放送制度改革

放送制度改革
「政治的公平」撤廃 

何のため 目的不明法案


 
 

昔 正面から脅した人もいました
政権に逆らうと 怖い時代
忖度メディアに徹してください
 
 

 

「放送制度改革」に対する民放労連の声明 3/27
   日本民間放送労働組合連合会 中央執行委員会
安倍政権が検討しているという「放送制度改革」の方針案が明らかになった、と報道された。放送法4条の「番組編集準則」を撤廃し、インターネットと放送の規制を一本化して新規参入を促す内容で、安倍晋三首相は今年になって「放送事業の在り方の大胆な見直しが必要」と繰り返し発言し、内閣府の規制改革推進会議などで検討を進めているという。
番組編集準則は「番組の公序良俗」「事実を曲げないこと」「政治的公平」「多角的報道」を放送事業者に求めているものだが、放送の自律に基づく倫理規定として運用されるのならば、視聴者に対する放送倫理の表明として認められるものだ。しかし、これまで自民党政権は、放送内容に介入するために放送法4条を法規範として持ち出し、放送局に対して番組内容に関する行政指導をしばしば行ってきた。
憲法違反の疑いの強いこのような行政指導に放送局が従わざるを得なかったのは、放送免許が政府による直接免許制とされ、政府に睨まれると停波の危険があるからだ。このように電波法と結び付けた直接免許制こそ、一刻も早く改められるべきであり、独立行政委員会制度の創設など、国際社会で一般的な間接免許制に向けた議論を始めるのが先決だと私たちは考える。
一昨年の国会で行われた、当時の高市早苗総務相の「停波発言」を受けて政府が閣議決定した放送の政治的公平に関する「政府統一見解」で、現政権は、放送内容の政治的公平性を政府が判断することの正当性を改めて主張した。昨年11月に国連人権理事会から放送法4条見直しの勧告も出されていたが、これについては今月、日本政府としては「受け入れない」との態度を表明している。このようなこれまでの政府の姿勢とはまったく異なる方針案が唐突に示されたことに、驚きを禁じ得ない。総務省の検討会などでもこれほど大きな放送制度改革が議論された形跡はなく、政策の整合性の観点から強い疑問を持たざるを得ない。
約30年前に放送の公正原則を廃止した米国では、政治的な党派色を強めた番組が増え、社会の分断を助長したという指摘もある。今回の政府方針案には、情報流通の中心にインターネットを置いて、放送の社会的影響力を低下させようという狙いもあるのではないか。産業振興の色合いも強く、放送の社会的使命を軽視している様子もうかがえる。私たち放送で働く者が、放送倫理に基づく番組づくりで視聴者から信頼を得ようとしてきたこれまでの努力をないがしろにするかのような提案には、断固として反対をしていく。
放送は国民の知る権利に応える機関として、この国の民主主義の基盤の一翼を担ってきた。政府はまず、方針案決定に至る過程について、国民各層への説明責任を果たすべきではないか。以上 
 
 

 

放送制度改革案 「政治的公平」撤廃 政府、新規参入促す 3/28
政府が検討する放送制度改革案が明らかになった。放送番組の「政治的公平」などを定めた放送法4条を撤廃し、テレビやラジオなどの放送事業と、インターネットなどの通信事業で異なる規制を一本化する。放送分野への新規参入を促す狙いだが、政治的に偏った番組が放送されることなどが懸念される。
放送法4条は、放送事業者に番組作りの原則として、政治的公平▽公序良俗▽正確な報道▽多角的な論点の提示−−の4項目を求めている。改革案では4条に加え、娯楽や教養、報道など番組内容のバランスを取ることを求める「番組調和原則」、放送局への外資の出資比率を制限する「外資規制」など、放送事業特有の規制を撤廃する。この結果、通信事業者と同様に、番組内容に関する基準が事実上なくなることになる。
放送番組の制作などのソフト事業と、放送設備の管理などのハード事業の分離の徹底も盛り込んだ。一方で、NHKについては規制を維持。公共放送の役割を重視し、民放と区別する。NHKには番組のネット常時同時配信も認める方向だ。
改革案は規制改革推進会議(議長・大田弘子政策研究大学院大教授)が取りまとめ、6月にも安倍晋三首相に答申する。早ければ今秋の臨時国会に法案を提出し、2020年以降に施行する方針。
政府が放送制度改革に乗り出したのは、安倍首相の強い意向があるためだ。今年2月初め、「国民の共有財産である電波を有効利用するため、周波数の割り当て方法や放送事業のあり方の大胆な見直しも必要」と強調し、その後に改革に向けた協議が本格化した。
これに対し、民放各社は「民放事業者が不要だと言っているのに等しく、容認できない。強く反対したい」(日本テレビの大久保好男社長)などと、反発を強めている。
放送を所管する野田聖子総務相も22日の衆院総務委員会で「放送法4条がなくなれば、公序良俗を害するような番組や事実に基づかない報道が増加する可能性がある」と述べるなど、政府内にも慎重な声がある。 
 
 

 

放送の役割踏まえた議論必要 3/30
政府が進める放送制度改革の狙いは、規制撤廃で放送とインターネット通信との垣根をなくせば、コンテンツ産業での新規参入が促進され多様な番組を視聴者が楽しめるというものだ。しかし、一連の規制撤廃はこれまで放送が果たしてきた役割を無視しており、国民の「知る権利」にも影響するなど多くの弊害が想定されることから、慎重かつ丁寧な議論が必要だ。
政府は(1)政治的公平(2)番組基準(3)外資規制−といった放送法で規定されている規制を撤廃。また、放送設備(ハード)を持つとともに番組制作(ソフト)も行うテレビ局について、この2つを分離することで、多様な事業者がテレビ局の放送設備を使って番組を流せるようにすることも狙う。NHKは放送内容に関する規律を維持し、「放送(NHK除く)は基本的に不要に」なるとしている。
しかし、こうした規制が撤廃されると、ネット上で現在横行しているフェイク(偽)ニュースやヘイトスピーチ(憎悪表現)が放送されたり、選挙報道の中立性が損なわれたりする可能性がある。また、「目を背けたくなる過激な暴力、性表現が子供に直接降りかかる」(テレビ朝日の早河洋会長兼CEO)恐れもある。
視聴覚障害者向けの「字幕・解説放送」のほか、ハード・ソフトの分離で巨大地震などの大災害時や有事の際には連携不足で迅速な放送が行われず、国民の安全・安心を確保できなくなる。外資規制の撤廃で、外国政府の資本の入った企業や団体がテレビ局を買収して反日宣伝活動を展開すれば、安全保障上の問題も生じる。番組の質はこれまで放送法の規定で維持されてきており、規制撤廃は信頼低下も招きかねない。
さらに、政府はこれまで民放側からのヒアリングを行っておらず、こうした方針が閉ざされた場所で議論されていることも問題だ。政府はこれらの改革について、早ければ今秋の臨時国会への関連法案提出を目指すとしているが、「知る権利」にも大きく影響するだけに、幅広い意見を踏まえて議論を深めることが求められている。 
放送の「政治的公平」撤廃案 透けて見える政権の思惑 3/30
産業政策に名を借りた新たなメディアコントロールではないか。放送に関与し、都合のよい番組を流したい政権の思惑が透けて見える。
政府が検討している放送制度改革案が判明した。通信との垣根をなくし、新規参入を促すのが狙いだ。
その具体的手段として挙げられているのが放送法4条の撤廃である。放送事業者が番組を作る際の原則で「政治的公平」などを明示する。
4条の扱いは、放送と政権の関係が問われるたびに注目されてきた。
放送局が目指す倫理規範とみるのが通説だが、国は行政処分ができる法規範との解釈を取っている。
安倍政権下の2014年衆院選では、自民党が民放とNHKに選挙報道の公平中立・公正を求めた。直前の番組では、首相が自分に批判的な声を集めた街頭インタビューに反発する場面があった。16年には、当時の高市早苗総務相が4条違反で電波停止を命じる可能性に言及した。
このように4条は政治介入を許す口実に使われる側面がある。今回はその4条撤廃を唐突に持ち出した。
4条を撤廃しインターネット事業者などが参入しやすくなると、極端な表現をする番組やフェイク(偽)ニュースが横行する恐れがある。
放送を所管する野田聖子総務相は衆院総務委員会で、4条がなくなれば事実に基づかない報道が増加する可能性があるなどと懸念を示した。
放送法の目的は本来、放送による表現の自由を、社会的影響力に対処しつつ保障することにある。
1条は「放送が健全な民主主義の発達に資するようにする」とし、3条は「番組は法律に定める権限がなければ干渉・規律されない」とうたう。これらを前提にした4条だけを切り離して論じるのは不適当だ。
放送の自主自律を堅持し、問題があるなら、NHKと民放が設立した放送倫理・番組向上機構(BPO)などが解決すべきである。
改革案は政府の規制改革推進会議が集約する。会議の委員には、東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)の番組「ニュース女子」の進行役を務めた東京新聞論説委員も名を連ねる。この番組の沖縄報道は放送倫理違反に問われた。
政府のご都合主義で放送制度改革を進めることがあってはならない。 
 
 

 

野田聖子総務相 放送法4条撤廃や放送局への外資規制廃止に反対 4/3
野田聖子総務相は3日の衆院総務委員会で、放送番組に政治的公平性を求めた放送法4条撤廃など政府内で検討されている放送制度改革について「放送事業者は4条を含めた放送法の枠組みの中で、自主・自律で放送番組を編集することにより、重要な社会的役割を果たしてきたと認識している。仮に放送法4条を撤廃した場合、公序良俗を害するような番組や事実に基づかない報道が増加する可能性が十分考えられる」と述べ、改めて慎重な姿勢を示した。
野田氏は放送制度改革の一つとして検討されている放送局への外資規制廃止に関しても「放送事業者は言論・報道機関としての性格を有しており、社会的影響力が大きいことを鑑みて設けられたものだ。これまでのところ有効に機能してきたと認識している」と述べ、外資規制は必要だとの認識を表明した。
ネット事業者の参入を容易にするため放送設備を管理するハード事業者と番組を制作するソフト事業者の分離徹底についても「平成22年の放送法改正があり、経営の選択肢拡大との観点からハード・ソフト分離の制度をすでに導入している。現在はすべての放送事業者がハード・ソフト一致を選択している」と指摘。法律上は制度があるものの、自主的な判断ですべての放送局がハード・ソフト一致を選択しているとした。
野田氏はこれまでも放送法4条撤廃に慎重な姿勢をみせていたが、3日の答弁では外資規制廃止やハード・ソフトの分離徹底に関しても慎重な姿勢を示した形になった。 
 
 

 

