海峡



明日がほしい 暗い海峡 灯をともし ついてゆきます あなたが港町
霧笛よ泣くな ぐずれば逢いたい あんた あんた あんたの海峡
人目の無い国へ 春はいつくる 春はいつくる いじわる海峡
私のあすはどこにある 心つめたい 夜の海峡ひとり旅
あなた愛した ここで生きるわ ああ 心の海峡 別れ風



津軽の海峡荒れて 俺もお前も 故郷へふるさとへ 帰りつけない 文明沙漠
船が揺れれば心も揺れて 強くあなたにまた縋る あゝ愛の旅ゆく ふたりの海峡
も一度やり直せるなら このままこのまま帰り船乗る もう遅いもう遅い涙の海峡
雪と一緒にみれんが積もる 情けの糸を切らないで 飛ぶに飛べない 海峡かもめ
雪を切れ切れ 寒椿 明日は咲きます 海峡の宿



決めた心を 火の酒に もやして身をやく 海峡酒場
すがる未練の 浮標あかり あなたどうして 生きればいいの 心凍える 海峡氷雨
花をみつめて 夢を探したら 海峡平野は もう春の海
生まれ変わればこの命 雪の蛍に なれるでしょうか ああ釜山海峡 日本海
あゝこの舟は木の葉舟 漕いでも漕いでも たどる岸ない 飢餓海峡



叫ぶ名前も 闇に呑まれて これより先は 波も泣いてる 忘れ海峡
冬から春へ かけ足で 女の胸も とける頃 ああ 海峡に風が吹く
そばで一緒に しぶきを浴びる 夢を追います 根室海峡
あなたの船は しぶきを浴びて 左へ右へゆれながら 西へ流れる ああ時雨海峡
夢の小島に 着きたがる 人生海峡 おんなの旅は 今日も荒海



嵐と云う名の海峡越えて たどり着きたい 幸せ港
望む雷州 海峡通う あの船に君と揺られたい 恋と夢の島 海南島
私は帰ります 風の音が胸をゆする 泣けとばかりに ああ津軽海峡冬景色
愛のない くらしなんて わたしはほしくない ああ 春は遠い ふたりの海峡
がんばろうね ふたりでね 影がより添う 豊予海峡



逢いに行きたい 抱いてやりたいよ 北のふるさと 海峡こえて
いつになったら夜があける 津軽海峡 心をはこべ 北のかもめよ心をはこべ
あなたは遠く ふたたび逢える ことも無い 北の海峡 別れ波
あゝ砂に抱かれた 埋もれ舟 あのひとを 追いかけて 星が流れる 北海峡
花を手向ける春の日が ああ北海峡 沈んで浮いて どうせ死ぬまで どうせ死ぬまでひとりだよ



紅の寒椿 夢の中でも 散りいそぐ 鳴門海峡 海が鳴る
吹雪の岬 身を投げて 死んでくれると いうのなら あゝあなた 夜叉海峡
船は来るのに 戻らぬ人を 鴎どうして 忘れりゃいいの 夢を返して 夕霧海峡
みな仲間 右も左も 有りゃせんと しぶきが吠えるぞ 来島海峡
抱かれたい あまえたい 心が寒い 北の海峡 ああ なごり雪



浮標の代りに 女火が 螢となって 波に舞う ホー ホー 螢火海峡
あなた教えて未練火を どこで消したらいいのでしょうか 外は粉雪心は吹雪 冬の海峡 女震えて眠れない



■おんなの海峡
別れることは 死ぬよりも もっと淋しい ものなのね
東京をすてた 女がひとり 汽車から船に 乗りかえて
北へ流れる… 夜の海峡 雪が舞う
   砕けた恋に 泣けるのか 雪がふるから 泣けるのか
   ・・・ 逢う日はないと こころに決めた 旅なのに
   みれん深まる… 夜の海峡 わかれ波
いのちと想う 愛も無く 海の暗さが 眼にしみる
・・・ おしえておくれ 私の明日は どこにある
こころ冷たい… 夜の海峡 ひとり旅