  サァサヨイトサノ 花が咲く
草津恋しや 白根の山のヨイトサノサ 雪の消えまの サァサヨイトサノ お駒草
茨城

 

「大洗甚句」 
(テヤ テヤテヤテヤ イササカリンリン スカレチャドンドン サイショネ)
私に逢いたけりゃ 音に聞こえし大洗下の (サイショネ)
大きな石をかきのけて(ソレ)
小ちゃな石をかきわけて(ソレ) 細か
い小砂利を 紙に包んで 三尺小窓 小屏風の陰から
パラリパラリと 投げしゃんせ(ソレ)
その時ゃ私が 推量して
雨が降ってきたとイソ 逢いに出る
(テヤ テヤテヤテヤ イササカリンリン スカレチャドンドン サイショネ)
私と行かぬか あの海原へ(オヤ 何しにネ)
船を漕ぎ漕ぎ 語り合い (嬉しいネ)漕ぎ漕ぎイソ お楽しみ  
「潮来音頭」 (「潮来節」) 
揃うた揃うたよ 踊り子が揃うた(アリャサー) [または(アリャセー)]
秋の出穂より よく揃うたションガイー 
(よく揃うた)秋の出穂より よく揃うたションガイー
潮来出島の 真菰の中に あやめ咲くとは しおらしやションガイー 
(しおらしや)あやめ咲くとは しおらしやションガイー
私ゃ潮来の あやめの花よ 咲いて気をもむ 主の胸ションガイー 
(主の胸)咲いて気をもむ 主の胸ションガイー
花を一本(ひともと) 忘れてきたが あとで咲くやら 開くやらションガイー 
(開くやら)あとで咲くやら 開くやらションガイー
此処は前川(加藤洲) 十二の橋よ 行こか戻ろか 思案橋ションガイー 
(思案橋)行こうか戻ろうか 思案橋ションガイー
潮来出てから 牛堀までは 雨も降らぬに 袖しぼるションガイー 
(袖しぼる)雨も降らぬに 袖しぼるションガイー
向こう通るは 清十郎じゃないか 笠がよう似た 清十郎笠ションガイー 
(清十郎笠)笠がよう似た 清十郎笠ションガイー 
主と別れて 松原行けば 松の露やら 涙やらションガイー 
(涙やら)松の露やら 涙やらションガイー
並ぶ灯しは 潮来の曲輪(くるわ) 月は朧の 十二橋(きょう)ションガイー 
(十二橋)月は朧の 十二橋ションガイー
さらばこれより ションガイ節(音頭を)やめて 次の甚句に 移りましょションガイー  
船頭小唄
己(おれ)は河原の 枯れ芒(すすき) 同じお前も 枯れ芒
どうせ二人は この世では 花の咲かない 枯れ芒
   死ぬも生きるも ねえお前 水の流れに 何(なに)變(かわ)ろ
   己もお前も 利根川の 船の船頭で 暮そうよ
枯れた眞菰(まこも)に 照らしてる 潮來出島の お月さん
わたしやこれから 利根川の 船の船頭で 暮すのよ
   なぜに冷たい 吹く風が 枯た芒の 二人ゆえ
   熱い涙の 出た時は 汲でお呉れよ お月さん
「古河甚句」 (「中田音頭」「中田節」)
はぁ〜 西に富士山 東を見れば〜 めおと姿の筑波の峰よ
北は日光で また南には〜 花の都のお江戸がござる
日光街道の緑の松に〜 城のやぐらが目に映るよ〜な〜
土井の殿様 八万石の〜 古河は名高い城下の町よ
   昔懐かし 花街ゆけば〜 粋なねぇさん 招くじゃないか〜
   男大利根、渡良瀬川に〜 思川ならそわせてやろ〜と〜
   かけて結んだあの三国橋〜 眺め千両の見晴らしどころ〜
   街にゃ名物、名勝はあれど〜 今じゃ甚句が土産の一つ
   聞いてお帰り この古河甚句をえ〜  
埼玉

 

「吾野機織り唄」 
わたしゃ 吾野の機屋の娘 思い(ハァ イッタン)
思い一筋 恋の糸 トーカナンダイ
   機が織れない 機神様よ どうか
   どうかこの手の あがるよに
待てど帰らぬお方と知りつ 今日も
今日もくるくる 糸車
   川の流れと 吾野の機は くめど
   くめど尽きせぬ 情がある
糸は千本 切れても継なぐ 切れた
切れた情けは つながれぬ
   泣いて心が 晴れますならば わしも
   わしも泣きたいことがある
泣いて暮らせば 月日も長い 唄で
唄で暮らせば 夢のようだ

山は紫 鶯鳴いて(コノザーンザ)
秩父よいとこ まったく機どころ(コリャ トモ ヨーホホイ)
   もずが高鳴く 秋晴れ日和
   庭の夜具地〈やぐち〉が またっくよく乾く
青い月夜に すいとが鳴いて
夜機〈よばた〉織ってる まったく筬の音
   一杼一筬 心を込めて
   主に着せたい まったく秩父縞
秩父よいとこ 山紫に
匂う谷間で まったく布晒し
「狭山茶作り唄」 
(アヨリコメヨリコメ アヨリコメヨリコメ アヨリコメヨリコメ) 
狭山よいとこ、(アヨリコメヨリコメ) エエーお茶場でえ名所 (アヨリコメヨリコメ)
娘やりたや ヨオ エエエー婿ほしや (アヨリコメヨリコメ)
狭山じゃ名代よ、アヨリコメヨリコメ エエー捨てては、おけぬ (アヨリコメヨリコメ)
聞いてお帰り ヨオ エエエー狭山節 (アヨリコメヨリコメ)
(チャキットヨリナヨ サヤマノオチャシヨ アヨリコメヨリコメ)
   宇治の銘茶と エエー狭山の濃茶 出会いますぞえ ヨオ エエエー横浜で
   狭山よいとこ エエー北山晴れて 南西風 ヨオ エエエーそよそよと
   キリリトヨリナヨ サヤマノオチャシヨ アヨリコメヨリコメ
狭山街道は エエー箒はいらぬ 茶摘み茶よりの ヨオ エエエー裾で掃く
お茶師お茶師と エエー名はよいけれど 朝も早よから ヨオ エエエー丸裸
ヨラネバナラヌカ サヤマノオチャデモ アヨリコメヨリコメ
   お茶の茶の茶の エエー茶の木の陰で お茶も摘まずに ヨオ エエエー色ばなし
   八十八夜も エエー通わせおいて 別れ霜とは ヨオ エエエー情けない
   チャキットヨリナヨ サヤマノオチャシヨ アヨリコメヨリコメ
五月来たかよ エエー狭山の茶場へ 娘若い衆 ヨオ エエエーいさみ立つ
若手揃いで エエーもんだるお茶は 色の良いので ヨオ エエエー主が好く
キリリトヨリナヨ サヤマノオチャシヨ アヨリコメヨリコメ
   姿悪くも エエー色香は深い 狭山銘茶の ヨオ エエエー味の良さ
   嫁もお茶師へ エエー来たのが因果 いつかもまれて ヨオ エエエー渋くなる
   ヨラネバナラヌカ サヤマノオチャデモ アヨリコメヨリコメ
お茶を摘む子の エエー笑顔がとけて 色も狭山の ヨオ エエエー色に出る
ぬるいお茶でも エエーお前の手から ついでもらえば ヨオ エエエー熱くなる
チャキットヨリナヨ サヤマノオチャシヨ アヨリコメヨリコメ
   お茶師殺すにゃ エエー刃物はらぬ 八十八夜の ヨオ エエエー別れ霜
   宇治の新茶と エエー狭山の濃茶が 四つに組んだよ ヨオ エエエー両国で
   キリリトヨリナヨ サヤマノオチャシヨ アヨリコメヨリコメ
五月なかばに エエー狭山を通りゃ 電車の中まで ヨオ エエエー茶の香り
お茶は終えるし エエーお茶師は帰る ホイロ眺めて ヨオ エエエー目に泪
ヨラネバナラヌカ サヤマノオチャデモ アヨリコメヨリコメ
   あれやこれやと エエー迷うて見たが 何と云っても ヨオ エエエー茶は狭山
   色は静岡 エエー香りは宇治よ 味は狭山で ヨオ エエエー止めさす
   チャキットヨリナヨ サヤマノオチャシヨ アヨリコメヨリコメ 
   アヨリコメヨリコメ アヨリコメヨリコメ 
「吉川甚句」
吉川の八坂祭りが二度あるならば 可愛いあの娘と二度会える
一日会えなきゃ 二日三日四日五日六日七日・八日 九日十日も逢えぬように
浅い川ならひざまで捲る 深くなるほど帯を解く
櫓太鼓にふと目を覚まし 今日はどの手で投げてやろ
入れてお呉れよ 痒くてならぬ 私一人が蚊帳の外  
「川越舟唄」 (「千住甚句」)
押せや押せ押せ 二挺艪で押せや 押せば千住が 近くなる
九十九曲がり 仇では越せぬ  通い船路の 三十里
千住出てから 巻の野までは  竿も艪櫂も 手につかぬ
船は千来る 万来る中で  わしの待つ船 まだ来ない
追風吹かせて 早や登らせて  今度下りは 待つわいな
川越辺りを 夜更けて走りゃ  可愛いあの娘の 声がない
主が竿さしゃ 私は艫で  舵をとりとり 艪をば押す  
「見沼通船舟唄」
千住でてからまきのやままでは、竿も櫨かいも手につかぬ
千住じまいは牛若丸よ こいを抱いたりかかえたり
会えばさほどの話もないが 会わなきゃ苦労で寝られない
船は千くる万くるなかで わしの待つ船まだこない
押せよ押せ押せ二丁櫨で押せよ 押せば港が近くなる
船乗り稼業はもうやめしゃんせ 苦労するのをやめるよう
船が着いたよ八丁の河岸に 早く出て取れおもて綱
八丁山口は船頭でくらす かかあふもとでしらみとり
八丁出るときや涙もでたが どうぞご無事で帰りゃんせ
船は新しい船頭さんは若い 積んだ荷物は米と酒
まいど若いときは袖褄引かれ 今は孫子に手を引かれ 
(大利根町琴寄の唄)
「麦打ち唄」
お江戸今朝出て 春日部泊り
ハー ドシコメ ドシコメ
小山泊りじゃ まだ日が高いヨー
間々田流して ホントニ古河泊りヨー
ハー ヤッショメ ヤッショメ
ハー コンナレ コンナレ こなしてどうする
団子に丸めて お江戸にころがせ グルーリ グルーリ
「伊勢音頭」
伊勢はナーハエ 津で持つィ 津は伊勢で持つヨイ
尾張名古屋は 城でもつ 家の身上は かかでもつ
かかのふんどしゃ ひもでもつ ひもの虱は 皺でもつ
サー ヤレトコセー ヨーイトナノ ア アリャリャイ
ころがったかー 起きたらよかんべが サーハイ
「角力甚句」
お角力さん 角力にゃ負けても 怪我さえなけりゃ
晩にゃわたしが 負けてやるエー
アー スットコスットコ ヨーイトサ
ハアー 大川(たいかわ)で 土手が切れても
わたしとお前さん まだ切れやせず
ハアー 豆腐に鎹(かすがい) 戸板に豆だよ
みなさん 御意見なんか 無駄だことェ
ヨーイヨーイ ヨーイトサ
「数え唄」
一つとサーノーホーエ 柄杓に笈摺 菅の笠
巡礼姿や 父母を たずにょかいな
オヤ チリント ドッコイショ 
千葉

 

「木更津甚句」 (「木更津節」) 
ハアー 木更津照るとも 東京は曇れ
可愛いお方が ヤッサイ モッサイ
ヤレコリャ ドッコイ コリャコーリャ 日に焼ける
(サテ シタコリャ シタコリャ シタコリャサ)
   ハアー 沖の州崎に 茶屋町たてて
   上り下りの ヤッサイ モッサイ
   ヤレコリャ ドッコイ コリャコーリャ 船を待つ
ハアー 船は千来る 万来る中に
わしの待つ船 ヤッサイ モッサイ
ヤレコリャ ドッコイ コリャコーリャ まだ見えぬ
   ハアー たぬき可愛や 証城寺の庭で
   月に浮かれて ヤッサイ モッサイ
   ヤレコリャ ドッコイ コリャコーリャ 腹つづみ
「東浪見甚句」 
えなさ沖から飛んでくるかもめ 明日も大漁と飛んでくる
かもめ来て鳴け東浪見が浜へ 今日も大漁の旗の波 
「行徳音頭」 (「イッチャイッチャ節」)
ハァー主は沖へ出てまたわたしはたんぼナーエ夫婦揃ってイッチャサト共稼ぎナーエ
 (ハイッチャイッチャイッチャサ)
ハァー私ゃ行徳塩浜育ち色の黒いは親ゆずり
ハァー行徳名物自慢はないが塩に新のり塩浜踊り
ハァー行徳名物あののりさえも好いた上なら身を焦がす
ハァー行徳よいとこ名所のところ昇る朝日に波が散る 
「銚子大漁節」
一つとせ 一番ずつに積み立てて川口押し込む大矢声 この大漁船
二つとせ 二間の沖から外川まで続いて寄り来る大鰯 この大漁船
三つとせ 皆一同に招をあげ通わせ船の賑やかさ この大漁船
四つとせ 夜昼焚いても焚き余る三杯一丁の大鰯 この大漁船
五つとせ いつ来てみても干鰯場はあき間もすき間も更になし この大漁船
六つとせ 六つから六つまで粕割が大割小割で手に追われ この大漁船
七つとせ 名高き利根川高瀬船粕や油を積み送る この大漁船
八つとせ 八手の沖合若衆が万祝揃えて宮参り この大漁船
九つとせ この浦守る川口の明神ご利益あらわせる この大漁船
十とせ  十を重ねて百となり千を飛びこす万漁年 この大漁船
十一とせ 十一日は潮がわり鯵鯖まじりの大鰯 この大漁船
十二とせ 十二のお船玉いさましく明日も三ぞう積むように この大漁船
十三とせ 十三、四つの小野郎奴メンパで鰯を通わせる この大漁船
十四とせ 十四の生網、船新造、あらすの艪櫂で漕き回る この大漁船
十五とせ 十五夜お月様夜に余る八手の鰯は昼あがる この大漁船
十六とせ 十六ササギは花ざかり八手の鰯は色ざかり この大漁船
十七とせ 十七・八の小娘があかねのたすきで塩はかる この大漁船
十八とせ 旗は白地を染めちらしこれこそ八手の大漁旗 この大漁船
十九とせ 九十九里浜から銚子浦粕たく煙が絶えやせぬ この大漁船
二十とせ この職大漁で来る職もまたも大漁するように この大漁船

一つとせ 一番船に 積み込んで 川口押込む 大矢声 浜大漁だネ 
二つとせ 二葉の沖から 戸川まで 続いて寄せ来る大鰯 浜大漁だネ
三つとせ 皆一同に まねを上げ 通わせ船の賑やかさ 浜大漁だネ
四つとせ 夜ひる焚いても たきあまる 三ばい 一挺の大鰯 浜大漁だネ
五つとせ 何時来ても 干鰯場は  あき間も 隙間も 更にない 浜大漁だネ
六つとせ 六つから六つまで 粕割が 大割 小割で 手にあまる 浜大漁だネ
七つとせ 名高き利根川 高瀬船 粕や油を積送る 浜大漁だね
八つとせ 八つだの沖から 若い衆が 万祝衣 揃えて 宮参り 浜大漁だネ
九つとせ この浦守る川口の 明神 ご利益 あらわせり 浜大漁だネ
十とせ 十が重なりゃ 百となる 千両 飛びこす 万両船 浜大漁だネ  
東京

 

「大森甚句」 
鳶凧ならヨ 糸目を付けて 手繰り寄せます膝元にヨ
六郷鳶とヨ 大森衆は 海苔に離れりゃヨ 揚がりゃせぬよ
大森良いとこ 来てみやしゃんせ 海苔で黄金のヨ 花が咲くヨ
「二上り甚句」 (「品川甚句」「角力甚句」)
淺い川なら 膝までまくり 深くなるほど 帶をとく
烏啼きでも 知れそなものよ 明暮あなたの 事ばかり
拙者此の町に 用事は無いが 貴殿見たさに まかり越す
角力に負けても 怪我さへなけりや 晩に私が 負けてやる
やぐら太鼓に ふと目をさまし 明日はどの手で 投げてやろ

花が蝶々か 蝶々が花か きてははらはら 迷わせる
送りましょうか 送られましょうか せめてあの町(ちょう)の 角までも
こぼれ松葉を 手でかきよせて 主の帰りを たいて待つ
花に来た夜が 迷いのはじめ 日毎曇らす 胸の中
「角力甚句」
お相撲さんには どこがよて惚れた 稽古帰りの 乱れ髪
相撲じゃ陣幕 男じゃ不知火 ほどのよいのが 鬼面山
櫓太鼓の 音を聞くたびに 今日はどの手で 投げてやろ
稽古相撲なら 負けてもやろが 明日は初日で 負けられぬ
「品川甚句」
小窓あくれば 品川沖よ 鴨八百羽 小鴨が八百羽
入船八百艘 荷船が八百艘 帆柱八百本 あるよあるよ
朝来て昼来て 晩に来て 来てこんとは いつわりな
来たしょうこにゃ 目が一寸だれちょる 酒飲んだ だれよとだれとが
違がちょる ハッハッ違ちょる違ちょる 切株 土手背負って
恋ちょろ ちょろね 船は出て行く 煙は残る
残る煙が アイタタタタ しゃくのたね  
「本調子甚句」 
鯛も色々ある 逢ひ度い見度いに添ひ度い私
一體全體あなたは 實にもつたいない
   醉ふた醉た醉た 五勺の酒に
   一合飮んだらなほ醉ふた 「さつさ押せ押せ船頭もかこも」
   押せば新潟が近くなる
(騒ぎ唄)
ソラソラソレ ハア コリャコリャソレ ソラソラソラ
芸者堅気持ちゃ 箒はいらぬ
 箒じゃそのまま ひとで掃く ソリャサ
芸者芸者と 軽蔑するな
 今の令夫人は 皆芸者 ソリャサ ハア コリャコリャコレ
うちのお方は 炬燵櫓の四本の柱
 無けりゃならない あれば邪魔 コリャサ
千両松 向う眺めりゃ淀の川瀬の水車
 あなたの手管に乗せられましたよ 口車 ソリャサ
紅い顔して お酒を飲んで
 あとの勘定で 青くなる コリャサ
若い燕に 迷わぬ人は
 木仏、金仏、石仏 コリャサ
若い燕に 迷った上に
 赤いおべべで ツケチョする コリャサ
「千住節」
九十九曲りあだでは越せぬ 通い舟路の三十里  
押せよ押せ押せ二挺櫓で押せよ 押せば千住が近くなる  
舟は帆まかせ舵まかせ 私はあなたに身をまかせ  
主が棹さしや私は艫で 舵をとりとり櫓をば押す  
舟は帆かけて南を待ちる 可愛い女房は主待ちる  
舟は千来る万来るなかで 私の待つ舟まだ来ない  
泣いてくれるな出舟のときや なくと出舟が遅くなる  
舟はチャンコロでも炭薪や積まぬ 積んだ荷物は米と酒  
いくら秩父の材木屋でも お金やらなきや木はやらぬ  
私の財布は横浜仕掛け 七分通りはカラ(唐)で持つ  
千住橋戸は錨か綱か 登り下りの舟とめる  
水の流れは堰すりやとまる 止めて止まらぬ世のならい  
男伊達ならこの新河岸川の 水の流れを止めてみな  
千住出てから牧の野までは 棹も櫓舵も手につかぬ
「秋の七草」 (佃島盆踊り)
人も草木も  盛りが花よ (繰り返し)
心しぼまず  勇んで踊れ
思ひ草なら  信夫(しのぶ)ではやせ
招く薄(すすき)に  気もかかるかやと
明日の朝顔  宵から化粧
つぼみゃ紅筆  咲きゃ紅ちょこ(猪口)よ
恋に桔梗は  色よい仲よ
萩はねみだれて  錦の床よ
おみなへしで  風くねるまで
花のしこし草  ああ恐ろしや
善に導け  観音草よ
若い芙蓉も  おきなの草も
秋の野分は  無常の風よ
散れば残らず  皆土となる
悟り開けば  草木も国土
仏頼めよ  南無阿弥陀仏 
「仏供養」 (佃島盆踊り)
踊れ人々  供養のためじゃ
五穀実りて  大風もなし
天のめぐみぞ  佛の音頭
恩を思えば  信心しやれ
一に一世の  災難逃れ
二には日夜に  気もやはらぎて
三に三毒  消滅するぞ
四には自然と  家富さかへ
五には後生の  うたがいはれて
六に六親  仲むつまじく
七に七福  其の身に備え
八に「八大  地獄」へ落ちず
九には九品(くぼん)の  浄土に生まれ
十で十方  成仏たすけ
忘れまいどへ  朝夕ともに
信の一家が  ただ肝要で
座臥(ざが)に唱へよ  南無阿弥陀仏  
「お江戸日本橋」 (「こちゃえ節」)
お江戸日本橋七つ立ち 初上り 行列揃えて あれわいさのさ
 こちや 高輪 夜明けの提灯消す こちゃえ こちゃえ
恋の品川女郎衆に 袖ひかれ のりかけお馬の鈴が森 こちや 大森細工の松茸を
六郷あたりで川崎の まんねんや 鶴と亀との米まんじゆう こちや 神奈川いそいで保土ヶ谷へ
痴話で口説は信濃坂 戸塚まあえ 藤沢寺の門前で こちや とどめし車そ綱でひく
馬入りわたりて平塚の 女郎衆は 大磯小磯の客をひく こちや 小田原評議で熱くなる
登る箱根のお関所で ちょいと捲り 若衆のものとは受取れぬ こちや 新造じゃぢゃないよと ちょいと三島
酒もぬまずに原つづみ 吉原の 富士の山川 白酒を こちや 姐さん出しかけ蒲原へ
愚痴を由井だす(さった)坂 馬鹿らしや 絡んだ口説きも興津川 こりや 欺まして寝かして恋の坂
江尻つかれてきは府中 はま鞠子 どらをうつのかどうらんこ こりや 岡部で笑はば笑わんせ
藤枝娘のしをらしや 投げ島田 大井川いと抱きしめて こちや いやでもおうでも金谷せぬ
小夜の中山 夜泣石 日坂の 名物わらびの餅を焼く こちや いそいで通れや掛川へ
袋井通りで見附けられ 浜松の 木陰で舞坂まくり上げ こちや 渡舟(わたし)に乗るのは新井宿
お前と白須賀 二タ川の 吉田やの 二階の隅ではつの御油 こちや お顔は赤坂 藤川へ
岡崎女郎衆は ちん池鯉鮒 よくそろい 鳴海絞りは宮の舟 こちや 焼蛤をちょいと桑名
四日市から石薬師 願をかけ 庄野悪さをなおさんと こちや 亀薬師を伏し拝み
互いに手を取り急ぐ旅 心関 坂の下から見上ぐれば こちや 土山つつじで日を暮らす
水口びるに紅をさし 玉揃ひ どんな石部のお方でも こちや 色にまようてぐにやぐにやと
お前と私は草津縁 ぱちやぱちやと 夜毎に搗いたる姥ヶ餅 こちや 矢橋で大津の都入り
(「はねだ節」 遊び歌・元唄)
お前まちまち蚊帳の外 蚊に食はれ
七つの鐘のなる迄は こちやかまやせぬ かまやせぬ  
「こちゃえ節」   ←「はねだ節」
「はねだ節」 (天保2年)
おまへまち〳〵蚊屋の外、蚊に食はれ、七つの鐘のなるまでも、コチヤカマヤセヌ、〳〵。
「こちゃえ節」 (明治4年流行)
お江戸日本橋七つ立ち、初上り、行列揃へてあれはいさのさ、こちや高輪夜明けの提灯消す、こちゃえ〳〵。
恋の品川女郎衆に袖ひかれ、乗掛(のりかけ)お馬の鈴ケ森、こちや大森細工の松茸を、こちゃえこちゃえ。
六郷渡りて川崎の万年屋、鶴と亀との米(よね)饅頭(まんじう)、こちや神奈川急いで程ヶ谷へ、こちゃえ〳〵。
痴話で口舌(くぜつ)は信濃坂戸塚前、藤沢寺の門前で、こちや止めし車は綱でひく、こちゃえこちゃえ。
馬入(ばにふ)渉りて平塚の女郎衆は、大磯小磯の客を引く、こちや小田原評議であつくなる、こちゃえ〳〵。
登る箱根のお関所で鳥渡(ちよと)まくり、若衆のものでは受け取らぬ、こちや新造ぢやないかと鳥渡三島、こちゃえ〳〵。
酒は沼津に腹鼓吉原で、富士の山川白酒を、こちや姉さんだしかけ蒲原へ、こちゃえこちゃえ。
愚痴を由比(ゆひ)出す薩陲坂(さつたざか)馬鹿らしや、搦(から)んだ口舌も興津(おきつ)川、こちや念じて恋名坂、こちゃえ〳〵。
江尻まで来て気は府中、それからは、泊りの宿も此処ときめ、こちや岡部で笑はゞ笑はんせ、こちゃえ〳〵。
藤枝(ふぢえだ)娘のしほらしや投島田、大井川へと抱きしめて、こちやいやでもおうでも金谷(かねや)せぬ、こちゃえ〳〵。
小夜(さよ)の中山夜泣石、日阪(につさか)の、名物蕨の餅を焼く、こちやだまして喰して掛川へ、こちゃえ〳〵。
袋井通りて見附られ、浜松の、木陰で舞坂まくりあげ、こちや渡しに乗るのは新井宿、こちゃえ〳〵。
御前(おまへ)と白須賀(しらすか)二川(ふたかは)の、吉田屋の、二階の隅で初(はつ)小袖、こちや互にお顔を赤阪藤川へ、こちゃえ〳〵。
岡崎女郎集のちん地鯉鮒(ちりふ)、よくお手の、鳴海染着て宮の浜、こちや焼蛤ぢやと鳥渡桑名、こちゃえ〳〵。
四日市には石薬師願をかけ、庄野(しようの)悪さを直さんと、こちや亀山薬師をふし拝む、こちゃえ〳〵。
互に手をとり急ぐ旅、こゝろ関、坂の下から見あぐれば、こちや土山躑躅で日を暮らす、こちゃえこちゃえ〳〵。
水口(みなくち)びるに紅をつけ玉揃ひ、どんな石部のお方でも、こちやたあぼに迷うでぐにや〳〵と、こちゃえ〳〵。
お前と私は草津縁ばちや〳〵と、夜の間に搗いたる姥(うば)が餅、こちや矢走(やばせ)大津で都入り、こちゃえ〳〵。
お前をまち〳〵夕暮れに、格子先、十時の時計の鳴る迄も、こちや辛いこと、待ちどほな、こちゃえ〳〵。
曇らば曇れ箱根山、晴れたとて、お江戸が見えるぢやあるまいし、こちやお江戸が見ゆるぢやあるまいし、こちゃえ〳〵。
お前はどんであんどんで、若いしゆに、かきたてられてとぼされて、こちやかきたてられてとぼされた、こちゃえ〳〵。
「こちゃえ節」替え (明治27年頃流行 駅次唄・替歌)
お前は浜のお奉公(ほうこ)さん、潮風に吹かれてお色が真黒(まつくろ)け、コチヤ構やせぬコチヤエコチヤエ。
ゆうべ舞子と添寝して、夜を明石(あかし)、けさの別れの悲しさに、アレ大久保駅に後を見る、コチヤエコチヤエ。 
「かっぽれ」   ←「住吉踊り」 (鳥羽節の囃子言葉)
(かっぽれ かっぽれ ヨーイトナ ヨイヨイ)
沖の暗いのに 白帆がぇ〜あ〜ェ見ゆる(ヨイトコリャサ)
あれは紀伊の国 ヤレコノコレワイサ(ヨイトサッサッサ) 
エーみかん船じゃえ(あ〜みかん船) みかん船じゃサーえ 見ゆる(ヨイトコリャサ)
あれは紀伊の国 ヤレコノコレワイノサ(ヨイトサッサッサ) エーみかん船じゃえ
(かっぽれ かっぽれ ヨーイトナ ヨイヨイ)
沖じゃわしがこと 鴎と云うがサ ヨ〜イヤサ(ヨイトコリャサ)
墨田川では ヤレコノコレワイサノサ(ヨイトサッサッサ) 都鳥(あ〜みやこどり)
都鳥サ ヨイヤサ(ヨイトコリャサ)
墨田川では ヤレコノコレワイサノサ(ヨイトサッサッサ) 都鳥
(サテかっぽれ かっぽれ ヨーイトナ ヨイヨイ)
ここはどこぞと 船頭しゅうに問えばサ ヨイヤサ(ヨイトコリャサ)
ここは屋島の ヤレコノコレワイノサ(ヨイトサッサッサ) 壇ノ浦じゃえ(あ〜壇ノ浦)
壇ノ浦じゃえ ヨイヤサ(ヨイトコリャサ)
ここは屋島のヤレコノコレワイノサ(ヨイトサッサッサ) 壇ノ浦じゃえ

かっぽれ かっぽれ ヨーイトナ ヨイヨイ
沖の 暗いのに 白帆が サー 見ゆる ヨイトコラサ
あれは 紀伊の国 ヤレコノ コレワイノサ ヨイトサッサッサ
蜜柑船じゃえ サテ 蜜柑船 蜜柑船じゃ サー 見ゆる ヨイトコラサ
あれは 紀伊の国 ヤレコノ コレワイノサ ヨイトサッサッサ
蜜柑船じゃえ サテ 豊作じゃ 満作じゃ 明日は 旦那の稲刈りで
小束に絡げて ちょいと投げた 投げた セッセ 枕に 投げた枕に
とがは無い オセセノ コレワイサ 尾花に 穂が咲いた この妙かいな
ねんねこせー ねんねこせ ねんねの お守りは 何処へ行った
あの山越えて 里へ行った 里のお土産(おみや)に 何もろた
でんでん太鼓に 笙の苗 寝ろてばよ 寝ろてばよ
寝ろてば 寝ないのか この子はよー 
「奴さん」
ハア コリャコリャ
エー 奴さん どちらに行く ハア コリャコリャ
旦那 お迎えに さても 寒いのに 供揃い
雪の降る夜も 風の夜も サテ お供は辛いね
いつも 奴さんは 高端折 アリャセ コリャセ
それも そうかいな エー
ハア マダマダ
エー 姐さん ほんかいな ハア コリャコリャ
きぬぎぬの 言葉も 交わさず 明日の夜は
裏の窓には 私独り サテ 合図はよいか
首尾をようして 逢いに来たわいな アリャセ コリャセ
そうも そうかいな エー ハアコリャ コリャ 
「二上り新内」
悪止め せずとも そこを離せ 明日の月日が 無いじゃなし
止める そなたの心より 帰るこの身は
エー まぁ どんなに 辛かろう
来ると そのまま 喧嘩して 背中合わせの 泣寝入り
「火の用心 さしゃりあしょう」
鉄棒(かなぼ)の音に目を覚まし 人の知らない  
エー まぁ 仲直りすりゃ 明けの鐘 
「縁かいな」
夏の納涼(すずみ)は両国の 出船 入船 屋形船
揚がる流星 星降り(くだり) 玉屋が取り持つ 縁かいな
   春の眺めは 吉野山 峰も谷間も爛漫と 一目 千本 二千本
   んー 花が取り持つ 縁かいな
秋の夜長を ながながと 痴話が昂じて 背中と背中(せなとせな)
晴れて 差し込むあげ障子 んー 月が取り持つ 縁かいな 
「松づくし」
唄い囃せや 大黒 一本目には 池の松 二本目には 庭の松
三本目には 下がり松 四本目には 志賀の松 五本目には 五葉の松
六つ昔は 高砂の 尾上の松や 曽根の松 七本目には 姫小松 
八本目には 浜の松 九つ 小松を植え並べ 十で 豊久能の伊勢の松
この松は 芙蓉の松にて なさけ有馬の 松ヶ枝に 口説けば なびく
相生の松 また いついつの約束を 日を松 時松 暮れを松
連理の松に契りをこめて 福大黒をみさいな 
「深川」
猪牙で行くのは深川通い
わたる桟橋の アレワイサノサ いそいそと
客の心は うわの空
飛んで行きたい アレワイサノサ 主のそば
坊さま二人で よし町通い
揚がるお茶屋は アレワイサノサ いそいそと
隣り座敷を眺むれば
差しつ押さえつ アレワイサノサ 狐けん 
「お座附三下り」
「三下がりさわぎ」
「五宿甚句」  
「羽村甚句(多摩甚句)」  
「藤八拳」 (とうはちけん・東八拳)
「金来節」 
すり鉢を 伏せて眺めりゃ 三国一の 味噌を駿河の 富士の山
 キビス ガンガン イガイ ドンス キンモクネンスノ スクネッポ
 スッチャン マンマン カンマンカイノ オッペラポーの金来来
 そうじゃおまへんか あほらしいじゃおまへんか (くり返し)
早撮りの ガラス写真を 裏から見れば 胸にゃ 浮気の虫がいる
浦里が 忍び泣きすりゃ みどリも共に もらい泣きする 明烏
千両箱 富士の山ほど 積んではみたが 冥土の土産にゃ なりゃしない  
「大島節」    ←「野増節」「お茶場節」 
私しゃ大島 御神火育ち(ヨ) 胸に煙は(ナ) 絶えやせぬ(ヨ)
つつじ椿は 御山(みやま)を照らす 殿の御船(みふね)は 灘照らす
男伊達なら 茅ヶ崎沖の 潮の早いを 止めてみろ
潮の早いは 止めよで止まる 止めて止まらぬ 色の道
乳ヶ崎沖まじゃ 見送りましょが それから先は 神だのみ
私しゃ大島 荒浜育ち 色の黒いは 親譲り
私しゃ大島 荒浜育ち 浪も荒いが 気も荒い
うつつ心で 柱にもたれて 起きていながら 主(ぬし)の夢
夢はよいもの 逢わせてくれる 夢でなければ 逢えやせぬ
胸に千把(せんば)の 茅(かや)焚くとても 煙出さなきゃ 主ゃ知らぬ
私しゃ大島 一重の桜 八重に咲く気は さらにない
今日のうれしさ 障子に書いて 開け閉(た)てするたび 思い出す
相模灘をば 両手で拝む 可愛い旦那ツ子の 乗るうちは
杉の若萌 みたよな殿御 人にとられて なるものか
私の人(男)でも ないのだけれど 誰かの人(男)にも したくない
強い お強い 為朝様も 島のあん娘(こ)にゃ 負けたもの
別れつらくも 帆を巻く朝は 涙流すな 波が立つ
いやなお方の 親切よりも 好いたお方の 無理がよい
客は千来る 万来る中で 私の待つ人 ただひとり
名こそ差さねど あの町にひとり 命かけたい 主(にし)がいる
沖を通るは ありゃどれ丸だ 外じゃあるまい 主(ぬし)の船
さくら丸には 用事はないが 乗ってる旦那っ子に 用がある
千両箱をば 山に積んでも いやなお方は 私しゃいやだ 
はだかはだしで 一文無しでも 主(ぬし)が良い
竹の一本橋ゃ 細くて長くて しなしな しのうて(しなって)危ないけど
 私とあなたと 二人で渡るにゃ 怖かない
お江戸離れて 南え三十六里(みそろくり) 潮の花散る 椿島 
お江戸恋しや 島なつかしや 橋をかけても 渡りたい
来てはとんとん 雨戸をたたく 心迷わす 西の風
九尺二間の 雨戸一枚と 私の心 あちら閉(た)てれば こちらが立たない 
 こちら閉てれば あちらが立たない 両方閉てれば 身が立たぬ
男心と 茶釜の水は 沸くも早いが 冷めやすい
お月さま たったひと言教えておくれ 主(ぬし)の夕べの 居どころを
野増村から 来い(恋)との手紙 行かじゃなるまい ひと先ずは
岡田みなとで ドンと打つ浪は 可愛い旦那ッ子の 度胸だめし
西も東も 南もいらぬ わたしゃあなたの 北(来た)がよい
「北も南も 東もいらぬ わたしゃやっぱり 西(主=にし)がよい」
なくて七癖 わたしのクセは 逢えば帰すが イヤなクセ
好きで通えば 千里も一里 いやで通えば 一里も千里
アワイ大浜 登りがなけりゃ 野増通いも 苦にゃならぬ
アンコ出て見ろ 三原の煙り いやなお方にゃ なびきゃせぬ
波浮と差木地じゃ 一里のちがい 主(ぬし)と私は 三つ違い
ほれた「ほ」の字は どう書きなさる まよった「ま」の字に ヘン(偏)がつく
逢えばさほどの 話しはないが 逢わなきゃ話しは 富士の山
逢った嬉しさ 別れのつらさ 逢って別れが なけりゃあよい
ガタガタ落としの つるべでさえも 水に合わなきゃ 返りゃせぬ
恋のつるべが 返らぬゆえに あなたの心が 汲みにくい
私の心が 竹なら木なら 割って見せたい 四つ割りに
小石(恋し)九つ 重石(想いし)一つ ままにならぬは 主(ぬし)ひとり
遠く離れて 逢いたい時は 月が鏡に なればよい
来てはくれるな ない名が立つに 来なきゃある名も 立ちゃせぬ
末の取り膳 たのしむよりも 当座抱き寝が してみたい
三原下ろしの 雪風よりも 主のひと言が 身にしみる
返事しかねて いろりの灰に 火箸で判らぬ 文字を書く
手紙千本 やりとりよりも 逢ってひと言 話したい
遠く離れりゃ 手紙が便り(頼り) どこの配達も 目にとまる
思い出すよじゃ 惚れよが薄い 思い出さずに 忘れずに
思い出させて 泣かせておいて どこにそれたか 今朝の風
思い出さでは 泣き暮らさでは いやで別れた 仲じゃない
思い出しては 写真を眺め なぜに写真は もの言わぬ
添われないから 来るなと言うても 来れば泣いたり 泣かせたり
親もよく聞け さて叔父叔母も いやな方とは 添われない
恋の病いを 親達ゃ知らず いやな薬を 飲め飲めと
東京育ちの 学生よりも 山で炭焼く 主(にし)がよい
船長さまより 機関長よりも 炊事(カシキ)あがりの 主(ぬし)がよい
親がくれなきゃ 逃げよじゃないか 逃げて添うのも 粋なもの
連れてゆくから 髪結いなおせ 世間島田で 渡られぬ
連れて逃げれば 戸籍がもめる 死ねば新聞 笑い草
思っちゃ見ちゃ泣き 見ちゃ思っちゃ泣き 葉書き四つ折り 書いちゃ泣き
キリギリス羽根で鳴くかよ セミや腹で鳴く わたしゃ主(にし)ゆえ 胸で泣く
島のアンコに 想いをかけて 月に三度の 島通い
髪の長さに つい魅かされて 誰も寄り来る 大島え 
島でなければ 鉄道架けて 一夜通いが してみたい
波浮の港は 巾着みなと 惜しいことには ひもがない
島と名がつきゃ どの島も可愛い 分けて利島(年増)は なお可愛い
お酒飲む人 しんから可愛い 飲んでくだ巻きゃ なお可愛い
三原御神火 名所のひとつ 野増村では 竜の口
明日はお立ちか お名残惜しや せめて波風 おだやかに
明日はお立ちか お名残惜しや 西の十日も 吹けばよいに
沖の荒波 風ゆえもめる わたしゃ主ゆえ 気がもめる
船がかすむと 磯から言えば 磯がかすむと 船で言う
義理に迫れば ウグイスさえも 梅を離れて ヤブで啼く
浮気ウグイス 梅をば捨てて 隣り屋敷の ヤブで鳴く
金のなる木を 庭木に植えて 可愛いあの子に ゆずりたい
松になりたや 乳ヶ崎松に 出船入船を 見て暮らす
松になりたや 岡田の松に 枯れて落ちても 二人連れ
松という字は 木ヘンに公(きみ)だ 君(公)に気(木)がなきゃ 待つ(松)じゃない
沖のかもめが もの言うならば 便り聞いたり 聞かせたり
椿花散りゃ 桜が笑う 次はつつじが 気を燃やす
島のアンコと 椿の花は そっとしておけ 手にとるな
山の椿は 真っ赤に燃えて 主の情けを 待つばかり
去年の今夜は 知らないお人 今年の今夜は 家の人
きょうは嬉しや 皆さんと一座 明日もこの手で 願います
きょうは嬉しや 皆さんと一緒 明日はどなたと 語るやら
飲んでおくれよ 騒いでおくれ きょうは我が家の 身の祝い
目出度めでたの 若松さまよ 枝も栄えて 葉も茂る
ここのお家は 目出度いお家 鶴と亀とが 舞い遊ぶ
ここのお屋根に ウグイスとめて 繁盛繁盛と 鳴かせたい
ここの座敷は 六畳め八畳 九畳(苦情)がないので 来ておくれよ
丸い卵も 切りよで四角 ものも言いよで 角が立つ
「殻も白身も オヘソもいらぬ 私しゃやっぱり 黄身(君)がよい」
唄を願います ○○ さんとやらに お気に召さずと 是非ひとつ
唄え十七 唄わず置いて 後で悔やむな 年老いて
唄いなされよ お唄いなされ 唄で器量は 下がりゃせぬ
唄え唄えと 攻めたてられて 唄は出ないで 汗が出る
主は百まで わしゃ九十九まで ともに白髪の 生えるまで
七転び八起きの浮世に 心配するな 牡丹もコモ着て 冬ごもる
お酒飲む人 花ならつぼみ 今日も咲け咲け 明日も酒
私しゃ大島 雨水育ち 胸にぼうふらは 絶えやせぬ
置いてゆくだな つぼみの私 後で咲くとも 主(にし)や知らぬ
花の大島 岡田の港 椿咲くぞえ 実も結ぶ
年は寄り来る 山道や茂る 人の情けも 薄くなる 
沖にちらちら 航海ランプ 主(ぬし)もいるずら あの船に
色で迷わす 西瓜でさえも 中にゃ黒(苦労)の タネがある
月を眺めて ほろりと涙 あの星あたりが 主(ぬし)の空よ
月が出たなら 私と思え 私しゃ主(ぬし)だと 手で拝む
沖を流れる 炭スゴさえも 鳥に一夜の 宿を貸す
今年ゃこれきり また来年も 都合つけては 逢いにくる
心意気さえ 届いていれば 逢うにゃ五年に 一度でも
苦労する身は 細書きに いのちゃお前に かけすずり
行って来いやい 四合の山に せめて十日も いたらこい
先の出ようで 鬼とも蛇とも なるよ神とも 仏とも
私ゃローソク 芯から燃える あなたランプで 口ばかり
主(ぬし)を待つ待つ 月日を忘れ うぐいす鳴くから 春じゃやら 
神奈川