「放送改革の方針」で対立した官邸と読売グループ 4/4
放送法4条撤廃などを打ち出した政府の「放送改革の方針」。対応を協議するため集まった民放キー局幹部を前に、3月23日、大久保好男・日本テレビ社長は、政府の姿勢について、「脅しではなく本気だ」と語るとともに、全面的に闘う決意を示した。
今回の放送改革の方針は、通信と放送の規制を一本化し、民放について放送法4条をはじめ、外資規制やマスメディア集中排除原則、番組審議機関、番組の編集基準、番組の調和原則など一挙に撤廃する考えだ。放送局の設備部門(ハード)と制作部門(ソフト)の分離も徹底させ、ソフト部門への新規参入を促す姿勢をとっている。
第2次安倍政権が発足して5年余、特定秘密保護法や安保関連法、共謀罪、憲法改正など重要な法案や政策で、安倍晋三首相と歩調を合わせてきた読売新聞とともにグループの屋台骨を支える日本テレビが、政権との対決も辞さない姿勢に立ったのは初めてだ。
読売新聞も16日朝刊で1、2、3面にわたって放送改革問題を掲載したのを皮切りに、連日のように紙面で取り上げた。「想定される副作用」として、「偏向放送やフェイクニュースの増大」「放送局が中国などの企業に買収され、番組が宣伝活動に利用される恐れ」とわかりやすい事例を挙げたほか、放送業界の声として「首相を応援してくれる番組を期待しているのでは」という見方を紹介した。25日の社説では「番組の劣化と信頼失墜を招く」と反対の立場を明確にした。この問題を初めて報じたのは15日の共同通信だったが、報道量では読売新聞が突出している。
ある民放役員によると、3月9日夜、大久保社長が安倍首相と会食した際、放送改革方針について両者は激突し、平行線をたどって折り合えなかった、という。
政府の放送改革案を強く批判する読売新聞は昨年5月22日朝刊で、前川喜平・前文部科学事務次官が東京・新宿の出会い系バーに頻繁に出入りしている、という記事を掲載した。その後、前川氏が加計学園の獣医学部新設をめぐる官邸の圧力を証言したことから、大きな議論を呼んだ。官邸と読売新聞が連動しているのでは、という疑念の声が上がった。
この記事に関する興味深いエピソードがある。政治を専門とする著名なフリージャーナリストは、産経新聞の編集局幹部から「官邸から『前川喜平前次官が出会い系バーに出入りしている』という情報が寄せられ取材したが、記事になるような事実を確認できず掲載を見送ったら、読売新聞に記事が出た」と聞いた、という。これについて、産経新聞広報部に問い合わせところ、「取材に関することにはお答えしておりません」という回答だった。
安倍首相が放送制度の改革への言及が始まったのは1月22日の施政方針演説で「通信と放送が融合する中で、国民の共有財産である電波の有効利用に向けて、大胆な改革を進めてまいります」と触れてから。1月31日の新経済連盟(代表理事・三木谷浩史楽天社長)の新年会では、昨年10月の衆院選公示の直前、インターネット動画配信のアベマTVに出演したことに「なかなか面白いなと思いました」と感想を述べたあと、「電波においてもですね、思い切って私は改革が必要なんだろうと、こう思っています」「皆さん、どうかリスクを取ってですね、どんどん手を挙げていただきたい」と語った。
さらに2月1日、政府の未来投資会議でも「周波数割り当て方法や放送事業のあり方の大胆な見直しも必要であります」と言及した。2月6日の衆院予算委員会でも、放送とネットの規制をテーマにした奥野総一郎氏(希望)の質問に、「インターネットについて新たな規制を導入することは全く考えていない」「放送法をどうするかという問題意識は持っております」と答弁している。
明らかになった政府の放送改革の方針について、民放キー局のある取締役は「政府の放送改革の方針は、民放を通信事業者と同じように扱うもので、民放の解体に等しい。NHKと一緒につくった第三者機関の放送倫理・番組向上機構(BPO)も崩壊するだろう」と強い懸念を示す。別の民放役員は「放送はNHKだけあればいいという考えだ。政府の方針が実現すると、通信の環境が整っていない地方での影響がとくに大きい」と危ぶんでいる。
政府の動きへの対応を協議するため日本民間放送連盟(民放連)が3月15日に設けた「放送の価値向上に関する検討会」の第1回会合が23日に開かれ、「政府制度改革は、放送の概念をなくし“民放解体”を意図する政策である」という認識で一致した。民放連専務理事と民放キー5局役員で構成する検討会に、次期民放連会長の大久保副会長も出席、陣頭指揮した。関係者によると、5社の中で政府への対決姿勢を最も強く打ち出したのは日本テレビだった。
なぜ、いま、政府が過激ともいえる放送制度改革に乗り出したのか。民放幹部によると、昨年からの森友、加計学園問題についてのテレビ報道に対する安倍首相の不満が大きい、と見ている。国有地の値引き問題や国会審議を取り上げるニュース番組だけでなく、ワイドショーでは首相夫人の安倍昭恵氏らの映像がひんぱんに放送されることに不服がある、という。
ある民放キー局からは「うちはきっちりとした報道をしているつもりだが、一部の局のためにとばっちりを受けたようなもの」という声が出ている。しかし、民放の情報番組のプロデューサーは「森友学園の籠池泰典・前理事長と一緒に写った安倍昭恵夫人の映像はふんだんにある。ワイドショーは視聴者の風を受けやすい。民放の情報番組は各局とも昭恵夫人の映像を放送していた」と言っている。
受け止め方に多少の違いがあるとはいえ、民放キー局トップは足並みをそろえて反対姿勢を表明している。日本テレビの大久保好男社長は26日、「『民放事業者は不要だ』といっているのに等しい。放送が果たしてきた災害報道や字幕放送など公共的、社会的役割が考慮されていない」と批判。早河洋テレビ朝日会長は27日、「外国の資本が放送局を設立し、その国の情報戦略を展開することになると、社会不安にもなるし安全保障の問題も発生する」と指摘した。地方局からの不安の声はさらに厳しいものがある。
民放に対する規制がなくなった場合、放送法は実質的にNHK法になる、との見方も出ている。広告収入が頭打ちの民放に比べ、受信料収入が順調に伸びているNHKの「1強」がより鮮明になりそうだ。半面、民放との二元体制が崩れることで、NHKに対する政治権力のコントロールが強まりかねない、という懸念もある。政府の放送改革について、石原進NHK経営委員長は27日、「正式に話を聞いていないので申し上げられない」と述べた。上田良一NHK会長は29日の参院総務委員会で「べーバーを見ていないので」とコメントを避けていた。
ある民放の役員は「今回の放送改革は、経産省が絵を描いていて、官邸にいる経産省出身の首相秘書官が安倍首相に進言したのではないか。放送事業を所管する総務省から、コンテンツに関する権限を経産省にする狙いがあるのだろう。考え方としては12年前にあった竹中平蔵総務相(当時)の『通信と放送の在り方に関する懇談会』と似ている。NHKについては国会での予算承認があるから、政治の力で抑えられると思っているのでは」と話す。
総務省では表向き、「電波の有効利用について規制改革推進会議から問題提起があれば受け止める」と言っている。ただ、放送行政を担当する官僚は「ふつうは他省庁から照会があるものだが、規制改革推進会議の事務局がある内閣府からは何の連絡もない。前例のないことで、めちゃくちゃだ」と憤りを隠さない。反面、官邸の顔色を見る総務省幹部の一部は放送改革の方針を黙認していた、という見方も民放界にある。
電波の有効利用を検討してきた政府の規制改革推進会議(議長・大田弘子政策研究大学院大学教授)の投資等ワーキング・グループ(座長・原英史政策工房社長)で2月以降、放送をテーマにした識者のヒアリングを精力的に進めてきた。6月と予定される同会議の答申の前に、ワーキング・グループの報告書がまとめられる見込みだ。4月に開かれるといわれる同会議で安倍首相が出席し、発言するのではという観測もある。公の場でどのような発言があるのかどうか、関係者は注目している。  
政府が検討を開始した「放送制度改革」、実現するとどうなるの? 4/4
政府が放送制度改革について検討を進めています。政治的公平の撤廃や放送局のソフト・ハード分離、外資規制の撤廃などが盛り込まれており、もし実現すれば、従来型の放送局はNHKだけとなります。
これまでの制度では、通信と放送は分離されており、通信については自由ですが、放送については数多くの規制が設けられていました。番組には政治的公平が求められており、特定の政党を支持するような番組は作れないことになっています。テレビ番組が、賛成派と反対派、両方の意見を流しているのはそのためです。また外資規制があり、外国企業がテレビ局を支配することも禁止されています。このほか、報道番組とバラエティ、教育番組のバランスを取り、どれかに偏らないようにすることも求められていました。
また放送と通信が分離されていることから、放送局は番組制作と電波による番組の配信を一体で行ってきました。これが放送局に莫大な利益をもたらしてきたわけです。
これらの規制を撤廃し、誰でも自由に放送できるようにするというのが放送制度改革の内容です。もしこの制度が実現すると、従来型の放送局はなくなり、コンテンツを制作する会社と、放送網を管理し、コンテンツを配信する企業に分離される可能性が高まります。ネットではコンテンツを作るメディア企業と、プロバイダなどの配信企業は分離されていますが、これに近いイメージです。
また、番組内容の公平性規制がなくなりますから、それぞれの制作会社が番組を好きなように制作することになります。外資規制も撤廃されるので、中国のような国が放送局を買収することも可能となるでしょう。規制撤廃後は、放送内容はすべて資本の論理で決定されることになるわけです。最終的には従来型の放送局はNHKだけという形になる可能性が高いでしょう。
一連の改革で大きな影響を受けるのは民放各社ですが、日本民間放送連盟は、国民の知る権利が侵害される可能性があるとして、改革に強く反対しています。
もっとも、放送制度改革については与党内部でも意見が割れているようです。これまでの放送法では、政治的公平性を理由に番組内容に対して政治介入することが理論上、可能でしたが、規制が撤廃されると政府は番組内容に対して一切、注文を付けることができなくなります。これに加えて、外資参入を警戒する声も根強く残っているようです。 
 
 

 

