2019年「世界の10大リスク」

2019年 世界の10大リスク

日本だけが頑張っても どうにもならない
世界の争い 不況 ナショナリズム
孤立の始まり 始まり

嵐に巻き込まれ 飲み込まれる


 
 
 
●2019年「世界の10大リスク」
米コンサルティング会社ユーラシアグループは7日、2019年の「世界の10大リスク」を発表した。米国で民主主義が揺らいでいることや、欧州でのポピュリズム(大衆迎合)政治の広がり、同盟関係の弱体化など世界中の地政学的事象のほとんどが「悪い方向に向かっている」と指摘。この状況を「悪い種(予兆)」と名付けて1位に挙げた。2位は対立が深まる「米中関係」とした。
同社は米国際政治学者のイアン・ブレマー氏が社長を務め、毎年初めに、その年の世界政治や経済に深刻な影響を及ぼしそうな事象を予測している。
19年は国際経済が好調で「比較的いい年になる」と分析。一方、ただちに起こる可能性は低いものの、深刻な危機に発展しかねないリスクは、1998年の同社立ち上げ以来で最高水準に達しているとした。ブレマー氏は発表会見で「大規模テロや金融危機などの危機に各国が結束する状況ではなくなった」と話した。
1位の「悪い種」の一つに挙げた同盟関係の弱体化については、「アジアでは米欧ほど影響はなく、日米同盟は強固」と指摘。その上で「韓国における米軍のプレゼンス縮小を望むといったトランプ米大統領の同盟への懐疑的な姿勢が、中国やロシアなどを利する」とした。
2位の「米中関係」については「たとえ通商摩擦を解決しても、相互信頼は崩れた」「構造的な競争関係は技術、経済、安全保障分野に広がった」と分析。「双方とも武力衝突は望まなくても、南シナ海などでの偶発的事件が全面的な外交危機になる可能性は高まっている」と予測した。(ワシントン=沢村亙)
2019年 世界の10大リスク
(1)悪い種 米欧政治の混迷、同盟関係の弱体化など
(2)米国と中国 科学、経済、安全保障をめぐる摩擦が激化
(3)サイバー攻撃 抑止力が効かない問題も露呈へ
(4)欧州のポピュリズム 欧州連合の弱体化も
(5)米国の内政 トランプ大統領の不正追及で混乱
(6)技術革新、冬の時代 安保上の懸念などで国際協力が停滞
(7)国際協調に背を向ける指導者たち トルコ、ブラジルなど
(8)メキシコ 左派の新政権の経済政策に懸念
(9)ウクライナ ロシアとの外交・軍事的な緊張
(10)ナイジェリア 大統領選挙(2月)の結果次第で混乱も  
 
 
 
●今年の世界10大リスク
スーパーパワーなき「Gゼロ」後の世界を予測した米政治学者イアン・ブレマー氏が会長を務めるユーラシア・グループが7日、2019年「世界10大リスク」を発表しました。
(1)火種(Bad seeds)
Gゼロの影響で国際社会はリーダーシップを欠いている。地政学上の危険は今後数年間にわたって膨らんでいく。欧州連合(EU)、北大西洋条約機構(NATO)、20カ国・地域(G20)、先進7カ国、世界貿易機関(WTO)、クレムリンの機能は低下し、米中関係、ロシアと近隣諸国の関係は悪化している。
(2)米中関係(US-China)
米中貿易戦争は昨年12月のG20で一時休戦となったが、懸念がくすぶり続けている。ワシントンと北京の間では修復できない根本的な何かが壊れてしまっている。米国の政治支配層はもはや中国への関与政策は機能しなくなったと確信しており、公に対立的なアプローチを採るようになった。
(3)無法地帯と化すサイバー空間(Cyber gloves off)
今年は米国とイスラエルがイランの核施設にマルウェアのスタックスネットを使ったサイバー攻撃を仕掛けて10年。デジタル依存度が高まる一方で、ハッカーの手口はますます洗練されている。しかしサイバー空間での争いを解決する基本的なルールは確立されていない。 米国は今年初めて、もっと強力にサイバー上の能力(先制攻撃能力)を持つことで抑止力を持とうとする。しかし国家主体に対してサイバー抑止力は有効だが、ハッカーは非国家主体が主力になっている。
(4)欧州で広がるポピュリズム(European populism)
2009年のギリシャ債務危機以来、拡大したポピュリズムは2017年のフランス大統領選でエマニュエル・マクロン大統領が極右政党・国民戦線(現国民連合)のマリーヌ・ルペン党首を打ち負かしたことで後退するとみられていた。しかし5月に欧州議会選が行われる2019年、ポピュリストや反政府運動はかつてないほど勢いを増している。
(5)米国の内政(The US at home)
米国政治にとって今年はカオスの年になる。ドナルド・トランプ米大統領が弾劾されたり、辞任に追い込まれたりする可能性は低いが、政治的な脆弱性は極めて高い。
(6)イノベーションの冬(Innovation winter)
昨年も「地球規模のテクノロジー冷戦」がトップリスクの第3位に入り、テック競争は極めて政治色を帯びるようになった。今年は投資家も市場もその代償を払わされ始める年だ。最先端の技術革新に必要な資金や人材は政治によって後退し、世界は「イノベーション(技術革新)の冬」に向かう。深刻な結果がもたらされる。
(7)意思なき連合(Coalition of the unwilling)
第二次大戦後、米国が主導してきたワシントン・コンセンサスと呼ばれる世界秩序や制度はこの20〜30年の間、風化してきた。トランプ大統領は、米国はもはやリーダーの役割を担うべきではないとして「米国第一」を唱えている。しかしトランプ大統領を批判する人たちはこの戦略を「米国の孤立」と呼んでいる。ロシアやトルコ、北朝鮮、サウジアラビア、イスラエルの指導者はトランプ大統領を都合よく利用しようとしている。
(8)メキシコ
「メキシコを再び偉大な国に」と唱えて大統領に就任したアンドレスマヌエル・ロペスオブラドール氏は同国を再び1960〜70年代に逆戻りさせる恐れがある。
(9)ウクライナ
ウラジーミル・プーチン露大統領は今年、新しい戦争を始めることを目標にしていないが、クリミア半島沖でウクライナ艦艇を拿捕(だほ)したことからも分かるようにウクライナを死活に関わる影響圏とみなしている。プーチン大統領は、ロシアはウクライナの未来に決定的な発言力を持つべきだと信じている。
(10)ナイジェリア
大統領選挙(2月)の結果次第で混乱も。 
 
 
 
●2019年のトップリスク
はじめに
ユーラシアグループによる世界のトップリスクが発表されたので、ここにご紹介します。
2019年の世界経済の予測の特徴を一言でいえば、当グループが設立されて以降、最も不確実性が高い(予測できない)年であることの様だ。その原因である不安定要因が多くかつ大きくなってきていることによるものです。
1.ヨーロッパでの、英国のEU脱退、財政悪化加盟国の増加、アフリカ、中南米の政治不安による移民の増加、G−ゼロに伴う中国ロシアの台頭等の地域的不安定要因
2.トランプ大統領に代表される、国際協力より自国の権益等のナショナリズムの優先
3.既存の国際的な組織制度、システム等における利害関係、存在価値等への対応の必要性
4.異常気象等による自然災害の増加
などなど、地球規模での既存の制度の再構築が必要であるとの指摘がなされています。
ここではトップリスクの概要部分と、その第1:「悪い種」の各論部分をご紹介します。
概観で述べられているように、「たぶん、そしてますます気になる見出しにもかかわらず、2019年はかなり良い年になる見込みです。敢えて申し上げると、特に政治的に危険な年ではありません。しかし、私たちは今後のトラブルに備えて準備をしています。大きな問題に備えて。そしてそれが私たちの一番のリスクです。」といった具合に、予測のむつかしさを案辞するものとなっており、大きな流れの変化の真っただ中にあるが、改革や急激な変化の可能性こそあれ、それがいつなのか、何が引き金になるのかがわからないようなのです。
人間が作りあげた、政治経済の仕組みが、それを動かす我々が制御できない、技術や、情報や、異常行動等によって予期できなくなりつつあるようなので、時には原則論、基本、原始に戻ることが必要なのかもしれないというのが、さしあたりの吾輩の印象であります。皆さんはいかがでしょう。
概観
地政学的環境は、それが数十年で最も危険なものになっています…市場はますます不安定ですが, ヒットして跳ね返りながら回復力があります。この予測で何が問題でしょうか ?
まだ何もありません。地政学的サイクルの動きはゆっくりしています。地政学的秩序の形成には長い時間がかかる:政府は、複雑な制度、連立政治、選挙サイクル、および貸借対照表の動きを通して進路を変えます。多国間機関は、構築するのに何十年もかかり、それらはゆっくり勢いを増します。規範と価値観は、時間をかけて発展し、受け入れられるようになり、そして制度と社会を形成する必要があります。いったん配置されると、それらは粘着性があります。それで、不運を除いて(読む:突然の予期せぬ危機)、地政学的な秩序を打倒するには何十年もかかります。浸食のそのプロセスは今日世界中で進行中です。
確かに、2019年は世界が崩壊する年になるかもしれません。1998年にユーラシアグループを設立して以来、悪意のある行為者が被害を与えてエスカレーションサイクルを引き起こすことによるテールリスク(訳者注:金融用語であります。一般にテールリスクは、事前にほとんど予想できず、起きた時の衝撃があまりに大きい事象(出来事)であり、一度起きれば、マーケットに壊滅的なダメージを与えることになるため、その可能性は最低限頭に入れておいた方がよいでしょう。)は、いつの時点よりも高くなっています。ロシアのサイバー攻撃が手に負えない状態になります。イランとサウジアラビア(またはイスラエル)は中東戦争を引き起こします。中国とアメリカは激しい不況を引き起こす貿易戦争に入り、お互いを非難し、報復は活動空間にあふれます。同様の規模の他のリスクがあります。しかし現時点では、これらすべての可能性は低く留まっています。
たぶん、そしてますます気になる見出しにもかかわらず、2019年はかなり良い年になる見込みです。敢えて申し上げると、特に政治的に危険な年ではありません。しかし、私たちは今後のトラブルに備えて準備をしています。大きな問題。そしてそれが私たちの一番のリスクです。
1.悪い種
世界中で地政学的な危険が顕在化することは、今後数年間で実を結ぶでしょう。
2.アメリカ – 中国
ワシントンと北京の関係で根本的な何かが壊れていて、彼らの経済的関係に何が起こるかにかかわらず、まとめることはできません。
3. 容赦ないサイバー
ハッカーはより洗練されたものになり、社会はデジタルサービスに大きく依存するようになり、そしてサイバー紛争の道の基本的な規則に同意する努力はどこにもなくなった。
4.ヨーロッパのポピュリズム
2019年は、ポピュリストや抗議運動がかつてないほど強くなることを示しています。
5.国内問題でのアメリカ
トランプが弾劾され解任される可能性は極めて低いままですが、政治的な不安定さは非常に高いでしょう。
6.イノベーション衰退期
私たちはグローバルなイノベーションの冬に向かっています。それは、次世代の新技術を推進するために利用可能な、財政的および人的資本の政治的主導の減少です。
7.不本意な連合
米国主導の世界秩序は、ここ数十年で衰退していますが、世界の指導者の連立が、自由主義秩序の遵守を望んでおらず、一部の国々がそれを撤回することを躊躇しています。
8.メキシコ
同国の新大統領、Andres Manuel Lopez Obradorは、1990年代初頭からメキシコでは見られなかった政治体制に対するある程度の権力と統制力から彼の任期を開始し、国内のリスク要因は大きく迫っている。
9.ウクライナ
ケルチ海峡での11月の衝突は、来るべき緊張の味でした。プーチン大統領は、ウクライナがロシアの影響力の分野にとって不可欠であると考え続けている。
10.ナイジェリア
ナイジェリアは、1999年の民主主義への移行以来、最も激しく争われている選挙に直面しています。
結論
私たちがユーラシアグループを始めてから21年が経ちましたが、私たちはグローバルな変化を共有してきました。振り返ってみると、個人的にも組織としての私たちのささやかな始まり、そしてあなたのサポートを受けることがどれほどの特権であるかを自覚しています。私たちのコミュニティの一員になってくれてありがとう。我々はそれを感謝し、あなたの2019年が唯一の最高のものであるよう希望します。

このリストに追加できる他のことがあります。中国で多くの力を統合することに習近平が成功したことは、「最悪の種」です。なぜなら、世界最大の経済における意思決定の予測が難しくなり、将来のスムーズなリーダーシップ移行がはるかに困難になるからです。中東での支配のための地域の権力間の戦いは、特に世界経済のための彼らの石油輸出の価値の低下を考えると、時間をかけてはるかに大きな課題を提起するように設定されています。危険なテクノロジ、特にマルウェア、無人偵察機、および生物兵器に対する統制の分散化は、もう1つの悪の種です。気候変動に対する、依然として適当でないかつ調整が不十分な政治的対応を追加します。これらは私たちがこれまで地政学的に見てきたものよりはるかに悪い種です。私たちは収穫を期待しているのではありません。
「悪い種」各論
世界の周りで形をとる地政学的危険性は、今後数年間で実を結ぶでしょう。これがG-Zeroの最大の影響です。世界の意思決定者は、リーダーシップのない世界から発生する日々の危機に対処する(または対処することに失敗する)ことに非常に圧倒されています。私たちの集合的な中期的未来に深刻な影響を与えます。重要な地政学的ダイナミクスの圧倒的多数は今や間違った方向に向かっています。重要な現在のすべての地政学的力学の軌跡を考えてみましょう。大きなものから始めましょう。米国およびその他の先進工業経済における政治制度の強さ。環太平洋の関係。米中。EUの状態 。NATO。 G20。 G7。 WTO。 ロシアとクレムリン 。ロシアとその近隣諸国。 中東における地域的権力政治 。又は、アジアでの地域的権力政治。これらのひとつひとつがマイナスの傾向にあります。ひとつひとつがです。そして、それは第二次世界大戦以来存在していなかったほとんどの分野においてです。確かに、重要な地政学的発展の圧倒的多数、ユーラシアグループが追跡している幅広い問題 – その90%以上 – は今や間違った方向に向かっています。これらの関係や制度は明日にも崩壊することはないでしょうが、それらにはびこっている危険は目に見えない地雷なのです。これらはすべて国際的なアーキテクチャの一部であり、その一部は基本的なものであるため、これは特に重要です。やがて人々はけがをすることになります。気候変動を考えてください、地政学的な分野においてですが。これらの悪い種のいくつかを詳しく見てみましょう。
a – アメリカの政治制度
緊急ではありません。ドナルド・トランプ大統領は、米国の機関によって特に制限されています – 司法は彼の入国管理政策の制限を叩き、官僚は規制の変更をゆっくりと打ち切り、そして議会は突然の劇的な激動を生み出す法案を通過させるのではなく変更への漸進的アプローチに焦点を合わせました。トランプ氏が特別顧問のロバート・ミューラー氏の調査を妨げるような措置を講じることを妨げることは言うまでもない。確かに、トランプ政権の2年間の後、最も重要な国内での譲歩は、どれほど弾力性がある米国の政治機関がトランプの意図された行動をいかに検証し、そしていかに効果的に制限してきたかです。しかし、世界最大の経済における民主的制度の正当性が損なわれているのです。例のリストは長いです。トランプ氏は、米国の諜報機関の信頼性の高い推定に公に反論しています。彼は、司法省とFBIの主導者による選択が政治的に動機付けられていると主張しています。彼は司法は彼に対して偏っており、ジャーナリストは人々の敵だと主張しています。圧倒的多数のアメリカ人は議会を信頼していません。政党はさらに離れて成長し、政治の中心は消滅しました – 全民主党員と共和党員のほぼ半数が反対側を「嫌う」と報告しています。ソーシャルメディアは、真実であることに対する人々の信頼をさらに損ないました。その間、トランプは彼の支持者と彼に反対する人々の間の分裂を武器にし、行政機関を政治的な戦場に変え、代表的な民主主義の長期的機能を弱め、そして大多数の国民に、システムが彼らに対して「窮屈」であると説得する。トランプが2020年に敗北した場合、その傾向は鈍化するでしょう。しかし、アメリカのリベラルな民主主義とそれに伴う価値観は、それらの本来のものではありません。誰もハンプティダンプティ(壊れた卵)を元に戻すことはできません。
b – ヨーロッパ
緊急ではありません。進行中のBrexitの大惨事は、誰も出口から恩恵を受けないことを明らかにしました。その結果、National Rally(フランスのNational Front)やLeague(イタリアの旧ノーザンリーグ、どうしてこれらの一番右の党が名前を変え続けているのだろうか)などのユーロ懐疑的な政党がギアチェンジを強いられた。しかし、ヨーロッパにおける現在の傾向のほとんどすべてが、より広範なヨーロッパのコンバージェンスプロジェクトを弱めています。明らかに、イギリス人なしでは、ヨーロッパはそれがあったものではありません。メルケル首相が後継者モードで、ドイツもそうではありません。エマニュエル・マクロン大統領が23%の承認を得て、国家緊急事態に直面し、彼の国内および欧州統合主義者の改革がデッドレターに直面しているため、フランスから期待できることには限界があります。さて、ブリュッセルから権力を奪い取るために、より多くの国家主権を主張したい人々によって支配されている – イタリアと東ヨーロッパの大部分の – 政府について考えてみましょう。5月の選挙の後、より分割された欧州議会を追加してください(Top Risk#4をご覧ください)。そして、欧州は(せいぜい)より細分化された未来、または(最悪の場合)長くゆっくりとした解体を目指します。予期しない緊急事態が発生しないと想定して、ヨーロッパの国々は、経済成長と支出に見合うお金があれば、より簡単にショックに対処することができます。しかし、ベルトを締めなければならないとき、戦いは危機になります。英国の多くがEUを離脱することを投票した理由は、それが長期的には目的に適さないと認識したからです。その点で、彼らは正しいように見えます。
c – 世界的な提携のシステム
それは緊急ではありません。米国は依然として世界の先進国のほとんどにとって重要な同盟国です。そして、それは今年無くなるものではありません。しかし、至る所での米国の同盟関係は弱まっています。トランプ氏は、世界を警備するのはアメリカの仕事ではないと言い、他の国々は彼ら自身の安全のためにお金を払わなければならない。トランプの貿易に対する見解は明らかに一方的なものです。そして米国は共通の価値観の推進から大きく後退しています。確かに、アメリカがアメリカの価値観とは何かについて合意するのは困難です。トランプ政権は3つの分野すべてにおいて、同盟をコルセットと見なしており、それが米国の利益を追求する能力を制限している。それは同盟関係が侵食していることを意味し、そうし続けるでしょう。大西洋の両側での課題を考えると、大西洋を越えた関係は最も粗い形になっています。特に、米独関係や米仏関係は悪化しています。それはNATOとより広い国際秩序を弱体化させる。アジアへの影響は最も少ないです。トランプも政治体制も、中国の台頭のせいで、地域へのコミットメントを続けています。日米同盟は引き続き堅調です。しかし、ここでも、トランプが貿易の不確実性を生み出しながら、米軍の存在を減らすことを好むであろう韓国を見てください。トランプの同盟に対する疑念は、中国の指導者である西ジンピン、ロシアのウラジミール・プーチン大統領、ヨーロッパのポピュリスト、そしてワシントンとの不満を悪用して喜んでいる人々にとっての機会を生み出す。トランプが大統領として2期目を獲得することに失敗するならば、この傾向は遅くなります、しかし、アメリカの力のより控えめな概念とより弱い一連の同盟への動きはトランプが到着するかなり前に始まりました。
d – ポピュリズム/ナショナリズム
緊急ではありません。ほとんどの先進国では、窮地に立たされた選挙権を失った、権力を握っているエリートよりも変化を強制する能力が低い人々が少数派のままであります。政治的な「難局」は略奪されることに抵抗し、ほとんどの政府は過去数十年にわたって持っていたのと同じくらい多くの資源を割り当て続けています。しかし、これらの傾向は、特に資本からの労働への妨害が増大していることを考えると、より有害になりつつあります。「第4次産業革命」はその受益者にふさわしい名前が付けられています – それはより多くの成長とより多くの効率を約束します。しかし、仕事が自動化で失い、新しいスキルを必要とする新しい雇用を見つけるための教育や訓練を受けていない人にとっては、産業革命後の革命です。彼らは自分たちの政治システムが彼らのニーズに合致することができないと信じている拡大するグループの一部になってしまうでしょう。先進工業世界全体でそしてより裕福な新興市場ですっかり陶酔している現在政治的に利用されているこれらの分裂化の傾向は、結果として政府を弱体化しそして政治指導者を非難しながら、今後10年間で激化し広がる可能性があります。米中紛争と共に、これは次の世界的な景気後退によって最も恐ろしく激しくなるであろうリスクです。私たちは1930年代の(世界大不況の)繰り返しを望んでいません。 
 