 

「相州神輿甚句」 
私ゃ茅ケ崎 荒波育ち  波も荒けりゃ 気も荒い
注いだ盃  中見てお呑み 中にゃ鶴亀 五葉の松
惚れて通えば 相模の橋も 長い廊下と 諦める
白鷺みたよな お方に惚れて 烏みたいに 苦労する
娘十七・八 蝶々がとまる とまるはずじゃよ 華じゃもの
花が蝶々か  蝶々が花か 咲いてチラチラ 迷わせる
神輿担ぐような  いなせな いなせな 姉さんと ともに苦労がしてみたい
色で売り出す 西瓜でさえも 中にゃ苦労の 種がある
信州信濃の 新蕎麦よりも 私ゃあなたの 側がいい
神仏
好いた御方と 添えたい為に
一で相州一之宮  
二で日光の東照宮さん
三で讃岐の金毘羅さん  
四また信濃の善光寺
五つ出雲の大社
六つ村村鎮守様
七つ成田の御不動さん
八つ八幡の八幡さん
九つ高野の弘法さん
十で東京で名高い招魂社
これだけ心願かけたのに 好いた御方と添えぬなら 神や仏はいらぬもの
嫁入り
娘十七・八  嫁入りざかり 箪笥・長持・鋏箱
これだけ持たせてやるからにゃ 二度と戻ると思うなよ
そこで娘の言うことにゃ 
父(とと)さん母(かか)さんそりゃ無理よ まして私は嫁じゃもの
縁があったら戻らぬが 西が曇れば雨とやら 東が曇れば風とやら
千石積んだる船でさえ 港出る時ゃまともでも 波風荒けりゃ又戻る

娘十七、十八嫁入りざかり タンス長持ちハサミ箱
これだけ持たせてやるからにゃ 二度と戻ると思うなよ
父さん母さんそりゃ無理だ 
西が曇れば雨とやら 東が曇れば風とやら
千石積んだる舟でさえ 波風荒けりゃヨー また戻る
坂田山心中
大磯名代は 春は花咲く坂田山  秋は紅葉のその中で 
聞いてくだされ皆様よ 五郎さんと八重子さんの物語 
東京静岡その中で なるほど遠い仲なれど
汽車の線路じゃあるまいし 恋と言う字を墨で書き 
愛と言う字は筆で書く たとえ両親(ふたおや)許さぬも 
神や仏が許すもの 死んで花実が咲くものか

春に花咲く坂田山 秋は紅葉のその中で 
聞いて下さい皆様よ 五郎さんと花子さんの物語 
東京静岡その中で いかにも遠い仲なれど
愛という字は筆で書き 恋という字は墨で書く
例え両親許さずも 二人の心があったなら
神や仏が許すのも 死んでー花見がヨー咲くじゃなし

赤羽根山から  近場を見れば 西に大山一のもん 
東のお方を眺めれば  相模の海に江ノ島と 遥か遠くに大島と  一際目立つ烏帽子岩
西の大空見てやれば 日本一の富士の山 眺めよければ実も多い
義理と人情の厚いとこ これぞおいらの故郷の村

頃は六月  頃は六月田植え時
姉は妹に負けまいと 妹は姉に負けまいと 
一生懸命に田植えする
すると遥か向こうの彼方より 一羽の穴蜂飛んできて  
妹のおそそにチョイト留まる
姉さん穴蜂とってくれ 穴蜂取るは良いけれど 
昔偉人の言うことにゃ 穴蜂ゃ他人の手にかかる

頃六月田植え時 姉と妹が田植えする
姉は妹な負けまいと 一生懸命バチ飛んできて
妹のオツムにちょいと止まる 姉ちゃん姉ちゃん取ってくれ
取ってやるのは良いけれど 
昔の偉人の言うことにゃ 穴バチゃー他人の手にかわる

惚れた病を  惚れた病を治すには  
六畳一間の真中に 六枚屏風を立て並べ
二つ枕に三つ布団 スイッと入れたるその時にゃ 
貴方上から下がり富士 私ゃ谷間の百合の花
足は絡ませ藤の蔓 お手手しっかり抱き茗荷 口は水仙よ玉椿 
エッサホイサの掛け声で  一汗かかねば治りゃせぬ

惚れた病を治すには
六畳一間の真中で 六枚屏風を立て並べ
二つ枕に三つ布団
好いて入れたるその時は 足でからめて膝のつる
お手手ぴったり抱きしめて 汗は水仙玉椿
エッサホイサのかけ声で ひと汗かかねばヨー なおりゃせぬ

相州茅ケ崎 茅ケ崎名物 左富士 上り下りの東海道
松の緑に吹く風は 昔も今も変わらねど
富士の高嶺と男伊達 相模おのこの晴れ姿

思い寄せても  届かぬ恋は
たかが漁師の子倅が 及ばぬ恋の滝登り
私ゃ浮気で言うじゃない ほんに貴方がすきなのよ

どこで染めたか 船頭衆の浴衣
せなに帆を上げ裾に波 錨という字の紋をつけ どこの質屋に入れたやら
相模の川へ流すとも 錨おろせばながりゃせぬ

さてはこの場の 皆様方よ
年の初めの新玉の 松を楽しむ正月や
二月に咲いたる梅の花
三月盛りの八重桜
四月上より下がり藤
五月の梅雨に咲く花は 菖蒲名代に杜若
六月牡丹に蝶が舞う
七月野原に咲く萩に 
照らす八月たもと脱ぎ
心地よく見る九月菊
十月紅葉に鳴く鹿の
十一月の垂れ柳
小野道風じゃないけれど  蛙見つめりゃ切りがない  

年の初めの新玉や 松を楽しむ正月や
二月に咲いたる梅の花
三月盛りの八重桜
四月は上から下がり藤
五月の梅雨に咲く花は あやめの名代にかきつばた
六月牡丹に蝶が舞う
七月空に咲く藪に
八月蜂刺すタンコ切り
今年よく見る九月菊
十月紅葉に鳴く鹿の
十一月の枯れ山に
踊る坊主じゃないけれど ほんにめでたや皆の衆

恵比寿大国福の神
睦月祝って鶴が舞う
梅に鶯如月の
弥生桜に酒の汲み
卯月踊る若鮎が
流れに挑む伊達姿
八十八夜の五月晴れ
芍薬牡丹に水無月の
蛍飛び交う文月の
葉月日照りに雨乞いの
長月実りの秋祭り
月が招く神無月
傘させ裾させ霜月よ
藪の富士の伊達姿
松を恋しとよ雪化粧
「茅ヶ崎甚句」 
私しゃ茅ヶ崎荒波育ち 波も荒けりゃ気も荒い
茅ヶ崎名物茅ヶ崎名物 左富士 
上り下りの東海道 松の緑と吹く風は
昔も今も変わらねど 富士の高根と男伊達
相模おのこの晴れ姿
好いた お方と 添いたいために
一で相州一ノ宮
二で日光の東照宮
三で讃岐の金毘羅さん
四又 信濃の善光寺さん
五つ出雲の大社
六つ村々鎮守さま
七つ成田のお不動さん
八つ八幡の八幡さん
九つ高野の弘法さん
十で東京の名高い招魂社
これだけ神願掛けたのに 好いたお方と
添えぬなら 神や仏は要らぬもの
「箱根八里」
箱根の山は、天下の嶮(けん)
函谷關(かんこくかん)も ものならず
萬丈(ばんじょう)の山、千仞(せんじん)の谷
前に聳(そび)え、後方(しりへ)にささふ
雲は山を巡り、霧は谷を閉ざす
昼猶闇(ひるなほくら)き杉の並木
羊腸(ようちょう)の小徑(しょうけい)は苔(こけ)滑らか
一夫關に当たるや、萬夫も開くなし
天下に旅する剛氣の武士(もののふ)
大刀腰に足駄がけ
八里の碞根(いはね)踏みならす、
かくこそありしか、往時の武士
   箱根の山は天下の岨
   蜀の桟道數ならず
   萬丈の山、千仞の谷
   前に聳え、後方にささふ
   雲は山を巡り、霧は谷を閉ざす
   昼猶闇(ひるなほくら)き杉の並木
   羊腸の小徑は、苔滑らか
   一夫關にあたるや、萬夫も開くなし
   山野に狩りする剛毅のますらを(益荒男)
   猟銃肩に草鞋(わらぢ)がけ
   八里の碞根踏み破る
   かくこそありけれ、近時のますらを 
「野毛節」「野毛山節」「ノーエ節」 
代官山からノーエ 代官山からノーエ 代官サイサイ
山から異人館をみれば
ラシャメンと二人でノーエ ラシャメンと二人でノーエ ラシャメンサイサイ
抱えて 赤いズボン
   代官山からノーエ 代官山からノーエ 代官サイサイ
   山から蒸気船をみれば
   太い煙突ノーエ 黒い煙りがノーエ 黒いサイサイ
   煙りが 横に出てる
秋の演習はノーエ 秋の演習はノーエ 秋のサイサイ
演習は白黒二軍
白黒二軍はノーエ 白黒二軍はノーエ 白黒 サイサイ
二軍は 演習が終わる
   野毛の山からノーエ 野毛の山からノーエ 野毛のサイサイ
   山から異人館を見れば
   鉄砲かついでノーエ 鉄砲かついでノーエ お鉄砲 サイサイ
   かついで 小隊進め
オッピキヒャラリコノーエ オッピキヒャラリコノーエ オッピキサイサイ
ヒャラリコ 小隊進め
チーチーガタガッテノーエ チーチーガタガッテノーエ チーチーガ サイサイ
ガタガッテ 小隊進め  
「お茶場節」 
野毛山の鐘がゴンとなりゃ ガス灯が消える 
早くゆかなきゃ カマがありません。

朝は早くから弁当箱さげて お茶場通いも意気なもの
お茶場やっこらせで稼いだ天保
みんなお前でチャッチャムチャ
鬼の三番仏の五番 なさけ知らずの六〇番  
 
中部

 

山梨
「秋山甚句」
ハー 出たよ出ましたよ 踊り子さんが出たよ あれが秋山の 色男
ねじり鉢巻 誰にも似せる わけてあなたにゃ なお似せる
今夜この座は めでたい座敷 鶴が酌して 亀が飲む
わたしゃ野に咲く 一重の桜 八重に咲く気は さらにない
咲いた桜に なぜ駒つなぐ 駒が勇めば 花が散る
咲いた花より 咲く花よりも わたしゃあなたを 花と見る  
「吉野甚句」 
勝瀬河原に 大蛇が住もうが 吉野通いは 止められぬ
吉野通いを 止めよとすれば おいで来なよの 文がくる
「縁故節」    ←「えぐえぐ節」 
サーサえごえごサーサ
えごえごじゃがたら芋ァえごいね(アラセ コラセ) 
 土のかからぬことァ 土のかからぬとこァ もっとえごいションガイナ
うたう乙女に刈りこめられて 馬の背で鳴くきりぎりす
かじかほろほろ釜無川だよ かねがなります七黒岩
白須白菊台ケ原小菊 三吹とっぱずれのばらの花
来たら寄っとくれよ穂坂の村に 今は米麦繭の場所

縁で添うとも 縁で添うとも 柳沢いやだョ (アリャセー コリャセー)
女が木を切る 女が木を切る 茅を刈る ションガイナー
河鹿ほろほろ 釜無下りゃョ 鐘が鳴ります 七里岩
駒の深山で 炭焼く主は 今日も無事だと 白煙
主は釜無 わしゃ塩川よ 末は富士川 深い中 
歌う乙女に 刈り込められて 馬の背で泣く キリギリス
甲州名物 水晶にぶどう 南瓜ぼうとうに あらんかかあだ 
香りゃスズラン 色ならツツジ 甲州初夏 甘利山 

縁で添うとも 縁で添うとも柳沢およしヨ アリャセコリャセ 
女が木を伐る 女が木を伐る萱を刈る ションガイナ
   縁の切れ目に 縁の切れ目にこのボコできて アリャセコリャセ 
   このボコ異なボコ このボコ異なボコ縁つなぎ ションガイナ
甲州出がけの 甲州出がけの吸付煙草 アリャセコリャセ 
涙湿りで 涙しめりで火がつかぬ ションガイナ
   うたう乙女に うたう乙女に刈こめられて アリャセコリャセ 
   馬の背で鳴く 馬の背で鳴くきりぎりす ションガイナ

縁で添うとも 縁で添うとも 柳沢いやだョ (アリャセーコリャセー)
女が木を切る 女が木を切る 茅を刈る ションガイナー (アリャセーコリャセー)
河鹿ほろほろ 河鹿ほろほろ 釜無下りゃョ (アリャセーコリャセー)
鐘が鳴ります 七里岩 ションガイナー (アリャセーコリャセー)
駒の深山で 駒の深山で 炭焼く主は (アリャセーコリャセー)
今日も無事だと 白煙 ションガイナー (アリャセーコリャセー)
主は釜無 主は釜無 わしゃ塩川よ (アリャセーコリャセー)
末は富士川 深い中 ションガイナー (アリャセーコリャセー)
歌う乙女に 歌う乙女に 刈り込められて (アリャセーコリャセー)
馬の背で泣く キリギリス ションガイナー (アリャセーコリャセー)
甲州名物 甲州名物 水晶にぶどう (アリャセーコリャセー)
南瓜ぼうとうに あらんかかあだ ションガイナー (アリャセーコリャセー)
香りゃスズラン 香りゃスズラン (アリャセーコリャセー)
色ならツツジ 甲州初夏 甘利山ションガイナー (アリャセーコリャセー)
「えぐえぐ節」
サーサえごえご サーサえごえご じゃがたら芋ァえごいね (アラセコラセ)
土のかからぬことァ 土のかからぬとこァ もっとえごい (ションガイナ)
うたう乙女に うたう乙女に 刈りこめられて (アラセコラセ)
馬の背で鳴く 馬の背で鳴く きりぎりす (ションガイナ)
かじかほろほろ かじかほろほろ 釜無川よ (アラセコラセ)
かねがなります かねがなります 七黒岩 (ションガイナ)
白須白菊 白須白菊 台ケ原小菊 (アラセコラセ)
三吹とっぱずれの 三吹とっぱずれの ばらの花 (ションガイナ)
来たら寄っとくれよ 来たら寄っとくれよ 穂坂の村に (アラセコラセ)
今は米麦 今は米麦 繭の場所 (ションガイナ)
「えぐえぐ節」
アー エグエグエグ 
さあさえぐえぐ じゃがたらいもは えぐいね アリャセ〜コリャセ〜
土のかからんとかあ もっとえぐい ションガイネー
アーもっとえぐい 土のかからんとかあもっとえぐい ションガイネー
アー エグエグエグ
切れてくりょなら 切れてもやるが アリャセ〜コリャセ〜
それえじゃ苦労した 甲斐もない ションガイネー
アー甲斐が無いそれじゃ苦労した 甲斐がな〜い ションガイネ〜
アーエグエグエグ 
お月ちょろり出て 山の峰照らす アリャセ〜コリャセ〜
娘十八里照らす ションガイネー
あー里照らす娘十八里照らす ションガイネ〜 
「どっこいしょ節」
どっこいどっこい節ゃ どこから流行る 
西部中牧にしぶなかまき 諏訪三富すわみとみ どっこいしょ
(そうだまったくだよ 嘘じゃない どっこいしょ)
来たら寄っとくれんけ 大獄山だいたけさんのふもと わしの生まれは 赤の浦
わしの心と 塩山山えんざんやまは ほかに木はない 松ばかり
ここが安田の 義定公よしさだこうの 建てた普門寺ふもんじ 薬師寺やくしでら
落としやしたよ 八幡やわたの橋に 水に桔梗ききょうの 手ぬぐいを
踊り踊って もらい手がなけりゃ 行きやす奥仙丈おくせんじょうの 炭背負すみしょいに 
「楮(かぞ)ち唄」
楮草打ちに たのまれて 打つもいや 打たぬも義理の わるさや
オーヤレヤレヤレヤレ ソウダヨ ソウダヨ ハ ドッコイサノサ ト
紙屋で楽は 何が楽 糊すりと 楮草引きが一楽
芦川土手が 切れたなら 市川じゃ 紙漉き船で 漕ぎ出す
七月過ぎて 盆過ぎて 市川の 花火の場所で 会いやしょ
漉いた肌吉 送る時ゃ 小口印 御用御用で 江戸まで 
「西島の紙漉き唄」
ハー 紙はョ大切 紙商売はョ 神にはなれず (マタホイ エへへ オホホ) 
紙を漉くョ (シャリンシャリン)
今朝の一槽や じゃみじゃみしたが 次の槽から とろとろと
可愛い男に 紙漉きさせて そばで紙はり してみたい
紙漉きさんだと 言うから惚れた 後で聞いたら 下回り
男振りより 紙漉き振りに 惚れて来るのが 福の神
世辞じゃないけど あなたのま紙は お手をたたけば パラパラと
お里自慢を するのじゃないが 西島よいとこ 紙(神)の里 
「奈良田麦搗き唄」
なんぼ搗いても この麦ゃむけぬ (ハイハイ) これはお蔵の 下積みよ 
お蔵のこれは これはお蔵の 下積みよ (ハイハイハイ)
早くこの麦ょ 搗きあげてたもれ (ハイハイ) 忍び夜夫が 門に立つ
忍び夜夫が 忍び夜夫が 門に立つ (ハイハイハイ)
会えば左程の 話もないが (ハイハイ) かげの思いを 知らせたい
かげの思いを かげの思いを 知らせたい (ハイハイハイ) 
「長沢音頭」
連れて逃げてもョ 長沢越せぬ ドッコイサー
手形なければョ 関所破り ドッコイサ ドッコイサ ドッコイサノサ
佐久へ越すなら 長沢泊まり 行けば広野で たそがるる
花に紅葉に 眺めのあかね 甲斐と信濃の 国境
里に菜種の 花咲くころも 雪にうもるる 八ヶ岳
主は馬方 信州通い 案じられます 念場ヶ原
主は西から 私ゃ東から 会えてうれしや 須玉川 
静岡

 

「下田節」 
伊豆の下田に長居はおよし 縞の財布が輕くなる
下田の沖にPが四つ 思ひ切るPに切らぬPに 
取るPに遣るPが ないわいな
   相模東北風で石廊崎や西風よ
   間の下田が南の風 千日千夜逢わずとも
   先さえ心が変わらなきゃ なんで私が変わろうぞ
   日々に思いが ますわいな 
「ちゃっきり節」
唄はちゃっきり節 男は次郎長 花は橘 夏はたちばな 茶のかおり
(囃子)「ちゃっきりちゃっきり ちゃっきりよ きゃーるがなくんで 雨づらよ」
茶山茶所 茶は緑どころ ねぇね いかずか やあれ行かずかお茶つみに
さあさ行こ行こ 茶山のはらに 日本平の 山の平の お茶つみに
お山見れ見れあの笠ぐもを ねぇね 来て出や 今朝は着て出や 菅の笠  
「農兵節」   ←「野毛山節」「ノーエ節」  
富士の白雪ゃノーエ 富士の白雪ゃノーエ 富士のサイサイ 白雪ゃ 朝日でとける
溶けて流れてノーエ 溶けて流れてノーエ 溶けてサイサイ 流れて 三島にそそぐ
三島女衆はノーエ 三島女衆はノーエ 三島サイサイ 女郎衆は お化粧が長い
お化粧長けりゃノーエ お化粧長けりゃノーエ お化粧サイサイ 長けりゃ お客が困る
お客困ればノーエ お客困ればノーエ お客サイサイ 困れば 石の地蔵さん
石の地蔵さんはノーエ 石の地蔵さんはノーエ 石のサイサイ 地蔵さんは 頭が丸い  
長野

 

「木曽甚句」 (「中津甚句」)   ←「農兵節」「野毛山節」
木曽のナー御岳 夏でも寒い ヨイソレ 袷しょやりたや足袋そえて
私しゃナー奥山 一重のさくら 八重に咲く気は更にない 
木曽のヤー名木 ヒノキにサワラ ネズやにスヒに コウヤマキ
木曽のヤー山寺 今鳴る鐘は 昔乍の初夜の鐘
お前ナー百まで 私しゃ九十九まで 共に白髪の生えるまで
月はナー傾く 夜は深々と 館やかたで鳥が啼く

盆がエー 来たぞエ お寺の庭の ヨイソレ 石の燈籠に火があかる
来いと七声 来るなと八声 後の一声きにかかる
思いこんだよ 添わせておくれ 神も仏も親様も
神も仏も 添わせるというに 添わせないのよ両親が
出せよと云われて ぶらりと出した それでないのよ唄だもの
心なあ意気さえ 描いておれば 逢うは五年に一度でも
心細いよ 木曽路の旅は 笠に木の葉が舞かかる
男伊達なら この木曽川の 流れくる水止めて見ろ 
流れくる水 とめても見しょうが 止めて止まらぬ色の道
親の意見と なすびの花は 千に一つの無駄はない
三里笹山 二里まつばやし 嫁ごよく来た五里の道
お月や傾く 夜はしんしんと 館々にとりがなく
日暮れ草刈り 寂しゅうてならぬ 鳴けよ草野のきりぎりす
草を刈るとも ききょうは残せ ききょう女子の緑の花  
「木曽節」
木曽のナー 中乗りさん 木曽の御岳 ナンジャラホーイ
夏でも寒い ヨイヨイヨイ ヨイヨイヨイノ ヨイヨイヨイ
袷よナー 中乗りさん あわしょやりたや ナンジャラホーイ
足袋よそえて ヨイヨイヨイ
   心ナー 中乗りさん 心細いよ ナンジャラホーイ
   木曽路の旅は ヨイヨイヨイ ヨイヨイヨイノ ヨイヨイヨイイ
   笠にナー 中乗りさん 笠に木の葉が ナンジャラホーイ
   舞かかるよ ヨイヨイヨイ
木曽の桟太田の渡し 鳥井峠が無けりゃ良い
   木曽のナー 中乗りさん 木曽の名木 ナンジャラホーイ
   ヒノキにサワラ  ヨイヨイヨイ ヨイヨイヨイノ ヨイヨイヨイ
   ネズにー 中乗りさん ネズやにスヒに ナンジャラホーイ
   コウヤマキ ヨイヨイヨイ
木曽の名物 お六の櫛は 解きし前髪 止めにさす  

木曽のナー ナカノリサン
木曽の御嶽さんは ナンジャラホイ
夏でも寒い ヨイヨイヨイ
袷ナー ナカノリサン
あわせやりたや ナンジャラホイ
足袋を添えて ヨイヨイヨイ (ヨイヨイヨイノ ヨイヨイヨイ)
   袷ナー ナカノリサン
   袷ばかりは ナンジャラホイ
   やられもせまい ヨイヨイヨイ
   襦袢ナー ナカノリサン
   襦袢仕立てて ナンジャラホイ
   足袋を添えて ヨイヨイヨイ
木曽はナー ナカノリサン
木曽はよいとこ ナンジャラホイ
よいとこづくで ヨイヨイヨイ
梅はナー ナカノリサン
梅はにおいよ ナンジャラホイ
桜は色よ ヨイヨイヨイ  

木曽の御岳夏でも寒い 袷しょやりたや足袋よそえて   
心細いよ木曽路の旅は 笠に木の葉が舞かかるよ
木曽の名木ヒノキにサワラ ネズやにスヒに コウヤマキ   
踊りませうず踊りませうず 月の山端にかぎるまで
君が田と股吾が田とならぶ 同じ田の水 蛙ならび      
木曽の名所は桟寝覚め 山で高いのは御嶽山(みたけやま)
三里笹山二里まつばやし 嫁ごよく来た五里の道      
木曽の深(ミ)山に伐る木はあれど 思い切る木(気)は、更に無い
月は傾く夜は深々と 館やかたで鳥が啼く       
木曽の桟太田の渡し 鳥井峠が無けりゃ良い
男伊達ならこの木曽川の 流れくる水止めて見ろ      
主に分かれて松原行けば 松の露やら涙やら
私しゃ奥山一重のさくら 八重に咲く気は更にない     
主のこころとおんたけ山の 峰の氷はいつ溶ける
 
こぼれ松葉を手でかき寄せて 主のおいでを焚いて待つ     
女乍もまさかの時にゃ 主にかわりて玉だすき
木曽の山寺今鳴る鐘は 昔乍の初夜の鐘         
盆が来たぞえお寺の庭の 石の燈籠に火が灯る
木曽で生まれた中乗りさんが 可愛がられて都まで       
主を慕うて此の木曽川に 浮き名流した事もある
臼の軽さよ相手のよさよ 相手変わるないつまでも     
泣くな嘆くな日影の紅葉 いくら泣いても陽(ヒ)はささぬ
好いた主さと夏吹く風を ちょいと入れたや我が部屋に   
木曽へ木曽へと風ふくしまの 夏はよいとこ住みよかろ
人に情けと冬田の水は 末を思わばかけて置け      
声はすれども姿は見えぬ あれは草場のキリギリス
来いと云われて行くその夜さの 足の軽さよそのうれしさよ    
行けば初夜なる帰れば森の 明けの烏が啼いて立つ 
「伊那節」 (正調伊那節)
天竜下れば しぶきに濡れる 持たせやりたや 持たせやりたや 桧笠
木曽へ木曽へと つけ出す米は 伊那や高遠の 伊那や高遠の お蔵米
木曽へ木曽へと つけ出す米は 伊那や高遠の 伊那や高遠の 涙米
涙米とは そりゃ情けない 伊那や高遠の 伊那や高遠の 余り米
桑の中から 小唄がもれる 小唄聞きたや 小唄聞きたや 顔見たや
わしが在所の 伊那路の春は 峰に白雪 峰に白雪 里に花
私ゃ伊那の里 谷間の娘 蚕こわがる 蚕こわがる 子は生まぬ
東仙丈 西駒ヶ岳 間を流れる 間を流れる 天竜川
東ゃ赤石 西駒ヶ岳 間を流れる 間を流れる 天竜川
遥か向こうの 赤石岳に 雪が見えます 雪が見えます ほのぼのと
伊那は夕焼け 高遠は小焼け 明日は日和か 明日は日和か 繭売ろか
見たか聞いたか 聞いたか見たか 伊那の伊那節 伊那の伊那節 手踊りを
諏訪の湖水を 鏡にかけて 雪で化粧する 雪で化粧する お月さん
心細いよ 木曽路の旅は 笠に木の葉が 笠に木の葉が 舞いかかる
天竜二十五里 紅葉のなかを 舟がぬうぞえ 舟がぬうぞえ 糸のせて
秋がすんだら 呼ばれていかず 嫁の見立ての 嫁の見立ての 村祭り
わしが心と 御岳山の 胸の氷は 胸の氷は いつとける
胸の氷は 朝日でとける 娘島田は  娘島田は 寝てとける
一の枝より 二の枝よりも 三の小枝が 三の小枝が 陰をなす
遠い道だに よく来てくれた さぞや濡れつら さぞや濡れつら 豆の葉で
嫁はニコニコ 夕げの支度 掻いたお繭に 掻いたお繭に 月がさす
信州名物 数ある中に 忘れしゃんすな 忘れしゃんすな 伊那節を
(与地の伊那節)
権兵衛峠の 馬子唄聞けば 過ぎし(オヤ)昔が 過ぎし昔が 偲ばれる
権兵衛峠は 怖くはないが 木曽の番所が 木曽の番所が わしゃ怖い
高遠城址の 桜が散れば 鳴くよいろくの 鳴くよいろくの ホトトギス
松になりたや 峠の松に 上り下りの 上り下りの 手掛け松
こぼれ松葉を 手でかき寄せて 主のおいでを 主のお出でを 焚いて待つ
(富県伊那節)
目出度目出度の 若松様よ 枝(オヤ)も栄える 枝も栄える 葉も茂る
東ゃ高烏谷(たかずや) 西ゃ駒ヶ岳 間を流れる 間を流れる 天竜川
伊那の名所は 高烏谷山よ 春は鈴蘭 春は鈴蘭 秋は萩
伊那はよいとこ いつ来てみても 三味や太鼓の 三味や太鼓の 音がする
花の名所は 尾花が崎よ 月は円山 月は円山 常円寺 
「長久保甚句」 (「長窪甚句」)
長久保よいとこ いつ来て見ても ア エッサー
 嬶天下に屋根の石 ア エッササー
和田の峠が 海なら良かろ 可愛主さんと 船かせぎ
青葉がくれに 浅間が見ゆる 笠取り越えゆく 馬子の唄
長い長久保 流れて焼けど 可愛あの娘が 残りゃ良い
川は浅いが 情けは深い 覗いてごらんよ スノコ橋
長久保良いとこ 板屋根造り 変わら(瓦)ないから 来ておくれ
「坂木甚句」 (長野県埴科郡坂城町)
ハァー坂木よいとこ(ヨーヨー)  御天領育ち(サッサーイ)
 昔ゃお品で 長羽織 (キタサッサ ヨイサッサ)
坂木よいとこ いつ来てみて  三味線や太鼓の 音ばかり
浅い川なら 膝までまくる  深くなるほど 股を出す
あなた百まで わしゃ九十九まで  ともに白髪の 生えるまで
惚れて通えば 千里も一里  会わずに帰れば また千里
お嬶とってくれよ 朝草刈りに  一駄ン刈る草 二駄ン刈る
この家屋形は 目出度い屋形  鶴と亀とが 舞い遊ぶ
さあさ皆さま お歌いなされ  唄で御器量が 下がりゃせぬ
この家座敷で 歌わぬ人は  男よいのか 気取るのか
一夜一夜に 枕が変わる  枕変わらぬ 床欲しや
昨夜したせいか 頭が痛い  二度とやるまい 箱枕
無銭客(おけら)返せば また来るおけら  今年ゃおけらの 大当り
烏鳴け鳴け あの町の屋根で  嫁に行かずに 婿にしず
坂木照る照る 追分曇る 花のお江戸は 雨が降る
わたしの心と 横吹山は  外に木(気)はない 松(待つ)ばかり
送りましょうか 送らせましょか  せめて四ツ屋の 清水まで
坂木出抜けて 四ツ屋の清水  飲んで別れた こともある
千曲川さえ 竿さしゃ届く  なぜに届かぬ 我が思い
坂木坂木と 来てみれば 西も東も 山ばかり
坂木よいとこ 昔は宿場  加賀のお槍の 通り道
坂木よいとこ 汽車さえ停まる  若い衆泊まるも 無理はない
ここは御天領 宿場の町よ  加賀のお槍の 通り道
葛尾山見りゃ 恋してならぬ  ことにあの娘が いるじゃもの
坂木遊郭 なれどやでも あの娘ひとりは 残したい
北に葛尾 西には千曲 中に栄ゆる 坂木里
北に聳ゆる 葛尾山は  昔村上 お城跡
昔御天領で 栄えた宿は  今も甚句で 賑わしや
昔御天領 坂木の里は  肩で風切る 長羽織
山じゃ葛尾 川では千曲  里の坂木は 蚕処
坂木よいとこ お蚕処 娘やりたい 桑摘みに
遊郭の 梯子段をば ストトントンと  登る心地で 暮らしたい
あの声で とかげ食うかや 山時鳥  人は見かけに よらぬもの
ひやかしが 雨に降られて 梯子に座り  煙草つけろと ぬかしゃがる  
「天屋節」   ←(田植え歌) 
アー 天屋わかいしょに 逢うならよかろ ア ヨイヨイ 花の三月 泣き別れ
搗けや若いしゅ 気を出して ア ヨイヨイ 唄はやめまい 夜明けまで
天屋さまとは 知らずと惚れた ア ヨイヨイ 花の三月 泣き別れ
花の三月 泣き別れでも ア ヨイヨイ またも逢います 十二月
聞いておくれよ 昔も今も ア ヨイヨイ お国自慢の 天屋節

ハア〜 寒い風だよ 武川の風は イヨーヨト
ひやりひやりと ヨー 身に沁みる ハア〜 ドッコイ ドーダイ
   天屋商売 乞食にゃ劣る イヨーヨト
   乞食ゃ夜寝て 昼稼ぐ ハア〜 ドッコイ ドーダイ
零下十五度 草つく杵の イヨーヨト
音も凍るよ 天屋節 ハア〜 ドッコイ ドーダイ
   天屋小僧に 惚れるな女子 イヨーヨト
   花の三月 泣き別れ ハア〜 ドッコイ ドーダイ
天屋小僧と 軽蔑するな イヨーヨト
家に帰れば 若旦那 ハア〜 ドッコイ ドーダイ
   暑い寒いも 気の迷い イヨーヨト
   寒中河鹿は 水の中 ハア〜 ドッコイ ドーダイ  
「塩名田節」
塩名田名所は千曲川 次に名所は滝の水
駒形様の厄落とし 涼味豊かな中津橋
   浅間の煙が絶ゆるとも 千曲の流れが涸るるとも 
   わたしとあなたは青松葉 枯れて落ちても二人連れ
秋の日脚は御牧ヶ原 落ちて夕焼けほのぼのと 
織るか紅葉にお滝の水は 心浮き立つ黄金色
   千曲ほとりの塩名田は 雪月花を友として 
   暮らせど夜半のねやさびし 鳴いてくれるなほととぎす
北浅間南蓼科八ヶ岳 合いを流るる千曲川 
山と川との気を受けて 進めよ勇め佐久男児
   塩名田名所を数うれば 簗場筏場滝明神 
   厄除け駒形色稲荷 涼み月見の中津橋
塩名田帰りの千鳥足 もはや我が家が近くなる 
女房起きろよ戸を開けろ 開けなきゃ塩名田へ逆戻り
「塩名田甚句」 
昔ゃ塩名田 関所と同じ 手形で通す 筏越し
お滝出口の お不動様は 主と私の 守り神
千曲河原の あの月見草 晩の疲れで 昼寝する
塩名田見せたい 都の人に いつも島田の 花盛り
私の心と 浅間の山は 胸に煙の 絶えがない
千曲川さえ 竿さしゃ届く なぜに届かぬ 我が思い
男伊達なら 川止めさせて 流速しやんせ 塩名田で
筏着くまで 女郎衆が招く 降りちゃまた乗る 口車
宇治の先陣 為遂げた馬は おらが里から 納た駒
山が高うて 塩名田が見えぬ 塩名田恋しや 山憎や
こぼれ松葉を 手でかき寄せて 主のお出でを 焚いて待つ
花が蝶々か 蝶々が花か 来てはチラチラ 迷わせる
行こか塩名田 帰ろか家へ ここが思案の 中津橋  
「安曇節」    ←「チョコサイ節」
サァー寄れや安曇の踊り 田から町から 田から町から 野山から 
 [ 野山から 野山から チョコサイコラコイ ]
音頭とりましょ 仰せとあれば 岳の峰まで(西の山まで) 響くほど
花に焦がれて 白馬登り 残る白雪 踏み分ける
もとはアルプス 雪消のしずく 末は越後の 海となる
白馬七月 残りの雪の 間に咲き出す 花の数
白馬八月 残りの雪を 割りて咲き出す 花の数
誰か行かぬか 高瀬の奥(いり)に 独活(うど)や蕨の 芽を摘みに
岳の黒百合 咲き出す頃は 安曇娘も 日に焼ける
槍を下れば 梓(あずさ)の谷に 宮居涼しき 神垣内(かみこうち)
夏も涼しや 木崎湖行けば 岳(たけ)の白雪 舟で越す
日本アルプス どの山見ても 冬の姿で 夏となる
安曇六月 まだ風寒い 田植布子に 雪袴
何か思案の 有明山に 小首かしげて 出たわらび
秋の安曇野 月かげ落ちて 鳴くは鈴虫 夜明けまで
まめで逢いましょ また来る年の 踊る輪の中 月の夜に
登る常念 豊科口の 一の沢辺は 夏桜
一夜穂高の 山葵となりて 京の小町を 泣かせたや
月と一茶で 名の出た信濃 今じゃアルプス 上高地
安曇大町 借馬市場 証もとらずに 馬貸せる
安曇名物 穂高の山葵 黄金白銀 砂に湧く
安曇踊りと 三日月様は 次第次第に 丸くなる
槍で別れた 梓と高瀬 めぐり逢うのが 押野崎
聞いて恐ろし 見て美しや 五月野に咲く 鬼つつじ
小梨平でひらいた 恋は 花のお江戸で 実を結ぶ
山の奥でも 真夏の頃は 訪ね生きたや 上高地
嬉し恥ずかし 大町リンゴ 紅い顔して 主を待つ
穂波豊かに 黄金の風が 安曇十五里 吹き渡る
ござれ紅葉の 色づく頃は お湯をたずねて 高瀬谷
昨日四谷で 今日黒菱で 明日は五竜か不帰岳か
岩魚釣る子に 山路を問えば 雲の彼方を 竿で指す
ザイルかついで 穂高の山に 明日は男の 明日は男の 度胸試し
鳥も止まらぬ 滝谷尾根で 若き情熱を 燃やしけり