放送法撤廃の首謀者は森友のキーマン・今井尚哉首相秘書官だった 4/5
安倍政権が今後打ち出そうとしている、政治的公平を義務づける放送法4条など放送規制の撤廃を含む放送制度改革。既報の通り、これによって安倍首相はテレビを『ニュース女子』をはじめとするフェイク&安倍政権応援番組で氾濫させようとしていることは一目瞭然だ。
そして、この放送規制改革も「あの男」が主導していた。その人物とは、「影の総理大臣」とも呼ばれる安倍首相の懐刀・今井尚哉首相秘書官だ。
今井首相秘書官といえば、目下、森友文書改ざんの“主犯”と見られており、安倍首相が昨年2月17日に「私や妻が関係していたら総理も国会議員も辞める」と国会答弁したことを端緒に、佐川宣寿・財務省前理財局長らに改ざんを指示するなどの工作を指揮した疑いがもたれている。しかも、文書改ざんだけではなく、問題の核心である約8億円の値引きがおこなわれた土地取引にも関与していたのではないかと元官僚らが指摘。昭恵夫人や迫田英典・元理財局長、谷査恵子氏と並んで証人喚問をおこなうべきだという声が高まっている。
そんな今井首相秘書官が、やはり放送制度改革案も先頭に立って進めている。──昨日発売の「週刊文春」(文藝春秋)も「“今井ペーパー”入手 安倍政権「テレビ制圧計画」」と題した記事で、そのことを指摘している。
同誌によると、官邸が作成した内部文書は2通。1通目は、すでに報じられているように放送法4条などの放送に対する規制の撤廃やネット事業者などのテレビ参入促進について言及。さらにもう一通にはなんと、〈放送(NHK除く)は基本的に不要に〉と既存の民放不要論までが書かれており、法案提出時期も“今年の臨時国会か来年の通常国会”と区切られていたという。
そして、「週刊文春」はこの計画案を主導しているのが今井首相秘書官であり、内部文書を書いたのは事務担当の佐伯耕三首相秘書官と名指ししているのだ。今井首相秘書官は、放送を所管する総務省の野田聖子大臣などから上がっている批判に対しても、「テレビに政治的中立なんてないだろ」と一蹴したという。
今井首相秘書官といえば、第二次安倍政権以降、菅義偉官房長官とともにマスコミへの謀略リークを次々と仕掛けてきた人物。いま、安倍応援団が仕切りに取り上げる「森友文書に出てくる『本件の特殊性』は同和絡みの土地という意味」という差別デマも、本サイトで取り上げたように、今井秘書官が発信源だったという情報が流れている。このような卑劣なメディア操作を行っている人物が、本格的にテレビを安倍プロパガンダの装置に仕立てようとしている首謀者だったのだ。
そして、“今井秘書官の操り人形”とも言われる安倍首相も、この計画に丸乗り。朝日新聞が改ざんのスクープを報じた3月2日と同じ日の夜、安倍首相は『BSフジLIVE プライムニュース』(BSフジ)の放送10周年を祝う集いに出席し、「電波、通信の大改革を行いたい。大競争時代に入り、ネットや地上波が競合していく」と挨拶。祝辞のなかで、わざわざ電波改革に言及したのである。
だが、そんな安倍首相=今井首相秘書官のもくろみに立ちはだかった人物がいる。それは安倍応援団の最重鎮である渡邉恒雄・読売新聞グループ本社代表取締役主筆だ。新聞や放送業界の既得権益の守護神でもあるナベツネは今回の放送規制改革に第一報を聞いて激怒したという。
「ナベツネさんの怒りが決定的になったのは、3月9日。この日、安倍首相と日本テレビの大久保好男社長、粕谷賢之報道解説委員長と会食したのですが、二人はナベツネさんの意を受けて、放送改革の問題を首相に質したらしい。すると、安倍首相ははっきり放送法4条の撤廃に言及したらしいのです」(大手紙政治部記者)
3月9日といえば、森友文書の改ざんにかかわった近畿理財局の職員が自殺していたことが大々的に報じられ、佐川国税庁長官が辞任したのと同じ日。会食は日テレが所有する東芝の迎賓館施設だった「高輪館」でおこなわれており、「首相をお招きする」という日テレのメディア倫理なき姿勢は批判に値するが、この場で4条撤廃をもち出した安倍首相の意図が森友報道の牽制にあったことはあきらかだろう。
しかし、その報告を受けたナベツネの怒りはさらにエスカレート。会議の席上で「首相がその気なら全面対決だ」と吠えたとも伝えられている(現代ビジネス4月3日付)。
そして、3月16日に放送事業見直し方針が明らかになると、読売新聞は翌日の朝刊1面で〈放送の質・信頼性や放送局の社会的役割の低下につながるおそれ〉と報道。2面ではさらに踏み込み、〈背景には、首相に対する批判的な報道への不満があるようだ〉〈首相は衆院選直前の昨年10月、Abema TVで1時間にわたり自説を述べた経緯もある。政治的中立性の縛りを外せば、特定の党派色をむき出しにした番組が放送されかねない〉などと安倍首相を批判する論調で問題を取り上げている。
自民党という“特定の党派色”むき出しで報道を続けている読売新聞がよく言うよ、という感じだが、この読売の紙面とは思えない論調の報道はもちろん、ナベツネの指示によるものだろう。
しかも、ナベツネは紙面だけでなく、安倍首相にも直接、働きかけをしたようだ。安倍首相は3月30日にナベツネの招待で読売ジャイアンツ対阪神タイガース戦を東京ドームで観戦したが、その際に、ナベツネが安倍首相に直談判したのではないかとみられている。「週刊文春」なども報じていたが、ナベツネは「日テレがテレ朝みたいになっていいのか」と恫喝した上、「本当に放送法4条を撤廃すると言ったのか」と迫ったところ、安倍首相は「言ってませんよ」と答えたと言われている。
ナベツネと安倍首相はこの3日後、4月2日に福山正喜・共同通信社社長や熊坂隆光・産経新聞社会長、芹川洋一・日本経済新聞社論説フェロー、北村正任・毎日新聞社名誉顧問らといっしょに再び会食をおこなっているが、この席は非常に和やかなもので、一切放送法の話題が出なかったようだ。
こうした変化から推測するに、安倍首相はおそらく、ナベツネの圧力に屈して、現時点では放送法の撤廃を引っ込めたということだろう。
実際、安倍首相とナベツネの東京ドーム観戦の頃から官邸の空気も一変し、政府は3日に「(放送法4条の)『削除』については、政府として具体的な検討を行っているものではない」とする答弁書を閣議決定した。
しかし、だからといって、これで万々歳ということではまったくない。というのも、ナベツネは『ニュース女子』のような政権擁護ヘイト番組の放送を阻止しようとしたわけでなく、たんに放送局の既得権益を守ることが目的にすぎないからだ。「週刊文春」ほかの情報どおり、ナベツネが「日テレがテレ朝みたいになっていいのか」と言ったのが事実なら、これは逆に「テレビに政権批判させないから、放送法撤廃を引っ込めろ」という裏取引だった可能性もある。
しかも、ナベツネの新聞、テレビ業界への影響力を考えると、これは読売グループの日本テレビだけの話では済まないだろう。消費増税の際の軽減税率を新聞に適用してもらうために、新聞業界全体がナベツネにすがり、その結果、消費税報道で完全に歩調をそろえてしまったということがあったが、同じようなことが今度は放送業界で起きるのではないか。
そう考えると気になるのが、安倍首相がすでに白旗を上げているとしか思えないこの状況で、NHKや民放幹部が改めて「放送法4条、政治的中立は絶対に必要」と声を上げていることだ。もしかして、これはナベツネが主導した政権批判と放送法改革撤回の裏取引のあらわれなのではないか。
本来の放送法4条は政権批判を禁じる目的ではまったくないが、官邸や自民党、そして各局の上層部はこれから、「放送法を守るためにも政権批判を控えろ」という圧力をどんどん強めていくつもりではないのか。
しかし、もしそんな事態が起きてしまったら、それは結局、安倍首相=今井秘書官の「政権批判を封殺するために放送法4条撤廃をもち出す」という目的がまんまと達成されたことになってしまう。杞憂であること祈りたいものだが……。 
放送制度改革の話が急浮上した理由 4/5
このところ、放送制度改革に関するニュースが立て続けに報道されています。法制度改革は、以前から議論はされていたテーマではありますが、最近は議論が停滞していました。
このようなタイミングで突如、たくさんの報道が出てくるというのは、ウラで様々な事情が関係しています。報道を上手に読み解くには、しっかりとした情報リテラシーを持つことが必要です。
放送と通信を融合し、政治的公平性維持の撤廃を検討
従来の制度では、通信と放送は分離されており、通信については自由化が進められましたが、放送については多くの規制が存在しています。
もっとも大きいのは番組の政治的公平性の担保で、放送法上、特定の政党を支持するような番組は作れないルールになっています。これに加えて、外資規制が設けられており、外国企業がテレビ局を支配することができない仕組みになっています。また、報道番組とバラエティ番組、教育番組のバランスを取ることもテレビ局の責務です。
これらの規制を撤廃し、誰でも自由に放送できるようにするというのが放送制度改革の内容です。もしこの制度が実現すると、従来型の放送局はなくなり、コンテンツを制作する会社と、放送網を管理してコンテンツを配信する企業に分離される可能性が高まります。
インターネットの世界では、コンテンツを作るメディア企業と、プロバイダなどの配信企業は分離されていますが、これに近いイメージになるでしょう。
これまでテレビ局は放送法という枠組みの中で、コンテンツの作成と配信の両方を手がけ、大きな利益を上げてきました。もし制度改革が進めば、民放各局は大打撃となるに違いありません。
この議論は下火になっていたはずだったが・・・
これまで放送制度改革は何度か政治的な議論の対象となってきましたが、小泉政権が進めた規制緩和路線が国民から否定されたことで、放送の自由化に関する議論も下火になっていました。
ところが、このタイミングで放送制度改革に関する報道が多数、出てきたというのは少し唐突な感じがします。こうしたケースではウラに政局が絡んでいることが多いのですが、今回もおそらくその可能性が高いでしょう。
このところ安倍政権は森友問題で窮地に立たされています。ここで言うところ窮地とは対野党という意味でありません。安倍首相はもともと清和会というマイナーな派閥の出身でしたが、清和会と対立する宏池会や経世会といった他の派閥が、森友問題をきっかけにポスト安倍政権を画策しており、安倍氏にとってはこれが目下最大の懸念材料となっているのです。
ところが森友問題でテレビ局が執拗に責任を追及していることに対して官邸はかなり苛立っているとも言われます。テレビ局に対する牽制球として放たれたのが今回の放送制度改革というわけです。
しかしながら、この動きは与党にとって諸刃の剣でもあります。実は従来の放送制度というものは、自民党にとっては極めて大きな政治利権であり、放送が民法数社で独占されていたことでもっとも大きなメリットを得ていたのは自民党自身だからです。
放送法の存在でもっとも利益を得ていたのは実は自民党
民放のテレビ局は、放送法の規制の下、キー局が電波をほぼ独占するという状態で経営を行ってきました。電波はもっと多くの事業者に付与することが出来ますが、あえて政府はごく少数の事業者にだけ免許を与えているわけです。
放送法は、民放各局に対して政治的に公平な番組の制作を義務付けています。逆に言えば、放送法に違反した場合には、免許を取り上げ、事業を停止させることが可能です。
つまり政権与党からしてみれば、放送法が存在することによって、放送局の免許停止をチラつかせることで、公平性担保の範囲内において、与党に有利な番組を作るよう誘導することができました。放送法による公平性の維持というのは、言い換えれば、政府が放送に介入する手段でもあったわけです。
実際にそこまでいったケースはありませんが、免許という最終手段があったことで、マスコミ側にも一種の「忖度」が発生していたことは間違いないでしょう。
また各地域にある地方テレビ局は、キー局の系列となっており、キー局から広告収入の配分を受けることができます。
放送局は突出した優良地方企業であり、地域経済に大きな影響力を持っています。各地域の国会議員にしてみれば、政府の管理下にある超優良企業が自らの選挙区に存在していることのメリットは計り知れません。縁故入社の世話などを通じて、地域の有権者にいろいろと便宜を図ることができますからです。
現在のキー局と地方局との関係やお金の配分は、こうした政治的目的を持って作られました。結局のところ、政権与党と既存のテレビ局は持ちつ持たれつの関係であり、放送局の独占を手放したくないのは、実は自民党だったりするわけです。
場合によっては政局の引き金に・・・
こうした事情を考えると、安倍首相の近辺から出てきた放送制度改革について、野田聖子総務大臣や岸田政調会長から否定的な見解が出るのは想定の範囲内といってよいでしょう。
安倍首相の周辺が、単にメディアに対する牽制球としてこうした情報を流しているのか、それとも、現状のメディアに対する不満から本当に改革を進めようとしているのかによって、今後の状況は大きく変わります。
もし前者であれば、しばらくするとこの問題は沈静化することになるでしょう。安倍氏にとっては本気で改革する気がないからです。一方、後者だった場合には政局の引き金を引く可能性があります。安倍氏は党内抗争の一環として、自民党の権力基盤のひとつを壊そうとしているわけですから、党内で多くの対立を生む可能性があります。
こうした問題を適切に理解するためには、良い悪いという善悪論ではなく、誰がどういう目的でこの情報を流しているのかというクールな視点が必要となるわけです。 
NHK会長 放送制度改革への「意見控えたい」 民放と立場に違い 4/5
NHKが5日、都内の同局放送センターで定例の会長会見を開いた。安倍晋三首相のもと政府が検討している放送制度改革について、上田良一会長が質問に答えた。報道されている改革案について、「(改革案が)どう検討されるかということが分からないわけです。分からないことを前提に何か意見を言うことは避けたい」と、踏み込んだ発言は見送り、一般論を語るにとどめた。
新聞各社、通信社が報じている規制改革推進会議の改革案では、公平公正な報道や、事実を曲げずに報じることなどを定めた放送法4条の撤廃を中心に様々な議論が行われているとされている。このことに、民放各社トップは社長会見で「このような議論が本当だとしたら、私は容認できない」(日本テレビ・大久保好男社長)、「民放は不要ともとれる考え方もうかがえまして。正直、驚いているところです」(テレビ朝日・早河洋会長兼CEO)と反対や戸惑いの声を上げている。
ただ、NHKは今回取りざたされている規制撤廃の対象外とされているため、立ち位置がかなり異なる。上田会長は「民放各社の会見で、いろんな意見を述べられていることは承知いたしておりますし、検討されていることも理解していますが、具体的な内容については私の方で承知していませんので、現段階でのコメントは差し控えたいと思います」と放送制度改革案には踏み込まなかった。
一般論として、「現放送法のもとではもちろん4条の意義は認めております」とは語ったが、新たな放送法に改正された後のことについては「詳細は私の方で正しく承知していませんので」とノーコメントを貫いた。
放送業界は、公共放送であるNHKと民間放送の両者を合わせて「二元体制」で支えられているという表現をしている。その片方に迫っている一大事への反応としては不自然ではないかとの突っ込んだ質問も出たが、「いろんな議論が行われていますけど、どういう形になるのか詳細も把握していませんので、民放の方でトップの方がコメントされているのは了解していますが、あえていろんな想定をして、私の方から何か意見を述べさせていただくのは控えさせていただきたい。もう少し詳細を把握した上で新しいあり方に関して意見を求められたらしっかり対応したい」と現時点では、NHK会長としての見解は述べなかった。 
 
