「携帯料金は4割下げられる」 菅官房長官発言

建前 「携帯料金は4割下げられる」
国民アピール 点数稼ぎ

本音 「政府を馬鹿にするなよ」
政権に逆らう 見せしめ脅し


 
 
いずれの業種も 企業の寡占・独占化が進行
政権は 安倍一強
安倍政権の目標 平成の大政翼賛会
 
 
●ソフトバンクの孫社長「日本はばかな国」…政府の規制を批判 7/20
日本ソフトバンクの孫正義社長が日本政府の規制政策を批判する発言をした。
19日の共同通信によると、孫社長は東京都内のある講演で「(日本は(自家用車を用いた相乗りなどの)ライドシェアを法律で禁じている。こんなばかな国はない」と述べた。
ソフトバンクは1月、ライドシェア世界最大手の米Uberに92億5000万ドル(約1兆円)を投資して筆頭株主になったのをはじめ、中国トップの滴滴出行、東南アジアトップのグラブ、インドトップのOla(オラ)などに計356億6000万ドルを投資した。しかし日本では政府の規制とタクシー業界の反発で参入できない。業界をまたぐ屈指の革新家と見なされている孫社長の立場では、日本政府の岩盤規制にもどかしさを感じているはずだ。
孫社長はこれらサービスは便利さだけでなく交通渋滞の解消、安全などにも寄与していると主張し、「国が未来の進化を止めている」と政府を批判した。
菅義偉官房長官の記者会見でもこれに関する質問が出てきた。「孫社長が規制緩和を進めない政府を痛烈に批判したが、どう思うのか」という質問に対し、菅義偉官房長官は「ライドシェアについては安全の確保と事故発生時の責任をどうするかなどの問題があり、そのような観点でさまざまな検討が必要だと考える」と述べた。
また孫社長は「人工知能(AI)を制するものが未来を制する」とも述べ、今後ソフトバンクがAI関連事業投資を加速する方針を明らかにした。  
 
 
●孫正義は菅義偉官房長官を怒らせてしまった
先日、ソフトバンクの孫正義は日本でライドシェア(相乗り)サービスが禁止されていることについて、 こんなばかな国がいまだにある ということが、僕には信じられない と述べ、国の対応を痛烈に批判した。
よほど ライドシェア事業に出資していたとみえる。
ところがである。
菅義偉官房長官は札幌で講演した。
○ 携帯電話の利用料は不透明であり、他国と比較して高すぎる。
○ 公正取引委員会が4年縛りを問題視していることをあげ、政府として利用者が納得できる料金やサービスの実現に努力する。
東日本大震災の際は民主党政権であり、太陽光発電を売り込んだ孫正義だが、安倍政権となり自分の思う通り誘導できなくなって焦りもあるのだろう。
ライドシェアの推進を、日本政府に是非お願いしたい!と言っておけばよかったのに、口が滑ってしまった。
沈黙していた菅官房長官が反撃である。
15兆の借金を抱える孫正義をやり込めてしまった。
民主党のスッカラ菅と違い、官房長官の怖さを肌で感じた事だろう。
ソフトバンクは国家的なプロジェクトを幾つも成功させない限り、遅かれ早かれ倒産だろう。
金利上昇の足音が近づく中、孫正義の勇ましい日本批判は断末魔のうめき声に聞こえた。 
 
 
 