安曇名物 穂高のわさび こがねしろがね こがねしろがね すなにわく
すなにわく すなにわく チョコラサイ コラサイ チョコサイ コラサイ
   日本アルプス どの山見ても 冬の姿で 冬の姿で 夏となる 
   夏となる 夏となる チョコラサイ コラサイ チョコサイ コラサイ 
一夜穂高の わさびとなりて 今日の小町を 今日の小町を 泣かせたや 
泣かせたや 泣かせたや チョコラサイ コラサイ チョコサイ コラサイ 
   何かの思案の 有明山に 小首かしげて 小首かしげて 出た蕨
   出た蕨 出た蕨 チョコラサイ コラサイ チョコサイ コラサイ 
まめで逢いましょ また来る年に 踊る輪の中 踊る輪の中 月の夜に
月の夜に 月の夜に チョコラサイ コラサイ チョコサイ コラサイ  
「大豆島甚句」
ままよ大豆島 蚕の本場 娘やりたい 桑摘みに 
 やりたい やりたい 娘 娘やりたい 桑摘みに
鳩になりたい 善光寺さんの鳩に 飛んで行きたい 大豆島に
天気ゃよければ 松代様の 城の太鼓の 音のよさ
主は犀川 わしゃ千曲川 共に会いましょ 大豆島で
信濃善光寺さんは 三国一よ おらが甚句は 日本一
早く盆にして お宮の庭で 殿さ音頭で 踊りたい
さあさ踊れや 大豆島甚句 しなのよい娘を 嫁にする
ドンとドンと 鳴る瀬はどこだ 犀と千曲の 水の音
蚕飼ったり 桑つみしたり 主に木綿は 着せられぬ
大豆島恋しや 権現様の 森が見えます ほのぼのと
主は桑摘み 私は蚕飼い 昼に分かれて 晩に逢う
蚕疲れで 身はやせたけど 獲れた繭には 肉がある 
「古間甚句」「古間音頭」
人情こまやか古間の里は 鎌と酒とで名が高い
古間よいとこうちわはいらぬ 都殿御の夏すゞみ
西は黒姫東は斑尾 おあいに美し鳥居川
鳥居水上戸隠水は 古間田んぼの稲の母
起きて行かんせ朝草刈に 鳥が鳴きます芝山に
今宵一夜は浦島太郎よ 開けて悔しや玉手箱
揃うた揃うた踊り子が揃うた 稲の出穂よりゃよく揃うた
今年や豊年だよ穂に穂が咲いて 枡はいらない箕ではかる
誰か来たよだ流しの外で 鳴いた松虫や音を止めた
・・・
明日は旦那の稲刈りだ 小束に丸めてちょいと投げる 
「新野の盆踊」 (「おさま甚句」)
「すくいさ」
ひだるけりゃこそすくいさに来たに たんとたもれよひとすくい 
新野泊まりで 一度はおいで 雪の祭りに盆踊り 
新野新野と 皆行きたがる 新野住みよい水が良い 
盆にゃおいでよ 七月はおいで 死んだ仏も盆にや来る 
踊らまいかよ 踊らせまいか 年に一度の盆じゃもの 
今年初めて 我が子が踊る 褒めておくれよお月様 
久しぶりだよ故郷の月で 夫婦揃って盆踊り 
思い出したら また来ておくれ 新野 千石 盆踊り 
田植えざかりに 泣く子をほしや 畦に腰ょかけ乳添える 
腰の痛さよ この田の広さ 四月五月の日の長さ 
木曽へ木曽へと付け出す米は 伊那や高遠のあまり米 
月と一度にではでたけれど お月ゃ山端にわしゃここに 
月は丸いと定めちゃあれど 角に差し込む窓の月 
私ゃ伊那の谷 谷間の娘 蚕怖がる子は生まぬ 
新野泊まりで一度と言わず 二度も三度も来ておくれ 
夏が短い千石平 熱く燃えるは盆踊り 
あまり踊りが退屈したに 踊りょ変えますご連中に 
「高い山」
高い山から谷底見れば 瓜やなすびの花ざかり 
行者山から新野を見れば 人は丸いが田は四角 
高い峠のあの風車 何をたよりにくるくると 
唄えお十七声張り上げて 唄でご器量は下がりゃせぬ 
唄いなされよお唄いなされ 声の立つ時ゃ若い時 
唄でご器量がもしさがりたら 時の相場で上げてやる 
松になりたや峠の松に 上り下りの客を待つ 
松と言う字は木偏に公よ 君に気がなきゃ待つじゃない 
松に下がり藤ゃ見事のものよ おらも下がりたや松に藤 
松と付けまい我が子の名をば 待つは憂いもの辛いもの 
姉の霧島妹のさつき さつき負けるな霧島に 
年に一度の楽しい祭り 雪の祭りに盆踊り 
あし毛子馬の中荷が過ぎて 登りかねたよ治部坂を 
馬が七匹 馬方一人 案じまするぞよけ合いを 
急げ馬方はよ漕げ船頭 西の黒雲雨となる 
盆よ盆よと春から待ちて 盆が過ぎたら何を待ちる 
盆が来たとてうれしゅもないに おらは去年の古肌着 
さあさ皆様しおれちゃだめだ 二度としおれりゃ悟られる 
あまり踊りが退屈したに 踊りょ変えますご連中に 
「音頭」
音頭とる子の声なら欲しや 深山ならしの 蝉の声 
音頭とる子が橋から落ちて 橋の下でも音頭とる 
新野泊まりで一度はおいで 雪の祭りに盆踊り 
新野良いとこ千石平 嫁にやりたや婿欲しや 
揃ろた揃ろたよ踊り子が揃た 稲の出穂よりゃまだ揃ろた 
稲の出穂には出むらがあるが 今宵踊りにゃむらがない 
稲は穂に出て畦よりかかる 私ゃあなたに寄りかかる 
遠い空から踊り子照らす 月も踊るよ盆踊り 
ちょいと来てくれ新野の盆に 人が集まりゃ輪ができる 
娘島田に嫁ゃ勝山に 姑ばばさはいぼまげに 
娘島田にちょうちょが止まる 止まるはずだよ花じゃもの 
天竜下ればしぶきにぬれる もたせやりたや桧笠 
はるか向こうの赤石山に 雪が見えます初雪が 
あまり踊りが退屈したに 踊りょ変えますご連中に 
「おさま甚句」
おさま甚句はどこからはよた 三州振草下田から 
三州振草で安いものは煙草 一両二歩出しゃ五段買う 
三州振草の芋田楽は 親もさせるが子もさせる 
信州信濃の新ソバよりも 私ゃあなたのそばが良い 
心細いぞ木曽路の旅は 肩に木の葉が舞いかかる 
木曽の御嶽ゃ夏でも寒い あわせやりたや足袋添えて 
あわせばかりでやらせもせまい 襦袢したてて足袋添えて 
天気良ければ大垣様の 城の太鼓の音の良さ 
尾張名物宮重大根 金のシャチホコ雨ざらし 
お伊勢参りで飲んだか酒を 天の岩戸の菊酒を 
天の岩戸の菊酒さえも 銭が無ければ見て通る 
伊勢は津でもつ津は伊勢でもつ 尾張名古屋は城でもつ 
酒の肴にうどんかそばか 少しゃ切れてもそばがよい 
酒に寄た寄た五勺の酒に 一合飲んだら由良之助 
お手が鳴りたら調子と悟れ 又も鳴りたら煙草盆 
親の意見と茄子びの花は 千に一つの無駄がない 
お寺ご問堂に蜂が巣をかけて 坊主出りゃ刺す入りゃ刺す 
お寺和尚様栃餅が好きで 昨夜九つ今朝七つ 
あまり踊りが退屈したに 踊ょ変えますご連中に 
「十六」
新野十六習いたきゃござれ 金の四 五両も持てござれ 
金の四 五両もいることなれば 新野十六まずやめだ 
今年ゃ十六ささげの年で 誰に摘ませる初なりを 
良くも染めたよ博労さの浴衣 肩にゃ影馬すそ栗毛 
新野にくればはっぴに浴衣 扇子片手に盆踊り 
夏に輪になり櫓を囲み 盆の踊りに里帰り 
こぼれ松葉を手でかきよせて 主の来る夜をたいて待つ 
松の小枝でクルミをたいて まつにくるみのうれしさよ 
桜三月アヤメは五月 菊は九月の末に咲く 
咲いた桜になぜ駒つなぐ 駒が勇めば花が散る 
色気づいたに気をつけしゃんせ 裏の畑のほおずきが 
姉もさしたに妹もおさし 同じ蛇の目のからかさを 
死なば夏死ねアボ・カも鳴くに 蝉がお経読む木の裏で 
声が枯れたら馬のケツねぶれ 馬のケツからこえが出る 
唄につまずきゃありそなものよ 私ゃ話につまずいた 
あまり踊りがそくばくするに 調子ょ揃えて手をたたけ 
揃ろた揃ろたよ踊り子が揃ろた 稲の出穂よりゃまだ揃ろた 
稲の出穂には出むらがあるが 今宵踊りにゃむらがない 
今宵一夜は浦島太郎 開けて悔しや玉手箱 
あまり踊りが退屈したに 踊りょ変えますご連中に 
「おやま」
おやま買う金 私におくれ わしがおやまの代をする 
いじゃよ友達 朝草刈りに 千鳥は山で鳥が鳴く 
千鳥は山の 鳥がなくままよ 何の草やら一 二駄ん 
新野泊まりで一度はおいで 雪の祭りに盆踊り 
新野新野と皆行きたがる 新野住みよい水がよい 
盆よ盆よと春から待ちて 盆が過ぎたら何ょ待ちる 
あまり踊りが退屈したに 踊りょ変えますご連中に  
新潟

 

「相川甚句」
「佐渡甚句」    / 「相川二上り甚句」「さし踊り」「相川甚句」
来いと言うたとて 行かりょか佐渡へ
佐渡は四十九里 波の上  佐渡は四十九里 波の上
「両津甚句」
アーエ 両津欄干橋(らんかんばし) 真ん中から折(お)りょうと (コラ サッサ)  
船で通うても (ヨンヤー) やめりゃせぬ (ハア リャントウ リャントウ リャントウ)
   アーエ 思うて来たかよ 思わで来(こ)りょか
   三沢四沢(みさわよさわ)の 沢越えて
アーエ 松になりたや 御番所の松に
枯れて落ちても 離りゃせぬ
   アーエ 烏賊場(いがば)漁師は 心(しん)から可愛い
   命(いのち)帆(ほ)にかけ 浪まくら
アーエ しんと更けたる 世はこわござる
烏賊(いか)が啼(な)きます 船底で
   アーエ 両津橋から 木崎が見える
   見える木崎の 森りゃ恋し

はぁえぇ 両津欄干橋やエー 真ん中から折りよと (コラサッサ)
舟で通うても (ヨンヤァ) やめりゃせぬ 
(ハァ リャント リャント リャント)
   松になりたや 御番所の松に 
   枯れて落ちても 離りゃせぬ
松になりたや 御番所の松に 
枯れて落ちても 双葉づれ
   両津橋から 木崎が見える 
   見える木崎の 森恋し
烏賊場漁師は 心から可愛い 
命帆にかけ 浪枕
   いとしお方を 乗せて出船 
   今朝はにくいよ おけさ丸
両津港に 朝立つ虹は 
主をやらずの 雨となる
   思うて来たかよ 思わで来りょか 
   三沢四沢(みさわよさわ)の 沢越えて
しんと更けたる 世はこわござる
烏賊が啼きます 船底で
   いやだいやだよ 御番所は 
   掃部お松が 出て招く
水も好くよな 加茂湖の月よ 
誰が投げたか 空にある
   佐渡の金北山は おしゃれの山よ
   いつも加茂湖に 水鏡
「村上甚句 」
諦めて 酒でも呑んで 白川夜船で 寝たも良い
赤い切れかけ 島田のうちは 何で心が定まろうや
諦めて 酒でも呑んで 白川夜船で 寝たも良い
あまりつらさに 出て山見れば 雲のかからぬ山はない
現れまして 首渡しょとも しかけた間男 止められぬ
いつも来もせぬ この綾錦 丈がないので 結ばれぬ
今も鳴る 正午の鐘は 古い城下を 思わせる
唄えと 責めたてられた 唄が出ないで 汗がでる
唄の出処は 大町小町 唄うて流すは 下小町
梅は岡本 桜は吉野 蜜柑紀伊国 栗丹波
大きな魚 おらが釣り上げた 川原柳の 下流れ
大町衆にゃ 限るではないが お酒の呑む人 どなたでも
裏の三度豆 筍入れて 落とし玉子は なおよかろ
和尚様に 帯買うてもろた 品がようて 柄がようて 勿体のうて 締められぬ
和尚様に ゆもじ買うてもろた 幅がようて 模様がようて 勿体のうて 締められぬ
押せ押せ 村上の船頭 押せば瀬波が 近くなる
押せ押せ 新潟の船頭 押せば新潟ヤも 近くなる
お茶は水がら 子は育てがら 下女とはさみは 使いがら
お寺の前で 音頭取ったおなご 年は若いが 唄上手
男情なし この博多帯 とかく丈がない 切れたがる
踊らば 今夜限り 明日の晩から 踊りゃせぬ
踊りくたびれた 藁草履切れた 明日の朝草 なじょにしょや
踊り子 何故足袋履かぬ 履けばよごれて 底切れる
踊らば 今夜だに踊れ 明日の晩から 踊られぬ
お前様に 七分通り惚れた あとの三分は 想うてくれ
お前さんに 限るではないが お金のあるひと どなたでも
お前さんに 何言われたとても 水に浮き草 根に持たぬ
思うて通えば 千里も一里 逢はで戻れば また千里
面白うて 足が地に着かぬ イヤお狐コンコンでも ついたやら
親の意見と なすびの花は 百に一つも 無駄はない
お城山から 粟島眺め 心浮き橋かけて見る
俺とお前は 御門の扉 朝に別れて 夕に合う
鍛冶町から 鍾馗さま出ても 肴町通いは 止められぬ
上総ヤは 木綿の出処 兎角丈がないで切れやすい
鐘を叩いて 仏様であれば 鍛冶町若い衆は みな仏
髪は本田に 結うてはみれど 心島田に 結いたがる
通うてくれ 霜枯れ三月 花の三月 誰も来る
河内様 よく聞き分けて 二度と頼まぬ 今一度
可愛うて良うて 目が離されぬ これが他人だと 思われぬ
かわら毛だとて 御諸願掛けた お鎌で刈るよな 毛が生えた
雲に架け橋 霞みに千鳥 お呼びないこと おしゃんすな
来るかやと 上下ながめ 川原柳の 音ばかり
下渡羽下の淵 どこの在郷だと思うな 村上五万石 目の下に
下渡山に お振り袖着せて 奈良の大仏様 婿にとる
来いとおじゃれば 身はどこまでも 下は南部の はてまでも
鯉の滝のぼり 何と云うてのぼる つらいつらいと 云うてのぼる
郷内おんちゃ 曲がりがね呑んだ のどにはばけないで よく呑んだ
声の枯れるのも 身のやつれるも みんなお前の ためだもの
声の出ないとき 馬の尻ツビなめれ 馬の尻ツビから スコタンコタンと コエがでる
心急けども 今この身では 時節待つより 他はない
腰にひょうたん下げ 相の風吹けば 飛んで行きたや お滝様
こぼれ松 手でかきよせて お前来るかと 焚いて待つ
下がりの藤 手は届けども 人の花なら 見たばかり
鷺の首 べらぼのように長うて おまえさんと寝た夜の 短かさよ
五月節句は 蓬に菖蒲(あやめ) わしは御前に のぼる鯉
山辺里橋 真ん中から折れた 今にどの橋 渡ろやら
してもしたがる 十六七娘 親もさせたがる 繻子(しゅす)の帯
島田まげ 蝶々が止まる 止まるはずだよ 花だもの
しゃきとしゃあれ のげはばたしゃたと あじなものだよ きせるさし
しょったれ嬶 鍋でけっつあろた いけとっつあ魂消て おはちで褌あろた
白と黒との 碁盤の上で せきを争う 浜千鳥
城山から 大川みれば 流れまかせの いかだ乗り
城山から 川口見れば お滝不動 鉄の橋
城山から 下見下ろせば 茶摘み桑摘み たのしげに
城山の あの頂へ 金のしゃちほこ かざりたや
せめて雀の 片羽欲しや 飛んで行きたや お滝様
雪下駄の 裏打ち金よ なるもならぬも 金次第
千松山 そよ吹く風は 流れ流れて 滝不動
大工さんとは 名はよけれども 真の心は 曲がりがね
大仏様 横抱きにして お乳呑ませた 親みたや
出せ出せ 出さねば破る 娘出さねば 壁破る
出せとは俺から言わぬ お前こころに あればこそ
例え胸に 千把ャの 萱焚くとても 煙ださねば 人知らぬ
月は傾く 東は白む 踊り連中も ちらほらと
出た出た 今朝出た舟は 波に押されて 磯廻る
出て行く 煙が残る 残る煙が 癪となる
寺の前で 音頭取った女御 なりは小さいども 唄上手
天守のやぐらの お羽黒様は 七日祭の十日の湯立 親にかいても 見にござれ
どうでもしやんせ どうにでもなる私 お前任せたこの身
どんどうと 鳴る瀬は 何処よ あれは瀬波の お滝様
どんぶり鉢 落とせば割れる 娘島田は 寝て割れる
バカ長い町だ 足駄カンコで通うた 金の足駄も たまりゃせぬ
並べておいて 縦縞きせて どれが姉ちゃやら おばちゃやら
並べておいて 縦縞着せりゃ どれが姉やら妹やら
縄帯締めて 腰には矢立 瀬波通いは 止められぬ
新潟ャの 川真ん中で あやめ咲くとは しおらしや
主と別れて 松の下通れば 松の露やら 涙やら
寝むられないと 夜中さなかに起きて 人目忍んで 神頼み
羽黒様から お滝様見れば 出舟入舟 帆掛け舟
花のようなる 宝光寺様に 朝日さすまで 寝てみたや
一夜は緞子(どんす)の枕 あすは浮き舟 波枕
踏め踏め踏め 角力取るときは 土俵へこむまで ドンと踏め
ぼっこれても 骨離れても わたしゃ要で 止めておく
惚れて見るせいか 乱れし髪も 金の瓔珞(ようらく)下げたよだ
盆だてのんに 何着て踊る 笹の葉でも着て 踊りガサモサと
盆の十六日 暇くれと願うた ササゲ和え物鉢 取って投げた
盆も過ぎれば 十五夜も過ぎる 露に放れた きりぎりす
待ってくりゃんせ 血が出て困る 紙でも夾めましょ 草鞋くい
ままよ滝田や 高雄でさえも お呼びやせぬぞえ 紅葉狩り
三面川 水晶のような流れ 玉の瀬の音 さらさらと
三面川 宝の蔵よ あれを見やんせ 鮭の群
三日月様 何故細々と 細いはずだよ 病みあがり
むすめ 島田に 蝶々が止まる 止まるはずだよ 花だもの
むすめ 十六七 抱き頃寝頃 おっちょこちょいとまくれば 会わせ頃
むすめ 十六七 渡し場の船よ 早く乗ってくりゃんせ 水が出る
娘十六 ササギの年よ 親もさせたがる 針仕事
村上 色香の町よ 堆朱堆黒 茶の香り
村上だよ 良い茶の出どこ ならび鮭川 山辺里織り
村上は 良い茶の出どこ 娘やりたや お茶摘みに
村上は 良い茶の出どこで のぼれば葡萄の ぶどう酒(さけ)と 
下れば松山温泉だ ならび鮭川 山辺里織り
もっくらがして 親衆に見せた 親衆ぶったまげて 嫁捜す
もっともだよ 御行様さえも おやま掛け掛け めろめろと
揉めや揉め 揉まねばならぬ 揉めば茶となるお茶となる
踊ろうば 今夜だに踊れ 明日の晩から 踊られぬ
面白うて 足が地につかぬ イヤおきつねコンコンでもついたか見てくれとのさ
鍛冶町から 鐘馗様出ても イヤ肴町通いは やめられぬ
河内様 よく聞きわけて 二度と頼まぬ 今一度
下渡山に お振袖着せて 奈良の大仏様 婿にとる
ごんないおんさ 曲金(まがりがね)飲んだ 喉にはばけないで よく飲んだ
こぼれ松 手でかきよせて お前来るかと 焚いて待つ
山辺里(さべり)の橋 真中から折れる 今にどの橋 渡るやら
三度豆に 筍(たけのこ)入れて 落とし玉子は なおよかろ
せけども 今この身では 時節待つより ほかはない
出た出た 今朝出た舟は 波に押されて 磯廻る
どんぶり鉢 落とせば割れる 娘島田は 寝て割れる
長い町(ちょう)だ 足駄でかよた 鉄(かね)の足駄も たまりゃせぬ
ねむられないと 夜中に起きて 人目忍んで 神頼み
瓢箪(ひょうたん)下げ あいの風吹けば とんで行たや お滝様
○○衆に 限るではないが イヤお酒の飲む人 どなたでも
三面川(みおもてがわ) 宝の蔵よ あれを見やんせ 鮭の群れ
三日月様 やけに細々と 細いはずだよ 病み上がり
村上は 良い茶のでどこ ならび鮭川 山辺里織(さべりおり)
酔(ゆ)うたが酔(ゆ)うた 五勺の酒に 一合飲んだら なおよかろ
良いとこだよ 北西(きたにし)晴れて 東山風(ひがしやまかぜ) そよそよと  
「長岡甚句」
ハァーエーヤー長岡 柏の御紋 (ハァヨシタヨシタヨシタヨシタ) 
七万余石の アリャ 城下町
イヤーサー余石の アリャ 城下町 (ハァヨシタヨシタヨシタヨシタ)
ハァーエーヤーお前だか 左近の土手で 背中ぼんこにして 豆の草取りゃる
ハァーエーヤーお山の 千本桜 花は千咲く 成る実は一つ
ハァーエーヤー流れます 細谷川よ 重ね箪笥が 七棹八棹
お前ーヤー川西 わしゃ川東 中を取り持つ アノ長生橋
ハァーエーヤー揃たよ 踊り子が揃た 稲の出穂より アリャよく揃た
ハァーエーヤー踊りも 太鼓打つ人は 昔ならした アノ腕の冴え 
ハァーエーヤー夜はよし しのびにゃ出たが 夕立村雨 片袖しぼる
ハァーエーヤー三夜の 三日月様は 宵にチラリと アリャ出たばかり
お前ーヤー百まで わしゃ九十九まで ともに白髪の アリャ生えるまで
ハァーエーヤーお前さんの 声だと聞けば 眠い目も冴え その気も勇む
余りーヤー長いは 踊り子が大儀 先ずはここいらで アリャ打ち止めだ 
「相川音頭」 / 源平軍談 / 初段 宇治川先陣 佐々木の功名
嘉肴あれども 食らわずしては(ハイハイハイ)  
酸いも甘いも その味知らず(ハイハイハイ)
武勇ありても 治まる世には(ハイハイハイ)  
忠も義心も その聞えなし(ハイハイハイ) 
ここにいにしえ 元暦の頃 旭将軍 木曾義仲は
四方(よも)にその名を 照り輝きて 野辺の草木も 靡かぬはなし
されば威勢に 驕(おご)りが添いて 日々に悪逆 いや憎しければ
木曾が逆徒を 討ち鎮めよと 綸旨(りんし)院宣(いんぜん) 蒙りたれば
お受け申して 頼朝公は 時を移さば 悪しかりなんと
蒲の範頼 大手へまわし 九郎義経 搦手(からめて)よりも
二万五千騎 二手に分かる 時に義経 下知(げじ)して曰く
佐々木梶原 この両人は 宇治の川越え 先陣せよと
下知を蒙り すわわれ一と 進む心は 咲く花の春
頃は睦月の 早末つかた 四方の山々 長閑(のど)けくなりて
川のほとりは 柳の糸の 枝を侵(した)せる 雪代水に
源太景季(かげすえ) 先陣をして 末の世までも 名を残さんと
君の賜いし 磨墨(するすみ)という 馬にうち乗り 駆け出しければ
後に続いて 佐々木の四郎 馬におとらぬ 池月んれば
いでや源太に 乗り勝たんとて 扇開いて うち招きつつ
いかに梶原景季殿と 呼べば源太は 誰なるらんと
思うおりしも 佐々木が曰く 馬の腹帯(はらび)の のび候ぞ
鞍をかえされ 怪我召さるなと 聞いて景季 そはあやうしと
口に弓弦(ゆんづる) ひっくわえつつ 馬の腹帯に 諸手をかけて
ずっっと揺りあげ 締めかけるまに 佐々木得たりと うちよろこんで
馬にひと鞭 はっしとあてて 先の源太に 乗り越えつつも
川にのぞみて 深みへ入れば 水の底には 大綱小綱
綱のごとくに 引き張り廻し 馬の足並 あやうく見えし
川の向こうは 逆茂木(さかもぎ)高く 鎧(よろ)うたる武者 六千ばかり
川を渡さば 射落とすべしと 鏃(やじり)揃えて 待ちかけいたり
佐々木もとより 勇士の誉 末の世までも 名も高綱は
宇治の川瀬の 深みに張りし 綱を残らず 切り流しつつ
馬を泳がせ 向こうの岸へ さっと駆けつけ 大音(だいおん)あげて
宇多の天皇 九代の後の 近江源氏の その嫡流に
われは佐々木の 高綱なりと 蜘蛛手(くもで)加久縄(かぐなわ) また十文字
敵の陣中 人なきごとく 斬って廻りし その勢いに
敵も味方も 目を驚かし 褒めぬ者こそ なかりけれ
「相川音頭」 / 源平軍談 / 二段目 粟津の合戦 巴がはたらき
かくて宇治川 先陣佐々木 二陣景季 なお続きしは
秩父足利 三浦の一家(いっけ) われもわれもと 川うち渡り
勇み進んで 戦いければ 防ぐ手だても 新手の勢に
備えくずれて 乱るる中に 楯の六郎 根の井の小弥太
二人ともはや 討死にすれば これを見るより ちりちりばっと
風に吹き散る 木の葉のごとく 落ちて四方へ 逃げ行く敵を
追うて近江の 粟津が原に 木曾の軍勢 敗北すれば
鬨(とき)をあげたる 鎌倉勢に 巴御前は この勝鬨(かちどき)に
敵か味方か おぼつかなしと 駒をひかえて ためろうところ
返せ戻せと 五十騎ばかり あとを慕うて 追い来る敵(かたき)
巴すわやと 駒たてなおし 好む薙刀 振り回しつつ
木曾の身内に 巴と呼ばる 女武者ぞと 名乗りもあえず
群れる敵の 多勢が中を 蹴立て踏み立て 駈け散じつつ
とんぼ返しや 飛鳥(ひちょう)の翔(かけ)り 女一人に 斬り立てられて
崩れかかりし 鎌倉勢の 中を進んで 勝武者一騎
声を張り上げ 巴が武術 男勝りと 聞きおよびたり
われは板東 一騎の勇士 秩父重忠 見参せんと
むずと鎧の 草摺りを取り 引けば巴は にっこと笑い
男勝りと 名を立てられて 強み見するは 恥ずかしけれど
板東一なる 勇士と聞けば われを手柄に 落としてみよと
云うに重忠 心に怒り おのれ巴を 引き落とさんと
さては馬とも 揉みつぶさんと 声を力に えいやと引けど
巴少しも 身動きせねば ついに鎧の 草摺り切れて
どっと重忠 しりえに倒る 内田家吉 これ見るよりも
手柄功名 抜け駆けせんと みんな戦の 習いとあらば
御免候えと 重忠殿と 手綱かいぐり 駈け来る馬は
これや名におう 足疾鬼(そくしつき)とて 虎にまさりて 足早かりし
巴御前が 乗りたる馬は 名さえ長閑けき 春風なれや
いずれ劣らぬ 名馬と名馬 空を飛ぶやら 地を走るやら
追いつまくりつ 戦いけるが 内田ひらりと 太刀投げ捨てて
馬を駈けよと 巴をむずと 組んでかかれば あらやさしやと
巴薙刀 小脇に挟み 内田次郎が 乗りたる馬の
鞍の前輪に 押し当てつつも 力任せに 締め付けければ
動くものとて 目の玉ばかり 娑婆のいとまを 今とらすると
首を引き抜き 群がる敵の 中へ礫(つぶて)に 投げ入れければ
さても凄まじ あの勇力(ゆうりき)は 男勝りと 恐れをなして
逃ぐる中より 一人の勇士 和田の義盛 馬進ませて
手柄功名 相手によると 生うる並木の 手ごろの松を
根よりそのまま 引き抜き持ちて 馬の双脛(もろずね) なぎ倒しつつ
搦(から)め取らんと 駈け来たるにぞ 巴御前は 馬乗り廻し
敵を蹄に 駈け倒さんと 熊の子渡し 燕の捩(もじ)り
獅子の洞入り 手綱の秘密 馬の四足(しそく)も 地に着かばこそ
いずれ劣らぬ 馬上の達者 かかる折しも 敵の方に
旭将軍 木曾義仲を 石田次郎が 討ち取ったりと
木曾の郎党 今井の四郎 馬の上にて 太刀くわえつつ
落ちて自害と 呼ばわる声に 巴たちまち 力を落とし
ひるむところを 得たりと和田は 馬の双足(もろあし) 力にまかせ
横に薙(な)ぐれば たまりもあえず 前に打つ伏し 足折る馬の
上にかなわで 真っ逆さまに 落つる巴に 折り重なりて
縄を打ちかけ 鎌倉殿へ 引いて行くこそ ゆゆしけれ
「相川音頭」 / 源平軍談 / 三段目 那須与一 弓矢の功名
蛇は蛙(かわず)を 呑み食らえども 蛇を害する なめくじりあり
旭将軍 木曾義仲も ついに蜉蝣(ふゆう)の ひと時ならん
滅び給いて 鎌倉殿の 威勢旭の 昇るがごとし
されば源氏の そのいにしえの 仇を報わん 今この時と
平家追悼 綸旨(りんし)をうけて 蒲の範頼 義経二将
仰せ蒙り 西国がたへ 時を移さず 押し寄せ給う
武蔵相模は 一二の備え かくて奥州 十万余騎は
大手搦手(からめて) 二手に分かる 風にたなびく 旗差物は
雲か桜か げに白妙の 中にひらめく 太刀打物は
野辺に乱るる 薄のごとく ここぞ源平 分け目のいくさ
進め者ども 功名せよと 総の大勝 軍配あれば
ここの分捕り かしこの手柄 多き中にも 那須の与一
末の世までの 誉れといっぱ 四国讃岐の 屋島の浦で
平家がたでは 沖なる舟に 的に扇を 立てられければ
九郎判官 これ御覧じて いかに味方の 与一は居ぬか
与一与一と 宣(のたま)いければ 与一御前に 頭(かしら)を下げて
何の御用と うかがいければ 汝召すこと 余の儀にあらず
あれに立てたる 扇の的を 早く射とれと 下知し給えば
畏まりしと 御受け申し 弓矢とる身の 面目なりと
与一心に 喜びつつも やがて御前を 立ち退いて
与一その日の 晴れ装束は 肌に綾織 小桜縅(おどし)
二領重ねて ざっくと着なし 五枚冑の 緒を引き締めて
誉田(こんだ)栗毛という かの駒に 梨地浮絵の 鞍おかせつつ
その身軽気(かろげ)に ゆらりと乗りて 風も激しく 浪高けれど
的も矢頃に 駒泳がせて 浪に響ける 大音あげて
われは生国 下野の国 今年生年 十九歳にて
なりは小兵に 生まれを得たる 那須与一が 手並みのほどを
いでや見せんと 云うより早く 家に伝えし 重籐(しげとう)の弓
鷹の白羽の 鏑箭(かぶらや)一つ 取ってつがえて 目をふさぎつつ
南無や八幡大菩薩 那須の示現(じげん)の 大明神も
われに力を 添え給われと まこと心に 祈念をこめて
眼(まなこ)開けば 浪静まりて 的も据われば あらうれしやと
こぶし固めて ねらいをきわめ 的の要を はっしと射切る
骨は乱れて ばらばら散れば 平家がたでは 舷(ふなばた)叩き
源氏がたでは 箙(えびら)をならし 敵も味方も みな一同に 褒めぬ者こそ なかりけれ
「相川音頭」 / 源平軍談 / 四段目 嗣信が身替り 熊谷が菩提心
さても屋島の その戦いは 源氏平家と 入り乱れつつ
海と陸(くが)との 竜虎の挑み 時に平家の 兵船(へいせん)ひとつ
汀(みぎわ)間近く 漕ぎ寄せつつも 船の舳先に 突っ立ちあがり
これは平家の 大将軍に 能登の守(かみ)名は 教経(つねのり)なるが
率爾(そつじ)ながらも 義経公へ お目にかからん 験(しるし)のために
腕に覚えの 中差(なかざし)ひとつ 受けて見給え いざ参らすと
聞いて義経 はや陣頭に 駒を駈けすえ あら物々し
能登が弓勢(ゆんぜい) 関東までも かくれなければ その矢を受けて
哀れ九郎が 鎧の実(さね)を 試しみんとて 胸指さして
ここが所望と 宣いければ すわや源平 両大将の
安否ここぞと 固唾をのんで 敵も味方も 控えしところ
桜縅(さくらおどし)の 黒鹿毛(くろかげ)の駒 真一文字に 味方の陣を
さっと乗り分け 矢面に立ち われは源氏の 股肱(ここう)の家臣
佐藤嗣信 教教公の 望むその矢を われ受けてみん
君と箭坪(やつぼ)は 同然なれば 不肖ながらも はや射給えと
にこと笑うて たち控ゆれば 能登も智仁(ちじん)の 大将ゆえに
さすが感じて 射給わざるを 菊王しきりに 進むるゆえに
今はげにもと 思われけるが 五人張りにて 十五束なる
弓は三五の 月より丸(まろ)く 征矢(そや)をつがえて 引き絞りつつ
しばしねらいて 声もろともに がばと立つ矢に 血煙り立てど
佐藤兵衛も 弓うちつがい 当の矢返し 放たんものと
四五度しけれど 眼(まなこ)もくらみ 息も絶え絶え 左手(ゆんで)の鐙(あぶみ)
踏みも堪えず 急所の傷手(いたで) 右手(めて)へかっぱと 落ちけるところ
菊王すかさず 汀におりて 首を取らんと 駈け来るところ
佐藤忠信 射て放つ矢に 右手の膝皿 いとおしければ
どうと倒るる 菊王丸を 能登は飛び下り 上帯つかみ
舟へはるかに 投げ入れければ 間なく舟にて 空しくなれり
されば平家の 一門はみな 舟に飛び乗り 波間に浮かむ
ここに哀れは 無官の太夫 歳は二八の 初陣なるが
駒の手綱も まだ若桜 花に露持つ 見目形をば
美人草とも 稚児桜とも たぐい稀なる 御装いや
すわや出船か 乗り遅れじと 手綱かい繰り 汀に寄れば
舟ははるかに 漕ぎいだしつつ ぜひも渚に ためろうところ
馬を飛ばして 源氏の勇士 扇開いて さし招きつつ
われは熊谷直実なるぞ 返せ返せと 呼ばわりければ
さすが敵に 声かけられて 駒の手綱を また引っ返し
波の打物 するりと抜いて 三打ち四打ちは 打ち合いけるが
馬の上にて むんずと組んで もとの渚に 組み落ちけるを
取って押さえて 熊谷次郎 見れば蕾の まだ若桜
花の御髪(みぐし)を かきあげしより 猛き武勇の 心も砕け
ついに髻(もとどり) ふっつと切れて 思いとまらぬ 世を捨衣
墨に染めなす 身は烏羽玉(うばたま)の 数をつらぬく 数珠つま繰りて
同じ蓮(はちす)の 蓮生(れんじょう)法師 菩提信心 新黒谷へ ともに仏道 成りにける
「相川音頭」 / 源平軍談 / 五段目 景清が錏引義経の弓流し 稀代の名馬 知盛の碇かつぎ
かくて源氏の その勢いは 風にうそぶく 猛虎のごとく
雲を望める 臥竜(がりゅう)にひとし 天魔鬼神も おそれをなして
仰ぎ敬う 大将軍は 藤の裾濃(すそご)の おん着長(きせなが)に
赤地錦の 垂衣(ひたたれ)を召し さすが美々しく 出で立ち給う
時に平家の 大将軍は 勢を集めて 語りて曰く
去年播磨の 室山はじめ 備州水嶋 鵯(ひよどり)越えや
数度(すど)の合戦に 味方の利なし これはひとえに 源氏の九郎
智謀武略の 弓ひきゆえぞ どうぞ九郎を 討つべき智略
あらまほしやと 宣い給う 時に景清 座を進みいで
よしや義経 鬼神(おにがみ)とても 命捨てなば 易かりなんと
能登に最期の 暇を告げて 陸(くが)にあがれば 源氏の勢は
逃すまじとて 喚(おめ)いてかかる それを見るより 悪七兵衛
物々しやと 夕日の影に 波の打物 ひらめかしつつ
刃向いたる武者 四方へぱっと 逃ぐる仇(かたき)を 手取りにせんと
あんの打物 小脇に挟み 遠き者には 音にも聞けよ
近き者には 仰いでも見よ われは平家の 身内において
悪七兵衛 景清なりと 名乗りかけつつ 追い行く敵の
中に遅れじ 美尾屋(みおのや)四郎 あわい間近く なりたりければ
走りかかって 手取りにせんと 敵の冑の 錏(しころ)をつかみ
足を踏みしめ えいやと引けば 命限りと 美尾屋も引く
引きつ引かれつ 冑の錏 切れて兵衛が 手にとどまれば
敵は逃げ延び また立ち返り さてもゆゆしき 腕(かいな)の 強さ
腕(うで)の強さと 褒めたちければ 景清はまた 美尾屋殿の 頚の骨こそ 強かりけると 
どっと笑うて 立浪風の 荒き折節 義経公は
いかがしつらん 弓取り落とし しかも引潮 矢よりも早く
浪に揺られて はるかに遠き 弓を敵に 渡さじものと
駒を波間に 打ち入れ給い 泳ぎ泳がせ 敵前近く
流れ寄る弓 取らんとすれば 敵は見るより 舟さし(漕ぎ)寄せて
熊手取りのべ 打ちかかるにぞ すでに危うく 見え給いしが
されど(すぐに)熊手を 切り払いつつ 遂に波間の 弓取り返し
(遂に弓をば 御手に取りて)
元の汀(渚)に あがらせ給う 時に兼房 御前に出でて
さても拙き 御振舞や たとえ秘蔵の 御弓とても
千々の黄金を のべたりとても 君の命が 千万金に
代えらりょうやと 涙を流し 申しあぐれば 否とよそれは
弓を惜しむと 思うは愚か もしや敵に 弓取られなば
末の世までも 義経こそは 不覚者ぞと 名を汚さんは
無念至極ぞ よしそれ故に 討たれ死なんは 運命なりと
語り給えば 兼房はじめ 諸軍勢みな 鎧の袖を
濡らすばかりに 感嘆しけり さても哀れを 世にとどめしは
ここに相国 新中納言 おん子知章(ともあき) 監物(けんもつ)太郎
主従三騎に 打ちなされけり さらば冥途の 土産のために
命限りと 戦いければ 親を討たせて かなわじものと
子息知章 駈けふさがりて 父を救いて 勇気もついに
哀れはかなき 二八の花の 盛り給いし 御装いも
ついに討死 さて知盛の 召され給いし 井上黒は
二十余町の 沖なる舟へ 泳ぎ渡りて 主君を助け
陸(くが)にあがりて 舟影を見て 四足縮めて 高いななしき
主の別れを 慕いしことは 古今稀なる 名馬といわん
かかるところへ 敵船二艘 安芸の小太郎 同じく次郎
能登は何処ぞ 教経(のりつね)いぬか 勝負決して 冑を脱げと
呼べば 能登殿  あらやさしやと 二騎を射てに 戦いけるを
よそに見なして 知盛公は もはや味方の 運尽きぬれば
とても勝つべき 戦にあらず かくてながらえ 名にかはせんと
大臣(おとど)殿へも お暇申し 冑二刎(ふたはね) 鎧も二領
取って重ねて ざっくと着なし 能登に代わりて 面を広げ
安芸の小太郎 左手(ゆんで)に挟み おのれ冥土の 案内せよと
右手(めて)に弟の 次郎を挟み なおもその身を 重からせんと
舁(かつ)ぐ碇は 十八貫目 海へかっぱと 身を沈めつつ
浮かむたよりも 如渡得船(にょどとくせん)の 舟も弘誓(ぐせい)の 舵取り直し
到り給えや 疾くかの岸へ 浪も音なく 風静まりて
国も治まり 民安全に 髪と君との 恵みもひろき 千代の春こそ めでたけれ  
「お六甚句」 六日町 
送りましょうか 送られましょうか 寺が鼻まで 時雨にぬれて
昔やお六と 昔やお六と桂姫 月が出たぞえ 木影に入ろか
ままよ渡ろか 坂戸の橋を お六甚句で お六甚句で水鏡
吹雪く窓なりゃ 届かぬ想い 心細かな 縮のあやを
織って着せたや 織って着せた主が肩 百姓大名じゃ 兼続様は
尻をからげて 田草もとりゃる 峰にゃ松風 峰にゃ松風玉日和   
「八社五社」 (やしゃごしゃ)   →「鯵ヶ沢甚句」  
ヨイヤアナー ヨイヤアナー
ヨイヤアナーのハヤシは シャンと高く ハア、アリャサイ、ヤッサイ
ヨイヤアナーのおどりは シャンとおどれ ヨイヤアナー ヨイヤアナー
そろそろ調子が そろたなら ポツポツ文句にとりかかる
ころは古(えに)しの事なるが 河内(かわち)の国にかくれなき
河内の国にかくれなき 足柄山(あしがらやま)のふもとなる
足柄山のふもとなる 小滝(こたき)の里と申するに
信義長者(のぶよしちょうじゃ)と申しては しまもろこしの果(は)て迄(まで)も
しまもろこしの果て迄も 大万長者(だいまんちょうじゃ)と呼ばわれる
大万長者と呼ばわれる 郷土一人(きょうどひとり)おわしける
郷土一人おわしける 信義長者の惣領(そうりょう)に  
「三階節」 (「三界節」「三回節」「ヤラシャレ節」)
米山さんから雲が出た 今に夕立が来るやら
ピッカラ チャッカラ ドンガラリンと音がする
アー 音がする 今に夕立が来るやら
ピッカラ チャッカラ ドンガラリンと音がする
(ハァ ヤラシャレ ヤラシャレ)
   柏崎から椎谷まで 間に荒浜 荒砂 悪田の渡しが なきゃよかろ
   アー なきゃよかろ 間に荒浜 荒砂 悪田の渡しが なきゃよかろ
せまい小路でちょいと出会うた 話せ話せや語れや 胸うちあること みな話せ
アー みな話せ 話せ話せや語れや 胸うちあること みな話せ