 

 

安倍政権が検討する「放送制度改革案」が危険な理由 4/6
J-WAVEで放送中の番組「JAM THE WORLD」(ナビゲーター:グローバー)のワンコーナー「UP CLOSE」。4月2日(月)のオンエアでは、月曜日のニュース・スーパーバイザー、津田大介が登場。メディアのあり方や放送法に詳しい専修大学教授の山田健太さんをゲストにお迎えし、「放送制度改革案」について考えました。
安倍政権が検討する「放送制度改革案」が波紋を広げています。テレビやラジオ番組に政治的公平性を求めた放送法4条を撤廃するなど、規制を緩和することで新規参入を促して多様な番組を流通させる狙いがあるとされますが、一方で「偏った番組が台頭する恐れがある」との懸念も出ています。
まずは山田さんに放送法4条について説明していただきました。
山田:放送法4条自体はとてもシンプル。わいせつな放送はいけない、うその放送はいけない、偏った放送はいけない、というようなことが明記されています。ただ、もっと大きなポイントとして、放送法は他の法律と違って、ある種、憲法と同じなんです。憲法は国が勝手なことをしてはいけないと国を縛る法律ですが、それに比べて、普通の法律は一般市民生活を縛る法律になります。放送法は「放送の自由を守りましょう」という法律であるため、どちらかというと“政府・国家を縛る”法律なんです。政府としては「国家を縛る法律はやだな」というのがあるのかもしれません。
放送法は本来放送の自由を守るためのものでしたが、のちに番組を制限するものになっていると山田さんは話します。
山田:放送法は自由を定め保証しましょう、そのためには放送人がそれについてきちんと職責を果たしましょうというもので、そのひとつの目安として放送法4条で「こういうような番組を作りましょう。ただしそれは放送局が視聴者に対して約束していることですよ」というものでした。しかし、政府はこの放送法4条を使って、「そういう放送番組を作っちゃいけないよ」という、いわゆる放送番組を制限するためのルールとして使ってしまったんです。
諸外国のように、本来なら政府が直接放送局に権力を行使できないように、独立機関が番組を審査する、あるいは放送する免許を出すのが普通ですが、日本や北朝鮮、ベトナムなど特別な国だけが、直接政府が管轄していると山田さん。
政府が管轄する放送法4条は、この条文が成立した当初は倫理規定であって、強制力はなかったと言います。
山田:特にこの20年間で、政府と放送現場との関係ががらっと変わり、放送法の解釈も、倫理規定から放送法を根拠とした政府が違法と判断する理由付けとなってしまったので随分意味合いが変わってきてしまいました。
津田:そこが一番のポイントで、放送法4条は放送法ができたときは倫理規定であって、強制力はなかった理由はなんなんですか?
山田:あくまで放送は自由であるということが大前提です。ただし免許制度があって、特別に選ばれた放送局が電波をある種、独占しているわけですから、その責任として、豊かで良い放送を流しなさい、その基準として4条を設け、放送局自身が自律するかたちで実現しようと決まっていました。ただ、だんだん一般の視聴者から「いまの放送ヒドいじゃないか」「ピンク番組が多いじゃないか」などいろんな声が出て、そこに乗っかって1980年代後半から1990年代にはっきりと政府が「じゃあ、自分たちが良いか悪いかは判断します」となったんです。
そんな放送法4条の撤廃などを検討する「放送制度改革案」が可決されることは、非常に危険だと山田さんは言います。
山田:今回の放送制度改革案は「4条をなくしましょう」ということではなくて、「放送法を全部やめちゃいましょう」ということで、なおかつ「民放を全部なくしましょう」というのが今回の規制改革案の骨子なんです。民放をなくし、放送という制度をなくし、いまの放送の仕組みをチャラにしてしまう考え方は相当危険だと思います。そうしてしまうと、僕らは何をベースにみんなが同じ意見を戦わせるのか、戦わせる場所がなくなってしまうということですから。
最後に一連の騒動を踏まえて、放送法4条はどうあるべきかを山田さんに伺いました。
山田:もともと放送法4条は倫理規定であって、放送局が守るべき目標であり、視聴者に対する約束事ですから、それはそれであっていいと思いますが、ここまで批判され、政府からも見直しと言われたのだから、放送局自身がもう一度毎日の番組を見直していって、より面白い番組を作れるかどうかにかかっていると思います。
私たちの価値観が大きく変わってしまうかもしれない放送制度改革案は果たしてどう進んでいくのか、目が離せません。  
 
 

 

NHK経営委員長「配慮すべきだ」 4/10
NHK経営委員会の石原進委員長(JR九州相談役)は10日、放送番組の「政治的公平」や「正確な報道」を定めた放送法4条撤廃などを検討する政府の放送制度改革案に関し、一般論とした上で「公平公正、不偏不党で事実を伝える考え方は大事。電波は限られた財産で、国民のための放送を行うことが大切」として4条の意義を強調した。この日の委員会後、記者団の取材に応じた。
石原委員長は「これまで公共放送と民放との二元体制で放送文化が進歩してきた」との認識を示し「改革を行うならば、二元体制を崩す恐れのないように配慮すべきだ」とくぎを刺した。 
 
 

 

