日韓問題

韓国元徴用工 問題

冷たい見方 
歴史は階段を登るようなもの
時々の問題 争い 賠償 妥協 諦め 手打ち
互いの話し合いで  一段登ります

何段も階段を登ってから 下を見おろし
昔の結論に異を唱えても 戻れません


 
 
  
●韓国元徴用工判決で差し押さえ決定 新日鉄住金の資産 1/8
韓国最高裁が新日鉄住金に対し、いわゆる徴用工として労働を強制されたと主張する韓国人男性らへの損害賠償を命じた判決をめぐり、韓国南東部の大邱(テグ)地裁浦項(ポハン)支部は原告による同社の韓国内資産の差し押さえ申請を認める決定をしたことを明らかにした。
原告団は昨年12月31日に差し押さえ申請をし、今月3日に申請が認められた。対象は新日鉄住金が韓国内で保有する韓国鉄鋼最大手「ポスコ」との合弁会社「PNR」の株式約8万1千株で原告4人のうち2人分の損害賠償額(約2千万円)に相当するという。原告団は新日鉄住金が保有するPNR株を約234万株とみており、約11億円に相当する。
差し押さえの効力はPNRに書類が届いた時点で発生し、新日鉄住金は株式売買や譲渡の権利を失う。ただ、同社は決定への異議申し立てができる。
裁判所が命じれば、差し押さえた株式の賠償金としての現金化は可能だが、原告側は協議での円満解決を望んでおり、売却命令は求めていない。しかし、「新日鉄住金が協議に応じない場合、売却命令を申請せざるを得ない」とも警告している。
韓国最高裁は昨年10月30日、同社に対し原告4人に計4億ウォンの賠償を命じる確定判決を言い渡した。韓国人の請求権問題は1965年の日韓請求権協定で解決済みで、日本政府は最高裁判決を受け入れない立場だ。韓国政府に適切な措置を求めているが、韓国政府は対応策を検討中だ。
日本政府は差し押さえが強行された場合の対抗措置の準備に着手しており、韓国側と請求権協定に基づく協議を要請することも検討している。韓国司法の差し押さえ手続き入りで日韓関係の一層の悪化は必至だ。 
 
●韓国ムン大統領 「徴用」めぐる裁判で「互いに知恵絞るべき」 1/10
韓国のムン・ジェイン(文在寅)大統領は、年頭の記者会見を開き、「徴用」をめぐる裁判で日韓関係が悪化していることについて、「韓国政府がつくり出した問題ではなく、不幸な歴史によってつくられた問題だ。日本政府はこれを政治の争点とせず、解決のために互いが知恵を絞るべきだ」と述べました。 韓国
のムン・ジェイン大統領は、10日午前、年頭の記者会見を開きました。この中で、太平洋戦争中の「徴用」をめぐる裁判で、日本企業の資産の差し押さえを韓国の裁判所が認め、日本政府が日韓請求権協定に基づく協議を韓国政府に要請したことに関するNHKの質問に対し、ムン大統領は協議に応じるかどうか、直接は言及しませんでした。
一方で、ムン大統領は「これは、韓国政府がつくり出した問題ではなく、不幸な歴史によってつくられた問題だ。日本政府はもう少し謙虚な立場をとり、政治の争点とすることなく、解決のために互いが知恵を絞るべきだ」と述べました。そして「日本も韓国も三権分立の国だ。韓国政府は司法の判決を尊重しなければならない。日本政府も判決内容に不満はあっても、『どうすることもできない』という認識を持ってもらう必要がある。政治的な攻防のイシューとみなして未来志向的な関係まで損なうのは、非常に望ましくない」として、日本政府に冷静な対応を求めました。
一方、この裁判をめぐっては、原告側から日韓両政府と企業による財団を設立し、一括して補償を進めるべきだという主張が出ていて、ムン大統領は会見の中で「新たな財団や基金については状況が整理されるのを見守り判断しなければいけない」と触れました。
ムン大統領が財団設立という解決方法に言及したのは初めてで、韓国政府内で選択肢の1つとして検討対象になっていることを示唆しました。
北朝鮮の非核化について
韓国のムン・ジェイン大統領は、10日に開いた年頭の記者会見で、非核化をめぐるアメリカと北朝鮮の立場の違いに関する質問に対し、「キム・ジョンウン委員長の言う非核化が、アメリカが求める『完全かつ検証可能で不可逆的な非核化』とは違うという意見が多い」と述べました。そのうえで、ムン大統領は「しかし、キム委員長は、私やトランプ大統領などに、『国際社会が要求する完全な非核化と全く同じものだ』と明らかにしてきた」と述べ、キム委員長はアメリカの要求に応じる構えだという見方を示しました。また、「今回の非核化の過程は、過去に失敗したものとは大いに違い、両首脳が直接合意して国際社会に発表したものなので、重みが違う」と述べ、去年からの一連の動きは、非核化が実現しなかった過去の協議などとは違うと強調しました。そして、2回目の米朝首脳会談で双方が歩み寄り、それが南北間の経済協力につながることに期待を表しました。
佐藤外務副大臣「事実を見ない発言」
佐藤外務副大臣はみずからのツイッターで、ムン・ジェイン大統領が、「日本政府も判決内容に不満はあっても、『どうすることもできない』という認識を持ってもらう必要がある」と述べたことについて、「日韓請求権協定の手続きに基づき、協議要請中なのに、その回答をしないばかりか、この発言とは。事実を事実として見ない発言の繰り返しだ」と批判しました。
外務省幹部「意味が分からない」
外務省幹部は、「『知恵を出し合う』という意味が全く分からない。国際法違反の状態が放置されており、もはや、そういう次元の話ではない。首をかしげざるを得ない発言だ」と批判しました。そのうえで、ムン大統領が、「日本政府も、判決内容に不満はあっても、『どうすることもできない』という認識を持ってもらう必要がある」と述べたことについて、「韓国全体としての問題であり、国内の制度を理由に、国と国の約束を守らないということはあってはならない。現在、協定に基づく協議を要請しており、それがすべてだ」と述べました。日本政府は、日韓の間の請求権をめぐる問題は1965年に締結した日韓請求権協定で完全かつ最終的に解決済みで、一連の判決や差し押さえについても、韓国政府の責任で適切な対応策を講じるよう繰り返し求めていて、引き続き、イ・ナギョン首相のもとで行われている対応策の取りまとめを注視することにしています。
自民 岸田氏「韓国政府は協議に応じるべき」
自民党の岸田政務調査会長は記者団に対し、「国際的な約束はしっかり守られるべきだ。判決が出た段階で国際法違反の状態が生じており、それを是正する責任は韓国側にあるのに、韓国政府が適切な対応をとっていないのは大変遺憾だ。ムン大統領の発言は、こうした状況を踏まえた発言とは思えず、大変残念だ」と述べました。そのうえで岸田氏は、「わが国は、韓国政府に対して日韓請求権協定に基づく協議を求めており、韓国政府は協議に応じるべきだ」と述べました。 
 
●»韓国・文大統領、徴用工問題に・・・ 1/10
10日に行われた韓国・文在寅(ムン・ジェイン)大統領の新年の演説。レーダー照射問題や徴用工問題など日韓関係の問題が深刻化する中、その発言が注目されました。
「遠くない時期に開催される2回目の米朝首脳会談と金正恩党委員長のソウル訪問は、朝鮮半島の平和を強固にするさらなる転換点になるでしょう」(韓国 文在寅大統領)
演説では国内問題のほか、米朝首脳会談と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)党委員長のソウル訪問が近く行われるとの見方を示し、南北問題解決に前向きな姿勢を強調しました。
しかし、日韓関係について言及はありません。記者会見でも触れないまま、1時間半以上が過ぎます。そして・・・
「我々の国内の政治について外国メディアも関心をお持ちですか? では外国メディアの真ん中の方、質問をどうぞ」(韓国 文在寅大統領)
日本人記者がようやく機会を得て、徴用工問題について質問したのです。徴用工訴訟では、新日鉄住金に対し原告側が資産差し押さえ手続きに乗り出したのを受け、9日、日本政府側が駐日韓国大使を呼んで韓国側に協議を要請しました。韓国側は協議の要請に応じる意向があるということですが・・・。
「過去の長く不幸な歴史が原因でつくられている問題だ。日本政府はもう少し謙虚な立場をとるべきだ」(韓国 文在寅大統領)
さらに、「日本の政治指導者たちが政治的に争点化し問題を拡散しているのは賢明な態度ではない」と批判しました。ただ、「両国が解決のために知恵を出し合わなくてはならない」と歩み寄りの姿勢も見せました。日韓の主張が真っ向から対立しているレーダー照射問題については触れられないまま、会見は終了しました。
こうした対応に、日本政府は不信感を募らせています。
「先方から本国に正確に報告するとの発言があったということですが、現時点で要請に対する回答は示されていない」(菅義偉官房長官)
菅官房長官は、日本が求めている徴用工問題に関する協議について、韓国から回答が示されていないことを明らかにした上で、引き続き適切な対応を求めていく考えを示しました。
政府は韓国が協議に応じない場合、日韓請求権協定に基づき、第三国を交えた仲裁委員会の設置を求めることも検討しています。ただ、仲裁委員会の設置には日韓両国の合意が前提となるため、韓国がこれについても応じなければ、日本が国際司法裁判所への提訴に踏み切る可能性も高まります。いまのところ、問題解決の糸口は見えていません。 
 
●年頭記者会見、日韓関係に触れたくなかった韓国・文在寅大統領、韓国メディアも忖度? 1/10
韓国・文在寅大統領は10日の年頭記者会見で、日韓関係に自らは触れなかった。話せば国内世論の手前、強硬論をぶち上げざるを得ないが、そうなれば日韓関係のさらなる悪化を招く。だから発言したくない。韓国メディアも大統領に忖度(そんたく)してか、日本関連の質問を避けた。会見ではそんな思惑も垣間見えた。
日韓両国間には2015年末の両国合意に基づき設立された元慰安婦支援財団の解散、日本企業への賠償命令が相次ぐ元徴用工訴訟や韓国海軍の駆逐艦による海上自衛隊の哨戒機への火器管制レーダー照射などの問題が山積する。
しかし、会見の冒頭で文大統領はこれらに全く言及しなかった。記者団との一問一答が始まっても韓国メディアからの質問は、国内の経済問題や北朝鮮関連に集中。後半になってNHKのソウル支局長が指名され、元徴用工判決への対応を初めて聞いた。
聯合ニュースによると、文大統領は「日本政府は(歴史問題に)もう少し謙虚な立場を取るべきだ」と指摘。「日本の政治指導者が政治的な争点とし、問題を拡散させているのは賢明な態度ではない。政治的な攻防に向かうことは望ましくない」と語った。
さらに「政府は司法の判決を尊重しなければならない」とし、「日本も同様だ。韓国裁判所の判決に不満があったとしても、基本的に仕方がないとの認識を持つべきだ」と述べ、日本側に判決の尊重を求めた。
その上で「韓国の司法が韓日請求権協定で解決されなかったと判断した問題に対し、そして被害者たちの実質的な苦痛を癒やす問題に対し、韓日両国がどう解決するのかを真剣に考えてみる必要がある」と主張した。
日本に関するやりとりはこれだけで、逆に不自然さが目立った。NHKの質問に答えた後、文大統領は記者会見で日韓関係は取り上げないとの「暗黙の合意」があったかのように、「(別の)後ろの人を指名するつもりだった」と言い繕った。
案の定、文大統領の発言に日本政府は猛反発。菅義偉官房長官は11日午前の記者会見で「韓国側の責任を日本側に転嫁しようというものであり、極めて遺憾だ」と強い調子で批判した。まさに危惧されていた通りの展開になった。
日韓の懸案はいずれも「韓国発」だが、仕掛けた側も解決の道筋は見いだせないままだ。対応策が用意できていない文大統領としては、持論を繰り返す選択肢しかなかったとみられる。
日本側の反応について、朝鮮日報は「日本政府やマスコミの知韓派たちは『韓国の大統領が日本を叱責するのか』『両国関係の未来について話しながら、過去にさかのぼって政治争点化しているのは日本ではなく韓国ではないか』と激高した様子で語った」と、ある種の驚きをもって伝えた。 
 
●韓国・文大統領の「一風変わった」新年記者会見が話題に
2019年1月10日、韓国・中央日報は、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の「一風変わった新年記者会見」の様子を報じた。
記事は、同日大統領府で行われた文大統領の新年記者会見について「質問権を得るために競う記者らの姿が異色だった」と伝えている。その理由は、会見場で文大統領がマイクの前に座るやいなや「私が直接、質問する記者を指名する」と述べたため。ただ最初の質問は、慣例に従って大統領府記者団の幹事である聯合ニュースの記者だったという。
その後、文大統領は約200人集まった国内外メディアの記者を自ら名指し質問を受けた。目立つために韓国の伝統衣装を着てきた記者の他、携帯電話や本、帽子を手にしながら質問のチャンスを得ようとする記者もいたという。
記者会見の様子は生中継され、ネット上などでは質問する記者らが話題に。京畿(キョンギ)放送の記者は所属を明らかにせずに「経済政策基調を受け継ごうという自信はどこから出てくるのか問いたい」と厳しい質問を投げ掛け、リアルタイムの検索語に浮上するほど注目を集めた。この質問に対し文大統領は「韓国社会が両極化や不平等の構造を変えない限り持続可能な成長が不可能という点は、今日の記者会見で30分にわたりお伝えした。新しい答えが必要とは思えない」と回答した。
当初80分間行われる予定だった記者会見は、予定時間を10分ほど過ぎて終わったという。
これを受け、韓国のネットユーザーからは「記者たちも含めて、他のどの時とも違う記者会見だった」と驚く声が上がった。中でも多かったのが、京畿放送の記者に対する「よかった!」「最高!」「京畿放送の記者のような人が10人いたら、メディアはここまで落ちなかったことだろう」などの称賛コメントで、文大統領の返答に対しては「味方だと思って指名したら『事実』を指摘されてビックリしたようだね。しかもあいまいにぼやかして切り抜けてた」「大統領選の討論の時も『なぜ私に聞くのか』と回答して非難を浴びてたよね」など厳しいコメントが見られた。
中には、リアルタイムの検索語について「大統領の新年記者会見が行われている間、検索語の1位は『スタバの福袋』だった。この国のことだもん。国のことをあれこれ言ったところで、政治に関心ある数人が騒ぎ立てるだけ。ほとんどは無関心で知りたがらない。そのくせ主権者が国民とは(笑)」と述べ、国民の関心の薄さを皮肉るユーザーもいた。 
 
●元徴用工問題で文大統領が日本を批判「謙虚になるべき」=韓国ネットから賛否両論
2019年1月10日、ニューシスなど複数の韓国メディアによると、元徴用工問題をめぐる日韓の対立が深まっていることについて、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が「日本政府は韓国裁判所の判決を尊重するべき」との考えを示した。
文大統領は同日行った新年の記者会見で、日本企業に韓国人元徴用工への賠償を命じた韓国最高裁の判決により日韓関係が悪化していることについて「日本の政治指導者たちが政治的に争点化し、問題を大きくしているのは賢明な態度でない」と述べた。最高裁の判決については「韓国と日本は新たな外交関係を樹立するため日韓基本条約を締結したが、それでは解決できなかったとみられる問題が今も少しずつ続いている」と述べ、「これは韓国政府が作り出した問題ではなく、過去の不幸な歴史により生まれた問題であるため、日本政府が謙虚な立場をとるべきだと思う」と主張した。その上で「韓国の裁判所が日韓基本条約では解決できなかったと判断した問題について、その被害者の実質的な苦痛を癒すため日韓が知恵を集めなければならない」とし、「この問題を政治的攻防の材料にして未来志向的関係まで壊そうとするのは望ましくない」と強調した。
これについて、韓国のネットユーザーからは賛否両論が上がっている。
「賢く正しい意見だ」「日本に断固とした態度。文大統領を応援する」「日本も韓国もその他の先進国も同じ。三権分立により裁判所の判決に政府が介入することはできない。日本は韓国最高裁の判決を尊重するべき」と支持する声がある一方、「じゃあもし日本の最高裁が強制追徴は違法で賠償責任はないと判断したら、韓国はそれに従うの?」「日韓関係を政治に利用しているのはむしろ文大統領では?」「日本と協力して北朝鮮をけん制すべき時に何をしているのか…」などと疑問を呈する声も上がっている。 
 