米山さんから雲が出た いまに夕立が来るやら 
ピッカラ シャンカラ ドンカラリンと 音がする
ドンカラリンと 音がする いまに夕立ちがくるやら
ピッカラ シャンカラ ドンカラリンと 音がする
   柏崎から椎谷まで 会いに荒浜荒砂 悪田の渡しが 無きゃよかろ
   渡しが 無きゃよかろ 会いに荒浜荒砂 悪田の渡しが 無きゃよかろ
可愛がられた竹の子が 今じゃ切られて割られて 桶のたがに掛けられて 締められた
掛けられて 締められた 今じゃ切られて割られて 桶のたがに掛けられて 締められた
   蝶々トンボや キリギリス お山お山でさえずる まつ虫 鈴虫 くつわ虫
   鈴虫くつわ虫 お山お山でさえずる まつ虫 鈴虫 くつわ虫
明けたよ夜が明けた 寺の鐘打つ坊主や お前のおかげで 夜が明けた
おかげで 夜が明けた 寺の鐘打つ坊主や お前のおかげで 夜が明けた 
「佐渡船方節」   ←「出雲節」「舟方節」 
外の海府は二十四ケ村でこれを集めて恋話
小川生まれで身は達者姫津育ちでしょさがよい
   いつもにこにこ北狄ちょっと見染めて恋心
   人目の中に戸地られて戸中で話も出来かねる
恋の細々認(したた)めて文は片辺のかた便り
たとへ石花と別れても影や姿は後尾むき
   河内と云ふてすがれども男は立嶋返事なし
   たとへ不評があったとて入川見せてくだしゃんせ
返事がなければこがれ死に文は千本送れども
たとへ高下ではなれても田ノ浦廻りでかけつける
   小野見心でくどけども男は石名で小田いなか
   大倉走りで死するともいくらいやがられたとても
人目の関は五十浦で岩谷の口で逢いませう
それともあなたが御不評なら真更川へと身を投げて
   この身は鵜島で果てよとも色よき返事を願います
   佐渡で名所は数ある中で霞たなびく北山に
咲いてうるわし石楠花の花の面影うつしたる
ふもとの両津くるわ町出船入船真帆片帆
   沖で鴎がなくわいな明日はなぎやら時化じゃやら
   両津女は碇か綱か今朝も出船を二そとめた
「越後舟方節」
入船したなら 教えておくれ 便り渚の 身は捨て小船
お主のご無事を 祈るゆえ 雪の降る日も 風の夜も
身はしみじみと 眠られぬ わしの待つ身に ならしゃんせ
火のない火鉢を 引き寄せて 灰掻きならして 紙として
手に持つ火箸を 筆として 思うあなたの 頭字を
書いて眺めて 夜を更かす
「寺泊船方節」
(ハァヨッショイ マカショ)
入り船したなら (ハァヨッショイ マカショ) 知らせておくれ (ハァイヤサカサッサ)
家で待つ身にならしゃんせ 雨の降る夜も 風の夜も
強い嵐でも 吹いたなら 案じ暮らして 夜の目もちっとも 眠られぬ 
 (ハァヨッショイ マカショ) 
といちが来たのに なぜ戸が開かぬ 何でこの戸が開けらりょう 父と母との相寝して
枕元には おばが寝る 庭石山の 竹の子よ 卵の中なるひよこ鳥 誰を頼りに トコ兄ちゃん 通うて来る
(寺泊七軒町・山の町遊郭 / 唄い込み)
越路で名高い 港がござる 錨降ろさぬ船はない その名も高き 七軒町
客を守りの十二様 朝よしお顔は 美和楼で 風のまにまに 柳楼 いつしか浮名の立田楼
再び思うが 再思楼 清き流れの 住川楼 いつも青々 松葉楼
私と貴方は トコ兄ちゃん 千歳楼で
「小木大津絵」
小木の澗(ま)の春の夕景色 風も匂うや御所桜
城山のおぼろ月 見はる向うの越の雪
沖のはせ舟 霞がくれに真帆片帆
内と外とのかかり舟 向うの岸の弁財天
矢島経島 若やぐ木崎のさがり松
三島・向島・中の島 四方(よも)もを見はらす日和山
愛知

 

「名古屋甚句」    ←「本調子甚句」「そうじゃおまへんか節」  
まくら唄
ハァーエ鯉のや鯉の鯉の滝登りゃ何というて上るエー
   山を川にしょうとコリャいうて上るエー
アーさらばエーこれから甚句を変えてエー
   今のヤー流行のストトコ節でも エー聞いておくれエー
本唄
ハァ〜宮の熱田の二十五丁橋でヨー アー西行法師が腰をかけ
   東西南北見渡して これほど涼しいこの宮を
   誰が熱田とヨーホホイ アー名をつけたエー
   トコドッコイ ドッコイショ
明治10年頃名古屋地方では「芸者殺すに刃物はいらぬ、甚句とめたら皆殺し」いわれたほど流行した。最後に太鼓の伴奏でトコドッコイドッコイショとはやし立てたことから大流行した。花街では三味線にのせて「本調子甚句」「二上り甚句」がある。

前唄
アーエ恋のヤー こいのこいの鯉の滝昇りゃ 何と言うて登るエー  山をヤー 川にしょうと コリャ 言うて登るエー
アーエさらばヤー これから甚句を変えてエー 今のヤー 流行のストトコ節でも エー 聞いておくれエー
本唄
アーエ宮の熱田の 二十五丁橋でエー アー西行法師が腰をかけ 
東西南北見渡して これほど涼しいこの宮を
誰が熱田とヨーホホ アー名を付けたエー トコドッコイドッコイショ
アーエ花の名古屋の 碁盤割りはエー アー都に負けない京町や 
竜宮浄土の魚の棚 七珍万宝詰め込みし 
大黒殿の袋町 広小路から見渡せば なかなか届かぬ鉄砲町 
次第次第に末広の 家並みは続く門前町
さても名古屋のヨーホホ アー繁盛ぶりエー トコドッコイドッコイショ
アーエ尾張大納言さんの 金の鯱鉾の 言うこと聞けばエー
アー文明開化の世となりて 高い城から下ろされて 
咎(とが)ないわたしに縄をかけ 離れ離れの箱の内
蒸気船にと乗せられて 東京までも送られて 
博覧会にさらされて こんなに悔しいことはない
いっそ死んだがましかいな 一人で死ぬのはよけれども お前と一緒に死んだなら
人が真鍮(心中)じゃとヨーホホ アー言うであろうエー トコドッコイドッコイショ
(名人づくし)
アーエ尾張名古屋は ありゃ芸どころエー
アー名古屋三山の昔より 名優名手は数あれど 花のお江戸で名をあげし 
初代中村勘三郎 尾上梅幸は立女形 市川中車に沢村訥子 千両役者は宗十郎 
地役者ながらも東西に その人ありと知られたる 中山喜楽は芸の人 
萩野検校は平家琵琶 豊竹呂昇は義太夫で 踊りは西川鯉三郎 
名古屋甚句は甚鍵と 岡本美代治が名をとどむ
かく言う私も民謡に ただ一筋に打ち込んで 歌い続けておりまする 
皆々様には及ばねど 精魂かたむけつとめます
よろしゅうご贔屓ヨーホホ アー頼みまするエー トコドッコイドッコイショ
(名古屋甚句)
名古屋名物みやしげ大根(だいこ) きんのしやちほこ雨ざらし
宮のあつたの明神様へ とほざかれとは祈りやせぬ
宮をはなれてかさ寺越えて なるみ八丁で袖しぼる
(名古屋甚句くずし)
娘十七八は嫁入り盛りネエ 箪笥長持はさみ箱 
これ程持たせてやるからは 必ず戻ろと思ふなよ
もうし母(かか)さんそりや無理ぢや 西が曇れば雨となり
東が曇れば風となる 千石積んでる船でさへ
追手(おひて)がかはればネエ 出てもどる
   田舎育ちの藪鶯がねえ 初めて吾妻(あづま)へくだるとき
   一夜のやどりをとりわすれ 西を向いても宿はなし
   梅の木小枝を宿として 花の莟を枕とし 
   落つる木の葉を夜具として 月星拝んでねえ 法華経を読むエヽ
私の近所へ芋屋が出来た お芋の看板十三里
川越本場の赤芋で 栗より甘味(うま)いと云ふことだ
いゑ〜私の食べたのは 十里のお芋でありました
そりやまた何うした事であろ 芋が生(なま)焼(やけ)でようほゝエヽ ごり〜エヽ

○ 恋の鯉 アーエ恋のやァー 鯉のこいの鯉の滝上りゃなっと言うて上るエ 山をやァァ川にしようとォ コリァいうて上るゥゥエ
○ 宮の熱田 アー宮の熱田の二五丁橋でエェェ アー西行法師が腰をかけ 束西南北見渡して これ程涼しいこの宮を たれが熱田と ヨーォホホ アー名を付けたァァエ トコドッコイドッコイトショ
○ 名古屋名物 名古屋名物 おいてちょうだもにすかたらんにおきゃあせ ちょっともだちゃかんとぐざるぜえも そうきゃもそうきゃもなんだァも いきゃすかおきゃすかどうしゃあす おみゃはまこの頃どうしゃあた 何処ぞに姫でも出来せんか 出来たら出来たといや あせも私もかんこがあるうゃ ああもおそぎゃあぜえも
「名古屋名物」 (「名古屋甚句」)
名古屋名物 お(止)いてちょうでぁ(頂戴)もに 好かんたらんに おきゃぁせ
ちょっとも だち(埒)ゃかんと 叱るぜぇも そうきゃも そうきゃも何でゃぁも
行きゃすか おきゃすか どうしゃぁす おめ(前)ゃさま この頃 どうしゃぁた
どこぞに 姫でも出来せんか 出来たら 出来たら 言やぁせも
私も勘考(かんこ)が あるぎゃぁも 恐(おそ)ぎゃぁぜぇも
「正調名古屋甚句」
前唄
恋のやァー こいのこいの鯉の滝登りァ ナット言うて登るエー
山をヤア 川にしようと コリャ言うて登るエー
さらばヤア これから甚句を変えて 今のヤアー
はやりのストトコ節でも エーエ エーエ 来ておくれ
本唄
アーア 宮の熱田の二十五丁橋で アー 西行法師が腰を掛け 
東西南北見渡して これ程涼しい此の宮を 
たれが熱田と ヨーホホホ アーア 名を付けた
アーアエー トコドッコイ ドッコイショ
アーア 花の名古屋の碁盤割は 都に負けない京町や 
竜宮浄土の魚の棚 七珍万宝詰め込みし 
大黒殿の袋町 広小路から見渡せば なかなかとどかぬ鉄砲町
次第次第に末廣の 家並みは続く門前町 
さても名古屋のヨーホホホ 繁盛振り
アーア 尾張大納言さんの 金の鯱ほこの 言うこと聞けば
アーア 文明開化の世となりて 高い城からおろされて 
咎無い私に縄をかけ 離れ離れの箱の内 
蒸気船にと乗せられて 東京までも送られて
博覧会にさらされて 幾十万の人々に 鯱じゃ鯱じゃと指差され
こんなにくやしいことはない いっそ死んだがましかいな
一人で死ぬのはよけれども お前と一緒に死んだなら、
人が心中(真鍮)じゃと言うであろう トコドッコイ ドッコイショ
名古屋名物
名古屋名物 おいて頂戴やもに すかたらんに おきゃあせ
ちょっとも だちゃかんと ぐざるぜえも
そうきゃあも そうきゃあも なんだあも いきゃすか おきゃすか どうしゃあす
おみゃさま この頃どうしゃあた どこぞに姫でもできせんか
出来たらできたと いやあせも わたしも かんこうがあるわあも おそぎゃあぜえも 
「おさま甚句」 
おさま甚句はどこからはよた 三州振草下田から
三州振草で安いものは煙草 一両二歩出しゃ五段買う
三州振草の芋田楽は 親もさせるが子もさせる
信州信濃の新ソバよりも 私ゃあなたのそばが良い
心細いぞ木曽路の旅は 肩に木の葉が舞いかかる
木曽の御嶽ゃ夏でも寒い あわせやりたや足袋添えて
あわせばかりでやらせもせまい 襦袢したてて足袋添えて
天気良ければ大垣様の 城の太鼓の音の良さ
尾張名物宮重大根 金のシャチホコ雨ざらし
お伊勢参りで飲んだか酒を 天の岩戸の菊酒を
天の岩戸の菊酒さえも 銭が無ければ見て通る
伊勢は津でもつ津は伊勢でもつ 尾張名古屋は城でもつ
酒の肴にうどんかそばか 少しゃ切れてもそばがよい
酒に寄た寄た五勺の酒に 一合飲んだら由良之助
お手が鳴りたら調子と悟れ 又も鳴りたら煙草盆
親の意見と茄子びの花は 千に一つの無駄がない
お寺ご問堂に蜂が巣をかけて 坊主出りゃ刺す入りゃ刺す
お寺和尚様栃餅が好きで 昨夜九つ今朝七つ
あまり踊りが退屈したに 踊ょ変えますご連中に  
「熱田神戸節」 (いろは)
いろの恋のと扨やかましい 人のせぬ事するじやなし
いちごそをふと二世迄かけて てうしあわする三下り
今のおきやくに誠があれば たてしはしらに花が咲
ろうかづたへにぬけてはきたが こすにこされぬかべひとへ
六十むくにでそわれぬ時は 唐へいてなとそふてみしよ
花といふじでさかぬもくやし さけばみがなるはづかしや
はらが立つかへ是しき事に かほにもみじをまきちらす
橋のうへから文とりおとし 水にふたりが名をながす 
「ザンザ節」
天竜川原で昼寝をしたら(ヤレザンザ、チョイトザンザ)
鮎に瀬上り夢に見た(ドッコイショ)
お茶はお茶でも見付のお茶は(ヤレザンザ、チョイトザンザ)
海を渡ってアメリカへ(ドッコイショ)
芋がうまいと褒めてはみたが(ヤレザンザ、チョイトザンザ)
三っ日続けばママほしい(ドッコイショ) 
「東雲節」「ストライキ節」
なにをくよくよ 川端柳 焦がるる なんとしょ
川の流れを 見て暮らす 東雲の ストライキ
さりとはつらいね てなこと おっしゃいましたかね
   自由廃業で 廓は出たが それから なんとしょ
   行き場がないので 屑拾い 浮かれ女の ストライキ
   さりとはつらいね てなこと おっしゃいましたかね
三十三間堂 柳のお柳 焦がるる なんとしょ
可愛みどりが 綱をひく 住吉の 街道筋
よいよいよいとな てなこと おっしゃいましたかね
岐阜

 

「郡上踊り」 (「郡上節」) / 「かわさき」
郡上のナー八幡 出ていく時は 雨も降らぬに 袖しぼる
(袖しぼるノー袖しぼる)アソンレンセ(雨も降らぬに袖しぼる) 
天のナーお月様 ツン丸こて丸て 丸て角のて そいよかろ
郡上のナー殿様 自慢なものは 金の弩標(どひょう)に 七家老
心中ナーしたげな 宗門橋(そうもんばし)で 小駄良(こだら)才平(さいべい)と 酒樽と
金がナー出る出る 畑佐の山で 銀と鉛と 赤がねと
向(むかい)ナー小駄良の 牛の子を見やれ 親が黒けりゃ 子も黒い
唄もナー続くが 踊りも続く 月の明るい 夜も続く
日照りナーしたとて 乙姫様の 滝の白糸 切れはせぬ
郡上はナー馬どこ あの磨墨(するすみ)の 名馬出したも 気良(けら)の里
泣いてナー分かれて 松原行けば 松の露やら 涙やら
忘れナーまいぞえ 愛宕の桜 縁を結んだ 花じゃもの
駒はナー売られて いななき交わす 土用七日の 毛附け市
白いナー黒いで 自慢なものは おらが在所の 繭と炭
東殿(とうど)ナー山から 覗いた月を 写す鏡は 吉田川
雪のナー降る夜は 来ないでおくれ かくし切れない 下駄の跡
咲いたナー桜に なぜ駒つなぐ 駒が勇めば 花が散る
郡上のナー八幡 出ていく時は 三度見返(かや)す 枡形を
天のナーお月様 かかぁ盗まれて 雲の間(あい)から かかぁかかぁと
私ゃナー郡上の 山奥育ち 主と駒曳く 糸も引く
嫁をナーおくれよ 戒仏(かいぶつ)薬師 小駄良三里に 無い嫁を
思いナー出しては くれるか様も わしも忘れる ひまがない
お国ナー自慢にゃ 肩身が広い 郡上踊りに 鮎の魚
泣いてナー分かれて いつ逢いましょか 愛(いと)し貴方は 旅のかた
安久田(あくだ)ナー蒟蒻(こんにゃく) 名皿部(なさらべ)牛蒡(ごんぼ) 五町大根(だいこ)に 小野茄子(なすび)
今夜ナー逢いましょ 宮ケ瀬橋で 月の出る頃 上がる頃
見たかナー聞いたか 阿弥陀ケ滝の 滝の高さと あの音を
郡上にナー過ぎたは 長滝講堂 飛騨に過ぎたは 一の宮
音頭ナー取る娘の 可愛い声で 月も踊りも 冴えてくる
盆にゃナーおいでよ 愛(う)い孫連れて 郡上踊りも 見るように
祭りナー見るなら 祖師野(そしの)の宮よ 人を見るなら 九頭の宮
踊らナーまいかよ 祖師野の宮で 四本柱を 中にして
宇山ナー通るとて 会笹(かいざき)見れば 森屋おりんが 化粧する
愛宕ナー三月 桜で曇る 曇る桜に 人が酔う
散るとナー心に 合点はしても 花の色香に つい迷う
鐘がナー鳴るのか 撞木が鳴るか 鐘と撞木と 合うて鳴る
愛宕ナー山から 吉田の流れ 眺め見飽かぬ 宮瀬橋
西もナー東も 南もいらぬ わたしゃあなたの 北がよい
別れナー別れて 歩いておれど いつか重なる 影法師
花のナー愛宕に 秋葉の紅葉 月がのぞくか 吉田川
わしがナー出しても 合わまいけれど 合わぬところは ごめなさりょ
唄もナー続くが 踊りも続く 月の明るい 夜も続く
娘ナー島田に 蝶々がとまる とまるはずだよ 花じゃもの
歌いナーなされよ 向かいのお方 唄で御器量は 下がりゃせぬ
唄でナー御器量が もしいち下がりゃ 時の相場を 上げて
もはやナーかわさきゃ やめてもよかろ 天の川原は 西東
「郡上踊り」 (「郡上節」) / 「古調かわさき」
郡上のナー八幡 コラ出ていく時は 三度見かやす枡形(ますがた)を
(枡形をノー枡形を)アソンレンセ(三度見かやす枡形を)
天のナーお月様 コラかか盗まれて 雲の間(あい)から かかァかかァと
どんなナーことにも コラよう別れんと 様も一口ゃ 言うておくれ
踊りナーつかれて コラはや夜が明けた 何の話も できなんだ
わしのナー殿まは コラこの川上の 水の流れを 見て暮らす
婆さナー枕元 コラ箱根の番所 通り抜けたも 知らなんだ
思いナー出しては コラくれるか様も わしも忘れる 暇がない
夜明けナーましたら コラ起こしておくれ お前頼りで いるわいな
今年ゃナーこうでも コラまた来年は こうもあろまい なよ殿ま
声のナー良い衆は コラその身の徳じゃ 諸国諸人に 思われる
昔ゃナー 侍 コラ今世に落ちて 小笹まざりの 草を刈る
盆のナー十四日にゃ コラ蓮の葉となりて 一夜もまれて 捨てられた
何がナー何でも コラお前さでなけりゃ 東ゃ切れても 夜は明けぬ
桑もナーよく咲け コラお蚕も良かれ 若い糸引きょ 頼まずに
坊主ナー山道 コラ破れし衣 行きも帰りも 木にかかる
今宵ナー一夜は コラ浦島太郎 明けて悔しや 玉手箱
親のナーない子の コラ髪結うてやれば 親が喜ぶ 極楽で
おらがナー若い時ゃ 五尺の袖で 道の小草も なびかせた
二十ナー五日は コラ天神祭 ござれ小瀬子の 茶屋で待つ
天気ナー良ければ コラ大垣様の 城の太鼓の 音の良さよ
天のナー星ほど コラ夜妻あれど 月と守るは 主一人
思うナーようなら コラ竹どよかけて 水で便りが してみたい
咲いてナー悔しや コラ千本桜 鳥も通わぬ 奥山に
泣いてナー別れて コラ松原行けば 松の露やら 涙やら
泣いてナー別れて コラいつ逢いましょか いとしあなたは 旅の人
明日はナーお発ちか コラお名残惜しや 雨の十日も 降ればよい
高いナー山には コラ霞がかかる 若い娘にゃ 気がかかる
郡上はナーよいとこ コラよい茶ができる 娘やりたや お茶摘みに
お前ナー二十一 コラわたしは十九 四十仲良く 暮らしたい
植えてナーおくれよ コラ畦にも田にも 畦はかかまの しんがいに
今日のナー田植えは コラ春三月の 桜花かよ ちらちらと
那比のナー字留良や コラのう亀尾島も 住めば都じゃ のや殿ま
泥でナー咲かした コラこのかきつばた 活けて根じめが 見てほしい
気だてナーよけりゃと コラ言うたことぁ言うたが されどご器量が 気にかかる
人をナー泣かせりゃ コラまた泣かされる ともに泣いたり 泣かせたり
歌はナー唄やれ コラ話はおきゃれ 話ゃ仕事の 邪魔になる
わしとナーあなたと コラ草刈る山に 藪や茨が なけりゃよい
藪やナー茨が コラありゃこそよかれ 藪の木陰も のや殿ま
もはやナーかわさきゃ コラやめてもよかろ 天の川原は 西東
天のナー川原は コラ西東でも 今宵一夜は 夜明けまで
「郡上踊り」 (「郡上節」) / 「げんげんばらばら」
げんげんばらばら何事じゃ 親もないが子もないが
一人貰うた男の児 鷹に取られて今日七日
七日と思えば四十九日 四十九日の墓参り 
叔母所(おばんところ)へ一寸寄りて
羽織と袴を貸しとくれ あるものないとて貸せなんだ
おっぱら立ちや腹立ちや 腹立ち川へ水汲みに
上ではとんびがつつくやら 下ではからすがつつくやら 助けておくれよ長兵衛さん
助けてあげるが何くれる 千でも万でもあげまする
    私ゃ紀の国みかんの性(たち)よ 青いうちから見初められ
    赤くなるのを待ちかねて かきおとされて拾われて
    小さな箱へと入れられて 千石船に乗せられて 
    遠い他国に送られて 肴や店にて晒されて 
    近所あたりの子ども衆に 一文二文と買い取られ 
    爪たてられて皮むかれ 甘いかすいかと味みられ わしほど因果なものはない
立つ立つづくしで申すなら 一月門には松が立つ
二月初午稲荷で幟立つ 三月節句に雛が立つ 
四月八日に釈迦が立つ 五月節句に幟立つ
六月祇園で祭り立つ 七月郡上で踊り立つ
八月九月のことなれば 秋風吹いてほこり立つ
十月出雲で神が立つ 十一月のことなれば
こたつが立ってまらが立つ 十二月のことなれば
借金とりが門に立つ 余り催促厳ししゅうて 内のかかあ腹が立つ
    駕篭で行くのはお軽じゃないか 私ゃ売られていくわいな
    主のためならいとやせぬ しのび泣く音は加茂川か
    花の祇園は涙雨 金が仇(かたき)の世の中か
    縞の財布に五十両 先へとぼとぼ与市兵衛
    後からつけ行く定九郎 提灯バッサリ闇の中
    山崎街道の夜の嵐 勘平鉄砲は二つ玉 
器量がよいとてけん高ぶるな 男がようて金持ちで
それで女が惚れるなら 奥州仙台陸奥の守
陸奥の守の若殿に なぜに高尾が惚れなんだ
    田舎育ちの鶯が初めて東へ下るとき 一夜の宿をとりそこね 
    西を向いても宿はなし 東を向いても宿はなし 梅のこずえを宿として
    花の蕾を枕として落つる木の葉を夜具として 月星眺めて法華経読む
おぼこ育ちのいとしさは しめた帯からたすきから
ほんのりこぼれる紅の色 燃える想いの恋心
かわいがられた片えくぼ 恥ずかしいやらうれしいやら
うっとり貴男の眼の中で 私ゃ夢見るすねてみる
    びんのほつれをかきあげながら 涙でうるむふるい声
    私ゃお前があるがゆえ ほうばい衆や親方に
    いらぬ気兼ねや憂き苦労 それもいとわず忍び逢い
    無理に工面もしようもの 横に車を押さずとも
    いやならいやじゃと言やしゃんせ 相談づくのことなれば 切れても愛想はつかしゃせぬ
    酒じゃあるまいその無理は 外に言わせる人がある
髪は文金高島田 私ゃ花嫁器量よし 赤いてがらはよいけれど 物が言えない差し向かい
貴男と呼ぶも口の内 皆さん覗いちゃ嫌ですよ
    十四の春から通わせおいて 今更嫌とは何事じゃ
    東が切りょか夜が明けようが お寺の坊さん鐘撞こうが
    向かいのでっちが庭掃こが 隣のばあさん火を焚こうが 枕屏風に陽はさそが
    家から親たちゃ連れにこが そのわけ聞かねばいのきゃせぬ
娘十八嫁入り盛り 箪笥長持はさみ箱 
これほど持たせてやるからは 必ず帰ると思うなよ 申しかかさんそりゃ無理よ
西が曇れば雨となり 東が曇れば風となる 
千石積んだ船でさえ 追い手が変われば出て戻る
    筑紫の国からはるばると 父を訪ねて紀伊の国 
    石童丸はただ一人 母の仰せを被りて かむろの宿で名も高き
    玉屋与平を宿として 九百九十の寺々を 
    訪ねさがせど分からない それほど恋しい父上を
    墨染め衣にしてくれた ぜんたい高野が分からない
郡上八幡かいしょう社 十七、八の小娘が
晒しの手拭い肩にかけ こぬか袋を手に持ちて
風呂屋はどこよとたずねたら 風呂屋の番頭の言うことにゃ 風呂はただ今抜きました
抜かれたあなたは良いけれど 抜かれたわたしの身が立たぬ 
「郡上踊り」 (「郡上節」) / 「騒ぎ」
呑めよ騒げよ一寸先ゃ闇よ(コラサ) 今朝も裸の下戸が来た
花が蝶々か蝶々が花か 来てはちらちら迷わせる
水させ水させ薄くはならぬ 煎じつめたる仲じゃもの
さいた盃中見てあがれ 中にゃ鶴亀五葉の松
私ゃ唄好き 念仏嫌い 死出の山路は唄で越す
若い娘と新木(あらき)の船は 人が見たがる乗るたがる
今年ゃうろ年うろたえました 腹におる子の親がない
鶯鳥でも初音はよいに 様と初寝はなおよかろ
向かい小山に 日はさいたれど 嫁の朝寝は起こしゃせぬ
一夜寝てみて寝肌がよけりゃ 妻となされよいつまでも
泣いて別れて松原行けば 松の露やら涙やら
今宵一夜は浦島太郎 開けて口惜しや玉手箱
思い出いてはくれるか様も わしも忘れる暇がない
明日はお立ちかお名残惜しや 雨の十日も降ればよい
親の意見と茄子の花は 千に一つの無駄がない
へちまの野郎がめっぽう太り 育てた垣根を突き倒す
無理になびけと言うのは野暮よ 柳と女は風次第
姉は破れ笠させそでさせん 妹日傘で昼させる
若い内じゃも一度や二度は 親も目長にしておくれ
梅の匂いを桜に持たせ 枝垂れ柳に咲かせたい
梅も嫌いよ桜も嫌だ 桃とももとの合いが好き
色の小白い別嬪さん惚れて 烏みたよな苦労する
ついておいでよこの提灯に 消して苦労はさせはせぬ
三味の糸ほどキュックラキューと締めて 撥の当たるほど寝てみたい
鶯でさえ初音はよいが あなたと初寝はなおよかろ
月のあかりで山道越えて 唄で郡上へ駒買いに
様はよい声細谷川の 鶯の声面白い
惚れてくれるなわしゃ弟じゃに 連れて行くにも家がない
西も嫌いよ東も嫌だ わたしゃあなたの北がよい
浮気男と茶釜の水は わくも早いがさめやすい
惚れていれども好かれておらず 磯の鮑の片思い
今夜寝にくる寝床はどこじゃ 東枕に窓の下
東枕に窓とは言うたが どちが西やら東やら
字余り
竹に雀は あちらの藪からこちらの藪まで チュンチュンバタバタ羽交を揃えて
品よくとまる 止めて止まらぬ色の道
娘島田を 根っからボックリ切って 男のへそにたたきつけ 
それでも浮気の止まない時には
宗十郎の芝居じゃないが 行灯の陰から ヒューヒュラヒュッと化けて出る
雨はしょぼしょぼ降る 蛇の目の唐傘 小田原提灯 
ガラガラピッシャンドッコイ姉さんこんばんは 誰かと思ったら主さんが 
竹の一本橋 すべりそうでころがりそうで危ないけれど 蛇の目の唐傘
お手手をつないで 主となら渡る 落ちて死んでも二人連れ
竹になりたや 大阪天満の天神様の お庭の竹に
元は尺八中は笛 裏は大阪天満の天神様の文を書く 法名を書く筆の軸
摺り鉢を伏せ眺める三国一の 味噌をするのが富士の山
ござるたんびに ぼた餅かい餅うどんにそうめんそば切りやないで
なすび漬け喰ってお茶まいれ
郡上八幡 来年来るやら又来ないやら 来ても逢えるやら逢えぬやら
竹の切り株に なみなみたっぷり溜まりし水は 澄まず濁らず出ず入らず
瀬田の唐橋 膳所(ぜぜ)の鍛冶屋と大津の鍛冶屋が
朝から晩まで飲まずに食わずにトッテンカッテン 叩いて伸ばして
持って来てかぶせた唐金擬宝珠(ぎぼし) それに映るは膳所の城
朝顔の花の 花によく似たこの杯は 今日もさけさけ 明日もさけ
十二本梯子を 一挺二挺三挺四挺五六挺かけても 届かぬ様は 
お天道様じゃとあきらめた
あまりしたさに 前に鏡立て中よく見れば 中は紺ちゃん黒茶のエリマキシャーリング 
らしややしょじょひの立烏帽子
声が出ない時ゃ 干支じゃないけど ネウシトラウタツミの隣のどん馬のけつを 
ギュッギュらくわえてチュッチュラチュとすやれ 馬のけつから声が出る 
「郡上踊り」 (「郡上節」) / 「三百」
ハア揃えてござれ(ホイ)小豆ょかすよに ごしょごしょと
(ごしょごしょとノーごしょごしょと)ホイ小豆ょかすよに ごしょごしょと
ハアヨーオイヨイコリャー
今年はじめて三百踊り(ホイ) おかしからずよ 他所の衆が
(他所の衆がノー他所の衆が)ホイ(おかしからずよ 他所の衆が)
誰もどなたも 揃えてござれ 小豆ょかすよに ごしょごしょと
おらが若い時ゃ チョチョラメてチョメて やかんかけるとて 魚籠(びく)かけた
越前歩荷(ぼっか)の荷なら そこに下すな 鯖くさい
今の音頭さは どんまいとこはねた おらもそこらと 思ていた
何もかも仲間 なすび汁煮りゃ なお仲間
買うておくれよ 朝鮮ベッコウのかんざしを 村でささぬは わしゃ一人
泥鰌(どじょう)すいてきたに おかかなすびの ほぞとりゃれ
どっこいしょと 堀越を越えて 行けば宮代 一夜とる
寝たか寝なんだか まくらに問やれ まくら正直 寝たと言うた
思い出しては くれるか様も わしも忘れる 暇がない
切れてしまえば バラバラ扇子 風のたよりも 更にない
土京(どきょう)鹿倉(かくら)のどんびき踊り 一つとんでは 目をくます
てっかりてっかりてっかりと 金のようらく 下げたよな
竹の切り株ちゃ 酒呑童子の小便桶(しょんべんけ) 澄まず濁らず 出ずいらず
猫がねずみ取りゃ いたちが笑う いたち笑うな われも取る
禿げた頭を やかんじゃと思て 番茶つまんで 叱られた
後家とやもめと 座頭(ざっと)の子と瞽女と 禅宗坊様と お比丘尼と
暑い寒いの 挨拶よりも 味噌の百匁も くれりゃよい
泣いて別れて 清水橋越えて 五町のせば岩で けつ叩く
今年ゃ何でもかんでも 嫁入りせにゃならぬ 同じすること 楽にする
嫁入りしたけど しやわせわるて へそが出べそで 帰された
川の瀬でさえ 七瀬も八瀬も 思い切る瀬も 切らぬ瀬も
わしが出しても 合わまいけれど 合わぬところは 御免なさりょ
盆が来たなら するぞえかかま 箱の宝の 繻子の帯
面白い時ゃ お前さと二人 苦労する時ゃ わし一人
田地買おうか 褌買うか どちらも倅の ためになる
昔馴染みと 蹴つまずく石は 憎いながらも 後を見る
様となら行く わしゃどこまでも 枝垂れ柳の 裏までも
井戸の蛙と そしらばそしれ 花も散り込む 月も差す
蕾が花よと 言うたは道理 開きゃ嵐に 誘われる
よせばいいのに 舌切り雀 ちょっと舐めたが 身のつまり
声がかれたに 水くりょと言うたら くんでくれたよ 砂糖水を
恋に焦がれて 鳴く蝉よりも 鳴かぬ蛍が 身を焦がす
娘したがる 親させたがる 箱の宝の 繻子の帯
お前二十一 私は十九 四十仲良く 暮らしたい
姉がさすなら 妹もさしゃれ 同じ蛇の目の 唐傘を
同じ蛇の目の 唐傘をさせば どちが姉やら 妹やら
音頭取りめが 取りくだぶれて さいた刀を 杖につく 
「郡上踊り」 (「郡上節」) / 「甚句」
櫓ヨー太鼓に ふと目を覚まし
明日はヨーどの手で コイツァ投げてやる
角力(すもう)にゃエー負けても 怪我さえなけりゃ たまにゃヨー私も コイツァ負けてやる 
思うヨー様なら 竹よとかけて 水でヨー便りが コイツァして見たい
角力にゃエー投げられ 女郎(おやま)さんにゃふられ どこでヨー立つ瀬が コイツァわしが身は
夜明けヨーましたら 起こしておくれ お前ヨー頼りで コイツァ居るわいな
角力ナー取りじゃの 道楽じゃのと 言うてヨー育てた コイツァ親はない
今年ゃヨーこうでも また来年は こうもヨーあるまい コイツァなよ殿ま
歌うてエー出たぞえ お庭の鳥が いつにヨー変わらぬ コイツァ良い声で
嫁をエーおくれよ 戒仏薬師 小駄良ヨー三里に コイツァない嫁を
白いヨー黒いで 自慢なものは おらがヨー在所の コイツァ繭と炭
小田のエーかわずは 身にあやまりが あるかヨー両手を コイツァついて鳴く
ついてヨー行きたい 送りに出たい せめてヨー御番の コイツァ札所まで
どうせヨーこうなら 二足の草鞋 ともにヨー履いたり コイツァ履かせたり
信州エー信濃の新蕎麦よりも わたしゃヨーあなたの コイツァそばがよい
絞りヨー浴衣に かんざし添えて 毛付けヨー土産と コイツァ投げ込んだ
馬じゃヨー摺墨(するすみ) 粥川鰻 響くヨー那留石 コイツァ宗祇水
盆のエー十四日にゃ お寺の前で 切り子ヨー行燈を コイツァ中にして
よそのエー若い衆か よう来てくれた 裾がヨー濡れつら コイツァ豆の葉で
盆じゃヨー盆じゃと 待つ内ゃ盆よ 盆がヨーすんだら コイツァ何を待つ
お前ヨー一人か 連れ衆はないか 連れ衆ヨーあとから コイツァ駕籠で来る
小那比エー松茸 前谷山葵 気良じゃヨー馬のこ コイツァ坪佐炭
天気エーよければ 天王様の 宮のヨー太鼓の コイツァ音のよさ
ここのヨーお庭に 茗荷と蕗と 御冥加ヨー栄える コイツァ富貴繁盛
お前ヨー松虫 わしゃきりぎりす 障子ヨー一重で コイツァ鳴き明かす
八重のエー山吹 派手には咲けど 末はヨー実のない コイツァことばかり
せかずとお待ちよ 時節がくれば 咲いてヨーみせます コイツァ床の梅
上をエー思えば 限りがないと 下をヨー見て咲く コイツァ百合の花
いやなエーお方の 親切よりも 好きなヨーお方の コイツァ野暮がよい
惚れりゃエー千里も 一里じゃなどと 虎のヨー尾につく コイツァ古狐
紺のヨー暖簾に 松葉の散らし まつにヨーこんとは コイツァ気にかかる
ついてヨーおいでよ この提灯に けしてヨー苦労は コイツァさせはせぬ
姉とヨー言うたれど 妹をおくれ 姉はヨー丙の コイツァ午の年
姉はヨー丙の 午年なれど 妹ヨー庚の コイツァ申の年
郡上はエーよいとこ 住みよいところ 水もヨー良ければ コイツァ人もよい 
野口雨情作詩
踊りエー踊ろうとて 人さまよせて 一目ヨー逢いたい コイツァ人がある
今夜エー逢いましょう 宮ケ瀬橋で 月のヨー出る頃 コイツァ昇る頃
山にエー春雨 野に茅花(つばな) いねのヨー陰から コイツァつばくらめ
青いエーすすきに 蛍の虫は 夜のヨー細道 コイツァ通て来る
狸エー出てきて お月さんに化けな 今夜ヨー闇夜で コイツァ道ぁ暗い
踊りエー踊るのに 下うつむいて 誰にヨー気兼ねを コイツァするのやら
秋のエー夜長を 夜もすがら 空にヨーまんまる コイツァ月の影
谷のエー木陰に 降る雪は 笹にヨーそばえて コイツァ夜を明かす
雲のエー行き来に また山隠す 郡上はヨー山又 コイツァ山の中 
「郡上踊り」 (「郡上節」) / 「春駒」
(七両三分の春駒春駒)
郡上は馬どこ あの磨墨の 名馬 出したも ササ気良の里(七両三分の春駒春駒)
私ゃ郡上の 山奥育ち 主と馬曳く ササ糸も引く
金の弩標(どひょう)は 馬術のほまれ 江戸じゃ赤鞘(あかざや) ササ郡上藩
駒は売られて いななき交わす 土用七日の ササ毛附け市
なんと若い衆よ 頼みがござる 今宵一夜は ササ夜明けまで
日照りしたとて 乙姫様の 滝の白糸 ササ切れはせぬ
村じゃ一番 お庄屋様の 小町娘の ササ器量のよさ
踊り子が来た 大門先へ 繻子(しゅす)の帯して ササ浴衣着て
二十五日は 天神祭り ござれ小瀬子の ササ茶屋で待つ
東殿(とうど)山から 覗いた月を 映す鏡が ササ吉田川
様が三夜の 三日月様を 宵にちらりと ササ見たばかり
親のない子に 髪結うてやれば 親が喜ぶ ササ極楽で
様が様なら 私じゃとても かわる私じゃ ササないわいな
様は三夜の 三日月様よ 宵にちらりと ササ見たばかり
親の意見と 茄子(なすび)の花は 千に一つの ササ無駄はない
郡上の殿様 自慢なものは 金の弩標(どひょう)に ササ七家老
揃た揃たよ 踊り子が揃た 二番すぐりの ササ麻の様に
踊り上手で 身上持ちようて 赤い襷の ササ切れるまで
踊り踊って 嫁の口なけりゃ 一生後家でも ササ構やせぬ
踊り助平が 踊りの夢で 音頭寝言に ササ取っている
踊り助平が 今来たわいな わしも仲間に ササしておくれ
向かい小山に 日はさいたれど 嫁の朝寝は ササ起こしゃせぬ
人は一代 名は末代と およしゃお城の ササ人柱
馬は三才 馬方二十歳 着けたつづらの ササ品のよさ
音頭取りめが 橋から落ちて 橋の下でも ササ音頭取る
遠く離れて 咲く花待てば 散りはせぬかと ササ気は紅葉
思うことさえ 言われぬ口で 嘘がつかれる ササはずがない
島田娘と 白地の浴衣 ちょっとしたまに ササ色が着く
からむ朝顔 ふり切りかねて 身をばまかせた ササ垣の竹
肩を叩くは 孝行息子 すねをかじるは ササどら息子
嫌な雪じゃと はね返しても 義理が積もれば ササ折れる竹
花は咲いても わしゃ山吹の ほんに実になる ササ人はない
愛宕山から 春風吹けば 花の郡上は ササちらほらと
咲いた桜に なぜ駒つなぐ 駒が勇めば ササ花が散る
今日は日がよて 朝からようて 思う殿まに ササ二度会うた
声はすれども 姿は見えぬ 様は草場の ササきりぎりす
様が草場の きりぎりすなら わたしゃ野山の ササほととぎす
音頭取りめが 取りくだぶれて さいた刀を ササ杖につく 
「郡上踊り」 (「郡上節」) / 「猫の子」
ヤアヨーホーイヤーヨーイ
猫の子がよかろ(猫の子がよかろ)
猫でしやわせ コラねずみょ取る
(ねずみょ取るノーねずみょ取る 猫でしやわせ コラねずみょ取る)
猫がねずみ取りゃ いたちが笑う いたち笑うな コラわれも取る
誰もどなたも 猫の子にしょうまいか 猫でしやわせ コラねずみょ取る
てっかりてっかりてっかりと 金のようらく コラ下げた様な
親の意見と茄子の花は 千に一つの コラ無駄がない
よせばいいのに 舌切り雀 ちょいとなめたが コラ身のつまり
坊主山道 破れし衣 行きも帰りも コラ気にかかる
大笹原で 誰か寝たよな コラ跡がある
寝たか寝なんだか 枕に問やれ 枕正直 コラ寝たと言うた
婆さ枕元 箱根の番所 通り抜けたも コラ知らなんだ
越前歩荷(ぼっか)の荷なら そこで下ろすな コラ鯖くさい
破れ褌 将棋の駒よ 角と思えば コラ金が出た
夕んべ夜這人(よばいにん)が 猫踏みころいた 猫で返しゃれ コラ熊笹で
夕んべ夜這人(よばいと)が 二階から落ちて 猫の鳴き真似 コラして逃げた
様と三日月ゃ 宵にばかござる いつかござれよ コラ有明に
来るか来るかと 待つ夜は来ずに 待たぬ夜に来て コラ門に立つ
門に立ったる 西国巡礼 住まい名乗れよ コラ婿に取る
住まい名乗れば 恥ずかしょござる 旧の目とりの コラ子でござる
坊主だまいて 金取ろまいか せんぶまんぶの コラお経の金
鶯鳥でも 初音は良いに 様と初寝は コラなお良かろ
様の親切 たばこの煙 次第次第に コラ薄くなる
色で身を売る 西瓜でさえも 中にゃ苦労の コラ種がある
元まで入れて 中で折れたら コラどうなさる
一夜寝てみて 寝肌が良けりゃ 妻となされよ コラ末までも
一夜ござれと 言いたいけれど まんだ嬶まの コラ傍で寝る
何と若い衆よ じゃけらはおきゃれ じゃけらしてから コラ子ができた
姉と言うたれど 妹をおくれ 姉は丙の コラ午の年
夜は何時じゃ しのべ九つ コラ夜は七つ
切れてしまえば バラバラ扇子 風の便りも コラ更にない
昔馴染みと 蹴つまづいた石は 憎いながらも コラ後を見る
小野の娘と 馴染みになれば 日焼けなすびを コラただくれる
竹に雀は 品よく止まる 止めて止まらぬ コラ色の道
よそへ踏み出し はばかりながら 音頭とります コラ御免なさりょ
桑の中から 小唄がもれる 小唄聴きたや コラ顔見たや
おもて四角で 心は丸い 人は見かけに コラよらぬもの
けちで助平で 間抜けで馬鹿で お先煙草で コラ屁をたれる
好きと嫌いと 一度に来たら 箒建てたり コラ倒したり
腰のひねりで きが行くなれば 筏流しは コラ棹ささぬ
よそで陽気な 三味線聞いて 内で陰気な コラ小言聞く
金が持ちたい 持ちたい金が 持てば飲みたい コラ着てみたい
よくもつけたよ 名を紙入れと ほんにあるのは コラ付けばかり
思うて通えば 千里も一里 障子一重も コラ来にゃ遠い
嫌と言うのに 無理押し込んで 入れて鳴かせる コラ籠の鳥
どっこいしょと 堀越こえて 行けば宮代 コラ一夜とる
一合の酒も 口で移せば コラ二合となる
門に立ったる 西国巡礼 住まい名乗れよ コラ婿に取る
住まい名乗れば 恥ずかしょござる 臼の目とりの コラ子でござる
一つ事ばか 面白ないで 品を替えては コラやろまいか 
「郡上踊り」 (「郡上節」) / 「松坂」
ヨーホーイモヒトツショ
合点と声がかかるなら これから文句に掛かりましょ
すべてお寺は檀家(だんけ)から 痩せ畑作りはこやしから
下手な音頭も囃しから お囃子頼む総輪様(そうわさま)
名所案内
鵜舟の篝火赤々と 世にも名高き長良川
その水上(みなかみ)の越美線(えつみせん) 郡上八幡名にしおう
三百年の昔より 士農工商おしなべて
泰平祝う夏祭り 音頭手拍子面白く
唄い楽しむ盆踊り 郡上の八幡出る時は
雨も降らぬに袖しぼる これぞまことのにこの里の
人の心をそのままに いつしか唄となりにかる
山は秀でて水清く 春は桜の花に酔い
秋はもみじ葉茸狩り 夏は緑の涼風や
冬また雪の遊戯(たわむれ)と 名所の多き郡(こおり)とて
訪ねる人の数々に いざや探らん道しるべ
大日ケ岳仰ぎつつ 阿弥陀ケ滝をおとなえば
六十丈の虹吐いて 夏よせつけぬ滝の音
滝の白糸長々と 一千年の昔より
由緒(いわれ)は深き長瀧に 今も睦月の六つの日を
喜び菊の花祭り 人は浮かれてくるす野の
宮居に匂う桜花 緑萌え出る楊柳寺(ようりゅうじ)
のどかなる野の那留(なる)石の その名は高く世に響く
宗祇の流れ今もなお 汲みてこそ知れ白雲(しらくも)の
絶えせぬ水の末かけて 積もる翠(みどり)の山の上(え)に
霞ケ城の天守閣 朝日に映る金の鯱(しゃち)
昔を偲ぶ東殿(とうでん)の 山の端出づる月影に
匂う愛宕のすみぞめや 彼岸桜や山桜
訪(と)い来る人の絶え間なく 杖ひくからぬ稚児の峰
卯山(うやま)おろしの風穴に いでそよそよと立ちし名の
浮きて流るるあさが滝 深き思いを叶(かなえ)橋
行き交う人は深草の 小町にちなむ小野の里
契りはかたき石の面(も)に 写りまします管公(かんこう)の
冠ならぬ烏帽子岳 麓続きの村里は
寿永の名馬磨墨(するすみ)の 出し所と言い伝う
名も高光にゆかりある 高賀の山の星の宮
矢納ケ淵(やとがふち)や粥川に 振り返りつつ蓬莱の
岩間流るる長良川 河鹿の声のおちこちに
ひかれて舟に棹させば 浮世の塵もいつしかに
洗い捨てたる心地する 水の都か花の里
郡上の八幡出る時は 雨も降らぬに袖しぼる
踊りと唄とで町の名も 広く聞こえて栄ゆく
里の皆衆も他所の衆も 音頭手拍子うちそろえ
これぞ真に総輪様 永く伝わるこの里の
郡上おどりの誉をば 万代(よろずよ)までも伝えなん
歌の殿様
お聞きなされよ皆の衆 歌の殿様常縁(つねより)が
歌で天下に名をあげて 歌でお城を取り戻す
平和の里にふさわしき 歌の郡上の物語
郡上のお城の始まりは 下総東氏(とうし)が功により
山田の庄を加えられ 承久年間胤行(たねゆき)は
剣 阿千葉に館して 郡上東家の開祖(もと)となる
文武すぐれしわが東家 代々にすぐれし和歌の道
勅撰集に名を連ね その名天下に聞こえたり
戦乱続き消えかけし 足利時代の文学(ふみ)の道
支えしちからはわが東家 五山文学あればこそ
殊に七代常縁は 和歌に秀でし功により
公家将軍の歌会(うたえ)にも 常に列して名は高し
時に関東(あづま)に乱起こり ときの将軍義政は
常縁公に命じてぞ 東庄回復はかりたる
常縁郡上の兵連れて 関東に転戦十余年
その頃京は応仁の 戦乱長くうち続き
美濃の土岐氏は山名方 郡上の東家は細川に
昨日の友は今日の敵 争いあうぞ是非もなき
ついに土岐氏の家臣なる 斎藤妙椿(みょうちん)大挙して
東氏本城篠脇の 城を襲いて奪いけり
常縁関東にこれを聞き いたく嘆きて歌一首
亡父追善法要に ちなみて無常歌いしに
この歌郡上に伝わりて 聞く者胸をうたれけり
妙椿これを伝え聞き 心は通う歌の道
敵とはいえど常縁の ゆかしき心思いやり
関東の空に歌だより ついに一矢(いっし)も交えずに
十首の歌と引き換えに 郡上の領地返しけり
かくて再び常縁の 徳にうるおう郡上領
歌の真実(まこと)のふれあいに 恩讐こえて睦み合い
戦わずして手に入りし 歌の花咲く郡上領
げにもゆかしき和歌の徳 歌の真実の貴さよ
歌で開けしわが郡上 歌でお城も守られて
歌の郡上の名も高く 平和日本ともろともに
栄えゆくこそうれしけれ 栄えゆくこそうれしけれ
宗祇水
歌の殿様常縁公 歌でお城を取り戻し
いよいよ光る和歌の徳 その名天下にとどろきて
時の帝(みかど)の召しにより 公卿将軍の師ともなり
九十四年の生涯は ひたすら励む歌の道
宗祇法師も都から 文明二年はるばると
あこがれ訪い篠脇の 城に学びし古今集
励む三年(みとせ)の功なりて ついに奥義の秘伝受け
師弟もろとも杖をひく 郡上名所の歌の遺跡(あと)
妙見社頭にいたりては 「神のみ山の花ざかり
桜の匂う峰」を詠み 那比神宮に詣でては
「神も幾世か杉の杜 みやいはなれぬほととぎす」
文明五年秋すぎて 宗祇都に帰るとき
常縁これを見送りて 別れを惜しむ小駄良川
桜樹(おうじゅ)の下に憩いては 名残は尽きず「紅葉(もみじば)の
流るる竜田白雲の 花のみよしの忘るな」と
心を込めし餞(はなむけ)の 歌の真実は今もなお
その名もゆかし宗祇水 清き泉はこんこんと
平和の泉とこしえに 歌の聖のいさおしと
奏で続けるうれしさよ 讃え続けるゆかしさよ
およし物語
およし稲荷の物語 昔の歌の文句にも
きじも鳴かずば撃たれまい 父は長良の人柱
ここは郡上の八幡の 霞ケ城を造る時
お上の評定ありけるが あまた娘のある中に
およしといえる娘あり 里の小町とうたわれて
年は二八か二九からぬ 人にすぐれし器量よし
ついに選ばる人柱 聞きたる親子の驚きは
何に例えるものはなし 親子は思案にくれ果てて
泣くばかりなる有様も お上の御用と聞くからは
ことわるすべもなく涙 そこでおよしはけなげにも
心を決めて殿様や お城のためや親のため
死んで柱にならんとて 明日とは云わず今日ここに
進んで死出の旅支度 白の綸子(りんず)の振袖に
白の献上の帯をしめ 薄化粧なる髪かたち
静かに立ちし姿こそ 霜におびえぬ白菊の
神々しくも見えにける すでに覚悟の一念に
西に向かいて手を合わせ 南無や西方弥陀如来
後世を救わせ給えかし また父母にいとまごい
先立つ不幸許してと あとは言葉も泣くばかり
これが今生のお別れと 後ろ髪をばひかれつつ
一足行っては振り返り 二足歩いて後戻り
親子の絆切れもせず 親も泣く泣く見送りて
どうぞ立派な最期をと 口には云えず胸の内
ただ手を合わすばかりなり かくて時もうつるとて
役人衆にせかれつつ およし一言父母と
呼ばわる声もかすかなり 空には星の影もなく
ただ一声のほととぎす 声を残して城山の
露と消えゆく人柱 この世の哀れととどめける
これぞおよしのいさおしと 伝え聞いたる人々は
神に祈りて今もなお およし稲荷の物語
「郡上踊り」 (「郡上節」) / 「やっちく」
私がちょいと出てべんこそなけれど 私ゃ郡上の山中家(さんちゅうや)に住めば
お見かけ通りの若輩なれば 声も立たぬがよ文句やも下手よ
下手なながらも一つは口説く 口説くに先立ち頼みがござる
とかくお寺は檀家衆が頼り やせ畑作りは肥やしが頼り
村の娘達ゃ若い衆が頼り そして又若い衆は娘さんが頼り
下手な音頭取りゃおはやし頼り ヤッチクヤッチクさとおはやし頼む
調子揃えば文句やにかかる
上の巻
これは過ぎにしその物語 聞くも哀れな義民の話
時は宝暦五年の春よ 所は濃州郡上の藩に
領地三万八千石の その名金森出雲の守は
時の幕府のお奏者役で 派手な勤めにその身を忘れ
すべて政治は家老に任せ 今日も明日もと栄華にふける
金が敵か浮世の習い お国家老の粥川仁兵衛
お江戸家老と心を合わせ ここに悪事の企ていたす
哀れなるかな民百姓は あれもこれもと課税が増える
わけて年貢の取りたてこそは いやが上にも厳しい詮議
下の難儀は一方ならず かかる難儀に甚助殿は
上の噂をしたとの科で すぐに捕らわれ水牢の責め苦
責めた挙げ句が穀見ケ原で 哀れなるかな仕置と決まる
かくて苦しむ百姓衆を 見るに見かねた名主の者が
名をば連ねて願い出すれど 叶うどころか詮議は荒く
火責め水責め算盤責めに 悶え苦しむ七十余人
餓え死にする者日に増すばかり 最早堪忍これまでなりと
誰が出したか回状が廻る 廻る回状が何よと問えば
北濃一なるアノ那留ケ野に 心ある衆皆集まれと
事の次第が記してござる
中の巻
時が来かよ三千余人 蓆旗や竹槍下げて
百姓ばかりが雲霞のごとく 既にお城へ寄せんず時に
待った待ったと人押し分けて 中に立ったは明方村の
気良じゃ名主の総代勤め 人に知られた善右衛門殿で
江戸に下りて将軍様に 直訴駕籠訴を致さんものと
皆に図れば大勢の衆が 我も我もと心は一つ
わけて気強い三十余人 道の難所と日数を重ね
やがてついたが品川面 されど哀れや御用の縄は
疲れ果てたるその人々を 一人残らず獄舎に繋ぐ
聞くも涙よ語るも涙 ここに哀れな孝女の話
名主善右衛門に一人の娘 年は十七その名はおせき
父はお江戸で牢屋の責め苦 助け出すのは親への孝行
そっと忍んで家出をいたし 長の道中もか弱い身とて
ごまの蠅やら悪者どもに 既に命も危ういところ
通り合わした天下の力士 花も実もある松山関と
江戸屋親分幸七殿が 力合わせて娘を助け
江戸に連れ行き時節を待てば 神の力か仏の業か
幸か不幸か牢屋が焼ける それに紛れて善右衛門殿は
逃れ逃れて墨田の土手で 巡り会うのも親子の縁よ
時節到来御老中様が 千代田城にと御登城と聞いて
名主善右衛門はじめといたし 同じ願いに五人の者は
芝で名代の将監橋で 恐れながらと駕籠訴いたす
かくて五人はその場を去らず 不浄縄にといましめられて
長井間の牢屋の住まい 待てど暮らせど吟味はあらず
もはや最後の箱訴なりと 城下離れし市島村の
庄屋孫兵衛一味の者は 江戸に下りて将軍様に
箱訴なさんと出で立つ間際
下の巻
話かわりて孫兵衛宅の 妹お滝は利発な生まれ
年は十六つぼみの花を 水仕奉公と事偽りて
二年前から間者の苦労 今日も今日とて秘密を探り
家老屋敷をこっそり抜けて 家へ戻って語るを聞けば
下る道中太田の渡し そこに大勢待ち伏せなして
一人残らず捕らえるたくみ そこで孫兵衛にっこり笑い
でかした妹この後とても 秘密探りて知らせてくれよ
言うてその夜に出立いたす 道の方角からりと変えて
伊勢路回りで桑名の渡し 宮の宿から船にと乗りて
江戸に着いたは三月半ば 桃の節句はのどかに晴れる
四月三日に箱訴いたし すぐにお裁き難なく終わり
悪政露見で金森様は ついにお家も断絶いたす
それに連なる重役達も 重いお仕置きまた島流し
名主お庄屋その他の者は 願い主とて皆打ち首と
ここに騒動も一段落し 宝暦九年は青葉の頃に
郡上藩へは丹後の宮津 宮津城主の青山様が
御高四万八千石で 御入城とは夢見る心地
政治万端天地の変わり 長の苦しみ一時に消えて
いつものどかに郡上の里
めでためでたの若松様か 枝も栄える葉も茂る
これぞ義民の賜ぞとて ともに忘るなその勲しを
ともに伝えん義民の誉れ 
「およし稲荷」 
およし稲荷の物語 昔の歌の文句にも
きじも鳴かずば撃たれまい 父は長良の人柱
ここは郡上の八幡の 霞ケ城を造る時
お上の評定ありけるが あまた娘のある中に
およしといえる娘あり 里の小町とうたわれて
年は二八か二九からぬ 人にすぐれし器量よし
ついに選ばる人柱 聞きたる親子の驚きは
何に例えるものはなし 親子は思案にくれ果てて
泣くばかりなる有様も お上の御用と聞くからは
ことわるすべもなく涙 そこでおよしはけなげにも
心を決めて殿様や お城のためや親のため
死んで柱にならんとて 明日とは云わず今日ここに
進んで死出の旅支度 白の綸子の振袖に
白の献上の帯をしめ 薄化粧なる髪かたち
静かに立ちし姿こそ 霜におびえぬ白菊の
神々しくも見えにける すでに覚悟の一念に
西に向かいて手を合わせ 南無や西方弥陀如来
後世を救わせ給えかし また父母にいとまごい
先立つ不幸許してと あとは言葉も泣くばかり
これが今生のお別れと 後ろ髪をばひかれつつ
一足行っては振り返り 二足歩いて後戻り
親子の絆切れもせず 親も泣く泣く見送りて
どうぞ立派な最期をと 口には云えず胸の内
ただ手を合わすばかりなり かくて時もうつるとて
役人衆にせかれつつ およし一言父母と 
呼ばわる声もかすかなり 空には星の影もなく
ただ一声のほととぎす 声を残して城山の
露と消えゆく人柱 この世の哀れととどめける
これぞおよしのいさおしと 伝え聞いたる人々は
神に祈りて今もなお およし稲荷の物語  
石川