安倍首相の意向 「放送制度改革」 4/11
「政治的公平性」などを規定した放送法4条撤廃などを検討する政府の「放送制度改革」について、与党幹部や在京民放キー局幹部からも批判の声が上がっています。安倍晋三首相の強い意向で始まった動きですが、推進する顔ぶれや言動をみてみると、危険な狙いが浮かんできます。
注目されるのは、1月31日、楽天などITやベンチャー企業が主導する「新経済連盟」の新年会での首相のあいさつ。昨年10月の総選挙公示直前、インターネット番組配信サイト「AbemaTV」の「徹の部屋」という番組に出演したことにふれ、こうのべました。
「ネットテレビでありますから、放送法の規制がかからない。しかし、見てる人たちにとっては、地上波などとまったく同じです。もう日本の法体系が追い付いていない。私たちは大きな改革を行わなければならない」
「改革を進めていくためにも、皆さん、どうかリスクを取って、どんどん手を挙げていただきたい」
この番組では、ホストの見城徹・幻冬舎社長が、「日本の国は安倍さんじゃなきゃダメだ」と持ち上げました。気心の知れたIT事業者たちに放送事業に参入してもらい、政権批判ではなく、自分に都合のいい番組を放送してほしいという狙いが透けてみえます。
2月7日から規制改革推進会議の「投資等ワーキンググループ(WG)」(座長=原英史・政策工房社長)が、放送制度改革についての議論をスタートさせました。
3月8日の会合には、「AbemaTV」を運営する「サイバーエージェント」(藤田晋社長=新経済連盟副代表理事)の小池政秀常務が出席。「放送法が緩和されることによって、われわれの流せるものが広がっていくのは、すごくうれしい話になってくる」と発言しました。
原座長も、3月22日の会合で「放送だと規制がかかり、インターネット放送なら規制がかからない」と安倍首相の主張に沿った指摘をしています。
放送番組の「政治的公平性」や「公序良俗」などを規定した放送法4条を撤廃すれば、沖縄の基地建設反対運動をめぐる番組でBPO(放送倫理・番組向上機構)から放送倫理違反、人権侵害を指摘された東京MXテレビの「ニュース女子」のようなフェイクニュースやヘイト(差別扇動)表現が横行することにならないか―。
規制改革推進会議の14人のメンバーをみると、その現実味を帯びてきます。「ニュース女子」の司会を務める長谷川幸洋・東京新聞論説委員はじめ、原氏、飯田泰之・明治大学政治経済学部准教授は「ニュース女子」の準レギュラーです。
第1次安倍政権時代、安倍首相からNHK経営委員長に送り込まれ、「強権的、政治的」と批判を集めた古森重隆・富士フイルムホールディングス会長もメンバーです。
一方、前出の3月22日の会合で、次世代メディア研究所の鈴木祐司代表は、「インターネットの皆さんが、そのまま放送に来られますと、瞬時に1000万人に届いて、それでフェイクニュースみたいなものが1000万人に行ってしまうというのは、やはり問題がある」と規制の必要性を強調しました。 
放送法第4条の撤廃に反対します 4/11
   内閣総理大臣、総務大臣、消費者委員会委員長 宛   主婦連合会
政府が放送制度改革として、放送番組の「政治的公平」や「正確な報道」を定めた放送法4条の撤廃を検討していることが、繰り返し報道されています。放送という重要な情報インフラによる公平で正確な報道は、民主主義を支える重要な機能です。放送法4条撤廃論は、決して見過ごすことのできない由々しき問題です。
政府は「4条撤廃について政府として具体的な検討を行ったことはない」と4月3日に答弁していますが、官邸に設置された規制改革推進会議が、インターネットテレビ局などが放送に参入しやすくなることなど、経済効率の視点で放送制度の改革を議論していることは与党議員も認めているところです。
放送法とは、NHKや民放など、テレビ・ラジオの放送事業について、その運営や番組を規律する法律です。放送法の目的規定には、「この法律は、次に掲げる原則に従って、放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的とする。」とし、その原則として「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること。」と書かれています。
今回、削除の方向として問題となっているのは第4条で、次のように規定されています。
一 公安及び善良な風俗を害しないこと。
二 政治的に公平であること。
三 報道は事実をまげないですること。
四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。
有限な電波は国民共有の財産です。NHKや民放の放送は重要な情報インフラとして、公共的な役割を果たすことが求められます。民主主義を支える役割を担う放送事業に関して、経済効率を優先し、新規事業者や海外資本の参入しやすさから規制改革を進める政府の姿勢は決して見過ごすことができません。
政治的に公平であることはもちろん、事業活動がからむ重大事故や汚染が起きた場合に、資本力のあるスポンサーの力で情報がゆがめられることがあれば、消費者・生活者の生命、身体の安全にかかわります。
官邸に設置された規制改革推進会議が検討中のこの方向性には、野田聖子総務大臣をはじめとして政府与党内、野党、マスコミからも懸念が相次ぎ表明されています。
主婦連合会は消費者・生活者の知る権利を侵害する放送法4条撤廃に断固反対を表明します。
以上 
 
 

 

放送の制度、前例なき大改革を検討 源流には「竹中懇」 4/14
政府が放送番組の「政治的公平」を定めた放送法4条や外資の参入規制を撤廃する放送制度改革を検討している。これまでも過去に改革が叫ばれたことはあったが、ここまで大規模な内容は例がない。これまでの経緯を振り返る。
今回浮上した放送制度改革方針案の源流として、2006年の通称「竹中懇」を思い出す関係者は多い。小泉内閣で総務相だった竹中平蔵氏が私的に設けた「通信・放送の在り方に関する懇談会」のことだ。竹中氏は当時「なぜインターネットで生放送が見られないのか」などと発言。規制や慣習に守られた放送業界が、通信との融合に消極的だとして、これを改めようとした。
言論の多様性を守るために、少数の経営者によるメディア支配を防ぐ「マスメディア集中排除原則」を緩和しようという議論が起きたのも、このときだ。国際的な競争力を持つ総合メディア企業を育てたいとのねらいがあった。
この時の「メディア改革」は結局、尻すぼみに終わり、日本の放送制度が大きく変わることはなかったが、竹中氏らによる当時の構想は以降もことあるごとに取りざたされてきた。番組を制作するソフト部門と、放送設備を保守、管理するハード部門を分けて、競争を促そうとする考え方もその一つだ。「ソフト・ハードの分離」や、マスメディア集中排除原則の撤廃は、今回の改革方針案でも再浮上している。
ただ、番組に政治的公平や「事実をまげない」ことなどを求めてきた放送法4条の撤廃が議論になったのは、今回が初めてといっていい。特に、近年は4条をめぐって政治とテレビ局との間に緊張が走ることが多かっただけに、より波紋が大きくなっているともいえる。
2016年には、放送行政を所管する高市早苗・総務相(当時)が、放送局が政治的な公平性を欠く報道を繰り返したと政府が判断すれば、「何の対応もしないと約束するわけにはいかない」と発言。4条違反で電波停止を命じる可能性に言及し議論になった。2015年には、自民党がテレビ朝日とNHKの幹部を会議に呼び、コメンテーターの発言や過剰な演出が、放送法違反にあたるのではないかとして事情を聴いた。
このため、一連の経緯を重く見た国連特別報告者のデービッド・ケイ氏(米カリフォルニア大教授)が「政府のメディア規制の根拠になりうる」として4条の廃止を訴えたこともあった。
だが、自民党の石破茂元幹事長は「『偏った放送をやっていい』ということは、民主主義にとって健全なことか」と4条撤廃案を批判。野田聖子総務相も「公序良俗を害するような番組、事実に基づかない放送が増加する可能性が考えられる」と述べ、民放各局からも反対の声が上がるなど、撤廃案には大きな反発が起きている。
16日の規制改革推進会議で、どんな動きがあるのか注目される。 
 
 

 