 
●官房長官発言で携帯各社に激震、狭まる値下げ包囲網 8/21
21日の東京株式市場で、国内携帯電話大手3社の株が売られた。菅義偉官房長官が「携帯電話料金は4割程度下げる余地がある」と発言したことが伝わり、収益悪化懸念が出たためだ。
携帯電話会社を巡っては、総務省や公正取引委員会も現行の商慣行や料金制度を問題視しており、値下げ包囲網は狭まりつつある。
21日の東京市場でNTTドコモ(9437.T)は4.0%安、KDDI(au)(9433.T)が5.22%安、ソフトバンクグループ(9984.T)が1.63%安で大引けを迎えた。
きっかけは菅官房長官の発言だ。共同通信によると、菅義偉官房長官は同日行った札幌市での講演で、大手携帯電話会社は巨額の利益を上げているとしたうえで「競争が働いていないと言わざるを得ない」と指摘。「携帯電話料金は、今より4割程度下げる余地がある」と述べ、通信料金の改革に意欲を示した。
実際、2018年3月期の営業利益をみると、ソフトバンクグループが前年比27.1%増の1兆3038億円、ドコモが同3.0%増の9732億円、KDDIが同5.5%増の9627億円と、3社とも国内トップ10に入る利益を稼いでいる。ドコモの親会社NTT(9432.T)も含めれば、トップ10のうち4社が通信会社という状況にある。
首相官邸が携帯電話料金に注文を付けたのは、今回で2回目。最初は2015年9月で、安倍晋三首相が経済財政諮問会議で通信料の引き下げに向けた方策を検討するよう指示したことで、3社の株は大きく売られた。
総務省はこの指示を受け、携帯電話市場改革を加速。通信料高止まりの一因とされている通信と端末のセット販売を分離する政策を推し進めたほか、楽天(4755.T)の携帯電話参入を認めるなど、通信料の値下げにつながる競争環境を整備してきた。
これには公正取引委員会も援護射撃し、通信と端末のセット販売はその程度により独占禁止法上問題となる恐れがあると警告している。
総務省の家計調査によると、2010年に3.66%だった世帯消費に占める電話通信料の割合は、2016年に4%を突破し、2017年には4.18%とじわりと増加している。固定電話は減少しており、代わりに増えているのが携帯電話だ。2017年の携帯電話の通話料は年間10万0250円と、初めて10万円を突破した。
ある総務省幹部は「通信料金が、他の消費を圧迫している」と述べ、現在の通信料の水準に不満を漏らした。
これに対して、ドコモは「これまでもさまざまな顧客還元を行ってきたが、今後もサービスの向上を目指して、顧客の要望を踏まえた料金サービスの見直しや拡充を順次検討、発表していきたい」(広報担当者)としたほか、KDDIも「引き続き、顧客ニーズに応えられるようサービスの向上に努めていく」(同)とコメント。ソフトバンクも「引き続き顧客にとってより良いサービスを検討していく」(同)との見解を示した。
今回は、ソフトバンクグループの下落率がもっとも小さかった。同社は通信会社というよりも、投資会社の色彩を強めていることが背景にあるが、通信子会社は年内に株式公開(IPO)を準備中だ。料金の値下げに追い込まれれば、IPOに影響が出る可能性も否定できない。  
 