 

「柏野じょんがら節」 
ハアここは加賀国柏の宿よ(ハアドッコイ)
 昔ゃ宿場でその名も知れる(アードッコイセドッコイセー)
ハア昔ゃ宿場でその名も知れる 今は踊りでその名も高い
ハアあの娘じょんな娘じゃ わし見てわろた わしも見てやろ アリャわろてやろ
ハア唄の村だよ柏野在所は 田植え草取り アリャ唄で取る 
「団七踊り」「娘仇討ち白石口説やんれ節」 (「柏野じょんがら」)
国は奥州白石郡(おうしゅうしらいしごうり) 坂田村(さかたむら)にて百姓の与太郎(よたろう)
心正しき律儀(りちぎ)な者よ 与太郎女房をお小夜(さよ)と言うて
二人みめよき娘がござる 姉はお宮よ妹はお信
二人もろとも愛嬌者(あいきょうもの)で 器量(きりょう)よいこと人並みすぐれ
殊(こと)に両親孝行(ふたおや)なさる 家内睦まじ繁盛(はんじよ)な暮らし
奥州白石郡坂田村の百姓与太郎と女房のお小夜、それにお宮・お信の姉妹の四人は、貧しいながらも仲睦まじく暮らしていた。
6月なかばのある日、与太郎と二人の娘たちは、うちそろって田の草取りをしていた。ところが、妹娘のお信が畦の小道へ投げ捨てた田の草が、折悪しくそこを通りかかった志賀団七という武士の足にあたってしまった。団七は、近郷近在の百姓たちから毛虫のように嫌われている悪役人である。かねて姉娘のお宮に恋慕して父与太郎から断わられ、遺恨に思っていた。与太郎は仰天して、笠をぬぎすてると畔道に手をついて、
さても貴方と少しも知らず 無礼致した二人の娘
どうぞ堪忍お許しなされ
と死物狂いで許しを請うた。ところが団七は、
おのれこあまに言い付けおいて わざと致した仕業であろう
憎つくい奴らよ許しはせぬ
と、腰の大刀を抜くよりはやく、いきなり与太郎を一刀のもとに切り殺してしまう。
ととさん、のうととさん
と取り残された母子三人は、与太郎の死骸にとりすがってただただ泣きくずれるばかりであった。かけつけた村人たちも、あまりのことにともども嘆き悲しむばかりでなすすべを知らない。と、庄屋太郎兵衛は、やがて心をとりなおし、
これさお小夜や二人の娘 さぞや悲しく悔しくあろう
いまにわれらに仇きを取らせ 恨み晴らしてくれようほどに
心直し時節を待て
と、かたい決意の上、母子をなぐさめるとともに、村人たちと相談した上、団七の仕業をくわしく書きしたためて、領主の所へ訴え出た。百姓たちからの訴えを聞いた領主は、大いに怒り、
たとえ慮外を致したとても 国の宝の民百姓をば
むざと手に掛け不届き者よ 殊によこしま非道を致し
われが役目を権威にかけて 諸事をはからう大胆者よ
とて、すぐに使者を遣わして団七に切腹を仰せつけた。この使いを受けると、団七はあわてて逃げ出し行方をくらましてしまう。泣く泣く葬式をすませ、四十九日の追善供養を営みおえると、巡礼姿に身をかためた母娘三人は、親類や村人たちのはげましに送られながら、仇討ちの旅にのぼる。路銀を使いはたした旅先の宿で母に死なれた後、さらに数々の苦労をなめた末、姉妹は、とうとう父の仇き志賀団七を討ちとる。
さすが団七真陰流の その名聞こえし達人なれば
すでに宮城野危うく見える そこで信夫は陣鎌持ちて
鎖投げれば団七殿の 腕にからむを後へ引けば
姉は突きこみききてを落とす そこで団七数所へ手疵
とてもかなわぬ運命つきる 姉と妹は止めを刺して
積もる思いの恨みも晴れて 本望遂げます二人の娘
世にも稀なる仇討ちでござる
「能登麦屋節」 
能登の七浦(しつら)でエエナ 竹切るイナー(チョイト)
音はイナー三里聞こえてイナー(チョイト)
五里サーイナー響くイヤー(アラチョイト五里響くヤイナー)
 三里聞こえてイナー(チョイト)五里サーイナー響くヤー
麦や小麦は 二年ではらむ 米やお六は 年ばらみ
(アラチョイト年ばらみヤーイナ) 米はお六は 年ばらみ
輪島麦屋は 七軒(ななやけ) 八軒(ややけ)
(アラチョイト八軒ヤーイナ) 中の麦屋で 市が立つ
竹の丸木橋ゃ滑って転んで危ないけれども 君となら渡る
(アラチョイト君となら渡るヤーイナ) 落ちて死ぬとも 諸ともに

能登の七浦で 竹切る イナ (チョイト)
音はヤーイナ 三里きこえて イナ (チョイト)
五里サヤー イナ ひびくやー
アラチョイト 五里ひびくやーイナ
三里きこえて イナ (チョイト)
五里サヤー イナ ひびくやー
麦や小麦はイナ 二年で イナ (チョイト)
孕むヤーイナ 米屋お六は イナ (チョイト)
年サヤー  イナ ばらみやー
アラチョイト 年ばらみやーイナ
米屋お六は イナ (チョイト)
年サヤー イナ

麦屋小麦はイナ 2年でイナ 腹はらむイナ 米はおろくでイナ
年さやイナ ばらみや
   能登の七浦でイナ 竹切るイナ 音サヤイナ 三里聞こえてイナ
   五里サヤイナ 響くや
竹の丸木橋や すべってころんで あぶないけれど 君となら
渡るヤイナ 落ちて死ぬともイナ
もろいサヤイナ ともにヤ アラチョイト もろともにヤイナ
落ちて死ぬともイナ もろいサヤイナ
(古謡)
輪島み町の麦屋を(麦挽き)やめて いつか小伊勢の橋渡ろ
輪島名所と連れては来たが 何が名所や麦挽きや
麦は小麦2年で孕む 米はお禄で年ばらみ
能登の志津良(七浦)で竹切る音は 三里聞こえて五里響く
(富山県五箇山)
(ジャーントコイ ジャーントコイ)
麦や菜種はアイナー 2年でエイナー 刈るにゃーアイナー 麻が刈らりょか
 アイナー 半土用にイナー (ジャーントコイ ジャーントコイ)
心淋しや 落ちてゆく 道は 河の鳴る瀬と 鹿の声
河の鳴る瀬に 絹機(きぬはた)たてて 波に織らせて岩に着しょ
烏帽子狩衣(えぼしかりぎぬ)脱ぎ打ち棄てて 今は越路の 杣(そま)刀
(富山県五箇山・古謡)
麦や菜種は2年で刈るが 麻が刈られうか半土用に
浪の屋島をとく逃れて 薪樵るちょう深山辺に
(岐阜県白川村・古謡)
輪島出てから今年で4年 もとの輪島に帰りたい
山と床とりや木の根が枕 落ちる木の葉が夜具となる 
「金沢なまり」 (にし茶屋街)
金沢なまりは にゃーにゃ行ってらっし
行ってこやいに おゆるっしゅ
そうけそうけで ございみす
あんやとあんやとヤァーヤ
ついでにおばばに おゆるっしゅ
もひとつおまけに へいろくな
べやさ風呂行くまさんか さそうまさんか
   金沢名物 友禅 兼六園に
   つるべとられた 加賀の千代
   そうけそうけで ございみす
   西のお茶屋でヤァーヤ
   ついでに犀川 浅野川
   もひとつおまけに かぶら寿し
   おあんさん香林坊へ 行くまはんか
「金沢なまり」 (ひがし茶屋街)
金沢なまりは にゃーにゃ行ってらっし
行ってこやいに おゆるっしゅ
そうけそうけで ございみす
あんやとあんやとヤァーヤ
ついでにおばばに おゆるっしゅ
もひとつおまけに へいろくな
べやさ行くまさんか さそまさんか
   金沢名物 加賀友禅
   金箔漆器に 九谷焼
   桐の工芸に 獅子頭
   ごりとくるみの 佃煮に
   お酒も色々 ありみっそ
   も一つ自慢の 加賀料理
   美人もちょっこり おりみっそ
   まだまだたんと ございみす
富山

 

「筑子節」 (こきりこぶし) 
こきりこの竹は 七寸五分じゃ 長いは袖の かなかいじゃ
窓のサンサは デデレコデン ハレのサンサも デデレコデン
   向いの山を かづことすれば 荷縄(になわ)が切れて かづかれん
   窓のサンサは デデレコデン ハレのサンサも デデレコデン
向いの山に 鳴く鵯(ひよどり)は 鳴いては下がり 鳴いては上がり
朝草刈りの 眼をさます 朝草刈りの 眼をさます
   踊りたか踊れ 泣く子をいくせ ササラは窓の もとにある
   烏帽子狩衣(かりぎぬ)ぬぎすてて 今は越路の 杣刀(そまがたな)
向いの山に 光るもん何じゃ 星か蛍か 黄金の虫か
今来る嫁の 松明(たいまつ)ならば 差し上げて点(とも)しゃれ 優男(やさおとこ) 

(囃子)窓のサンサもデデレコデン はれのサンサもデデレコデン
筑子の竹は 七寸五分じゃ 長いは袖の カナカイじゃ
踊りたか踊れ 泣く子をいくせ ササラは窓の 許にある
向の山を 担(かず)ことすれば 荷縄が切れて かづかれん
向の山に 啼く鵯(ひよどり)は 啼いては下がり 啼いては上がり
朝草刈りの 目をばさます 朝草刈りの 目をさます
月見て歌ふ放下(ほうか)のコキリコ 竹の夜声の 澄みわたる
万のササイ放下(ほうげ)すれば 月は照るなり 霊(たま)祭
波の屋島を 遁れ来て 薪樵るてふ 深(み)山辺に
烏帽子狩衣 脱ぎ葉てて 今は越路の 杣刀
娘十七八 大唐の藁じゃ 打たねど腰が しなやかな
想いと恋と 笹舟にのせりゃ 想いは沈む 恋は浮く
イロハの文字に 心が解けて 此身をせこに 任せつれ
かぞいろ知らで 一人の処女(なじょ)が いつしかなして 岩田帯
向いの山に 光るもんにゃ何んぢゃ 星か蛍か 黄金の虫か
今来る嫁の 松明(たいまつ)ならば さしあげて 燃やしゃれやさ男
漆千杯 朱千杯 黄金(きん)の鶏 一番(つがい)
朝日かがやき 夕日さす 三つ葉うつ木の 樹の下に
色は匂へど 散りぬるを 我世誰ぞ 常ならむ
憂ゐの奥山 今日越えて 浅き夢みし 酔ひもせず 

一、筑子の竹は七寸五分じゃ 長いは袖のカナカイじゃ
一、踊りたか踊れ泣く子をいくせ ササラは窓の許にある
一、向の山を担(かず)ことすれば 荷縄が切れてかづかれん
一、向の山に啼く鵯(ひよどり)は 啼いては下がり啼いては上がり
 朝草刈りの目をばさます 朝草刈りの目をさます
一、月見て歌ふ放下(ほうか)のコキリコ 竹の夜声の澄みわたる
一、万(よろず)のササイ放下(ほうげ)すれば月は照るなり霊(たま)祭
一、波の屋島を遁れ来て 薪樵るてふ深(み)山辺に
 烏帽子狩衣脱ぎ棄てて 今は越路の柏刀(そまがたな)
一、娘十七八大唐の藁じゃ 打たねど腰がしなやかな
一、想いと恋と笹舟にのせりや 想いは沈む恋は浮く
一、イロハの文字に心が解けて 此身をせこに任せつれ
一、かぞいろ知らで一人の処女(なじょ)が いつしかなして岩田帯
一、向いの山に光るもんにゃ何んぢゃ 星か蛍か黄金の虫か
 今来る嫁の松明(たいまつ)ならば さしあげてもやしゃれやさ男
一、漆干柿朱干杯黄金(きん)の鶏一番(つがい)
 朝日かがやき夕日さす三つ葉うつ木の樹の下に
一、色は匂へど散りぬるを 我世誰ぞ常ならむ
 憂ゐの奥山今日越えて 浅き夢みし酔ひもせず
(はやし)窓のサンサもデデレコデン はれのサンサもデデレコデン 
「麦屋節」 (「麦や節」・むぎやぶし)
麦や菜種は二年で刈るが
麻が刈らりょか半土用に
浪の屋島を遠くのがれて来て
薪こるてふ深山辺に
烏帽子狩衣脱ぎうちすてて
今は越路の杣刀
心淋しや落ち行くみちは
川の鳴瀬と鹿の声
川の鳴瀬に布機たてて
波に織らせて岩に着しょう
鮎は瀬につく鳥は木に止まる
人は情の下に住む  
(早麦屋節)
小谷、高草嶺 ダイラの前で およきよび出すとりがなく
 (囃子) 小谷峠の七曲り昼ねしょんならよいとこぢゃ 猪 豆くて オホホイノ ホイホイ
岩に下り藤「トビツキ、ハエツキ しがらみついた」が見事なものじゃ よその花なら見たばかり
 (囃子) 大野の権兵衛さんは色こそ黒けれ、名代の男ぢゃ オッソコ、ソコ、ソコ
鳥が啼いても まだ夜は明けぬ 心豊かにねてこざれ
 (囃子) 小谷峠の・・・
きりょうがよいとて気が好いものか いばらぼたんの花をみよ
 (囃子) 大野の権兵衛さんは・・・
(文句入麦屋節)
竹の切口「すこたんこたんなみなみちゃんぶり
 ちょいと溜り水」澄ます濁らす出ず減らず
昔芭蕉の葉に「一筆啓上仕り候そこもと御無事」と
 書いたるけれど今は松の葉にただ一字
竹に雀は「あちらの山からこちらの山へと
 千羽や万羽の雀が
 一度に一羽ものこらず
 チンチンバタバタ羽うちそろえて
 七竹や、八竹カラ竹 大みょう小枝のこぼそい
 ところに片羽かたげて
 片足もちやげて かわいらしい顔して」
 しなやことまる
 とめてとまらぬ イロのみち。
もちの米なら「一、ニ斗、ニ、三斗、四、五斗、五、六斗」
 アヅキ三斗ほしい山の「桜の小枝のこぼそいところに」手ぎねをみておいた
江戸の歳福寺の「蔵の森サギの首は細くて
 長くてまん中ほどで
 ギックリ曲って」ナリ首長い、それでなければ
 「江戸の歳福寺の蔵のきり窓へ」のぞかれん 
「お小夜節」
名をつけようなら お小夜につきゃれ
お小夜きりょうよし 声もよし 声もよし 声もよし
   峠細道 涙で越えて
   今は小原で 侘び住まい 侘び住まい 侘び住まい
心細いよ 籠乗り渡り
五箇の淋しさ 身にしみる 身にしみる 身にしみる
   庄の流れに 月夜の河鹿(かじか)
    二人逢う瀬の 女郎が池 女郎が池 女郎が池
輪島出てから ことしで四年
もとの輪島へ 帰りたい 帰りたい 帰りたい  
「四つ竹節」
越中五箇山蚕の本場
娘やりたやあの桑摘みに
たからゆたかな麦屋がお郷
   うたはうたでもめでたの麦屋
   だてやじまんでうたうじゃないが
   麦屋俺等が山家のものよ
山は深うても紅葉のみやま
御子や嫁さも麦屋で越すが
越すにこされぬ細尾(峠)の吹雪 
「といちんさ節」
樋のサイチン機(はた)織る音に
ア トイチン トイチン トイチンサー
ヤーサレーチ トチレチ トイチンサ トイチンサ
拍子そろえてサーサうたいだす
ア やれかけはやせよ トイチンサ トイチンレチヤサレチ
   わしがナー 若いときゃ 五尺の袖で
   道のナー 小草も サーサなびかせた
鳥がナーうたえば 早や夜も明けて
紙屋ナーのぞきの サーサー窓もはる
   声はナーかれても まだ木(気)は枯れぬ
   藤のナー花咲く サーサほととぎす
来いナーと言われて 手で招かれず
笹のナー五笹(いささ)の サーサ葉で招く 
「立山節」 (元唄)
浮世離れて奧山住ひ 戀も悋気も忘れて居たに 鹿のなく聲
聞けば昔が戀しうてならぬ あの山見れば葛屋茸

度胸定めて惚れたる主に いらぬ御世話ぢや水さす人に 見せてやりたい
逢ふた其の夜の二人の仲を 切れろと云ふたとて切れはせぬ
   四條河原に月影寒く 對の小袖も涙にぬれて 死出の旅路を
   二人手に手を鳥邊の山へ 戀のほのほに煙立つ
峯の白雪、麓の水 今は互に隔てゝ居れど やがて嬉しく
とけて流れて添ふのぢやわいな アノ山越えて來いやんせ 
「五ヶ種チョンガレ踊り」 (ごかだね) 砺波市庄川町五ヶ 
越中五ヶ種天下ノ宝 昔其又昔 村ノオ寺ノ御法主様ガ 不作ヲ救ツタ稲ダネ元素 百姓助ケタ オ慈悲ナ方ジャ
五ヶハ良イトコ種ドコロ 夜ハ宵カラ露切風ガ 今日モ川ノ瀬 地ヒビキナシテ 明ケリャ青空日本晴ジャイ 吹クワイ吹クワイ 五ヶ嵐
オカカ出テミヨ隣ノ娘 今年十八ウリザネ顔デ 吹イテ寄セ来ル黄金ノ波ジャ チョイト笑ッテコチラヲ向イテ 今日ハダン那ノ稲刈リジャ
蒔イタ稲ダネ六千倍ジャ 大地一面黄金波 豊年ャ〜〜万作ャ〜〜 年モ暮レヨカ鍬崎オロシ 寒イ嵐ガ身ニシミル
娘出テミヨ嫁御モ見ヤレ セドノ小路へ加賀ノ人 サッキ八人今マタ九人 種替サンガクルワイナ 娘茶ノ間ニ火ヲ炊キャレ
前ノアゼ道旅人姿 ジット吹カレテ五ヶ嵐 ドコノアタリガヨカラウト 風ニオモイヲ通ハセテ 思案ニクレテ立ッテイル
福井