「通信と放送の融合の下での放送のあり方」に対する見解 4/16
   一般社団法人日本新聞協会 メディア開発委員会
日本新聞協会メディア開発委員会は、政府が16日の規制改革推進会議で公表した「通信と放送の融合の下での放送のあり方」に関する論点につき、下記の見解を表明する。
同会議は昨年5月の第一次答申以降、電波割当制度改革、とりわけ放送・通信融合時代における放送の高度化策について議論を重ね、本日1通信・放送の融合が進展する下でのビジネスモデルの展開の方向性2より多様で良質なコンテンツの提供とグローバル展開3上記の変革を踏まえた、電波の有効活用に向けた制度のあり方――という3つの論点を公表した。通信・放送、二元体制のあり方についても議論するとしている。論点には明記されてはいないものの、同会議ではこれまで、産業分野の振興を過度に重視する一方、放送事業者が放送法にのっとり果たしてきた「表現の自由の確保」「健全な民主主義の発達」という重要な役割や、放送法の根幹をなす「多元性・多様性・地域性」の原則を軽視した議論がなされてきた。今後こうした議論に基づき論点の具現化が進められれば、フェイクニュースのまん延による社会の分断、放送事業の縮小に伴う情報格差の拡大など、国民生活に重大な影響を及ぼす懸念が極めて強い。背景には「視聴者にとってネットと放送の差がない時代に規制はこれでよいのか」「縦割りの発想に基づく規制システムから脱却した横断的な制度改革が必要」「オークションも含めた電波割当制度の改革について検討を継続していく」など、現在の通信・放送制度に否定的な安倍首相の発言がある。
一方で、最高裁は昨年12月、NHK 受信料契約を巡る判決の中で、現在の放送制度について「憲法が保障する表現の自由の下、国民の知る権利を実質的に充足し、健全な民主主義の発達に寄与するものとして、国民に広く普及されるべきもの」と評価するとともに、NHK と民放の二元体制について「互いに他を啓もうし、各々その欠点を補い、国民が十分福祉を享受することができるように図る」ための制度だと位置づけた。同様の見解は、与野党幹部はもちろん、政府内からも「放送事業者は放送法の枠組みの中で自主・自律により放送番組を編集することで重要な社会的役割を果たしてきた」(野田聖子総務相、2018年4月3日衆院総務委員会)などと繰り返し表明されている。放送は、NHK と民間放送事業者による二元体制のもと、その社会的役割によって司法、立法、行政、なにより国民・視聴者から一定の評価を得てきた。しかしながら同会議の議論を見る限り、今回の論点は、実質的にNHK のみを放送事業者とすることで二元体制を破壊し、放送の社会的役割を減衰させ、ひいては国民・視聴者の権利や利益を大きく損なう危険性を内包している。中でも放送番組の政治的公平性や最低限の編集基準などを定めた条文の撤廃は、放送内容の偏向や政治への利用を通じて視聴者利益を損なうおそれが大きい。放送のハード(送出設備)とソフト(コンテンツ制作)の分離を強制することは、行政による市場への介入であると同時にビジネスモデル選択の自由を奪うものであり、そもそも「官から民へ」を通じて産業振興をはかるという同会議の設立趣旨を大きく逸脱している。規制緩和による成長戦略とメディアの存在のあり方についての議論を混在させた結果であり、政府および同会議には、論点に基づく議論の方向性について抜本修正を求める。
以下、論点が内包する問題点について指摘する。
<放送の普及について>
放送法は1条で「放送が国民に最大限普及されて、その効用をもたらすことを保障する」と規定し、NHK には普及義務(20条5項)を、民放には努力規程(92条)を設けている。地上デジタル放送はほぼすべての世帯で視聴可能であり、内閣府の調査によれば受信機の世帯普及率は95.2%(2016年度)。これに対しインターネット人口普及率は83.5%(同、総務省調査)、BS 放送受信可能世帯の割合は71.7%(同、BS 日本など6社調査)にとどまっている。同会議では地上デジタル放送をインターネットやBS に置換することが議論されたが、これを実施すればインターネットの普及率が低い高齢者世帯を中心に、生活に必要な情報が届かないおそれが生じる。
<番組編成の自由と番組基準、政治的公平などについて>
放送法は、地上波テレビ・ラジオ局が外部から干渉されず(3条)、自ら定める基準に則して番組を編集する(5条)「自主自律」を定めている。ただし番組については「公安及び善良な風俗を害しない」「政治的に公平」「報道は事実をまげない」ことなどを義務付けてもいる(4条)。仮に放送と通信の法体系を統一して4条を撤廃した場合、政治的に偏向した放送局や低俗な番組、事実に基づかない「フェイクニュース」などが増加し、国民生活に悪影響を及ぼすおそれが生じる。
<外資規制について>
放送法は、1日本国籍を有しない人2外国政府またはその代表者3外国法人または団体――が地上波テレビ・ラジオ局の議決権20%以上を保有することを禁じている(93条)。これは、地上波テレビ・ラジオ局が世論形成に強い影響力を持つ報道機関であることに鑑み、安全保障上の観点から設けられた規定だ。93条の外資規制を撤廃した場合、外国政府の影響下にある企業が日本のテレビ・ラジオ放送を通じて母国に有利な情報発信を行うおそれが生じ、国民の生命や財産の保護に悪影響が生じかねない。放送法は「国民の生命・財産を守る」という本旨に基づき、「邦人の生命、身体及び財産の保護に係る事項、国の重要な政策に係る事項、国の文化、伝統及び社会経済に係る重要事項」について、総務大臣はNHK に対し国際放送を要請することができると定めている(65条)。外資規制の撤廃は、こうした放送法の本旨にもとり、正当性を欠いている。
<ハード・ソフト強制分離、災害時放送について>
2011年に施行された改正放送法は、ハード事業者に「免許」を、ソフト事業者に「認定」を出す形で両者の分離を可能とした(93条など)。他方、地上テレビ・ラジオ局については、ハード・ソフトの一体経営を認めてもいる(2条22号)。これは、放送法が地上テレビ・ラジオ局に対し「災害が発生し、又は発生するおそれがある場合には、その発生を予防し、又はその被害を軽減する放送をしなければならない」(108条)と義務付けていることに鑑み、通常編成から災害放送への切り替えをスムーズに行うための措置である。仮にハードとソフトが強制的に分離されれば、中継車の手配や番組の切り替えなどに遅滞が生じ、国民生活に支障が出かねない。野田総務相は、全ての地上テレビ・ラジオ事業者がハード・ソフト一致を選択していることについて「放送事業者の自主的な経営判断の結果」(2018年4月3日衆院総務委員会)であるとの見解を示している。適正に経営されている私企業が、適法に業態を選択することは当然の権利であり、これを法律で強制的に変えようとすることは行政による不当な介入である。
<電波オークション制度の導入について>
電波オークション制度が放送用帯域に適用されれば、小規模放送事業者が応札できず、結果として地方の情報発信の重要な担い手が減少し、放送法の根幹をなす「多元性・多様性・地域性」の原則が損なわれるおそれがある。これは憲法が保障する、国民の知る権利をも損なうことである。放送と違い通信には外資規制がないことから「安全保障上の問題も出てこないではないという危惧がある」(新藤義孝総務相、2013年5月21日衆院総務委員会)との指摘も根強くある。
以上  
規制改革会議の大田弘子議長「放送法4条撤廃の議論していない」 4/16
安倍晋三首相は16日の規制改革推進会議で「未来を見据えた放送のあるべき姿を議論してほしい」と述べ、放送制度改革の議論の必要性を強調した。首相は放送とインターネットの融合が進む中、改革は不可避だとの問題意識を持っている。ただ、会議では政府内で検討された放送法4条撤廃などの大胆な見直しに踏み込もうとする機運は薄れつつある。
「私たちも(4条撤廃などの改革案を伝える)報道に戸惑っている。議論は全くしていない」。会議終了後、記者会見した大田弘子議長は4条撤廃の議論はしていないと強調した。
放送制度改革をめぐっては、首相が1月の経済団体の会合で、ネット番組への出演を振り返り、技術革新に法体系が追いついていないとの認識を表明。推進会議は2月から作業部会で本格的な議論を始めた。
ただ、政府内で改革へのスタンスは同じではなかった。「唐突だ。改革の結論は出ていたはずだ」。総務省幹部はこう振り返る。推進会議は昨年11月、放送や通信に使う電波の有効利用を進める規制緩和策を首相に答申。総務省は有識者会議を設け、電波の有効利用に関する議論に乗り出していた。
そうした中、今年3月に4条撤廃を含む改革案のペーパーが出回ると、経済産業省が作成に関わっているのではないかとの観測も流れ、総務省は警戒感を強めた。在京民放キー局5社は反対の立場を鮮明にした。自民党内からも「言論や民主主義にも関わる」(岸田文雄政調会長)などの慎重論が相次いだ。
内閣支持率が下落しているだけに、強引に進めようとすれば政府・与党内の異論や反発は広がり、9月の自民党総裁選にも影を落としかねない。政府関係者からは、「首相官邸からの改革に向けた風圧は急速に弱まった」との声も漏れる。 
 
 

 

民放連。政府検討の「放送制度改革」諸論点に対して警戒感! 4/18
民放連は、政府が検討している「放送制度改革」の諸論点に対して考え方を説明した。
先頃の「規制改革推進会議」で示された「通信と放送の融合の下での放送のあり方について」(具体的な検討課題3点、等)に関して、民放連としてのコメントを発表してきたが、さらに踏み込んでの考え方を示している。
具体的な検討課題では「放送法4条の撤廃」などには触れられていない。しかし、民放連幹部は「引き続き注視、警戒する」と言う。
まず「通信と放送で異なる規制体系のあり方について」は、「通信の画面上の見え方は放送と似ているが、公共的役割は決して同じではない。放送と通信の規制体系の一本化は2005年から総務省で検討され、翌年の政府・与党合意を経て2011年の放送法の抜本改正に落ち着いた。さらなる法改正によって規制体系を同一にしなければ解決できないほどの差し迫った社会問題は生じていないと考える」としている。
さらに、インターネットやモバイル端末で多様なサービスの提供が可能になった昨今「規律のある放送の役割はこれまで以上に重要になったと考えるべき」と言う。
また「日本のコンテンツ産業の活性化に向けたコンテンツ産業間の競争」については「新規参入を促すことで競争を促進しコンテンツ産業の振興を図る」との政策が取りざたされている。しかし、一般論として産業政策に自由競争が重要であることに異論はないとしているが「健全な民主主義の発展に寄与する放送の公共的役割の実現は自由競争に委ねるだけでは達成し得ない」と断じた。
さらに「産業政策の1つである地上放送のハード・ソフト分離の徹底」については、すでに2011年の放送法改正で、地上放送事業者の「経営の選択肢を広げる」ことを理由に、ハード・ソフトの「一致」「分離」を事業者が選択できるようになっている。「ハード部門」と「ソフト部門」の責任分界点も事業者に委ねられている。そう言った中で「経営判断として一致型を選択している事業者が、分離を強制されるような制度改正はまさに規制強化。強く反対する」とした。
また、地上放送事業者はハード・ソフト一致の事業形態を選択して「緊急災害時における放送継続の責務を十全に果たしている」としている。
地震などの緊急事態に備え、日頃からマスターや送信設備、電源設備にいたる重要設備の保守・点検に力を注ぎ、放送機器の予備ユニット等の整備や保守要員の確保も行っており、万が一、災害で放送局自体の番組運行に支障が生じても、送信機設備にカメラやマイクを直接接続すれば放送が継続できる体制を常に構築している。
「制作部門と送信部門を同じ放送局内にあることが緊急災害時の放送継続を担保している。必要な情報を視聴者まで責任を持って届けるという現行のハード・ソフト一致の放送体制には大きな利点があり、あえて分離すべき理由はない」。
その上で、仮にハード・ソフトを分離して、ハード部門に周波数を割り当て、一定の帯域や時間帯を他のソフト事業者が提供するコンテンツの放送に充てるような義務が課されれば「地上放送事業者の編成権が制約され、迅速な緊急報道に支障を来しかねない。またハード事業者が利益確保を過度に重視すれば、ソフト事業者の経営、特に番組制作に及ぼす影響が懸念され、日本最大のコンテンツ制作集団たる地上テレビ放送≠フ体力を弱めることにもなりかねない。そうした場合、最も不利益を被るのは国民・視聴者になる」としている。
NHKの「公共メディア化」と、常時同時配信の実施についても訴えている。
17年12月のNHK受信料制度に関する最高裁判所判決は、放送を「国民の知る権利を実質的に充足し健全な民主主義の発展に寄与するもの」とし、その実現のために「放送の二元体制」が採用されたとした。しかし、それは言い換えると「NHKだけでは放送の公共的役割は果たせない」ということになるとしている。
「公共メディアはNHKが自らの方向性を示すスローガンであり、NHKが放送事業者でなくなることを意味するものではない」とした上で「民間放送を情報通信の一種と位置付け、事実上解体するとの構想が取りざたされているが、民間放送が制度上廃止されれば公共放送のあり方も大きく変容を迫られることになる。最高裁が述べた憲法ならびに放送法の理念・趣旨に反するこうした構想は、断じて容認できない」。
NHKの常時同時配信は、将来的な受信料制度との整合はもとより、通信への負荷増大と権利料の高騰が懸念される。したがって「国民・視聴者のニーズがあるならば、常時おこなう前段として、まずは可能なところから同時配信を行うことが適切であると考える。民放事業者に対し、これまで通り実験結果の説明などを丁寧におこない、理解を得るよう努めてほしい」とした。
今後の流れとして「放送分野への電波オークションの導入」については、放送事業者が安定的放送番組を届けるためには、放送サービスを継続するだけの能力・実績が前提となっており、放送局免許で厳しく審査されている。そう言った意味でも「周波数オークションによる入札金額の多寡で放送事業者を選定することは、こうした重要な前提を危うくしたり、崩しかねない」とした。 
 
 

 