 
 
●2019年10大リスク
 「地政学的リスクが鮮明化、不況になれば最悪の事態も」
政治リスク分析を行う米コンサルティング会社、ユーラシア・グループは7日、「2019年の10大リスク」を発表し、世界が極めて深刻な地政学的リスクにさらされていると警鐘を鳴らした。同社社長でリーダー国家不在の世界を「Gゼロ」と名付けた政治学者、イアン・ブレマー氏に世界の行く末と日本が置かれた現状を聞いた。
――世界は今、どのような地政学的リスクを抱えていますか。
「Gゼロ」の世界における地政学的リスクは、ゆっくりと迫り、鮮明化しつつある。2018年の世界経済は好調だったが、地政学的には世界情勢は非常に悪い。いわば「地政学的不況」だ。ブレグジット(英国の欧州連合=EU=離脱)や欧州の弱体化、中国の台頭や欧米と対抗するロシア……。それらはすぐに深刻化するわけではないが、中長期的には極めて懸念すべきリスクだ。今後経済不況になれば、地政学的にも最悪の事態が訪れ、本当のリスクが顕在化するだろう。08年の世界経済危機には各国一丸となって対処できたが、そうした危機対応はもはやできない。我々は救命ボートの底に穴を開けているのだ。
――トランプ米政権をどう見ていますか。
トランプ大統領が弾劾・罷免される可能性は低い。弾劾裁判権を持つ上院で与党・共和党が過半数を維持しているからだ。共和党員の間での彼の人気は高い。だが、トランプ氏やその周辺に腐敗や利益相反があるのは明らかだ。トランプ氏は怒りにまかせた愚かな行動を取る。疑惑を追及する民主党議員への報復として彼らのスキャンダルを司法省やFBI(連邦捜査局)を使って調べさせるかもしれない。最高裁判所に関しても、現時点では私は「法の支配」に基づく正しい判断をしていると信じているが、(トランプ氏の圧力によって)将来的にもそれが続くとの保証はできない。トランプ氏のように民主的なルールを拒む大統領は、米国の権力分立をむしばみ、政治機構にダメージを与える。トランプ氏が大統領になる前には存在しなかったリスクだ。
――20年の大統領選でトランプ氏再選の可能性はどれだけありますか。
かなり低い。支持率は低迷している。16年の大統領選で、人々はエスタブリッシュメント(主流政治家や既存政治)に反発し、新しさを求めトランプ氏に投票したが、今はまた別のものを求めている。民主党が「新しい何か」を有権者に提示できれば勝てるだろう。
――東アジア情勢はどうなりますか。
この先20年で最もあり得るシナリオは、経済、軍事、技術的な面で中国が支配的な国家になることだ。日本との間に深刻な問題を抱える相手が突如として支配者になる。韓国は経済的に中国の影響下に置かれ、技術的に中国と緊密化し、より中国寄りの外交姿勢を取るだろう。日韓関係もさらに難しくなる。安倍晋三首相は以前に比べ中国と良い関係を築いていると思う。中国が掲げる巨大経済圏構想「一帯一路」への協力姿勢を示したのも良いことだ。「もはや米国だけに頼ることはできない」と気づいたのではないか。「Gゼロ」時代は10〜20年続き、その後の世界秩序を担うのは米国ではない。中国は唯一の支配国とはならなくとも、支配的な役割を演じるだろう。日本はそうした状況をしっかりと受け止める必要がある。
――安倍政権はロシアとの平和条約締結を目指しています。
平和条約締結交渉は日本が取り組むべき仕事だ。中国の台頭が顕著になる一方で、米国との同盟関係にはかつてほどの固い信頼を置けない。この先日本は人口が減り、軍事的に中国に勝ることもないだろう。そうした中でロシアとの関係で長年の行き詰まりを打破できれば、経済協力や投資を促進するだけでなく、安全保障面でも有利になる。私は日本がロシアと平和条約を締結したからといって、米国との関係が悪化するとは思わない。日本はロシアとの協力関係を強化すべきだ。 
Brexit / ブレグジット
2016年に起こったイギリスのEU(欧州連合)離脱問題のこと。同年6月23日にイギリスのEU離脱の是非につき行われた国民投票にからんで生まれた言葉で、Britain(英国)とExit(退出する)を組み合わせたもの。ギリシャでは財政難などにより12年頃からEU離脱が取り沙汰されるようになったが、その折Greece(ギリシャ)とExit(退出する)から「グレグジット(Grexit)」との造語がつくられ、それにならったものとされている。 
 
 
 
●世界経済「2つのリスク」と消費増税&五輪バブルを抱える日本
1月9日に公表された、世界銀行のエコノミストによる報告書。その「2019年世界経済の成長減速は確定で、減速の度合いは世界情勢次第」という内容を受け、国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんは自身の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』で、米中貿易戦争を筆頭とした世界経済が抱える「複数のリスク」を解説するとともに、日本もその波乱に巻き込まれる覚悟を持つべきと記しています。
世界経済に暗雲(世界銀行)
世界経済は、これからどうなっていくのでしょうか?世界銀行の見通しは、どうなのでしょうか?BBC NEWS JAPAN 1月9日付を参考に見てみましょう。
今年の世界の経済成長率は2.9%と、昨年6月時点の3%から0.1ポイント下方修正。来年は2.8%になるとみており、成長がやや鈍化するとの予測を示した。
世銀の予測によると、世界経済は2019年、2.9%成長。2020年は、2.8%だそうです。バブル崩壊後万年低成長の日本からすると、「悪くない」ように思えますが、しかし…。
しかし、おおむね好調の見通しを懸念が上回っている状況で、下方修正した成長率にも達しない可能性がある。 (同上)
2019年、2.9%に達しないこともあり得ると。
報告書には良いニュースもあった。世銀のエコノミストは、経済成長は鈍化するものの、その落ち込みは「軟着陸」になるとみている。減速は昨年半ばから始まっているが、今のところ「秩序のとれた」減速を維持しているという。 (同上)
なるほど〜。つまり、成長が鈍化していくのは確実。しかし、「秩序のとれた」減速である。つまり、08年のような危機は起こらないだろうと。
米中経済の見通しは?
GDP世界1位アメリカと2位中国は、どうなるのでしょうか?
今後さらに減速が続くと予想されるのは主に富裕国、特にアメリカだが、ユーロ圏や日本に比べれば、アメリカは今後も速い成長を続けると世銀はみている。アメリカの成長鈍化はドナルド・トランプ大統領による減税政策の効果が薄れてきたことが原因で、同国の成長は昨年の2.9%から、2021年までには約半分の1.6%まで落ち込む見通しだ。
アメリカは、2018年の2.9%から2021年には1.6%まで鈍化する。
中国は1980〜2010年にかけて10%の経済成長を維持していたが、2021年までに6%となる見込みで、これは中国経済にとって大幅なギアチェンジを意味する。 (同上)
中国のGDPをみると、世界経済が最悪だった09年でも9.2%の成長。10年には10.61%成長し、「中国の時代が来た!」と確信した人も多かったのです。ところが、2012〜14年は7%台。15年からは6%台まで鈍化しています。しかも中国の場合、公表される統計が信用できない。15年、16年は6%も成長していなかったと主張する人もたくさんいる。高橋洋一先生は、貿易統計から判断して、2015年はマイナス3%ぐらいだろうとおっしゃっていました。公式統計でも、「今後も鈍化傾向はつづいていく」ということですね。
ここまでをまとめると。
• アメリカの成長は鈍化していく
• 中国の成長も鈍化していく
• 世界経済の成長も鈍化していく
となります。
世界経済のリスク
世界経済は鈍化していくものの「ソフトランディングだ」と世銀はしていた。ところが、「ソフトランディングしない可能性」もあるのです。ややこしいですね。
世銀は向こう数年間、世界経済全体でもこうした緩やかな減速がみられると予測している。しかし、複数のリスクのため、予測した通りにはならないかもしれない。その懸念が、今回の経済見通しの「Darkening Skies(暗雲立ち込め空)」というタイトルに反映されている。 (同上)
複数のリスクとは、何でしょうか?「最大のリスク」は、皆さんの予想通り。そう、「米中貿易戦争」です。
報告書は、米中が経済保護策を強化する危険性はなお高く、それが世界の2大国の経済活動を低迷させると懸念を示す。特に中国の成長鈍化は、工業製品やエネルギー、金属などを大量消費する中国に輸出している途上国にとって問題になる。オーネゾルゲ氏は、米中は世界貿易の2割、世界全体の域内総生産(GDP)の4割を占めていると指摘する。もし両国の経済が打撃を受ければ、「世界中でその影響が出る」という。 (同上)
アメリカはGDP世界1位、中国は2位。この二国の貿易戦争が激化すれば、「世界中でその影響が出る」というのは、当然すぎる結論です。
では、両国の貿易戦争は激化するのでしょうか?アメリカは、昨年「中国打倒を決意した」と私は見ています。しかし、両国とも核兵器を大量保有していることから、戦争の形態は変わっている。戦闘ではなく、情報戦、外交戦、経済戦が活発に行われる。そうなると、米中貿易(経済)戦争が激化し、それが世界経済に打撃を与えることになるでしょう。
二つ目のリスクは、こちら。
世銀の予測では、ブレグジット(イギリスの欧州連合離脱)は特に、欧州への輸出に依存する国にとってリスクになる可能性がある。イギリスが欧州連合(EU)との合意なく離脱した場合、英・EU双方が大きな経済的打撃を受ける可能性があり、その余波は東欧や北アフリカにも及ぶという。 (同上)
「合意なきブレグジット」が2番目のリスク。
RPEでは去年から「危機に備えましょう」という話をしています。「米中貿易戦争」「合意なきブレグジット」に加え、日本には「消費税率引き上げ」がある。来年には、「五輪ミニバブル崩壊」も待っている。
「どう備えるか」は各人、各企業ごとに違うでしょう。しかし一般的にいえば、新たな借金はせず、手持ちの現金を増やしておくということでしょうか。
皆さんの会社の社長さんが「日中関係が良くなって来た!さあ中国に出るぞ!」などといったら、是非反対してください。 
 
 
 