 
●孫正義氏は官房長官「4割値下げ可能」発言をどう受け止めたか 8/24
孫正義氏はかつて2003年頃に周波数付与問題で総務省を相手取って訴訟を行い、米国の弁護団を呼び、報道陣を前に日本の携帯料金は世界一高いと激しく糾弾し、国民のために安価な携帯を提供するから周波数を新規事業者によこせと訴えた。下記の参考データは現在のものだがこれを観ていて既視感にうたれた。氏も当時のデータをもとに日本の携帯電話料金の高さを訴えていたのだった。
菅義偉官房長官は日本の携帯電話の利用料金について「今よりも4割程度下げる余地がある」と札幌市内で行われた講演で発言をした。「国民の財産である公共の電波を利用している。事業で過度な利益を上げるべきでなく、利益を利用者に還元しながら広げていくべきだ」とも話した。かつての孫正義氏の発言とそっくりそのままである。
孫正義氏は今回の官房長官「4割値下げ可能」発言はどう受け止めただろうか。純粋なこころ根を持つ氏のことだから株主利益と自己の理想(IT革命で人々を幸せに)との間で巨大な矛盾に苦しんでいるに違いないと心中を察するのだが、「損しても正義」のキャッチフレーズを今体現すべきときだろうと思う。
上記の菅官房長官発言は2015年9月に安倍首相が経済財政諮問会議で「携帯料金等の家計負担の軽減は大きな課題。その方策についてしっかり検討を進めてもらいたい」と高市総務相に指示したことの繰り返しである。3年前の総理指示が高市前総務大臣によってきちんと実行されていればこの発言はなかったのだからその意味で政府の責任も重いのだが。
参考
総務省「電気通信サービスに係る内外価格差調査」2017年7月調査によれば、自社で回線網を設置、運用している大手3社によるスマートフォンの料金(月20GB)は東京が8642円、ニューヨークが7215円、ロンドンが2947円だった。ロンドンに比べると、3倍近い料金。
MVNO スマートフォンの料金(月20GB)で東京が5726円、ニューヨークが6740円、ロンドンが4126円と東京はロンドンに比べて38%高。
NTTドコモの18年3月期の営業利益は9732億円、KDDI(auブランド)が9627億円、ソフトバンク(国内通信事業のみ)が6829億円。 
●菅義偉官房長官、携帯の契約手続き「時間かかりすぎる」 8/30
菅義偉官房長官は30日の記者会見で、自身が主張する携帯電話料金の引き下げに関し、「(契約の)手続きに時間がかかりすぎるという国民の声もある」と述べ、手続きの見直しにも意欲を見せた。料金プランの変更や解約など手続きの簡素化などが念頭にあるとみられる。
菅氏が携帯料金について「4割程度引き下げられる余地がある」と指摘する中、ソフトバンクは29日に端末代金を値引きしない代わりに通信料金を引き下げるプランを発表した。
菅氏は会見で同社のプランに関して「事業者が利用者の理解を得られるよう取り組んでいくことは大事だ」と指摘した。そのうえで「政府として、取引慣行の是正、中古端末の流通促進に取り組み、競争が働く仕組みとすることで、利用者に納得できる料金・サービスの実現に努めたい」と強調した。 
●携帯料金「競争働く仕組みに」=菅官房長官 8/30
菅義偉官房長官は30日の記者会見で、ソフトバンクが通信料金を引き下げた新料金プランを導入すると発表したことに関し「競争がしっかり働く仕組みとすることで、利用者が納得できる料金サービスの実現に努めていきたい」と述べ、料金引き下げに重ねて意欲を示した。
菅氏は、携帯料金をめぐる課題として、会社を変更しにくくする「2年縛り」といった販売手法などに加え、契約手続きに時間がかかることも挙げた。  
●ソフトバンク榛葉副社長、菅官房長官の「4割下げる余地ある」発言に言及
ソフトバンクの榛葉淳代表取締役副社長兼COOが29日、都内で行われた同社の新サービスに関する記者発表会に参加。菅義偉官房長官の「4割程度下げる余地がある」という発言にキャリア側として言及した。
新しい料金サービスはデータ容量を消費しない“ギガノーカウント”により、対象の動画サービスやSNSが使い放題となる『ウルトラギガモンスター+(プラス)』。対象となるYoutube、AbemaTVなどの動画サービスや、LINEやフェイスブックなどのSNSが使い放題となる。受付は9月6日から。料金は50ギガのプランで5480円となっている。さらに「ギガ使い放題キャンペーン」の概要も発表。iPhoneの10周年記念として『ウルトラギガモンスター+』に加入すると来年4月7日までメールやインターネット、アプリなど全てのデータ通信が使い放題、完全無制限となるというものとなっている。