●レーダー照射に徴用工判決…、日韓関係改善に望みなし?―中国メディア
2019年1月8日、レーダー照射問題や徴用工訴訟問題で日韓の確執が続く中、中国・参考消息は「日韓関係改善に望みなし?」と題する記事を掲載した。
記事はまず、海上自衛隊のP1哨戒機が韓国の駆逐艦からレーダー照射を受けた問題を取り上げ、「双方の事実関係に対する意見には食い違いが存在する。日韓関係の先行きはますます不透明になった」と指摘。さらに韓国最高裁が日本企業に賠償を命じた徴用工判決について、「安倍晋三首相が関係省庁に(新日鉄住金の資産差し押さえ手続き着手への)対抗措置検討を指示したことが韓国各紙の注目を引き起こした」などと伝えた。
記事は、韓国国防部がレーダー照射をめぐる反論映像に日本語、中国語など6カ国語の字幕を付けて公開したことを説明。軍の消息筋から、「真相と韓国側の立場を世界により効果的にアピールするのが狙い」との話があったことも報じた。
一方、徴用工判決をめぐっては日本メディアの報道を引用し、「安倍首相は『日韓の請求権問題は解決済み』との立場は揺るがないという態度を示して韓国政府にプレッシャーをかけた。韓国側が日本企業の資産を差し押さえれば、両国の矛盾の泥沼化は避けられない」と指摘。日韓関係の専門家が「韓国政府は日本政府と韓国最高裁の板挟み」と捉えていることや、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が新年の記者会見(10日)で対日関係に対する立場を明らかにすると報じられる中、「歴史問題で韓国政府が日本に譲歩することは難しい」との見方が多く出ていることを伝えた。
記事はまた、レーダー照射や新日鉄住金の資産差し押さえ手続きへの着手について、菅義偉官房長官が7日に「極めて遺憾」と述べたことを説明。一方の韓国では、徴用工訴訟問題をめぐり、各紙が「安倍氏は先頭に立って日韓間の対立を突出させている」「両国の対立がすぐに治まる気配はない」「突破口のない韓日」「徴用工判決めぐり安倍氏は戦線拡大」などと報じたことを指摘している。 
 
●徴用工訴訟、日立造船の控訴棄却…ソウル高裁 1/11
第2次世界大戦中に大阪の造船所などに動員された元徴用工の韓国人男性が日立造船を相手取り損害賠償を求めた控訴審判決で、ソウル高裁は11日、日立造船の控訴を棄却した。1審判決を支持し、日立造船に5000万ウォン(約480万円)の支払いを命じた。日立造船は「上告を含めて適切な対応をする」としている。
11日の判決は、韓国大法院(最高裁)が新日鉄住金に賠償を命じた昨年10月の判決を踏襲し、1965年の日韓請求権協定で「個人請求権の消滅について、両国政府の意思の合致があったと見る根拠を探すのが難しい」とした。訴訟は、原告が2015年に提訴し、16年9月の1審判決で原告が勝訴した。
元徴用工らの訴訟を巡っては、昨年10月の大法院判決を受け、新日鉄住金の所有する資産が今月9日に差し押さえられた。同様の訴訟の下級審でも日本企業の敗訴が相次いでいる。 
 
●文大統領 年頭会見で日韓問題に言及 1/12
韓国の文在寅大統領は10日午前、年頭の記者会見を開き、「徴用」をめぐる裁判で悪化している日韓関係についてはじめて言及した。
NHKによると、「韓国政府がつくり出した問題ではなく、不幸な歴史によってつくられた問題だ。日本はこの問題を政治化させず、解決のために互いが知恵を絞るべきだ」と述べた。
また、北朝鮮の非核化が実現する可能性に関して、「今回の非核化の過程は、過去に失敗したものとは大いに違い、首脳が直接合意して国際社会に発表したものなので、重みが違う」と述べ、非核化は実現するという見方を示したという。
判決への対応について、日本も韓国も三権分立の国であり「司法の判断を尊重しなければならない」と説明。日本政府は判決に不満があっても、「どうすることもできない」という認識を持つべきだと指摘したと報じられている。
新日鉄に差し押さえ通知 政府が協議要請
太平洋戦争中の「徴用」をめぐる裁判で、資産を差し押さえる韓国の裁判所の決定が日本企業に通知されたことを受け、日本政府は、請求権の問題は解決済みだとする立場から、日韓請求権協定に基づく協議を韓国政府に要請した。協定では、その解釈と実施に関する紛争が存在する場合、外交ルートを通じて解決すると定めているが、協議は過去に行われたことが無いことに加え、日本側は以前、韓国側の要請に応じなかった経緯もあり、韓国側が協議に応じるか不透明で、事態の収束は見通せていない。またNHKによると、日本政府は韓国政府に対し、影響が拡大しないよう粘り強く働きかけるととともに、国際司法裁判所への提訴に加え、国際法に反しない範囲で具体的な措置を講じることを検討中で、政府関係者からは関係の改善は当面、困難だという見方が出ているという。
資産差し押さえ 安倍首相が対抗措置の検討を指示
安倍首相は6日、NHKの日曜討論で、徴用工判決を受けて韓国の原告側が新日鉄住金の資産差し押さえを裁判所に申し立てたことについて「きわめて遺憾」だと述べ、具体的な対抗措置の検討を関係省庁に指示したことを明かした。NHKによると、安倍首相は、差し押さえの申し立てについて政府として深刻に受け止めていると説明。判決が国際法に照らしてありえないと批判した上で、「毅然とした対応をとるため、具体的な措置の検討を関係省庁に指示した」とコメントしたという。
原告側が新日鉄住金に「資産差し押さえも視野」
太平洋戦争中の徴用をめぐる裁判で、新日鉄住金に続き三菱重工業にも賠償を命じる判決が確定した。NHKによると、原告側の弁護士は4日、新日鉄住金の本社を訪れ、賠償に関する協議に応じるよう求めたという。その上で、「今月24日までに回答がなければ韓国内にある新日鉄住金の資産を差し押さえるしかない」との考えを示した。先月、新日鉄住金に対して賠償を命じる判決が確定したのに対し、日本政府が国際法違反だとして韓国政府に是正を求めている中、再び同様の判決が出たことで、日韓関係への影響は避けられない見通しだ。
原告側が新日鉄本社を訪問 面会できず
徴用工訴訟で韓国の最高裁判所が新日鉄住金に損害賠償の支払いを命じたことを受けて12日、原告側が、支払いに応じるよう求めるため東京にある新日鉄住金の本社を訪問した。会社側との面会は叶わなかった。NHKによると、原告側の弁護士は「当事者と会わないということは、私たちと協議する意思がないことを確信させた」とコメント。韓国にある新日鉄住金の資産を差し押さえるための手続きに踏み切ることを示唆したという。菅官房長官は韓国の徴用工判決について、適切な措置が講じられなければ国際司法裁判所への提訴を含め毅然と対応する考えだと、記者会見で述べた。NHKによると、菅官房長官は「判決は国交正常化以来の友好関係の法的基盤を根本から覆すものであって極めて遺憾であり、断じて受け入れることはできない」と述べたという。そのうえで、「国際法違反の状態を是正することを含め適正な措置を講じるよう強く求めており、対応をまずは見極めたい。韓国政府が早急に適切な措置を講じない場合は、国際裁判を含め、あらゆる選択肢を視野に入れてきぜんとした対応を講じる考えだ」と毅然と対応する考えを強調した。
河野外相「韓国政府が責任を」
河野外務大臣は3日に神奈川県で行った街頭演説で、韓国の徴用工判決について、国交正常化の際に韓国国民への補償は韓国政府が責任を持つと取り決めており、個別の補償は韓国政府が責任を持って行うべきだと強調した。NHKによると、「判決はこの取り決めに完全に違反するもので日本としては受け入れられない。韓国にすべて必要なお金を出したので、韓国政府が責任を持って補償を行うべきだ」と河野外相はコメントしたという。
安倍首相「ありえない判決」
太平洋戦争中の徴用をめぐる裁判で、韓国の最高裁判所が日本企業に賠償を命じる判決を言い渡したことを受けて、安倍首相は「毅然として対応する」と語り、河野外務大臣は韓国外相との電話会談で抗議した。ロイター通信によると、安倍首相は同日の衆院本会議で、「1965年の日韓請求権協定で、完全かつ最終的に解決しており、この判決は国際法に照らしてありえない判断」とし、「日本政府として毅然として対応する」と語ったという。またNHKによると、河野外務大臣は「日韓関係の法的基盤が根本から損なわれたことを重く見ている」と電話で韓国の康京和外相に伝え、記者団に対し「法的基盤が損なわれれば日韓関係に影響が出ないことはないと申し上げた。韓国政府内でこの問題について対応を協議しているということだったので、韓国政府の対応方針の決定を待ちたい」とコメントした。 
 
 
 
●日韓対立 韓国の思惑とは? 1/11
「謙虚な姿勢を」「責任転嫁だ」激しさ増す日韓対立
日韓が激しく対立している、いわゆる“徴用工問題”。元徴用工の韓国人男性が日立造船に対して損害賠償を求めた裁判で、1月11日ソウル高裁は1審に続き日立造船側に5000万ウォン、日本円でおよそ500万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
10日の年頭会見で「日本政府は(徴用工)問題について、もう少し謙虚な姿勢を持たないといけないと思う」と不快感をあらわにした文在寅大統領。
これに対し、菅官房長官は「今般の文大統領の発言は、韓国側の責任を日本側に転嫁しようというもので、極めて遺憾」と、強い口調で批判した。
韓国の大手新聞は大統領会見を伝えるにあたり、南北問題や深刻な国内の経済問題に多くの紙面を割き、日韓関係をめぐる発言を論評した記事はほとんど見られなかった。
韓国側に反発を強める日本政府
11日開かれた自民党の外交部会では「韓国は国際法を守らない国だと明確に言うべき」などの厳しい意見に加え、「駐韓大使の召喚」「何らかの経済制裁」といった強硬な対抗措置を求める意見が相次ぐ中、政権幹部からは「韓国の考えていることはわからない」など、失望を通り越して諦めの声も挙がっている。
日本との関係に「おいしさ」無し?
日本が早期の対応を要求しているのに対し「(朴槿惠政権時代)元徴用工裁判の判決を出すことを韓国最高裁が遅らせたとされる事件の捜査が続いている」として、日本への対応を急がない姿勢を見せる文大統領。この事件をめぐり、韓国検察は11日、前最高裁長官を出頭させ職権乱用などの疑いで取り調べを始めた。
“日本放置”ともとれる韓国の態度。
菅官房長官は日本政府の対応について「どのタイミングで何を行うか、そうしたことについて具体的内容は政府のほうから手の内を明らかにすることになるので、控えたい」とコメントしている。
今後の韓国政府の出方について、元駐韓大使の武藤正敏氏は「日本に謝ることは絶対にしない。(謝罪すれば)支持者から反発をくらう。でも、日本を批判しても一般の人たちが文大統領を支持することにはならない。だから『日本との関係はあんまり触らないほうがいい』と…」と分析している。
日本が動かず「韓国側の出方を待つ」一方で、二国間協議や国際司法裁判所で日本に勝てる見込みの低い韓国側もまた動けない状況にあるというのも事実だろう。
2013年、朴槿惠前大統領がアメリカ議会で“日本批判大演説”をし、最悪の状態になった日韓関係に割って入ったのはアメリカだったという。
日韓の対立が激しくなる中、トランプ大統領がどう動くのかも今後の1つのポイントになりそうだ。 
 
●日韓問題 自民党から政府に対抗措置求める声相次ぐ 1/11
自民党から韓国への制裁を求める声が相次ぐ
「人・モノ・カネと全体的に対抗措置を考えるべきだ」「韓国から日本への人的渡航の制限をやるべきだ!」
1月11日、自民党は外交部会と外交調査会の合同会議を開催し、日韓情勢について議論を行ったが、この場では韓国に対し、これまで以上に厳しい声が相次いだ。
振り返れば、昨年からの韓国の行動は、国会議員による日本の領土である竹島への不法上陸、竹島周辺での海洋調査船の航行や軍事演習、慰安婦に関する財団の一方的な解散表明など、度々日本側を挑発するような行いが続いてきた。そのたびに、日本政府は様々な形で韓国に抗議を行ってきたし、自民党側も抗議を行ってきたが、口頭での抗議であり、抑制的な行動を取ってきたとも言える。
しかし今回、自衛官を危険に晒すような、韓国海軍の駆逐艦による自衛隊機への射撃管制用レーダーの照射や、戦時中の朝鮮半島出身労働者、元徴用工らへの補償問題に関して、韓国で日本企業の資産の差し押さえ申請が認められたことは、日韓関係に一層大きな打撃を与えた。
しかも1月10日に文大統領が会見で、徴用工問題に関し、日本政府は「司法の判断を尊重すべき」と述べた上で、「日本の指導者が政治争点化するのは賢明ではない」「謙虚な立場を持たなければならない」などと発言。
これには、合同会議に出席した議員から「もはや日韓関係はもうゲームオーバーだね」(自民党中堅)との声も上がり、韓国とは理性的な交渉は不可能だとする怒りの声が爆発。具体的な制裁措置を韓国側に取るべきだとの声が相次ぐ形となった。
「抗議の段階は超えた」大使召還、経済制裁、韓国人の入国規制案も
合同会議では冒頭に、出席議員から「我々は品格のある国として、相手を尊重して「遺憾」という言葉を使ってきた。全体として遺憾!遺憾!だけではなくて、抗議ということで外交上の言葉遣いとして格上げしてほしい。残念ながら隣国は国際法を守らない国だと明確に日本政府には言っていただきたい」との声が挙がると、他の出席者からは、韓国への具体的な対抗措置、制裁措置を提案する声が続いた。
「対抗措置をしっかり検討すべきだ。解決するまで日本の大使は戻ってきてもらえばいい。韓国は特別だから配慮しなきゃと言って、今までさんざん煮え湯を飲まされてきた。絶対引かないということをやらないと、韓国は未来思考だなんて良く言うなと。こんなことして、未来思考なんてできるわけない。歴史認識の問題についてもリセットボタンを押す時がきた(出席議員A)」
「韓国は超えてはいけない一線を大きく超えたと思う。韓国から日本への人的渡航の制限をやっても良いではないか。ビザなし渡航の制限や、就労ビザの制限なども考えるべき。短期的にはもちろん日本にもダメージはあるが、こうした問題を放置することで、中長期的な国益が失われることを考えれば、ぜひ検討してもらいたい!(出席議員B)」
また、会合では出席者から、日本企業の韓国からの撤退などを検討すべきだとの声もあがったほか、韓国で活動している日本企業を守るため、自民党としても企業との間で意見交換を行い、韓国への対抗措置を講じていくべきだとの意見も出た。合同会議の終了後に松下外交部会長は記者団に対して「政調会に上げる」と述べて、党として具体的な検討に入ることを明らかにした。
日韓議連退会の城内氏「日韓は相当危険信号。韓国は後戻りできなくなる」
安倍首相に近く、外務副大臣も経験した城内実環境副大臣は、昨年11月に韓国の一連の行為を受けて「日韓友好議員連盟」を退会した。
その城内氏は、合同会議終了後に、FNNの取材に対して、文大統領の発言について「全く言語道断です。特に徴用工の問題については、日韓請求権協定で最終的かつ完全に解決している。仮に個人の請求権が認められるのであれば、韓国政府が対応すべきある。これは、またゴールポストを動かす話です。三権分立とか、司法の判決というより、国際法を順守することは当然求められるわけですから」と述べた上で、次のように日韓関係の今後について語った。
「日本は決して足して2で割ったような解決策、例えばいわゆる徴用工財団を作って、そこに日本が金を出すなんていうような、そんな解決策は絶対にありえません、日本は淡々と、日本の立場を一歩も譲らずにやっていくと、同時にあらゆる対抗措置をしっかりと考えていかないといけない」
そして、先の大戦が終わってから今年でもう74年を迎える中で、日韓が歴史的に抱えてきた問題を指摘し、両国が真の友好関係を築くべきでありながら、それに水を差すような文大統領の行動について、批判とともに警鐘を鳴らした。
「根底にあるのは、日本政府に対する韓国側の甘えもあるし、それを許してきてしまった、これまでの日本政府及び我々日本人の問題もある。そろそろ戦後74年たつわけですから、もう日本と韓国は真剣に今後についてどういう関係を築いていくかを考えるべき時に来たのではないか。文大統領は未来志向と言っているが、未来志向という前に、今、山積している日韓の竹島問題も含めて、どういう対応をするのかということを、しっかり反省してもらって、謝罪をすることは謝罪してもらえないと、未来志向どころか後戻りできないような関係になってしまう。もともと友好国ですからね、友好国によくこんなことをしてくるなと。一般の国民の皆さんもどうなっているんだと。韓国酷いんじゃないかという意識に変わりつつあるので、相当危険信号なので、後戻りできなくなる前に、韓国としてはきちっとした対応をとって欲しいなと期待します」
文大統領こそ政治争点化をやめ、謙虚な姿勢を持つべきでは
韓国も歴代政権は、いわゆる元徴用工らへの補償について、日韓請求権協定に含まれると認めてきた。文政権が日韓のこれまでの積み重ねを壊し、様々な問題を深刻化させたことは間違いないだろう。
日本政府は、日韓請求権協定に基づき、2国間協議を申し入れているが、韓国が協議に応じない場合、第三者を入れた仲裁委員会への付託、さらに国際司法裁判所への提訴なども検討している。
経済界を中心に、日韓関係の悪化に懸念の声も挙がってはいる。しかし、これまで韓国に対して日本が譲歩し続けてきたことが今回の結果につながったとすれば、文政権の姿勢が変化しない限り、自民党を中心に韓国への制裁を求める声が日増しに強くなることは明白だ。文大統領側こそ、日本に対する挑発行為と、政治争点化を一刻も早くやめ、謙虚な姿勢と、誠実な対応が求められている時ではないだろうか。 
 
