宿・ホテル



窓の外 アマン 街はたそがれ行く 二人には時間がとまるホテル
人の世は独りでは渡れない 明日の日を明日の日を 賭けて悔いない おけさ宿
夢ならさめるな 旅の夜 おまえと俺の 雨宿り
ふたり咲いても 冬の花 春はいつくる さざんかの宿
肌にしみつくあなたの匂い 未練心を 指宿に いやす我が身は 桜島



いつかは消えゆく さだめでも 命もやして 抱きあった しのび宿
流す笹舟 あなた舟 ああ 呼んでも届かない 切ない しのぶ宿
夢のしずくを 枕に宿し いとしいあなたと しのび逢う
雨音が忍び込むニューグランドホテル 優しさに甘えない女だった
いいのこのまま 死んだって あなた欲しさに 抱きしめる 枕さみしい ひとり宿



死ぬことさえも 出来ない私 馬籠 落合 中津川 木曾路十四の なみだ宿
旅路の宿の ひとり寝は おまえを夢見て 寒かろう
泣く気はないけど 笑うもつらくて 波止場町 ホテル港や
ほろりお酒 とかして涙 季節はずれの 花の宿
せめてあげたい こぼれ陽を 旅のみちのく 風の宿



霧笛がかなしみゆする旅の宿 酔った寝顔のおさなさに 夢よやさしくこぼれておくれ
心だけくださいね 涙にふける わすれ宿
旅に出ようかな 冬は雪国 いで湯の宿で 口説きなおすも 悪くない
また逢ってしまったの 「帰らなけりゃ」と問う唇を 無理やりふさぐ 雨の宿
楽しくなるよう努めます 海鳴り 漁火 海辺のホテル 一人に悲しい ワルツの調べ



雪を切れ切れ 寒椿 明日は咲きます 海峡の宿
浜の磯笛 聞きながら 情け抱き寝の 港宿 明日はまた旅 旅路酒
湖畔の宿の 明け暮れに 心をきめて 帰りたい
うす紅の砂時計の底になる 空から降る時が見える さびれたこのホテルから
いつまでも いつまでも 心に宿る



泌みてせつない 湯の香り 恋のみちゆき 蛍火の宿
すがる明日は 来るかしら お酒飲むほど この胸に しんしん 沁みます 月の宿
あなた迎えに きてほしい ふたりになりたい 竹の宿
想い出の灯が点る 港のあのホテル 最後にもう一度 あなたあなた行きたいの
思い出だけを 抱きしめながら 生きてゆきます このさだめ川 四万十川の宿



呑んで明した舟宿の 遠い灯りが 川面に揺れる 思い出川よ
何もかもあの人に捧げてた 恋をふりきる 恋をふりきる 若狭の宿よ
新宿どこサ 淋しがり屋の 吹きだまり
何も酬いてやれぬ身が ああ せつない 樹氷の宿
宿り木みたいな 人だけど ふたりは一緒に 枯れて行く 惚れた男でございます



濡れた素肌が 面影さがす あゝ もう一度 逢いたいの 春雨の宿
心の宿 なのさ 見つめることで 確かめあって 明日を 歩きたい
どこか優しい仲間たち 新宿 新宿 新宿みなと町
だまされちゃって 夜が冷たい 新宿の女
何を信じて生きてく女 春はいつくる 渋谷 新宿 池袋



酔わせてほしい くやみはしない ふたりの別れ あぁ粉雪舞い散る 雪の宿
小さな旅の海ぞいの宿 あなたあなた想い出が またふえました
ああ淋しいとささやけよ  想い出のクリフサイド・ホテル 君がいちばん哀しいね
あなた私を泣かす人 枕淋しや鵜飼いの宿は 朝が白々長良川
水に流れる花でさえ 別れ惜しんで浮きしずみ 椿散る散る 湯の宿かなし



曇る窓を手でふけば しんしん雪が降る 明日が見えない おんな冬の宿
花嫁衣装は もう無理だけど 渋谷 新宿 吉祥寺 私 東京かくれんぼ
花嫁衣装でつつんであげる 渋谷 新宿 吉祥寺 お前東京たずね人
命まるごと 預けてみても 薄羽かげろう おんな宿
どうせ この世の 旅路には 心休める 宿も 宿も無い



ついてゆきます これから先も 夫婦宿借り 夢あかり
情けで結ぶ 運命の糸よ 浮舟けむる 雨の宿
今夜もひとり 恋しさが つのる想いの浮草の宿
あなた今すぐ そばにきて 帯が悲しい 風の宿
浴衣につつむ 湯あがりの 燃える素肌が あの夜を 思いださせる 港宿



女心の未練でしょう あなた恋しい北の宿
窓を叩く潮風 これきりと言いかけた 唇が 唇にふさがれる北ホテル
思い出孕む 旅の宿 ああ 愛の眠りに 身をまかせ 本惚れ ほのかに 色香れ
灯台あかり 燃えてあなたを 引き留める 朝はいらない 岬宿
つのる恋しさ 旅の宿 明日が別れの 北国の町



くれる情けの やさしさよ 明日をさがして 旅の宿
ふたりぼっちの 旅の宿 いっそこのまま 時を止めてよ 雪見障子の月灯り
最初のこの夢 離さない 心重ねる 宿火命恋火 あなた
時雨ひととき 恋の宿 今日から あなたに 命あずけます