●2019年の日本に立ちはだかる「2つのリスク」
アメリカの株式市場が不安定だ。11月6日に行われたアメリカの中間選挙の結果、「ねじれ議会」となることが決定したが、もともと選挙をきっかけにアメリカの政治情勢や経済政策が変わる可能性は低かった。米中首脳の間で電話会議が行われたこともあり、同国の株式市場は「想定どおりの中間選挙」を好感する格好で上昇。一時は10月末までに大きく下落した分の半分程度は取り戻した。
だが、その後はアメリカの通商政策が再び強硬になるなどの懸念から再び株価が下落。トランプ政権の通商政策に加えて、拡張財政を掲げるイタリアとEU(欧州連合)との衝突、政局が不安定化する中でイギリスがEUから秩序を保ったうえで離脱を実現できるか、など複数の政治的懸念材料が世界的な株式市場の上値を抑える要因になっている。
アメリカ経済は依然好調、投資チャンスは継続
もし、これらの政治リスクが市場の不確実性を高めるだけで、株価の趨勢を決する企業利益などの経済動向に影響しないのであれば、これに神経質な金融市場は「押し目買いの機会」を提供していることになる。実際、アメリカの経済指標をみると、4−6月以降年率3%を上回る高成長が続いており、一部の金利敏感セクターを除けばアメリカ経済全体では好調を保っているため、筆者はアメリカの株式市場の投資機会と考える。そして、アメリカの債券市場では、経済への悲観的な見方は大きく強まっていない。
一方、アメリカ以外の国では年央から景気減速の兆候がみられ、例えばユーロ圏の7−9月成長率は前期比+0.2%に低下した。新興国経済の成長停滞が、欧州経済に波及しているとすれば、世界経済全体が再び減速しているシグナルといえるだろう。
10月初旬のアメリカ株を中心とした株式市場の下落は、政治リスクへの懸念の高まりとアメリカの金利上昇がきっかけとなったとみている。もしそうではなく、仮に今後の世界経済の大幅減速を株式市場が予見していることが株安の真因なら、仮に政治への懸念が和らいだだけでは株式市場は簡単には反転しないだろう。世界の総需要の源泉といえるアメリカの個人消費拡大は2019年も続くと筆者は予想しており、上記はあくまで筆者が想定するリスクシナリオだが、以下ではこの世界経済の減速リスクを考えてみたい。
日本経済は世界経済の基調判断材料に役立つ
世界経済の基調を判断する上で、外的要因で景気が左右され易い日本経済は判断材料の一つになる。11月14日に発表された7−9月GDP成長率は前期比-0.3%と、1−3月に続いて今年2度目のマイナス成長となった。7−9月は自然災害が各地で多発し、工場の生産活動や物流が広範囲に停止、さらに外国人観光客の減少をもたらした。
多くのショックが起きるとマイナス成長となるのはやむを得ないし、また、統計精度に問題がある日本GDP統計は景気判断材料としてあまり有用ではないとみている。このため、7-9月期がマイナス成長だったことで日本経済について悲観的にみる必要はないが、それでも2017年度+1.6%と比べると、2018年度は+1.0%前後に成長率が低下しているとみられる。
また、GDP以外の日本の統計をみると、例えば日銀短観で「景気がよい」と回答する大企業製造業の割合は依然として多いが、その割合は2017年12月が最近でのピークとなり2018年9月まで少しずつ低下しており、景気回復の勢いは少しずつ鈍っている。
7−9月までの企業決算を踏まえた、2018年度の企業が想定する増益率がほぼゼロにとどまるなど、特殊要因を加味しても日本経済には鈍さが目立っている。日本経済がやや停滞している背景には、世界経済は緩やかに減速していることが影響している可能性がある。
なお、日本企業の業績停滞と対称的に、アメリカでは、7−9月までの企業業績は、減税の押し上げを除くベースでも2桁増益が続いている。アメリカでは財政政策により成長率が上振れていることが、アメリカの企業業績の拡大が続いている一つの要因である。こうした米日の企業業績の状況を踏まえれば、年初からの米日株のパフォーマンスに10%程度の差があることはほぼ説明できる。つまり、アメリカ株が割高、日本株が割安、とはいずれも言い難いだろう。
2018年の日本経済はやや冴えないが、その一方、日本銀行の金融政策を振り返ると、7月に長期金利に関する誘導目標の変動幅拡大が決まった。フォワードガイダンス導入との組み合わせだったが、それ以降、日銀は、経済・インフレ動向よりも「副作用への配慮」をより重視している、との見方が金融市場では広まっている。
金融緩和政策を徹底することで、2%のインフレ安定を早期に実現することが、金融システムを安定させ、副作用を本質的に和らげると筆者は考えている。実際には、それとは正反対ともいえる、「経済情勢にかかわらず金利上昇を正当化する」という姿勢が強まっているようにみえる。この点について詳細は割愛するが、これは危うい政策姿勢のようにみえる。
2019年の日本の「2つのリスク」
夏場からの日銀の政策スタンスの変化は、為替市場において、はっきりとした円高材料になっていないようにみえる。ただ、2018年は全面的に米ドル高となる中で、ドル円は春先対比では円安に戻ったが、1ドル=110円台と、年初から水準はほぼ変わっていない。
景気加速、インフレ上昇を背景に、利上げを続けるFRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策がドル高を後押しする中で、日銀の金融緩和の姿勢が明確ならば、もう少し円安となっても不思議ではない(ユーロドルは、年初からユーロ安になっている)。つまり、日銀が金融緩和を緩めていることがドル円市場に影響を及ぼし、将来の2%インフレの実現可能性を低下させていることになる。現在の金融政策の枠組みでは、緊縮財政で国債発行が減少する中で金融緩和効果は低下するが、それを日銀は放置しているとも言える。
今後、トランプ政権の通商政策がどうなるかは不明な部分が多い。ただ2019年から始まる予定の日米通商協議において自動車産業への輸出制限などが実現するリスクがある。しかも2019年は、消費増税で緊縮財政政策がさらに強まることになり、日本経済にはダブルパンチになりかねない。
繰り返しになるが、これは筆者のメインシナリオではなく、リスクシナリオである。2019年早々にこのリスクが実現すれば、言うまでもなく、リスク資産全般の投資リターンは総じて冴えないだろう。
ただ、経済成長を高める拡張的な財政政策が続くアメリカ経済の減速はマイルドにとどまり、さらにはFRBが金融緩和に転じる政策オプションがある。一方、日本では2019年の消費増税を和らげる限定的な手段が検討されているだけで、財政政策が景気刺激的に作用する可能性は現状低く、そして日銀も金融緩和強化には距離を置いている。仮にリスクシナリオが実現しても、日本株などよりも、アメリカ株が消去法的に投資対象として選択される状況は続くかもしれない。 
●2019年に日本が抱える経済の7大リスク
「2019年は株価が下落する要素しか思いつかない」「不安材料しかない」
株式市場関係者の声だが、実際に今年のクリスマスはそんな展開となった。アメリカ株がニューヨークダウ平均で600ドル超の大幅下落となり、日本株も日経平均で1000円を超す下落幅を記録するなど、惨憺たる状況で終わった。
アメリカでは、リーマンショック以来の大幅な下げとなり、一部では「暗黒のクリスマス」といった悲観的な表現も飛び交った。クリスマス明けの株式市場では1000ドルを超す史上最高の暴騰となったものの、トランプ政権の方向性のない迷走ぶりに投資家も直面せざるを得なかったともいえる。
もっとも、2019年には世界的な景気後退懸念をはじめとして、アメリカや欧州にはさまざまな不安要素にあふれている。米中貿易交渉や英国の合意なきEU離脱(ハードブレグジット)といったリスク要因があり、そこにトランプ米大統領の気まぐれな政策姿勢が世界に大きな混乱をもたらしている、と言っていいだろう。
そんな状況の中で、日本の2019年はいったいどんな1年になるのか。大混乱の外的要因に加えて、日本国内の内的要因も日本には存在する。日本経済の2019年を俯瞰してみたい。
消費税、五輪バブル、世界同時株安
とりあえずいま直面している世界同時株安だが、その影響は日本市場にも重くのしかかって来ている。アメリカの株式市場が下落すると、それに輪をかけて日本市場も大きく下げるのが通常のパターンだが、今回もその状況が再現されるとみていいのかもしない。
FRB(米連邦準備制度理事会)よる金利の引き上げが、株価下落の最大の要因であることは間違いないが、アメリカの株価下落の影響で、日経平均株価は10月2日には2万4270円という高値をつけていたものの、12月26日にはその高値から15%も下落した。
ニューヨークダウは、10月3日の2万6828ドルから12月24日には2万1792ドルまで大きく下げて、下落率は18%を超えた。そう考えると、日本の株価はもっと大きく下げる可能性が高い。
もっとも、現在の株式市場はほとんどヘッジファンドのAI(人工知能)による投資判断が主流だから、「パウエルFRB議長、解任か?」といったニュースに、AIが反応した株価下落ともいえる。それだけ、トランプ米大統領が発信する「トランプリスク」が市場の混乱を招いているともいえる。
いずれにしても、日本は株価をはじめとして外的要因が大きく作用していることは確かだ。2019年はこうした外的要因に加えて、日本国内の内的要因によって株価や景気が大きく影響を受けるのではないかと言われている。
実際に、金融市場に大きな影響をもたらしそうな外的リスクには何があるのだろうか。大雑把に考えると次の4点に絞られるだろう。
 1 合意なきブレグジットへの懸念
 2 米中貿易協定交渉、日米物品協定(TAG)などアメリカによる一連の保護貿易主義
 3 FRBによる金利引上げ懸念
 4 一連のトランプリスク
合意なきEU離脱(ハードブレグジット)は、早ければ1月中旬にもイギリス議会で採決が行われるが、ブレグジットの承認に至る前に、メイ英首相の不信任案が英国議会に出される可能性が高く、与党の保守党内からの反乱などで承認される可能性もある。メイ首相が不信任となれば、総選挙の実施となり、事態はさらに混乱していく。
ハードブレグジットでデリバティブが不安定に?
ハードブレグジットの最大の懸念は、金融派生商品(デリバティブ)の決済機関の大半がロンドンに集中しているため、デリバティブ商品が不安定になることだ。想定元本6000兆円とも言われており、リーマンショック時の6200兆円に匹敵する金融危機の可能性も否定できない。実態が不透明なのも、混乱に拍車をかける。
アメリカの保護貿易主義に関しては、1月から日米の物品貿易交渉がスタートするが、日本に不利な貿易交渉になるのは避けられないだろう。戦闘機を大量に発注することで交渉を有利にしようとする安倍政権の目論見通りに行けばいいのだが、先行きは不透明だ。
一方のアメリカと中国の貿易交渉の期限も2月末に迫っており、互いに25%の関税を掛け合うような事態になる可能性がある。そうなれば、日本企業への影響は大きくなる。
一連のトランプリスクも、ますます拡大している。シリアから米軍を撤退させるなど地政学リスクにも及んでおり、メキシコの国境に壁を作る予算をめぐって政府機関の一部閉鎖が続いている。トランプ大統領自身にも、ロシア疑惑がいよいよ核心に迫っており弾劾裁判への動きがスタートするかもしれない。株価暴落の要因になるはずだ。
トランプ大統領にリーダーシップがないことは明らかであり、アメリカがいまや世界最大のリスクとなりつつある。アメリカに依存しすぎる日本にとって 2019年は極めて大きなリスクを抱えることになるのかもしれない。
日本固有のリスクが爆発する?
さて、そんな外的要因にさらされている日本だが、2019年にはさらなる国内要因のリスクが存在している。簡単に列記すると次のようになる。
 1 東京五輪バブルの崩壊が始まる
 2 消費税率アップによる景気減速リスク
 3 日銀の金融政策の機能不全
まずは東京五輪のバブル崩壊だが、周知のようにオリンピックにはバブル崩壊がつきものだ。21世紀になってからのアテネ、北京、ロンドン、リオデジャネイロといった歴代の五輪でも、開催決定直後から株式市場などは上昇するものの、早ければ実際の開催から数年前、遅くとも五輪開催直後から株価下落、景気減速するケースが多い。
たとえばアテネの場合は2000年に起きたITバブル崩壊の影響を受けて、アテネ総合指数の株価は6000ポイントから1000ポイント台まで下落。五輪開催時には2500ポイント前後に戻して、その後は順調に推移した。
しかし、最近の傾向としてはオリンピック開催前後の景気減速が当たり前で、投資が集中する開催前の2〜3年をピークに、開催の半年前ぐらいから景気減速が始まることが多い。とは言え、その大半はオリンピックの開催とは関係のないITバブル崩壊やリーマンショックといった経済全体の動きに左右されることのほうが多い。
唯一の例外は2000年のシドニーぐらいで、五輪の準備中から開催後も含めて株価や経済全体が上昇基調となった。オーストラリアのシドニー・オリンピックが比較的影響を受けずに済んだのは、2000年をピークとしたITバブルで世界中の景気が高騰していた時期と重なり、さらにITバブル崩壊の影響を資源国「オーストラリア」は、さほど受けなかったからかもしれない。
既存の建物を活用するなど、財政的な負担を極力抑えたロンドン五輪では、残念なことに開催した2012年までの間にリーマンショックを迎えたため、一時期は大きな株価低迷、景気減速となった。五輪開催後はリーマンショックからの立ち直りで、世界的に景気が拡大し、五輪の影響は最小限に済んだと言われる。
東京オリンピックは、当初5000億円程度の予算と言っていたのが、 いつのまにか2兆9600億円の規模になっており、15万人の雇用創出を生むという内容に変化した。都内で人手不足の元凶になっているのは、東京五輪の経済効果なのかもしれない。
もっとも、日本の場合は政府が意図的に五輪バブルを演出しており、2次的な波及効果も合わせれば5兆円規模と言われているが、早ければ開催日である2020年8月の1年前ぐらいから景気減速が見えてくるかもしれない。オリンピック関連施設などが次々に完成してくる段階で、建設現場での雇用などが失われていくことになる。
そもそも5兆円規模の経済効果といえば、日本のGDPの100分の1程度だから、経済効果は期待薄。最近のオリンピックに経済効果はない、と言われるゆえんだ。特に、先進国には経済的なメリットは少ない。それが分かっていながら、政府は意図的にバブルを演出しており、国民の意識の中に消費拡大を浸透させようとしている。
東京都は2030年までのレガシー効果などを含めて32兆円の経済効果があると試算している。仮に32兆円あったとしても、日本経済全体からすればたいしたことのない数字と言える。2020年の本番前に少なくとも直接的な経済効果は吹き飛ぶ可能性がある。
2019年は、アメリカの景気後退も顕著になってくるはずだから、日本では五輪バブル崩壊と合わせて意識的な消費低迷が加速する可能性がある。わずか2週間程度のイベントのために、莫大な公共投資を集中して行うのがオリンピック。言い換えれば、景気刺激策としては絶好の好機なのだが、その反動は避けられない。
過剰な消費税率アップ対策、逆に景気抑制効果か?
2 の消費税率アップに伴う景気後退懸念だが、政府は食料品など一部の商品に対しては8%の税率を維持。加えて、キャッシュレスによる買い物に対してポイント還元するなど、消費税率引き上げのショックを和らげようと必死になっている。消費税率アップの影響がどの程度出るのかは未知数だが、 はっきり言えることはわずか2%の消費税率アップのために民間企業は各種の対応に追われ、大きな負担を強いられるということだ。
大衆迎合的なバラマキをするぐらいなら、政府や地方自治体のペーパーレスや印鑑レスといった作業効率のアップを測ったほうがよほど経済効果が見込めそうなものだ。医療制度の効率を図るためにスマホによる処方箋の処理を解禁するなど、スマホ社会に適合した規制緩和をどんどん推し進めて行く方がよほど経済効果は高いだろう。
3 の日銀の金融政策機能不全というのは、世界中で今後の景気減速が懸念されている中で、日本だけが金利引き下げや量的緩和できる余地を持っていない状況のことだ。景気減速に対応できる金融政策が打てないことを意味しており、日本だけが他の国よりも大きく減速する可能性があるかもしれない。
さらに、日銀はこれまでETF(上場投資信託)を通して購入した株式などの金融資産を大量に保有しているわけだが、日経平均株価が1万8000円を割り込むと、購入した価格よりも割り込む元本割れの状態となり、日銀が大量の不良債権を抱えることになってくる。
日銀の信用が落ち込んで、日本銀行発行券=円の価値が大きく下落する可能性が出てくる。黒田東彦・日銀総裁が心配する1ドル=125円の壁を大きく突破してしまう可能性もあるということだ。そうなれば原油価格が大きく落ち込んではいてもガソリン価格は上昇し、 輸入品の価格も大きく上昇することになる。
景気が悪い中でのインフレ=スタグフレーションが2019年には心配されるということだ。
日本が抱える最大のリスクは「財政赤字」!
さて、2019年がどんな1年になるのかは正直言って誰にも分からないことだが、その対応を考えることは大切だろう。アメリカ経済の景気減速が心配されている中で、急激な円高も予想されるし、逆に日本の景気減速が想定範囲を超えれば、次は円安が心配になってくる。
日本経済にとって最大のリスクは何かということを考えておくべきだろう。東京オリンピックの経済効果が薄れてくる2019年の後半には、何が起こるのか。インフレ率2%を達成させるために、安倍政権は6年もの間、450兆円もの莫大な資金を中央銀行を通して市中に流してきた。
この流動性を縮小しなければならない期限も2019年あたりから始まる可能性がある。日銀の金融政策で残されたものと言えば、実際にヘリコプターから現金をばらまくことぐらいしかない、とも言われている。
急激な円安が進んで輸入インフレが起これば、日銀はインフレ抑制のために金利を引き上げなければならない。金利上昇のためには、現在の異次元の量的緩和を中止しなければならない。そもそも日銀が国債を買い入れることで、銀行などに大きな負担をかけ続けてきた。
ややもすると忘れられがちだが、日本経済にとって最大のリスクは、昔も今も1000兆円を超す財政赤字であることだ。その事実を忘れてはならない。 
 
 
 
