金で買うグローバル人材

日本国内市場の衰退 
活路は海外市場への展開 
グローバル人材の確保が急務 
金の力でグローバル人材を急募 
 
判りやすい経営判断ですが 
この10年繰り返されてきました 
多くが失敗してきました


  
  
  
良いグローバル人材のヘッドハンティングに成功しても 
一人では何もできません 
支えるスタッフの確保・教育がセットでなければ失敗します
  
人の常 
お金で会社を変わる人は 
またより高額のお金に会社を変わる人です
  
ヘッドハンティング費用を 
見込みのありそうな多くの社員の研修費にあて育成時間を短縮 
グローバル・スタッフを準備 
海外にチャレンジ 失敗も授業料  
「急がば回れ」も選択肢
  
  
  
グローバル人材とは言いながら 
日本文化まで捨てては企業の存続はないでしょう 
企業は「日本の良さ」を基盤に成長してきました
  
  
  
20-30代男性は草食系とか 
40代より若い人たち 相手の目を見て自分の言葉で何かを説得できるでしょうか 
50代以上 PCを自分の道具として使いこなせないでしょう
  
「説得」とは 
日本文化 基本は理解を得ることであり必要なら妥協もします 
グローバル文化 自分の考えを相手に押し付けることです
  
既存の管理職は定年までの安泰を優先 
「グローバル」など夢のまた夢 
海外勤務しただけ出世が遅れる  
勤務地文化などかまっていられない  
日本で毛唐と愚弄ばる 
  
増殖する拝金人間、きしむ職場関係  
心理学者デシによると、成果に応じて金銭的報酬が与えられると、その人の仕事に対する興味が低下するという。成果主義が定着しつつある日本社会にこのデシ理論を応用するとどんなことが見えてくるのだろうか。
  