 

「芦原節」 (「葦原節」) 
花の (チョイトナ チョイチョイ) しずくか 芦原のいで湯 (チョイ チョイ) すいた
 同志が桜色 ほんとうれしえわね (チョイ チョイ) 
一人生まれて 一人で死ぬに 何故に一人じゃ 暮されぬ ほんと暮されぬ
銀の鏡か 芦原の出湯 深い情けの 色くらべ ほんとうれしわね
打つな やねの戸 芦原は禁猟 夫婦鴨だよ 堀炬燵 ほんとうれしえわね 
「阿曽(あぞ)相撲甚句」 (美浜町相撲甚句)
(ハアー ドスコイドスコイ)
とかく夫婦というものはヨー ハアーあだやおろかな縁じゃない
知らぬ二人が結ばれて 三三九度は高砂や
めでためでたの若松で 伊勢が浜から伊勢の海
出羽の海にと船出すりゃ 金波銀波の片男波(かたおなみ)
   新婚旅行は宮城野や 朝日山やら二所の関
   三保が関をばはや過ぎて はるかかなたにゃ佐渡が獄
   春日野あたりにマイホーム やがてかわいい二子山
   二人の中には立浪も なくて一生花篭よ
   井筒末まで添えとげる それが夫婦というものか
   いうものよ(ハアー ドスコイドスコイ)
 
近畿

 

三重
「伊勢音頭」 (「川崎音頭」)
伊勢はナー 津でもつ 津は伊勢でもつ
尾張名古屋はヤンレー 城でもつ
伊勢のナー 豊久野 銭懸け松は
今は枯れても 名は残る
とろりナー とろりと 紅鉄漿つけて
女子たらしの 化粧坂 

ことしや世がよい ほうねんどしょ
ヨイトコセ コレハイナ
米のやまやま ヤンデ 金の山    
ササ ヤアトコセイ コンヤナ アリャリャ コレハイナ コノナンデモセイ
(正調伊勢音頭)
伊勢は津で持つ 津は伊勢で持つ
ヨイヨイ 尾張名古屋は ヤンレ 城で持つ
コラコラ ヤアトコセイ ヨイヤナ アララ コレハイセ コノヨイトコセ

伊勢はナァーァ 津でェ持ォつゥ 津はァー伊勢ェーで 持つ(ヨイヨイ)
尾張りィ名古ーォ屋わァ ヤンレェエ 城ォで 持つ
コラコラヤートコーオォー セェノオーヨイヤナーアーララァ コレワイセーエ コノーヨイトコセー
伊勢え伊勢えと 芽の穂もなびく 伊勢は芽ぶき こけらぶこ
伊勢は よいとこ 菜の花つづき 歌もなつかし 伊勢音頭
伊勢に行きたい伊勢路が見たい せめて一生に一度でも
紅い灯のつく 新古市で 心引かれた伊勢音頭  
(道中伊勢音頭)
ア 〜 ア ヨオイナー
伊勢は津で持つ ヨイヨイ
津は伊勢で持つ アヨオイセーソコセ
尾張なあ 名古屋は ヨーイソーレ
城で持つ
ササ ヤートコセーノ ヨーイヤナ アララ コレハイセー ソリャヨイトコセー
(啓神の唄)
アーアァヨオオナァーー
西行法ォ師ィはァ(ヨイヨイ) お伊勢様へ参り(ァヨーイセーソーコセー)
「何事のおはしますかは知らねども(アソレ) かたじけなさに涙こぼるる」と(アソレ)
読んでナーァ拝んでヨォーイ みなさんよ すすり泣きィ
ササヤートコセーエノ(彌長久) ヨーイヤナ(世怡彌成) アーララー(安楽楽)コレワイセー(是者伊勢)ソリヤ ヨーイトコイセー(善所伊勢)
(本唄)
アーアァヨオオイナァーァ
伊勢に行きたい(ヨイヨイ) 伊勢路が見たい(アヨーイセーソーコセー)
せめて一生に ヨォーイ みなさんよ 一度でも
ササーヤートコセーエノ ヨーイヤナ アーアララーコレワイセー ソリヤ ヨーイトコイセー
今年まいろよ お伊勢の宮へ 花の三月 半ば頃
お伊勢よいとこ 菜の花つづき 歌もなつかし 伊勢音頭
「尾鷲節」    ←「何故(なしょ)まま節」「こちゃえ節」
(ヤサーホーラエー ヤサーホーラエー)
尾鷲よいとこ 朝日を受けてヨイソレ 浦で五丈の 網を曳くノンノコサイサイ
(ヤサーホーラエー ヤサーホーラエー)
ままになるなら あの八鬼山(やきやま)をヨイソレ 鍬でならして 通わせるノンノコサイサイ
お前とならば どこまでも 奥山の 猿掛け茨の 中までも
尾鷲名物 青葉のたばこヨイソレ おとっちょがいなもんじゃ 俺ぁ嫌じゃノンノコサイサイ
八幡山越え 汐鼻越えてヨイソレ 会いに来たもの 帰さりょかノンノコサイサイ
お前はいくつで 何の年 わたしかね お母やんに抱かれて ねの年
月は山端に 昴(すばる)星ゃ沖にヨイソレ わしの殿御は 真ん中にノンノコサイサイ
いんらいかんか 中村山へヨイソレ つつじおばなの 枝折りにノンノコサイサイ
十七八は寝ごいもの 井戸端の 米かす桶を 手枕に
いたら見て来い 名古屋の城をヨイソレ 金の鯱ほこ 雨ざらしノンノコサイサイ 
お前百まで わしゃ九十九までヨイソレ ともに白髪の 生えるまでノンノコサイサイ いつも月夜で 夜も八月でヨイソレ 殿も二十五で おればよいノンノコサイサイ
尾鷲長浜 長六屋(ちょうろくや)の角でヨイソレ泣いて別れた こともあるノンノコサイサイ
お前はどんであんどで 若い衆に かき立てられて とぼされた
馬が物言うた 馬越の坂でヨイソレ おまん女郎なら 乗しょと言うたノンノコサイサイ
おまん女郎でも ただでは乗せぬヨイソレ 一里百なら 乗しょと言うたノンノコサイサイ
紀州熊野灘 八百八島ヨイソレ 佐波留(さばる)沖出りゃ 神頼みノンノコサイサイ
お獅子神楽舞(しんぐるま)の 虎さん笛はヨイソレ 一里聞こえて 二里響くノンノコサイサイ
お前一人か 連れ衆はないかヨイソレ 連れ衆後から 駕籠で来るノンノコサイサイ
娘十七八ゃ 抱き頃寝頃ヨイソレ けん衆持ち頃 だまし頃ノンノコサイサイ
新田若い衆 矢ノ浜娘ヨイソレ 林ゃよい娘の 出来ぬとこノンノコサイサイ
喧嘩嫌いじゃ 餅搗きゃ好きじゃヨイソレ 命取んりゃい なお好きじゃノンノコサイサイ
みどれみどれ 三木の浦 栄螺のお尻で 目があかる ツイタカヤ ツイタカヤ
ままになる身を なしょままならぬヨイソレ ままになる身を もちながらノンノコサイサイ
思い直して 添う気はないかヨイソレ 鳥も枯木に 二度止まるノンノコサイサイ
鳥は枯木に 二度止まるけどヨイソレ 花は枯木に 二度咲かぬノンノコサイサイ
花に枯木は二度咲かぬけどヨイソレ 藤も巻き付きゃ 花も咲くノンノコサイサイ
今年ゃ十六 ぼんぼの毛が揃うたヨイソレ 誰にさせましょ 初ぼぼをノンノコサイサイ
ぼぼしょぼぼしょと 言うて鳴く鳥はヨイソレ 鳥のうちでも 助平鳥ノンノコサイサイ
お前待ち待ち 蚊帳の外 蚊にかまれ 七つの鐘の 鳴るまで
わしの心と 国市の浜はヨイソレ 他に木はない 松ばかりノンノコサイサイ
色が黒ても 心配するなヨイソレ 沖で鰹の 色男ノンノコサイサイ
これさ道芝 物問いましょにヨイソレ わしの殿御は 通らぬかノンノコサイサイ
わしは道芝 夜露にうたれヨイソレ 人の殿御の 守りはせぬノンノコサイサイ
君と別れて 松原行けばヨイソレ 松の露やら 涙やらノンノコサイサイ
色の堀町 喧嘩の林ヨイソレ 男伊達する 中井町ノンノコサイサイ
あの娘にもろた てんてん手拭いを かんかん川端の 柳のこんこん小枝に 引っ掛け置いてきた
馬は豆好き 馬子は酒好きよヨイソレ 乗ったお客は 女郎好きノンノコサイサイ
わしとあなたは 尺八のためヨイソレ 夫婦となるのも 穴のためノンノコサイサイ
意地と張りなら かの淀川のヨイソレ 水の流れを 止めてみるノンノコサイサイ
林ゃ米の飯ゃ 正月か盆かヨイソレ 親の年忌か 煤とりかノンノコサイサイ
右は 桃頭島 左は佐波留ヨイソレ 波に背洗う 裸島ノンノコサイサイ
遠く離れて 会いたいときはヨイソレ 月が鏡と なればよいノンノコサイサイ
お江戸の橋で 金拾うて おやま買おか 刀買おか 刀が寝やらりょか
わしがままなら あの八鬼山をヨイソレ 鍬でならして 通わせるノンノコサイサイ
行こか長浜 戻ろか尾鷲ヨイソレ ここは思案の 汐鼻かノンノコサイサイ
親は樋の竹 子は樋の水ヨイソレ 親がありゃこそ どこまでもノンノコサイサイ
汐鼻越すとき 烏の声でヨイソレ あの娘の身持ちが 気にかかるノンノコサイサイ
祝い唄
沖の暗いのに 白帆が見えるヨイソレ あれは紀の国 蜜柑船ノンノコサイサイ
尾鷲よいとこ 朝日を背なにヨイソレ 受けて入り来る 宝船ノンノコサイサイ
お前百まで わしゃ九十九までヨイソレ ともに汁椀(しるわん)の はげるまでノンノコサイサイ
尾鷲よいとこ 海から明けてヨイソレ 波に黄金の 花が咲くノンノコサイサイ
字余り
精進じゃ精進じゃと 何が精進じゃ 今朝も托鉢戻りに あわび買うて喰うて それでも精進か
高い山から 沖見れば 沖の親船の船頭さんは 縄の襷で 錨引く
お前ぼんぼの毛は 剃ったったか 焼いたったか 元よりないのかヨイソレ 
 ただしゃ金比羅さんへ あげたのかノンノコサイサイ 
「種まき権兵衛」
ごんべがたねまきゃ からすがほじくる
さんどにいちどわ おわずばなるまい
ズンベラズンベラ ズンベラズンベラ 
奈良

 

「吉野木挽唄」
ハァー 吉野吉野と 訪ねて来ればヨー
吉野千本サー 花ざかりヨー 
ハァー 木挽女房に なるなよ妹ヨー 
思う仲でもサー 挽き分けるヨー
ハァー 何の因果で 木挽を習いヨー
花の盛りをサー 山奥にヨー 
「木挽唄」
木挽さんと言うて深山の山で 五尺筵(むしろ)にヨーただ一人 
(アーシッチコシッチコ)
木挽きさん達じゃけんな人じゃ 仲の良い木を挽きわける
(一間挽いても木挽きは商売 シッチコシッチコ)
十津川「木挽き唄」
ヤーレー  木びきさんたちゃヨー 生まれはヨー どこじゃ
ヤレ大和十津川のよ 谷瀬村
ヤーレー  谷瀬村へはヨー 一度はヨー  おいで
渡る吊り橋しゃよー日本一 ハー 一度はヨー おいで
渡る吊り橋ハー 日本一
〔ハー シッチロッカイヤマトノコビキヨ ハー イッスンヒイテモ コッチノモンジャイ ハーシ・ハーシ〕
十津川「筏節」
十津川の清き流れに 筏を下す(ながす) 〔ヨイショ・ヨイショ〕
谷間の鶯アリャ つれて鳴く ヨイショ
筏は矢のように(ヨ) コラ下りゆくヨ 目ざすまた 〔チョイ・チョイ〕
新宮も 近くなる 〔(アラ)チョイ・チョイ・チョイヤナー(チョイナー)チョイ・チョイ〕
筏節 歌いながら(に) 荒瀬を越せば 〔ヨイショ・ヨイショ〕
鮎が招くヨ アリャ 岩影にヨイショ
空は晴れて(ヨ) コラ水はよしヨ 竿さすまた 〔チョイ・チョイ〕
その手に 花が散る 〔(アラ)チョイ・チョイ・チョイヤナー(チョイナー)チョイ・チョイ〕
筏節 歌いながら(に) 荒瀬を越せば 〔ヨイショ・ヨイショ〕
可愛いあの子が アリャ 出て招くヨイショ
筏は 止めたし(ヨ) コラ瀬は早しヨ 心また 〔チョイ・チョイ〕
残して 熊野灘へ 〔(アラ)チョイ・チョイ・チョイヤナー(チョイナー)チョイ・チョイ〕
十津川「粉ひき唄」
こずき ひきわりよ 棚へとり ヤレあげてよ 〔シッコイ・シッコイ〕
だれにくわしょに 嫁は よばず
こずき ひきわりよ つまんでよ ヤレ喰ろうてよ 〔シッコイ・シッコイ〕
人にみられて はずかしやよ  
和歌山

 

「日高川甚句」
あのま 安珍さん 清姫 嫌て お逃げ なされし 日高川
(蛇になっても 此の川を 渡らにゃ ならぬと ざんぶ ざんぶ)
二世を誓いし 安珍さんの 後を 慕うて 清姫が
何故に つれない 安珍さんよ  お前 一人を 遣るものか 
「串本節」    ←「エジャナイカ節」「オチャヤレ節」 
ここは串本 向かいは大島 仲をとりもつ 巡航船
(アラヨイショ ヨイショ ヨイショ ヨイショ ヨイショ)
ここは串本 向かいは大島 橋をかけましょ 船ばしを
潮岬に 灯台あれど 恋の闇路は 照らしゃせぬ
あしのショラサン岬の沖で 波にゆられて鰹釣る
大島水谷 かかりし船は お雪見たさに潮がかり
障子あくれば 大島ひと目 なぜに佐吉は山のかげ
わたしゃ串本 両浜そだち 色の黒いは ごめんなあれ
わしら若いときゃ 津荷まで通うた 津荷のドメキで夜が明けた
日和東風(こち)じゃげな 沖ゃ白波じゃげな 殿御やられよか あの中へ
潮岬に どんと打つ波は 可愛ショラサンの度胸試し
一つ二つと橋杭たてて 心とどけよ 串本へ  
「新宮節」    ←「名古屋甚句」「五万石」 
新宮よいとこ 十二社さまの 神のまします 良いところ
お灯祭りは 男のまつり 山は灯の滝 下り竜
新宮三万七千石に すぎた丹鶴 沖見城
露の玉垣 速玉さまの 楡の木の葉に 縁結び
滋賀

 

「淡海節」    ←「ヨイショコショ節」
船を曳き揚げ 漁師は帰る
後に残るのは 艪と櫂 波の音 浜の松風
   春が来たので 空には絵凧
   磯に岩蛸 手長蛸 寺の坊さん 長風呂のゆで蛸
雨戸引き開け 片手に団扇
露に濡れたる 夏の夜の 残る三日月 空に一声ほととぎす
   秋が来たので つばめは帰る
   後に残るのは 萩桔梗 月がさす 虫の鳴く声  

船をひきあげ 漁師は帰る 後に残るのは 櫓と櫂
波の音 ヨイショコショ 浜の松風
   春が来たので 麓は桜 峰の白雪 比良の山
   昇る朝日に ヨイショコショ ほがらかに聞く鶏の声
秋が来たので 燕は帰る 後に残るのは 萩 桔梗
月がさす ヨイショコショ 虫の鳴く声
   去年見たときゃ 矢絣 島田 今年見たときゃ 丸髷で
   来年は ヨイショコショ やや抱いて嬉かろ
時間が来たので 舞妓は帰る 後に残るのは 差し向かい
口説きに ヨイショコショ 燗冷ましの徳利
   想い焦がれて 待つ身の辛さ 主の声かと 走り出て
   耳を澄ませば ヨイショコショ 情け知らずの風の音
手綱ゆるめて 花の路帰りゃ 鈴に浮かれて 勇む駒
花が散る ヨイショコショ 里の夕暮
   あおよ啼くなよ もう家ゃ近い 森の中から 灯が見える
   花が散る ヨイショコショ 里の夕暮
「大津絵節」 (二上り)
色は思案の外とは言えど 賢を賢として色に変えよとは
そりゃきこえませぬ孔子さま 仁義五常も色からよ
人に不善と言われても やはり二人が閑居して
竹の柱に茅の屋根 喜怒哀楽も我がままに
二人仲よく暮らしてみたいもの
「江州音頭」   ←(祭文音頭)
エーみなさまたのみます  (ホラ シツカリセ)  (ア ドツコイセ)
ヤンレー さてもこの場の皆様よ
江州音頭を踊ろやないか(ヨ)
湖東湖西も南も北も
老いも若きもお嬢もぼんも(ヨ)
拍子揃えてヤンレひと踊り
(コラヨイトヨイヤマカドツコイサノセ)
-囃し唄-
江州音頭はデレレンレン 金杖鳴らしデンテレレンデレレン
デレレンデンデレレン さいやエー(ア ドツコイセ)
   ヤンレー びわ湖風情を申そうなら
   うるむ水面にや高嶺が映る(ヨ)
   月も浮かべる白帆もなじむ
   岸にやいさぎや鰉が群れる(ヨ)
   入江芦間にや小鳥が遊ぶ
   (コラヨイトヨイヤマツカドツコイサノセ)
   -囃し唄-
   儀の藤太の大むかで 七巻半か何やいな在所じゃあ鉢巻半余る
   さいやエー(ア ドツコイセ)
ヤンレー 江州名題は数々よ
米と牛なら天下に知れる(ヨ)
近江商人土根性で生きる
エリはびわ湖の自慢の漁法(ヨ)
繊維工業世界にひびく
(コラヨイトヨイヤマツカドツコイサノセ)
-囃し唄-
大津絵名題は福禄どん とんかり頭で踊らんせ
ほいたら鮒ずしよんだるで さいやエー(ア ドツコイセ)
「花の生涯(井伊直弼)」 (江州音頭)
ソリャ ドッコイショー (ホリャ シッカリセー)
エーィ 皆様 頼みます (ア キタショ)
ヤ しばらくは ヨイヤセーの コレ 掛け声を
(ソリャ ヨイトヨイヤマッカ ドッコイサノセー)
アー さてはこの場の 皆様へ(ア ドシタイ) 
早速ながらで 有るけれど 伺い上げます 演題は
彦根の空にマ 聳え立つ 天守閣こそ 誰有ろう
御高三十と 五萬石 時は平成に 変われども
後の世までも 名を残す 幕末日本の 先覚者
井伊直弼の 物語 これじゃからとて 皆様よ
事や細かにャ こんな難声じゃ 程よくまいらね共
お粗末乍らも 是口演奉るわいな 
ア アアアアアー デレレン(省略)
   そもそもえー 初段の 筆始め 途中最中で わからねど
   雲の流れと 人の世は どうにも 成らぬと知りながら
   徳川三百 歴史に賭ける 花の生涯 名も高い
   人は是それぞれ お互いに 持って生まれた 星がある
   (ソリャ ヨイトヨイヤマッカ ドッコイサノセー)
アー まさか大老に 成ろうとは(ア ドシタイ) 
夢にも知らず 産声あげた 十四男の 直弼が
彦根城主に 成るなんて 誰にも解らず 我が身も知れず
埋木舎で 気侭な暮らし 石州流の 茶を学び
山鹿流儀の 兵法や 新心流の 居合い術 道楽修行で 日を送る
(ソリャ ヨイトヨイヤマッカ ドッコイサノセー)
   アー 待てば海路の 日和あり(ア ドシタイ) 
   嘉永三年 十月に 兄直亮の 跡目を継いで 
   彦根城主に 治まった とんとん拍子に 花が咲き 
   晴れて安政 五年目に 徳川幕府の 大老職
   (ソリャ ヨイトヨイヤマッカ ドッコイサノセー)
アー その身を任せる 事となる(ア ドシタイ) 
外交内政の 二文字に 賭けるこの身は 命は一つ 
長野主膳と 力を合わせ 武士の意気地を 天下に示す 
勤王佐―幕の 絡み合い 将軍様の 跡取り騒ぎ 
その上異国の 黒船騒ぎ 天下分け目の 江戸の町
(ソリャ ヨイトヨイヤマッカ ドッコイサノセー)
   アー 開国論にと 持ち込んだ(ア ドシタイ) 
   討幕論に 火がついた 一方立てれば 一方が 立たず 
   勇猛決断 此処にあり 世に言う安政 大獄の 
   火蓋は切って 落とされた 国の大事を 救わんと
   (ソリャ ヨイトヨイヤマッカ ドッコイサノセー)
アー 五尺の身体に ムチを打ち(ア ドシタイ) 
名代の学者や 政治家を 是捕らえたァ 事件が刺激して 
水戸の浪士や 勤王志士 奮い立たせる 事となる 
たとへこの身は 散ろうとも 散らしちゃ 成らない 武士の意地
勤王佐幕と 言うけれども 国を思うは 皆同じ
万延元年 三月の(ヨオ) 花のお江戸に 雪が降る
(ソリャ ヨイトヨイヤマッカ ドッコイサノセー)
   アー 桜田門の 堀端で(ア ドシタイ)
   「下に下に」の 声がする 見れば大名 行列で 
   尾張公のォ その後は 赤い合羽の 供を連れ
   井伊直弼のマ 駕籠が行く 折から飛び出す この一団は
   白鉢巻に 襷掛け 水戸の浪士が 斬り込んだ
   (ソリャ ヨイトヨイヤマッカ ドッコイサノセー)
アー 上を下への 大騒ぎ(ア ドシタイ)
天命つきてマ 直弼は 桜田門の 花と散る
舞うは吹雪か よわん(牡丹)の舞か 日本夜明けの 鐘が鳴る
咲かぬ蕾に 花が咲き 波瀾万丈の 人生を
侍ニッポン 武士道に 賭けた男の 物語
ならばつなごと 思えども あーんまりお長く なりますので
ここらで変わり合うて つとめます
(ソリャ ヨイトヨイヤマッカ ドッコイサノセー) 
京都

 

「舞鶴甚句」
心細川おもひのたけを 歌に残した古今集
しつとん しつとん しととんとん (もしとつおまけに) しととんとん
昔懐かし幽斎もみじ ともに眺めた塔もある
青葉山風そよろと吹けば 紅緒うれしい遍路笠
万代橋とはよい辻占と 二人たたずむ橋だもと
心うきうきつい浮かれ来る 匂ひみさきの招き松
誰を松ヶ崎夕日に立てば 雲も心もみな燃へる
ここは吉原恋しい人を 入れる網かやほのぼのと
日高桜もいつしか暮れて 別れともない鐘がなる
住吉入江の鳥居ををがみ 何を願ふぞ船のうへ
大き舞鶴西・中・東 共に手を取りゃ春が来る 
「宮津節」
二度と行くまい 丹後の宮津 縞の財布が 空になる 
丹後の宮津で ぴんと出した  
丹後ちりめん 加賀の絹 仙台平やら 南部縞 陸奥の米沢 糸小倉 
丹後の宮津で ぴんと出した 
「福知山音頭」 
福知山出て長田野越えて 駒を早めて亀山へ
   ドッコイセ ドッコイセ チョイチョイノチョイノチョイノ
   チョイトコ ドッコイドッコイドッコイセ
三五十五夜音無瀬橋に 月がないたかほとヽぎす
ぼんの十五夜十六音頭 踊るあの娘は十七つ
お前見たかやお城の庭を 今が桔梗の花ざかり
明智光秀丹波を拡め ひろめ丹波の福知山
鬼の住居の大江の山も 春はやさしい薄かすみ
福知山さん葵の御紋 いかな大大名もかなやせず
山家一万 綾部が二万 福知山三万二千石
音頭とる子が橋から落ちて 橋の下から音頭とる
霧がふるふる丹波の国は きりの中から日がのぼる
今度お江戸の若殿様に 知行が増すげな五千石
お月さんさえ十五がさかり わしの盛りはいつじゃいな
揃ろた揃ろたよ踊り子が揃ろた 揃ろた踊り子が音頭とる
盆のお月さんまん丸こて丸て 丸てまん丸こてまだ丸い
負けな負けなよ三味線に負けな 負けりゃ踊り子の恥となる
福知名物知らない人に 一度見せたや盆踊り
花の新町花娘 大振袖の長町や
姉と妹揃いのゆかた どれが姉やら妹やら
丹波丹後と但馬を結び のびてひろがる福知山
旅の汽車さえ名残を惜しむ 丹波福知の盆踊り
大坂

 

「河内音頭」   ←「交野節」(「やんれ節」「江州音頭」)
エー さては一座の皆様へ
ちょいと出ました私は
おみかけ通りの悪声で ヨホーイホイ
まかり出ました未熟者お気に召すようにゃ
読めないけれど 七百年の昔より
唄い続けた河内音頭にのせまして
せいこんこめて唄いましょ
ソラ ヨイトコサッサノ ヨイヤサッサ
エー 大和と河内の国境
中にひときわ悠然と
ヨーホイホイ エンヤコラセ ドッコイセ
そびえて高き金鋼山 よ 建武の昔大楠公
その名も 楠正成公 今に伝えた民謡
河内音頭と申します 聞いておくれよ
荷物にゃならぬ 聞いて心も うきうきしゃんせ
気から病が出るわいな
唄の文句は小粋でも 私しゃ未熟で
とってもうまくも きっちり実際まことに
みごとに読めないけれど
八千八声のほととぎす
血をはくまでも つとめましょ  
「ゑびや節」 (虫づくし)
来し方よりも、今の世迄も耐えせぬものは、恋と言ふ字の曲者(くせもの)なれや、げにも曲者此の一つより、無量無辺の色をば出(だ)せり、誰も迷ふは色里の路、黄金虫をば大分費(つか)ひ、親は勘当〓〓(きりぎりす)、鳴くや藻汐の寒(さぶ)かりし夜も、蠅ななりかや素紙(すかみ)衣(こ)一重、女郎蜘蛛にぞ会はんと思ひ、廓町へと来ごとは来たが、轡虫こそよに荒けなりや、それに遣手が蟷螂(かまきり)虫で、客の障りと蜂払ふよに、叩き出せど我が蓑虫を、恨めよよりかは鳴く〳〵蝉の、蝉の衣の縁薄くとも、時節松虫また蟋蟀(こほろぎ)よ、蝶か花かと世に大切な、遊女(よね)の姿を蚯蚓(みみず)と思ひ、身をば焦する蛍の虫よ、兎角恋には歌を出せさ。
「ゑびや節」 (銭づくし)
それ世の中の、銭(ぜに)をおあしと言ふのも道理、世界国中をくる〳〵廻(めぐ)る、阿弥陀如来も銭ほど光る、兎角銭(ぜに)金(かね)持たねば済まぬ、憂きが中にも唯恋の道、誰もころりとする百の銭、君が姿をみせ銭よりも、心掛(かけ)銭端(ぜにはした)の銭が、積り積りて貫ざしの銭、恋をする身は形も要らぬ、みだけ銭にて紙ばら〳〵と、我が命は君故ならば、腐り銭とも身はならばなれ、文を投銭(なげぜに)恋仕掛銭、我と寝銭を頼みますると、書きし文章(ぶんしよ)はそりや口銭(こうせん)よ、今は互いに心を明かし、繋ぎとめたる駒牽(こまひき)銭(ぜに)よ、馴染(なじみ)重ねて青の銭、末の契は永楽銭(ぜに)と、交す新銭枕の数も、泣くや十四五すつとん〳〵と、とんとお腹に小銭が宿り、忍び逢ひにし二人が仲も、外(よそ)に洩れつゝ銀銭(しろがね)で、是は日銭と皆人言に、浮名立てよとそりや文(ぶん)の銭、誰も恋にはな身を知らぬさ。 
兵庫

 

「有馬節・藤娘」
(三下り)
津の国の 浪花の春は夢なれや 早や二十年の月花を 
眺めし筆の色どりも書き尽くされぬ数々に 山も錦の折を得て 故郷へ飾る袖袂 
(鼓唄)
若紫に十返りの 花をあらはす松の藤浪 
人目せき笠塗笠しゃんと 振りかたげたる一枝は 
紫深き水道の水に 染めてうれしきゆかりの色の 
いとしと書いて藤の花 エエ しょんがいな 
裾もほらほらしどけなく 鏡山人のしがよりこの身のしがを 
かへりみるめの汐なき海に娘姿の恥かしや 
男心の憎いのは ほかの女子に神かけて あはづと三井のかねごとも 
堅い誓ひの石山に 身は空蝉の から崎や まつ夜をよそに 比良の雪 
とけて逢瀬の あだ妬ましい ようもの瀬田にわしゃ乗せられて 
文も堅田のかた便り 心矢橋の かこちごと 
(三下り)
松を植ゑよなら 有馬の里へ 植ゑさんせ 
いつまでも 変はらぬ契りかいどり褄で よれつもつれつまだ寝がたらぬ
宵寝枕のまだ寝が足らぬ 藤にまかれて寝とござる 
アア何としょうかどしょうかいな わしが小枕お手枕 
空も霞の夕照りに 名残惜しむ帰る雁がね 
(本調子)[潮来] 
潮来出島の 真菰の中に 菖蒲咲くとは しをらしや サアよんやさ サアよんやさ 
宇治〔富士〕の柴船 早瀬を渡る わたしゃ君ゆえ のぼり船 サアよんやさ サアよんやさ
花はいろいろ 五色に咲けど 主に見かへる 花はない サアよんやさ サアよんやさ 
花を一もと わすれて来たが あとで咲くやら 開くやら  サアよんやさ サアよんやさ
しなもよや〔なく〕 花に浮かれて ひと踊り
(三下り)[藤音頭] 
藤の花房 色よく長く 可愛いがろとて酒買うて 飲ませたら 
うちの男松に からんでしめて 
てもさても 十返りという名のにくや かへるといふは忌み言葉 
花ものいわぬ ためしでも 知らぬそぶりは 奈良の京 
杉にすがるも 好きずき 松にまとうも 好きずき 
好いて好かれて 離れぬ仲は 常磐木の 
たち帰らで きみとわれとか おお嬉し おおうれし
「有馬節・八百屋お七」
恋の火がつく 八百屋のお七 お寺は駒込 吉祥院
寺の和尚さんに 吉さんというて 吉さんは奥の書院座敷の 床の間で 
机にもたれて 学問なさる後より お七そばに さしよりまして 
膝でつくやら 目でしるす これいなもうし 吉さいな  
私しゃ これから 本郷に帰る たとえ本郷と この寺と 
道はいかほど へだつとままよ かならず忘れて 下さるな
言うてお七は 本郷に帰る 本郷二丁目 角びきまわした 八百屋店
八百屋の店の 売り物は ごぼうや人参や 尾張の大根じゃ ほしかぶら
みつばや芹や とうがらし かき豆十八ささぎじゃ こりゃどうじゃ 
望みあるなら 何なとござれ お七ひと間で うたた寝をする
うたた寝枕で 見る夢は ま一度我が家を 焼いたなら 
またもやお寺に いかれょかと かわいい吉さんに 会われよものと
夢を見たのが その身の因果 一輪の藁に 火をつけて
我が家の屋根にと ぽいとほり投げて 火の見やぐらに かきつけて 
ひと段登って ほろと泣き ふた段登って ほろと泣き
三段四段は 血の涙 火の見のやぐらに かけのぼり 
撞木片手に 四方を見回し 火事じゃ火事じゃと 半鐘をたたく 
江戸の町中は おおさわぎ このことばかりは たれ知るまいと思うたに
かまゆの ぶ兵次というやつが なんきんどたまを 振りたてて
なすびみたよな 目をむいて 大根みたよな 鼻たれて
人参みたよな 舌を出し お奉行様にと 訴人をいたす
一寸二寸は のがれもしょが 三途のなわに 縛られて
はだか馬にと 乗せられて 泣き泣き通るは つづや町
もはや品川 あの通りぬけ 品川女郎衆が 立ち出でて
あれが八百屋の お七かと うりざね顔で 色白で 
吉さん惚れたは 無理もない 仕置きの場所には 鈴が森 
二丁や四面にゃ 矢来を結うて たつる柱が 首金さぐり  
しばやわり木を 積み立てて  吉さんは 仕置きの場所にかけつけて 
はるかむこうの 彼方より これいなお七 その方は 
あわれななりに なられたな そういうお声は 吉さんかいな 
よう顔見せて おくれたな 我が家を焼いた その罪で 
わたしゃ焼かれて 今死ぬわいな あれが一度に 燃ゆるなら 
さだめしお七 熱かろう 苦しゅかろ ぼうと燃えあがる その声に 
皆いちどきに… 後はホイホイ 涙のたまり水 
「デカンショ節」 (「篠山節」)    ←「みつ節」 
デカンショデカンショで半年暮らす アヨイヨイ 
 あとの半年ねて暮らす ヨーオイ ヨーオイ デッカンショ 
丹波篠山山家の猿が 花のお江戸で芝居する
酒は飲め飲め茶釜でわかせ お神酒あがらぬ神はなし
灘のお酒はどなたが造る おらが自慢の丹波杜氏
雪がちらちら丹波の宿に 猪がとびこむ牡丹鍋 
丹波篠山鳳鳴の塾で 文武きたえし美少年

丹波篠山 山家の猿が 花のお江戸で 芝居する
丹波篠山 あおいの御紋 いかな大名もかなやせぬ
丹波篠山 その山奥で 独り米つく 水車
独り米つくあの水車 誰をまつやら 来る来ると
デカンショデカンショで半年ァ暮らす
後の半年ァ 寝て暮らす  
「篠山節」    ←「みつ節」「盆踊口説」
丹波篠山山家の猿が 花のお江戸で芝居する(ヨーイヨーイデッカンショ)
丹波篠山山鳳鳴の塾で 文武鍛えし美少年
デカンショデカンショで半年暮らす あとの半年寝て暮らす
丹波篠山お城が招く 堀の桜もまた招く
お国問われて肩いからせて 俺は丹波の篠山だ 
「みつ節」
盆のお月さんは まんまるこてまるい
丸てまんまるこて 尚まるい ヨーイヨーイ ヤットコセ
破れふんどしや 将棋のこまよ
角と思たら金が出た ヨーイヨーイ ヤットコセ
寺の和尚さんが ばくちにまけて
いのか 走ろか 寺売ろか ヨーイヨーイ ヤットコセ 
 
中国

 

岡山
「備中高梁松山踊り」 (びっちゅうたかはし)

備中高梁松山踊り 月の絵になるお城の矢場で
ちょいと小粋な姉さん冠り かけたたすきは夜目にも紅い
差す手引く手に化粧がかおる くるり廻れば月影おどる
顔をかくした鼻頬冠り 髭と声とはかくせぬ旦那
はずむ太鼓に踏む足取りも 軽い袂にゃ涼風そうて
浮かれ出てきた翁やおおな 腰を伸ばして音頭に乗って
踊る手振りは昔のままよ 更けりゃ次第に広がる輪幅
金の苦労も浮き世の義理も 今宵ばかりは空吹く風よ
おどりひとつも踊れぬ野暮に 明日の果報が廻って来ようか
時の老中板倉様も 音に名高い方谷様も
おどらしゃんした松山踊り おどらしゃんしたこのおどり
南にながるるあの大川の 阿部の渡しの川向い
ここは尼子の十勇士 墓は山中鹿之助
七百年の歴史流れ 臥牛のお山の城光る
清き流れは高梁川の 方谷橋の夕涼み
昔をしのぶ土手柳 河原くるくる袖の下
サツキの波に浮かぶ島 蓬莱山の枯庭は
古き禅寺に遠州が 残した技ぞ今かおる
音に聞こえし板倉様は 初代所司代すえ老中
御陣羽織は虎の皮 お城にひびく藤の胴
殿様家中お揃いで 深編笠に落しざし
手振り身振りもしなやかに 夜更けておどる月の影
国の学者と呼ばれたる 方谷様も仲間入り
手拍子楽しくおどりぬく 自慢じゃないが高梁は
京の景色におとりゃせぬ 北にみゆるはお城山
雲にそびゆる天守閣 今じゃ国宝名も高し

おどりおどれよ松山踊り 今宵一夜は輪に輪を作り
粋な姉さん 殿衆もおどれ 昔なつかし 松山踊り
愛宕の山から月影させば 踊るあの娘に涼風吹いて
匂う小袖は高梁川に 恋と情けの河鹿がないて
明日は天気よ朝霧がかかる 朝霧ながれてお城がみえりゃ
昔なつかし夢物語り 時の老中板倉様も
羽振りきかせた城下の町の 変る姿に驚きゃしゃんす
絶えぬ踊りは松山踊り それじゃ踊れよ まだ夜が更けぬ
紅いたすきが仄かにゆれりゃ 夢かうつつかつい誘われて
老いも若きも月影ふんで 今宵ひとときゃ極楽世界
娘一八 番茶も出ばな 踊るその手に苦労はないが
せめてあのひとあの娘と共に おどるは今宵 夜あけるまでも
さあ踊ろう よのあけるまで それじゃ踊れよ 松山踊り

世にも名高き松山様よ 清き流れの高梁川に
古き姿を今もなお うたとおどりで名を残す
みんな輪になり手をとって 老も著きも踊ろよ今宵
サッサうたえよ まだ夜は明けぬ 世にも名高き松山踊り
城で名高き臥午の山よ ありしその日のともぞろえ
五万石ぞえ水谷様は 民があがめる守の神よ
今の代までも讃えられ 松山踊りで名を残す
ドドンとはづみの大たいこ あれは名物 松山太鼓
四季の歌
春は花咲く桜土手 霞たなぴく峯の上
雲雀さえずる和田の原 うぐいす鳴くのは定林寺
夏は浅瀬に河鹿なく 方谷橋の夕すずみ
ー松亭の松風に 鈴虫松虫くつわむし
秋は紅葉の臥牛山 あかね眺めは長柳寺
愛宕の山の明月に きぬたの音は奥万田
冬の下山雪景色 轟橋より眺むれば
向う稲荷の松の森 ちらり見ゆるは赤鳥居
四季の眺めは面自く 大松由に小松山
松の緑の千代八千代 むかしなつかし松山おどり
町名づくし
初で育ちの生娘が 高梁さんに文もろて
音に聞こえし高梁に こがれ慕うて行きまする
先ず町上より筆染めし 八重籬さんに願をかけ
見ずに添います川端町 互に疑念を内山下
望み大きく広小路 町に待ちたる本町よ
おまよいなさるな横町へ うたがいなさるな新町よ
お肚がきまりや片原町で 堅く約束石火矢町
御前町のはらひとつ 互に喜ぷ中之町
これを約しの頼久寺町 色に染めにし紺屋町
此の念とおす伊賀町よ 末万才を下町で
乗出す船は鍛冶町で みのる最上は柿木町よ
坊さん青ちの寺町や 消極主義の立町も
此所で改革荒神町 如何なるかと南町
今夜があける東町 互いに肚の間之町
共に手を引き松原通り 世間の風説中間町よ
ほかの殿御は弓之町 的を外さぬ鉄砲町
町や花やで楽しけれ 末ではなさく近似桜