●2019年世界経済「2つの危機」
国家間の経済競争は駆けっこというより、ミス・コンテストに似ている。どの国の経済も美しい「見掛け」をアピールするのに必死だ。新しい年が始まったばかりだが、2019年のミス・ワールドは既に決まったようなもの。そう、今年も昨年に続き栄冠に輝くのはアメリカだろう。
米経済の現状は決して良くない。昨年末から株式市場は大荒れに荒れているし、所得格差や債務問題は未解決のまま。トランプ政権の経済政策は迷走を続け、中国との貿易戦争が凶と出るのは明らかだ。
それでも「各国経済の荒れ模様と比べたら、アメリカは一番ましだ」と、ピーターソン国際経済研究所(PIIE)のアダム・ポーゼン所長は言う。「米経済もどんどん悪化しているが、まだ優位にある」
ドナルド・トランプ米大統領の暴走で今年は世界経済がさらに大きな痛手を受けると、ポーゼンはみている。「設備投資は今以上に冷え込むだろう。アメリカも例外ではないが、それでも当面は相対的な優位を保てる」
確かに、競争相手は目を覆うばかりのひどい状況にある。まず危ぶまれるのは欧州経済だ。イギリスはEU離脱で袋小路に追い込まれ、EUはイタリアの規律なき予算案に手を焼くなど、またもや存続の危機に陥っている。
中国も危機の火種になりかねない。アメリカとの貿易戦争の激化で経済成長は失速。中国企業の過剰債務という爆弾は今年中に爆発する危険性があると、多くの専門家が懸念している。
そうしたなかでアメリカは「成長率、景気拡大の持続、失業率、インフレ圧力の抑制と、どれを取っても悪くない」と、IMF調査局のジャン・マリア・ミレシフェレッティ副局長は言う。それに比べ、欧州経済は「予想以上に急速に成長率が低下している」。さらに米経済は「完全雇用の状態では前例のない、非常に強力な景気刺激策」に支えられていると、ミレシフェレッティは指摘する。
トランプはミス・ユニバースの共同運営権を保有していたこともあり、ミスコンには詳しい。米経済が栄冠を手にするのは「経済の奇跡を起こした」大型減税のおかげだと主張。手柄を独り占めしようとしている。
だがトランプは既に好調だった経済に減税と規制緩和でバブル気分を吹き込んだだけで、その功績はほぼゼロ。それどころか貿易戦争を仕掛けて、逆風を起こしつつある。
トランプはここ数十年で最も幸運な大統領かもしれない。前任者が8年間の任期中にせっせとまいた種が実を結ぶ頃に就任し、収穫する立場になれたからだ。オバマ政権の政策のおかげで米経済は順調に回復、今夏にも景気拡大の最長記録を樹立する勢いだ。
長期に及ぶ景気拡大を可能にしたのは2008年の金融危機そのものでもある。深刻な経済危機は通常の景気変動とは異次元の景気後退をもたらす。通常の不況なら、回復の兆しが見えればすぐに消費が拡大するが、経済危機後は冷え切った消費や投資意欲が上向くのに時間がかかり、その代わり軌道に乗れば安定した回復が長く続く。
問題はトランプ政権が所得格差にほとんど何の手も打っていないこと。そのために起きる社会的・政治的混乱が米経済の足を引っ張る恐れがある。大型減税で主に企業と富裕層が潤う一方、輸入品への高関税と移民の流入制限は長期的に経済に打撃を与える。トランプ政権の経済政策は「ステロイド剤を打つようなもの」と、ハーバード大学のケネス・ロゴフ教授(経済学)は言う。「何年か好調を謳歌できても、手痛いしっぺ返しを食らうことになる」
それでもなお、近い将来に実体経済が悪化する恐れがあるのはアメリカ以外の国々だ──多くの専門家がそう口をそろえる。これまで世界経済の成長を引っ張ってきた中国だが、専制的で内向き志向に傾く習シー・チンピン近平国家主席が自国経済の失速に対応できるか、あるいは中国企業の「桁外れに膨張した債務」を解消できるか、かなり危うい状況だと、コロンビア大学のアダム・トゥーズ教授(歴史学)は指摘する。
米中貿易戦争の激化を受けて、IMFは中国経済の2019年の成長率予想を6.2%に下方修正した。大半の国にとっては十分高い成長率だが、中国政府が国民の不満を抑え込むにはもっと急速な成長が必要だ。
インドとASEAN諸国の経済は安定しているようだ。中南米は「苦戦中」だと、IMFのミレシフェレッティは言う。アルゼンチン経済は失速、ブラジル、メキシコも不調で、ベネズエラは既に破綻している。日本経済は超低空飛行を続けているが、人口の減少を考慮すれば1%前後の成長率でもそれほど悪くない。ただし、国家が抱える膨大な借金や消費税の増税といったリスク要因はある。
悪化が際立つのはEUだと、PIIEのポーゼンは言う。「反EU感情と経済ナショナリズムが吹き荒れる状況を見れば、米経済のほうがまだましだと言いたくなる」 
 
 
 
●2019年世界経済「EU発の危機」の不気味な現実味
政治の行方は結局のところ経済によって決まると、よく言われる。だが、2019年のヨーロッパ経済の行方を占うときはその反対、つまり「経済の行方は政治によって決まる」と言うほうが、極めて現実に近いように感じられる。
ユーロ圏を取り巻く世界経済は、つい最近まで楽観論と自信に満ちていた。ところが今は不安と不透明感ばかりが目立つ。そして不透明感ほど市場が嫌うものはない。
表面的には、全てが好調に見える。2008年のアメリカのサブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅ローン)危機に端を発した世界同時不況から10年。EU経済もついに本格的に立ち直り始めたかに見える。
かつてベン・バーナンキ元FRB議長は、量的緩和(QE、利下げだけでなく国債などの資産を買い入れることで市場に資金を直接供給する方策)という究極の資金供給策と、政府の思い切った景気刺激策がなければ、2008年の不況は1930年代と同レベルの大恐慌に発展していただろうと語っている。アメリカは歴史的に「市場の見えざる手」を宗教的と言っていいくらい信奉してきたが、あのときばかりは量的緩和と政府の景気対策という「劇薬」を(しぶしぶ)飲んで危機を乗り切った。
ヨーロッパがこの劇薬を飲むのは遅かった。それでも2015年3月、イタリアなどの公的債務危機に直面したECB(欧州中央銀行)は、いつもの臆病な態度を捨てて、量的緩和に踏み切った。そして2018年12月、マリオ・ドラギECB総裁は、この量的緩和の終了を宣言した。
ところが市場はこの決定を時期尚早と判断し、市場ではユーロが売られた。しかもドラギは10月末に任期満了を迎える予定で、後任総裁がどの国出身者になるかという政治的要因が、ユーロ圏経済の見通しを一段と悪くしている。さらにイタリアの財政問題が、ここ数カ月はヨーロッパ経済の成長の足を引っ張っている。
ただ、イタリア経済よりも深刻なのは、EUの存在自体が内外から大きな脅威にさらされていることだ。
合意なきブレグジットの衝撃
EUは1951年、加盟国間で石炭と鉄鋼の関税を撤廃して、共同市場を形成する純粋な経済共同体としてスタートした。だが今、この経済共同体の根幹が脅威にさらされている。なかでも明白な脅威は、イギリスのEU離脱(ブレグジット)だ。ブレグジットが最終的にどのような形を取るかは、EUとの関係を緩和したい他の加盟国の態度に大きな影響を与えるだろう。
EUとイギリスは「離婚条件」について協議を重ねてきたが、たとえ合意がまとまらなくても、EUのルールにより、イギリスは3月29日に自動的にEUを離脱することになっている。それによってイギリスが受ける打撃が大きいほど、同じ道を選ぶ加盟国は減るだろう。だが、ブレグジットで傷を受けるのはイギリスだけではない。
イギリスがEUとの合意がないままEUから離脱すれば、その後のEUとの貿易にはWTO(世界貿易機関)の関税ルールが自動的に適用される。これは英経済に壊滅的な打撃を与え、その経済規模は2030年までに3.9%縮小するだろう。その一方で、ヨーロッパの輸出も大打撃を受け、ヨーロッパ経済全体が大きなダメージを被るとみられている。
IMFは2018年7月、EUとの合意なしでブレグジットが実現した場合、EUのGDPは1.5%(約2500億ドル)縮小し、雇用は0.7%(100万)失われるとの見通しを示した。また、このダメージから立ち直るには5〜10年かかるとしている。
イギリス以外のEU27カ国のうち、ブレグジットの最大の打撃を受けるのは、対英輸出の57%を失うことになるドイツだ。一方、GDPの減少幅で見ると、ベルギーが最大のダメージを受ける。対EU輸出がほぼ全てイギリスを経由するアイルランドの経済も4%縮小するだろう。これにオランダとルクセンブルクが続く。ただ、欧州復興開発銀行(EBRD)は2018年11月、合意なしのブレグジットの場合、最大の打撃を受けるのはスロバキア、ハンガリー、ポーランド、リトアニアだとの見方を示している。
EUの拡大はほぼストップし、これまで加盟交渉を続けてきたトルコやマケドニア、モンテネグロ、アルバニア、セルビアは順番待ちの列に据え置かれ、自由貿易圏の拡大がEUに繁栄をもたらすのもお預けになる。
かつて、アメリカがクシャミをすると世界全体が風邪を引くと言われたものだが、グローバル化によって世界経済の相互依存が進んだ結果、主要経済圏が鼻風邪を引くと、世界全体がハンカチに手を伸ばすようになった。つまりヨーロッパの貿易が縮小すれば、貿易相手国の経済にも危機が及ぶはずだ。
現在の世界の3大経済圏はEU、アメリカ、そして中国だ。EUは毎年、世界の富の約4分の1を生み出している。人口5億1300万人の1人当たり平均年間所得は3万7800ドルで、域外貿易は中国やアメリカよりも盛んだ。そんなヨーロッパ経済がつまずけば、すぐに世界に影響が及ぶだろう。
リーダーシップも失われて
経済低迷の懸念と同じタイミングで発生しているのが、EUのリーダーシップの不在だ。欧州の政治的統合の暗黙のリーダーであるドイツのアンゲラ・メルケル首相は、任期満了を迎える2021年に退任するとの意向を示している。もはや死に体となった身であり、ドイツは今後3年間、舵取り役を失うことになる。
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は繁栄する力強い統合ヨーロッパという明確なビジョンを掲げ、EUにおいてメルケルの後を継ぐ意欲を表明してきた。だが、その彼を国内からの反発が襲っている。大規模な抗議デモを繰り広げた「黄色いベスト」運動を受けて、制約だらけの雇用・貿易慣行を無効化する経済改革の多くは断念せざるを得なくなった。
最低賃金の引き上げや燃料税引き上げの延期といった譲歩は、短期的にはフランス経済を活性化させるかもしれない。とはいえ群衆の圧力に屈しては、市場はマクロンの手腕に信頼を持てない。こんな人物に、豊かな北部と貧しい南部、リベラルな民主主義が主流の西部と独裁度や反EU傾向が強まる東部に分裂する今のヨーロッパを率いることなどできるのだろうか──。
有権者の間にどれほど反EU感情が存在するかは、5月に行われる欧州議会選挙で明らかになるはずだ。現時点ではポピュリスト勢力が過半数議席に迫る見込みは薄いものの、ドナルド・トランプの米大統領選勝利やブレグジットを決めた英国民投票、欧州各国議会での極右勢力の台頭が示すように、今は政治的変動の時代。加えて、欧州議会から中道志向のイギリス人議員が去れば、影響力はありながらも権力はあまりないEU機関は不安定と不確実性の波にのみ込まれかねない。それこそ、市場が恐れる事態だ。
EU内部の問題と併せて、世界全体でグローバル化への幻滅が大きな流れになっている。マーガレット・サッチャー元英首相やビル・クリントン元米大統領ら、前世代の指導者が主導したグローバリゼーションは関税を撤廃して自由貿易を促進し、巨大で閉鎖的な中国やインドの市場をこじ開けた。
グローバル化の衝撃は、欧米の半熟練・非熟練労働者にとって特に厳しかった。彼らの存在はアジアの安価な労働力によって不要になり、そのせいで外国人嫌悪や反移民感情が膨らんだ。EUの繁栄をもたらした経済論理の核である労働者の移動の自由は今、かつてない攻撃にさらされている。
ロシアとの戦争が勃発したら
デジタル革命の力で、携帯電話を手にした途上国の市民は先進国との間の富の格差をその目で見ることになった。よりよい生活を求めてアフリカやイラン、アラブ諸国から欧州やアメリカを目指す経済移民が急増し、それがまた欧米の労働者の怒りをあおる。憤る彼らが共鳴するのがトランプ、ブレグジット派、イタリアの五つ星運動などのナショナリズム的な主張だ。
ヨーロッパの覇権を揺るがす難問の山は、つい最近まで続いたEUの繁栄は継続するという確信に疑問符を突き付ける。おまけに、それでもまだ足りないとばかりに、トランプ米政権は自由貿易協定から離脱したり中国との貿易戦争を始めたりしている。欧州の指導者や投資家にとっては、今後も製品・サービスの輸出ができるのかと不安になるしかない状況だ。
最後の懸念材料は、第二次大戦終結以降で初めてヨーロッパで戦争が勃発する可能性が出てきたことだ。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は2014年にウクライナ東部に侵攻し、クリミア半島を併合。2018年11月にはウクライナの艦船と乗組員を拿捕したが、いずれの行動もEUやアメリカからはいわば見逃されている。
かつて戦争は不景気の特効薬とされた。第二次大戦によって世界は大恐慌から抜け出し、ベトナム戦争による支出増で米経済は上向いた、と。しかし、これは神話にすぎない。
確かに、10年に及ぶ世界恐慌の後に起きた戦争で兵士や兵器工場労働者の需要が膨らみ、アメリカは完全雇用を回復した。だが世界全体で見れば、敗戦国の日本やドイツをはじめ、膨大な数の命が失われ、いくつもの都市が丸ごと破壊されて産業が壊滅した。そのコストの規模は第二次大戦の「景気刺激効果」をはるかに上回る。
インフラ改善や民間企業への投資ではなく戦争遂行に資源や人的労力を費やすのなら、軍事費という支出は経済的にほぼ無駄になる。カネや人材は戦争以外に使うほうがずっといいはずだ。
つながり合う現代の世界では、戦争は繁栄を阻害する。プーチンがウクライナを再びロシアのものにするという野望に向けて前進すれば、ヨーロッパの東端で泥沼の戦争が起こると想定される。その戦線はバルト3国など、プーチンが目を付けるほかの旧ソ連構成国にも広がるだろう。
「アメリカ・ファースト」を唱える紛れもない孤立主義者、約70年にわたってヨーロッパの平和を守ってきたNATOに懐疑的な人物が米大統領である現状では、戦争勃発で欧州がたちまち景気後退に陥ることもあり得る。
政治学者フランシス・フクヤマは1992年、ソ連崩壊は「歴史の終わり」であり、リベラル民主主義と資本主義が勝利したと書いた。その説を信じた人々にとって、第一次大戦終結から1世紀が過ぎたヨーロッパ、そして世界に広がる混乱は不可解でしかない。欧州市民は今や突然、かつての確実性とかつての同盟関係が崩れ去る不安な世界のただ中に放り込まれている。
今年中、あるいは来年にもヨーロッパで不況は起きるのか。制御不能な事態になるとの見通しが生まれたとき、それは確実に起こる。 
 
 
 
●世界経済に「暗雲」 世銀、今年の経済見通しで警告
世界銀行は8日に発表した世界経済見通しで、世界経済には「暗雲が立ち込めている」と説明し、拡大するリスクを警告した。
今年の世界の経済成長率は2.9%と、昨年6月時点の3%から0.1ポイント下方修正。来年は2.8%になるとみており、成長がやや鈍化するとの予測を示した。
しかし、おおむね好調の見通しを懸念が上回っている状況で、下方修正した成長率にも達しない可能性がある。
報告書には良いニュースもあった。世銀のエコノミストは、経済成長は鈍化するものの、その落ち込みは「軟着陸」になるとみている。減速は昨年半ばから始まっているが、今のところ「秩序のとれた」減速を維持しているという。
今後さらに減速が続くと予想されるのは主に富裕国、特にアメリカだが、ユーロ圏や日本に比べれば、アメリカは今後も速い成長を続けると世銀はみている。
アメリカの成長鈍化はドナルド・トランプ大統領による減税政策の効果が薄れてきたことが原因で、同国の成長は昨年の2.9%から、2021年までには約半分の1.6%まで落ち込む見通しだ。
ギアチェンジ
中国では2010年ごろに始まった経済成長の減速が続いているが、新興市場や発展途上国での成長はペースを上げると予想される。
中国は1980〜2010年にかけて10%の経済成長を維持していたが、2021年までに6%となる見込みで、これは中国経済にとって大幅なギアチェンジを意味する。
今回の経済見通しの主著者、フランジスカ・オーネゾルゲ氏はBBCの取材に対し、「中国では、これまでより長期的に安定した成長を目指し、政策主導で非常に慎重に、意図的に成長減速が行われている」と説明した。
世銀は向こう数年間、世界経済全体でもこうした緩やかな減速がみられると予測している。しかし、複数のリスクのため、予測した通りにはならないかもしれない。
その懸念が、今回の経済見通しの「Darkening Skies(暗雲立ち込める空)」というタイトルに反映されている。
いくつかの暗雲は、おなじみのものだ。
国際的な商取引はすでに弱体化しているし、米中貿易摩擦を筆頭に様々な貿易紛争も大きなリスクのひとつだ。
アメリカと中国は世界の2大経済国だ。世銀は、両国が昨年新たに導入した関税によって、世界貿易の2.5%が影響を受けたとの試算を発表した。さらに、提案された追加関税が実施されれば、影響を受ける割合は倍になるとみている。
報告書は、米中が経済保護策を強化する危険性はなお高く、それが世界の2大国の経済活動を低迷させると懸念を示す。
特に中国の成長鈍化は、工業製品やエネルギー、金属などを大量消費する中国に輸出している途上国にとって問題になる。
オーネゾルゲ氏は、米中は世界貿易の2割、世界全体の域内総生産(GDP)の4割を占めていると指摘する。もし両国の経済が打撃を受ければ、「世界中でその影響が出る」という。
世銀は両国の景気が後退するとは予測していないが、アメリカが来年にもその方向へ向かう可能性があるとする声もある。ただしそれは、世界的な不況のリスクが急激に高まった場合だ。
報告書によると、世界不況発生の年間リスクはこれまで7%だったものの、アメリカ経済が下降すれば、その可能性は50%まで上がるという。
ブレグジットのリスク
金融市場も世界経済にとってのリスク要因だ。市場混乱の可能性は高まっている。アメリカでさらに政策金利が上がったり、米ドルが急上昇したりすれば、新興国や発展途上国に影響が出るだろう。
世銀の予測では、ブレグジット(イギリスの欧州連合離脱)は特に、欧州への輸出に依存する国にとってリスクになる可能性がある。イギリスが欧州連合(EU)との合意なく離脱した場合、英・EU双方が大きな経済的打撃を受ける可能性があり、その余波は東欧や北アフリカにも及ぶという。
世銀の比較的前向きとも言える見通しの中でも、一部の発展途上国に対する評価は悲観的なものだった。世銀は正に、こうした国を助けるために存在している。
こうした国々の約3分の1が、先進国の生活水準に「追いつく」ために必要な国民1人当たりGDP成長率を確保できていないという。
さらに、サハラ以南アフリカの国民1人当たり成長率は1%未満で、貧困撲滅で大きく前進するには不十分だと世銀は指摘している。 
 