●徴用工訴訟 日本政府が対抗措置準備を加速 1/11
政府は、韓国最高裁判決後の国際法違反の状態を是正しないまま問題の責任を日本に転嫁しようとする韓国の文在寅政権に対し、菅義偉官房長官を中心とする関係閣僚会議で効果的な対抗措置の検討を加速させつつ、日韓請求権協定に基づき要請した政府間協議に応じるよう韓国に迫る方針だ。
自民党が11日に開いた外交部会・外交調査会合同会議で挙がったように、対抗措置として、長嶺安政駐韓大使の召還のほか、韓国人への短期滞在査証(ビザ)免除措置の撤廃や就労ビザの発給制限、韓国への特定物資の輸出制限などの検討が進められている。
外務省は大使召還については「被告の日本企業を守るために大使を前線から戻すのはどうか、というのが今の判断だ」として否定的な考えだが、外務省幹部は「幅広く対抗措置を検討している」とも語る。
日本政府は対抗措置検討と並行し、国際法にのっとった手続きも進めている。
日韓請求権協定に基づく政府間協議について韓国側は「綿密に検討する」としているが、日本政府内には「要請を握ったまま回答しないのではないか」(外務省幹部)との見方が強い。
日本政府は一定の期間を過ぎても韓国政府から回答がなければ協議開始に同意しなかったものとみなし、次のステップとして第三国の委員を含む仲裁委員会の設置を要請する。韓国政府が仲裁委設置にも応じない場合、国際司法裁判所(ICJ)への提訴に踏み切る構えだ。 
 
 
 
●元徴用工訴訟、「もう一つの本質」と文政権に足りない「努力」 1/11
昨年10月30日の判決以降、日韓で平行線が続くいわゆる「元徴用工判決問題」。11日に韓国であった大きな動きを整理し、韓国側の「見方」とその「課題」をまとめた。
前大法院長・梁承泰へが検察へ
「国民の皆さんに大きな心配をおかけして申し訳ない。この全てが私の不徳によるもので、その責任は全て私が負っていくのが正しい」。
11日午前9時、ソウル大法院前。梁承泰(ヤン・スンテ)前大法院長が大勢のメディアに囲まれ口を開いた。大法院は日本における最高裁判所、大法院長は最高裁長官にあたる。
李明博(08年2月〜13年2月)、朴槿恵(13年2月〜17年3月)政権時代にまたがり、11年9月から17年9月まで大法院長を務めた梁氏はこの日、ソウル中央地方検察庁で聴取を受ける前に、自身の「職場」だった大法院を訪れ記者会見を行ったのだった。
続く9時半、梁氏はすぐ隣にあるソウル中央地方検察庁に到着。ここでは待ち構えていた報道陣の前で口を開かず、そのまま庁舎内に入っていった。
梁氏の嫌疑は「司法ろう断」。日本では聞き慣れない言葉だが、大法院長の職権である「司法行政権」を濫用したことで、三権分立の秩序を乱した疑いだ。
その内容は多岐にわたる。複数の韓国メディアを参考にまとめるだけでも、「朴槿恵政府政権が要求する判決を出すための裁判取引」や、「政府に批判的な判事のブラックリストを作成し不利益を与えたこと」、「朴槿恵大統領の弾劾裁判において、憲法裁判所の内部機密を抜き出そうとしたこと」などが挙げられる。
また、昨年10月30日に大法院が上告を棄却することで確定した、いわゆる「元徴用工判決」を「遅延させ、結果を覆そうとした」という疑いがある。
こうした疑いは、先立って検察の取り調べを受け起訴された法院行政処長を務めた梁氏の元部下をはじめとする者たちの「梁氏の指示」という証言によるものだ。疑いは多岐にわたり、40ほどになると見られている。
「元徴用工判決」への介入
中でも韓国メディアも「最大の嫌疑」とするのが、「元徴用工判決」についてだ。
これまでの検察の捜査により、梁氏みずからが被告・新日鉄住金を弁護してきた韓国最大のローファーム「金&張」を訪れ、外交部などとやり取りしながら、2013年7月のソウル高裁での差し戻し判決(原告勝訴確定)を延期させ、その後は大法院(最高裁)でこの判決を覆そうとした形跡が発見されている。
梁氏はこの「対価」として、「上告法院」の設置を求めたとされる。韓国は地方法院→高等法院→大法院の三審制であるが、高等法院と大法院の間、もしくは大法院とは別に「上告法院」を設置しようというものだった。
その理由について、梁氏は法により14名と決められている大法官の業務過多を挙げていた。
キー局のSBSは18年6月8日付けの記事で「2014年基準で上告事件が37,615件、大法官1人あたり処理するべき事件が3000件を超え、綿密な事件審査ができない」と背景を説明していた。
だがこの「上告法院」は憲法違反にあたるという指摘があった。同じ記事にはこうある。
「(ある人は上告法院で、ある人は大法院で最終裁判を受けることは)法の前での平等、最高法院である大法院で裁判を受ける権利が損なわれる」、「上告法院の判事の違憲が一致しない場合や大法院の判例と相反する決定の場合に、事件は大法院がまた預かる。(中略)四審制で運営される可能性も出てくる。」
この対価に関する梁氏の真意はまだ分からないが、いずれにせよ検察側が韓国メディアに明かしたところによると「元徴用工判決」への介入については多くの証拠が集まっているという。
最大の焦点「誰が指示したのか」
そこで最大の焦点となるのが、梁氏に介入を指示したのは誰か、という点だ。この点に関して、日刊紙『ハンギョレ』は1月7日付けの記事で以下のようにまとめている。
「 2013年7〜8月、大法院にふたたび上がってきた二件の強制労役事件(元徴用工)は、審理不続行(大法官たちが審理せず、すぐに上告を棄却するもの)として簡単に終わる事件であった。わずか1年余り前の2012年5月、大法院は同じ事件に対し『日本企業が被害を賠償せよ』と判決した。当時、李明博政府は外交通商部を通じ、『大法院の判決を歓迎する』という立場を明かした。1年余りで判決結果を変えるいかなる理由もなかった。 『朴槿恵政府』自体が「理由」だった。2013年9〜10月、青瓦台(大統領府)は外交部を通じ「国際的な影響を勘案し、宣告を遅らせ、大法院全員合議体に回し、慎重に判断して欲しい」という要請を法院行政処あてに数度行ったという。検察は「当時の朴槿恵大統領の父である朴正煕大統領が1965年に『日韓請求権協定』を主導した当事者である点などを意識し、判決結果を覆そうとしたもの」と判断した。日本は朴正煕政府と結んだ請求権協定により、被害者の賠償がすべて終わったと主張している。 (中略) しかし、外交部は「国民情緒」を考慮し、なかなか意見書を出せずにいた。特に2015年12月「不可逆的」という「日韓慰安婦合意」が締結されるや、世論はより悪化した。まごまごする外交部をせっついたのは「梁承泰大法院」だったという。2016年4〜5月に法院行政処は「大法院長の任期(2017年9月)を考えると、これ以上手続浮きを遅らせる場合は困難になる」という意見を外交部に送った。 (中略) 梁前大法院長も、下から上がってくる報告だけを待っていなかった。日本企業の代理となっている「金&張」法律事務所のハン・サンホ弁護士を大法院長の執務室などで数度会った事実が検察による「金&張」への強制捜査を通じて確認された。 (中略) その後、大法院は2016年10月から翌年2月まで、全員合議体への回付のための検討を本格化した。しかし、国政ろう断事件(訳注:朴槿恵―崔順実ゲート)と朴大統領の弾劾により、3年あまりに及んだ「裁判への介入」は目標を達成できず霧散した。 」
朴槿恵大統領が在職中、何度も強調した「漢江の奇跡」には、日本との国交正常化が無関係ではない。つまり、朴槿恵大統領が父・朴正煕大統領の治績に「汚点」となるような判決を望まなかったということだ。
だが、当の朴槿恵前大統領は口をつぐんだままだ。ソウル地検は9日、ソウル拘置所に収監中の朴前大統領に捜査官を派遣したが、朴氏の拒否により調査は行われなかった。なお、朴大統領は一連の裁判への出席も拒否している状態だ。
検察の見方は一貫している。やはり『ハンギョレ』の9日付けの記事を引用してみる。
「 当時、再上告審の遅延などを議論した二度にわたる非公開会議に、青瓦台大統領秘書室長、外交部長官、法務部長官、安全行政部長官、法院行政処などを総動員できた『唯一の人物』は朴前大統領というのが検察の判断だ  」
文大統領は「もう少し待って」
韓国の文在寅大統領は10日、記者団との新年記者会見の席で、日本メディアによる「請求権協定問題」への対応について聞かれた際、以下のように答えた。
「韓国の大法院の判決に対し、日本も韓国も、世界のすべての文明先進国が同じ様に、三権分立により司法部の判決に政府が関与することができません。政府は司法部の判決を尊重しなければなりません」。
「新たな財団や基金の可能性などといった部分は、もう少し、この事件について、今まさに捜査が行われている状況であるため、そういった状況が整理されるのを待って、判断しなければならないと考えている」。
この発言について、政権に近い関係者は匿名を条件に筆者にこう説明する。
「政治による司法への介入という問題が、韓国では今現在、とても深刻な問題として受け止められている。さらに裁判が続いていることから文大統領としても『司法判決に対し、政治が議論しない』という立場を堅固に表明するしかない脈絡がある」。
確かに、韓国では大法院長(最高裁長官)を務めた人物が検察の取り調べを受けるのは前代未聞の出来事だ。
18年6月、全国の弁護士2015人は宣言文を通じ、梁氏を頂点とする司法ろう断の徹底解明を訴えた。関連する文書をすべて公開し、それに関わった者や、裁判取引などの詳細を調査した上で、責任者を処罰および弾劾することを要求するものだ。
しかし、これを行う場合、司法界に深刻な「内紛」や「分裂」が起きる恐れもある。こうした声を含め、今なお韓国の法曹界でも梁氏について賛否があるとされる。
こうした事情が文大統領による「もう少し待ってくれ」という判断につながっていると見て良い。
なお、嫌疑が膨大なため、梁氏の捜査結果が出るまでには時間がかかるとされる。しかし、最優先で最も介入の証拠が多い「元徴用工判決」を扱うと韓国メディアは報じている。
韓国の事情は分かるが、より一層の努力を
ここまでが判決内容とは別な、「元徴用工訴訟」をめぐる韓国側の「もう一つの本質」だ。
長く続いた独裁政権時代の名残として大統領が司法部に強い影響力を持つ韓国において、朴政権時代に行われたとされる「司法ろう断」を明らかにし、再発防止策を立てることは、大きな挑戦と呼んでも過言ではない。
そしてそれはようやく今、始まったばかりだ。言わば、朴前大統領は司法に介入し、文大統領はそれを慎重に正していると見て良いだろう。
前出の政府関係者は「結局は司法ろう断の問題が解決してこそ、日韓関係に対する文大統領の発言も今より自由になると解釈すべき」と説明する。
しかし今、こうした韓国の事情が日本政府や日本社会に十分に伝わっているとは思えない。
毎日新聞が10日付けの記事で伝えたところによると、李洛淵(イ・ナギョン)国務総理に一任されていた日本への対応が、「あまりに多くの利害が絡むので、首相室で調整できず、青瓦台で検討することになった」という。
だからこそ、韓国政府は外交ルートや議員間のネットワークを利用して、日本側に十分に現状を説明するべきだ。しかし、駐日韓国大使館をはじめ、そうした各方での努力が「不十分だ」という声が聞こえてくる。
文大統領が言うように、日本の「政治家や指導者が政治争点化」している部分はあるだろう。しかし、韓国政府として当然、行うべき努力も明確に存在すると筆者は考える。 
 