仕事をする「内発的動機」と「外発的動機」  
私たちが仕事をする動機には大別して二つある。一つは、お金など、外的要因によって喚起される外発的動機で、海外旅行の旅費稼ぎにアルバイトをする学生がその例である。彼の目的はお金で、仕事はその手段にすぎない。だからもっと稼ぎのよい仕事があれば、いつでも仕事を変えるだろう。このように、仕事が単なる手段の場合は、仕事を変えたり、手抜きをしたり、最小限の努力しかしない、といった問題が起こりやすい。お金に限らず、上司の評価、同僚の賞賛など、人から与えられるものが外発的動機の喚起要因になる。  
いま一つは内発的動機で、仕事の面白さなど、内的要因によって喚起される動機で、海外旅行の旅費稼ぎのつもりではじめたアルバイトの仕事がすっかり面白くなり、正社員以上に熱心に働いている学生がその例である。彼の場合は、仕事そのものが面白くてやっているから、仕事は単なる手段ではなく、むしろ目的とさえいえる。仕事への興味以外に、責任感、使命感、価値観など、仕事を通して充足・実現できるものが内発的動機の喚起要因になる。  
ところで、仕事の成果に応じてお金(外発的動機の喚起要因)が支払われると、内発的動機はどうなるであろうか?──心理学者デシ(Deci, E.L.)は面白い実験をしている。  
大学生のA、B、C、3グループ(各12人)をつくり、一人ずつ実験室に入れて、大学生が興味をもちそうなパズルを4個与え、1個13分以内で解くよう指示した。実験開始前に、Aグループには報酬については何の約束もせず(無報酬グループ)、Bグループには「正解1個につき1ドル支払う」と約束し(成果対応グループ)、Cグループには「正解、不正解に関係なく一律に2ドル支払う」と約束した(成果非対応グループ)。一人の実験が終わるたびに、実験者は「私は10分間ほど席を外すが、このまま部屋で待っていてほしい。部屋から出なければ、何をしていてもかまわないから」といって部屋を出て行った。学生のそばのテーブルの上には実験に使われたものと同種のパズルが数個と、雑誌プレイボーイがおいてあった。  
デシは、隣室から覗き窓を通して学生たちを観察し、彼らが待ち時間中にテーブル上のパズルを自発的に解こうとした時間(以下、「自発的挑戦時間」という)を測定した。パズル解きへの興味が強いほど、つまり、実験中に強い内発的動機が喚起されているほど、待ち時間中の「自発的挑戦時間」は長いはずである。  
図表1は、3グループの報酬システム、自発的挑戦時間の平均などをまとめたものである。これをみると以下のことがわかる。  
(1)Aグループには報酬は支払われないので、内発的動機だけが働いており、自発的挑戦時間は内発的動機の強さを表す  
(2)成果対応のBグループの自発的挑戦時間は無報酬のAグループの約半分である。つまり“成果に対応して”お金が払われると内発的動機が半減し、お金を目的とした外発的動機が優勢になる(後述するように成果主義人事制度のメカニズムである)  
(3)Cグループの自発的挑戦時間は無報酬のAグループとほとんど違わない、つまりお金が払われても、それが“成果と無関係”の場合は内発的動機が損なわれることはない(年功主義人事制度のメカニズムである)  
この実験は、運動選手の体の複雑な動きの解明にスローモーションビデオが役立つように、外発的・内発的要因が複雑に絡みあう報酬システムの心理的メカニズムを解明するのに役立つ。  
1990年代の長い不況期に、多くの企業は従来の年功人事制度をサッさと捨て、競って成果主義人事制度を採り入れた。ここでいう成果主義人事制度とは、  
(1)上司と部下が相談のうえで、半年ないし1年ごとに目標を決め、その達成度によって部下の給与、賞与、昇格などの重要な人事処遇を決める  
(2)目標が達成できた者と達成できなかった者の間に、処遇上のはっきりした差をつける(場合によっては後者は人件費の安い派遣、契約社員などに置き換える)、というものである。  
上述のように、あらかじめ目標を立て、達成した者には分配を増やし、失敗した者には分配を減らす成果主義人事制度は、大義名分にかなっており、また、失敗者の分配を減らし、さらにはパート、派遣、契約社員に置き換えるなどして人件費の大幅な節約にも役立った。だが、経営者たちは、予想もしなかったいくつかの重いツケを払うことになった。  
成果主義人事制度の第一のツケは、従業員が、つまらない目標や、やさしい目標ばかりを設定し、高い目標にチャレンジしなくなったことである。年功人事制度でも目標は管理の有力な道具であった。だが、それは達成度に対応して報酬が支払われるというものではなかったから、目標は従業員にとっては、チャレンジであり、意欲的な従業員は自ら高い目標を設定し、それに挑戦した。つまり年功人事制度下では、目標は内発的動機の喚起要因であった(図表1のCグループ参照)。  
ところが、成果主義人事制度では、目標を達成するかどうかで、処遇上で大差がつくから、目標達成は従業員にとってはよい処遇をうけるための手段となり、目標は外発的動機の喚起要因になった(図表1のBグループ参照)。目標が達成できたかどうかで、処遇が大きく変わるのであれば、失敗しないように、はじめからやさしい目標にしておこうとするのは当然である。  
このツケへの対処法には、二つある。  
一つは、成果の評価に、目標の達成度だけではなく、目標の重要度や困難度を反映させ、総合的に評価することである。図表2は、目標設定理論の主唱者ロック(Locke, E.A.)が、A〜D四つの目標の重要度、困難度および達成度によって成果を総合的に評価する方法を示したものである。目標Aの「重要度」は10点尺度で10(もっとも重要)、「困難度」は10点尺度で8(かなり難しい)、達成度は0.90(90%)で、これらの積72.00が目標Aの成果得点になる。同じ方法で、残りのB〜D目標についても成果得点を出すことができ、それらを合計して「総合成果得点」を算出すれば、期間内のその部下の成果の総合評価とみることができる。  
このように、目標の達成度だけでなく、目標の重要度、困難度も加味して成果を評価すれば、達成度だけで評価した場合とかなり違った評価が出てくることがある。例えば、目標Cの達成度は0.50、目標Dは0.80で、目標Dのほうが高い。しかし目標Dの重要度、困難度はともに目標Cより低く、成果得点でみると、目標Cは20.00、目標Dは4.80で、目標Cのほうがはるかに高い。A〜D四つの目標は、それぞれ違った4人の部下の目標と考えれば、成果の総合評価に基づき部下間の比較も可能である。ただしこの方法を使うためには、目標の重要度や困難度について、あらかじめ部下と十分に話し合い、合意に達していなければならない。  
このように、目標の達成度だけではなく、重要度、困難度を加味することで、成果がより多面的かつ公正に評価され、部下への納得性が高まる。と同時に「従業員がやさしい目標しか設定しない」という成果主義人事制度の汚名をそそぐことができよう。  
いま一つの対処法は、チーム目標の活用である。わが国で成果主義人事制度がうまくいかない原因の一つは、もともとチームや集団で仕事をすることが得意な日本人に、いきなり欧米流の極端に個人中心的な人事制度を導入したことにある。その是正策としてチーム目標制度の導入が考えられるが、紙幅の関係でここでは詳述できない。
  