 
 
 
 
  


2019/1
 
 
 
 
BREXIT
●離脱後のEU・英国関係はどこに向かうのか
英国は2019年3月29日をもってEU(欧州連合)から正式に離脱する。残り1年を切ったものの、その先行きはいまだ不透明である。そこで以下では、離脱交渉の現状と、英国のEU離脱(Brexit)をめぐる争点を改めて整理し、残り一年を切ったなかで、EU・英国関係がどこに向かうのかを考えたい。
最大の争点としてのアイルランド国境問題
英EU離脱交渉に関して、各種報道では英国側の内部分裂やEU・英国間対立の側面が協調され、交渉は難航しているといったイメージが強い。確かに難航・停滞している部分もあるが、事務的に着々と進められている分野も少なくない。EUが発表した2018年3月時点の離脱協定ドラフトの全文(計130ページで、進捗状況別にテキストが色分けされている)を見ると、かなりの部分で交渉がまとまりつつあることが分かる※1。双方におけるプロフェッショナリズムは安心材料であろう。
離脱に伴う清算金やEU市民の権利の問題などの政治的争点については、2017年12月に基本的な方向性が合意された※2。それを受けて離脱交渉は、移行期間や離脱後の関係に関する第2段階へと進むことになった。これまでの交渉を振り返れば、まずは英国が非現実的な立場を示し、EU側はそれを受け入れ不能として拒否し、後に英国が譲歩するという経緯を辿ってきたといえる。350億ポンドから390億ポンド(5兆4千億から6兆円)と見込まれる清算金支払いに関する合意はその象徴的なものだった。
そして、現時点で最も困難な課題として浮上したのが、英国の一部である北アイルランドとアイルランド共和国の間の国境問題である。アイルランド島の一部が北アイルランドであり、英国のEU離脱後は、これがEUの内と外を隔てる国境となるため、通関などの貿易面でも物理的管理が必要になる。しかし、人の移動を含め、アイルランドと北アイルランドの間にそうした国境――「ハード・ボーダー」――を設けずに、自由な往来を保証することは、1998年の北アイルランド和平合意(「グッド・フライデー合意」)の重要な要素の1つであり、これを損なえば和平全体を脅かすことになりかねない。
しかし、英国がEUから離脱し、EUの単一市場および関税同盟からも離脱する場合、アイルランド国境を現状のまま、すなわち物理的な管理なしのままに維持することは、原理原則上、想定しにくい。英国政府はこれまで、車両のナンバープレートの自動認識やオンラインでの通関書類審査など、技術革新によって物理的な国境管理の導入を回避する案に言及してきたが、依然として具体性を欠いているのが現実である。
EU加盟国のスウェーデンと、EU非加盟のノルウェーとの間では、実際にトラックについては停車しての物理的な通関手続きが行われている。しかも、スウェーデン・ノルウェー間の道路による国境ポイントは40箇所であるのに対して、アイルランド国境を越える道路は275箇所存在する※3。しかも、ノルウェーは関税同盟には入っていないものの、EU単一市場の一部であり、各種の規制などはEUと同一である(技術的な整理としては、関税同盟に入っていないために、通関手続きが必要ということになる)。
2017年12月の時点でEUと英国は、現状の国境態勢、すなわち自由な往来を維持することへのコミットメントを示し、英国政府はそのための提案を行うとされたが、同問題に関する合意が得られない場合は、北アイルランドに特別な地位を付与し、EU単一市場・関税同盟における諸規則を適用することでアイルランド国境のハード・ボーダー化を回避するとの方向性で合意した。2018年3月の時点でメイ首相は、トゥスク欧州理事会議長宛の書簡で、前年12月のコミットメントを再確認している※4。しかし、具体的な提案をすべきは英政府であり、ボールは英国側にある状況が続いている。
英国の直面する「トリレンマ」
これに関して英国が抱える問題は、在ロンドン・欧州改革研究所(CER)のスプリングフォード(John Springford)副所長が指摘するように、「トリレンマ」である※5。つまり、(1)英国全土一体としてのEU離脱、(2)単一市場・関税同盟からの離脱、(3)アイルランドにおける「ハード・ボーダー」回避、の3つを同時に達成することはできず、どれか1つを断念し、残りの2つを選択しなければならないということである。
つまり、(3)の国境問題の解決が譲れないとすれば(あるいは技術革新で解決できないとすれば)、北アイルランドのみ、ないし英国全体を単一市場・関税同盟に残留させるかしかないが、北アイルランドのみを特別扱いすることは、英国の一体性を損ねるという政治問題に直結する。すなわち、(1)の英国全土一体としての離脱ができなくなる。北アイルランドと英国の他の部分(イングランド、スコットランド、ウェールズ)との間に事実上の国境が誕生してしまう。
加えて、英国のメイ政権は、保守党単独では下院の過半数を有しておらず、北アイルランドの右派政党である民主統一党(DUP)の協力のもとで政権が維持されている状況にある。DUPは、北アイルランドのみがEUの単一市場・関税同盟に残留するような案には強く反発している。北アイルランドの英国からの切り離しに近いからである。そのため、メイ首相がこの選択を行うことへの政治的ハードルは極めて高い。
また、これまでのところ、保守党内でのいわゆる「メイおろし」の動きはほとんど見られないものの、北アイルランドのみ、ないし英国全土が単一市場・関税同盟に残留といった提案がなされる場合には、強硬離脱派の反発は急激に高まり、政権基盤は一気に流動化する可能性がある。アイルランド国境問題は、英内政にも直結するがゆえに、メイ政権としても容易には動けないのである。
他方で、こうした事態を受け、穏健離脱派の間では、北アイルランドのみを単一市場・関税同盟に残留させ、英国の国家としての一体性が損なわれるよりは、英全土を単一市場・関税同盟に残留させるべきであるとの議論が活発になっている。上述(2)を諦めるとの選択肢である。これは2017年の時点でメイ政権によって明確に否定されたが、アイルランド国境問題をきっかけに再浮上した。与党保守党内にもこの方向を支持する議員は一定数存在するため、下院における議論の行方から目が離せない。
離脱後のEU・英国関係は・・・
国際的視点からやはり焦点となるのは、離脱後のEU・英国関係、なかでも特に経済関係の行方である。これについては、単一市場・関税同盟への残留が否定される以上は、何らかの形の自由貿易協定(FTA)になるものとみられるが、具体的な中身や枠組みの行方は依然として不透明である。英国側は、自国の国力に鑑みても、既存のモデルの適用ではなく、特別な(bespoke)枠組みが必要になるとの立場を繰り返し訴えている※6。
EU側でも、英国の特殊性、EUにとっての重要性に鑑み、従来の事例にとらわれない制度構築に応じるべきだとの見解が存在する。しかし、人の自由移動や欧州司法裁判所(ECJ)の管轄権の拒否、独自の規制権限の確立などの英国のいわゆる「レッドライン(譲れない要求)」を踏まえれば、可能な形態が限定されてしまうのが現実である。
これは、EU側が「見せしめ」のために英国に意地悪をしている結果ではない。非加盟国が、加盟国としての義務を果たさずに、加盟国と同様の利益を享受することができないのは当然であるし、単一市場が正常に機能するためには、統一的な規制が必要であり、その履行にECJが一切関与しないことは考えにくい。結局、EU側としては英国のレッドラインを踏まえたものを提案する他ないのである※7。この意味でもやはりボールは英国側にあるといわざるを得ない。
以下の図は、離脱交渉のバルニエEU側首席交渉官が2017年12月の欧州理事会に説明のために提示したものである。英国の要求を踏まえれば、カナダや韓国との関係のようなものになる他ないとの結論が示されている。将来のEUと英国との関係が、ウクライナやトルコとの関係より下位になり兼ねないとの評価は、英国のみならずEUにとっても衝撃的だったであろう。FTA締結もできない場合は、WTO(世界貿易機関)のルールが適用されることになる。    (図略)
それぞれのシナリオにおける経済的影響の試算は、さまざまな研究機関が行ってきたが、2018年に入って、政府が秘密裏に行ったインパクト評価の結果がリークされた。内容が暫定的且つ機微であるとして、議会においても、コピーや写真撮影を禁止して議員に開示されたものだったが、全文がリークされ、その後、公開要求に抗しきれなくなった政府が公開した※9。
これによると、今後15年間のGDP成長を踏まえたうえで、ノルウェーのようなEEA(欧州経済地域)への参加に準じる枠組みの場合で、GDPへの影響の中央値がマイナス1.6%(マイナス0.6-2.6%)、FTA締結で同マイナス4.8%(マイナス3.1-6.6%)、WTOシナリオでマイナス7.7%(マイナス5.0-10.3%)となるなど、いずれも厳しい数字が示された。
離脱方針の撤回は非現実的
いかなるシナリオにおいても経済的には損失であることは、政府関係者や専門家の間では以前から常識だったが、政治的にも覆い隠せない状況になったのだといえる。そうであれば、英国はEU離脱を思いとどまる、すなわち離脱の決定を撤回するのではないかとの期待を、英国内のEU残留派や日本を含めた諸外国が有するのは自然なことである。しかし、それはもはや非現実的である。この点を確認しておきたい。
第1に、EU離脱派の論点はそもそも経済的利益の追求ではなかった。一部において、EUへの拠出金が問題にされ、その分を国民保険サービス(NHS)に回すとの主張もあったが、経済的な損得勘定よりも、移民規制や主権といった象徴的価値が上位に置かれたのが国民投票結果であった。つまり、経済的損失の見通しは、この段階になって離脱を思いとどまる理由としてはやはり弱いのである。
第2に、たとえ英国のEU離脱意思の撤回が法的に可能であり、英国以外のEU27カ国が合意し、英国がEUに残留したと仮定しても、英国がEUにおいて従来享受していたさまざまな特別待遇――EU予算の還付(リベート)、単一通貨ユーロや社会政策などに関する適用除外(オプトアウト)など――を失うことになるのはほぼ確実である。そうだとすれば、従来よりも悪い条件での加盟であり、英国においてそれが政治的に受け入れられる余地はほとんどないだろう。離脱交渉での交渉結果の方がまだ受け入れやすいのではないか。
第3のハードルは、国民投票の否定し難い民主的正当性である。国民投票の際に残留派だったエリート層の多くは、「国民投票で決まってしまったのだから仕方ない」、「あとは粛々と進めるのみである」と、すでに現実を受入れている。やせ我慢しつつ、しかし運命を淡々と受け入れる姿は「英国的」なのかもしれない。
論理的に唯一考えられるEU離脱撤回のシナリオは、離脱撤回を訴えて主要政党が選挙に勝利し、新たな政府が再度の国民投票を実施することである。しかし、保守党・労働党の双方が党内で分裂している状況では現実的にあり得ないし、その前に時間切れになってしまうだろう。2019年3月29日をもって英国はEUから正式に離脱し、その後の移行期間も2020年末までになる方向である。
また、昨今メディアなどで言及される2回目の国民投票(second referendum)は、EU離脱交渉の結果、すなわち離脱条件の受け入れの是非を問うものと想定されることが多い。しかし、離脱協定・離脱条件の否決が何を意味するかは不明である。離脱協定なしの離脱になるとすれば、それは考えられるなかで最もハードな離脱になってしまう。他方で、離脱協定の否決がEU残留を意味するとも考えにくい。そうであれば、第2国民投票とは、離脱交渉でよりよい条件を獲得するためのバーゲニング手段という理解が現実に最も近いのかもしれない。
ただし、EU離脱自体の撤回はなかったとしても、本稿でも触れたように、アイルランド国境問題の進展次第では、英国全土を単一市場ないし関税同盟にとどめることが必要との議論が本格的に再燃する可能性は皆無ではない。いわゆる「ソフト離脱」派の最後の希望は、この点に存在しているといえる。
いずれにしても、交渉にあたる英国側の要請は、離脱に伴う経済的損失を最小化しつつ、「離脱は離脱」として象徴的な部分を確保するというものであり、その範囲内で、EUと英国の間で折り合える地点を探す作業がいましばらく続くということである。 
●EU離脱案、大差で否決 メイ首相窮地 与党大量造反 1/16
英下院(定数650)は15日夜(日本時間16日午前)、メイ首相が欧州連合(EU)と合意した離脱協定案を採決し、反対多数で否決した。メイ氏の呼びかけにも離脱案への反発は収まらず、与党・保守党から大量の議員が造反し、230票差という大差で否決された。英メディアは「歴史的大差で敗北」と伝えた。
離脱案の採決は賛成202票、反対432票となった。否決後、最大野党の労働党のコービン党首は「採決で政権への不信が決定的になった」として、内閣不信任案を提出した。
メイ氏は16日に不信任案の採決に臨むほか、21日を期限として代替案を議会に示さねばならず、近くブリュッセルを訪問して離脱案に関してEU側と修正協議をするとみられる。
メイ政権側にとっては、3月29日の離脱日を延期してEUと離脱案を再交渉することや、2度目の国民投票の実施も選択肢となるが、政治の混迷は深まり、EU離脱の行方はさらに不透明になった。
下院で可決に必要な賛成票は議長などを除く318票だったが、317議席を持つ与党・保守党から多くの造反議員が出た形だ。
メイ氏は「議会が離脱案を支持していないことが明らかになったが、何を支持するかは決まっていない」と述べ、代替案で他党と協調する姿勢を見せた。
離脱案で反対派が問題視してきたのは、アイルランドの国境管理問題が解決されるまで英国がEU関税同盟に残留するという条項(安全策)。期限が書かれていないため、強硬派議員は、「英国が将来もEU規則に従い続ける」と批判してきた。英国は2016年6月の国民投票でEU離脱を僅差で選択。英政府とEUは昨年11月に離脱案と、離脱後の英EU関係における大枠を示した政治宣言案で合意した。 
●EU離脱案否決で英混迷 EUにも手詰まり感 1/17
英議会がEU離脱案を否決したことで、EUも苦しい状況に迫られた。「合意なき離脱」を避けたいのは英国と同じだが、離脱案の再交渉は容易に認められない。英国内の混迷が続く限り、EUとしても有効策を見いだすのは難しく、手詰まり感が漂っている。
「秩序立った離脱へ、どう進めたいのか示すのは英政府」。EUの交渉責任者のバルニエ首席交渉官は16日、欧州議会でこう語り、EU側の対応検討には、まず英国の考えを知る必要があるとの見解を示した。
EUとして悩ましいのは英国の混迷だ。メイ英首相と合意しても与党・保守党はまとまれず、一方で国民投票の再実施を求める声も高まる。バルニエ氏は「政治環境が整っていない」と英側の状況を懸念。マクロン仏大統領は15日、「内政問題」との認識を示した。
ただ、英側が新たな要望を示しても、EUがさらに譲歩できる余地は少ない。ユンケル欧州委員長は離脱案を「可能な最善の合意」と繰り返し、加盟国でも再交渉拒否の声が上がった。微修正の可能性はあるが、予想以上の大差で否決した英議会の承認を得るのに十分かは不透明だ。
EU内では離脱延長は認められるとの見方が出ているが、延長しても「ゴールへの道がなければ無意味」(マース独外相)として、英側が描く対応の明確化を求める声は強い。欧州議会の交渉担当者のフェルホフスタット議員は「党派を超えて協力するときだ」と英国に呼びかけた。 
●イギリスEU離脱案否決 1/18
イギリスが欧州連合(EU)との間で合意したEU離脱案の受け入れ可否を問う英下院採決は、 賛成202票、反対432票という大差で否決されるというサプライズがあった。今後の展開はどうなるのか。
皮肉な現実を映す不信任案否決
日本時間 1月16 日早朝に行われた採決の結果を受けて、最大野党・労働党はメイ内閣の不信任案を提出したが、これは事前予想通り否決されている。
しかし、EUとの合意案をその手でまとめあげ、退路を断った上で議会に承認を迫った経緯を踏まえれば、今回の採決はメイ首相の政治生命を賭した勝負だったのは間違いない。
皮肉なことだが「(メイ首相の後任など)誰もやりたくないし、選ぶ時間もない」という現実がメイ政権を延命させているだけだろう。
ブレグジット(イギリスのEU離脱)を巡り、これから起きる展開については、
1.EUが離脱案の再交渉に応じるかどうか
2.その上でノーディール(合意なし)のEU離脱という事態が本当にあり得るのか
3.イギリスで再国民投票があるのか
といった3点から理解しようとすると全体像をつかみやすいだろう。
EUとの再交渉はあるのか
まず⑴について。期限とされている1月21日までに議会へ修正計画を示すためには、EUとの再交渉が必要になる。
だが、否決後、ユンケル欧州委員長は今回否決された離脱案こそが「イギリスの秩序ある離脱を確実にする唯一の道筋」と断じ、再交渉の可能性を一蹴している。
フランスのマクロン大統領も、「イギリスの内政問題」を解決するために譲歩することはない、と発言。ちなみに2018年12月だが、ドイツのメルケル首相はメイ首相と会談した際、離脱案の再交渉は不可能だと断じた。
もうEUにとって、英国との離脱交渉は「終わった話」ということだろう。
真っ当に考えれば、EUとの協議に1年半もの時間を使い、離脱案を2018年11月にクロージングしておきながら、「やっぱり駄目だったからもう1回やらせてくれ」はあまりにもお粗末であり、上述のユーロ圏首脳の言動に驚きはない。
EUが合意内容の抜本的な見直しに応じる可能性はゼロに近いだろう。そのようなことができれば、もうとっくにやっている。それほど綱渡りの交渉を続けてきたのは周知の通りだ。基本的に、再交渉は期待しない方が良い。
ノーディールという「人災」は起きるのか
では、⑵ノーディール(合意なし)のEU離脱という事態が本当にあり得るのかどうか。これも可能性が高いとは言えない。
仲違いの続くイギリスとEUだが、ノーディール離脱を回避したいという思いだけは共有していそうである。ゆえに、「泣きの1回」ということでEUが再交渉に応じたとしよう。
しかし、その上で「英議会の意見集約も可能な案で合意する」というのは、恐らく相当のナローパスである。少なくとも「3月29日」の交渉期限に間に合う可能性は低い。
それどころか、仮に今回、離脱案を下院が可決していたとしても、これに付随する諸法制を成立させることを踏まえれば、残り2カ月余りという期間はあまりにも短いという声すらある(つまり、所詮間に合う状況ではなかったという見方もある)。時間がなさ過ぎるのだ。
だとすれば、取り得る選択肢は1つだ。「困った時は中庸を取る」という欧州らしさを踏まえれば、「とりあえず交渉期限を延期」というのが最もあり得る解ではないか。
イギリスを除く全加盟国が合意すれば期限延長は可能である。2019年5月の欧州議会選挙を経て議会が刷新された後を意識するならば6月末までの3か月延長、委員長を含むEUの行政府・欧州委員会の新執行部が立ち上がる11月を意識すれば、9月末ないし10月末までの6〜7か月延長ということになろうか。
「金を払って延長」という選択肢
もちろん、交渉期間の延伸に伴いイギリスが「EUの一員」である期間も延びるので、メンバーシップフィーであるEU予算への拠出金も追加的に発生する。四方八方が塞がれたメイ政権にとって、「金を払って延長」は当座の時間を確保できる現実的な選択肢である。
この期に及んでも金融市場、とりわけポンド相場が大して動揺しないのは、上述のような事情を踏まえ、「所詮、ノーディールはない」と考えているからだろう。
ノーディールはイギリスとEUの政治関係者はもちろん、市場参加者もイギリス市民もEU市民も、あらゆるステークホルダー(利害関係者)が望んでいないと思われる。
「皆が望んでいないのだからそのようなことが起きるはずが無い」というのが現在の金融市場の取引の前提となっているように見受けられる。「金を払って延長」というオプションがあるのに、それを蹴ってわざわざノーディール離脱という「人災」を引き起こすインセンティブは大きくない(……と思いたい)。
EUが突き放す可能性も
最後に、⑶再国民投票があるのか、という論点を検討する。
⑴⑵で見てきたように、再交渉は現実的には難しいが、交渉期限を延期する展開は可能性が高い。その増えた時間をイギリスが再び国内調整に空費してしまうのか、それともEUを再び交渉の場に引きずり出し、離脱案について再交渉を展開するのかはまだ読めない。
ただ、いずれの展開になるにせよ、英議会もEUも、メイ政権にとって骨の折れる難敵であることには変わりない。
仮に、交渉期限を延期しても「新しい期限」までに解決を図れるとは限らない。むしろ、1年半も揉めて解決しなかったものが、半年延ばしたからといって解決すると考える方が楽観に過ぎよう。
「新しい期限」を設けてもまだ問題が解決しないようであれば、さすがにEUも突き放す可能性がある。第2、第3の離脱国の存在を懸念するのであれば、「問答無用でノーディールで蹴り出す」ことが然るべき対応という考え方もある。
EUの心境がその域に達したところで、初めてノーディールの芽が見えてくるだろう。ノーディールの決断に踏み切るとしたら、通商関係でより多大なダメージを受けるイギリスではなく、EUの方からとなるはずだ。
再び国民投票はあるのか
「新しい期限」に間に合わず、EUの譲歩も期待できないという目算が立った時、一部で囁かれている再国民投票が現実味を帯びてくる。
現時点でメイ首相はその可能性を否定しているので、すぐに実現する展開ではないだろう。だが、「新しい期限」が近づいても事態の進展が見られなければ、「現在の離脱案で離脱するのか否か」を国民に問う局面は必然的に訪れる。現状、高を括っている市場もこの段になれば、材料視せざるを得ないはずだ。
2018年12月10日、欧州司法裁判所が、他のEU加盟国の同意がなくても、交渉期限(3月29日)の前ならば、イギリスが一方的に離脱通知を撤回できるとの判断を示している。つまり、今ならまだ離脱通知を撤回した上でノーディール離脱を回避するという手段も残されている。
撤回すれば「3月29日」の持つ意味はなくなる。この先、⑵の想定とは裏腹に、EUが交渉期限の延長を飲まなければ、イギリスは最終的にはこの手に頼らざるを得ない。
だが、その場合は、離脱通知の撤回とともに国民投票の再実施に舵を切るという大きな話も浮上せざるを得ない(真っ当に考えれば、国民投票で決まったことを覆せるとしたら国民投票しかないのだから)。
現在の世論調査では、残留派が優勢と伝えられている。ここまで考えてしまうと、年内にブレグジット騒動自体が「壮大な茶番」として幕引きになる可能性も笑い話ではない。 
●EU離脱の賭け、メイ首相に残された最後のチャンス 1/21
ここまで墜ちた英国は筆者の記憶にない。
確かに、1956年のスエズ戦争の際の大失敗はあった。その20年後には国際通貨基金(IMF)への支援申請があった。
いずれも国家的な恥と呼べる瞬間だった。だが、次第に過ぎ去っていく瞬間でもあった。
ブレグジット(英国の欧州連合=EU=離脱)のインパクトはその逆で、次第に積み上がってきている。
この物語は次の章に進むたびに、恥が上塗りされている。どのような結末になろうと、そのダメージがすぐに修復されることはない。
テリーザ・メイ首相が提示した欠陥のある青写真が議会で大差で否決されることは予想できたし、実際に予想されていた。
ふたを開けてみると、離脱協定案は滅多切りにされた。平時であれば、首相はとっくに荷物をまとめて官邸を後にしていただろう。
今は非常時だ。メイ氏が労働党のジェレミー・コービン党首が出した内閣不信任案を退けることは見込めた(注1=16日夜、不信任決議案は反対多数で否決された)。だが、それで何の目的が果たせるのか。
この騒ぎを少し離れたところから見ていると、本当にはらはらする。
英国のEU離脱の予定日まであと数週間しかないにもかかわらず、移行の手はずでも、将来に向けた揺るぎない枠組みにおいても、確実なものが一つもない。
同じ欧州の民主主義国との深い経済統合や政治における密接な共同作業の数十年間が終わるというのに、現状では、それに代わるものが何一つないのだ。
首相の権威は失墜した。最大野党の労働党は、1970年代の社会主義の幻想から抜け出せないコービン氏を指導者に据えている。
欧州諸国の左寄りの指導者たちに対し、「社会主義建設」という自分の大望に比べればブレグジットなど重要ではないと吹聴している人物だ。
英議会は、自分たちが「支配権を取り戻した」と思い込んでいる。だが、メイ氏の離脱協定案を葬り去った議員たちが同じゴールを心に描いているわけではない。
ことは急を要する。首相は、EUから合意なしに飛び出す事態は回避すると約束しなければならない。
最初にやるべきことは、EU27カ国に時計を止めるよう要請することだ。
保守党内を平穏にしたいがために2016年に国民投票を実施し、そこで英国の将来を賭けてしまったデビッド・キャメロン氏は、近代史上最悪の首相だ。
だが、自分の案をとことん押し通そうとして砕け散ったメイ氏はこれまで、キャメロン氏の王座を奪おうかといわんばかりの行動を取ってきた。
首相は15日議会で「歴史書が書かれるとき」と語り始めたところ、野党議員のヤジにかき消された。
メイ氏には、首相としてのお粗末さをいくらか埋め合わせるチャンスがあと1回残っている。
悲しいことに、15日の採決に対する同氏の最初の反応からは、そのチャンスをつかみに行く様子はうかがえない。
政治においては、己を知ることが賢明さを手に入れる第一歩だ。
自分の離脱協定案が否決されることがここまで予想されていたのはなぜなのか。その点を認めない限り、首相には価値のある仕事などできない。
過ちの原点は2016年秋に求められる。
同年6月の国民投票の際、メイ氏はEU残留派だったが、離脱派が支配しているように見えた保守党で党首の座を射止めた。
そして犯した第1の過ちは、離脱強硬派におもねることで「自らの力量を示そう」としたことだ。
第2の過ちは、離脱のプロセスは保守党の縄張りの内側にとどまり得ると考えたことだ。
自分はブレグジットの条件をすぐにまとめ上げることができ、穀物法や「帝国内特恵関税」などをめぐる保守党の分裂も未然に回避できるリーダーだと思い込んでしまったのだ。
列車衝突事故にもたとえられた離脱協定案の否決を含むすべての出来事は、この最初の判断ミスに起因する。
メイ氏が党首として臨んだ最初の党大会で示した「レッドライン(譲れない一線)」、リスボン条約50条の性急な発動、ロンドンのランカスター・ハウスでの演説で示された柔軟性に乏しい枠組み、そして単独過半数を失うことになった不出来な総選挙――いずれも、ブレグジットは保守党の縄張りだという考え方と密接に関係していた。
EUのミシェル・バルニエ首席交渉官は、EU27カ国の基準原則については当初から明快だった。以来、1度たりともぶれることがなかった。
一方でメイ氏は軽率にも、保守党が満足することならEUは何でも受け入れると思い込んでいた。
あれほど長い間、EUのことを気に病んでいた保守党が、そのEUのことをあれほど学んでいなかったとは、一体どういうことか。
EUとの緊密な結びつきを維持する多少なりとも分別のあるブレグジットと、その計画の下で一致団結する保守党というのが、互いに矛盾する言葉だということを、メイ氏はもうそろそろ理解するべきだ。
また、メイ氏は議会で過半数を維持するために、北アイルランドの地域政党で欧州に根深い懐疑心を抱いている民主統一党(DUP)を頼りにしているが、仮にこのDUPを無視できたとしても、保守党内には妥協を台無しにするカミカゼ離脱派は常に十分な数だけ存在していた。
さらに、同党内には穏健派も十分にいたため、ボリス・ジョンソン氏をはじめとする主要な離脱派の、狭量なイングランド・ナショナリズムに完全に屈することもなかった。
40年以上前に英国が当時の欧州経済共同体(EEC)に加入したときには、保守党のエドワード・ヒース首相が労働党の造反議員数十人の支持を獲得していた。
同様に交渉が行われたブレグジットでは、このような党派を超えた合意が求められる。
コービン氏はあきらめた方がいいが、メイ氏としては、穏健な親欧州派で自党の党首と袂を分かつ用意のある労働党議員の支持を得なければ、にっちもさっちもいかない。
従ってメイ氏は、党首ではなく首相として振る舞うために、主催者としての政治指導力を発揮するために、虚栄心を脇へ置かなければならない。
保守党のまとまりを維持する試みは瓦解した。
国民の利益に資する協定をEUと結ぶということは、EU関税同盟と単一市場への残留に対する党派を超えた支持を得られるかどうかを試すために、カミカゼ離脱派を切り捨てることを意味している。
メイ氏は政治家としては小物だからそんな仕事は無理だ、と言う人は少なくない。
今回の協定案離脱に対する最初の反応を見る限り、おそらくその通りだろう。であれば、議会が何をしなければならないかは自明だ。
2016年には行われなかった、十分な情報を提供したうえでEU残留か離脱かを選べる機会を、議会は有権者に提供しなければならない。 
 