●韓国政府はなぜ「日韓関係」の深刻な状況を認識していないのか 1/3
韓国の政治には一定の「波」がある。周知のように韓国の大統領制は、その任期を5年1期に限っている。故に就任直後の「ハネムーン期間」には高い国民的人気を誇った大統領も、その任期の末期には例外なく支持率を低下させ、政治は大きく混乱することになる。
きっかけは金正恩の「新年の辞」
逆に言えばその傾向は、多くの場合、大統領が就任してからの韓国政治は他の時期に比べて相対的に安定していることを意味している。他の国と同様、韓国においても国民の関心は外交よりも内政に向けられており、故に多くの政権はこの時期、自らが直面する内政問題に注力する。
文在寅が大統領に当選したのは2017年5月。それから1年に当たる2018年は、本来なら上記のように韓国政治が安定し、それ故、その対外関係に大きな波乱が存在しない年になるはずだった。だが、韓国にとっての2018年は予想とは大きく異なる1年となった。
きっかけとなったのは、元旦に発表された「新年の辞」で北朝鮮の指導者である金正恩が韓国との対話の意を示したことだった。政権発足当初から「北朝鮮との対話」を外交政策の第一順位に挙げてきた文在寅政権にとって、この申し出は正に「渡りに船」であり、彼等がこれに積極的に応じたのは当然と言えた。文在寅政権の活発な努力は、やがて、4月の板門店での南北首脳会談、そして6月のシンガポールにおける米朝首脳会談という形で結実した。
2018年前半の韓国外交が「北朝鮮との対話」に彩られたものであったとすれば、後半に注目されたのは、日本との関係であった。
重要な転機となったのは、10月30日に韓国大法院(日本の最高裁判所に相当)が下した、朝鮮半島からの戦時労働者(いわゆる徴用工)に対する判決であった。報道されているように、この判決は日本の植民地支配が国際法的に違法であったとする理解を前提に、韓国人戦時労働者の日本企業に対する「慰謝料請求権」を認めたものである。これは日韓両国間の外交関係の基礎となる1965年の通称「請求権協定」を骨抜きにするものであり、今後の日韓関係に与える影響は甚大だと言えた。そしてその後の韓国では、この大法院判決を判例として、類似した判決が多く出されるに至っている。
まったく異なるように見える二つの出来事には、大きな共通点が存在した。それは「日本との関係に対する配慮」が垣間見えなかったことである。すなわち、2018年前半に動いた北朝鮮との交渉において韓国政府は、アメリカとの慎重な協議を繰り返す一方で、日本との綿密な意見交換は行われなかった。
2017年5月に就任した文在寅にとって初の訪日となった2018年5月の東京での日中韓首脳会談への出席は、4月の南北首脳会談と6月の米朝首脳会談の間、という絶好の時期に開催されたにもかかわらず、ソウルから東京への「日帰り訪問」として処理され、韓国政府はこの日程を選択した理由を「多忙な為」と説明した。そこには来るべき米朝首脳会談に対し、日本側に協力を依頼しようという真摯な姿勢が存在しないことは明らかであり、また韓国政府が進める北朝鮮に対する融和政策において、日本への具体的な役割や期待は存在しないことを意味していた。
「日本との関係に対する配慮」の欠如がより明確になったのは、10月30日の大法院判決以後の状況であった。大法院判決そのものは、今を遡ること6年以上も前の、2012年に出された大法院自身の判断に従ったものであり、その内容に文在寅政権が介入する余地が存在しなかったことは事実であった。
だが、重要なのはその後の韓国行政府、つまり文在寅政権自身の対応だった。すなわち、韓国政府は2018年6月、憲法裁判所に対して「慰安婦合意には法的効力がない」とする答弁書を提出し、この内容は韓国人戦時労働者に対する大法院判決からわずか6日後の11月5日、韓国メディアによって明らかにされた。続いて11月21日、韓国政府は同じ2015年に締結された慰安婦合意により設立された「和解・癒し財団」の解散を発表した。
韓国政府はこれと並行する形で、元東亜日報東京支局長の経歴を持つ知日派としても知られる李洛淵国務総理の下で、「韓国人戦時労働者問題解決の為のタスクフォースチーム」を結成し、解決策を模索している。この動きは先の慰安婦合意に関わる動きと明らかに矛盾している。すなわち、仮に巷間伝えられるように、このタスクフォースチームの下で、韓国政府が戦時労働者問題解決の為の、日本政府・企業との間の政治的妥協を模索しているのであれば、その前提には日本政府や企業をして韓国政府の妥協策が信用に値するものであると納得させる必要がある。しかしながら、先立つ同様の妥協策である慰安婦合意について、韓国側が一方的に法的効力を否定し、根幹的措置の一つとなる財団解散を一方的に発表する状況では、そのような信用が得られるはずがない。
そして、韓国政府による信頼感を損なう行為はこれだけではない。11月20日には韓国海洋警察庁(日本の海上保安庁に相当)所属の警備艇が、1998年に締結された日韓漁業協定により、日韓両国が操業可能であると定められている「暫定水域」において、日本漁船に対して「操業を止めて海域を移動せよ」と命じる事態が起こっている。
日韓両国の海上警察にとって、領土問題にもかかわる「暫定水域」の扱いが重要であることは基礎中の基礎であり、GPS等で自らの位置が簡単に確認できる現在ではおよそ考えにくい「ミス」であると言える。
続いて12月20日には、韓国海軍の駆逐艦が海上自衛隊の哨戒機に火器管制レーダーを照射する事態が起こっており、両国は現在までこの問題を通じて非難の応酬を行っている。
そして、この二つの日本海上で起こった事件には共通点がある。それは勃発直後から韓国政府側が日本政府側に対して事件を非公開にすることを求め、この要請が日本側に拒絶された結果、事件が明るみに出ている経緯である。
ここで重要なのは、韓国政府が現在の日本の状況を正確に認識していないように見えることだ。すなわち、先の大法院判決以降、日本国内では韓国を批判する世論が急激に高まり、日本政府も強硬な態度を見せるに至っている。このような状況の中、韓国政府が自らの責任で発生した問題に対して、日本側の協力を要請しても、その協力が容易に得られないことは火を見るより明らかである。
そもそも海洋警察庁の警備艇をめぐる問題にせよ、韓国海軍の駆逐艦のレーダー照射にせよ、韓国政府が今日の日韓関係の悪化を深刻に受け止めていれば、防げたはずの問題である。にもかかわらず、一方的に日本に共助を求める韓国政府の姿勢はいささか虫が良すぎる、という他はない。
それでは結局、韓国では何が起こっているのだろうか。答えは韓国政府内においては誰もこの「厄介な日韓関係」に関わる諸問題を真剣に統制しようとしていない状況である。「上からの統制」の不在は現場の緊張感の不足をもたらし、問題に直面した担当者はその場凌ぎの問題のもみ消しにのみ尽力する。大統領をはじめとする政権要人は対日関係に対する積極的な発言を避け、その責が自らに及ばないように口を噤む。結果、問題の責任は誰も問われることはなく、現場では緊張感のない状況が継続する。緊張感の不足は新たな問題を生み、日本側は韓国側への不信を更に強めることとなる。
こうして日本側が声を荒げる中、韓国側が耳を塞ぎ続ける状況が継続する。日韓関係は2019年も漂流を続けることになりそうである。 
 
●慰安婦より根深い「徴用工問題」を蒸し返した韓国の裏事情
「韓国で新たな大統領になった文在寅(ムン・ジェイン)は左派の政治家だ。韓国の左派は中国にも近い反日勢力であり、反日政策を意図的に進めている。増え続ける慰安婦像や新たな徴用工像の設置はその表れであり、文在寅政権は各種社会勢力と結託して日本へ挑戦状をたたきつけようとしているのだ」
今日の韓国の状況を説明するのによく使われる「通俗的な」説明だ。そこでは、韓国の政治社会状況を左派と右派、韓国で使われる言葉を使えば「進歩」と「保守」に両分し、左派を「反日反米親北親中」勢力、逆に右派を相対的に「親日親米反北反中」勢力と断定した上で、「わかりやすく」韓国の状況が説明される。
このような論者は、歴史認識問題もまたその中に位置づける。つまり、歴史認識問題が激化するのは、中国や北朝鮮と結びついた左派の、組織的な策動の産物だと言うのである。
とはいえ、少し考えればわかるように、このような説明は明らかな破綻を抱えている。そもそも韓国の右派が単純に「親日親米反北反中」だといえないことを、われわれは朴槿惠(パク・クネ)政権から学んだはずである。当初、慰安婦問題で日本に強硬な姿勢を突きつけ首脳会談さえ長らく拒否した朴槿惠政権は、積極的に中国への接近も行った。結果、これを不快とする米国の反発に直面し、日韓慰安婦合意と高高度防衛ミサイル(THAAD)配備を押し付けられた。THAAD配備に向けた約束は中国の反発を呼び、中韓関係も悪化した。
また、韓国の状況は、政権と各種市民団体が連携して「反日」政策を遂行する、というほど単純なものでもない。朴槿惠政権の反日政策が、例えば慰安婦像設置などを進める左派の市民団体「韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)」との密接な協力のもと行われたか、といえばそんな事実は存在しない。歴史認識問題に関心を持つ左派の諸団体は、2015年末の慰安婦合意に反対していたように、徹頭徹尾、朴槿惠政権への対決姿勢を貫いたからだ。挺対協は、同じ右派政権であった李明博(イ・ミョンバク)政権下で、日本にある朝鮮学校との関係を疑われ、幹部のメールに対する警察の捜査まで受けている。
右派の朴槿惠から代わって成立した文在寅政権下においても、状況が複雑にねじれているのは同様だ。とりわけ複雑なのが現在再び議論の的となっている徴用工をめぐる動きである。例えば慰安婦問題について言えば、左派の文在寅政権は同じく左派色の強い挺対協の理事の1人を大統領官邸に迎えるなど、良好な関係を築いているように見える。しかし、徴用工問題については同じことが言えない。なぜなら、そこには慰安婦問題よりもはるかに複雑で錯綜(さくそう)した状況が存在するからだ。
第一に重要なことは、この徴用工問題には左派、右派が入り乱れて参与する状況が存在することである。例えば先日、ソウル市内に徴用工像を設置した主体は、全国民主労働組合総連盟(民主労総)である。韓国のナショナルセンターに当たる労働組合組織は、この民主労総と韓国労働組合総連盟(韓国労総)の2つが存在する。民主労総はより闘争的な組織として知られているから、これについては左派的な組織の動きだと言って間違いではない。
しかしながら、この民主労総が文在寅政権が密接といえる関係を有しているかといえばそれは微妙である。例えば、北朝鮮による立て続けの核とミサイル実験を理由に、文在寅政権はTHAAD配備をなし崩しに進めている。しかし、この問題について民主労総は強い反発を見せている。そもそも韓国では、労働組合の主要政党への影響力は限定的であり、その関係も必ずしも円滑なものとは言えない。労組は彼らにとって重要だが、一つの基盤にしか過ぎないのである。徴用工像設立をめぐる動きの中で、むしろ歴史認識問題を利用して自らの存在を誇示しようという民主労組の思惑を読み取るべきであろう。
第二に重要なのは、徴用工問題では、「当事者」の力が大きいことである。この問題は第2次世界大戦時に労働者として動員された人々とその遺族が、失われた経済的補償を求めていることがその基盤となっており、当然、韓国各地で進められている裁判や徴用工像設置にはこれらの人々が深く関与している。とりわけ裁判は当事者なしには不可能であり、当然彼らの存在は重要になってくる。
ただそれだけなら徴用工問題と慰安婦問題は同じように見える。なぜなら、慰安婦問題においても元慰安婦であった当事者が存在するからである。しかしながら、慰安婦問題と徴用工問題の間にはいくつかの大きな違いが存在する。
最も大きな違いは、慰安婦問題の運動の主導権を、挺対協をはじめとする「運動団体」が掌握していることである。誤解されがちであるが、挺対協は元慰安婦ら自身により構成される団体ではなく、あくまでその活動などを支援する「支援団体」にすぎない。言い換えるなら、元慰安婦らではなく、その支援を行う「運動団体」が主導権を握っており、この「運動団体」があたかも元慰安婦らの意見をそのまま代表するかのような状況が生まれている。
実際には、元慰安婦やその遺族の中にも多様な意見が存在し、その中には「運動団体」と距離を置いている人も多く存在する。にもかかわらず、これらの人々の意見が採り上げられないのは、元慰安婦やその遺族らが政治的に組織化されていないからである。
これに対して、徴用工問題における当事者たちの力は大きい。最大の理由は彼らの長い運動の経験と、一定の組織を有することである。日本ではあまり知られていないが、韓国では1970年代以降、一貫して元日本軍軍人・軍属や労務者など、第2次世界大戦時に動員された人々やその遺族による補償を求める運動が存在し、彼らは今日も自身の組織を有している。すでに生存者数が30人余りとなった元慰安婦らと異なり、軍人・軍属や労務者はそもそもの被動員数が多く、当事者の数も比較にならないほど多い。
徴用工問題において当事者たちが力を有しているもう一つの理由は、その運動や組織が、動員された当事者たちよりもその遺族、とりわけ子女によって担われていることである。第2次世界大戦終焉(しゅうえん)から70年以上を経た今日、元慰安婦や徴用工などの平均年齢は90歳を超えようとしており、当然彼ら自身による活発で組織的な活動は不可能である。これに対してそれよりも一世代若い彼らの遺族たちは未だ70代前後であり、活発な運動を展開し続けている。
元慰安婦は、その特性上、子女を持たない人が多く、また子女が存在する場合においてさえ、依然として慰安婦に対する社会的偏見が存在する現状では、慰安婦の遺族が自ら積極的にカミングアウトして活動するハードルも高い。
これに対して、元軍人・軍属や徴用工らの遺族にはカミングアウトをはばからねばならない理由は存在せず、彼らは長年活発な活動を続けてきた。当然のことながら、イデオロギー的に編成されがちな運動団体とは異なり、遺族たちが作る団体にはさまざまな人々が含まれる。ゆえにそのイデオロギー的色彩は曖昧になる。
そしてもう一つ重要なことは、このような徴用工問題に関わる当事者たちは、これまで韓国政府や左派系の運動団体により主導されてきた慰安婦問題と距離を置いてきた人が多いことである。その論理は簡単だ。同じ第2次世界大戦時において、日本による戦争遂行のために動員された人々でありながら、慰安婦には大きな注目が集まり、手厚い保護がなされている。これに対して、元軍人・軍属や徴用工に対する政府の姿勢はそうではない。
1965年に右派の朴正熙(パク・チョンヒ)政権下で結ばれた日韓基本条約とその付属協定により韓国政府が得た資金は、元軍人・軍属や徴用工などの個人的な請求権を一つの根拠として積み上げられたものであった。にもかかわらず、韓国政府からなされた彼らへの補償は極めて限られたものだった。
それは左派の政権も同じだった。歴史認識問題を重視した盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権は「対日抗争期強制動員被害調査および国外強制動員犠牲者等支援委員会(支援委員会)」を通じて補償を行ったが、その審査は時に冷徹なものだった。右派勢力との対決状況の下、盧武鉉政権は歴史認識問題において日本への対決姿勢を強めると同時に、国内における親日派問題にも取り組んだからである。
カギとなるのは、徴用工やその遺族らの運動が、「遺族会」というくくりの下、元軍人・軍属の遺族とともに行われてきたことだった。軍人・軍属の一部は、将校や志願兵を中心として、自ら進んで日本統治に協力した者として親日派に分類されがちであり、彼らは時に補償を受ける権利をも否定された。「補償を受けられると聞いて申請した結果、返ってきたのは『お前の父親は親日派だ』という認定だった」。このように憤る遺族たちは1人や2人ではない。
「結局、今回もわれわれは切り捨てられるのだ」「どうして慰安婦とその運動を支える団体ばかりが優遇されるのだ」。遺族会ではそのような根強い不満がうごめいている。彼らにとって、韓国の右派は朴正熙政権の下、日韓基本条約とその付属協定により得た資金をかすめ取った人々であり、また左派は彼らを「親日派」の疑いを持って見続ける人々である。
「信用できないのは日本政府も韓国政府も同じだ」。徴用工問題を巡る複雑な状況には、元軍人・軍属や徴用工などによって構成された「遺族会」の長い苦悩の歴史がある。
そしてこのような中、8月17日の記者会見で、徴用工問題について「私的請求権は残っている」としてこれを取り上げる姿勢を見せた文在寅は、わずか約1週間後の25日、安倍総理との電話首脳会談にて、今度は一転して徴用工問題は日韓基本条約にて解決済みという判断を確認した。揺れ動く韓国政府の背後に見え隠れするのは、この問題をめぐる一貫しない姿勢であり、遺族たちはそこに韓国政府の不誠実な姿勢を読み取ることになる。
そもそも彼らが韓国政府を本当に信頼し、協調関係が確立しているなら、彼らは黙ってこれを見守ればいいだけのはずである。にもかかわらず、彼らが自ら立ち上がり、時にイデオロギー的に距離がある左派労働組合とさえ手を組もうとするのは、彼らがこの問題に「韓国国内で」十分な関心が集まっていないと考えているからである。
日本大使館前に慰安婦像を立てる動きが本格化したのは、挺対協が右派李明博政権と対立を深めるさなかのことであり、そこには日本政府と並んで李明博政府への非難の意が込められていた。
そして今、各地に徴用工像が立とうとしている。そこには労働組合や遺族らの複雑な思惑が存在し、その中で左派の文在寅政権は明確な姿勢を決められずにいる。韓国では高齢者に保守層が多いため、高齢者が多数を占める遺族らの中にも、左派政権に強い拒否感を持つ人々も数多く存在する。
こうしてみるなら、徴用工像が日本の過去清算に対する異議表明であると同時に、元軍人・軍属や徴用工など、「慰安婦以外の問題」に真摯(しんし)に取り組まない韓国政府や運動団体への不満表明であることがわかる。韓国政府は、各種運動団体などを統制して日本へ挑戦状をたたきつけるという状態にはなく、むしろこの反発を抑え込み、落としどころをどこに見出すかに苦労している。
問題は彼らが政府を中心にまとまっていることではなく、むしろ、韓国政府がこの問題における当事者能力を喪失していることにある。左右のさまざまな団体の活動や、裁判所の判決に一喜一憂せざるをえない「弱い韓国政府」の存在こそが問題の核心なのかもしれない。  
 