木野山まわれば夜空も赤い 恋し高梁盆踊り
堅いようでも花なら開く 初な広瀬のこぼれ梅
浮世さらりと法林坊へ やぷ鶯でも春を鳴く
宵の約束落合橋も 更けりや狐がコンという
轟橋から呼んでもみたが 桔梗河原は秋の風
法蓮華経なら日蓮様へ 粋な横町頬冠り
忍び逢う瀬も度重なれぱ 何時かみんなが南町
逢いに来るなら下町娘 袖すり小路が荒神町
山で赤いがつつじにつばき 私しゃ本町気がもめる
タベ涼しい方谷橋へ 添えてかけたい恋の橋
恋し恋しと近似山で 夏は一日せみの声
山が高うて小高下見えぬ 小高下恋しや山憎や
私しゃ新町主紺屋町 谷の柳がこっそり招く
甲賀伊賀町呼んでもみたが 義理を立町御前町
胸の願いは五右ヱ門稲荷 鯉が渦巻く蓮池に
何時か知らねど楢井の恋路 秘めて心の奥万田
和田前通れば黄金の波が 今日も快にじゃれかかる
私しゃ遣敷山之上 何時も玉坂逢うばかり
好いて好かれた中之町 更けてこっそり間之町
中間町から文ことづけりゃ 返す矢のない弓之町
あれかこれかと鍛冶町雀 みんな揃うた良い男
鐘が聞こえる松原通り 裸祭りの薬師院
昇る朝日の東町 何時から栄える栄町
山中鹿之助
古いお城と猿見谷 その名も高き高梁の
橋のたもとにたたずめば 清くながれる川の瀬が
すぎし昔のことどもを 語るが如き心地する
四百年のその昔 落合橋の下の方
阿部の渡しの川の中 毛利のものの手に掛かり
お果てなされた山中の 幸盛様をしのびましょう
頃は天文十余年 出雲の国は富田城
尼子義久 殿様の 太刀持つ小姓となられたり
牡鹿の甲をいただいて 鹿之助とぞ申されし
年は十六初陣に 伯耆尾高の城を攻め
敵は大将菊地とて 音に聞えた豪傑を
ただ一打ちに打ちとって その名は遠く轟けり
若き心の一筋に 君に忠義を尽さんと
文武の道に励みつつ 三日月様を伏し拝み
我に艱苦を腸われと はやる心を押えたり
やがて西より毛利勢 嵐のように攻め寄せる
富田川原の一騎打ち 太刀振りすてて組みつけば
品川大膳 剛力に 組みしかれたはつかの間よ
タ日にかがやくひおどしの 弓手に高く品川の
首を掲げし武者振りに 鳴を静めて見守りし
川を隔てた敵味方 どっと挙げたりときの声
されど雲霞の敵兵に 十重二十重に囲まれて
義久公は降参す 山伏姿に身をやつし
京都に逃れ勝久を 探し求めて旗を挙ぐ
いつしか集まる十勇士 大山お山の僧兵と
力を併せて戦えば 勢漸く盛んなり
されど運命極りて 吉川軍に出て降る
手厚きもてなし受けたれど 免がれがたきを知るにつけ
厩の中より逃がれ去り またも京都にはせ上り
織田信長に見参し 秀吉軍に加はりぬ
播磨に進み上月の 城を攻めとり意気高し
やがて宇喜田の手引にて 毛利勢の七万騎
吉川軍を先頭に 津波のように攻め寄せる
救いに来る秀吉は 高倉山で破れ去る
涙ながらに勝久に とくと因果を含めつつ
恥を忍んで自らも 再ぴ降る吉川に
毛利の大将輝元の 本陣ありし松山の
お城をさして送られる 天正七年七月の
十七日のまひる時 阿部のわたしにさしかかる
扇子を片手にあおぎつつ 腰かけ岩で船を待つ
待つ間遅しと河村が 柳の蔭より躍り出て
抜く手も見せず袈娑がけに 一太刀深く浴せたり
かねて覚悟のことなれば 不意を討たれてうろたえず
彼方をさして徒歩渡る そぱに控えし附人の
福間すかさず追いすがり 組みつほぐれつ川の中
世に聞えたる剛勇も 深手を負いし一人身の
ニ人の敵に組みつかれ カつき果てあえなくも
三十四才を一期とし あたら最後をとげられた
勇士の名残り惜しみつつ 手厚くまつる観泉寺
しるしに植えし大榎 供養に積みし五輪石
度々いでし大水に ついに跡なく流れたり
空しき月日 百余年 板倉様の御家中に
その人ありと知られたる 学徳高き前田様
勇士の勲を伝えんと 再ぴたてし記念の墓標
川の流れと人の世は 逝く年々に変れども
日毎に通う備北バス ガイドにその名を呼ばれつつ
多くの人に仰がれて 千代万代に伝わらん
神原心中
備中高梁城下町 吉備の京都と唄はれた
幕末頃の物語り 頃は慶応の始めにて
城下外れの神原で 世にも悲恋の心中ぱなし
処は神原乎田畝 小んもり繁る山中で
ニ人の恋は清かった 知るは仏か神ばかり
せつない二人の胸の中 十九・二十のつぼみ時
知るか草つゆしっとりと 哀れ悲恋の涙似て
ニ人を送る山百合の 香りの中に消えて逝く
清く旅立つ二人には 此の世に何んのみれんなし
愛の園の天国に 結ぷ二人の旅立ちに
話せば長きことながら ちじめて語りて申すなら
神原村の定太郎 色こそ黒いが働き手
病いの父をいたわりて 村一番の孝行者
割出の医者に薬とり 雨の降る日も雪の夜も
相手の娘「とめ」と云ひ 福地村なる百姓の
徳蔵妹できりょうよし 割出村なる輝景の
医者の家に住込みの 三年切っての年期つとめ
「とめ」は皆んなに親切で 年寄子供をいたわりて
医者のしごとも助けたり 評判者で良い娘
二人の出会いは二年前 秋の木の葉が落ちる頃
どちらともなく見そめあい 愛も互に語りあい
末を誓った二人仲 花も実もあるかきつばた
月日は流れ日は立ちて 年期の満期過ぎた頃
ニ人の伸を露知らず 阿部の村なる善光院
仲人役を引受けて 娘の心かまい無く
親が決めるが世の習い 無情と云うもあわれなり
泣く泣く嫁ぐ其の先は 同じ村なる兼之蒸
定太郎とても同じ事 三度の食事ものどこさず
村人たちのなぐさみも 何んでわかろう胸の中
うつろの日々を過しけり 時しも村の大祭り
若者達はうかれ立ち 神社の森に集まりて
お神酒を上げて大さわぎ 思いあまった定太郎
いても立っても居られずに 「とめ」の嫁いだ兼之蒸
忍んで行って「とめ」に逢ひ 時の立つのも忘れしを
兼之蒸帰りおどろきて 「とめ」折艦見ておれず
涙で帰る定太郎 不義は当世の御法度で
兼之蒸始末をせまりくる 親子親族詑ぴたれど
解決すべきすべもなく 苦しい胸の定太郎
「とめ」と覚悟を決めあって 逃げたる所は作州の
湯原の里に身を寄せり 此れを知りたる親・身内
村人達は総出にて 探し求めし作州の
湯原の里より連れ帰り 二人を囲んで大評議
若き二人の運命は 二人で決めた黄泉路旅
今も残れる心中塚 平田畝の草むらに
淋しく立てる墓石に 誰れが手向し花一輪
武士の誉
人を見おろす実の人 たかさだ遺恨の始まりは
二つ巴の大小は  流石は力禰の御師匠役
身は横縞の立鳥帽子 金に傾く誤りよ
世柄の御上使引受けて 塩谷は無念の御切腹
何時でる鉄砲我知らず しゅうとの敵は定九郎
娘を祇園の与一兵衛 むこのためとて売りにけり
むこのためとて 売りにけり
しれもカザや 名を痴漢者の揚屋町
敵を知らさぬ手立とは 草約東たがわず来るとなせ
小浪は力弼の御使者役 心の底の奥深さ
この山科の隠れ家を どつてあだあかわや
捕手は数多天川屋 義兵衛は勝れし剛の者
ー身連判四十余騎 そろえし黄金の短冊を
逃げるおそのの心根は 子故に迷いし小提灯
先立つ早野の勘平は 若げの至りが残念な
四十七人連判の 中にも寺岡平右衛門
御門掛のきびしさに 石垣金堀はざままで
ろう下玄関いちいちに 雨戸あいせんあいくろろ
七寸余りの弓竹を 敷居と鴨居に張り置きて
早や夜は夜中烏の声 忍べよ忍べ今一度
目をしけれども師直は ぬけ穴よりも炭部屋に
人に思いの念願も 亡びし高の師直よ
命を捨てて主のため 報せんための憂き勤め
ニ階で文をば写しとり 筆も及ばぬのべかがみ
盃させば手をだして 足をいたゞくたこ肴
舌も廻らぬ高調子 奥はさわぎの太鼓ご一味
虚無僧姿の加古川は 命を捨てて山科へ
禄盗人の九太夫は 敵の犬が緑の下
七里の渡に帆を巻いて 急ぐ心は山科へ
恥と思わぬ錆び刀 差してくるのも大さわぎ
国を隔てて遥々と 来るも契りは一夜限り
勘平さんはご一十に なるやならぬに死なしゃんす
石を入れたる駕の中 由良さん御油断なさるなよ
ニ世の盃すんだ後 小浪は力禰に別れ行く
酒を飲ませうと取捲いて 酒をのまぬといわしやんす
しどろもどろの足取は 酒がこたえる雪とかし
五輪の形は自雪の 消ゆる命の判じもの
六字の禰陀の笹の音は これが尺八煩悩の
縞の財布を任せぬからは おかるが身の代五十両
母はカを振り上げて 泣く音は鶴の巣寵りか
黒装東の出立は 末の世まで名を残す
四十過ぎての色狂い 誠を知らぬあやまりよ
いろはの文字を合印し 実に思臣の仮名手本
悪いは師直唯一人 思いをはらす明日の鐘
堺の浜で傷も無く 猶天川屋大丈夫
四十七士の人々は 約東かたき石の帯
御本望をと計りにて 名残りおしさの山々と
禄され軽き寺岡が 一人となりて付けねらう
七世の後まで名を残す 是ぞ思義の徳ぞかし
石童丸
父をたずねて幾百里 石童丸の物語り
国は紀州にその名も高き 高野山とて尊いお山
秋も半ばの日暮れ時 母子二人の旅姿
かかる難所をたどたどと 尋ねさまよう山坂路
女人堂までついたれど これより先は掟にて
女の登りはゆるされず 破ればたちまちわざありし
母は涙でこまごまと 石童丸に云い間かせ
別れて行くもあわれなる これが最後となろうとは
あわれなるかや石童は けわしき道をただ一人
後に残りし母親は 神や仏があるなれば
どうぞ父にと会えるよう 両手合わせて伏拝む
さがし求めて一筋に 小さな足で登り行く
丁度出会いし丸木橋 見れば片手にお経本
花桶持ってじゅず持って どこかに品のありそうな
この人こそは父親か かけより勇んで声かける
聞いて坊さんおどろいて 見れば子供がただ一人
たずねる人と間くなれば 父を探してはるばると
国は筑紫の松浦で 名前は加藤繁氏よ
小さい時に生別れ 顔や姿は知らねども
高野へ登ってお坊さん 風のたよりで間きました
間いて苅萱おどろいて 石童丸の手を取りて
しみじみ顔をながむれば たしかに幼きその顔は
まさしく我子と思えども 目には出さねど抱きしめて
うち明けようか我身をば いえいえ我身は知らされぬ
胸の痛みをこらえつつ 涙かくして石童に
世を捨て子を捨て妻を捨て 旅に出るとは父親に
よくよく因果のありそうな 決して親を恨むなよ
云えば看童苅萱の 衣のそでに取りすがり
会わして下さい父上に ふもとで病気の母上も
神に析りつ待ちわぴる 又は苅萱おどろいて
せきくる涙がほほ濡らす ぐっと引寄せ看童と
間けば母上御病気と 衣の中より一つつみ
薬取り出し石童に 早くこれをば母上に
のまして上げよと進むれど 石童丸は顔ふりて
母に薬はあげたいが あなたと別れりやこれっきり
ニ度会えない人となる 薬も何んにもいりません
父に会ふまでこの寺の あなたのおそばにおいて呉れ
虫が知らすと言うものか 幼な心の石童に
心の底に父親と あまいほのかな心地する
鳥か蹄くかや苅曲鼻の 雁も行く行く親子づれ
そなたの尋ねる父上は 旅僧姿に身をやつし
諸国修業なされてる 今に行方も知れざる程に
心の中で手を合わせ どうぞ恨んでくれるなよ
早く行かねば日は暮れる 右の道わきゃ花坂路
石童丸もしかたなく 身にお守りいただいて
一人とぼとぼ母のもと 振り返りては又止り
未練の涙ほほ濡らす これが我子と知りながら
やさしき心振りすてて 石童丸を見送りし
帰りて見れぱ母上は 重き病とその上に
なれない旅のつかれにて 我子の帰り待ち切れず
お果てなされし夜の空 呼べど答えずいきはなし
寺母にすがりて叫んでも 返りて来るは山びこよ
月も泣くかな涙雲 淋しき夜空にただ一人
右童丸はただ一人 泣いて血を吐くほととぎす
あゝ運命はいづこえや ほんに涙の物語り
幾年過ぎし十余年 諸国大名なられたる
幼き時代の物語り 末の末まで語り継ぐ 
佐倉宗吾くどき
国は下亀印希の郡 佐倉領なる岩橋村よ
名主総代宗吾郎こそは 心正直利発な者よ
これや由来を尋ねてみれぱ 国の役人騎りに長じ
年貢加役をきぴしくなさる 下の困窮目もあてられず
今は暮しもできがたければ 組は村々相談極め
年貢加役の御免を願う されど役人横縞なれば
逆くやからはお仕置なりと なおもきぴしく取り立てなれば
百姓残らず思案にくれて 組合隣村はじめといたし
二百二十のその村々ヘ 廻状いたして相談なせば
佐倉宗吾を始めとなして 名主総代残らずあわせ
名主総代残らずあわせ 江戸の屋敷へ願いをあげる
又も今度も取り上げられず 宗吾心で思案を定め
諸人一同の身の苦しみを 我が身一人の命にかえて
いっそお上へ願わんものと 国の妻子をよくよく頼み
暮の二十日のお成りの場所は 花の上野のご一枚橋よ
下に忍んで待ち受けまする そのや析から将軍様は
お成り相すみ還御となりて 橋のたもとへお駕寵はかかる
かねて用意の宗吾はすぐに 竹の先へと願書差し入れ平伏いた
それと見るよりお供の衆は すぐに宗吾に早縄かけて
お奉行所へとお渡しなさる されば佐倉のご領主様は
国の宗吾が将軍様へ じきの願いをあげたる故に
すぐに上から言渡されて 年貢加役も御免となれば
国に残りし百姓達は 心落ちつき安心いたし
下の騒ぎはしずまりたれど ここにあわれな佐倉の宗書
上へ直訴のその罪科で 上へ直訴のその罪科で
国へ引かれて獄屋の住まい 殿の憎しみ昼夜の責で
今は命もきわまりまして 親子六人死刑の場所に
力なくなく引出されて 宗吾夫婦の見る目の前で
子供ならべて成敗いたす 修理の太鼓が合図の時刻
げにも地獄の午頭馬頭なるか 未だ二つの三之助より
首を切らんと太刀振りあげる これを見るより母親こそは
心も身もよもたえられぬ思い 我が身夫婦は責苦にあいて
如何に苦しみいたせばとても 幼なけれどもさてむごたらしや
頑是なき子に何科ありて 殺し給うぞ無理著なるぞ
思い知らせん覚悟をせよと はっと吐く息火焔のごとし
歎き苦しむはやそのうちに あとは五つの喜八をはじめ
中は九つ玄助というて 惣領十一惣吉までも
情容赦も荒身の刀 子供四人は両手を合せ
これゃ父様あの母様よ 先へ行くから後から早く
急ぎ給えと健気な言葉 南無という声この世のいとま
首は夫婦の前へと落ちる これに続いて夫婦の者を
台かけおきて大身の槍で あわれ無惨や成敗いたす
あまた諸人その見物が ワッと声立て皆一同に
嘆き泣き立つ声すざまじく 天にひぴきてあら恐ろしや
身の毛もよだちて見る人々も 共に心も消え入るばかり
さればその後も夫婦の者は こごりし一念この世に残り
その霊魂が現われいでて 国の館のお庭先の
雪見燈寵の小影に立ちて 細き声さえいとしわかれて
殿のおんためお国を思い 苦労苦心の年月積り
恐れながらも将軍様へ 直のお願いいたせし罪よ
これも非道の役人方の 上を欺むく偽なれば
なおも怨みの数かさなりて ここにあらわれ怨みをはらす
聞いて殿様役人はじめ 国の百姓みな一同に
宗吾の霊魂神にとあがる 思いはらして豊作まもる
今に佐倉の鎮守の祭り 国の守りとその名は残る
女一代たしなみ鏡
国は河内の山畑で 諸国長者が集まりて
衣裳比べがいたされる 主の佐太郎の初菊と
俊徳丸とこの時に 親と親との許嫁
稜徳母に死に別れ 犬和の国は萩よりも
後妻おすわを貰いうけ 乙五郎つれて二度の縁
長の年月送るうち 慾の袋にゃ底がない
吾が子に跡がやりたいと 思えば俊徳邪魔になる
刀で殺せば傷がつく 毒を呑ませば色変はる
析り殺すが分別と 大和に帰るといつわりて
泉川堺に出てまいり 鍛治屋与次兵工に頼み込み
なし釘をあつらえる それは厭じゃと断れぱ
おすわは大いに腹を立て 何時ぞや貸した金返せ
金に手詰り写次兵ェが 泣く泣く仕上げる四十九本
さても邪険な「おすわ」めが 自装東に下げ髪で
頭に「せんとく」胸鏡 わらの人形携えて
草木も眠る丑満時 人目を忍んで刻参り
急所急所に打つ釘は 頭が痛む手が腐る
草一夜の間に腫れ病い そこで継母申すには
四国西国巡るなら 本復すると偽りて
俊徳丸を追い出す 俊徳我が家を立つ時は
背に笈摺杖に笠 郷里と名前を書き記し
敷居を越すのが死出の山 雨だれ越すのが三途の川
門に立てりし俊徳が もうし父さん父さんよ
私の出た日を命日と 枯れたしきぴの一枝も
析れた線香の一本も 供えて下さい父さんよ
本の母さんあるならぱ こんな苦労はあるまいに
杖をたよりにとぽとぽと 諸国巡礼いたされて
巡り来たのが「さのうむら」主の佐太郎と知らずして
報謝頼むと門に立つ 報謝進上と初菊が
盆に「しらげ」の志し 笠の印を見るなれば
俊徳丸と肩いてある これが夫かわが妻か
親に頼んで暇貰い 夫の病気をなおさねば
女の操が立たないで 俊徳丸の俊徳慕い
ー先ず京都にのぽられて 伏見の滝や清水の
滝に打たれて荒行する 一心込めた御利益で
俊徳病気が全快し 一先ず郷里に帰られて
俊徳丸と初菊と 目出度く祝言致されて
二一代長者と名をなのり お礼参りと致される
八百屋お七
さても踊りの皆様方よ 一寸出ました私が音頭
伺いまするは短こて長ごて いとも古くてすまないけれど
八百屋お七の物語り 月に叢雲 花に風
散りてはかない世の習い それではぼつぼと文句にかかる
所はお江戸の本郷で いともかれんな八百屋のお七
店で売る品何かと間けば 椎茸・大根・千瓢と
こんな商売やめにして も一度家を焼いたなら
好きな吉ッあんに会えようと 乙女心の一筋に
一束の藁に火をつけて パット投げたが火事になり
火事ぢゃ火事ぢゃと鐘たたく 誰知るまいと思うたに
八百屋の家からご一軒圏 長屋の武乎さん申し出た
訴人せられしお七さん 散々縄目に縛められて
下町御奉行に引出さる 今更後悔何んとしょう
ー段高いは御奉行様 お七にとってはお叔父さんで
お前十四か十三か よもや十五にゃなるまいと
鉄扇で知らす目で知らす それでも解らぬお七さん
いえいえ私は十五です ひのえひのとの馬の年
それに因んで名もお七 十四と言えば助かるに
十五と言ったぱっかりに 百日百夜は牢住い
百日百夜が明けたれば 栗毛の馬に乗せられて
先に令状旗幟 小伝馬町に大伝馬町
米の花咲く麹町 落してわれたが瀬戸物町
色はにほえる女郎屋町 日本橋も早や過ぎて
品川宿場に来かかると 品川女郎衆がお出迎え
鶴千代さんに亀吉ッあん 寝まきのままで出ておいで
あれが八百屋のお七ちゃん 鼻筋通って色白く
髪はからすの濡れ羽色 吉ッあんほたれも無理はない
ほんに儚い人生と 世の末までも語りぐさ
「下津井節」    ←「トコハイ節」 
下津井港はヨー 入りよて出よてヨ 真艫巻よで まぎりよてョ
下津井港にョー 錨をいれりゃヨ 街の行燈の 灯が招くョ
下津井女郎はヨ 錨か綱かヨ 今朝も出船を また止めた
下津井よいとこヨ 一度はおいでヨ 春は鯛網 秋は釣りヨ
船が着く着くヨ 下津井港ヨ 三十五挺槽の 御座船がヨ  
「備前太鼓唄」 (「こちゃえ」)   ←「こちゃえ節」 
備前岡山 西大寺町 大火事に
今屋が火元で五十五軒 コチャ
今屋が火元で五十五軒 コチャエ コチャエ
京橋へんの魚売り 鯛や鯛
はもや きすごや 蛤や コチャ
はもや きすごや 蛤や コチャエ コチャエ
お前は浜のお奉行様 潮風に
吹かれて お色が真っ黒け コチャ
吹かれて お色が真っ黒け コチャエ コチャエ
べっぴんさんに もろおた 手ぬぐいを 川端の
柳の小枝に ちょっとかけて コチャ
柳の小枝に ちょっとかけて コチャエ コチャエ
出石(いずし) 三町(さんちょう) 小畑町(おばたまち) 裏は川
広瀬を上ぼす(のぼす)高瀬舟 コチャ
広瀬を上ぼす(のぼす)高瀬舟 コチャエ コチャエ  
広島

 

「室尾甚句」
鳥取

 

「貝殻節」 (「ホーエンヤ節」)
何の因果で 貝殻漕ぎなろうた カワイヤノー カワイヤノ
色は黒うなる 身はやせる ヤサホーエヤ ホーエヤエー
ヨイヤサノ サッサ ヤンサノエー ヨイヤサノ サッサ
戻る舟路(ふなじ)にゃ 櫓櫂(ろかい)が勇む いとし妻子(つまこ)が 待つほどに
忘れられよか 情(なさけ)もあつい あの娘(こ)ァ 浜村 お湯育ち
浜村沖から 貝殻が招く 嬶(かか)よ まま炊け 出にゃならぬ
帆立貝なら 帆立てて行こよ わたしゃあなたの 身を立てる

沖に見ゆるは エー漁師か星か 月の明かりか 有難や
沖の大船 帆かけて走る 船は帆まかせ 風まかせ
押せや押せや 二挺艪で押せよ 押せば港が 近くなる
島根

 

「隠岐相撲甚句」
相撲は 神代に始まりまして 今じゃ 日本の国技になりて
隠岐相撲取節
ハアー 派手なまた商売 相撲取りさまはヨー ハードスコイドスコイ
髪は大銀杏の折りまげで 着物はどてらの碁盤縞 ハーヨイショ
足に白足袋下駄はいて こうもり傘をば杖につき ハードスコイ
ノッシノッシとやってくる これこれ相撲取りどちら行く ハーヨイショ
これから西に相撲に行く 一日限りと問うたなら ハードスコイ
晴天三日の相撲がある 初の一日ちゃ 土俵入りで ハーヨイショ
梅鉢小紋の 化粧まわし かけて踊るや 品の良さ ハードスコイ
いかなる女子も まよてくる
私もなりたや ノーホホイ 相撲取様にヨー ハードスコイドスコイ
   ハアー 隠岐は良いとこ 住み良い所ヨー
   名所古蹟も数ござる あこな地蔵に国分寺
   焚火の権現黒木御所 勝田のお山に隠岐神社
   七百年のその昔 松と蛙の ばんじょうの
   君に捧げし この操 一生のうちに一度は
   お出でなされや 隠岐の島
   聞いてお帰り ストトコドスコイ どっさり節を
ハアー ちょいとやりましょ 相撲取節をヨー
相撲取さんと云うものは 朝も早から起されて
玉の汗ちる猛稽古 苦労に苦労を重ねつつ
巻下十両幕の内と とんとん拍子に出世して
晴れの横綱土俵入り 故郷に錦を飾りつつ
世界国中我がとる そんな姿を夢に見て
今日も土俵の ノーホホイ 鬼となるをヨー
   ハアー 夕べマタ夢見た 目出度い夢をヨー
   ここの後の水神に 船が三艘走り込む
   先のお船の積み物は 綾や錦を積んできた
   中のお船の積み物は 米の千俵も積んできた
   後お船の積み物は 金の万両も積んできた
   金比羅様の導きに 大黒さんの船方で
   こ恵比須さんの船頭で
   エンヤラヤッコと ストトコドスコイ はしりこむヨー
ハアー 私が自慢の 相撲取節をヨー
今日はこの家のお祝いに 一つ唄ぉて見るほどに
酒を飲む手を一休み 手拍子頼むよ 皆様よ
目出度いこの家のお座敷に 初めて会わせる顔もある
縁がありゃこそ気も融けて 笑顔で交わす杯に
話が弾む人もある 両手を結ぶ人もある
交わす人情ほのぼのと 祝座敷に実を結びゃ
笑顔で 見ている 床の間の
七福神が ノーホホイー 飛び出し踊るヨー
   ハアー 西行法師が 修行に廻るヨー
   ふやまた水無川をば 渡るとき
   クラゲの骨を足にたて こんにゃく小骨を喉にたて
   豆腐の角で目鼻突 これより薬は無いものか
   そこ行く娘に問うたなら このまた娘の云うことにゃ
   夏降る雪の寒茄子 千里奥山蛤と 
   これを合せて 火で延べて
   明日付ければ コラヤノヤ− 今日治るヨー
ハアー 夕べマタ夢見た どでかい夢をヨー
大山山をば 腰に負い 隠岐丸二艘 肩に抱き
日本海をば渡るとき 少しのどが渇くので
日本海をば口付けて 一口二口三口飲み
なんだかのどに 刺さるので
中から出てきた ノーホホイー 隠岐の島ヨー
これを合せて 火で延べて
明日付ければ コラヤノヤ− 今日治るヨー 
「しげさ節」    ←「三階節」
しげさしげさと声をする しげさしげさのごかんとしゃ 山里越えて参りとや
涙ながらに送り出す 港の灯影が主さん恋しと泣いている

しげさしげさと 声がする しげさ しげさの御開帳 山坂越えても 参りとや
隠岐は絵の島 花の島 磯にゃ 波の花咲く 里にゃ人情の 花が咲く
忘れしゃんすな 隠岐の島 島のしげさの踊りに 牛突きどっさり 島娘
旅の情けに ほだされて 島に 泊まりを重ねりゃ いつしか覚える しげさ節
船は出て行く 波止場には いとし 島の娘が 涙で唄う しげさ節
遠い昔を 今もなお 忍ぶ 後鳥羽 後醍醐 歴史に残る 隠岐ノ島
忘れしゃんすな 西郷の港 みなとの灯影が 主さん恋しと 泣いている
にっこり笑うて送り出し 消ゆる 後ろ姿に 思わず泣き伏す 乱れ髪
愛宕おろしの 吹く夜さは いとし 様の帰りを 浜に出て待つ 二度三度
名残り尽きぬに ドラが鳴る 船のテープは 切れても 胸の想いは 切れやせぬ
蝶や蜻蛉やきりぎりす お山 お山さんで泣くのは 鈴虫 松虫 くつわ虫
夕んべ着たのは猫じゃと いわしゃったが 猫が下駄はいて 笠さして筑前絞りに 浴衣着て 来りゃすまい
桶屋の嫁ごにゃ わしゃならの 今朝も 肥箍 輪を掛け その手も洗わず まま食った
橋の向こうで チョイト出会て 話せ 話せよ話せよ 心にあること 皆話せ

隠岐は絵の島 花の島 磯にゃ 浪の花咲く 里にゃ人情の 花が咲く
(ハヤッショメ ヤッショメ)
旅の情けに ほだされて 島に 泊りを 重ねりゃ いつしか覚える しげさ節
にっこり笑って 送り出し 消ゆる  うしろ姿に 思わず泣き伏す 乱れ髪
忘れしゃんすな 西郷の港 港の灯影が 主さん恋しと 泣いている  
「出雲節」「舟方節」 
ゆうべ夢見ためでたな夢を ハアー イヤサカサッサ
きさらぎ山の楠を舟に造りて今日おろし ハアー イヤサカサッサ
舟は白金ろは黄金 黄金の柱をおし立てて ハアー イヤサカサッサ
乗り込むお客さんは七福神で ハアー イヤサカサッサ
積んだる荷物は米俵あやや錦の帆をあげて ハアー イヤサカサッサ
五色の風にまかせつつ思うさ港も近くなる ハアー イヤサカサッサ
(掛け合い)
甲 なぞなぞ掛けますこれとかしゃんせ ハアー イヤサカサッサ 
乙 とくともとくともときまする さあ掛けなされや何になるや
甲 真ちゅうの鈴と掛けます何ととく
乙 そのなぞ私にとかしょなら大雷ともときまする
甲 ようとかしゃんしたその心
乙 ふるなる光るじゃないかいな
  ハアー 負うた子も抱いた子もお前さんの子じゃないか サカサッサト
「河下甚句」 (河下盆踊り) 
甚句踊らばしなよく踊れ しなの良いのがかわしも踊り
さすが出雲の名所の中で その名は鰐淵浮浪のお山
お山チラチラ浪間に浮かぶ 浮かぶお山へ舟漕ぎ寄せて
霊地開きし智春の聖 法灯千載その名は高く
御柱水の泉は尽きず 飛沫は轟く浮浪の滝の
淵は鰐淵稲佐に通う 滝の白糸千代繰り返し
鰐は躍らず河鹿が鳴いて 春は桜や若葉の緑 ・・・
( 囃子言葉 / トコドッコイ ドッコイ ドッコイ ) 
山口

 

「男なら」 (「維新節」「長州音頭」)
男なら お槍担いで お中間となって 付いて行きたや下関
国の大事と聞くからは 女ながらも武士の妻
まさかの時には締め襷 神功皇后の雄々しき姿が 鑑じゃないかな
オーシャリシャリ
   女なら 京の祗園か長門の萩よ 目もと千両で鈴をはる
   と云うて国に事あらば 島田くずして若衆髷
   紋付袴に身をやつし 神功皇后のはちまき姿が 鑑じゃないかな
   オーシャリシャリ
男なら 三千世界の鳥を殺し 主と朝寝がしてみたい
酔えば美人の膝枕 醒めりゃ天下を手で握り 咲かす長州桜花
高杉晋作は男の男よ 傑いじゃないかな
オーシャリシャリ
「野島の盆口説き」 (防府市大字野島)
あーぁ 音頭ちょいというてみましょ 音頭出したが はやし声 たのまぁ
いとけなきをば 愛して通れ 老はうやまい ぶれいをするな
はらが立つとも かごんは言うな にくいかたきは 生かして置きゃれ
ほめられるとも こうまんするな へだてられるも わが心から
となり近所に ふつごうするな 近き中にも 又かきゆやれ
理屈あるとも みなまで言うな 主によっては 大事がおきる
るろう者とは 言われぬように 終わり果てねば わが身は知れぬ
若いさかりの その道みちに 家業大事と 心にかきゃれ
良きも悪しきも ひとごと言うな たとい高きも またいやしきも
れいぎ正しく 世間をわたれ そりゃく者とは 言われぬように
つねの身持ちが 大事でござる ねても覚めても ただ正直に
何はなくても 世をうらむなよ 楽なくらしを する人はない
むくいむくいで 貧乏するよ 
うわき者とは 言われぬように 今のなんぎを 思えば少し
のちの世をまたねがわせたまえ
親を大事に 不幸をするな
国のおきてに そむかぬように 役をするとも ただ正直に
まなこ暗めて どんよくすれば けんの地獄に この世で落ちる
ふじょうおちどの あるその中で ここに一つの くどくがござる
えら知らざるかや 世間のぎりを 天のむくいは まぬがれませぬ
悪なことなら まねにもするな 
酒はのんでも すごさぬように 聞いてたしなめ 世間のぎりを
ゆだんする身は そんするもとよ 
めったやたらに どんよくすれば 身をもまるぼし人さまもほす
しっと心は 大事に持ちゃれ えいようすぎるは 苦を見るもとよ
ひごろ心を つくしてならえ 物を知らぬは むちもうもくよ
世間を知らぬは わが身を知らぬ ずんど心を つくしてならえ
京もいなかも みな同じこと 
「ヨイショコショ節」   →「淡海節」 
( ちょうしゅうとのさまーーちからがつーーよーいー
さんじゅうろくまんごくーぼうにふるーー
ヨイショコショーオでーーーー ヨサノサーーぼおーにーーーふーるー )
長州殿様ちからが強い 三十六万石棒にふる
ヨイショコショで ヨサノサ棒にふる
梅とかおりて桜と散りゃれ わたしゃいやだよ柳武士
ヨイショコショで ヨサノサ柳武士
みがきあげたるつるぎの光 雪や氷か下関
ヨイショコショで ヨサノサ下関
三千世界のからすを殺し ぬしと朝寝がしてみたい
ヨイショコショで ヨサノサしてみたい
(周防大島町)
エーこれの座敷は祝いの座敷 アーヨイショヨイショ
床にゃ鶴亀五葉の松 サーヨイショコショーデエーイヤサノサー 五葉の松
   エー鶴と亀とが何と言うて遊ぶ アーヨイショヨイショ
   お家ご繁盛と言うて遊ぶ サーヨイショコショーデエーイヤサノサー 言うて遊ぶ
エーこれの旦那は団子か餅か ア−ヨイショヨイショ
もちはもちじゃが金持じゃ サーヨイショコショーデエーイヤサノサー 金持じゃ
   エーこれのお背戸の茗荷(みょうが)と蕗(ふき)と アーヨイショヨイショ
   茗荷めでたや蕗はんじょう サーヨイショコショーデエーイヤサノサー 蕗はんじょう
エー歌え歌えと責めかけられて アーヨイショヨイショ
歌は出もせぬ汗が出る サーヨイショコショーデエーイヤサノサー 汗が出る
   エー枝が栄えてお庭が暗い アーヨイショヨイショ
   おろせ小松の一の枝 サーヨイショコショーデエーイヤサノサー 一の枝
(岩国市美和町)
わたしゃランプで火屋(ほや)かけられて 心石炭気はランプ
ヨイショコショー デーエーエヤサノサ 気はランプ
   お前百までわしゃ九十九まで 共に白髪のはえるまで
   ヨイショコショー デーエー エヤサノサ はえるまで 
 
四国

 

愛媛
「伊予節」
伊予の松山 名物名所 三津の朝市
道後の湯 おとに名高き五色ぞうめん
十六日の初桜 吉田さし桃こかきつばた
高井の里のていれぎや 紫井戸や
片目鮒 うすずみ桜や 緋のかぶら
ちょいと 伊予絣
   伊予の 道後の名物名所 四方の景色は
   公園地 音に名高き 紅葉の茶屋に
   意気な料理は かんにん桜
   道後煎餅や 湯ざらし艾
   お堀の渕の川柳 冠山や玉の石
   さても見事な 碑文石
   ちょいと 見やしゃんせ
竹に節あり 枝にも小ぶし
端唄伊予ぶし 竹尽くし 主は若竹
日頃寒竹 ぐちを云うのが 女子竹
孟宗淡竹の竹までも 義理を立て抜く
男竹 雪折れ笹や 黒竹に せめて
寝ざさは七夕の ちょいと 一夜竹  
徳島

 

「祖谷の粉ひき唄」
祖谷のかずら橋ゃ 蜘蛛の巣のごとく 風も吹かんのに ゆらゆらと
 吹かんのに 吹かんのに風も 風も吹かんのに ゆらゆらと
祖谷のかずら橋ゃ ゆらゆら揺れど 主と手を引きゃ こわくない
祖谷のかずら橋ゃ 様となら渡る 落ちて死んでも 二人づれ
祖谷の源内さんは 稗の粉にむせた お茶がなかったら むせ死ぬる
粉ひき婆さん お年はいくつ わたしゃ挽き木の うない年(おない年)
粉ひけ粉ひけと ひかせておいて 荒い細いの なしょたてる

祖谷のかずら橋ゃ 蜘蛛の巣(ゆ)の如く 風も吹かんのに ゆらゆらと
吹かんのに 吹かんのに 風も 風も吹かんのに ゆらゆらと
   祖谷のかずら橋ゃ ゆらゆら ゆれど 主と手を引きゃ 怖くない
   手を引きゃ 手を引きゃ 主と 主と手を引きゃ 怖くない
祖谷の源内さんは 稗の粉(ひのこ)むせた お茶がなかったら むせ死ぬる
なかったら なかったら お茶が お茶がなかったら むせ死ぬる
   祖谷のかずら橋ゃ 様となら渡る 落ちて死んでも もろともに
   死んでも 死んでも 落ちて 落ちて死んでも もろともに
粉ひき婆さん お年はいくつ わたしゃひき木と うない歳
ひき木と ひき木と わたしゃ わたしゃ ひき木と うない歳 
「祖谷(いや)甚句」
エーエ 祖谷の甚句とかずらの橋は 聞こえ渡らぬ 島はない
(アラ おまえさんに 逢うとて たいてなしんぼはしたわいな きなえー 毎晩)
エーエ 源氏平家の 戦のはては 武者が逃れた 祖谷の谷
エーエ 山が高うてあの家が見えぬ 恋しあの人 山にくや
エーエ 此処でうとたら 向かいでつげる いとこ様かえ 愛らしや 
香川

 

「金比羅船々」 (こんぴらふねふね)
金毘羅(こんぴら) 船々 追い手に 帆かけて シュラシュシュシュ
回れば 四国は 讃州(さんしゅう) 那珂(なか)の郡(ごおり)
象頭山(ぞうずさん) 金毘羅大権現(だいごんげん) いちど まわれば
   金毘羅石段(いしだん) 桜の真盛(まさか)り キララララ
   振袖(ふりそで)島田が サッと上(あが)る
   裾(すそ)には降りくる 花の雲 いちど まわれば
金毘羅み山の 青葉のかげから キララララ
金の御幣(ごへい)の 光がチョイさしゃ
海山雲霧(うみやまくもきり) 晴れわたる いちど まわれば
   お宮は金毘羅 船神(ふながみ)さまだよ キララララ
   時化(しけ)でも無事だよ 雪洞(ぼんぼり)ゃ明るい
   錨(いかり)を下(おろ)して 遊ばんせ いちど まわれば
高知

 

「土佐訛り(なまり)」   ←「本調子甚句」「宮津節」  
土佐の訛りは 彼奴(あいつ)に此奴(こいつ)
お主(んし)ゃどうすりゃ 俺(お)りゃ帰る
件の事はどうすりゃや 居(お)るかや寝(いぬ)るか止めるかや
ナンチャ喧し黙っちょれ 黙っちょれるか止めとうせ
実(げ)にめっそう下らんにゃ
帰(い)んだらお母(なん)に云うちゃるぞ
多寡でたまるか やっちがない ヤー ヤー
 
九州

 