神保哲生 「放送制度改革」の本質 5/9
安倍政権が目指している放送制度改革で、「政治的公平性」などを定めた放送法4条を始めとする放送関連の規制を全廃する方針が伝えられている。実現すればメディア環境が大きく変わるものだが、これは何を意図したもので、どんなメリットと、どんな問題をはらんでいるのか。放送をめぐる問題に詳しいジャーナリストで、ニュース専門ネット局 ビデオニュース・ドットコムの代表を務める神保哲生氏に、議論の本質を読み解くためのポイントを聞いた。
放送法が抱える“根本的な問題”
ーー安倍政権から「政治的公平」などを定めた放送法4条の撤廃を含む、放送改革の議論が出されています。政局的な議論なのか、放送のあり方をめぐる議論なのかわかりづらい部分もあり、論点を整理したいと思うのですが、どこに注目して読み解くべきでしょうか。
神保哲生(以下、神保):放送法の改正は、憲法改正とセットになっていると見るべきでしょう。安倍政権の最終目標である憲法改正を実現するためには、国民投票で過半数の賛成を得なければなりません。それを確実なものにするためには、憲法改正に向けて世論をコントロールする必要があります。安倍政権が世論に大きな影響を持つ放送というメディアを押さえたいと考えることは、自然なことだと思います。
当初はそういう目論みだったと思いますが、その後、モリカケ問題が再燃し、安倍政権には憲法改正を押し通すためのポリティカル・キャピタル(政治的資源)がほとんど残っていません。とりあえず観測気球を打ち上げておいて、野党や世論の反発が強ければ、無理に押し通すこともないと考えているのではないでしょうか。
ただ、市民社会としては、放送法については今のうちに解決しておかなければならない課題があります。そもそも現行の放送法に、根本的かつ致命的な欠陥があり、それが放送法4条問題を難しい政治問題にしてしまっている。これを解決せずに4条を削除するのは最悪の選択だと、私は考えています。
ーー放送法の「根本的問題」とは。
神保:それは日本では放送免許が政府から付与されているという問題です。よく放送法4条をめぐる議論の中で、アメリカでは同様の規定だったフェアネス・ドクトリン(公正原則)が1987年に廃止されたことで、「政府の介入ができなくなった」という話が聞かれますが、この指摘には根本的な誤解があります。
日本もアメリカも、そもそも憲法で表現の自由が保障されていて、「政府による検閲はできない」ことが定められているので、政府が放送内容に介入できないのはフェアネス・ドクトリンの有無に関わらず、自明のことなんです。アメリカのフェアネス・ドクトリンは、政府が放送事業者に政治的に中立・公平な放送を要求しているのではありません。あくまで政治的中立性は放送事業者が自らを律するものでなければならない。そうでなければあからさまな憲法違反となり、訴えられたら一発で負けてしまいます。
日本も憲法21条で表現の自由が保障されているので、放送法4条もそのような枠組みの中で捉えられなければなりませんが、それがそうなっていない。それは、アメリカの放送局がFCC(連邦通信委員会)という独立行政委員会から免許を付与されているのに対し、日本の放送局は政府から免許を付与されているということです。放送局にとって政府は、最優先で監視しチェックしなければならない最強の権力です。その政府から免許をもらっている放送局は、チェックする対象から生殺与奪を握られていることになります。
戦後、日本の放送行政はGHQが抜本的に改正し、日本でも放送免許は電波監理委員会という独立委員会が付与する仕組みになりました。ところが、サンフランシスコ講和条約によって主権を回復した日本は、4月1日に施政権を回復した3ヶ月後には電波法を改正し、電波監理委員会を廃止してしまいました。そして、放送免許は戦前と同じように、政府から直接、付与される体制を復活させてしまいました。
これが、日本の放送をめぐる根本的な問題です。政府が放送免許を付与し、停波もできるというのは、独裁国家であればいざ知らず、民主主義国家としてあまりにも異常なことです。放送法4条が、政府が放送内容に介入できると解釈されている理由も、そもそも免許を付与しているのが政府なので、政府はその免許を取り上げることができるという論理の上に成り立っています。
実は放送事業者を制約しているようにも読める放送法4条も、逆説的に政治の介入に対する盾になっています。政府が放送内容に介入してきた時、放送事業者は「放送法4条で政治的な中立性が要求されているので、それはできない」と突っぱねることができるからです。放送事業者が政府から免許をもらっている現在の異常な体制を維持したままで、もし放送法4条が廃止されてしまえば、放送事業者が政治の介入を突っぱねる根拠を失ってしまうという、ということです。
日本では放送法4条をあれこれ議論する前に、まず免許の問題をきちんと論じる必要があります。アメリカのFCCのように、まずは一定の中立性・独立性が担保された透明性のある独立委員会が放送免許の付与を行うようにしなければなりません。それができて初めて、放送法4条の是非を論じる意味が出てきます。
ーー独立性が担保された第三者機関が放送免許を交付する、という仕組みができる可能性はありますか?
神保:本来は自由な言論を実現する上で最低限の条件だと思いますが、日本ではそれさえもかなりのハードルがあります。残念ながら安倍政権以降の日本では、いわゆる三条委員会と呼ばれる独立行政委員会が、本来の中立性や独立性を失ってしまったからです。
日本では日銀の総裁や内閣法制局長官、NHKの経営委員、証券取引監視委員会や公正取引委員会、原子力規制委員会などの委員は、独立性を担保するため「同意人事」によって選ばれてきました。この同意人事というのは国会の同意を得ることを意味していますが、単なる過半数による同意ではなく、国会において望むべくは全会一致、少なくとも最大野党は賛成する形で同意を得ることが不文律になっていました。しかし、不文律というのは明文化されていないから不文律なわけです。法的な拘束力はないので、もしその不文律を破る政権が出てきた時、法的に太刀打ちすることができません。結局は有権者が次の選挙で意思表明をするしかない。
安倍政権は内閣法制局長官やNHK経営委員、原子力規制委員会などの人事で、ことごとく不文律を破り、与党の過半数で「同意人事」を押し切ってしまいました。そのような状況でFCCのような独立行政委員会を作っても、与党が管理するのと同じことになってしまう可能性があります。そのため、放送免許を付与する独立行政委員会を作るだけでは無意味です。まずは国家行政組織法を改正し、独立行政委員会における人事の中立性や透明性を確保しなければなりません。
公正原則を撤廃したアメリカで何が起こったか
ーー日本においては周回遅れの議論だということですが、実際にフェアネス・ドクトリンを廃止したアメリカでは、どんなことが起こったのでしょうか。
神保:フェアネス・ドクトリンは、電波の希少性という観点から公平な放送を求める規定です。発行しようと思えば誰でも発行できる新聞や雑誌には何の規制もありませんが、放送は国民の資産である希少な電波を利用するので、一定の制限をかけるべきだというのが、その根拠でした。
ただ、1980年代のレーガン政権の頃には放送事業にケーブルテレビ局が大量に参入してきて、電波の希少性という前提が崩れてきました。規制を嫌い、市場原理を尊重するレーガン政権の新自由主義的な機運もあり、1987年にFCCはフェアネス・ドクトリンを撤廃しました。
この時の議論は、放送市場も市場原理に委ねた方が多様な放送が生まれ、国民はより真実を知ることができるようになるはずだ、というものでした。
しかし、この議論には、一つ重大な欠陥がありました。それはどんなにチャンネルが増えても、視聴者側の個々人の可処分時間が増えるとは限らないということを見落としていたことでした。一個人が一日にテレビを見る時間には限界があるので、チャンネルの選択肢が増えたからといって、視聴者がいろいろなチャンネルから多様な情報を得るとは限らないということです。
実際、視聴者は多くの異なるチャンネルから多様な情報を得るというよりも、見慣れたチャンネルを見続けることになる。ところがフェアネス・ドクトリンは撤廃されているので、各チャンネルは思い切って偏った内容の番組を放送した方が、固定客を得やすい。日本でいう“タコツボ化”が生じ、結果的にこれは極端に偏った政治信条の持ち主を大勢生み、アメリカ社会の分断を進めてしまった可能性が高い。
自由化して市場原理に委ねればどんな問題でも解決する、という新自由主義的なアプローチが、必ずしもいい結果を生まなかった好例となってしまいました。
ーーそのことを事前に想定するのは難しかった。
神保:そうですね。アメリカでもテレビは長らく一握りの地上波チャンネルしかない時代が続いていたので、いざ多チャンネル化が実現した時に、それが視聴者の視聴習慣にどのような影響を与えるかを断定的に予測するのは難しかったと思います。
ーー日本にもケーブルテレビやCS放送はありますが、多チャンネル化したというイメージはありません。
神保:日本の場合はそこが問題だと思います。日本に先駆けて多チャンネル化が実現したアメリカでは、先ほどお話ししたように、現実には個々人が見るチャンネルは固定化される傾向がありますが、とは言え、その気になれば多くの選択肢が用意されていて、情報をバランスよく受け取ることが可能になっています。
ところが日本は、特に報道においては記者クラブなどの特権的な問題もあり、CSが始まってもニュースに参入するのは結局、民放キー局の5系列だけです。せいぜい、CSやケーブルではBBCとCNNが細々と放送している以外は、5系列以外のニュースチャンネルは一つもできていません。それは日本には有形のもの無形のものを含め、数多くの参入障壁があり、既存のメディアが莫大な既得権益になっているからです。メディアの構造問題は、先ほどの免許の問題と並んで、日本が真剣に考えなければいけない問題です。
メディアが少数の担い手に握られ、その少数の担い手が政府と色々な面で持ちつ持たれつの関係にあることが、日本で市民社会がさまざまな意味で物事を深く広く知ることの妨げになっていることは間違いありません。政府が一握りのメディア事業者に記者クラブやクロスオーナーシップなどの特権を認め保護する一方で、その事業者と持ちつ持たれつの関係を維持するような現状は、日本の民主主義の弱点になっていることは、先の国連人権委員会の報告書にも指摘されています。
日本もメディアの参入障壁を下げ、放送を自由化することは、基本的には必要なことだと考えていますが、その際に、アメリカといういわば失敗の先行事例があるわけですから、まったく同じ道を後追いするのではなく、アメリカでうまくいかなかった部分については、周回遅れの特権として、その教訓を活かすべきだと思います。
「インターネット放送局」は成り立つか
ーー神保さんのビデオニュース・ドットコムはその先駆けだったと思いますが、近年でインターネット放送局にも存在感が出てきています。
神保:グーテンベルクの活版印刷以降、コンテンツの制作効率はあっという間に何千倍、何万倍という進化を遂げましたが、一方で、最後は紙で配らなければいけなかったり、電波という制約性の高いもので届けなければならなかったり、つまり伝送路の方には強い制約が残り続けていて、それがメディアのボトルネックになっていました。しかし、インターネットによって伝送路が一気に開放され、事実上誰でも発信できる、夢のようなメディア環境が現出した。インターネットは少し前までは「そうは言ってもパソコンでしか見られないじゃないか」などと言われていましたが、今ではビデオニュースもスマートフォンからの視聴の方が多くなっています。インターネットによってメディアは誰でも自由に参入できるようになりました。一方で、旧メディアは逆に、伝送路の独占が前提のビジネスモデルだから、軒並み苦境に陥っているし、その傾向はますます進んでいくでしょう。