●日韓関係がここまで急悪化している根本理由
北東アジアにおいてアジアの安全保障上重要な2つの同盟国である日本と韓国の関係が、またもや敵対意識に煽られた機能不全に陥っている。悲しいことに、この状況は今に始まったことではない。隣り合う両国は過去にもこうした局面に差し掛かったことがあり、差し迫った問題はいままでと同様に、戦争や植民地支配、競争意識の歴史に根差している。
しかし、今回の件を単純にいつもと同じ問題だと見るのは間違いだ。実際、日本と韓国のみならずアメリカ政府内部でも、これは北東アジア地域の安全保障に影響をおよぼしうる深刻な危機であるという意識が強くなっている。
韓国政府の感情は日「非常に不安定」
「韓国政府と日本政府の間に衝突への道を回避しようとの出口作戦がない状況を、非常に憂慮している」と両国の関係に深く携わってきた元韓国政府高官は語る。日本の植民地支配に対する朝鮮独立運動(三・一運動)勃発100周年を祝う年だけに、韓国政府の感情は「非常に不安定」だと同高官は言う。
同高官によると、日韓関係の危機は「アメリカを含む3国間の安全保障協定を蝕むことになりかねない」。一部のほかの韓国人たちと同様、同高官は明らかにアメリカがこの件に関心を示し、行動しないことについて非難する。これまでのアメリカであれは、日韓政府が互いに話し合う能力を欠く今回のような危機に際して介入してきた。
「残念ながらアメリカ国務省は混乱状態にあり、両国間を取り持つ役割を果たすことができない。膠着状態を崩すには高いレベルの対話ルートをお膳立てがすることが必要だが、現在は両国ともそれをする意欲を欠いているようだ」(同高官)
緊張の直接の引き金となったのは、韓国の最高裁が、植民地時代や戦時中に日本企業に徴用工として従事した韓国人たちに対する補償を認めた昨年11月の判決だ。工員たちに賠償を支払うために日本企業の資産差し押さえを認めたこの判決は、外交上の重大な危機を招くだけでなく、日本企業の韓国への投資や取引見直しにつながるおそれがある。
「これは経済協力に非常に深刻な影響を及ぼし、日本経済よりも韓国経済を大きく弱体化させるだろう」と前述の元韓国政府高官は話す。
徴用工の争議は、先月韓国側の文在寅大統領が、戦時中に旧日本軍売春宿で、強制的に働かされた慰安婦と呼ばれる韓国女性たちに補償と謝罪をするという脆弱ながら重要な2015年協定を破棄する決断を下したことで、さらに勢いを増すこととなった。
こうした歴史をめぐる対立が前哨戦となり、韓国海軍艦艇が日本海をパトロール中の日本の海上自衛隊航空機に射撃統制用レーダーを向けた12月20日に、両政府間の深刻な対立が始まった。韓国の軍と政府はこの事実を認めることを拒否しているどころか、開き直って日本の航空機が挑発するように非常に低空を飛行したと非難している。
レーザー照射問題が安全保障問題につながる懸念
アメリカ軍や政府高官たちは一様に、事件について日本の説明をおおむね正しいものとして受け入れている、と話す。韓国の艦艇が理由は定かではないものの、実際に統制レーダーを向けたと考えている。
韓国と日本に駐屯するアメリカ軍事司令部は、今回の争議がこの地域のより大局的な安全保障協調に与える影響を懸念している。この地域では、日本と韓国両方で軍事活動をスムーズに統合できることが安全保障上重要だからだ。とはいえ、一方だけ味方していると非難されるのをおそれて対立に介入する気にはなれないでいる。
一方、日本政府高官たちは日増しに、 韓国政府の革新政権は北東アジアのパワーバランスを変化させようと決心したのだとの思いを強めている。日本の高官たちは文政権が、北朝鮮と取引することに決めたのだとおそれており、そうなれば中国を力づけ、アメリカの安全保障体制を弱体化させることになる。
ある外務省高官は非公式な会談で、文政権は北との統一という自らの夢を追っており、それが実現すれば中国の支配下における統一朝鮮が日本に対抗してくるだろうとの見方を示した。こうした悲観的な展望は、日本では今に始まったことではないが、それらが信ぴょう性を帯びてきている。
文大統領や、今回の件に関する文大統領の責任については、懸念を共有する者たちがアメリカの関係筋の中にはいる。「韓国政府は日本政府の懸念を真剣に受け取っていないのではないかと感じる」と両国と長く関わってきたある元アメリカ国務省高官は話す。
「韓国政府は、日本を朝鮮半島で重要な役割を果たす国とは見ておらず、衝突のおそれを回避するために自分たちの政策を調整する必要はないと考えている。しかしそれは大きな誤りだ」(前述の元国務省高官)
アメリカ人にとって歴史問題は二の次であり、日本、韓国、アメリカの3国間安全保障協定が脆弱化することによる関係性悪化の影響のほうが重大だ。韓国の防衛は、朝鮮半島にいるアメリカ軍と日本に拠点を置くアメリカ軍の統合にかかっており、実際には韓国が攻撃されたときには対処する日本の軍事力の協力にもかかっている。
日本側はかなり「慎重に対応している」
今回のレーダー照射をめぐる対立の深刻さについては、アメリカの軍当局者や専門家たちもその意味を分かっている。たとえば、元アメリカ空軍中佐、マイケル・ボサック氏はアフガニスタンへ2回遠征したことがあり、最近は在日米軍司令部に政府関係次官として勤務。3国間の安全保障協定を策定するという、始まったばかりながら重要な仕事にもついた経験を持つ。
そのボサック氏も、日本のP-1 哨戒機の一件を巡って日韓の間に深まる隔たりを憂慮する。日本側は問題の処理を両国の防衛省間ルート内に留めようとするなど、かなり「慎重に対応して」おり、安倍晋三首相のような上層部のコメントは主に記者からの質問に答えたものにとどまっている、とボサック氏は言う。しかし今や「両サイドがその態度を強めて」おり、解決を見出すのは「不可能になってきている」(ボサック氏)。
「私は日本側が動画を見せることで決着をつけて次に進んでいくことを期待していたが、レーダーのデータを示すことによって、より厳しい態度をとることになった」とボサック氏は言う。
「韓国側はそれを望んでいないようだが、それも当然だろう。軍事行動レベルでは、自衛隊は、同盟国軍が射撃統制用レーダーで自分たちを照射してきたのにそれを認めないのだから、まさに憤慨しているのはわかる。彼らにとって、行為そのものよりもその後の対応が我慢ならないのだ」
「問題は、その政治的対応が軍事行動レベルでのいかなる解決をも阻んでいること。つまり、韓国海軍がこのようなことを2度と起こさないための措置を施したのかどうか、日本の自衛隊にとってはいまだに不明だということだ」
別々の問題である一方で、徴用工や慰安婦問題をめぐる日本の怒りやいらだちが、安全保障面での日本の反応に影響を及ぼしていることにはほぼ疑いがない。「さまざまな状況で何らかの改善がみられない場合でも、日本が韓国に対して辛辣に対応するとは思わない」とボサック氏は言う。
「一方で、日本が文政権に対してこれ以上働きかける努力を一切やめることを選択すると見ています。今回のP-1機事件は譲れない一線のようなものになっており、それが、日本側が厳しい態度を取り続ける理由なのだ」
アメリカが介入する可能性はあるのか
韓国人の中にはこれらの件の対処について、特に韓国の安全保障に及ぼすその影響について文政権を批判し、アメリカに2国間を取り持つよう介入を求める声もある。
「日韓関係の悪化で日韓米3国協定が弱体化する懸念がある」とする記事を、保守系日刊紙『朝鮮日報』が先ごろ掲載した。「米朝非核化会議が失速したままの状況で、悪化する日韓関係が、朝鮮半島有事の際に素早く実行に移す必要のある『ミサイル防衛協定』といった日韓米の対応姿勢に問題を引き起こす可能性があると観測筋は指摘している」。
朝鮮日報はアメリカが慰安婦協定の仲介で果たした役割を指摘し、「日韓慰安婦協定は、実際には日韓米協定であり、トランプ政権と議会が安倍首相に署名するよう圧力をかけて作り上げたのだ」と、元国立外交院長の尹コ敏氏は紙面で述べた。「同盟国を重要視したオバマ政権は日韓関係を、アメリカにとっての戦略的要素と考えていたが、トランプ政権は、日韓関係と日米関係とを分けて見ている」。
過去のアメリカ政府も、北東アジアの2つの重要な同盟国間の論争に介入するのに、つねに消極的ではあったが、しかし同盟体制を維持するには、時としてその種のリーダーシップを必要とするのだということも理解していた。
しかし、今回筆者が足元の危機に対してアメリカの高官たちにその対応を尋ねたところ、その答えを得ることはできなかった。現在の危機に際して明らかに行動を起こそうとしないトランプ政権の態度は、世界におけるアメリカのリーダーシップを放棄した結果を改めて示している。 
 