Top Risks 2019 
   Bad seeds
   US-China
   Cyber gloves off
   European populism
   The US at home
   Innovation winter
   Coalition of the unwilling
   Mexico
   Ukraine
   Nigeria 
 
●overview
THE GEOPOLITICAL ENVIRONMENT IS THE MOST DANGEROUS IT'S BEEN IN DECADES... Markets are increasingly volatile but resilient, taking hits and bouncing back. What's wrong with this picture?
Nothing ... yet. Geopolitical cycles are slow-moving. It takes a long time to build a geopolitical order; governments change course through the workings of complex institutions, coalition politics, election cycles, and checks and balances. Multilateral institutions take decades to build, and they gain momentum slowly. Norms and values need to develop, to become accepted, and to shape institutions and societies over time. Once in place, they're sticky. And so, barring bad luck (read: a sudden unforeseen crisis), it takes years, even decades to knock down a geopolitical order. That process of erosion is underway around the world today.
Sure, 2019 could turn out to be the year the world falls apart. Tail risks created by bad actors inflicting damage that then create an escalatory cycle are higher than they've been at any point since we launched Eurasia Group in 1998. A Russian cyberattack gets out of control. Iran and Saudi Arabia (or Israel) trigger a Middle East war. The Chinese and Americans get into a trade war that causes a deep recession, they blame one another, and retaliation spills into the kinetic space. There are other risks of similar scale. But for now, all of these remain low-likelihood events.
More likely, and despite increasingly worrisome headlines, 2019 is poised to be a reasonably good year. Even, dare we say it, not a particularly politically risky year. But we're setting ourselves up for trouble down the road. Big trouble. And that's our top risk.
 