「オープン、率直、誠実、公正」な上司が最も信頼される  
成果主義人事制度の第二のツケは、従業員が自分の目標達成以外のことをしなくなったことである。この制度を導入した多くの企業が、従業員が「後輩や新人を指導育成したり」「仲間と話し合ったり」「お互いに協力し合ったり」などの、生産支援的行動をしなくなったことを訴えている。心理学者オーガン(Organ, D.W.)は、これらの支援的行動を「組織内市民行動」(organizational citizenship behavior)と呼び、 組織が円滑に運営されるためには、必要不可欠なものとしている。  
支援的行動は、金銭的な報酬を伴わず、また、しなかったからといって処罰されることもないのが普通である。つまりそれらは、金銭的報酬、罰など、外発的動機によってではなく、「後輩を指導するのは自分の当然の責任」など、内発的動機によって行われるものである。したがって、成果主義人事制度によって、内発的動機によって行動する習慣が損なわれた従業員に支援的行動がみられなくなるのは当然である。  
心理学者ルパイン(LePine, J.A.)らの調査によれば、支援的行動をよく行う従業員は、職務満足感、組織へのコミットメント、会社による公正な扱いに対する満足感、リーダーに支持されている満足感が高い人たちであった。従業員のこれらの特徴は、会社や上司に対する信頼感があってはじめて生まれるものである。  
このことは、支援的行動を回復するには、“職場における人間関係管理”の一層の充実をはかり、上司と部下間の強い信頼関係を築くことの必要性を示唆している。最近における内外のリーダーシップ研究でも「部下の信頼感を高める上司の行動」が研究の焦点の一つになっている。また、私たちが最近行った調査でも、「上司と部下の信頼関係」こそが、部下の支援的行動のカギであることを強く示唆するデータが得られた。すなわち、部下からの信頼が厚い上司とは「オープン、率直」かつ「誠実、公正」で「いざというときには部下の力になってくれる」上司であったが、こうした上司の部下ほど、支援的行動への意欲も強いことがわかった。  
だが、成果主義人事制度のもっとも深刻なツケは、ある人事担当者がいみじくも指摘した問題、すなわち、多数の成果主義・負け組・の、救いようのないモチベーションの落ち込みと、パート、派遣、契約労働など、不安定な雇用がもたらす労働の質の劣化であろう。  
かつてエズラ・ボーゲルによってジャパン・アズ・ナンバーワンと讃えられた日本は、従業員の高レベルの組織内市民行動と、長年にわたって蓄積・温存された良質な労働によって支えられていた。だが、こんにち、3人に1人、とくに若年者の半数近くが不安定な非正規雇用であることによる労働の質の劣化は、労働人口の減少、老齢化とあいまって、将来のわが国産業の大きな不安要因であろう。非正規雇用の正規化など、企業も国もその対策を急ぐことが望まれる。 

 
2012/9