●問題は日韓関係ではない 韓国自身である
朝鮮半島について。韓国の反日が留まるところを知らない状況になっている。と、少なくとも日本人はそう受け止めている。日本人は寛容というかお人好しな民族だが、韓国についての怒りを通りこした冷めきった見方は既に定着してしまったと言える。
一般の韓国人は反日でもなんでもないのに、本当に残念なことだ。上にいけばいくほどダメになるのが韓国の特徴だ。独りよがりな「正義」とやらで常に庶民を犠牲にしてきた。が、今、私が言いたいのは、問題は、日韓関係ではなく、韓国自身だということである。
1.最近のこと
慰安婦財団解散、旭日旗、竹島上陸、また別格に深刻な「徴用工」(旧朝鮮半島出身労働者)判決と既にボトムかと思っていたところに、レーダー照射事件。さらには、ついに旧朝鮮半島出身労働者判決の差し押さえ決定。日本政府は請求権協定に基づく協議を要請したのに対し、韓国は、「日本が強硬な態度を取るせいで日韓関係が危機になっている」と逆切れ・責任転嫁。盗人猛々しいとはこのことだろう。この調子ではまだまだ底なし沼に日韓関係は悪化しうる。
このレーダー照射事件、攻撃準備行為とされる行為なので深刻な問題であることは間違いないが、それでも、本来なら、日韓軍当局同士で基本的に解決できる、つまり、事実関係を淡々と確認して謝罪すべきを謝罪すれば済む話ではないかと思う。しかし、既に日韓関係が不信の渦の中にあるのでそうはいかない。
既にレーダー照射事件については、韓国から99%日本の映像を用いて(韓国独自の映像はほんの10秒)、お得意のBGM加工までした映像が出てきたが、ツッコミどころ満載である。が、この点については、既に多くの方が指摘されているのでわざわざここで繰り返すのはやめておく。
ただ、今回改めて、韓国にとっては「真実は大して重要ではない」ということだけははっきりした。韓国の映像は低空飛行に論点をすり替えるもので、攻撃的なレーダー照射を韓国が行っていないことを何ら証明していない。
韓国軍のはねっかえりが反日に燃えてついやってしまった、のか、北朝鮮船を「救助」している行為自体を隠したかったのか、北朝鮮船の活動は本当にただの漁船なのかそれとも瀬取りなのか、または実は北の工作船なのか、といったことにより、事態の深刻度は全く異なる。
が、いずれにせよ、攻撃準備に該当するレーダー照射など、どんな出来心があっても、中国やロシアましてや米国には絶対にやらないわけだから、日本なら何をしても許されるという甘えと驕り以外の何者でもないことだけは指摘しておきたい。さらにいえば、これをうやむやにしても日本なら許してくれると舐めているのだろう。または、明かされても困る事実(安保理制裁違反など)でもあるのか。
新日鉄も資産差し押さえ決定前に株売却しておけば良かっただろうに、と思う(保全措置かなにかあってできなかったのかもしれないが。)。今後、同様の差し押さえ判決が相次ぐことは明白なので、まだ、訴えられていない日本企業も、その懸念があるなら、早急に韓国から資産を引き上げるべきである。実害を未然に防ぐという意味でも、韓国に対する事実上の制裁という意味でも意味があると思う。
2.破綻寸前なのは、日韓関係、というより韓国自身
しかし、私が今一番言いたいのは、文在寅政権では無理、という一言である。というか、文政権自体かなり限界に近付いているように思う。任期を全うできるのだろうか。文政権の間は何をやっても無駄であり、早く退場してもらうに越したことはないが、日韓関係を何とかするのは次の政権(左派が継続するにしても)でしか無理であろう。日韓関係もボトムだが、むしろ問題なのは韓国自身である。韓国自体が危機に陥っている。
そもそも、文政権はどれぐらい持つのだろうか。経済運営に失敗しており、経済状況は極めて悪い。外交的にも孤立している。南北ファーストをやりすぎたせいで米韓関係は冷え切っている。マティス長官の退任もあり、在韓米軍の撤退の可能性はずっと高くなっている。日韓関係はボトムである。THHADをめぐる三不政策以来改善したとはいえ中国との関係も大してよくない。頼みのというか、恋人になりたい北朝鮮からは、価値を値踏みされている。
正直、米韓同盟が揺らいでいる中で、韓国が米国に対して有する影響力は減じており、北朝鮮からすればATMとしてはともかく、対米宣伝工作部としての韓国の価値は相当下がっており、対北政策もおそらく上手くいかないだろう。米国は韓国から頼まれたからといって「はいそうですか。韓国がそういうなら」と動くような状況にない。
知日派などは、殆どパージされるかその恐怖におびえている状況で、まともな国家運営をしていると思えない。よく韓国の宮廷ドラマがあるが、本当に、別に現代も全く変わらないじゃないかと思う。王様派と王様を追い落とすことを狙っている一派とが熾烈な権謀術策を繰り広げ、騙し騙され一族郎党皆殺しみたいなやつである。
そして、何よりも、韓国人自身が韓国をあきらめている。移住を希望する韓国人の数はどんどん増加しているそうで、それは、愛国的な威勢の用意言動とは裏腹に、韓国という国の将来に希望が持てず、韓国に対してコミットメントを感じていないことを意味する。
文政権は、南北ファーストの政権だ。韓国ファーストですらない。というか、政権的には、強いていえば、南北連結ができることが韓国100年後の繁栄の道ということで韓国の国益と思ってやっているものと思う。つまり、短期的には韓国の国益が害されても良いと思っているとしか思えない。
実は、韓国のかなり右の保守派の国会議員と数か月前に会った際に、彼らは、ムンジェイン大統領は意図的に韓国を弱体化して北朝鮮に差し出そうとしているという趣旨のことを述べていたのだが、私はそれはさすがにそんなことはあるまいと思っていた。しかし、最近はよくわからなくなってきた。なぜなら、結果として、韓国経済の弱体化、米韓関係の弱体化、日韓関係破綻寸前と、正直、喜ぶのは北朝鮮と中国という状況(中国すら喜ばないかもしれないが)になってきているからである。
文政権は、北朝鮮のことしか考えていない割には対北政策でも戦略的ミスを犯しているとしか思えない。北との融和を進めるためには、米国の理解が不可欠であり、良好な米韓関係が必要だ。同じく中国とも。そして、ATM役をやってもらいたい日本とも。こうした鍵となる大国が「韓国のいうことなら聞いてやろう」というムードであることが、韓国の対北外交のレバレッジなのだ。それなのに、文政権は、これら全ての国との間での外交に失敗している。つまり、結果として、対北レバレッジを減じている。
そして、文政権のもう一つの野望は歴史の書き換えである。何が何でも韓国を「戦勝国」にしたいのだ。日本帝国の一部として米国や中国と戦ったのが事実である。残念ながら、内ゲバ続きで弱小の上海臨時政府など全く国際的に相手にされなかったのが事実であるが(だからサンフランシスコ平和条約当事国にはなれなかった)、それは受け入れたくないのだ。
韓国が日本と一度でもきちんと戦ったことがあったなら日韓関係はここまでこじれていない。レーダー照射した韓国軍人も日本に疑似的にでも「戦って」みたかったのだろうか。ブログにも書いたしテレビ番組でも何度も言ってきたが、韓国の反日は日本と戦ったことがない、同じ土俵にたったことさえない、ということからくる。だから、今無理やり「戦って」いるわけだ。
勝とうが負けようが、同じ土俵に立って戦ったなら、勝敗結果如何に関わらず和解は可能である。日米然り、米ベトナム然り、独仏しかり。しかし、日韓はそうではない。だから、韓国自身が、自分のトラウマを克服しない限り、反日は続くどこまでも。
日本外交にとって朝鮮半島が重要であることに変わりはない。福岡と釜山はフェリーでたったの3時間の距離であり、かくも近接した場所に敵対的な国がいては面倒に決まっている。狭い海を隔てて国境を接する韓国には、友好国でなくとも少なくとも敵国にはなってもらいたくない。しかし、その重要性は、海路でしか他国と行き来できなかった8世紀と比べれば格段に落ちている。韓国が敵国にならないことを確保するための一番の上策は、米韓同盟がきちんと機能しているということである。
しかし、そもそも朝鮮半島が一体米国にとってなんの価値があるのだろうか、という極めて正当な疑問を抱くトランプ大統領自身は、在韓米軍など縮小撤退しても構わないと思っている。残念ながら、マティス長官の退任もあり、在韓米軍縮小撤退の危機は益々現実味を帯びている。残念ながら、日本は、その可能性も念頭に対馬を含め対朝鮮半島防衛を考えざるを得なくなるだろう。北極海がとければ、いずれにせよ、日本海はシーレーンとなるのであり、対馬はそのど真ん中に位置することになる。対馬防衛の重要性が益々上がる。
そのような観点からすれば、私は北朝鮮について、日本が独自に協議を行うことは十分ありだと思っている。北朝鮮の核放棄は益々遠のいているが、プランBは北朝鮮が親中であると同時に親米になることである。日本も韓国に気を遣う必要はもはやなくなっているのだから、直接北朝鮮との交渉を進めるべきだ。日本は、北朝鮮と友好関係を構築することを目指すべきだ。無論そのためには、大前提として、拉致問題の解決、核問題の一定の解決を含め米朝関係の改善が必要である。
韓国と異なり、金日成は日本軍と戦ったことがある。したがって、北朝鮮は反日であろうが、韓国に比べればねじれたトラウマは日本に対して持っていないので、将来についての関係改善は条件が整えばより心理的には容易ではないかと思う。
いずれにせよ、になるが、日本外交全体を見渡し時に、日本にとって、最大の課題は、同盟国米国のパワーが相対的に落ちる中で、中国という巨大で強大な隣国からの脅威をやり過ごし、国家の安寧と繁栄を維持するかということであり、朝鮮半島は重要ではあるが一部に過ぎない。しかも、朝鮮半島国家は、自立的に物事を決めることが難しい地政学上の状況(国のサイズと地理)にあり、朝鮮半島にリソースをつぎ込んでもリターンは極めて心もとない。
朝鮮半島は、常に中国やロシア、日本という大国に挟まれ、事大主義的にその立場を変えてきた場所であり、朝鮮半島に何か大きな期待をすること自体が間違っている。大国のパワーの増減に合わせて立場がころころ変わるのは朝鮮半島国家の宿命なのだ。むしろ、押さえるべきは、米中ロという地域大国との関係である。
そのために必要なのは日米同盟を基軸としたインド太平洋戦略であり、中国、ロシアとの関係改善である。したがって、日本は、限られた外交リソースを「文在寅の韓国」に余りつぎ込むべきではない。どこにどう転んでもプラスにならない。誤解されては困るが、韓国に迎合せよということではない。むしろ、ICJへの提訴だろうとレーダー照射事件の反論であろうと「徴用工」問題における対抗措置であろうと躊躇なく実施すべきだ。
ただし、それらは、韓国(ムンジェイン政権)が「異常だ」ということが示せればよいのであって、多大な外交リソースをつぎ込まないように留意すべきだ。どうせ長続きしない政権なのだから。
むしろ、日本がやるべきことは、日米関係を主軸にインド太平洋戦略を充実させ、価値と戦略的利益を共有する多くの国との連携を強化することであり、対中関係、対ロ関係を改善することである。外交リソースとは、限られた数の外交官・外務官僚の24時間の時間の使い方(使わせ方)であり、外交予算であり、日本の持つ国際的信用力である。日本外交の中で韓国の占める割合が相対的に小さい状態の方が日本の国益だと思う。日本が軍事的に外交的に経済的に強くなることである。TPPや日EU・EPAはその意味で大変素晴らしい。インド太平洋戦略を米国の方針とさせたことも秀逸だ。
あとは、日本が強くなることである。強くなる方向にあるという見通しを示すことが全てだ。つまり、防衛力を格段に高め、若者がイノベーションを起こせる環境を整え、少子化を克服して、日本が将来とも繁栄するのであろうという将来見通しを世界に示すことである。 朝鮮半島国家は、常に強い国の言うことしか聞かない。
本年は、1919年3月1日という韓国が「建国日」(本来の建国日は、1948年)と変更したいと考えている反日デモ行進、3.1運動から100周年記念の年であり、反日をアジェンダに南北朝鮮が融和を図ることも想定される難しい年である。文在寅大統領の間は、日韓関係は悪くなることはあれど良くなることは期待できない。
私は、韓国については、文在寅政権の間は、冷めた透徹した外交を期待したい。最後に、これも冒頭の繰り返しになるが、一般の韓国人が反日というわけでもない。多くの良識ある韓国人は北朝鮮にかしずくかのような文政権を憂えている。次の政権までおそらく日韓関係は悪化の一途を辿るだろうが(致し方ない。毅然とした態度は維持すべき)、文政権は諦めても、韓国自体を将来に渡って諦める必要はない。
朝鮮半島については、期待せず、多大なリソースをつぎ込まず、大国関係を固め、地球儀を俯瞰する日本外交全体の中でできるだけマージナライズ(辺境化、最小化)し、政府間関係ではなく一般の韓国人を主人公とした関係に注力するのが上策だ。 
 
 
 
 
 
 
 
  
 
 
  
 
 
  


2019/1
 
 
 
●日韓問題
日本と韓国との間で起きている問題のことである。歴史的・政治的背景から解決が困難なものが多い。なお、韓国側は「韓日問題」と表現している。 かつて日本が朝鮮半島を併合・統治していた時期(1910年 - 1945年)があり、韓国側はこの韓国併合を違法・無効として、賠償金や謝罪などで未解決の問題と認識しているため、日本と韓国の間では国際交流上の争点が多発している。問題は、漫画やアニメ、音楽等、両国文化の流通、開放問題などから、高度な政治・軍事的問題にまで多岐にわたる。これらの問題は相手国・国民に対する嫌悪・憎悪の感情(嫌韓・反日感情)をかきたて、感情的な対立となることもある。  
韓国政府の対日政策
韓国政府が、自国文化の保護のため、また大日本帝国の朝鮮併合影響で国民感情を害するとして、日本の漫画や映画、音楽など大衆文化を規制している問題である。規制法的根拠は、朝鮮併合が植民地支配を想起させることが「公序良俗に反する」という排他的なものとなっている。
20世紀末からいくつかの段階に分けて日本文化規制を開放する計画が立てられたものの、まだ全面開放に至っていない。