●1. BAD SEEDS
The geopolitical dangers taking shape around the world will bear fruit in years to come.
THE GEOPOLITICAL DANGERS TAKING SHAPE AROUND THE WORLD will bear fruit in the years to come. This is the greatest impact of the G-Zero: The world's decision-makers are so consumed with addressing (or failing to address) the daily crises that arise from a world without leadership that they're allowing a broad array of future risks to germinate, with serious consequences for our collective midterm future.
Consider the trajectories of all the current geopolitical dynamics that matter. Start with the big ones. The strength of political institutions in the US and other advanced industrial economies. The transatlantic relationship. US-China. The state of the EU. NATO. The G20. The G7. The WTO. Russia and the Kremlin. Russia and its neighbors. Regional power politics in the Middle East. Or in Asia, for that matter.
Every single one of these is trending negatively. Every single one. And most in a way that hasn't been in evidence since World War II. Indeed, the overwhelming majority of geopolitical developments that matter, the wide array of issues that we follow at Eurasia Group—more than 90% of them—are now headed in the wrong direction.
These relationships and institutions won't collapse tomorrow, but the risks plaguing them are landmines. That's especially important because they're all pieces of the international architecture, some of them foundational. Eventually, people are going to get hurt. Think climate change, but in the geopolitical sphere.
Let's take a closer look at several of these bad seeds.
a – US political institutions
It's not urgent. President Donald Trump has been notably constrained by US institutions—the judiciary slapping limits on his immigration policies, bureaucrats slow-rolling regulatory changes, and Congress focused on incremental approaches to change rather than passing legislation that generates sudden, dramatic upheaval. Not to mention preventing Trump from taking any measures to impede special counsel Robert Mueller's investigation. Indeed, after two years of the Trump administration, the most important domestic takeaways are how resilient US political institutions have proven and how effectively they've limited Trump's intended actions.
But damage is being done to the legitimacy of democratic institutions in the world's largest economy. The list of examples is long. Trump publicly contradicts high-confidence estimates of US intelligence agencies. He claims choices made by lead actors at the Justice Department and the FBI are politically motivated. He insists the judiciary is biased against him and that journalists are enemies of the people.
An overwhelming majority of Americans don't trust Congress. The political parties have grown further apart, and the political center has disappeared—nearly half of all Democrats and Republicans now report they “hate” the other side. Social media has further undermined people's trust in what's true, and there's no clear message from government on how large information technology companies should be regulated.
Meanwhile, Trump has weaponized the divisions between his supporters and those who oppose him, transforming governing institutions into political battlegrounds, weakening the long-term functionality of a representative democracy, and persuading a larger percentage of citizens that the system is “rigged” against them. If Trump is defeated in 2020, the trend will slow. But American liberal democracy and accompanying values aren't what they were. No one can put humpty dumpty back together again.
b – Europe
It's not urgent. The ongoing Brexit debacle has made clear that nobody benefits from an exit. That, in turn, has forced euroskeptic parties like the National Rally (France's rebranded National Front) and the League (Italy's former Northern League; why do these far-right parties keep changing their names?) to shift gears.
But nearly every current trend in Europe weakens the broader European convergence project. Obviously, without the Brits, Europe isn't what it was. With Chancellor Angela Merkel in succession mode, neither is Germany. With President Emmanuel Macron at 23% approval, facing a state of national emergency and his domestic and European-integrationist reforms a dead letter, there's a limit to what can be expected from France. Now consider the governments—in Italy and much of eastern Europe—controlled by those who want to assert more national sovereignty to claw back power from Brussels. Add a more divided European parliament after May elections (please see Top Risk #4), and Europe is headed toward (at best) a more fragmented future or (at worst) a long, slow unwind.
Presuming no immediate unforeseen emergencies, European governments can handle shocks more easily when there's decent economic growth and money to spend. But when belts must be tightened, fights become crises. The reason many in the UK voted to leave the EU is that they recognized it wasn't fit for purpose over the long term. On that count, they look to be right.
c – The system of global alliances
It's not urgent. The US remains a critical ally for most of the world's developed nations. And it isn't going home this year.
But US alliances everywhere are weakening. Trump has said it's not America's job to police the world and other nations must pay for their own security. Trump's views on trade are decidedly unilateral. And the US has stepped well back from promoting common values; indeed, it's hard for the US to agree what American values are. On all three fronts, the Trump administration sees alliances as corsets that restrict the US's ability to pursue its interests. That means alliances are eroding and will continue to do so. Transatlantic relations are in the roughest shape given challenges on both sides of the Atlantic; in particular, US-German and US-French relations are deteriorating. That undercuts NATO and the broader international order. Trump's skeptical view of alliances could well spread next to bases and activity in the Middle East.
Asia is least affected. Both Trump and the political establishment remain committed to the region, in large part because of China's rise. The US-Japan alliance remains strong. But even here, watch South Korea, where Trump would prefer to reduce the US military presence, while continuing to create uncertainty on trade. Trump's doubts about alliances create opportunities for Chinese leader Xi Jinping, Russian President Vladimir Putin, populists in Europe, and others happy to exploit frustration with Washington. This trend will slow if Trump fails to win a second term as president, but the move toward a more modest conception of American power and a weaker set of alliances began well before Trump arrived.
d – Populism/nationalism
It's not urgent. Aggrieved and disenfranchised populations remain minorities in most developed countries, with less ability to force change than the elites in power. The political “swamp” resists being drained, and most governments continue to allocate resources much as they have over the past several decades.
But these trends are becoming more toxic, especially given the growing disintermediation of labor from capital. The “fourth industrial revolution” is appropriately named for its beneficiaries—it promises more growth and more efficiency. But for those whose jobs are lost to automation and don't have the education and training to find new employment that demands new skill sets, it's a post-industrial revolution. They'll end up part of an expanding group who believe their political systems can't meet their needs.
These polarizing trends now being politically exploited across the advanced industrial world and in pockets of wealthier emerging markets are likely to intensify and spread over the coming decade, weakening governments and delegitimizing political leaders as a consequence. Along with the US-China conflict, this is the risk that will be most frighteningly intensified by the next global economic downturn. We don't want a repeat of the 1930s.

There are others we could add to this list. Xi's success in consolidating so much power in China is a “bad seed” because it makes decision-making in (what will soon be) the world's largest economy less predictable and a smooth future leadership transition much more challenging. The fight among regional powers for dominance in the Middle East is set to pose a much larger challenge over time, especially given the reduced value of their oil exports for the global economy. Decentralization of control over dangerous technologies—particularly malware, drones, and biological weaponry—is another. Add the continued inadequate and poorly coordinated political response to climate change. Those are far more bad seeds than we've ever seen geopolitically. We're not looking forward to the harvest.
 
●2. US-CHINA
Something fundamental has broken in the relationship between Washington and Beijing that can't be put back together, regardless of what happens to their economic ties.
THE TRUCE THAT TRUMP AND XI STRUCK at the G20 meeting in Buenos Aires last month put a temporary halt to the path of tariff escalation the US and China had embarked on. Yet we remain concerned about the world's most important bilateral relationship. We're not confident the trade and economic disagreements will be resolved anytime soon. And something more fundamental has broken in the relationship between Washington and Beijing that can't be put back together, regardless of what happens to their economic ties.
On trade, it remains to be seen whether last month's truce can be turned into a longer-term peace. We're skeptical. The official timeline for negotiations is short (though Trump is likely to extend it). The issue to be resolved is the fundamental nature of China's economic system—something Beijing is unlikely to compromise on. That makes a comprehensive deal hard to reach, an effort to “paper over” differences hard to sustain.
Further, a deal on tariffs wouldn't end economic friction between the US and China. US economic grievances are bipartisan and therefore harder to resolve regardless of next steps. US and Chinese supply chains and technology cooperation will continue to fragment even if tariff threats recede.
The Trump administration is determined to force US companies to reduce their reliance on inputs from China and to limit the transfer of intellectual property, particularly in high-tech sectors and those related to national security. The US will continue to use non-tariff barriers as a key tool in this push, including investment restrictions, export controls, financial sanctions, and criminal indictments. China will reciprocate with its own non-tariff measures—from its cybersecurity laws to antitrust decisions. Moves on both sides will disrupt firms and broader industries, increasing costs and decreasing collaboration.
Perhaps more importantly, even if the US and China can resolve their trade tensions, and even if they can keep the economic competition civil, the limited trust that underpins the US-China relationship appears to be gone.
Beijing and Washington have always viewed one another with suspicion. But until a few months ago, both shared a common understanding that it was in both their interests to at least try to keep their relationship as amicable as possible for as long as possible. That's changed, especially in Washington. The US political establishment believes engagement with Beijing is no longer working, and it's embracing an openly confrontational approach. Beijing is less ready to take the gloves off—partly because it feels China is not ready to challenge the US—but rising nationalist sentiment makes it unlikely that Beijing will ignore US provocations. Structural competition and dangers will shape the relationship—in the technology, economic, and security arenas. Tensions will grow regardless of what happens on the trade issues currently making headlines.
This new competition means areas of discord will become more escalatory in 2019. Neither side wants a direct military confrontation, but there is a greater chance that an accident—such as a collision in the South China Sea—becomes a full-blown foreign-policy crisis. The two countries in the past have successfully navigated several such near-crises, including the collision between a US spy plane and a Chinese fighter in 2001. Doing so again would be much harder in today's climate.
 
●3. CYBER GLOVES OFF
Hackers have grown more sophisticated, societies have become heavily dependent on digital services, and efforts to agree on basic rules of the road for cyber conflict have gone nowhere.
THIS YEAR MARKS A DECADE since the US and Israel destroyed portions of Iran's covert nuclear weapons program using a computer worm known as Stuxnet, ushering in the modern era of cyber conflict. Ten years on, hackers have grown more sophisticated, societies have become heavily dependent on digital services, and efforts to agree on basic rules of the road for cyber conflict have gone nowhere. It's a mess.
Cyber deterrence is hard. The source of an attack and lines between state and non-state actors are blurred in cyberspace. That makes it difficult to be sure whom to retaliate against, and attackers know that. Also, there is still a lack of clear red lines in many areas, meaning attackers can often get away with their misdeeds if they avoid clear no-gos (such as critical infrastructure). Finally, cyber weapons become obsolete fast, and access to targets comes and goes. It's tempting to use a capability when you can, making the idea of Cold War-style peaceful stockpiling of weaponry less likely.
So, if cyber deterrence has never come close to actually working, what's new?
This year is a turning point. For the first time, the US will be undertaking a serious effort to establish real deterrence by projecting its cyber power in much more assertive ways. Not only will this show of strength fail to create an effective system of global deterrence, but it could backfire.
The US is changing its tone—and the doctrine of action and reaction—to become far more aggressive in the cyber world than it's been in the past. After taking a cautious approach while former president Barack Obama was in office, the US is now leaning heavily toward greater offensive action in cyberspace, including by freeing the Department of Defense's Cyber Command to unleash preemptive strikes. It's even considering giving private-sector actors leeway to “hack back” when attacked.
In an ideal world, this show of teeth would lead foreign actors to keep their arsenals in check and create a new security equilibrium in which perceptions of US cyber dominance would discourage attacks. That's not going to work—for two reasons.
First, like traditional deterrence, cyber deterrence works best against states. But many of the world's most destructive cyber actors are non-state actors who have less to lose from taking their chances on offense. We're particularly worried that the stolen National Security Agency tools that powered the 2017 NotPetya attacks are being updated for current software systems and have been incorporated into sophisticated cyber operations. Non-state actors' temptation to use them against critical infrastructure or corporate networks before systems are upgraded will increase in 2019.
Second, even governments won't back down in reaction to Trump's assertive cyber policy. In the US-Russia rivalry, it's unclear which nation controls escalation dominance—the ability of one side to dominate a conflict as it grows more serious—and whether classic deterrence would work. For weaker states such as Iran or North Korea, there's also an asymmetry of power in the use of cyber weapons that makes them too tempting not to use. Several of the world's most aggressive cyber powers have little to lose in the event of retaliation, given their low level of connectedness (think North Korea). And for China, the stakes are too high to allow the US sole use of a weapon that works. All of this leads to a scary prospect: The Trump administration thinks it's strengthening deterrence (and therefore peace) by deploying its arsenal, but the odds are greater that this show of force leads nations to “see and raise” the US's bet.
 
●4. EUROPEAN POPULISM
2019 will show that populists and protest movements are stronger than ever.
WHEN EMMANUEL MACRON BEAT MARINE LE PEN in France's 2017 presidential election, some argued that the populist tide that had swept Europe since the onset of the Greek debt crisis in 2009 could be receding. We were skeptical of that interpretation, and 2019 will show that populists and protest movements are stronger than ever.
The EU will hold parliamentary elections in May, and euroskeptics of the left and right will win more seats than ever before. The previous election, in 2014, took place shortly after the Eurozone crisis, when countries were still going from bailout to bailout. Now, the official message is that Europe is stronger. But the coming victories for parties from outside the European mainstream will be harder to square with a positive story.
The decline of some of the main parties that sit in the European Parliament's three mainstream blocs opens an opportunity for right-wing euroskeptics to become an imposing force in the parliament—perhaps the second-largest group. Together with populists on the far left, they won't reach a majority but will find it easier to block initiatives when the smaller majority of pro-Europeans can't agree. Then, the four populist member-state governments—Italy, Austria, Poland, and Hungary—will all want to make sure they are appropriately represented by a commissioner of their ideological ilk, bringing euroskeptics closer to the commission's real decision-making power. In short, this year euroskeptics will hold more influence than ever before in parliament, the commission, and—by virtue of their control of some governments—the European Council.
This unprecedented influence will undermine Europe's ability to function. The presence of euroskeptics within the ranks of the European Commission will undermine that body's cohesiveness and its ability to manage the EU's day-to-day affairs, as well as the clarity of its message among the European public, investors, and the wider world. The historically collegial institution will become a battleground. Then, with populists in the parliament and the council as well, it will be harder to build consensus on key policy issues, including migration, trade, and the rule of law. Also, internal disagreements will disrupt the EU's ability to quickly react to crises. If Italy were to face an economic meltdown, or if Europe were hit with a shock from its eastern or southern borders, the presence of populists in Brussels would hamper the EU's ability to come to the rescue.
The current commission led by President Jean-Claude Juncker believed it represented the EU's last chance to repair its compact with voters. The new body that will be formed later in 2019 will be in crisis before it even gets to work. This year will be the one when populists gain real power on Europe's largest stage, eroding the EU from within.
 
●5. THE US AT HOME
While the odds of Trump being impeached and removed from office remain extremely low, political volatility will be exceptionally high.
THIS WILL BE A CHAOTIC YEAR for US domestic politics. While the odds of Trump being impeached and removed from office remain low, political volatility will be exceptionally high.
With a Democratic majority in the House of Representatives, the president faces adversarial congressional oversight for the first time. Democrats will use their control of House committees and subpoena power to force the release of Trump's tax returns, investigate his financial dealings and those of his family, and dig into conflict-of-interest allegations at several cabinet agencies.
Trump will return fire, further straining relations between the executive, on the one hand, and the courts, Congress, and media on the other. The president's November spat with Chief Justice John Roberts over “Obama judges” foreshadows a firefight between Trump and the courts. He'll launch full-throated attacks on Democratic committee chairs. US institutions—especially the courts—are too strong for the president to effectively muscle, but that won't always be so clear at times this year, as he looks for ways to go after those who threaten him, his business, and his family. In addition, a defensive Trump will try to shift focus abroad. He's averse to military intervention, so a “wag-the-dog” type war isn't likely. But rhetorical and twitter fury are, and markets will be rattled accordingly.
There's a real risk that articles of impeachment will move forward. Both investigatory routes—congressional oversight and Mueller's probe—could lead to Trump's impeachment by the Democratic Party-controlled House. Articles advanced by the House Judiciary Committee would likely include multiple instances of obstruction of justice, violations of the emoluments clause, and potentially, evidence of collusion with Russia during the 2016 election.
Even if Trump is impeached by the House, it's implausible the Senate would convict him with the necessary two-thirds supermajority, particularly since Republicans added to their majority in the 2018 midterms. In addition, when articles of impeachment were drafted in the past (against former presidents Richard Nixon and Bill Clinton), markets proved resilient. That said, there are reasons to be concerned.
Though Trump's removal from office is hard to imagine, a constitutional crisis that arises following legal action against his businesses or that place his family in jeopardy is not impossible. Trump's response to such a threat would be to hit back at those who threaten core interests. He's been constrained by his advisers from similar actions in the past, but that restraint will be sorely tested if members of his family become targets. We believe the Supreme Court would meet any resulting challenge to the separation of powers, but that's not guaranteed.
Also, though they've been limited in the past, market effects from the impeachment process are difficult to predict. There's a “Trump bounce” in the US market that is supporting stock prices; investors would grow jittery at even the possibility of this president's political demise. And if the news came during a pronounced slowdown in the US economy, we could be looking at many months of market instability. Any impeachment process would grind the policy process to a halt, diminishing the already slim chances of Congress making progress on infrastructure spending or immigration reform.
There's a final tail risk. The US could face a renewed bout of street violence like that which plagued many of the nation's cities during the 1960s and 1970s. American society is already deeply polarized, and the political vitriol and institutional conflict that's likely to occur this year could boil over.
 
●6. INNOVATION WINTER
We're heading for a global innovation winter—a politically driven reduction in the financial and human capital available to drive the next generation of emerging technologies.
A “GLOBAL TECH COLD WAR” WAS TOP RISK #3 LAST YEAR. Over the course of 2018, technology competition grew extremely political. This is the year investors and markets will start paying the price. We're heading for a global innovation winter—a politically driven reduction in the financial and human capital available to drive the next generation of emerging technologies. The shortfall will have important consequences.
Three political drivers are behind this global technological mayhem: Security concerns are leading states to reduce their exposure to foreign suppliers in areas critical to national security; privacy concerns are leading governments to more tightly regulate how their citizens' data can be used; and economic concerns are leading countries to put up barriers to protect their emerging tech champions against established market leaders from abroad.
The most immediate source of trouble is the US-China relationship. Tensions will inhibit synergies, to put it mildly, between US and Chinese policies that have been key to developing advanced technologies. Tariffs are already forcing US firms to shift portions of their supply chains out of China—to Southeast Asia, Latin America, and in some cases back to the US. The decoupling will accelerate as political and financial pressures drive more US production, including potentially complex final assembly, to politically safer markets.
The countries are parting ways. Equally important, US efforts to increase scrutiny of Chinese STEM students and workers, and to limit or reject their US visa terms and applications, will reduce the flow of creative talent into the US. Likewise, it will limit the flow back to China of engineers and entrepreneurs with US experience. This trend will disrupt the innovation talent pipeline, with unforeseen ripple effects in key technology sectors.
The problem goes beyond US-China relations. The EU and Japan are likely to follow the US in imposing new restrictions. Then there's the “tech-lash”: Digital regulation is mushrooming around the world as governments—facing a public backlash over privacy and concerned about foreign influence operations waged over social media—slap taxes on Big Tech and restrict the flow of sensitive information across borders. Brazil, India, and even California have all adopted or are considering legislation that draws on, or in some cases goes beyond, Europe's tough data protection rules. Data localization is already firmly entrenched in Russia and China, though for different reasons. Heavy regulation impairs collaboration and innovation.
This US-China technology divorce will create specific problems for companies and markets, which will drain capital from the sector. As US-China tensions persist, firms will have to spend money to relocate assembly lines and warehouses to countries that don't have the same base of highly skilled labor and finely tuned logistics that have been built up in China over decades. And this is all happening as countries around the world speed toward the rollout of next-generation 5G data networks, a project that will take more than a decade and be one of the most expensive technology buildouts ever. But a major push by the US and like-minded countries to exclude Chinese 5G equipment-makers from their next-generation networks means the process will be more expensive and take longer than it might have. The Chinese government, meanwhile, will require that major Belt and Road investment recipients use Chinese 5G suppliers to the exclusion of others. 5G starts rolling out next year; the political fight will start now.
More broadly, products become more expensive if you can't source from the most cost-effective suppliers; profits shrink if you can't sell users' data to advertisers; costs increase if you can't transfer data across borders and you have to hire more content moderators and lawyers; and dynamism suffers if you can't hire the best people because of the name of the country on their passports.
Markets may recognize these trends in isolation, but they're underestimating how they will come together to cast a pall over global innovation—and call into question lofty tech industry share prices—in 2019.
 