質疑応答も実施され、話題の多くは菅官房長官の発言に関してのものが多くなった。菅官房長官は27日に携帯電話料金について「4割程度下げる余地ある」と発言。受け止めを問われると榛葉氏は「十数年前にキャリアの事業に参入させていただいたときから、ソフトバンクはプライスリーダーとしての自負を持って取り組んできました」と話し、今回の『ウルトラギガモンスター+(プラス)』で「従前と比較いたしまして通信量としては25%から30%を超えるくらい昨年より割引されている。補足させていただきますと、昨年まで頑張ってきた金額の比較」と説明した。
さらに4割発言に関した質問が続くと「議論するときに40%の根拠というものが、あられると思う。その根拠と同じ土俵で比較しないとおかしくなる」と渋い顔。「プライスというものもありますけど、クオリティーもある」とし「そういった数字も大切かもしれませんけど、トータルで判断、議論していくのも大切」と価格だけにとらわれることに首を傾げていた。  
●ソフトバンク副社長「最大3割安に」、官房長官発言意識か
ソフトバンクは29日、主要な動画サービスやSNS(交流サイト)を使っても契約したデータ容量にカウントされない新サービスを始めると発表した。毎月50ギガバイトまで利用できる料金プランに適用する。
導入するのは「ウルトラギガモンスター+(プラス)」。9月6日に申し込み受け付けを始める。「ユーチューブ」や「AbemaTV」といった動画サービスや「LINE」や「Facebook」といったSNSなど8つのサービスが定額で使い放題となる。
料金は家族4人以上で使用するなど各種割引を適用すると月3480円から。従来は月6000円からだった。各種割引がない1人契約の場合は月7480円となる。
新プランはスマートフォン代金の割引サービス「月月割」との併用はできない代わりに、通信料を引き下げた。
会見した榛葉淳副社長はスマホ代を含めた支払い総額について「端末価格にもよるが、基本的には従来と同等か、もしくはそれよりお得になっている」と説明。通信料については「従来より25%から30%超くらい割引されている」と語った。
携帯電話通信料を巡っては菅義偉官房長官が「今より4割程度下げる余地がある」と発言したことで、業界全体が対応に追われている。榛葉副社長があえて割引率に言及したのは、官房長官発言を意識したものと言えそうだ。
ただ、榛葉副社長は、価格だけでなく、質も考える必要があるとして「トータルで議論していくことが大切ではないか」とも付け加えた。
分離プラン3社出揃う
これまで携帯電話会社は通信サービスと端末代のセット販売が中心だった。高額なスマホを安く買えるように、通信料からスマホ代の一部を割り引いていたが、政府内には「これが料金を不透明にし、通信料の高止まりを招く原因になっている」との批判があった。
こうした批判を受けて、KDDI(au)(9433.T)とNTTドコモ(9437.T)は昨年、端末代を割引しない代わりに通信料を安くする、いわゆる分離プランを導入した。今回、ソフトバンクも2社に追随した格好となる。
政府内にはスマホ代が定価販売になれば、スマホの割引余力に乏しいMVNO(仮想移動体通信事業者)も大手3社と同じ土俵で戦えると期待する声も少なくない。さらにスマホメーカーの競争原理も働きやすくなり、長い目で見ればスマホ価格の低下につながるという見方もある。
通信サービスも同様に競争で料金の低下が期待できる。ただ、公正取引委員会の調査では、調査対象の大手携帯電話会社の契約者の約半数が通信品質や通信料金にかかわらず、乗り換えるつもりはないと回答している。市場の活性化につながるかは不透明感も漂う。
ネット中立性
今回、ソフトバンクが始める特定サービスのデータ通信料を無料にするプランは「ネットワークの中立性」との観点で議論されることが多い。
通信事業者が特定のサービスを優遇すれば、同種のサービスを提供する他社が同じ土俵で戦えなくなり、長い目で見れば事業者の寡占化につながり消費者は不利益を受けかねないといった問題をはらんでいる。
これについて榛葉副社長は「きょうは8社だが、今後はオープンに他のコンテンツベンダーとも話し合っていく」と述べ、対象サービスを広げてく考えを示した。  
●「携帯料金は4割下げられる」発言の真偽
「携帯料金は4割程度の値下げ余地がある」
菅義偉官房長官の発言が、携帯電話業界で波紋を呼んでいる。
NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクといった大手3キャリアは国内企業の中でもトップクラスの利益を上げており、公共の電波を利用して「儲けすぎ」との批判は根強くある(下のグラフのうち、ソフトバンクだけはモバイル部門を含めたグループ全体の数字、直接比較はできない)。
一方で、政府が料金値下げを直接的に指示することにも、異論が巻き起こっている。果たして「4割値下げ」は可能なのか、またそれによってどのような影響があるのか、これまでの業界動向を整理したい。
「4割値下げ余地」発言に困惑するキャリア
菅官房長官は、「4割値下げ余地」について8月21日の札幌市内での講演で発言した後、8月27日の記者会見でもあらためて言及したことが報じられた。
その根拠として、日本の携帯料金はOECD加盟国平均の約2倍との報告を受けたという。また、菅官房長官は2019年10月にMNOに参入予定の楽天が、既存事業者の半額程度に料金を設定することも根拠として挙げている。
  ※OECDとは:経済協力開発機構、Organisation for Economic Co-operation and Developmentの略。国際経済について議論を進めるアメリカやヨーロッパ諸国など36カ国が加盟する国際機関。日本は1964年から加盟。
  ※MNOとは:自社で通信設備を所有する移動体通信事業者(Mobile Network Operator)のこと。日本では現在、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社を示す。
この発言に対し、困惑を隠せないのが3キャリアだ。2015年に安倍晋三首相が携帯料金の値下げを指示したことを発端に、総務省の指導に基づいた取り組みを進めてきたからだ。
総務省は、大手キャリアから帯域を借り受けて通信サービスを提供するMVNOの拡大を推進。楽天モバイルやmineoを始めとするMVNO各社は、無駄なサービスを省いた「格安スマホ」「格安SIM」を打ち出してきた。
  ※MVNOとは:自社で通信設備を持たず、MNOから借り受け事業を展開する仮想移動体通信事業者(Mobile Virtual Network Operator)のこと。
この動きに対し、NTTドコモは対象端末の契約で毎月1500円(税抜)を割り引く「docomo with」、KDDIは利用したデータ量に応じて料金が変動する「ピタットプラン」など、利用形態に応じて割安に使える新たな料金プランを2017年に追加している。
ソフトバンクとKDDIは、いわゆる「サブブランド」も展開してきた。ソフトバンクは低価格ブランドの「ワイモバイル」を、KDDIはグループ会社のUQコミュニケーションズがMVNO「UQ mobile」を拡大させており、大手キャリアとMVNOの間に位置する料金と充実したサービスによる「いいとこ取り」を狙ってきた。
菅官房長官の発言に対する3キャリアの反応も横並びとなった。
NTTドコモはdocomo withやシンプルプランなどを提供していることを挙げ、「今後もお客様の要望に応じて料金プランの見直しや拡充を進めていく」(同社広報部)と静観の構えだ。
KDDIも新料金プランであるピタットプランなどの存在を挙げ、これまでも値下げに取り組んできたことを主張。「毎年、5000億円を超える設備投資を行っている」(同社広報部)と設備投資の大きさを強調した。
ソフトバンクも「引き続きお客さまにとってより良いサービスを検討していく」(同社広報部)と語っている。
今後の収益悪化が嫌忌されたのか、3キャリアの株価は下落傾向にある。
だが、各キャリアは株式を上場する民間企業であると同時に、国民の財産である電波を使用する許認可事業として総務省の監督下にある。料金プランを含め、総務省の方針に沿って事業を展開してきただけに、政府がさらなる値下げを指示できるのか、疑問の声が上がっているのが現状だ。
「日本の携帯料金は高い」は本当か
今後の争点になりそうなのは、「4割」の根拠だ。そもそも日本の携帯料金は本当に高いのだろうか。
総務省が公開している「電気通信サービスに係る内外価格差調査」(平成28年度)から、明確な結論を導くことは難しい。データ容量や端末の割賦代金を考慮しても、日本はアメリカより安い傾向にあり、欧州との比較では同等か高い場合もある、といった水準に収まっているからだ。