ただ、真に自由競争の市場の中で報道事業が本当にビジネスとして成り立つかどうかについては、まだ人類はそれを証明できていません。これまで新聞やテレビなどの既存のメディアが曲がりなりにも公共的な報道をできたのは、もしかするとそれが参入障壁の高い特権的な産業だったからに過ぎなかったのかもしれません。
ビデオニュース・ドットコムは真に自由な市場で公共的な報道が事業として成り立つかどうかにチャレンジするために、私が2000年に起ち上げた放送局です。起ち上げから10年くらいかけて最低限のオペレーションを維持する限りは単年度黒字を実現しましたが、番組の完成度という点でも取材力という点でも、まだまだ目標とはほど遠いところにいます。
現在、有料の会員が1万5000人くらいいますが、これが報道事業として成り立つかどうかは5万人、10万人と会員を増やしていかなければダメだと思います。そのためには番組をより充実させると同時に、とにかく取材力をつけるしかありません。更に、報道機関として既存のメディアに取って代われる存在になるためにと考えると、まだまだ先は長いと感じています。
ーーインターネット放送局によるジャーナリズムは、成り立っていくでしょうか。
神保:ビデオニュースを18年やってきて痛切に感じるのは、公共性と収益性を両立させることの困難さです。両者は完全にバッティングするとまでは言いませんが、ほとんど重ならない。例えば、「このニュースは儲からない割には取材に金がかかる。社会的には大事な問題かもしれないが、扱うのはやめておこう」という判断は、報道機関の経営者としては全く公共的なものではありません。しかし、その一方で経営者が「儲からないけれど、大事な問題だから扱おう」という判断を下し続ければ、会社経営は破綻してしまいます。
かつて既存の新聞者やテレビ局は、他に類を見ない参入障壁や数々の特権的制度に守られているおかげで経営的にはかなりの余裕があり、だからこそ公共的な価値にコミットすることができました。しかし、今や若者は新聞を読まなくなり、テレビもネットに広告を取られて、既存のメディアはどこも余裕がなくなっています。その中で、どうやって公共的なジャーナリズムを維持していくのかは、メディア業界だけでなく、われわれ市民社会全体が真剣に考えていかなければならない問題です。
ビデオニュースは、インターネット放送局というものが成り立つかどうか、しかも、最もオーソドックスな形で、正面突破のモデルでやってみる、というチャレンジではあります。つまり、大きな資本を入れず、ペイする範囲でできることをやっていく、というモデルであり、少しずつスタッフを育てて、内容を充実させてーーというように、非常に時間がかかりますが、少ないものの利益を上げることはできています。放送が自由産業になったなかで、歴史上常に特権のなかにあった「公共的なジャーナリズム」が生き残れるかどうかーーというのは、歴史上どの国でも証明されていないことですが、人類の新たな課題と捉えて、100年先を見てトライしていこうと考えています。 
放送制度改革に日テレ社長「どのような形で収斂するか見守る」 5/11
4月に行われたテレビ・ラジオ各局の会見では、財務省の福田淳一前事務次官によるテレビ朝日女性社員に対するセクハラ問題や、政府の規制改革推進会議が議論を始めた放送制度改革についての質問が相次いだ。放送制度改革に絡んでは、6月に日本民間放送連盟(民放連)の会長就任が内定している日本テレビ社長が政府への警戒感をあらわにした。
文化放送会見 4/17
《上口(かみぐち)宏社長が、新年度の抱負を語った》
上口社長「昨年の6月に社長に就任して、早いもので最初の年度が終わった。就任したとき、3年かけて文化放送の将来像を明確にするという目標である1000日プランを定めた。この1年で端緒はつかめたと思う。今年度は人材教育に重点をおいて、(安倍晋三政権の)人づくり革命の文化放送版ということで施策を練っている」
《文化放送は4月改編で「ラジオのあさこ」▽「村上信五くんと経済クン−などの新番組をスタートさせた》
上口社長「非常にポテンシャルのある方々で期待している。色んな意味で話題豊富な改編だ」
《また、会見で上口社長は、メニエール病の再発のため活動休止し、治療に専念することを発表したジャニーズアイドルの今井翼さんが出演していた「今井翼のto base」について触れた。同番組は3月22日に終了し、その後は、ジャニーズWESTの桐山照史さん、中間淳太さんが同放送枠を主に担当している》
上口社長「大切なパーソナリティーで、お体の問題なので、残念。許せる状況になれば戻っていただきたい」
《この日の会見では、ゲストとして「The News Masters TOKYO」(月〜金曜、午前7時〜9時)でパーソナリティーを務めるプロゴルファーのタケ小山さんが、アシスタントの西川文野(あやの)アナ、長麻未(ちょう・あさみ)アナと登場し、放送1周年を迎えた同番組のこれまでを振り返った》
タケ小山さん「元気だけを売りに採用されて1年、手探りでやってきました。仕切り方や言葉遣い、今も悩みながら進んでいます。プロゴルファーなので、スポーツの話をもっとしたいのですが、毎週日替わり、時間別で招いている各界の第一線で活躍する“ニュースマスター”の方の話がそれ以上に面白くて。今年もよろしくお願いします」
日本テレビ会見 4/23
《福田前財務次官のセクハラ問題に絡み、日本テレビの大久保好男社長が見解を尋ねられた》
大久保社長「テレビ朝日のことであり、記者会見で報道されたことは承知しているが、それ以上詳しいことについてはどのような経緯であったか分からないのでコメントは控えたい」
《大久保社長は、4月16日に政府の規制改革推進会議が放送制度改革の今後の論点をまとめたことについて見解を述べた。民放連は同日、「その方向性によっては民放事業者の経営に重大な影響が及びかねない」などとするコメントを出し、警戒する姿勢を強調した。大久保社長は6月、民放連の会長就任が内定している》
大久保社長「規制改革推進会議が放送制度に関する論点を公表したが、それを読んだ限りでは、3月に報道されていたような民放の公共的役割を否定したり、民放のビジネスモデルを否定するような表現はなかったことはその通りだと思いますが、考え方、基本的な改革の方向性は本当に変わっているのかなという点については疑念がある」
「今後の展開によっては改めて民放事業者のビジネスモデルに大きな影響が出かねない、ということもあり得るのではないかという疑念を持ちながら、規制改革推進会議の議論を見守っていきたい」
「現時点では放送法4条や出資規制に関する取り扱いとか、ハード・ソフトの分離の問題とか個々の問題について具体的論議は正式な形で浮上しているわけではないが、放送と通信の融合の観点から、産業政策論的な観点からの改革論議は続きそうなので、どのような形で収斂していくのか見守りながら私たちの考え方も表明していきたい」
テレビ朝日会見 4/24
《セクハラ問題については最後にまとめて質疑応答に。角南(すなみ)源五社長はまず、放送制度改革について見解を述べた》
角南社長「(4月)16日の規制改革推進会議では、通信・放送の融合が進展する中でのビジネスモデルについて指摘がされた。放送の持つ公共的役割や民放のビジネスモデルに影響がある可能性があり、引き続き同会議の議論を注視していきたい」
《続いて、セクハラ問題の受け止めについて説明した》
角南社長「女性社員は取材目的で1年半ほど前から1年ほど前にかけて数回、福田次官と1対1の夜の会食をした。会食のたびにセクハラ発言があったため、身を守るため会話を録音したこともあった。そしてセクハラ被害に遭わないよう上司と相談の上、1年ほど前から福田次官との1対1の夜の会合は避けていた」
「しかし、今月4日、NHKが夜7時のニュースで森友問題での財務省の口裏合わせについて独自のニュースを報じ、女性社員はデスクからの指示もあり、その裏付け取材をすることになった。そのときに福田次官から電話があったため、夜9時ごろから夜10時前まで約1年ぶりに夜の食事を伴う1対1の取材に臨んだ」
「ところがこのときもセクハラ発言が多数あったため、社員は自らの身を守るため途中から録音した。後日この社員は、セクハラの事実をテレビ朝日で報じるべきではないかと上司に相談した。上司にはセクハラの事実を隠蔽しようという考えはなく、いくつかの理由で報道は難しいと判断した。この社員はセクハラ被害を黙認される恐れがあるとして週刊新潮に連絡し、取材を受けた」
「社員からセクハラ情報があったにもかかわらず、社内で適切な対応ができなかったことについては深く反省している。当社としてはこの社員がこうした事情から福田次官との会話を録音したことは身を守るためのものであって、不適切だったとは考えていない。女性社員は公益目的からセクハラ被害を訴えたものであり、当社としてもその考え、心情は理解できるものと認識している。一方で、当社の取材活動で得た情報と録音が第三者に手渡される結果となったことについては遺憾に思う」
TBS会見 4/25
《セクハラ問題でTBSの武田信二社長が見解を尋ねられた》
武田社長「事情など、分からない部分が多い。コメントは差し控えたい。同業者としてうちではどうなんだということは現場に確認しているが、今のところ弊社では事案はないと聞いている」
《続いて、放送制度改革について武田社長が見解を述べた》
武田社長「放送と通信の融合が進んでいることは、われわれも認識している。放送のありよう、あり方について日夜考えている。民放連の下に将来の放送の価値向上に関する検討会もできているし、そこで放送事業者自らが将来像を考えていくことに尽きると思う」
テレビ東京会見 4/26
《セクハラ問題に絡み、小孫茂社長が発言した》
小孫社長「テレビ東京は、いかなる形であってもハラスメントは容認しないという基本方針を貫いている。あの報道があった後も担当部署ごとにそういう基本的考え方を社員に徹底した。万が一、そういうことに直面したら上司に相談してほしいが、事情が許さない場合は外部に相談ないし通報窓口を設けているので、メールで通報の窓口があるということも伝えた」
《放送制度改革についても見解を述べた》
小孫社長「視聴者の利益、ひいては私ども放送業者の利益がないがしろにされて進められるたぐいのものでもないと思っているので、丁寧な議論になっていくんだろうなと今は期待している。ただし、だからといって全て私どもが懸念というか、心配を解いたわけでもない」
フジテレビ会見 4/27
《セクハラ問題に絡み、宮内正喜社長が見解を尋ねられた》
宮内社長「一般論としてはいかなるハラスメントも容認できるものではないので、会社としても重要な問題という認識で各セクションにさまざまな対策を立てさせている」
《放送制度改革についても見解を問われた。民放連は「その方向性によっては民放事業者の経営に重大な影響が及びかねない」とするコメントを出している》
宮内社長「民放連と歩調を合わせてコメントを出しているので全く同じだが、(4月)16日に開示された内容は非常に具体性に富んでいない、逆を言うと抽象的表現が多いので、個別の見解は現時点ではない」 
 
 
 
 
 
 

 



2018/5