●7. COALITION OF THE UNWILLING
The US-led global order has been eroding for a couple of decades now, but we are now seeing the growing ranks of a coalition of world leaders unwilling to uphold the global liberal order, with some even bent on bringing it down.
THE US ONCE LED A WASHINGTON CONSENSUS, a collection of countries committed to a US-led global order and the institutions it was built upon. This order has been eroding for a couple of decades now, a trend that became more obvious with the 2016 election of Trump, whose “America First” campaign message proclaimed his view that the US should no longer play a leadership role. Many of Trump's critics call this strategy “America Alone.”
But after two years, Trump has collected some international fellow-travelers—a coalition of world leaders unwilling to uphold the global liberal order, with some even bent on bringing it down. These leaders form a motley crew, but they have important things in common with Trump. Some are authentic nationalists who used a playbook similar to Trump's to win an election—for example, Italy's Matteo Salvini and Brazil's Jair Bolsonaro. (Depending on what happens to Theresa May, her successor as UK prime minister might belong in this group.) Others have their own grievances against the existing global order and find a tactical embrace of Trump useful: Russia's Putin, Turkey's Recep Erdogan, and even North Korea's Kim Jong-un.
Finally, a couple find US support important enough to their own survival that they must ally with Trump, whatever their personal instincts: Saudi Arabia's Mohammed bin Salman and Israel's Bibi Netanyahu.
These are all leaders who challenge institutions and the consensus they represent. The group includes international spoilers and revisionists, and their ranks are growing.
Call them the “coalition of the unwilling,” because they won't form an actual alliance—nationalists don't salute a common flag. But for Trump's impact on foreign policy, which is significantly greater than on domestic policy, this group of fellow malcontents can act as a force multiplier. That poses a number of risks.
In the aggregate, this coalition will speed the erosion of the international system. Putin and Salvini have become more mainstream, and greater acceptance boosts their revisionist goals. All these men are unpredictable, which makes geopolitics and investing riskier. Mohammed bin Salman isolated Qatar, disrupted relations with Canada, and—in the opinion of US intelligence—ordered the killing of a prominent critic. All were bolts from the blue. Putin's penchant for the unexpected is also well-documented. And members of this “coalition” all have outsized egos. That means that the need to feed the political base—not the greater good—will play outsized roles in their decision-making.
Cumulatively, these leaders will have an increasingly disruptive effect on the international order.
 
●8. MEXICO
The country's new president, Andres Manuel Lopez Obrador, begins his term with a degree of power and control over the political system not seen in Mexico since the early 1990s, and domestic risk factors loom large.
DOMESTIC RISK FACTORS LOOM LARGE. The country's new president, Andres Manuel Lopez Obrador, begins his term with a degree of power and control over the political system not seen in Mexico since the early 1990s. His Morena party has comfortable majorities in both houses of congress, and together with allies, it could reform the constitution at will.
This was always going to be a complicated presidency for markets, and recent actions by the new president have confirmed our expectations, which leaned more bearish than consensus. Lopez Obrador believes that many of Mexico's problems today are a function of the structural reforms implemented since the 1980s. These include an opening of the economy, orthodox macroeconomic policies, privatizations, and deregulation.
During his first year, Lopez Obrador will focus on launching his ambitious social and infrastructure programs, at the expense of Mexico's fiscal position. Though he has vowed to be fiscally prudent, he's unlikely to find the resources to finance his projects. He will prioritize this spending anyway, because he sees it as critical to solving many of the country's problems—including poverty, security, and immigration.
The operating environment for firms in the energy sector will become more challenging. Lopez Obrador has historically opposed the energy opening and private investment, particularly in the upstream segment, and has nominated a team with highly nationalistic views. While a full reversal of the energy reform is unlikely, policy will become more restrictive, and there will be an effort to boost the role of state-owned companies. All of this will have a negative impact on production and further worsen the fiscal picture.
More generally, policy will become less predictable, more interventionist, and of lower quality—with negative effects for markets. Lopez Obrador will centralize decision-making in his own hands, and the roles of secretaries and advisers will be limited. As was clear with the cancellation of the Mexico City airport project, he will make decisions based on his personal beliefs and preferences, with moderate advisers having limited influence. Lopez Obrador's Morena party will also be a source of continual demands and initiatives that will make life difficult for investors. If the US-Mexico-Canada Agreement isn't ratified by the US Congress (though we expect it will be), risks will be even higher.
Finally, security will be one of the new president's main challenges, and he lacks a clear strategy to deal with this worsening problem. He will probably continue to rely on the military, coupled with reforms such as amnesty for some drug-related offenses and the legalization of certain drugs. But that's unlikely to improve an increasingly dire situation; 2018 was the most violent year on record, and 2019 could easily break that standard yet again.
Until now, Mexico had been in a different political and economic cycle than the rest of Latin America, and in a lower category of political risk. This year, it will look more like its southern neighbors.
 
●9. UKRAINE
November's clash in the Kerch Strait was a taste of coming tensions. Putin continues to see Ukraine as vital to Russia's sphere of influence.
CONTRARY TO COMMON PERCEPTION, Putin isn't always on the lookout for the next country to invade, and he isn't aiming to start a new war in 2019.
But then there's Ukraine. November's clash in the Kerch Strait was a taste of coming tensions. Putin continues to see Ukraine as vital to Russia's sphere of influence. Their shared historic, political, and cultural links have undergirded Russia's actions since long before the 2013-2014 Maidan revolution.
Against that backdrop, 2019 will be an important year in Ukraine. Presidential elections will take place in March, and parliamentary elections in the fall. Russian interference, to support or undermine particular candidates, is a certainty. There's not much chance of a pro-Russia president or parliament. But the Kremlin will want to weaken candidates it deems a threat and ensure that advocates for Russian political and business interests have momentum.
There are tense and festering issues between Russia and Ukraine, and they'll be enmeshed in election dynamics and become more problematic in 2019. Neither government will back down from its position on access to the Sea of Azov and Kerch Strait; additional incidents are likely this year. The status of the separatist territories will remain unresolved, and sporadic violence will continue. A major spike in fighting is unlikely, as that would lead to tougher sanctions against Russia. But given all the dry wood, serious flare-ups are possible.
And there's the growing split between the Orthodox churches in Russia and Ukraine. The Eastern Orthodox church leadership will formally grant the Ukrainian church independence from the patriarch in Moscow in January. There will be disputes over church property and divisions among communities. Related violence is a possibility.
Additional US and EU sanctions are likely over perceived Russian interference in the Ukrainian elections and further tensions in the Sea of Azov. The moves will probably entail designating additional Russian individuals and entities for sanctions. If fighting flares in and around the separatist territories, severe measures are likely—probably not sovereign debt sanctions, but big-name oligarchs and their businesses would be at risk.
Finally, Ukrainian domestic policy will be in play this year. The presidential and parliamentary elections are likely to yield a reformist, pro-West government, but one that is weak in the eyes of voters, who are distrustful of the political class and upset over continued fighting and slow reforms. Martial law ended right before New Year's and is probably done. Absent a clear and present threat, any attempt to bring it back that delays the March presidential election would touch off a political crisis. The IMF program will move forward, helping Ukraine meet its external debt obligations, but reforms will stall at the height of the election campaigns. Ukraine should muddle through, but it won't be pretty.
 
●10. NIGERIA
Nigeria faces its most fiercely contested election since the transition to democracy in 1999.
THE COUNTRY FACES ITS MOST FIERCELY CONTESTED ELECTION since the transition to democracy in 1999. One candidate is the incumbent, Muhammadu Buhari. He is an elderly, infirm leader who lacks the energy, creativity, or political savvy to move the needle on Nigeria's most intractable problems. His opponent is Atiku Abubakar, another gerontocrat who would focus on enriching himself and his cronies, avoiding the difficult and politically unpopular tasks necessary for reform.
Buhari is the frontrunner. A second term for him would mean the country at best muddles through the next four years, with little progress on critical policy priorities like tax reform or a restructuring of the energy sector. Buhari would be a lame duck from day one, with powerbrokers in his own party quickly shifting their focus to the next electoral cycle in 2023. And if Buhari's health problems continue or worsen, the situation will get worse. The president's continual medical leaves abroad impaired governance his first term. A repetition would again remove him from decision-making and the public eye for months at a time, leaving investors to wonder who is calling the shots and whether they're qualified for the job.
A Buhari reelection also carries tail risks. A politically weak president, for health or other reasons, would open the floodgates for political infighting, increasing the chances that his ruling All Progressives Congress implodes. That would turn a policy slowdown into paralysis. The risk of attacks on oil infrastructure would also rise, because the absence of strong leadership in Abuja would make it harder to negotiate with the Niger Delta's various militant groups.
A win for the challenger, Atiku, would create a brief, superficial boost to the country's image—largely because of his better health and keener intellect. But it would also pose the risk of a return to an even more rent-seeking governing style.
Atiku's policy priorities are unclear and untested: He had previously promised to deregulate the oil and gas sector but recently pledged to reduce gasoline prices by 50% from already below-market levels. That would swell subsidy costs and endanger long-term debt sustainability. He's also unlikely to champion a tax reform that's critical to Nigeria's fiscal sustainability. Atiku would face significant infighting within his People's Democratic Party as well, as leaders try to hold him to his promise to serve only one term (a pledge he's likely to retract).
Then there's a dangerous wildcard outcome. The election will be close, and a challenged or inconclusive result is possible. That, in turn, could trigger a political crisis in which neither candidate has a legitimate claim to power. If the vote is close enough to trigger a runoff, Nigeria's constitution requires the second round of voting to occur within seven days of the first, a tough timeline to meet given the complexity of organizing national elections in the country. This could be a recipe for severe uncertainty in Africa's most important market.
 
●BREXIT
Why the asterisk? Because three years after the vote, almost any Brexit outcome remains possible.
WHY THE ASTERISK? Because three years after the vote, almost any Brexit outcome remains possible. The botched leadership challenge protected the prime minister's rule over the Conservative Party for now but, without her lawmakers' support, she has almost no chance of passing her unpopular withdrawal agreement. That promises a very messy 2019.
May's plan to secure a more palatable version of the Northern Irish backstop is doomed to fail. The EU can offer reassurances that it also hopes to conclude a free-trade agreement in time to prevent the backstop from kicking in. But it will never soften the mechanism itself, which Ireland regards as its insurance policy.
The prime minister may also think time is on her side. By having delayed the House of Commons vote to January, she hopes a greater number of lawmakers will decide there is no alternative to her deal. But we now know that 117 Conservative members of parliament were willing to risk a chaotic leadership race rather than accept May's proposal—which she will barely be able to amend. It is highly unlikely that the deal the UK and EU negotiating teams have been working on for almost two years will ever be ratified.
There are alternatives, but all of them are painful and time-consuming. Some in the Conservative Party are becoming interested in a “Norway Plus” option, which would see the UK pick an already existing close relationship with the EU's single market and complement it with a customs union. May could just about manage to justify this arrangement on the grounds that it would be more likely to command a majority thanks to the support of some Labour members of parliament, while also delivering on the mandate from the 2016 referendum to leave the EU.
The obvious counterargument is that this would rule out most if not all of the supposed benefits of leaving the EU in the first place: regaining regulatory flexibility, having the freedom to strike independent free-trade deals, and—crucially—putting a halt to the free movement of continental labor across the UK's borders.
That's where the argument that the UK should just cancel Brexit and stay in the EU resurfaces.
Could May pull off a referendum? Some ministers think this would be her best way of surviving, but she has also ruled it out more vigorously than any other course of action. The Labour opposition is hedging, hinting at the possibility but still insisting it must come after an unlikely general election, which could only be triggered if some Conservative lawmakers vote against their own government and in essence kick themselves out of office.
Brexit promises to keep the UK distracted in 2019. But will there actually be a Brexit? And if so, what flavor? Your guess is as good as the prime minister's.
 
●RED HERRINGS
Brazil's new president Jair Bolsonaro might be a nationalist, but the country's institutions won't allow for any dangerous centralization of power. Saudi Crown Prince Mohammed bin Salman has made many enemies, but neither he nor the kingdom face serious risks in 2019. Iran's need to endure US sanctions by protecting relations with Europe will limit its aggressiveness. Suspicion and competition will restrain Russia and China's cooperation.
A return to dictatorship in Brazil
The election of far-right politician Bolsonaro marked the first presidential defeat of the leftist Workers' Party (PT) in twenty years and brought a (retired) army officer to power for the first time since the 1964-1985 era of military rule. But despite Bolsonaro's defense of authoritarian practices and his fiery rhetoric against opponents, this is not the end of Brazil's young democracy.
The new president will not have popular support to aggressively centralize power. He had the highest rejection rate of any elected president in recent history, he'll have to focus on a laundry list of demands from voters, and he's far from controlling congress—a requirement for amending the constitution.
Brazilian institutions are more decentralized and robust than they were five decades ago, and they look particularly strong when compared to those of other emerging-market countries. The Supreme Court has entrenched independence; state courts and prosecutors enjoy autonomy; individual governors control police forces; and the media operates freely without strong government oversight. Brazil is not Venezuela or even Turkey.
And, perhaps most importantly, there is no support within the armed forces for taking power. This isn't the 1960s, there is no “Communist threat,” and most military officers know that running the country would be more hassle than it's worth.
Saudi Arabia
Mohammed bin Salman is not the most popular man in the world these days, but 2019 will be a better year for him, and for Saudi Arabia, than many would like to believe. International pressure on the young crown prince will not end his bid to become king; he remains firmly in line to take power from his father. The killing of Jamal Khashoggi will convince King Salman to rein in his son and once again include senior members of the family in the decision-making process, but this will act as a stabilizing factor for the country, not a direct threat to his rule.
Washington and Riyadh will work to contain tensions in their relationship, as each needs the other for the protection of strategic interests. The Trump administration won't go after the crown prince. Regionally, Iran and Saudi Arabia will spar, but each will try to avoid any intensification of their rivalry as both focus on growing domestic concerns. Saudi Arabia will continue to deescalate its war in Yemen and ease tensions with Qatar to placate its Western partners.
Vision 2030 and the domestic reform agenda will face setbacks, as international investors remain reluctant to re-engage too quickly with the Saudi leadership. Domestic spending will increase to ensure that domestic pressures on the regime remain under control. However, deep pockets will help the kingdom manage these challenges in 2019.
Iran
Iran is a serious trouble spot in 2019. Faced with severe US sanctions, the economy will contract, inflation will rise, and the unemployment rate will increase. But the US campaign against Iran is unlikely to trigger a major crisis this year. The nuclear issue will remain on the back burner.
Iran will probably remain in the nuclear deal—and abide by its restrictions—to preserve economic ties with Europe and oil sales to Asia, hoping to run out the clock on the Trump administration. Even if the country does leave the deal, it will not drastically ramp up its nuclear program. It may tinker with new centrifuges or marginally increase its stockpile of low enriched uranium. But it will be cautious to avoid provoking US or Israeli military strikes. Iran will show resolve by pursuing a tough policy in the region, but pragmatism will limit its aggressiveness.
Most significantly, regime change is not coming to Iran anytime soon. Most Iranians see the regime as legitimate, if deeply flawed. The government is well practiced at sanctions evasion. And the security forces are a firm backstop to any protest movement that gets out of hand.
Russia-China relations
As Beijing and Moscow face new challenges in their respective relationships with the US, speculation has grown about the prospect for a formal China-Russia alliance. Such a partnership remains unlikely.
True, collaboration between Moscow and Beijing has increased dramatically in recent years. Politically, both countries have an incentive to join forces on pushing back against the US leadership. Economically, each makes an attractive partner for the other: energy for China and external funding for Russia. Russia has emerged as the biggest recipient of China's Silk Road Fund, and last year China participated in Russia's large military exercises for the first time.
But that's where the love stops. Deep cultural suspicion persists between the two sides. China has little incentive to boost a declining Russian economy. Russia has no desire to become Beijing's raw materials junior partner. The two share a desire to reshape the global order, but Beijing's approach is far more incremental and collaborative than Moscow's brash revisionism. And while the two countries' militaries work together, their geopolitical outlooks remain divergent, and they could clash down the road over competing areas of interest, particularly in Central Asia  
●conclusion
It's been 21 years since we started Eurasia Group and we've been through our share of global changes together. Taking a moment to look back, we remind ourselves of our modest beginnings, personally and as an organization, and of how much of a privilege it is to have your support.
Thank you for being a part of our community. We appreciate it and wish you only the best for 2019.
—Ian and Cliff