偲ぶ・しのぶ



闇にひとすじ おんな火が あなた求めて 恋慕う くちべに心中 しのび会い
ゆるしてよ なくしたくない 夢だから 寒いまくらと ああしのび泣き
薄い縁の幸せと 諦めながらの恋しさが つのる夜更けの ああしのび酒
いつかは消えゆく さだめでも 命もやして 抱きあった しのび宿
明日はいらない あなたが欲しい 夢をかえして しのび川



一目だけでも 逢いたいと 傘にかくれて しのび泣く
きっとあなたは 知らないでしょう 辛さこらえる ああ しのび恋
逢いに帰ろか あの路地へ しのぶしのぶ さすらう町に ああ 冬の雨
流す笹舟 あなた舟 ああ 呼んでも届かない 切ない しのぶ宿
離したくない 恋に酔いしれて 夜よかくして ふたりのしのび逢い



夢のしずくを 枕に宿し いとしいあなたと しのび逢う
なぜか今夜は帰したくない しのび逢う恋なみだ恋
逢ってもいちど 甘えてみたい ひとり居酒屋 しのび酒 しのび酒
似合ったあの娘と 見た夢を 偲べばグラスに また浮かぶ
さよならも 言えずに 別れた人偲べば 唇に涙が



雨の舗道は 淋しく光る あなた あなたのかげを あなたを偲んで 南へ歩く
夜をおもえば また燃えてくる それがせつない しのび雨
しのび泣くよに降るしぐれ 雨のみちのく 花巻の夜
踊って 踊り狂って うたかたの しのび逢いでも 遅すぎた めぐり逢いでも
ああ 春はこぶしのび逢い 恋しき人よ銀座



あゝ死ぬまでふたりづれ 想い出が 消えるまで チョッと待って札幌 しのび雪
いまさら引くにも 引けないわたし みれんの花が しのび逢う夜は 乱れ咲く
霧に抱かれた 黄浦江 恋ひと夜 夢ひと夜 二人の上海 上海しのび逢い
はるかに偲ぶ石北峠 あゝ北海道の屋根という 大雪こえる 旅心
みぞれに変ったこんな夜は あなたしのび あなたしのび 飲もう 他人酒



泣けてみじかい夜が更ける 別れが出来ない 大阪しのび逢い
離しはしないさおまえのことは ほんとね ほんとさ いつまでも二人の東京しのび逢い
帰りたいけど帰れない 帰れない 夕焼け雲の その下で ひとりの酒に 偲ぶ町