2005年初めからアニメなどごく一部を除き、日本大衆文化は徐々に開放されている。2010年9月10日にSKE48が「2010ソウルドラマアワード」授賞式で「強き者よ」「青空片想い」を日本語で歌う姿が韓国の地上波テレビで生中継された。韓国は、2004年1月の日本大衆文化第4次開放で日本語の歌の放送を許したが、放送局側で録画だけに制限していた。生中継されたのは、これが初めてである。事前に放送通信審議委員会を通した上で、放送が決定された。
2004年に「日帝強占下反民族行為真相糾明に関する特別法」が制定された。この法律は韓国内における歴史的な対日協力派を究明するためのものである。事後法ではないかという指摘がある。
領土問題
日本と韓国が互いに領有権を主張している竹島(韓国側名称:獨島、または独島)の領土問題。1905年の島根県への編入以降は日本が領有していたが、第二次世界大戦終戦後の1952年1月18日、韓国の李承晩大統領の海洋主権宣言の翌年1953年に韓国の武装市民が武力制圧し、1956年には韓国政府に引き渡した。以後、韓国武装警察が駐留している。日本政府はこれを不法占拠として非難している。日本政府は1954年、国際司法裁判所に裁定を求めたが韓国政府はこれに応じず、警備隊を常駐させたり、500t級船舶が利用できる接岸施設を作るなどしている。
韓国では竹島(韓国側名称:獨島、または独島)は独立の象徴であり、学校でも小学校から必ず習うためこの問題を知らないものはいないものの、日本では殆ど大きく取り上げられることはなかった。しかし2000年代に入って日本でもこの問題が取りざたされるようになった。2004年1月に獨島切手を日本の抗議を無視して発売、2005年3月には島根県議会が竹島の日条例を成立させた。同年6月9日には慶尚北道議会が毎年10月を独島の月とし、日本との交流を制限する条例を制定。2008年には、日本が中学校社会科の学習指導要領解説に「我が国と韓国の間に竹島をめぐって主張に相違があることなどにも触れ」と、初めて竹島に関する文言を導入。直接的な領土主張は韓国に配慮して避けたものの、韓国側は主観的にこれに反発。駐日大使を一時帰国させたり、韓国内でデモが起こったりと、非常に敏感かつ独断的、熱狂的である。
象徴的な出来事の一つとして、2012年8月10日に開催されたロンドン五輪におけるサッカー男子3位決定戦(日本対韓国)で日本に勝利した韓国の選手の一人 朴鍾佑(パク・チョンウ或いはパク・ジョンウ、韓国語: 박종우、1989年3月10日 - )は、韓国人サポーターから「独島は我が領土」と描かれたメッセージを受け取り、頭上に掲げたままグランド内を走るパフォーマンスを行い、その後掲げたメッセージを韓国選手達で持っていた大型の韓国旗の上に乗せ、今度は韓国選手達でグランド内を闊歩した。これはオリンピック憲章が禁じる政治的主張に当たるとし(韓国紙「中央日報」のインタビューにおいて、国際オリンピック委員会(IOC)のロゲ会長により「IOCと国際サッカー連盟(FIFA)の規定に反する」と述べられた。)、以後の対応について検証が成されている。
現在外務省は日本国民が韓国の渡航手続に従い竹島に上陸することは、韓国による竹島の管轄権または領有権を日本人が認めた、との誤解を与えかねないとして自粛を要請している。
排他的経済水域と大陸棚延伸に関わる問題
1978年に、日韓両政府は肥前鳥島沖から済州島沖にかけて東シナ海に埋蔵されているとされる石油および天然ガスに関して、これを両国が分かち合うべく日韓大陸棚協定(日韓大陸棚共同開発協定)を締結し、現在に至る。しかし、2006年6月に開かれた日韓間の排他的経済水域(EEZ)境界線画定交渉において、韓国政府が同様に岩として基点にしていなかった竹島を、従来主張していた鬱陵島から変更すると主張したため、日本政府も対抗して日本側のEEZの基点として肥前鳥島を主張する意向を韓国側に伝えたとされている。さらに、韓国は協定海域を韓国単独のEEZだと主張していて、2012年に国連大陸棚限界委員会に沖縄トラフまでの大陸棚延伸を申請した。
日本海呼称問題
韓国が日本海 (Sea of Japan) にかえて「東海(トンヘ)」を国際的名称にすべきだと主張している問題。
歴史教科書問題
扶桑社の歴史教科書の内容について、韓国・北朝鮮や中国が批判する問題。両国のからむ歴史において最も批判が集中し、刀伊の入寇・元寇・応永の外寇・文禄・慶長の役など前近代における日朝間の軍事的衝突から、近代以降の韓国併合、第二次世界大戦や、前述の竹島問題などの解釈、教え方を巡って激烈な論争となっている。
こうした批判が教科用図書検定制度において影響をもたらすことも多く、「内政干渉だ」「自国の歴史を正しく学べない」と反発する声が高まっている。一方で、韓国や中国では歴史教育に国定教科書を用いている。教科書の検定は行われていない(ただし1900年以降の近代史に関する高等学校の教科書は検定教科書)。歴史教科書記述が1種類であることが自国に都合の良い歴史教育をもたらしていると批判されている。
韓民族優越主義者による主張問題
日本文化は全て韓国が起源であるとする主張が、歴史的史料や物証等が乏しいかまたは全く無い状態で、主にインターネットを通じてなされ問題となっている。その例は武道・茶道・侍・日本刀・ソメイヨシノ等多岐におよび、国際的に日本文化が取り上げられると、それらの起源は韓国であると主張をする傾向がある。
朝鮮民族の人物がある業界で活躍すると「朝鮮民族の優秀性が証明された」と盛んに喧伝し、偉業を成した日本の著名人も勝手に朝鮮民族に認定し、根拠なく在日コリアンやコリアン系の同胞だと主張する在日認定が問題となっている。
朝鮮半島から流出した文化財の譲渡要求
19世紀に朝鮮半島から日本に流出した文化財の多くは、現在も日本の博物館や図書館に保管されている。これらの文化財を韓国に譲渡することを韓国の市民団体などが強く求めている。しかし、1965年の日韓基本条約において、韓国政府が1400点の文化財の返却と引き換えに、文化財の請求権を放棄していることや、日本にある朝鮮半島の文化財が略奪されたものであることが立証できないため、日本政府は韓国政府に返還する義務はない。そのため、韓国は「日本が自主的に朝鮮半島の文化財を(北朝鮮ではなく)韓国政府に返還するべきだ」と主張している。2010年4月6日、韓国の国会議員7名が、「日韓併合100周年を迎え、日本にその反省をさせ、文化財の返還を促す」ために訪日している。韓国が返却を要求している文化財は、宮内庁が所有している朝鮮王室儀軌や東京国立博物館に寄贈されている小倉コレクション(小倉武之助収集、財団法人小倉コレクション保存会寄贈)など多岐に渡る。
韓国による日本海への毒劇物の廃棄問題
韓国が毒劇物を入れたポリタンクを日本海に廃棄し、日本海沿岸の地域に漂着してくる問題。1999年ごろから始まり、2017年2月から3月にかけては行われた調査では約6000個以上が確認されており、新潟県では500個のポリタンクが確認された。日本政府は国際会議や外務省、環境省を通じて韓国側に抗議しているが、韓国側は全く応じないため、環境省が年間50億円をかけて廃棄処理を行っている。ポリタンクに詰められている薬品は韓国のり養殖で網の洗浄用に用いられている「過酸化水素水」が多く、韓国のり養殖の市場が大きくなったことが原因であると報じられている。
知的財産権侵害問題
韓国では、以前からTV番組・歌謡曲等の日本が著作権を所有する著作物の不正コピー・盗用・盗作等が横行している。近年は改善の傾向にあるとされるといわれるものの、なおその件数は多い。表現物以外の分野でも、韓国は中国と共に日本の知的財産権の侵害が深刻化しており、知財紛争が頻発している(例:日本製イチゴ新品種の無断栽培問題など)。また、シャインマスカットやミカンなどにも無断栽培が広がっているため、対抗措置がとられるようになってきている。
韓国併合合法不法論争
1905年の日韓保護条約、1910年の韓国併合について一般に韓国では当初より無効であったとの主張を行っており、合法であったとする日本側学者との間で論争となっている。2010年に韓国側の強いイニシアティブによって開催された国際学術会議「韓国併合再検討国際会議」では、日韓米英独の国際法学者によって検討が行われたが、韓国側の主張は受け入れられなかった。
第二次世界大戦の賠償問題
第二次世界大戦の対日講和条約(サンフランシスコ条約)の14条では、日本の賠償対象国を「日本が占領し損害を与えた連合国」と規定しており、韓国はこの対象に入らないが、1965年の日韓基本条約による国交正常化交渉中に韓国は賠償を要求、日本は名目上「独立祝賀金と途上国支援」として要求に応え8億ドル(当時)に及ぶ有償無償金を供与した。これにより、韓国は対日賠償権を放棄し、個人への賠償も完全解決したとして財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定が締結された。しかし、その後、韓国は盧武鉉政権時に、慰安婦などの一部個人に対する補償は対象外であったとの声明を発表、以降、韓国政府はこの方針を踏襲している。日本政府は、上記協定により、日韓間の請求権に関する問題が完全かつ最終的に解決したとしている。
聴取不能問題
日本のラジオ放送において、特に日本海側で日本のラジオが韓国のラジオの混信で聴取不能になる。このため、各放送局では韓国からの電波混信対策を行っている。(例を挙げると琉球放送のFM中継局の設置など) 以下は混信が起こりやすい日本のラジオ放送局を挙げる。
文化放送(AM1134KHz) 韓国KBS第三ラジオとの混信
ラジオ関西(AM558KHz) 韓国KBSテグ局との混信
他にも韓国波との混信が激しい放送局が多数存在し、テレビでも混信被害が発生している。
漁業問題
日韓漁業協定の日韓暫定水域を韓国漁船が占拠し、韓国漁船が立ち入りを禁止されている日本の排他的経済水域へ侵入し、海産物の乱獲を繰り広げており、日本海側の漁業従事者に深刻な打撃を与えている。2000年以降、水産省による外国漁船の拿捕件数で韓国は全体の5割から9割を占めている。2005年12月6日、韓国海洋警察庁が海上保安庁に対し、日本領海における捜査権の譲渡を要求したが、海上保安庁は「捜査権の譲渡は主権侵害にあたる」として拒否した。
アルファベット表記問題
「Korea」という英語名称を日本の朝鮮併合政策によるものとして「Corea」をアルファベットにおける標準表記に変更すべきだとしている問題で、韓国では広く知られた俗説である。
日本と韓国が併記される際にアルファベット順から Korea より Japan が先になるが、日韓共催イベントなどで自らの表記を「Corea」とすることがよくある。「19世紀末まで韓国のアルファベット呼称は Corea であったが、日清戦争で勝利した結果、国際影響力を高めた日本が Japan が Corea より後に来るのを嫌い、Corea を Korea に変えさせた」とか、「オリンピック行進の際に、韓国より日本が早く登場するようにするために Corea を Korea に変えさせた」という主張がなされている。
水野俊平によれば、Corea の表記の方が歴史は長いことは事実であるが、18世紀半ば頃から、Korea という名称がヨーロッパの地図に現れている。1748年にグリーンが製作した「朝鮮国図」には「Kingdom of Kauli of Korea」と表記されている。一方で、1882年に調印された「韓美修好通商条約」1883年に調印された「韓英修好通商条約」では「Corea」と表記されており、Korea と Corea は英米の外交文書の中でも、少なくとも1905年までどちらも使われていたようである。しかし、アメリカが外交文書等で Korea を使い始めたのは1884年の「Legation of the United States of America」からであり、日本は朝鮮併合(1910年)はおろか、日清戦争(1894年〜1895年)すら勃発する前である。逆に、イギリスは1905年までは「Corea」を使用していたが、それは日清戦争終結から10年もたってのことであり「大日本帝国が日清戦争に勝利して朝鮮半島で勢力を掌握したために、Corea を Korea に変えさせた」という主張とは、いずれにしろ矛盾が生じる。
またオリンピックに関しては、アメリカ合衆国が「Korea」を採用した1884年には、まだオリンピックは始まってもおらず(近代オリンピックは1896年から開催)、大日本帝国が初めて参加した1912年には、朝鮮半島は既に大日本帝国の外地であり、Japan を Corea より前にするために Korea に変えさせたという主張は、無理が生じる。
日本の国際影響力の高まりと、Corea が Korea に変わった時期はほぼ時を同じくするものの、今日に至るまで日本が外国に呼びかけて Corea を Korea に変えさせたという証拠は一切見つかっていない。
日本語でいう「カ行」発音を、欧州言語のうちゲルマン語派(ドイツ語、英語、オランダ語など)は表記を K で、ロマンス諸語(フランス語、イタリア語、スペイン語、ポルトガル語など)は C で表記することが多い。16世紀に初めて東アジアを訪れたのは、ポルトガル人やスペイン人、宣教師のイタリア人であった。結果として最初に作られたヨーロッパ製の東アジア地図ではC表記が多くなる。
また、フランスの文化は高い影響力を及ぼし、欧州各国王室の共通語はフランス語であった。これは第一次世界大戦終了(1918年)まで続き、英語が世界共通語の地位に就くのは、アメリカ合衆国の台頭と第二次世界大戦の終了(1945年)によるものである。
96年秋、韓国の大手パソコン通信ネットのひとつであるハイテルのチャットでは「Korea」を「Corea」に変えようという討論が活発に行われたが、賛成・反対を離れて実際に真相を突き止めようと考えた韓国人は皆無だったという(野平俊水『日本人はビックリ!韓国人の日本偽史』2002年、小学館文庫、46-52頁)。
1884年発行の100文の「COREA」表記切手、1885年発行の5分(poon)の「KOREA」表記切手が存在する。
徴用工訴訟・レーダー照射事件
2017年に文在寅政権が誕生すると、2018年に入り慰安婦問題日韓合意が破棄されたり、徴用工訴訟問題や日本の自衛隊機に向けて射撃レーダーが照射される韓国海軍レーダー照射事件が発生するなど日韓関係の悪化が深刻なものとなった。
 