福岡
正調博多節」     ←「天狗さま」端唄
博多帯締め 筑前絞り 歩む姿が 柳腰
博多へ来る時ゃ 一人で来たが 帰りゃ人形と 二人連れ
操縦縞 命も献上 固く結んだ 博多帯
意気地づくなら 命もままよ 博多小女郎の 末じゃもの
何の玄海 船底枕 覚めりゃ博多の 灯が招く
何の玄海 船底枕 明けりゃ博多の 灯が見える
寄する仇波 いつしか引いて 主と玄海 おぼろ月
風が邪魔して つがいの蝶も しばし菜の花の 裏に住む
博多人形に 思いを秘めて 贈る私の 胸の内
千代の松ヶ枝 傾(かたぶ)く月を かけて一声 ほととぎす
博多山笠 締め込み法被 シュっとしごいた 力綱
筑前の名所は 名島に宰府(さいふ) 芥屋(けや)の大門(おおと)の 朝嵐
博多柳町 柳はないが 女郎の姿が 柳腰
博多柳町 柳はないが 恋の小女郎の 夢のあと
博多柳町 蛇の目がけぶる 明けの別れの 涙雨
御衣(ぎょい)を捧げて 泣く秋の夜に 月がさし込む 榎寺
恋の中道 情けの博多 波を隔ての 礒千鳥
海の中道 手をさしのべて 抱いて静かな 博多湾
誰に買われて いくとも知らず 博多人形の 片えくぼ
博多よいとこ 朝日に映えて 松と竹とが 西東
鼻と鼻とがお邪魔になって 口も吸えない 天狗さま  
「黒田節」
酒は呑め呑め呑むならば 日の本一のこの槍を 呑みとるほどに呑むならば これぞまことの黒田武士(くろだぶし)
峰のあらしか松風か 訪ぬる人の琴の音か 駒をひきとめ立よれば 爪音たかき想夫恋 (そうぶれん)
春の弥生のあけぼのに 四方の山辺を見わたせば 花のさかりも白雲の かからぬ峰こそなかりけれ
花橘も匂うなり 軒の菖蒲も香るなり 夕暮れまえのさみだれに 山ホトトギス名のりして

皇御国(すめらみくに)の もののふはいかなることをか つとむべき ただ身にもてる 真心を君と親とにつくすまで
花より明るく 三芳野(みよしの)の春のあけぼの 見わたせば唐人(もろこしびと)も 高麗人(こまびと)も大和心(やまとごころ)になりぬべし
古き都に 来てみれば浅茅が原(あさじがはら)とぞ なりにける月の光は くまなきて秋風のみぞ身にはしむ

こまのわたりの瓜作り うりを人にとらせじと もる夜あまたになりぬれば瓜を枕に眠りけり
夜須の朝日の弥四郎は 親に孝行尽くしつつ 牛馬に鞭をあてざれば 寿持の田は作りどり
「炭坑節」    ←「奈良丸くずし」「伊田場打選炭唄」
月が出た出た 月が出た ヨイヨイ
三池炭坑の 上に出た
あんまり煙突が 高いので
さぞやお月さん 煙たかろ サノヨイヨイ
   一山二山 三山越え ヨイヨイ
   奥に咲いたる 八重つばき
   なんぼ色よく 咲いたとて
   サマチャンが通わにゃ あだの花 サノヨイヨイ
あなたが其気で 言うのなら ヨイヨイ
思い切ります 別れます
もとの娘の 十八に
返してくれたら 別れます サノヨイヨイ
   晴れて添う日が 来るまでは ヨイヨイ
    心一つ 身は二つ
   離れ離れの 切なさに 
    夢でサマちゃんと 語りたい サノヨイヨイ
竪坑千尺 二千尺 ヨイヨイ
下りゃサマチャンの ツルの音
ままになるなら おの側で
私も掘りたや 黒ダイヤ サノヨイヨイ
佐賀

 

「岳の新太郎さん」   ←「ザンザ節」
岳の新太郎さんの下らす道にゃ ザンザザンザ
金の千燈籠ないとん 明れかし いろしゃの粋者で
気はザンザ アラ ヨーオイ ヨイヨイ ヨーイヨイヨイ
   岳の新太郎さんの登らす道にゃ ザンザザンザ
   道にゃ水かけ 滑らかせ いろしゃの粋者で
   気はザンザ アラ ヨーオイ ヨイヨイ ヨーイヨイヨイ
岳の新太郎さんな高木の熟柿 ザンザザンザ
竿じゃとどかぬ 登りゃえぬ いろしゃの粋者で
気はザンザ アラ ヨーオイ ヨイヨイ ヨーイヨイヨイ
   笠を忘れた山茶花の茶屋に ザンザザンザ
   空がくもれば 思い出す いろしゃの粋者で
   気はザンザ アラ ヨーオイ ヨイヨイ ヨーイヨイヨイ 
大分

 

「宇目の唄げんか」 
あん子 面(つら)みよ 目は猿まなこ ヨイヨイ 
口はわに口えんま顔 アヨーイヨーイヨー
[返] おまえ 面(つら)みよ ぼたもち顔じゃ ヨイヨイ 
きな粉つけたら尚良かろ アヨーイヨーヨー
   いらん世話やく他人の外道 やいちよければ親がやく
   いらん世話でも時々ゃやかにゃ 親のやけない 世話もある
わしがこうしち旅から来ちょりゃ 旅の者じゃとにくまるる
憎みゃしません大事にします 伽じゃ伽じゃと遊びます
   寝んね寝んねと 寝る子は可愛い 起きち泣くこの 面(つら)憎さ
   起きち泣くこは 田んぼにけこめ あがるそばから またけこめ
旅んもんじゃと 可愛がっちおくれ 可愛がるりゃ 親と見る
可愛がられて また憎まるりゃ 可愛がられた 甲斐が無い
   おまいどっから来たお色が黒い 白い黒いは生まれつき
   おまいさんのようにごきりょが良けりゃ 五尺袖にゃ文ゃ絶えめえ
子守りゃ辛いもんじゃ子にゃいがまれち ひとにゃ楽なように思われち
奉公すりゃこそわれんような奴う お主様じゃとたてまつる
   わたしゃ唄いとうち唄うのじゃないよ 余りに辛さに泣くかわり
   余りの辛さに出ち山見れば 霧のかからん山はねえ
臼がすりとねぇきうどん屋を出たら 生れ約束又そば屋
あん子どこん子かわし見ち笑う わしも見ちゃろう笑ろちゃろう
   はだけられても世間は広い 広い世間に出て遊ぶ
   はだきゃしません大事にします とぎじゃとぎじゃと遊びます
違うた間違ちごうた今ン唄違ごた 竹にうぐいす木が違ごた
唄の上手な一人唄よりも 下手の連れ筋おもしろい
   奥さんも旦那さんもよう聞きなされ 守にひどすりゃ子にあたる
   あの子おぼえちょれ明後日の晩に うらみ殺さな取り殺す
わしが死んだちゅ誰が泣いちくりゅか 千里奥山 蝉がなく
蝉じゃござらん妹でござる 妹かわいや 蝉の声
   わたしゃ唄いとうち唄うのじゃないが あまりつらさに泣く代わり
   あまりつらさに 出ち山見れば 霧のかからん山はない
山が高うち在所が見えん 在所可愛や 山にくや
ままになるなら 在所を山に 山を在所に しち見たい
   あん子ぁどこん子か わし見ち笑う わしも見ちゃろ 笑うちゃろ
   今んわたしは 納戸のならし 悪いことなら かけらるる
子守するちゅう見下げち見るな 奉公は我が身の 末の為
子守するより 非人がましじゃ 今朝もわた汁 二度食べた
   山が高うち在所が見えん 在所可愛や 山にくや
   臼がすりとうねえき うどん屋を出たら 生まれ約束 また蕎麦屋
面(つら)ん憎い奴 まな板にあげち 青菜きざむよに ざくざくと
盆が来たなら 踊ろやせろや 憎いあん子はせり出そや
   うんどうかまわん どげえ言われても 山ん木茅ん木 実ではない
   わしがこまい時ゃ ちりめんだすき 今は縄帯 なわだすき
あんまあ木浦ん 水よし村の 生い立つ若い衆んほどのよさ
ほどはよけれど 人気が悪い 打つのたたくの 酒かえの
   唄のご名人 来ちょるこた知らんじ 一つ唄うたら 返された
   この子かるうのも 今日限り 明日はからすの なきわかれ
「木挽き唄」 (こびきうた)
(日田市小野地区)
ヤーレ 鋸は きょうまへ 諸刃のヤスリ 引くはお上の御用板
御用の板とは 夢つゆ知らず 段のついたは 後免なれ
木挽きの女房に なるなよ妹 木挽きは身をもむ はよ死ぬる
合いの手(ショロッキン、ショロッキン)鋸の音
木挽きゃ木を引く せんちん虫は尾をひく 支那の李鴻章は陣をひく
木挽きさん達や トンボか烏か 明日御山の 木に止まる
木挽きさんといや なつかしゅうでならぬ 妾が夫も 木挽きする
山に子がなく 木挽きさんの子じゃろ 木挽きにゃ子はない 鋸の音
(日田郡津江地方)
ヤーレ 木挽きさんたちゃ 山から山へ 花の都にゃ 縁がない
縁がないなら日田に御座れ 日田は木(来)どころ 縁どころ
山で子がなく 木挽きさんの子じゃろ 木挽きにゃ子がない 鋸の音
七つさがれば ひぐらしでさえ 泣いて心を いさませる
持ちや持ちや 代えちゃ見たが 先のかかの様な かかはない
鍋で餅つく 鶴崎木挽き 人がちょいと来りゃ 鍋かくす  
「大津絵」
恋の豆田を夜立ちして すまなき隈の川原町 ドッコイ
朝の下井出大部を越えて 恵良や千丈の浮橋を 心細くに渡り来る
笠を片瀬古 杖につき 行けども平地は中川原 中大山
前に小平は野瀬部にて アラヨイショ ヨイショ ヨイショ
石坂通ればよいところで 日を暮る鎌手に宿をとる キタコラサッサ  
「伊勢音頭」 
日田で名高い大原神社 見事な見事な百段を 右に下れば豊前ぶ
左に竜宮の飾り立て も少し行けば御池端 御池にかかった反り橋に
ほんに前から浮いてくる も少し行けば新茶屋で お泊りなら泊りゃんせ
お風呂もちゃんちゃと沸いている 行灯障子も張り替えて ついでに畳の表替え
お寝間のお伽がいるなれば 十七なりと八なりと 白歯が嫌ならカネつけて
望み次第に アンサコラコラ 金次第 イヤコラコラ ヤートコセーノ
ヨーイトナー コラ アレワイサー コレワイサー サーサーナンデモセー
お伊勢にゃご祈祷 ご祈祷  
「松づくし」
こっちの座敷は祝いの座敷 唄え大黒囃せや恵比須
一本目には池の松 二本目には庭の松 三本目には下がり松
四本目には滋賀の松 五本目には五葉の松 六つ昔は高砂の
尾上の松に曽根の松 七本目には姫小松 八本目には浜の松
九つ小松を植え並べ 十で豊津の伊勢の松 この松は祝いの松とて
情け有馬の松ヶ枝に 口説けば靡く相生の松 またいついつの約束は
日を待つ 時待つ 暮れを待つ 伝授の松に願いを込めて
福大黒はめでたいな おめでとうございます  
「鶴と亀」
こっちの座敷は祝いの座敷 裏に回れば池がある 表を望めば
ひぐらし御門に五葉の松 一の枝には金がなる 二の枝には札がなる
三の枝には大判小判がなり下がる 裏のお池の縁には
上から鶴が舞い降りる 池から亀が這い上がる 鶴と亀との酒盛りで
鶴が飲んでは亀に差し 亀が飲んでは鶴に差し 鶴と亀との酒盛りで
ヤンサコラコラめでたいな おめでとうございます  
長崎

 

「長崎甚句」 
笠を忘れた 蛍の茶屋に 空が曇ればイヨ 思い出す
送りましょかよ 送られましょか せめて藤棚のイヨ 茶屋までも
月に照らされ 雪には降られ せめて言葉のイヨ 花なりと
笠を手に持ち 皆様さらば いかいお世話にイヨ なりました

笠を忘れた 螢の茶屋に 空が曇れば イヨー 思い出す
月に照らされ 雪には降られ せめて言葉の イヨー 花なりと
笠を手に持ち 皆様さらば 永のお世話に イヨー なりました

笠を忘れた ほたるの茶屋に 空が曇れば イヨ思い出す
送りましょうか 送られましょか せめて螢の イヨ茶屋までも
矢上かけだし 練早(いさはや)泊り 明日は多良超え イヨ浜どまり 
「諌早甚句」
雲か霞か 桜の花か 浮きつ沈みつ 亀の城  
「ぶらぶら節」
長崎名物 紙鳶揚げ盆まつり
秋はお諏訪の シャギリで
氏子がぶうらぶら ぶらりぶらりと
言うたもんだい ちゅう
   遊びに行くなら 花月か中の茶屋
   梅園 裏門たたいて 丸山ぶうらぶら
   ぶらりぶらりと 言うたもんだいちゅう
紙鳶揚げするなら 金毘羅風がしら
帰りは一杯きげんで 瓢箪ぶうらぶら
ぶらりぶらりと いうたもんだいちゅう
   大井手町の橋の上で 子供の紙鳶喧嘩
   世話町が 五六町ばかりも
   ニ三日ぶうらぶら ぶらりぶらりと
   言うたもんだい ちゅう
今年や十三月 肥前さんの番代り
城ヶ島に 見物がてらに
オロシャが ぶうらぶら
ぶらりぶらりと 言うたもんだいちゅう  
「五島さのさ」
牛を買うなら(ネ) 牛を買うなら五島においで (ハァ ヨーイヨイ)
島といえども昔の原よ (ハァ ヨイショ)
子牛(べこ)はほんのり赤おびて 四つ足丈夫(足腰丈夫)で 使い良い (サノサ)
   長崎を ちょいと船出しゃ 五島の鯛の浦 奈良尾の浜をば 横に見て
   佐尾鼻 樺島 屋根尾島 福江の港に着くわいな
情けなや これが浮世か 知らねども 同じ世界に 住みながら
一つの月星や 西東 わかれて 暮らすも 今しばし
   雨風に 明けるその日の 身の切なさよ もう止めましたよ 船乗りを
   とはいうものの 港入り 三筋の 声聞きゃ 止められぬ
唄うなら 何が良いかと 問うたなら 磯節 二上り 三下り
米山甚句も 良いけれど五島 じまんの さのさ節 
熊本

 

「おてもやん」 (「熊本甚句」)
おてもやん 
あんたこの頃 嫁入りしたではないかいな 
嫁入りしたこた したばってん
ご亭どんが ぐじゃっぺだるけん 
まーだ盃ゃせんじゃった 
村役 鳶役 肝いり殿 あん人たちの居らすけんで 
後はどうなと きゃーなろたい 
川端町つぁん きゃー巡ろい
春日ぼうぶらどんたちゃ 尻ひっぴゃーで 
花盛り 花盛り ピーチクパーチク ひばりの子
玄白なすびの いがいがどん
   ひとつ山越え 
   もひとつ山越え あの山越えて 
   私ゃあんたに 惚れとるばい
   惚れとるばってん 言われんたい 
   追い追い 彼岸も近まれば 
   若者衆も 寄らんすけん熊本(くまんどん)の 
   夜聴聞(よじょもん)参(みゃー)りに ゆるゆる話も 
   きゃーしゅうたい 男振りには惚れんばな 
   煙草入れの銀金具が それがそもそも 因縁たい
アカチャカベッチャカ チャカチャカチャ
「五木の子守唄」 (正調)
おどまいやいや 泣く子の守りにゃ
泣くといわれて憎まれる 泣くといわれて憎まれる
ねんねした子の かわいさむぞさ
起きて泣く子の面憎さ 起きて泣く子の面憎さ
ねんねいっぺんゆうて 眠らぬ奴は
頭たたいて尻ねずむ 頭たたいて尻ねずむ
おどまお父つぁんな あの山おらす
おらすともえば行こごたる おらすともえば行こごたる

おどまぼんぎり 盆ぎり 盆からさきゃ おらんと
ぼんが早よくりゃ  はよもどる
おどま打ち死んだなら 道端ちゃ いけろ
通る人ごち花あげる
花は何の花 つんつん椿 水は天から 貰い水
おどまかんじん かんじん あんひとたちゃ よかし
よかしゃ よかおび よかきもん

おどまいやいや泣く子の守りにゃ 泣くといわれて憎まれる
ねんね一ぺん言うて眠らぬやつは 頭たたいて尻ねずめ
ねんねした児に米ン飯くわしゅ 黄粉アレにして砂糖つけて
ねんねした児のかわいさむぞさ 起きて泣く児の面憎さ
子どんが可愛いけりゃ守に餅くわしゅ 守がこくれば児もこくる
つらいもんばい他人の飯は 煮えちゃおれどものどこさぐ
おどま馬鹿々々馬鹿んもった子じゃっで よろしゅ頼んもす利口か人(しと)
おどま盆ぎり盆ぎり盆から先ゃおらんと 盆がはよくりゃはよもどる
おどま非人(かんじん)々々あん人たちゃよか衆 よか衆よか帯よか着物(きもん)
おどま非人々々ぐわんがら打ってさるこ ちょかで飯ちゃあて堂にとまる
おどんがこン村に一年おれば 丸木柱に角がたつ
丸木柱に角たつよりは おどまはよ暇ンでればよか
おどんがおればこそこン村もめる おどんが去(い)たあと花が咲く
花が咲いてもろくな花ささん 手足かかじるイゲの花
おどんがうっ死んだちゅうて誰が泣(にあ)てくりゅうか うらの松山蝉がなく
蝉じゃござらん妹でごさる 妹なくなよ気にかかる
おどんがうっ死んだら道ばちゃいけろ 通る人ごち花あぎゅう
花はなんの花つんつん椿 水は天からもらい水
おどんがとっちゃんなあン山おらす おらすともえば行こごたる
(お座敷唄)
おどま盆ぎり盆ぎり 盆から先きゃおらんと 盆が早よくりゃ早よもどる
おどま勧進勧進 あん人たちゃよか衆 よか衆ゃよか帯 よか着物

ねんねしなされ 早起(はやお)けなされ 朝は六時にゃ(お寺の)鐘(かね)が鳴る
おどま盆(ぼん)ぎり盆ぎり 盆から先ゃおらんと 盆が早よくりゃ 早よもどる
おどまくゎんじんくゎんじん ぐゎんがら打(う)てさるく ちょかでままたゃて ろにとまる
おどんが打死(うちん)ちゅうて 誰(だい)が泣(に)ゃてくりゃか 裏の松やみゃ せみが鳴く
せみじゃござらぬ 妹でござる 妹泣くなよ 気にかかる
花は何の花 つんつん椿 水は天から もらい水
おどんが打死んだら おかん端(ばちゃ) いけろ 人の通る数 花もらう

おどま盆ぎり盆ぎり 盆から先ゃおらんと 盆が早よくりゃ 早よもどる
おどまかんじんかんじん あん人たちゃよか衆(し) よか衆ゃよかおび よか着物(きもん)
おどんが打死だときゃ 誰が泣(に)ゃてくりゅか 裏の松山ゃ せみが鳴く
せみじゃござらぬ 妹(いもと)でござる 妹泣くなよ 気にかかる
おどんが死んだなら 道端(みちばち)ゃいけろ ひとの通るごち 花あげる
辛(つら)いもんだな 他人の飯(めし)は 煮(に)えちゃおれども のどにたつ

おどまいやいや 泣く子の守にゃ
泣くといわれて 憎(にく)まれる 泣くといわれて 憎まれる
おどんま盆ぎり盆ぎり 盆から先ゃおらんと
盆が早よくりゃ 早よもどる 盆が早よくりゃ 早よもどる
花は何の花 つんつん椿
水は天から もらい水 水は天から もらい水

おどまいやいや 泣く子の守にゃ
泣くとゆわれて 憎まれる 泣くとゆわれて 憎まれる
ねんねした子の かわいさむぞさ
起きて泣く子の 面憎さ 起きて泣く子の 面憎さ
おどんがお父つぁんな あの山ゃおらす
おらすと思えば 行こごたる おらすと思えば 行こごたる 

おどま盆ぎり盆ぎり 盆から先ゃおらんと
盆が早よくりゃ 早よもどる 盆が早よくりゃ 早よもどる
ねんねした子の かわいさむぞさ
起きて泣く子の 面憎さ 起きて泣く子の 面憎さ

おどんが お父っぁんな あんやみゃ おらす おらすとおもえば いごこたる
おどんが お父っぁんな 山から山へ 里の祭にゃ 縁がない
おどんが お父っぁんな 山から山へ 宮座宮座にゃ 縁がない
おどまいやいや この山奥で 鹿のなく声 聞いて暮らす
おどんが お父っぁんな 川流しの船頭 さぞやさんかろ 川風に
山の谷間で なく鹿さえも 親が恋しと いうてござる
親は薩摩に 子は島原に 桜花かよ ちりぢりに
おどまいやいや この山奥で 花の都が みてみたい
おどまいやいや なく子の守りにゃ 絹の小袖に 巻かりゅとも
人の守りこは 哀れなもんよ どこで 死んでん 墓もなか
旦那さんたちゃ 茶わんめし食ぁすが おどま守り子で 握んめし
おどま親なし 七つん歳で 人の守り子で 苦労する
つらいもんばい 他人のままは にえちゃおれども のどこさぐ
子もちよいもん 子にくせつけて 添寝するちゅうて 楽寝する
姉しゃん 子もちやれ 子はおがかろうで かろうて育てて 後とらしゅ
子んこにくらし おどんがだけは なんせんのに すぐに泣く
ねんねして泣く 子にゃ乳のませ 乳をのませて 泣かんよに
ねんねした子の 可愛いさ むぞさ おきて泣く子の つらにくさ
ねんねーぺんいうて ねむらぬ餓鬼は 頭たたいて しりねずむ
ねんねしなされ 朝起きなされ 朝は六時の 鐘がなる
ねんねしなされ 朝起きなされ 朝はお寺の 鐘がなる
ねんねしなされ 朝起きなされ 朝の目覚ましゃ 茶とタバコ
ねんねした子にゃ 米んめし くわしょ 黄紛あれにして 砂糖つけて
おどまいやいや 泣くん子の守りにゃ 泣くというては 憎まるる
おどまいやばい 泣くん子の守りにゃ 泣くというては つろうござる
おどまいやばな 泣くん子の守りにゃ 守りといわれて つろござる
おどまいやいや 泣くん子の守りにゃ 泣けばおどんも 泣こごたる
おどんば おごれば かるとる子が 泣くで 泣けばおどんも 泣こごたる
髪をつかんで ひっぱるよな こどま 旅のやんほしどんに くれてやろ
守りといわれて 腹がたつよでは 守りは守りでも ゲスの守り
こん子かわゆし この親にくし 出るに出られぬ 身のつらさ
うちの真婆女が ぐずぐずゆおば とうかのとぎで くわんとやれ
山をこえこえ 使いに来たが いもの一つも くれはせぬ
盆がきたつちゃ 正月どんが来ても 晴着ひとつも 着せはせん
こん子よう泣く ヒバリかヒヨか 鳥じゃござらぬ 人の子よ
おどまいやいや 泣くん子の守りにゃ おどま泣かん子の 守りがよか
おどまいやいや いやまのもりで いやといわれて だまされる
山でこわいのは イゲばら 木ばら 里でこわいのは りの口
おどま知っとるばってん いわんでのこつよ いえばきらわれ にくまるる
わしがおるじゅは ほうびゃぁたのむ わしがでたあていうてたもれ 
おどま一年奉公 二年ちゅちゅ おらん あてにゃ よかとの 気にいっと
話しゃやめにして やすもじゃないか おごけしまいやれ 寝て話そ
おどんがごたってにゃ ものいうな 名いうて 情かくんな 袖ひくな
情かくっちゅて もみんぬかかけて さまの情は かゆござる
子どん可愛いけりゃ 守りに餅くわせ 守りがこくれば 子もこくる
おどまかんじん かんじん ガンガラうってさるこ チョカで ママ炊ぁて 堂でとまる
おどまかんじん かんじん かんじん袋さげて あんしゅ よか人 かたなさけ
おどんが 歌とたいは 二階から笑ろた うたじゃ 飯ぁくわん ゴゼじゃなし
おどんがちんかときゃ やつおの せった いまじゃほんけなって つのむすぶ
おどんがちんかときゃ 鐘うちせきった いきはほんとなって 一のむすぶ
おどま盆きっ盆きっ 盆かっ先ゃ おらんと 盆が早よ くりゃ 早よもどる
おどまかんじん かんじん おんしたちゃ よかし よかしゃ よか帯 よかきもん
おどんが 死んだちゅうて だが泣ぁて くりゅきゃ 裏ん松ちゃみゃ 蝉がなく
蝉じゃござらぬ いもつで ござる いもつ泣くなよ 気にかかる
おどま馬鹿 馬鹿 馬鹿ん 持った子じゃって よろしゅ たのんもそ じこか人
おどんが うっちんずろば 道ばちゃ いけろ 通る人ごて 花あぐる
花なんの花 つんつん椿 水は天から もらい水
おどんが若いときゃ 芳野に通た 木かもや なびかせた
わたしゃ お前さんは 踏みやろごたる 四月五月の 泥足で
思い気りゃんせ 木にのぼりゃんせ こけて死なんせ わしゃ みとる
おどんが こん村に 一年とおれば 丸木柱に 角がたつ
丸木柱に 角がたつよりも 早くいとまが でればよい
おどんがおればこそ こん村がもむる おどんが 行ったあて 花がさく
花はさいても どくな花はさかん 手足かかじる いけの花
思うてきたかよ 思わできたか わたしゃ裏から おもてきた 
とととかかとは だきよて 寝やる おどま ちんかいども ひとりねる
今年ゃ ここん水 また来年は どこん 流れごの 水のもか
森の雀も 別れをつげて 里へ出ていく わしゃ ひとり
あすは山越え どこまで行こか なくはうら山 蝉ばかり
おれと お前さんな 姉妹なろゃ お前ゃ姉さま わしゃ 妹  
宮崎

 

「刈干切唄」
此処の山の 刈干ゃすんだよ 明日は田んぼで エー 稲刈ろかよ
最早日暮れじゃ 迫々(さこさこ)蔭(かげ)るよ 駒よいぬるぞ エー 馬草負えよ
秋も済んだよ 田の畔(くろ)道をよ あれも嫁じゃろ エー 火が五ツよ
雨もざんざ 霰(あられ)もざんざ 今朝の朝草 エー 刈りかねるよ
雨か霰か 峠の茶屋でよ 別れ袂が エー 濡れかかるよ
私しゃここの 深山の小笹よ 藤にまかれて エー 寝とござるよ

ここの山の 刈干(かりぼ)しゃ すんだヨ 明日はたんぼで 稲刈ろかヨ
もはや 日暮れじゃ 迫々(さこさこ)かげるヨ 駒よ いぬるぞ 馬草負えヨ
屋根は萱(かや)ぶき 萱壁なれどヨ 昔ながらの 千木(ちぎ)を置くヨ
秋もすんだよ 田の畔道(くろみち)をヨ あれも嫁じゃろ 灯(ひ)が五つヨ
おまや来ぬかよ 嬉しい逢瀬ヨ こよさ母屋(おもや)の 唐黍(とうきび)剥(む)きヨ
歌でやらかせ この位な仕事ヨ 仕事苦にすりゃ 日が長いヨ
高い山から 握り飯こかしゃヨ 小鳥喜ぶ わしゃひもじヨ

ここの山の刈干しゃすんだよヨー あすは田圃で稲かろかよ
もはや日暮れじゃ迫迫(谷間の意味)かげるよ 駒よいぬるぞまぐさ負えよ
秋もすんだよ田のくろ道をよ あれも嫁女じゃ灯が五つよ
屋根は萱葺萱壁なれどよ むかしながらの千木(ちぎ)をおくよ
高い山山どの山見ても 霧のかからぬ山はない
誰に見らりょとおもうて咲いた 谷間谷間の岩つつじ
高い山から握りめしゅこけた 鳥さよろこぶわしゃひだり(ひもじい)
肥後は大国○○まで太い 高千穂女子(おなご)じゃうけられぬ 
「稗搗節」 (ひえつき節) 
庭の山しゅうの木 なる鈴かけて 鈴の鳴るときゃ 出ておじゃれよ
鈴の鳴るときゃ 何と言うて出ましょ 駒(うま)に水くりょと 言うて出ましょ
おまえ平家の 公達のながれ  おどま追討の 那須の末
那須の大八 鶴富置いて 椎葉たつときゃ 目に涙
泣いて待つより 野に出て見やれ 野には野菊の 花盛り  

庭の山椒の木 鳴る鈴かけてヨ オーホイ 鈴の鳴る時きゃ 出ておじゃれヨ
鈴の鳴る時きゃ なんと言うて出ましょう 駒に水呉りょと 言うて出ましょ
おまや平家の 公達流れ おどま追討の 那須の末
那須の大八 鶴富捨てて 椎葉立つ時きゃ 目に涙
なんぼ搗いても この稗搗けぬ どこの御蔵の 下積みか 
鹿児島

 

「俊良主節」    ←「船ぐら節」 
母(あんま)と父(じゅう)と 結(む)だる縁(いん)な  
磯端(いしょばた)下りぬ枯れにぎゃな心
愛(かな)しと結だる縁な 餅(むち)とかしゃとぅの心
いもちゃいもちゃ 元ぶれやくむぃが いもちゃんどあんま
新茶の上茶入りて 夜光貝(やくげぇ)ぬ
味噌(みす)てぃけぇ出(い)じゃそあんま

なくな なげくな          泣くな嘆くな
いつぶぬ しゅんじょしゅ     伊津部の俊良主
なん とぅじぬ みのかなや    貴方の妻のみの加那は 
ちもりありょてぃど        宿命だったので
にぎゃうしゅやみしょし      苦潮を召し上がったのです
なくな なげくな          泣くな嘆くな
いつぶぬ しゅんじょしゅ     伊津部の俊良主
みのかな かわらぬ       みの加那に変わらぬ
ばーかな やらしゃろが     ばー加那を嫁がせたもの 
しゅんじょしゅがいなむん    俊良主の倅は 
さんきんとげかたむてぃ     三斤唐鍬担いで
わくしがいもりゅり         仕事に行かれる
うちうちぬねせんきゃぬ     家内(家人)の若者が
わくしぬなまさてぃ        仕事はなまくらで
しはらいむちさいばんがかり  支払い持ち出し裁判沙汰   
「串木野さのさ」 
(ハァ〜) 百万の (ハァ ヨイショ) 敵に卑怯はとらねども (ハァ ヨイショ ヨイショ)
串木野港の別れには 思わず知らず胸せまり 男涙をついほろり (サノサ)
   もう泣くな出船の時に泣かれては 船を見送るそなたより
   港出て行くこの僕は まだまだ辛いことばかり
今出船 汽笛鳴らして旗振り交わし しばしの別れを惜しみつつ
船は出て行く海原へ ご無事で大漁祈ります
   波静か 月さえわたる南の沖で いとし我が家の夢を見る
   無事か達者か今頃は どうして暮らしているのやら
こんどまた 大漁してくれ大漁する 誓って港を出て三月
明日は満漁の帰り船 妻子の笑顔が目に浮かぶ
   串木野の港よいとこ 一度はおいで 汐路に伸びゆく幾千里
   「沖でかもめに 漁場をきいてよ」(追分)
   幾日ぶりかで大漁旗 かじきまぐろの山をなす
思い出す 今朝の別れにひと言葉 たとえ千日逢わずとも
「沖で鴎の 啼く声聞けば 船乗り稼業はやめられぬ」(追分)
身を大切に深酒を 飲むなと言うたがわしゃ嬉し 

落ちぶれて 袖に涙のかかるとき 人の心の奥ぞ知る
朝日を拝む人あれど 夕日を拝む人はない
   義理も捨て 人情も捨てて世も捨てて 親兄弟も捨てたのに
   捨てられないのが主一人 もとは他人でありながら
いつまでも あると思うな親と金 ないと思うな災難を
九月一日震災に さすがの東京も灰となる
   明日ありと 思う心の仇桜 夜半に嵐の吹くように
   荒海稼業の我々の 明日の命を誰が知る
夢去りて 人に踏まれし道草の 露の情けにまた生きる
たどる苦難の人生も 涙でくらす五十年

砂白く月清らかな海岸で 好いた同士の語り合い
これが理想の妻なるか やぶれてはかない失恋か
   我が恋は 玄界灘よりまだまだ深い いつもあなたにあおあおと
   岸うつ波の身のつらさ 岸に砕ける主の胸
夕空の 月星ながめてほろりと涙 あの星あたりが主の船
とびたつほどに思えども 海をへだててままならぬ
   やるせなや 泣いて泣かせてかたせ波 串木野乙女の純情を
   沖のかもめにことづけて 主さんのもとへ届けたい
雨は降り 波はデッキを打ち洗い 寒さに手足は凍えたと
いってよこしたこの手紙 肌で温めているわいな
   身はここに 心はあなたの膝元へ たとえ幾月はなれても
   松のみどりは変われども 私の心は変わりゃせぬ
近ければ 顔見て笑う節もある 遠けりゃ空見て泣くばかり
落ちる涙を溜め置いて 主へ文書くすずり水
   から傘の 骨はばらばら紙破れても はなればなれになるものか
   私とあなたは千鳥がけ ちぎれまいぞえ末永く
主となら 裸でもよい添われるならば 竹の柱に茅の屋根
寝ながら月星拝むとも 三度の食事は一度でも

十五夜の 月はまんまるさゆれども 私の心は真のやみ
せめて今宵のおとづれを 一声聞かせてほととぎす
   ひょっとすりゃ これが別れとなるかも知れぬ 暑さ寒さに気をつけて
   短気おこさず深酒を 飲むなと言うたがわしゃ嬉し
うぐいすは 梅の小枝で一夜の宿を 枝を枕にすやすやと
恋の夢見て目を覚まし 空を仰いでホーホケキョ

月づくし 吉野の山の春の月 四条河原の夏の月
三保の松原秋の月 田子の浦田の冬の月
   歌なれば東雲(しののめ)節か二上りか 米山甚句もよけれども
   今時はやりの磯節か いつも変わらぬさのさ節  
串木野「相撲甚句」
(前唄)
揃う 揃うた 揃いました あ〜あ 関取衆が揃うた 秋の出穂より まだ良く揃うた
はぁ〜あ 船乗りさんには どこ見て惚れた 踊る甚句のよ 意気の良さ
はぁ〜あ 串木野港に 舟が百杯(ぱい)着きゃ 帆柱も百本(ぽんぽん)
止まる烏も同じ百羽(ぱっぱ) 雀がチュ 烏がカア 鳶がほだね吹きゃ チンする する
(出船甚句)
眺めも清き恵比須が丘でよ 晴れの相撲を終えるなら
しばしの名残り別れをば 惜しみながらも船の上
見送る涙知らぬげに 笑顔で握る錨綱
五色のテープは風まかせ 別れの汽笛が身に沁みる
串木野港(みなと)を後にして 汐路遥かな三陸へ(インド洋)
白波けたてて幾千里 波を枕の夢かなし
鴎飛び交うその中を 昨日は東今日は西
逆巻く怒涛波しぶき この身は寒さに凍るとも
負けずに我ら元気にて 紅葉色づくその頃は
大漁旗立て帰ります どうぞ皆さん留守中は
ご無事安泰いや栄え 今日の土俵で祈ります 今日の土俵で祈ります
(入船甚句)
夕焼け色どる南の沖はよ 満船大漁の旗立てて
船足深く来る船は あれは串木野まぐろ船
長の航海さぞやつれ 逢いたい見たいは皆同じ
電波は飛ぶ飛ぶふるさとへ
波路(汐路)遥かに種子屋久か 浮き立つ島は数々の
煙たなびく硫黄ヶ島 風手にのぼれば日向灘
朝日に輝く桜島 北にそびゆる高千穂や
南遥かに眺むれば 姿うるわし薩摩富士
岬の灯台後にして 船路は急ぐ薩摩潟
火立ヶ丘の山々も 近くなるのか海鳥は
群くみながら飛んで行く
ああ懐かしや串木野港 三月の旅路もつれづれに
無事に帰った嬉しさに 迎えるあの娘は
笑福えびす顔 明日の大漁夢見つつ
思いは同じおしどりの 愛と情との錨綱 愛と情との錨綱
(民謡甚句)
お国自慢を甚句に詠めばよ 北は北海盆踊り
津軽恋しやあいや節 八戸小唄で夜が明ける
今も昔も変わりなく 草木もなびく佐渡おけさ
どじょうすくいは安来節 手拍子そろえて木曽え節
ヨサコイ節にはトンコ節 三井三池の炭坑節
東京音頭や舞妓はん 花笠音頭にゃ花が咲く
伊勢は津でもつ伊勢音頭 南国土佐の阿波踊り 
博多祇園か黒田節 五島さのさのなつかしや 
ばってん熊本おてもやん 日向かぼちゃのよか嫁じょ 
ひえつき節には鈴が鳴る 三味や太鼓にはやされて 
じゃんじゃん踊るは鹿児島の がっついよかよかはんや節
お国自慢のその中で 港串木野本浦の
相撲甚句は日本一 踊れ大漁の旗の波 踊れ大漁の旗の波
(嫁入甚句)
今日の良き日を甚句に詠めばよ めでためでたの高砂よ
この浦舟に帆上げて 結び合わせて縁となる
金襴緞子の帯締めて 今日は嬉しやお嫁入り
ほんにおまえは果報者 これもひとえに皆様の 
厚い情けの賜と 受けたご恩の数々は 
決して忘れるものじゃなし これから先の日暮らしは 
幸か不幸か知らねども 永久に契りしその上は
暑さ寒さに気をつけて 波風荒き人生を
互いに手を取り乗り切って りっぱな夫婦になるように
母は 両手合わせて祈ります
まだまだ未熟なもの故に どうぞ皆様これからも
行く末永く頼みます どうぞ皆様頼みますよ  
「高隅木挽唄」 (鹿児島)
ハアー 今朝も早よからヨー(ハードッコイ)
木挽の唄はヨー (ハーヨイトヒケ)
里をおこしてヤレ 峰から峰ヘヨー (ハアーゴスリン ゴスリン)
ハアー 山師さん達ちゃヨー(ハードッコイ)
山から山へヨー (ハーヨイトヒケ)
国見高隅ヤレ わしが庭だヨー (ハアーゴスリン ゴスリン)
ハアー 山で寝る時ゃヨー(ハードッコイ)
木の根 コラ枕ヨー  (ハーヨイトヒケ)
木の根はずせばヤレ 石の枕ヨー (ハアーゴスリン ゴスリン)
ハアー山の紅葉のヨー(ハードッコイ)
色ずく頃はヨー (ハーヨイトヒケ)
里の祭りやヤレ 人 恋しいヨー (ハアーゴスリン ゴスリン) 
「女工節」
親元ゆ離り大和旅行ちゅし 淋しさやあてぃん 勤みでむぬよ
 (親元を離れ本土に旅すること 寂しさはあっても務めであるからよ)
友と別れたし島の村はじし 親とわかれたし那覇の港よ
 (友と別れたのは故郷の村はずれ 親と別れたのは那覇の港よ)
那覇までや我島 船乗りば大和 何時が銭儲けて我島帰ゆらど
 (那覇までは私の故郷 船に乗れば本土 いつになったらお金を稼いで私の故郷に帰るだろうか)
大和かい来りば 友一人居らん 桜木にかかてぃ我んや泣ちゅさ
 (本土に来ると友達は一人も居ない。桜の木に(寄り)かかって私は泣くよ)
照る月に向かてぃ 眺みゆる空や 島ぬ面影ぬ勝てぃ立つさ
 (照る月に向かって眺める空(又は、身空)には 故郷の面影が強くって(浮かび)立つよ)
ガラス窓開きてぃ 歌小あびたしが 聞かりゆみアンマ 我身ぬ歌声よ
 (ガラス窓を開けて歌を歌ったのが(又は、歌ったが) 聞こえるかしら?お母さん 私の歌声が)
紡績やアンマ 楽んでぃる来ゃしが 楽や又あらん 哀りどアンマ
 (紡績は、お母さん 楽だと言って来たけれど 楽では又ない 辛いんだよ お母さん)  
 

 

 
 

 

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北前船寄港地