また、キャリアのサービス品質は国ごとに大きく異なるため、単純な金額比較は難しい。北米や欧州、アジアに出張の多い筆者の実感では、日本の大手キャリアの品質は世界的に見ても高い水準にある。
例えば、東海道新幹線では大阪までほとんど途切れることなくLTEを利用できる。ところが、ドイツの高速鉄道ICEでは、都市部を外れるとすぐに3Gよりも遅い2Gに落ちてしまう。日本の地下鉄では走行中もLTEでつながるが、ロンドンでは地下鉄駅そのものが圏外になる、といった具合だ。
このように品質の高さを考えれば、日本の携帯料金は決して高くはないと筆者は考えている。だが、日本の消費者が納得しているかどうかは別問題だ。
最近ではなりを潜めているが、不要なオプションを抱き合わせで契約させる「レ点商法」や、MNP獲得のための過大なキャッシュバックなどを背景に、「必要以上の料金を払わされている」と感じている消費者は少なくないからだ。
しかし、こうした背景を考慮しても、大手キャリアの「4割値下げ」は副作用が大きすぎるという問題がある。
それが、総務省が推進してきたMVNO各社の存在だ。MVNOが格安スマホ市場へ次々と参入した背景には、大手キャリアの携帯料金は一定の高い水準にとどまるだろうという見立てがあった。大手キャリアが4割値下げを断行すれば、この前提が崩れることになる。
MVNO各社は菅官房長官の発言をどう見ているのか。MVNO 3社の広報担当に問い合わせてみた。
  ・UQ mobile(UQコミュニケーションズ):大手キャリアが値下げした場合は、競争が激化することが想定される。
  ・mineo(ケイ・オプティコム):総務省や情報通信審議会の動向に注視していく。
  ・IIJmio(インターネットイニシアティブ):仮に大手キャリアの携帯料金が単純に引き下げられるのであれば、MVNOの接続料にも変化が反映されるのではないか。
一方、MVNO事業を展開しながら、2019年10月にMNOにも参入する楽天は、「市場動向に関わらず、引き続き安価で安心して使っていただける品質を維持する」と回答。MNO事業への影響は「詳細は現在検討中。MVNOと同様、お客様にご満足いただけるサービスを提供できるよう準備を進めていく」と回答した。
大手キャリアの値下げにより帯域の卸値が下がったとしても、MVNOにとっては厳しい局面が待っている。その背景にあるのがコストの増大だ。当初はリテラシーが高く、手間のかからない層が中心だったが、格安市場に流入するユーザーが増えるにつれ、大手キャリア並みのサポートを求める声が高まっているという。
いま、大手キャリアの販売店には「Apple IDを忘れた」など初歩的なトラブルを抱えたユーザーが殺到しており、数時間待ちの光景も珍しくない。その一部が、そのままMVNOに向かいつつあるというわけだ。
こうした状況で大手キャリアが値下げを断行すれば、MVNOは撤退の危機に瀕し、日本でも拡大を始めた格安スマホ市場を丸ごと潰しかねないというわけだ。
格安市場やインフラ投資を含めたバランスの良い議論を
菅官房長官の発言を受け、8月24日にNTTドコモはdocomo withの対象端末に「iPhone 6s」を追加した際、「シンプルプラン」や「ベーシックシェアパック」を組み合わせることで月額料金が「4割安くなる」との説明を加えてきた。
対するソフトバンクは8月29日に、動画やSNSの使い放題を含む新料金プラン「ウルトラギガモンスター+(プラス)」と、端末と回線を分離した段階制料金プラン「ミニモンスター」を発表。プランの検討にかかる時間を考えれば、菅官房長官の発言前から準備を進めてきたものとみられるが、結果としてタイムリーな発表となった。
KDDIはすでに同様の段階制プランや「Netflix」とのセットプランを提供しているものの、今後はプランの新設や追加の値下げに踏み切るのか、判断を迫られることになる。いずれにしても何らかの形で「4割値下げ」を先取りしたアピール合戦が始まることは間違いないだろう。
長期的な視点では、2020年に商用サービスが始まる次世代通信「5G」に向けた設備投資にも注目したい。
5Gは携帯電話やスマホだけでなく、あらゆるモノがネットにつながるIoTのインフラとしても利用される。電波は目に見えないが、膨大な数の基地局に支えられており、そこに投資を続けていくことは日本の国力にもつながってくる。
すべての消費者が、自分の必要とするサービスを適切な料金で使えることはもちろん重要だ。それに加えて、格安市場の拡大や5Gインフラ投資にも目を向けたバランスの良い議論を期待したい。 
 
 
 
 
 
 
 


2018/10