 
●徴用工訴訟問題
第二次世界大戦中日本の統治下にあった朝鮮および中国での日本企業の募集や徴用により労働した元労働者及びその遺族による訴訟問題。元労働者は奴隷のように扱われたとし、現地の複数の日本企業を相手に多くの人が訴訟を起こしている。韓国で同様の訴訟が進行中の日本の企業は、三菱重工業、不二越、IHIなど70社を超える。2018年10月30日、韓国の最高裁にあたる大法院は新日本製鉄(現新日鉄住金)に対し韓国人4人へ1人あたり1億ウォン(約1000万円)の損害賠償を命じた。徴用工訴訟において大法院で結審したのは初めて。
日本の徴用工への補償について、韓国政府は1965年の日韓請求権協定で「解決済み」としてきたが、大法院は日韓請求権協定で個人の請求権は消滅していないとしたため、日本政府は日韓関係の「法的基盤を根本から覆すもの」だとして強く反発した。安倍晋三首相は「本件は1965年(昭和40年)の日韓請求権協定で完全かつ最終的に解決している。今般の判決は国際法に照らしてあり得ない判断だ。日本政府としては毅然と対応する」と強調した。日韓請求権協定には、両国に紛争が起きた際は協議による解決を図り、解決しない場合は「仲裁」という手続きが定められている。日本政府はこの手続きにより解決しない場合、国際司法裁判所への提訴も視野に入れている。
呼称
安倍晋三首相は2018年11月1日、国会予算委員会でこれまで日本政府が使ってきた「徴用工」という表現の代わりに今後は「旧朝鮮半島出身労働者」という表現を使うと明らかにした。安倍首相は「当時、国家総動員法(1938年制定)の下、国民徴用令には募集、官斡旋、徴用があった」として、2018年10月30日の大法院での原告4名はいずれも「募集」に応じた人たちとした。韓国政府は国家総動員法が施行された後に動員されたすべての労働者を「強制動員被害者」と認定している。
徴用工訴訟の経緯
韓国人慰安婦・サハリン残留韓国人・韓国人原爆被害者の対日補償要求(2005年)
韓国政府や韓国メディアは日韓請求権協定による賠償請求権の解決について1965年当時からも韓国国民に積極的に周知を行うことはなく、民間レベルでは日本政府への新たな補償を求める訴えや抗議活動を行い続けていた。賠償請求の完全解決は、韓国側議事録でも確認されており、日本政府もこの協定により日韓間の請求権問題が解決したとしているが、2005年の盧武鉉政権から、韓国政府は慰安婦、サハリン残留韓国人、韓国人原爆被害者の問題は対象外だったと主張をはじめた。また2005年4月21日、韓国の与野党議員27人が、日韓基本条約が屈辱的であるとして破棄し、同時に日本統治下に被害を受けた個人への賠償などを義務付ける内容の新しい条約を改めて締結するように求める決議案を韓国国会に提出するとともに、日韓両政府が日韓基本条約締結の過程を外交文書ですべて明らかにした上で韓国政府が日本に謝罪させるよう要求した。
韓国政府が元徴用工の対日補償請求はできないと表明(2009年)
2009年8月14日、ソウル行政裁判所による情報公開によって、日韓請求権協定には「完全かつ最終的に解決した」「1945年8月15日以前に生じたいかなる請求権も主張もすることができないものとする。」の文言が明記されている事がようやく韓国国内で広く知られるようになった(日韓基本条約#韓国政府における議事録の公開を参照)。韓国人の個別補償は日本政府ではなく韓国政府に求めなければならないことが明らかになり、李明博政権の時、日本への徴用被害者の未払い賃金請求は困難であるとして、韓国政府が正式に表明するに至った 。補償問題は1965年の日韓国交正常化の際に日本政府から受け取った「対日請求権資金」ですべて終わっているという立場を、改めて韓国政府が確認したもので、いわゆる慰安婦等への今後の補償や賠償請求は、韓国政府への要求となることを韓国政府が国際社会に対して示した。
韓国大法院、日本企業の徴用者に対する賠償責任を認める(2012年)
韓国政府は元徴用工の対日補償請求はできないと表明していたが、韓国大法院は2012年5月23日、日韓併合時の日本企業による徴用者の賠償請求を初めて認めた。元徴用工8人が三菱重工業と新日本製鉄を相手に起こした損害賠償請求訴訟の上告審で、原告敗訴判決の原審を破棄し、原告勝訴の趣旨で事案をそれぞれ釜山高法とソウル高法に差し戻した。韓国大法院は「1965年に締結された日韓請求権協定は日本の植民地支配の賠償を請求するための交渉ではないため、日帝が犯した反人道的不法行為に対する個人の損害賠償請求権は依然として有効」とし、「消滅時効が過ぎて賠償責任はないという被告の主張は信義誠実の原則に反して認められない」と主張した。また、元徴用工が日本で起こした同趣の訴訟で敗訴確定判決が出たことに対しても、「日本の裁判所の判決は植民地支配が合法的だという認識を前提としたもので、強制動員自体を不法と見なす大韓民国憲法の核心的価値と正面から衝突するため、その効力を承認することはできない」と主張した。
相次ぐ旧朝鮮半島出身労働者と遺族による裁判
韓国の下級裁判所では元徴用工と元徴用工の遺族が日本企業3社(新日鉄住金、三菱重工業、不二越)に損害賠償を求める裁判を相次いで起こしている。
2013年2月、富山市の機械メーカー不二越による戦時中の動員に対して、強制動員被害者13人と遺族が計17億ウォン(約1億5000万円)の賠償を求める訴訟をソウル中央地裁に起こした。
2013年3月、日本製鐵(現新日鐵住金)の釜石製鉄所(岩手県)と八幡製鐵所(福岡県)に強制動員された元朝鮮人労務者ら8人が、新日本製鐵(現新日鐵住金)に8億ウォン(約7000万円)支払いを要求してソウル中央地裁に損害賠償請求訴訟をおこした。2013年7月10日、ソウル高裁は判決で新日鉄住金に賠償を命じたが、その後新日鉄住金は上告した。菅義偉 官房長官は「日韓間の財産請求権の問題は解決済みという我が国の立場に相いれない判決であれば容認できない」とコメントした。
2013年11月8日にソウルで行われた日韓外務次官級協議では、日本の外務審議官の杉山晋輔が韓国の外務第1次官である金奎顕(キム・ギュヒョン)に対し、元徴用工問題で韓国大法院で日本企業の敗訴が確定した場合、日韓請求権協定に基づき韓国側に協議を求める方針を伝えた。また韓国側が協議に応じなかったり、協議が不調に終わった場合は国際司法裁判所への提訴のほか、第三国の仲裁委員を入れた処理を検討すると表明した。
2015年12月24日現在、確認されただけで係争中の裁判が13件あり、このうち5件で日本企業側に損害賠償を命じる判決が出ており、3件が韓国大法院の判断を待つ状態になっている。
韓国憲法裁判所、「日韓請求権協定は違憲」の訴えを却下(2015年)
韓国憲法裁判所は2015年12月23日、1965年に締結された日韓請求権協定は違憲だとする元徴用工の遺族の訴えを審判の要件を満たしていないとして却下した。原告である元徴用工の遺族は、韓国政府による元徴用工への支援金支給の金額の算定方法や対象範囲を不服として、支給を定めた韓国の国内法と日韓請求権協定が財産権などを侵害しているとし、韓国の憲法に違反していると告訴していた。韓国憲法裁判所の決定は国内法の不備を認めず、支援金支給に関して日韓請求権協定が「適用される法律条項だとみるのは難しい」とした。また日韓請求権協定が仮に違憲であっても原告の請求には影響しないとし、審判の要件を満たしていないと却下した。
下級裁判所における裁判
2016年8月23日、ソウル中央地方裁判所は新日鉄住金に対し元徴用工遺族らに計約1億ウォン(約890万円)の支払いを命じる判決を出した。
2016年8月25日、ソウル中央地方裁判所は三菱重工業に対し元徴用工遺族ら64人に被害者1人あたり9000万ウォン(約800万円)ずつ賠償するよう命じる判決を出した。
2016年11月23日、ソウル中央地方裁判所は不二越に対し元女子勤労挺身隊の5人に1人あたり1億ウォン(約950万円)の支払いを命じる判決を出した。
大法院及び法院行政所
韓国大法院は2018年までの約5年間徴用工訴訟について判決を出していなかったが、2018年に韓国の検察当局は朴槿恵政権期に大法院が大統領府や外交省と協議し故意に判決を先送りしてきた疑いがあるとし法院行政所の元幹部などを起訴。2018年12月3日には職権乱用などの容疑で当時大法官(最高裁判事)だった朴炳大の逮捕状をソウル中央地裁に請求したが、ソウル中央地裁は12月7日に逮捕状の請求を棄却した。
中国で三菱マテリアルによる謝罪と賠償による和解(2016年)
1972年、中国と日本は国交正常化において日中共同声明を発表、中国は「日中両国民の友好のために、日本に対する戦争賠償の請求を放棄する」と宣言した。2016年6月1日、中国人による損害賠償請求訴訟において、三菱マテリアルは謝罪と一人当たり10万元(約170万円)の支払いを行う内容で、北京市で原告と和解を行った。総額で約64億円となり第二次世界大戦後最大規模の和解となった。
大法院が新日鉄住金に対し損害賠償を命じる(2018年)
2018年10月30日、韓国の最高裁にあたる大法院は差し戻し審で新日本製鉄(現新日鉄住金)に対し韓国人4人へ1人あたり1億ウォン(約1000万円)の損害賠償を命じた。徴用工訴訟において大法院で結審したのは初めて。これにより、新日鉄住金の韓国内の資産差し押さえの可能性がでてきた。韓国で同様の訴訟が進行中の日本の企業は、三菱重工業、不二越、IHIなど70社を超えており、この判決以降韓国の政府機関や支援する財団に「訴訟を起こしたい」という問い合わせの電話が鳴り止まない状況が続いている。
2018年10月30日の大法院の判決では提訴期限の基準を示しておらず控訴審の裁判所の判断は分かれている。韓国側は提訴期限の起算点を、1965年(国交正常化時)、2005年8月(韓国が請求権協定に関する見解を表明した時)、2012年5月(大法院が個人的請求権に関する判断を行った時)、2018年10月(大法院が損害賠償を命じる判決を行った時)などを想定しており、日韓請求権協定で全て解決済みだとする日本との損害賠償訴訟をめぐる新たな争点として浮上している。
韓国政府に対する集団訴訟
2018年12月、戦時中に日本企業に徴用されたとする韓国人とその遺族が、1965年の日韓請求権協定で日本政府から3億ドルの無償支援を受け取った韓国政府に補償責任があるとして、韓国政府に対して1人当たり1億ウォン(約1千万円)の補償金の支払いを求める集団訴訟を提起することが明らかになった。
日本の対応
2018年11月1日、自由民主党は日本政府に対し日韓請求権協定に基づく協議や仲裁の速やかな開始を韓国に申し入れるよう求める決議をまとめた。
原告代理人弁護士が新日鉄住金本社へ
2018年12月、原告代理人の韓国人弁護士が東京都 千代田区の新日鐵住金本社に侵入したが、警備員から遺憾の意を伝達され阻止された。原告代理人弁護士は、12月にも再び新日鐵住金本社を訪れたが、拒まれたため、進藤孝生社長に対する要請書を受付に残して帰ったのち、記者会見を開き、差押の手続を開始する用意があることを明らかにした。
同月には日本の外務省の金杉憲治 アジア大洋州局長が大韓民国 外交部を訪れ、差し押さえに対する遺憾の意を伝えると共に問題の解決に向け協議を行った。
個人請求権の解釈
1965年の日韓請求権並びに経済協力協定(日韓請求権協定)によって日韓の財産及び請求権問題に関する外交的保護権が放棄されていることについては異論がない。しかし、個人請求権に関しては、1991年、日本の柳井俊二条約局長の国会答弁によって請求権協定は個人請求権に影響を及ぼさないという立場を表明したため、韓国国民が個人請求訴訟を提起するようになった。日本政府は条約締結以降2007年頃まで、請求権協定が個人請求権に影響を及ぼすことはないという立場であったが、現在は請求権協定によって日韓の請求権問題は個人請求権も含めて終局的に解決されたという立場に変遷している。逆に韓国政府は条約締結以降2000年頃までは請求権協定によって個人請求権が消滅したという立場であったが、日本政府が外交的保護権が個人請求権に影響を及ぼさないことが韓国でも広く知られるようになると、その立場を変遷させ2000年には韓国においても放棄されたのは外交保護権であり個人の請求権は消滅していないとの趣旨の外交通商部長官の答弁がなされるに至った。旧朝鮮半島出身労働者の訴訟は当初日本の裁判所で争われたが、韓国民の財産請求権は日本の「日韓請求権協定協定第二条の実施に伴う大韓民国等の財産権に対する措置に関する法律」(財産措置法)により消滅してるため、日本の最高裁もこれを認めなかった。そのため、今度は韓国の裁判所で争われるようになった。2018年10月30日、韓国の最高裁大法院は徴用工の個人賠償請求権を認め、裁判官の多くが徴用工の個人賠償請求権は日韓請求権協定の効力範囲に含まれないと判断した。
韓国の対日請求に関する問題には、徴用工訴訟のほか、慰安婦問題、サハリン残留韓国人、韓国人原爆被害者の問題、日本に略奪されたと主張される文化財の返還問題、などがある。
日本政府
日本政府は1965年の日韓請求権協定についてその締結の当初から個人請求権は消滅していないと解釈していた。日韓請求権協定締結時の外務省の内部文書には日韓請求権協定第2条の意味は外交保護権を行使しないと約束したもので、個人が相手国に請求権を持たないということではないと書かれていた。このような日本政府の解釈は日韓請求権協定締結前から一貫したものであった。というのも、原爆やシベリア抑留の被害者が、日韓請求権協定に先立って締結されたサンフランシスコ平和条約や日ソ共同宣言の請求権放棄条項により賠償請求の機会を奪われたと主張し、日本に補償を求める訴訟を提起したからである。この訴訟において、日本はそれらの請求権放棄条項によって個人の請求権は消滅しないから、賠償請求の機会は奪われていないと主張した。韓国との関係に関しても戦後韓国に残る資産を失った日本国民が韓国に対して訴訟を提起する可能性があるため、日本は当初から請求権放棄条項によっては個人の請求権は消滅しないという立場に立っていた。請求権協定締結の1年後である1966年に、協定の交渉担当者の外務事務官谷田正躬は、協定で放棄されるのは外交保護権にすぎないから、日本政府は朝鮮半島に資産を残してきた日本人に補償責任を負わないと解説した。
1991年8月27日、柳井俊二 外務省条約局長が参議院 予算委員会で、「(日韓請求権協定は)いわゆる個人の請求権そのものを国内法的な意味で消滅させたというものではない。日韓両国間で政府としてこれを外交保護権の行使として取り上げることができないという意味だ」と答弁したため、それ以降韓国の個人請求権を根拠にした日本への訴訟が相次ぐようになった。
1992年2月26日、柳井は、請求権協定2条3項により「国及び個人の財産、権利及び利益に対する措置」及び「請求権」に対する外交保護権が消滅したと答弁した。そしてこの「財産、権利及び利益」は協定時の合意議事録で「法律上の根拠により実体法的価値を認められるすべての種類の実体的権利」であることが合意されていて、条約が直接外交保護権を消滅させた「請求権」は実体法上の根拠のないクレームに過ぎないと述べた。そして、実体法上の根拠がある「財産、権利及び利益」についてはそれ自体の外交保護権が放棄されたわけではないものの、「財産、権利及び利益に対する措置」として国内法たる1965年の「財産措置法」によって韓国民の財産権は消滅していることを明らかにした。
さらに、1992年3月9日の予算委員会において柳井は「請求権の放棄ということの意味は外交保護権の放棄であるから、個人の当事者が裁判所に提訴する地位まで否定するものではない」と答えた。また、内閣法制局 長官の工藤敦夫は「外交保護権についての定めが直接個人の請求権の存否に消長を及ぼすものではない」とし、「訴えた場合にそれらの訴訟が認められるかどうかまで裁判所が判断する」と述べた。
1993年5月26日の衆議院予算委員会 丹波實外務省条約局長答弁では、日本国内においては韓国民の「財産、権利及び利益」は日韓請求権協定の請求権放棄条項及び日韓請求権協定を日本国内で施行するための財産措置法によって外交的保護権のみならず実体的にその権利も消滅しているが、「請求権」は外交的保護権の放棄ということにとどまり個人の請求権を消滅させるものではないとしている。
「 この第二条の一項で言っておりますのは、財産、権利及び利益、請求権のいずれにつきましても、外交的保護権の放棄であるという点につきましては先生のおっしゃるとおりでございますが、しかし、この一項を受けまして三項で先ほど申し上げたような規定がございますので、日本政府といたしましては国内法をつくりまして、財産、権利及び利益につきましては、その実体的な権利を消滅させておるという意味で、その外交的な保護権のみならず実体的にその権利も消滅しておる。ただ、請求権につきましては、外交的保護の放棄ということにとどまっておる。個人のいわゆる請求権というものがあるとすれば、それはその外交的保護の対象にはならないけれども、そういう形では存在し得るものであるということでございます。」
2003年に参議院に提出された小泉総理の答弁書でも、同条約を受けて日本国内で成立した財産措置法によって請求の根拠となる韓国国民の財産権は国内法上消滅した。
この財産措置法で消滅しているのは韓国民の財産権のみであるから、日本と外国との請求権放棄条項により日本政府が日本国民より賠償請求の機会を奪われたとして訴訟を提起されることはない。また、日韓請求権協定に伴う財産措置法は外交保護権の放棄により韓国から外交ルートで抗議されることもない。実際に日本の裁判所で争われた旧日本製鉄大阪訴訟において、大阪高裁は2002年11月19日の判決で協定の国内法的措置である財産措置法による財産権消滅を根拠に一審原告の控訴を棄却している。この裁判はその後上告を棄却され確定した。
しかし、旧朝鮮半島出身労働者の韓国での訴訟については、韓国は日本の財産措置法を準拠法としていないので、韓国の裁判所ではこれを適用していない。1990年代後半には日本政府に一部不利な判断が出るようになったため、日本政府は次第に戦後補償は請求権放棄条項で解決済みであるとの主張をするようになった。日韓請求権協定に関しても韓国人個人の請求権も含め協定によって一切解決済みとの立場を取っている。
現在の日本政府の見解は、旧朝鮮半島出身労働者の損害賠償請求権についての実体的権利は消滅していないが、これを裁判上訴求する権利が失われたというものになっている。ただし、日本政府の立場を肯定した2007年 最高裁 西松建設事件の判決は、司法上の救済を否定する一方で被害救済に向けた関係者の自発的努力を促した。これを受けて、西松建設は実際に被害者に対する謝罪と賠償を行った。2007年のサンフランシスコ平和条約に関して政府の立場を肯定した最高裁判決は、判断を左右する条約解釈上の対立点に関する日本政府の立場の変遷を鑑み、同時に被害救済の必要性を指摘している。
韓国政府
一方の韓国は日韓請求権協定締結当初は協定によって個人の請求権が消滅したとの立場に立っていた。そもそも韓国政府は日韓請求権協定締結前の交渉において、徴用工の未払金及び補償金は国内措置として韓国側で支払うので日本側で支払う必要はないと主張していた。しかし、1991年日本の柳井俊二 外務省条約局長答弁が大きく報道され日本で個人の請求権を主張する訴訟なども提起されたため、日本では個人請求権は外交保護権放棄条項に含まれていないことが広く知られるようになる。すると韓国はその立場を変遷させ、2000年に韓国においても放棄されたのは外交保護権であり個人の請求権は消滅していないとの趣旨の外交通商部長官答弁がなされるに至った。また韓国政府は2005年に官民共同委員会において日韓請求権協定の効力範囲問題を検討し、植民地支配賠償金や慰安婦問題等の日本政府の国家権力が関与した反人道的不法行為については請求権協定によっては解決しておらず日本政府の法的責任が残っていると結論した。ただし、徴用工については同委員会は明示的に日韓請求権協定の効力範囲外に位置付けず、請求権協定によって日本から受け取った資金に韓国政府が強制動員被害者に対する補償問題を解決するための資金が包括的に勘案されているとし、韓国政府は受け取った資金の相当額を強制動員被害者に使用すべき道義的責任があると判断した。
旧日本製鉄大阪訴訟においては、前述のように日韓請求権協定には韓国民の財産権を消滅させた財産措置法があるため、韓国政府が日本から受け取った資金を充てるか否かの判断の対象にならなかった。しかし、日本の国内法である措置法の効力が及ばない韓国ではこれらの点が大きな争点になった。
大法院
賠償義務判決は2012年5月の大法院で初めて出され、東亜日報によると当時の判事であった金能煥が「建国する心情で判決を書いた」と語ったという。2018年10月30日の韓国大法院判決の多数意見は、徴用工の個人賠償請求権は日韓請求権協定の効力範囲に含まれないと判断した。14人の裁判官の内3人の個別意見は、徴用工の個人賠償請求権は請求権協定の効力範囲に含まれるが、両国間で外交上の保護権が放棄されたに過ぎないとした。この中でサンフランシスコ平和条約についても言及し、個人損害賠償請求権の放棄を明確に定めたサンフランシスコ平和条約と「完全かつ最終的な解決」を宣言しただけの請求権協定を同じに解することは出来ないとしている。また、2人の裁判官の反対意見は、徴用工の個人賠償請求権は請求権協定の効力範囲に含まれ、かつ、請求権協定によって日韓両国民が個人損害賠償請求権を裁判上訴求する権利が失われたとした。その意見によれば、個人損害賠償請求権自体は消滅していないものの、日韓請求権協定によって外交上の保護権が放棄されただけでなく、日韓両国民が個人損害賠償請求権を裁判上訴求する権利も制限されたため、個人損害賠償請求権の裁判上の権利行使は許されないとのことである。今回の大法院判決は請求内容が日本の違法な植民地支配及び日本企業の反人道的不法行為を前提にした慰謝料であることを指摘している。
その他
国際法が専門の東京大学 名誉教授 大沼保昭は、請求権協定2条の解釈について、これまでの国際法の一般的解釈からすると個々の国民の権利や利益に関わるものを含めて全ての問題が包括的に解決されたと解釈でき、日本政府だけでなく、かつての韓国政府や、米国の政府及び裁判所も同じ立場だったとする。また、徴用工に関する2010年代の一連の韓国裁判所の判断については、人権への考慮が他の価値とそれに関わる判断への考慮に優越して扱われるという流れに沿ったものではあるが、このような流れが拡大していくとそもそも国家間で条約を締結して問題を解決する意義が揺らいでしまうと指摘している。
国際法学者で立命館大名誉教授の山手治之は、外交上の保護権が失われた場合の司法救済の可否について、かつての日本政府の見解を前提とすれば韓国における司法的救済の可否は韓国の国内法の問題となるとしている。
元大学教授で歴史家の秦郁彦は、この判決について「協定上、賠償金を支払う義務は全くない。日本政府は経済政策の中で揺さぶりをかけ、韓国内での問題解決を迫るべきだ」「痛みを伴わずに問題を解決させる妙案はない。現状では日本企業側が命じられた賠償は高額でなく、韓国内の資産差し押さえがあっても影響は限定的といえるため、企業側にも『我慢』が求められる。個人請求権をなし崩しに認めてしまえば同様に請求権放棄が確認されている中国でも問題が再燃しかねない」と主張した。
神戸大学大学院教授でアジア学術総合センター長の木村幹は「韓国で請求権協定が無視される事態が続けば、両国間の戦後処理が全般的に崩壊するだろう。政府間の対話で解決できる段階は過ぎた。協定は解釈上の問題が生じた場合に仲裁機関を設置すると定めており、これを韓国側に提案し解決にあたるべきだ。国際法の専門家が精査すれば、今回の判決に問題が多いことは十分に理解されるはず。韓国内での政治情勢などに絡んで解決がさらに先延ばしにされる恐れもあり、日本側からの積極的な働きかけが必要だ」とのべた。
前大阪府知事・前大阪市市長の橋下徹弁護士は上記のような問題点を指摘した上で、結論としては日韓請求権協定によってもはや個人請求権は認められないとの考えを明らかにしている。